説明

車両用前照灯

【課題】半導体型光源と光学部材とを高精度に相互に取り付けることが重要である。
【解決手段】この発明は、半導体型光源5Uと、リフレクタ3と、ホルダ6と、取付部材70Uと、光学部材としての第1付加反射面15U、5Uを有する遮光部材12Uと、を備える。取付部材70Uと第1付加反射面15U、5Uを有する遮光部材12Uとが一体構造をなす。この結果、この発明は、半導体型光源5Uと光学部材としての第1付加反射面15U、5Uを有する遮光部材12Uとを高精度に相互に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とする車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、半導体発光素子と、半導体発光素子からの光を灯具前方に反射させるリフレクタと、半導体発光素子の灯具前方側に設けられていて取り付けネジによってリフレクタにネジ止めされている光学部品と、備えるものである。以下、従来の車両用前照灯の作用について説明する。半導体発光素子からの光の一部は、リフレクタで反射して所定の配光パターンで灯具前方に反射される。また、半導体発光素子からの光の残りは、光学部品により、出射方向が調整されて灯具前方に出射され、およびまたは、一部が遮断される。
【0003】
かかる車両用前照灯においては、半導体発光素子からの光の残りを高精度に出射およびまたは遮断するためには、半導体発光素子と光学部品とを高精度に相互に取り付けることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、この種の車両用前照灯においては、半導体発光素子からの光の残りを高精度に出射およびまたは遮断するためには、半導体発光素子と光学部品とを高精度に相互に取り付けることが重要である、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、発光チップを有する半導体型光源と、発光チップからの光を反射させて所定の配光パターンとして車両の前方に照射する反射面を有するリフレクタと、リフレクタが保持されている保持部材と、半導体型光源を保持部材に取り付ける取付部材と、発光チップから車両の前方に直接放射される光を光学的に処理する光学部材と、を備え、取付部材と光学部材とが一体構造をなす、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、光学部材が、少なくとも、第1基準焦点が発光チップもしくはその近傍に位置し、かつ、第2基準焦点が発光チップから外れた位置に位置する楕円系の自由曲面からなり、発光チップから車両の前方に直接放射される光を、リフレクタに設けられている付加反射面で所定の付加配光パターンとして車両の前方に照射するために、第2基準焦点に収束反射させる付加反射面から構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、光学部材が、レンズ焦点が発光チップもしくはその近傍に位置し、発光チップから車両の前方に直接放射される光を所定の付加配光パターンとして車両の前方に照射する自由曲面レンズから構成されている、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、光学部材が、発光チップから車両の前方に直接放射される光を遮蔽するシェードから構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、取付部材と光学部材とが一体構造をなすので、保持部材に半導体型光源を取付部材で取り付けることにより、半導体型光源と光学部材とが取付部材を介して保持部材に高精度に相互に取り付けられることとなる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、半導体型光源と光学部材との相対位置が高精度になるので、半導体型光源の発光チップから車両の前方に直接放射される光を光学部材により高精度に光学的に処理することができる。
【0011】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、取付部材と光学部材とが一体構造をなすので、部品点数を軽減することができ、その結果、取付操作が簡潔化し、製造コストが安価になる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、前記の課題を解決するための手段により、半導体型光源の発光チップから車両の前方に直接放射される光を取付部材と一体構造の光学部材の付加反射面でリフレクタの付加反射面側に反射させ、この反射光をリフレクタの付加反射面で所定の付加配光パターンとして車両の前方に照射することができる。このように、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、半導体型光源の発光チップから車両の前方に直接放射される光すなわち通常無効となる光を有効に利用することができる。
【0013】
しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、付加反射面の光学部材が取付部材と一体構造をなしていてその取付部材を介して半導体型光源と共に保持部材に取り付けられていて、一方、付加反射面が設けられているリフレクタが保持部材に保持されているものであるから、光学部材の付加反射面とリフレクタの付加反射面とにより、付加配光パターンを高精度に配光制御することができる。
【0014】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、前記の課題を解決するための手段により、半導体型光源の発光チップから車両の前方に直接放射される光を取付部材と一体構造の光学部材の自由曲面レンズで所定の付加配光パターンとして車両の前方に照射することができる。このように、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、半導体型光源の発光チップから車両の前方に直接放射される光すなわち通常無効となる光を有効に利用することができる。
【0015】
しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、自由曲面レンズの光学部材が取付部材と一体構造をなしていてその取付部材を介して半導体型光源と共に保持部材に取り付けられているものであるから、光学部材の自由曲面レンズにより、付加配光パターンを高精度に配光制御することができる。
【0016】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用前照灯は、前記の課題を解決するための手段により、半導体型光源の発光チップから車両の前方に直接放射される光すなわち配光制御されていない光を取付部材と一体構造の光学部材のシェードで確実に遮蔽することができる。
【0017】
しかも、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用前照灯は、シェードの光学部材が取付部材と一体構造をなしていてその取付部材を介して半導体型光源と共に保持部材に取り付けられているものであるから、光学部材のシェードにより、配光制御されていない光を確実に遮蔽して車両の前方に照射されるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例1を示す要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、光学部材)の分解斜視図である。
【図2】図2は、同じく、要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、光学部材)の取付状態を示す平面図である。
【図3】図3は、同じく、図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、同じく、要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、取付部材、光学部材)を示す斜視図である。
【図5】図5は、同じく、要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、取付部材、光学部材)を示す正面図である。
【図6】図6は、同じく、図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図7は、同じく、第1付加反射面からの反射光および第2付加反射面からの反射光の光路を示す説明正面図である。
【図8】図8は、同じく、第1付加反射面からの反射光および第2付加反射面からの反射光の光路を示す説明平面図である。
【図9】図9は、同じく、遮光部材および第1付加反射面およびシェードを除いた状態の要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、ヒートシンク部材)を示す斜視図である。
【図10】図10は、同じく、遮光部材および第1付加反射面およびシェードを除いた状態の要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、ヒートシンク部材)を示す正面図である。
【図11】図11は、同じく、図10におけるXI−XI線断面図である。
【図12】図12は、同じく、発光チップの中心と反射面の基準焦点との相対位置関係を示す説明斜視図である。
【図13】図13は、同じく、発光チップの中心と反射面の基準焦点との相対位置関係を示す説明平面図である。
【図14】図14は、同じく、第4セグメントからなる第1反射面および第5セグメントからなる第2反射面を設ける範囲を示す説明正面図である。
【図15】図15は、同じく、反射面のポイントP1で得られる発光チップの反射像を示す説明図である。
【図16】図16は、同じく、反射面のポイントP2、P3で得られる発光チップの反射像を示す説明図である。
【図17】図17は、同じく、反射面のポイントP4、P5で得られる発光チップの反射像を示す説明図である。
【図18】図18は、同じく、第4セグメントからなる第1反射面で得られる発光チップの反射像群を示す説明図である。
【図19】図19は、同じく、第5セグメントからなる第2反射面で得られる発光チップの反射像群を示す説明図である。
【図20】図20は、同じく、斜めカットオフラインと水平カットフラインとを有するロービーム用配光パターンと付加配光パターンとを示す説明図である。
【図21】図21は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示す要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、取付部材、光学部材)の正面図である。
【図22】図22は、同じく、図21におけるXXII−XXII線断面図である。
【図23】図23は、同じく、遮光部材および第1付加反射面およびシェードを除いた状態の要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、ヒートシンク部材)を示す斜視図である。
【図24】図24は、同じく、遮光部材および第1付加反射面およびシェードを除いた状態の要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、ヒートシンク部材)を示す正面図である。
【図25】図25は、同じく、図24におけるXXV−XXV線断面図である。
【図26】図26は、同じく、第1付加反射面から第2付加反射面に反射される反射光の光路を示す説明図である。
【図27】図27は、同じく、第1付加反射面から第2付加反射面に反射される反射光の光路の第1変形例を示す説明図である。
【図28】図28は、同じく、第1付加反射面から第2付加反射面に反射される反射光の光路の第2変形例を示す説明図である。
【図29】図29は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例3を示すハイビーム用配光パターンの説明図である。
【図30】図30は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例4を示す要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、光学部材)の分解斜視図である。
【図31】図31は、同じく、要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、光学部材)の取付状態を示す平面図である。
【図32】図32は、同じく、要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、取付部材、光学部材)を示す正面図である。
【図33】図33は、同じく、図32におけるXXXIII−XXXIII線断面図である。
【図34】図34は、同じく、斜めカットオフラインと水平カットフラインとを有するロービーム用配光パターンと付加配光パターンとを示す説明図である。
【図35】図35は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例5を示す要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、光学部材)の分解斜視図である。
【図36】図36は、同じく、要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、光学部材)の取付状態を示す平面図である。
【図37】図37は、同じく、要部(半導体型光源、リフレクタ、保持部材、取付部材、光学部材)を示す正面図である。
【図38】図38は、同じく、図37におけるXXXVIII−XXXVIII線断面図である。
【図39】図39は、同じく、斜めカットオフラインと水平カットフラインとを有するロービーム用配光パターンと付加配光パターンとを示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例のうちの5例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図4〜図6、図121、図22、図32、図33、図37、図38においては、ヒートシンク部材の図示を省略してある。図18、図19は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の発光チップの反射像群を示す説明図である。図18〜図20、図29、図34、図39において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。なお、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用前照灯を車両(自動車)に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例1】
【0020】
(構成の説明)
図1〜図20は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1は、この実施例1における車両用前照灯(自動車用前照灯)である。前記車両用前照灯1は、図20に示すように、エルボー点Eを境に、走行車線側(左側)に斜めカットオフラインCL1を有し、かつ、対向車線側(右側)に水平カットフラインCL2を有する配光パターンたとえばロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)LPを車両の前方に照射するものである。なお、前記斜めカットオフラインCL1とスクリーンの水平線HL−HRとのなす角度は、約15°である。
【0021】
前記車両用前照灯1は、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる反射面としての上側主反射面2Uおよびパラボラ系の自由曲面からなる付加反射面としての第2付加反射面9、9を有するリフレクタ3と、平面矩形形状(平面長方形状)の発光チップ4を有する半導体型光源としての上側半導体型光源5Uと、保持部材としてのホルダ6と、ヒートシンク部材7と、上側の取付部材70Uと、上側の光学部材としての楕円形の自由曲面からなる付加反射面としての第1付加反射面15U、15Uを有する遮光部材12Uと、同じく上側の光学部材としての2個のシェード13U、13U、14U、14Uと、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0022】
前記取付部材70Uと、光学部材としての前記遮光部材12Uすなわち前記第1付加反射面15U、15Uと、同じく光学部材としての2個の前記第1シェード13U、13Uとは、一体構造をなす。また、前記リフレクタ3と2個の前記第2シェード14U、14Uとは、一体構造をなす。一体構造の前記リフレクタ3および2個の前記第2シェード14U、14Uは、前記ホルダ6に固定保持されている。前記上側半導体型光源5Uは、前記ホルダ6に前記取付部材70Uにより取り付けられている。光学部材の前記遮光部材12Uすなわち前記第1付加反射面15U、15Uおよび2個の前記第1シェード13U、13Uは、前記ホルダ6に一体構造の前記取付部材70Uにより取り付けられている。そして、前記ホルダ6は、前記ヒートシンク部材7に取り付けられている。
【0023】
前記リフレクタ3および前記上側半導体型光源5Uおよび前記ホルダ6および前記ヒートシンク部材7および前記取付部材70Uおよび前記遮光部材12Uおよび2個の前記シェード13U、13U、14U、14Uは、ランプユニットを構成する。前記ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uは、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14U以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。
【0024】
前記ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uのうち少なくとも、前記リフレクタ3の前記上側主反射面2Uおよび前記第2付加反射面9、9と、前記遮光部材12Uの前記第1付加反射面15U、15Uには、光反射処理が施されている。また、前記ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uのうち少なくとも、前記2個のシェード13U、13U、14U、14Uには、光遮蔽処理が施されている。
【0025】
前記上側主反射面2Uおよび前記上側半導体型光源5Uおよび上側の前記遮光部材12Uおよび上側の前記2個のシェード13U、13U、14U、14Uは、前記発光チップ4の発光面が鉛直軸Y方向の上向きの上側のユニットを構成する。
【0026】
前記リフレクタ3は、図4〜図6に示すように、前記ホルダ6に固定保持されている。すなわち、前記リフレクタ3の窓部8の左右両側と前記ホルダ6の本体61の左右両側には、固定部30と固定部60とが一体に設けられている。前記リフレクタ3の前記固定部30が前記ホルダ6の前記固定部60に、位置決め手段により位置決めされた状態で、スクリュー36または固定部材(弾性爪と嵌合部との弾性嵌合、所謂、パッチン嵌合)により固定保持されている。
【0027】
前記位置決め手段は、前記リフレクタ3の前記固定部30に設けた小円形の透孔と、前記ホルダ6の前記固定部60に一体に設けた小円柱の第1ピン64と、から構成されていて、前記第1ピン64を前記透孔中に挿入することにより、前記リフレクタ3と前記ホルダ6との位置決めをなすものである。
【0028】
前記リフレクタ3は、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記リフレクタ3は、中心点(図示せず)を通る軸を回転軸とするほぼ回転放物面形状のほぼ上側半分の部分をなす。前記リフレクタ3の前側は、ほぼ上側半分の半円形に開口されている。前記リフレクタ3の前方側の開口部の大きさは、直径約100mm以下である。一方、前記リフレクタ3の後側は、閉塞されている。前記リフレクタ3の閉塞部の中間部には、横長のほぼ長方形の前記窓部8が設けられている。前記リフレクタ3の前記窓部8の左右両側の縁部には、2個の前記第2シェード14U、14Uが一体に設けられている。
【0029】
前記リフレクタ3の閉塞部の内側(前側)の面のうち前記窓部8の上側の面には、前記上側主反射面2Uが設けられている。パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる前記上側主反射面2Uは、基準焦点(擬似焦点)Fおよび基準光軸(擬似光軸)Zを有する。前記リフレクタ3の閉塞部の内側(前側)の面のうち前記窓部8の左右両側の面であって、前記上側主反射面2Uの下側の部分の面は、前記上側半導体型光源5Uの前記発光チップ4の発光面から放射される光が届かない面すなわち無発光面9、9である。
【0030】
前記上側半導体型光源5Uは、図1〜図3、図6に示すように、前記ホルダ6の前記本体61の上固定面に、位置決め手段により位置決めされた状態で、前記取付部材70Uおよびスクリュー65により固定保持されている。
【0031】
すなわち、前記上側半導体型光源5Uは、絶縁部材10と、前記絶縁部材10の上固定面に設けられている基板11と、前記基板11の上固定面に封止樹脂部材(図示せず)を介して設けられている前記発光チップ4と、から構成されている。前記基板11には、前記発光チップ4に電流を供給制御する回路や部品などが実装されている。前記上側半導体型光源5Uの前記絶縁部材10には、位置決め用の小円形の透孔50が複数個この例では3個設けられている。また、前記上側半導体型光源5Uの前記絶縁部材10には、段部51を有する長方形の凹部52が複数個この例では2個設けられている。
【0032】
前記ホルダ6の前記本体61の上固定面には、位置決め用の小円柱の第2ピン62が複数本この例では3本一体に設けられている。また、前記ホルダ6の前記本体61の上固定面には、小円形の透孔63が複数個この例では2個設けられている。さらに、前記ホルダ6の前記本体61には、コネクタ部(図示せず)が設けられている。前記ホルダ6のコネクタ部に電源側のコネクタを電気的に接続することにより、前記上側半導体型光源5Uの前記発光チップ4に電流を供給することができる。
【0033】
前記取付部材70Uは、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記取付部材70Uの上固定面の中央部の前方側には、光学部材の前記遮光部材12Uすなわち前記第1付加反射面15U、15Uが一体に設けられている。また、前記取付部材70Uの上固定面の左右両端部の前方側には、2個の前記第1シェード13U、13Uが一体に設けられている。さらに、前記取付部材70Uの左右両端部の後側には、段部71を有する円形の透孔72が複数個この例では2個設けられている。さらにまた、前記取付部材70Uの中央部の後側開口部の左右両側縁部には、長方形の凸部73が複数個この例では2個一体に設けられている。
【0034】
前記上側半導体型光源5Uの前記透孔50中に前記ホルダ6の前記第2ピン62を挿入して、前記上側半導体型光源5Uを前記ホルダ6の前記本体61の上固定面上に位置決めした状態で載置する。この状態で、前記上側半導体型光源5Uの前記凹部52の前記段部51上に前記取付部材70Uの前記凸部73を載置する。この状態で、スクリュー65を前記取付部材70Uの透孔72中を挿入して前記ホルダ6の前記透孔63中にねじ込む。前記スクリュー65の頭部が前記取付部材70Uの前記透孔72の前記段部71上に圧接する。この結果、前記上側半導体型光源5Uは、前記ホルダ6の前記本体61の上固定面に、位置決め手段(透孔50および第2ピン62)により位置決めされた状態で、光学部材の前記遮光部材12Uすなわち前記第1付加反射面15U、15Uおよび2個の前記第1シェード13U、13Uと一体構造の前記取付部材70Uおよび前記スクリュー65により固定保持されている。
【0035】
前記ホルダ6は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記ヒートシンク部材7は、上部に上固定面を有する台形形状をなし、かつ、中間部から下部にかけてフィン形状をなす。前記ヒートシンク部材7は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記ホルダ6は、前記ヒートシンク部材7の上固定面に図示しない固定部材(スクリュー、または、弾性爪と嵌合部との弾性嵌合、所謂、パッチン嵌合)により固定保持されている。
【0036】
前記上側半導体型光源5Uの前記発光チップ4は、図12、図13に示すように、5個の正方形のチップを水平軸X方向に配列してなるものである。なお、1個の長方形のチップを使用しても良いし、または、複数個(2〜4個、6個以上)のチップを使用しても良い。
【0037】
前記発光チップ4の中心O1は、前記主反射面2Uの基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、かつ、前記主反射面2Uの基準光軸Z上に位置する。また、前記発光チップ4の発光面(前記絶縁部材10と対向する面と反対側の面)は、鉛直軸Y方向に向いている。すなわち、前記上側半導体型光源5Uの前記発光チップ4の発光面は、鉛直軸Y方向の上向きに向いている。さらに、前記発光チップ4の長辺は、前記基準光軸Zおよび前記鉛直軸Yと直交する前記水平軸Xと平行である。
【0038】
前記水平軸Xと、前記鉛直軸Yと、前記基準光軸Zとは、前記発光チップ4の中心O1を原点とする直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。前記水平軸Xにおいては、前記上側のユニット2U、5U、12U、13U、13U、14U、14Uの場合、右側が+方向であり、左側が−方向である。前記鉛直軸Yにおいては、前記上側のユニット2U、5U、12U、13U、13U、14U、14U場合、上側が+方向であり、下側が−方向である。前記基準光軸Zにおいては、前記上側のユニット2U、5U、12U、13U、13U、14U、14Uにおいては、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0039】
前記主反射面2Uは、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)から構成されている。前記主反射面2Uの基準焦点Fは、前記基準光軸Z上であって、前記発光チップ4の中心O1から前記発光チップ4の後方側の長辺までの間に位置し、この例では、前記発光チップ4の後方側の長辺に位置する。また、前記主反射面2Uの基準焦点距離は、約10〜18mmである。前記主反射面2Uは、前記発光チップ4の発光面を含む平面(前記水平軸Xおよび前記基準呼応軸Zを含む平面)から、前記発光チップ4の発光面に対抗する側の空間(前記鉛直軸Yの上向きの空間)に配置されている。
【0040】
前記主反射面2Uは、鉛直軸Y方向に8個に分割されたセグメント21、22、23、24、25、26、27、28から構成されている。中央部の第4セグメント24は、第1反射面を構成する。また、中央部の第5セグメント25は、第2反射面を構成する。さらに、端部の第1セグメント21、第2セグメント22、第3セグメント23、第6セグメント26、第7セグメント27、第8セグメント28は、第3反射面を構成する。
【0041】
中央部の第1反射面の前記第4セグメント24および第2反射面の前記第5セグメント25は、図10中の2本の縦の太い実線の間の範囲Z1であって、図14中の格子斜線が施されている範囲Z1、すなわち、前記発光チップ4の中心O1から経度角±40°(図13中の±θ°)以内の範囲Z1に設けられている。なお、端部の第3反射面の前記第1セグメント21、前記第2セグメント22、前記第3セグメント23、前記第6セグメント26、前記第7セグメント27、前記第8セグメント28は、前記範囲Z1以外の図14中の白地の範囲、すなわち、前記発光チップ4の中心O1から経度角±40°以上の範囲に設けられている。
【0042】
以下、前記主反射面2Uの各セグメント21〜28において得られる平面矩形形状の前記発光チップ4の反射像(スクリーン写像)について、図15、図16、図17を参照して説明する。すなわち、第4セグメント24と第5セグメント25との境界P1おいては、図15に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約0°の前記発光チップ4の反射像I1が得られる。また、第3セグメント23と第4セグメント24との境界P2おいては、図16に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約20°の前記発光チップ4の反射像I2が得られる。さらに、第5セグメント25と第6セグメント26との境界P3おいては、図16に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約20°の前記発光チップ4の反射像I3が得られる。さらにまた、第2セグメント22と第3セグメント23との境界P4おいては、図17に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約40°の前記発光チップ4の反射像I4が得られる。さらにまた、第6セグメント26と第7セグメント27との境界P5おいては、図17に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約40°の前記発光チップ4の反射像I5が得られる。
【0043】
この結果、前記主反射面2Uの前記第4セグメント24においては、図15に示す傾きが約0°の反射像I1から図16に示す傾きが約20°の反射像I2までの反射像が得られる。また、前記主反射面2Uの前記第5セグメント25においては、図15に示す傾きが約0°の反射像I1から図16に示す傾きが約20°の反射像I3までの反射像が得られる。さらに、前記主反射面2Uの前記第3セグメント23においては、図16に示す傾きが約20°の反射像I2から図17に示す傾きが約40°の反射像I4までの反射像が得られる。さらにまた、前記主反射面2Uの前記第6セグメント26においては、図16に示す傾きが約20°の反射像I3から図17に示す傾きが約40°の反射像I5までの反射像が得られる。さらにまた、前記主反射面2Uの前記第1セグメント21および前記第2セグメント22と前記第7セグメント27および前記第8セグメント28においては、傾きが約40°以上の反射像が得られる。
【0044】
ここで、図15に示す傾きが約0°の反射像I1から図16に示す傾きが約20°の反射像I2、I3までの反射像は、前記ロービーム用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1を含む配光を形成するのに最適な反射像である。すなわち、傾きが約0°の反射像I1から傾きが約20°の反射像I2、I3までの反射像を、傾きが約15°の斜めカットオフラインCL1に沿わせることが容易であるからである。一方、図17に示す傾きが約40°の反射像I4、I5を含む傾きが約20°以上の反射像は、前記ロービーム用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1を含む配光を形成するのには不適な反射像である。すなわち、傾きが約20°以上の反射像を、傾きが約15°の斜めカットオフラインCL1に沿わせると、配光が上下方向に厚くなり、過度な近方配光(すなわち、遠方の視認性が低下する配光)を招く結果となるからである。
【0045】
また、斜めカットオフラインCL1における配光は、遠方視認配光を担っている。このために、斜めカットオフラインCL1における配光には、高光度帯(高エネルギー帯)を形成する必要がある。このために、中央部の第1反射面の前記第4セグメント24および第2反射面の前記第5セグメント25は、図11に示すように、前記発光チップ4のエネルギー分布(ランバーシアン)Z2中の高エネルギーの範囲Z3内に収められている。
【0046】
以上から、斜めカットオフラインCL1における配光を形成するのに最適な反射面は、パラボラ系の自由曲面の反射面のうち傾きが20°以内の反射像I1、I2が得られる範囲と、前記半導体型光源5Uのエネルギー分布(ランバーシアン)との相対関係より決定される。この結果、斜めカットオフラインCL1における配光を形成するのに最適な反射面、すなわち、前記第4セグメント24と前記第5セグメント25は、前記発光チップ4の中心O1から経度角±40°以内の範囲Z1であって、傾きが前記斜めカットオフラインCL1の傾斜角度(約15°)に約5°を足した角度(約20°)以内の前記発光チップ4の反射像I1、I2が得られる範囲に相当し、かつ、前記発光チップ4のエネルギー分布(ランバーシアン)Z2中の高エネルギーの範囲Z3内に、設けられている。
【0047】
前記第4セグメント24からなる前記第1反射面は、図18、図20に示すように、前記発光チップ4の反射像I1、I2が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、前記発光チップ4の反射像I1、I2の一部が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、前記発光チップ4の反射像I1、I2を前記ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4に配光制御する自由曲面からなる反射面である。
【0048】
また、前記第5セグメント5からなる前記第2反射面は、図19、図20に示すように、前記発光チップ4の反射像I1、I3が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、前記発光チップ4の反射像I1、I3の一部が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、また、前記発光チップ4の反射像I1、I3群の密度が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群の密度よりも低くなり、かつ、前記発光チップ4の反射像I1、I3群が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群を含有するようにして、前記発光チップ4の反射像I1、I3を前記ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4を含有する範囲Z5に配光制御する自由曲面からなる反射面である。なお、1個の前記発光チップ4の反射像I1、I2の密度と、1個の前記発光チップ4の反射像I1、I3の密度とは、同等もしくはほぼ同等である。
【0049】
さらに、前記第1セグメント21、前記第2セグメント22、前記第3セグメント23、前記第6セグメント26、前記第7セグメント27、前記第8セグメント28からなる前記第3反射面は、前記発光チップ4の反射像I4、I5が前記ロービーム用配光パターンLP内にほぼ収まるようにして、前記発光チップ4の反射像I4、I5群の密度が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群および前記第5セグメント25からなる前記第2反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I3群よりも低くなり、かつ、前記発光チップ4の反射像I4、I5群が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群および前記第5セグメント25からなる前記第2反射面による前記発光チップ4の反射像
I1、I3群を含有するようにして、前記発光チップ4の反射像I4、I5を前記ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4、Z5を含有する範囲Z6に配光制御する自由曲面からなる反射面である。
【0050】
1個の前記遮光部材12Uと、2個の前記第1シェード13U、13Uと、2個の前記第2シェード14U、14Uとは、それぞれ別個に構成されていて、図6に示すように、前記主反射面2Uから車両の前方に照射される光路L1以外の空間に配置されている。1個の前記遮光部材12Uと、1個の前記リフレクタ3とは、それぞれ別個に構成されている。
【0051】
前記遮光部材12Uは、前記発光チップ4に対して、前方からやや斜め上方にかけてかつ前方からやや斜め左右両側方にかけての範囲に設けられている。前記遮光部材12Uは、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記遮光部材12Uは、図6に示すように、前記発光チップ4の発光面から車両の前方に直接放射される光L2を遮蔽する部材である。
【0052】
前記遮光部材12Uの内側の面、すなわち、前記発光チップ4の発光面と対向する面には、2個の第1付加反射面15U、15Uが設けられている。前記2個の第1付加反射面15U、15Uは、第1基準焦点F1、F1が前記上側主反射面2Uの基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、すなわち、第1基準焦点F1、F1を共有しもしくはほぼ共有し、かつ、第2基準焦点F2、F2が前記水平軸Xもしくは前記水平軸Xの下方近傍に前記上側半導体型光源5Uに対して左右両側に、しかも、前記上側主反射面2Uの基準焦点Fもしくは前記第1基準焦点F1よりも前側に位置する楕円系の自由曲面からなる2個の第1付加反射面15U、15Uが設けられている。左右両側の前記2個の第1付加反射面15U、15Uは、前記発光チップ4の発光面から車両の前方に直接放射される光L2を前記第2基準焦点F2、F2に収束反射させる。
【0053】
前記リフレクタ3の閉塞部の内側(前側)の面のうち前記窓部8の左右両側の面であって前記上側主反射面2Uの下側の部分の面、すなわち、前記リフレクタ3の前記上側主反射面2U以外の箇所であって前記上側主反射面2Uの下方の前記上側半導体型光源5Uに対して左右両側に位置する面である前記無発光面9、9には、基準焦点F3、F3が前記2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2もしくはその近傍に位置するパラボラ系の自由曲面からなる2個の第2付加反射面がそれぞれ設けられている。左右両側の前記2個の第2付加反射面9、9は、図7および図8に示すように、前記2個の第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3を反射させ、その反射光L4を所定の付加配光パターン、この例ではカットオフラインCL1、CL2を有する付加配光パターンLP1(図20中の破線で囲まれている部分のパターン)として車両の前方に照射する。なお、図7における反射光L4は、下向きの矢印で示されているが、実際には、車両の前方やや下向きに照射される。
【0054】
前記取付部材70Uと一体構造の前記2個の第1シェード13U、13Uと、前記リフレクタ3と一体構造の前記2個の第2シェード14U、14Uとは、前記2個の第1付加反射面15U、15U(前記遮光部材12U)と前記2個の第2付加反射面9、9との間であって、前記2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2および前記2個の第2付加反射面9、9の基準焦点F3、F3もしくはその近傍に配置されている。左右両側の前記2個の第1シェード13U、13Uおよび左右両側の前記2個の第2シェード14U、14Uは、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記2個の第1シェード13U、13Uおよび前記2個の第2シェード14U、14Uには、前記2個の第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3を通過させて前記カットオフラインCL1、CL2を有する前記付加配光パターンLP1を形成する2個の開口部16U、16Uがそれぞれ設けられている。左右両側の前記2個の開口部16U、16Uの上縁すなわち前記2個の第2シェード14U、14Uの下縁は、水平をなす。前記2個の開口部16U、16Uの下縁すなわち、前記2個の第1シェード13U、13Uの上縁は、右側半分が左側半分に対して一段下がった段違い水平をなす。
【0055】
前記付加配光パターンLP1は、前記ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4および範囲Z5の一部を含有する範囲に配光制御される。前記付加配光パターンLP1の前記カットオフラインCL1、CL2と前記ロービーム用配光パターンLPの前記カットオフラインCL1、CL2とは、一致する。
【0056】
(作用の説明)
以下、この実施例1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0057】
まず、車両用前照灯1の上側半導体型光源5Uの発光チップ4を点灯発光させる。すると、図6に示すように、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から光が放射される。この光の一部(発光チップ4のエネルギー分布(ランバーシアン)Z2中の高エネルギーの範囲Z3内の光)は、リフレクタ3の上側主反射面2Uで反射される。この反射光L1は、図20に示すロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0058】
すなわち、主反射面2Uの第4セグメント24からなる第1反射面からの反射光L1は、発光チップ4の反射像I1、I2が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、発光チップ4の反射像I1、I2の一部が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4に配光制御される。
【0059】
また、主反射面2Uの第5セグメント25からなる第2反射面からの反射光L2は、発光チップ4の反射像I1、I3が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、発光チップ4の反射像I1、I3の一部が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、また、発光チップ4の反射像I1、I3群の密度が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群の密度よりも低くなり、かつ、発光チップ4の反射像I1、I3群が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群を含有するようにして、ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4を含有する範囲Z5に配光制御される。
【0060】
さらに、主反射面2Uの第1セグメント21、第2セグメント22、第3セグメント23、第6セグメント26、第7セグメント27、第8セグメント28からなる第3反射面からの反射光L1は、発光チップ4の反射像I4、I5がロービーム用配光パターンLP内にほぼ収まるようにして、発光チップ4の反射像I4、I5群の密度が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群および第5セグメント25からなる第2反射面による発光チップ4の反射像I1、I3群よりも低くなり、かつ、発光チップ4の反射像I4、I5群が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群および第5セグメント25からなる第2反射面による発光チップ4の反射像I1、I3群を含有するようにして、ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4、Z5を含有する範囲Z6に配光制御される。
【0061】
以上のようにして、図20に示すロービーム用配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0062】
一方、図6〜図8に示すように、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から車両の前方に直接放射される光L2は、遮光部材12Uの2個の第1付加反射面15U、15Uで、上側半導体型光源5Uに対して左右両側の2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2側、すなわち、水平軸Xもしくはその水平軸Xよりも若干下方であって、上側反射面2Uの基準焦点Fおよび第1付加反射面15U、15Uの第1基準焦点F1、F1よりも前側に、それぞれ収束反射する。その反射光L3は、2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2に収束し、かつ、2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2から放射(拡散)する。このとき、反射光L3は、2個の第1シェード13U、13Uと2個の第2シェード14U、14Uの間の2個の開口部16U、16Uを通過して、カットオフラインCL1、CL2を有する付加配光パターンLP1として上側半導体型光源5Uに対して左右両側の2個の第2付加反射面9、9で反射する。
【0063】
2個の第2付加反射面9、9で反射した反射光L4は、カットオフラインCL1、CL2を有する付加配光パターンLP1として車両の前方に照射される。付加配光パターンLP1は、図17中の破線で囲まれた部分の配光パターンに示すように、ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4および範囲Z5の一部を含有する範囲に配光制御され、付加配光パターンLP1のカットオフラインCL1、CL2とロービーム用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2とは、一致する。
【0064】
(効果の説明)
この実施例1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0065】
この実施例1における車両用前照灯1は、取付部材70Uと光学部材の遮光部材12Uすなわち第1付加反射面15U、15Uと第1シェード13U、13Uとが一体構造をなすので、ホルダ6に上側半導体型光源5Uを取付部材70Uおよびスクリュー65で取り付けることにより、上側半導体型光源5Uと光学部材の遮光部材12Uすなわち第1付加反射面15U、15Uと第1シェード13U、13Uとが取付部材70Uを介してホルダ6に高精度に相互に取り付けられることとなる。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、上側半導体型光源5Uと光学部材の遮光部材12Uすなわち第1付加反射面15U、15Uと第1シェード13U、13Uとの相対位置が高精度になるので、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2を光学部材の遮光部材12Uすなわち第1付加反射面15U、15Uと第1シェード13U、13Uにより高精度に光学的に処理することができる。
【0066】
すなわち、この実施例1における車両用前照灯1は、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2を取付部材70Uと一体構造の光学部材の第1付加反射面15U、15Uでリフレクタ3に設けられている第2付加反射面9、9側に反射させ、この反射光L3をリフレクタ3の第2付加反射面9、9で所定の付加配光パターンLP1として車両の前方に照射することができる。このように、この実施例1における車両用前照灯1は、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2すなわち通常無効となる光を有効に利用することができる。
【0067】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1は、第1付加反射面15U、15Uの光学部材が遮光部材12Uを介して取付部材70Uと一体構造をなしていてその取付部材70Uを介して上側半導体型光源5Uと共にホルダ6に取り付けられていて、一方、第2付加反射面9、9が設けられているリフレクタ3がホルダ6に保持されているものであるから、光学部材の第1付加反射面15U、15Uとリフレクタ3の第2付加反射面9、9とにより、付加配光パターンLP1を高精度に配光制御することができる。
【0068】
その上、この実施例1における車両用前照灯1は、取付部材70Uと光学部材の遮光部材12Uすなわち第1付加反射面15U、15Uおよび第1シェード13U、13Uとが一体構造をなすので、部品点数を軽減することができ、その結果、取付操作が簡潔化し、製造コストが安価になる。
【0069】
この実施例1における車両用前照灯1は、上側半導体型光源5Uの発光チップ4を点灯発光させると、発光チップ4から放射される光の一部が上側主反射面2Uで反射されて、その反射光L1が所定の主配光パターンすなわちカットオフラインCL1、CL2を有するロービーム用配光パターンLP(以下、「所定のロービーム用配光パターンLP」と称する)として車両の前方に照射される。一方、この実施例1における車両用前照灯1は、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2が左右両側の2個の第1付加反射面15U、15Uで、上側半導体型光源5Uに対して左右両側の水平軸Xもしくは水平軸Xよりもやや下方であって、上側反射面2Uの基準焦点Fおよび第1付加反射面15U、15Uの第1基準焦点F1、F1よりも前側に、反射される。その反射光L3が上側主反射面2Uの下方の左右両側の2個の第2付加反射面9、9で反射される。その反射光L4が所定の付加配光パターンすなわちカットオフラインCL1、CL2を有する付加配光パターンLP1(以下、「所定の付加配光パターンLP1」と称する)として車両の前方に照射される。このように、この実施例1における車両用前照灯1は、所定のロービーム用配光パターンLPの形成に使用されていない発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2を、第1付加反射面15U、15Uおよび第2付加反射面9,9で所定の付加配光パターンLP1として形成して使用するものであり、上側半導体型光源5Uからの光を有効利用することができる。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0070】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1は、2個の第1付加反射面15U、15Uを有する遮光部材12Uが少なくとも上側主反射面2Uから車両の前方に照射される光路L1以外の空間に配置されているので、2個の第1付加反射面15U、15Uを有する遮光部材12Uが上側主反射面2Uから車両の前方に照射される所定のロービーム用配光パターンLPの光路L1の妨げとはならない。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、上側主反射面2Uからの反射光L1を、2個の第1付加反射面15U、15Uを有する遮光部材12Uにより遮られることなく、ほとんど全てを所定のロービーム用配光パターンLPとして有効に利用することができ、2個の第1付加反射面15U、15Uを有する遮光部材12Uにより、所定のロービーム用配光パターンLPにおいて部分的に光量(光度、照度)が低下するなどの不具合が発生することはほとんどない。すなわち、遮光部材12Uの一部が上側主反射面2Uから車両の前方に照射される光路L1中に突出していても、前記の不具合が発生することはほとんどない。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0071】
その上、この実施例1における車両用前照灯1は、リフレクタ3のうち上側主反射面2U以外の箇所であって上側主反射面2Uの下方の左右両側に2個の第2付加反射面9、9を設けたので、2個の第2付加反射面9、9により上側主反射面2Uの一部が侵食されるようなことはない。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、既存の上側主反射面2Uにより形成される所定のロービーム用配光パターンLPの光量(光度、照度)をそのまま維持することができる一方、新設の2個の第1付加反射面15U、15Uおよび2個の第2付加反射面9、9により、上側半導体型光源5Uの発光チップ4からの無効光L2を有効利用するので、所定の付加配光パターンLP1の光量(光度、照度)を所定のロービーム用配光パターンLPの光量(光度、照度)に対して有効に利用することができる。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0072】
また、この実施例1における車両用前照灯1は、上側主反射面2Uにより所定のロービーム用配光パターンLPが形成され、一方、左右両側の2個のシェードすなわち2個の第1シェード13U、13Uおよび2個の第2シェード14U、14Uにより所定の付加配光パターンLP1が形成される。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、所定のロービーム用配光パターンLPと所定の付加配光パターンLP1とにより、光量(光度、照度)が増大されたカットオフラインCL1、CL2を有する配光パターンLP、LP1を簡単にかつ確実に得ることができる。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0073】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1は、左右両側の2個の第1シェード13U、13Uおよび左右両側の2個の第2シェード14U、14Uが上側主反射面2Uから車両の前方に照射される光路L1以外の空間であって、左右両側の2個の第1付加反射面15U、15Uと左右両側の2個の第2付加反射面9、9との間に配置されているので、2個の第1シェード13U、13Uおよび2個の第2シェード14U、14Uが上側主反射面2Uから車両の前方に照射される主配光パターンすなわちカットオフラインCL1、CL2を有するロービーム用配光パターンLPの光路L1の妨げとはならない。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、上側主反射面2Uからの反射光L1を、2個の第1シェード13U、13Uおよび2個の第2シェード14U、14Uにより遮られることなく、ほとんど全てを所定のロービーム用配光パターンLPとして有効に利用することができ、2個の第1シェード13U、13Uおよび2個の第2シェード14U、14Uにより、所定のロービーム用配光パターンLPにおいて部分的に光量(光度、照度)が低下するなどの不具合が発生することはない。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0074】
さらに、この実施例1における車両用前照灯1は、第1付加反射面15U、15Uが左右両側の2個の楕円系の自由曲面からなり、第2付加反射面9、9が左右両側の2個のパラボラ系の自由曲面からなり、シェードが左右両側の2個の第1シェード13U、13Uおよび左右両側の2個の第2シェード14U、14Uからなるので、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2を2個の第1付加反射面15U、15Uおよび2個の第2付加反射面9、9および個の第1シェード13U、13Uおよび2個の第2シェード14U、14Uで所定の付加配光パターンLP1として車両の前方に照射することができ、1個の第1付加反射面および1個の第2付加反射面と比較して、上側半導体型光源5Uからの光L2をさらに効率よくかつ確実に利用することができる。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0075】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1は、2個の第1シェード13U、13Uおよび2個の第2シェード14U、14Uが、2個の第1付加反射面15U、15Uと2個の第2付加反射面9、9との間であって、2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2もしくはその近傍に配置されている。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2もしくはその近傍に配置されている2個の第1シェード13U、13Uおよび2個の第2シェード14U、14Uおよび2個の開口部16U、16Uにより、2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2に収束する反射光L3あるいは2個の第1付加反射面15U、15Uの第2基準焦点F2、F2から放射(拡散)する反射光L3を、所定の付加配光パターンLP1に正確にかつ簡単にかつ確実に配光制御することができる。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0076】
なお、前記の実施例1においては、第1付加反射面15U、15Uが1個の遮光部材12Uに左右2個設けられていて、また、第2付加反射面9、9が1個のリフレクタ3に左右2個設けられていて、さらに、第1シェード13U、13Uおよび第2シェード14U、14Uが第1付加反射面15U、15Uと第2付加反射面9、9との間に左右2個設けられているものである。ところが、この発明においては、第1付加反射面および第2付加反射面およびシェードすなわち第1シェードおよび第2シェードを左側のみ1個、または、右側のみ1個設けるものであっても良い。
【0077】
また、前記の実施例1においては、ランプユニット3、5U、6、7、70U、12U、13U、13U、14U、14Uが水平軸Xよりも上側に設けられている上側のランプユニットである。ところが、この発明においては、ランプユニットが水平軸よりも下側に設けられている下側のランプユニットであっても良い。
【実施例2】
【0078】
図21〜図28は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示す。以下、この実施例2における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図20と同符号は、同一ものを示す。ここで、主反射面、半導体型光源、取付部材、遮光部材、第1シェード、第2シェード、第1付加反射面、開口部において、上側のユニットには、2U、5U、70U、12U、13U、14U、15U、16Uの符号を付し、一方、下側のユニットには、2D、5D、70D、12D、13D、14D、15D、16Dの符号を付す。
【0079】
この実施例2における車両用前照灯100は、発光チップ4の発光面が鉛直軸Y方向の上向きの上側のユニット(すなわち、前記の実施例1の上側反射面2Uおよび上側半導体型光源5U)に対して、点Oを中心とした点対称の状態になるように、発光チップ4の発光面が鉛直軸Y方向の下向きの下側のユニット(下側反射面2Dおよび下側半導体型光源5D)を配置してなるものである。なお、前記上側反射面2Uの各セグメント21〜28の反射面設計と前記下側反射面2Dの各セグメント21〜28の反射面設計とは、単なる点対称(反転)ではない。
【0080】
また、左右両側の2個の上側第1シェード13U、13Uおよび上側第2シェード14U、14Uと、左右両側の2個の下側第1シェード13D、13Dおよび下側第2シェード14D、14Dとは、単なる点対称(反転)ではない。すなわち、左右両側の2個の上側第1シェード13U、13Uと上側第2シェード14U、14Uとの間の上側開口部16U、16Uを、そのまま上側から下側に平行移動して左右両側の2個の下側第1シェード13D、13Dと下側第2シェード14D、14Dとの間の下側開口部16D、16Dとするものである。このために、2個の下側開口部16D、16Dの上縁すなわち2個の下側第1シェード13D、13Dの下縁は、水平をなす。2個の下側開口部16D、16Dの下縁すなわち、2個の下側第2シェード14D、14Dの上縁は、右側半分が左側半分に対して一段下がった段違い水平をなす。
【0081】
図21〜図25において、水平軸Xと、鉛直軸Yと、基準光軸Zとは、前記の第1の実施例1の通り、発光チップ4の中心O1を原点とする直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。水平軸Xと、鉛直軸Yと、基準光軸Zとは、上側のユニット2U、5U、12U、13U、13U、14U、14Uの場合、前記の実施例1の通りである。下側のユニット2D、5D、12D、13D、13D、14D、14Dの場合。水平軸Xにおいては、左側が+方向であり、右側が−方向である。前記鉛直軸Yにおいては、下側が+方向であり、上側が−方向である。前記基準光軸Zにおいては、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0082】
この実施例2における車両用前照灯100は、前記の実施例1の車両用前照灯1と同様に、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる反射面としての上側主反射面2Uおよび下側主反射面2Dおよびパラボラ系の自由曲面からなる付加反射面としての第2付加反射面9、9を有するリフレクタ300と、平面矩形形状(平面長方形状)の発光チップ4を有する半導体型光源としての上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dと、保持部材としてのホルダ6と、ヒートシンク部材7と、上側の取付部材70Uおよび下側の取付部材70Dと、上側の光学部材としての楕円形の自由曲面からなる付加反射面としての第1付加反射面15U、15Uを有する遮光部材12Uと、同じく上側の光学部材としての2個のシェード13U、13U、14U、14Uと、下側の光学部材としての楕円形の自由曲面からなる付加反射面としての第1付加反射面15D、15Dを有する遮光部材12Dと、同じく下側の光学部材としての2個のシェード13D、13D、14D、14Dと、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0083】
上側のユニットにおいて、前記取付部材70Uと、光学部材としての前記遮光部材12Uすなわち前記第1付加反射面15U、15Uと、同じく光学部材としての2個の前記第1シェード13U、13Uとは、一体構造をなす。また、前記リフレクタ300と2個の前記第2シェード14U、14Uとは、一体構造をなす。一方、下側のユニットにおいて、前記取付部材70Dと、光学部材としての前記遮光部材12Dすなわち前記第1付加反射面15D、15Dと、同じく光学部材としての2個の前記第1シェード13D、13Dとは、一体構造をなす。また、前記リフレクタ300と2個の前記第2シェード14D、14Dとは、一体構造をなす。
【0084】
一体構造の前記リフレクタ300および2個の前記第2シェード14U、14U、14D、14Dは、前記ホルダ6に固定保持されている。前記上側半導体型光源5Uおよび下が半導体型光源5Dは、前記ホルダ6に前記取付部材70Uおよび取付部材70Dにより取り付けられている。上側ユニットの光学部材の前記遮光部材12Uすなわち前記第1付加反射面15U、15Uおよび2個の前記第1シェード13U、13Uは、前記ホルダ6に一体構造の前記取付部材70Uにより取り付けられている。一方、下側ユニットの光学部材の前記遮光部材12Dすなわち前記第1付加反射面15D、15Dおよび2個の前記第1シェード13D、13Dは、前記ホルダ6に一体構造の前記取付部材70Dにより取り付けられている。そして、前記ホルダ6は、前記ヒートシンク部材7に取り付けられている。
【0085】
前記リフレクタ300および前記上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dおよび前記ホルダ6および前記ヒートシンク部材7および前記取付部材70U、70Dおよび前記遮光部材12U、12Dおよび2個の前記シェード13U、13U、14U、14U、13D、13D、14D、14Dは、ランプユニットを構成する。前記ランプユニット300、5U、5D、6、7、70U、70D、12U、13U、13U、13D、13D、14U、14U14D、14Dは、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット300、5U、5D、6、7、70U、70D、12U、13U、13U、13D、13D、14U、14U14D、14D以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。
【0086】
リフレクタ300は、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記リフレクタ300は、中心点Oを通る軸を回転軸とするほぼ回転放物面形状をなす。前記リフレクタ300の前側は、ほぼ円形に開口されている。前記リフレクタ300の前方側のほぼ円形の開口部の大きさは、直径約100mm以下である。一方、前記リフレクタ300の後側は、閉塞されている。前記リフレクタ300の閉塞部の中間部には、横長のほぼ長方形の前記窓部8が設けられている。前記リフレクタ300の前記窓部8には、前記ホルダ6が挿入されている。
【0087】
前記リフレクタ300の閉塞部の内側(前側)の面のうち前記窓部8の上側の面には、前記上側主反射面2Uが設けられている。パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる前記上側主反射面2Uは、基準焦点(擬似焦点)Fおよび基準光軸(擬似光軸)Zを有する。前記リフレクタ300の閉塞部の内側(前側)の面のうち前記窓部8の左右両側の面であって、前記上側主反射面2Uの下側の部分の面は、前記上側半導体型光源5Uの前記発光チップ4の発光面から放射される光が届かない光らない面すなわち無発光面9、9である。
【0088】
前記リフレクタ300の閉塞部の内側(前側)の面のうち前記窓部8の下側の面には、前記下側主反射面2Dが設けられている。パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる前記下側主反射面2Dは、基準焦点(擬似焦点)Fおよび基準光軸(擬似光軸)Zを有する。前記リフレクタ300の閉塞部の内側(前側)の面のうち前記窓部8の左右両側の面であって、前記下側主反射面2Dの上側の部分の面は、前記下側半導体型光源5Dの前記発光チップ4の発光面から放射される光が届かない面すなわち無発光面9、9である。
【0089】
また、この実施例2における車両用前照灯100は、前記の実施例1の上側の1個の遮光部材12Uおよび左右両側の2個の第1シェード13U、13Uおよび左右両側の2個の第2シェード14U、14Uおよび左右両側の2個の第1付加反射面15U、15Uおよび左右両側の2個の開口部16U、16Uと同様に、下側の1個の遮光部材12Dおよび左右両側の2個の第1シェード13D、13Dおよび左右両側の2個の第2シェード14D、14Dおよび左右両側の2個の第1付加反射面15D、15Dおよび左右両側の2個の開口部16D、16Dを設けてなるものである。
【0090】
すなわち、上側のユニットの遮光部材12Uおよび第1シェード13U、13Uおよび第2シェード14U、14Uおよび第1付加反射面15U、15Uおよび開口部16U、16Uに対して、点Oを中心とした点対称の状態になるように、下側のユニットの遮光部材12Dおよび第1シェード13D、13Dおよび第2シェード14D、14Dおよび第1付加反射面15D、15Dおよび開口部16D、16Dを配置してなるものである。
【0091】
下側のユニットの2個の第1付加反射面15D、15Dの第1基準焦点F1、F1は、下側主反射面2Dの基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、かつ、共有しもしくはほぼ共有する。また、下側のユニットの2個の第1付加反射面15D、15Dの第2基準焦点F2、F2は、水平軸Xもしくは水平軸Xの上方近傍に下側半導体型光源5Dに対して左右両側に、しかも、下側主反射面2Dの基準焦点Fもしくは前記第1基準焦点F1、F1よりも前側に位置する。
【0092】
1個の上側遮光部材12Uと、2個の上側第1シェード13U、13Uと、2個の上側第2シェード14U、14Uとは、上側主反射面2Uから車両の前方に照射される光路L1以外の空間に配置されている。また、同様に、1個の下側遮光部材12Dと、2個の下側第1シェード13D、13Dと、2個の下側第2シェード14D、14Dとは、下側主反射面2Dから車両の前方に照射される光路L1以外の空間に配置されている。
【0093】
前記上側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9および前記下側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9は、この例では、図26に示すように、共通であって、前記上側ユニットの前記主反射面2Uと前記下側ユニットの前記主反射面2Dとの間に配置されている。この結果、上側第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3Uと、下側第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3Dとは、共通の前記上側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9および前記下側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9に入射して所定の付加配光パターンとして車両の前方に照射される。
【0094】
なお、前記上側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9および前記下側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9は、たとえば、図27に示すように、それぞれ上下両側に分担してなる場合がある。すなわち、左側の第2付加反射面を上側の部分9LUと下側の部分9LDとに分担し、かつ、右側の第2付加反射面を上側の部分9RUと下側の部分9RDとに分担する場合がある。
【0095】
たとえば、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(実線で示す反射光L3U)が入射する左右上側の第2付加反射面9LU、9RUと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(実線で示す反射光L3D)が入射する左右下側の第2付加反射面9LD、9RDとからなる場合。また、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(破線で示す反射光L3U)が入射する左右下側の第2付加反射面9LD、9RDと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(破線で示す反射光L3D)が入射する左右上側の第2付加反射面9LU、9RUとからなる場合。さらに、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(左側が実線で示す反射光L3U、右側が破線で示す反射光L3U)が入射する左上側の第2付加反射面9LUおよび右下側の第2付加反射面9RDと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(左側が実線で示す反射光L3D、右側が破線で示す反射光L3D)が入射する左下側の第2付加反射面9LDおよび右上側の第2付加反射面9RUとからなる場合。さらにまた、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(左側が破線で示す反射光L3U、右が実線で示す反射光L3U)が入射する左下側の第2付加反射面9LDおよび右上側の第2付加反射面9RUと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(左側が破線で示す反射光L3D、右が実線で示す反射光L3D)が入射する左上側の第2付加反射面9LUおよび右下側の第2付加反射面9RDとからなる場合。
【0096】
また、前記上側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9および前記下側ユニットの左右両側の2個の第2付加反射面9、9は、たとえば、図28に示すように、それぞれ左右両側に分担してなる場合がある。すなわち、左側の第2付加反射面を左側の部分9LLと右側の部分9LRとに分担し、かつ、右側の第2付加反射面を左側の部分9RLと右側の部分9RRとに分担する場合がある。
【0097】
たとえば、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(実線で示す反射光L3U)が入射する左左側の第2付加反射面9LLおよび右右側の第2富化反射面9RRと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(実線で示す反射光L3D)が入射する左右側の第2付加反射面9LRおよび右左側の第2付加反射面9RLとからなる場合。また、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(破線で示す反射光L3U)が入射する左右側の第2付加反射面9LRおよび右左側の第2付加反射面9RLと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(破線で示す反射光L3D)が入射する左左側の第2付加反射面9LLおよび右右側の第2付加反射面9RRとからなる場合。さらに、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(左側が実線で示す反射光L3U、右側が破線で示す反射光L3U)が入射する左左側の第2付加反射面9LLおよび右左側の第2付加反射面9RLと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(左側が実線で示す反射光L3D、右側が破線で示す反射光L3D)が入射する左右側の第2付加反射面9LRおよび右右側の第2付加反射面9RRとからなる場合。さらにまた、上側のユニットの第1付加反射面15U、15Uからの反射光L3U(左側が破線で示す反射光L3U、右が実線で示す反射光L3U)が入射する左右側の第2付加反射面9LRおよび右右側の第2付加反射面9RRと、下側のユニットの第1付加反射面15D、15Dからの反射光L3D(左側が破線で示す反射光L3D、右が実線で示す反射光L3D)が入射する左左側の第2付加反射面9LLおよび右左側の第2付加反射面9RLとからなる場合。
【0098】
この実施例2における車両用前照灯100は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0099】
特に、この実施例2における車両用前照灯100は、主反射面2U、2Dおよび半導体型光源5U、5Dおよび遮光部材12U、12Dおよび第1付加反射面15U、15U、15D、15Dおよび第2付加反射面9、9および第1シェード13U、13U、13D、13Dおよび第2シェード14U、14U、14D、14Dおよび開口部16U、16U、16D、16Dが、発光チップ4の発光面が鉛直軸Y方向の上向きの上側のユニット(すなわち、前記の実施例1の上側反射面2Uおよび上側半導体型光源5U)と、発光チップ4の発光面が鉛直軸Y方向の下向きの下側のユニット(下側反射面2Dおよび下側半導体型光源5D)と、にそれぞれ設けられている。この結果、この実施例2における車両用前照灯100は、リフレクタ300を小型化しても、所定のロービーム用配光パターンLPおよび所定の付加配光パターンLP1の光量(光度、照度)が十分に得られるので、車両用として最適な所定のロービーム用配光パターンLPおよび所定の付加配光パターンLP1を配光制御することと、ランプユニットの小型化とを、両立させることができる。これにより、この実施例2における車両用前照灯100は、ランプユニット3、5U、5D、6、7、12U、12D、13U、13U、14U、14U、13D、13D、14D、14Dの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【0100】
また、この実施例2における車両用前照灯100は、上側ユニットの第2付加反射面9、9および下側ユニットの第2付加反射面9、9が、上側ユニットの主反射面2Uと下側ユニットの主反射面2Dとの間に配置されている。この結果、この実施例2における車両用前照灯100は、中間に位置する上側ユニットの第2付加反射面9、9および下側ユニットの第2付加反射面9、9と、上側に位置する上側ユニットの主反射面2Uと、下側に位置する下側ユニットの主反射面2Dとが、全体に光る。これにより、この実施例2における車両用前照灯100は、ランプユニット3、5U、5D、6、7、12U、12D、13U、13U、14U、14U、13D、13D、14D、14Dの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。しかも、この実施例2における車両用前照灯100は、上側ユニットの主反射面2Uと下側ユニットの主反射面2Dとの間において無発光部分が形成されるようなことはないので、被視認性や品質が向上される。
【0101】
なお、前記の実施例2においては、上下の第1付加反射面15U、15U、15D、15Dが上下の1個の遮光部材12U、12Dに左右2個設けられていて、また、上下の第2付加反射面9、9が1個のリフレクタ300に左右2個設けられていて、さらに、上下のシェードすなわち上下の第1シェード13U、13U、13D、13Dおよび上下の第2シェード14U、14U、14D、14Dが上下の第1付加反射面15U、15U、15D、15Dと上下の第2付加反射面9、9、9、9との間に左右2個設けられているものである。ところが、この発明においては、第1付加反射面および第2付加反射面およびシェードすなわち第1シェードおよび第2シェードを左側のみ1個、または、右側のみ1個設けるものであっても良い。
【実施例3】
【0102】
図29は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例3を示す。以下、この実施例3における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図28と同符号は、同一ものを示す。この実施例3における車両用前照灯は、所定の主配光パターンとしてハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)HPを照射し、また、所定の付加配光パターンとしてハイビーム用配光パターンHPの中央部分を含む付加配光パターンHP1を照射するものである。
【0103】
この実施例3における車両用前照灯は、主反射面2Uおよびまたは2Dの各セグメント21〜28の反射面を所定の主配光パターンとしてのハイビーム用配光パターンHPを照射する反射面とし、また、第1シェード13U、13U、13D、13Dおよび第2シェード14U、14U、14D、14Dを省略し、かつ、第1付加反射面15U、15Uおよびまたは15D、15Dおよび第2付加反射面9、9、9、9の反射面を所定の付加配光パターンとしての付加配光パターンHP1を照射する反射面とするものである。
【0104】
この実施例3における車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例2における車両用前照灯1、100とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例3における車両用前照灯は、ハイビーム用配光パターンHPおよび付加配光パターンHP1を照射することができる。これにより、この実施例3における車両用前照灯は、ランプユニットの小型化および製造コストの軽減化を図ることができる。
【実施例4】
【0105】
図30〜図34は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例4を示す。以下、この実施例4における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図29と同符号は、同一ものを示す。この実施例4における車両用前照灯は、前記の実施例1の車両用前照灯1と同様に上側のユニットから構成されているものである。なお、この実施例4における車両用前照灯は、前記の実施例2の車両用前照灯100と同様に上側のユニットと下側のユニットとから構成されているものであっても良い。
【0106】
この実施例4における車両用前照灯は、前記の実施例1の車両用前照灯1および前記の実施例2の車両用前照灯100における光学部材が第1付加反射面5U、15Uおよびまたは15D、15Dを有する遮光部材12Uおよびまたは12Dから構成されているものであるのに対して、光学部材が自由曲面レンズ74U(特開2008−226559号公報参照)から構成されているものである。
【0107】
前記自由曲面レンズ74Uは、取付部材70Uに一体に設けられている。前記取付部材70Uをホルダ6に取り付けることにより、前記自由曲面レンズ74Uは、上側半導体型光源5Uと共にホルダ6に取り付けられる。前記自由曲面レンズ74Uのレンズ焦点(図示せず)は、上側半導体型光源5Uの発光チップ4もしくはその近傍に位置する。
【0108】
この実施例4における車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、上側半導体型光源5Uの発光チップ4を点灯発光させると、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から放射される光の一部L1が上側主反射面2Uによりロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。また、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から車両の前方に直接放射される光L2が自由曲面レンズ74Uにより所定の付加配光パターン、この例では、中域拡散、近傍光(手前側すなわち車両側の光)を補助するための付加配光パターンLP2(図34中の破線で囲まれた部分の配光パターン)として車両の前方に照射される。
【0109】
この実施例4における車両用前照灯は、以上のごとき構成および作用からなるので、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2を取付部材70Uと一体構造の光学部材の自由曲面レンズ74Uで所定の付加配光パターンLP2として車両の前方に照射することができる。このように、この実施例4における車両用前照灯は、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から車両の前方に直接放射される光L2すなわち通常無効となる光L2を有効に利用することができる。
【0110】
しかも、この実施例4における車両用前照灯は、自由曲面レンズ74Uの光学部材が取付部材70Uと一体構造をなしていてその取付部材70Uを介して上側半導体型光源5Uと共にホルダ6に取り付けられているものであるから、光学部材の自由曲面レンズ74Uにより、付加配光パターンLP2を高精度に配光制御することができる。
【実施例5】
【0111】
図35〜図39は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例5を示す。以下、この実施例5における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図34と同符号は、同一ものを示す。この実施例5における車両用前照灯は、前記の実施例1の車両用前照灯1と同様に上側のユニットから構成されているものである。なお、この実施例5における車両用前照灯は、前記の実施例2の車両用前照灯100と同様に上側のユニットと下側のユニットとから構成されているものであっても良い。
【0112】
この実施例5における車両用前照灯は、前記の実施例1の車両用前照灯1および前記の実施例2の車両用前照灯100における光学部材が第1付加反射面5U、15Uおよびまたは15D、15Dを有する遮光部材12Uおよびまたは12Dから構成されているもの、前記の実施例4の車両用前照灯における光学部材が自由曲面レンズ74U〜構成されているものであるのに対して、光学部材がシェード75Uから構成されているものである。
【0113】
前記シェード75Uは、取付部材70Uに一体に設けられている。前記取付部材70Uをホルダ6に取り付けることにより、前記シェード75Uは、上側半導体型光源5Uと共にホルダ6に取り付けられる。前記シェード75Uは、上側半導体型光源5Uの発光チップ4から放射される光のうち上側主反射面2Uに入射せずに車両の前方に直接放射される光L2を遮蔽するものである。
【0114】
この実施例5における車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、上側半導体型光源5Uの発光チップ4を点灯発光させると、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から放射される光の一部L1が上側主反射面2Uによりロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。また、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から上側主反射面2Uに入射せずに車両の前方に直接放射される光L2がシェード75Uにより遮蔽される。
【0115】
ここで、取付部材70Uにシェード75Uを設けなかった場合について説明する。この場合においては、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から放射される光のうち上側主反射面2Uに入射しない光L2が車両の前方に直接放射されて、ロービーム用配光パターンLPの中央部の上方側に迷光ゾーンLP3(図39中の破線で囲まれた部分のゾーン)として車両の前方に照射される。この迷光ゾーンLP3の光は、対向車のドライバーなどに対して迷惑な光となる。
【0116】
これに対して、この実施例5における車両用前照灯は、取付部材70Uに設けたシェード75Uにより、上側半導体型光源5Uの発光チップ4の上向きの発光面から上側主反射面2Uに入射せずに車両の前方に直接放射される光すなわち配光制御されていないL2を遮蔽することができるので、ロービーム用配光パターンLPの中央部の上方側に迷光ゾーンLP3を照射するのを確実に防止することができる。
【0117】
しかも、この実施例5における車両用前照灯は、シェード75Uの光学部材が取付部材70Uと一体構造をなしていてその取付部材70Uを介して上側半導体型光源5Uと共にホルダ6に取り付けられているものであるから、光学部材のシェード75Uにより、配光制御されていない光L2を確実に遮蔽して車両の前方に照射されるのを確実に防止することができる。
【0118】
(その他の例)
なお、前記の実施例2、4、5においては、所定の主配光パターンとして、カットオフラインCL1、CL2を有するロービーム用配光パターンLPについて説明し、前記の実施例2においては、所定の付加配光パターンとして、カットオフラインCL1、CL2を有する付加配光パターンLP1について説明し、前記の実施例4においては、所定の付加配光パターンとして、中域拡散および近傍光の補助用の付加配光パターンLP2について説明し、前記の実施例3においては、所定の主配光パターンとして、ハイビーム用配光パターンHP、また、所定の付加配光パターンとして、付加配光パターンHP1について説明するものである。ところが、この発明おいては、カットオフラインCL1、CL2を有するロービーム用配光パターンLP、カットオフラインCL1、CL2を有する付加配光パターンLP1、および、中域拡散および近傍光の補助用の付加配光パターンLP2、および、ハイビーム用配光パターンHP、付加配光パターンHP1以外の所定の主配光パターン、所定の付加配光パターンであっても良い。たとえば、高速道路用配光パターン、フォグランプ用配光パターンなど、エルボー点を境に、走行車線側に斜めカットオフラインを有し、かつ、対向車線側に水平カットフラインを有する配光パターンであっても良いし、カットオフラインを持たない配光パターンであっても良い。
【0119】
また、前記の実施例2、3、4、5においては、左側走行車線用の車両用前照灯1、100について説明する。ところが、この発明においては、右側走行車線用の車両用前照灯についても適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1、100 車両用前照灯
2U 上側主反射面(反射面)
2D 下側主反射面(反射面)
3、300 リフレクタ
30 固定部
36 スクリュー
4 発光チップ
5U 上側半導体型光源
5D 下側半導体型光源
50 透孔
51 段部
52 凹部
6 ホルダ(保持部材)
60 固定部
61 本体
62 第2ピン
63 透孔
64 第1ピン
65 スクリュー
7 ヒートシンク部材
8 窓部
9、9 第2付加反射面
9LL、9LR、9RL、9RR、9LU、9LD、9RU、9RD 第2付加反射面
10 絶縁部材
11 基板
12U、12D 遮光部材(光学部材)
13U、13U、13D、13D 第1シェード(光学部材)
14U、14U、14D、14D 第2シェード
15U、15U、15D、15D 第1付加反射面(光学部材)
16U、16U、16D、16D 開口部
21 第1セグメント(第3反射面)
22 第2セグメント(第3反射面)
23 第3セグメント(第3反射面)
24 第4セグメント(第1反射面)
25 第5セグメント(第2反射面)
26 第6セグメント(第3反射面)
27 第7セグメント(第3反射面)
28 第8セグメント(第3反射面)
70U、70D 取付部材
71 段部
72 透孔
73 凸部
74U 自由曲面レンズ(光学部材)
75U シェード(光学部材)
E エルボー点
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットフライン
LP ロービーム用配光パターン(所定の主配光パターン)
LP1 付加配光パターン
LP2 補助用の付加配光パターン
LP3 迷光ゾーン
HP ハイビーム用配光パターン
HP1 付加配光パターン
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
O 点対象となる中心点
O1 発光チップの中心
F 主反射面の基準焦点
F1 第1付加反射面の第1基準焦点
F2 第1付加反射面の第2基準焦点
F3 第2付加反射面の基準焦点
X 水平軸
Y 鉛直軸
Z 主反射面の基準光軸
P1 第4セグメントと第5セグメントとの境界
P2 第3セグメントと第4セグメントとの境界
P3 第5セグメントと第6セグメントとの境界
P4 第2セグメントと第3セグメントとの境界
P5 第6セグメントと第7セグメントとの境界
I1 境界P1における発光チップの反射像
I2 境界P2における発光チップの反射像
I3 境界P3における発光チップの反射像
I4 境界P4における発光チップの反射像
I5 境界P5における発光チップの反射像
Z1 発光チップの中心から経度角が±40°以内の範囲
Z2 発光チップのエネルギー分布の範囲
Z3 高エネルギーの範囲
Z4 第1反射面による配光範囲
Z5 第2反射面による配光範囲
Z6 第3反射面による配光範囲
L1 主反射面から車両の前方に照射される光路
L2 発光チップから車両の前方に放射される光
L3 第1付加反射面からの反射光
L4 第2付加反射面からの反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源を光源とする車両用前照灯において、
発光チップを有する前記半導体型光源と、
前記発光チップからの光を反射させて所定の配光パターンとして車両の前方に照射する反射面を有するリフレクタと、
前記リフレクタが保持されている保持部材と、
前記半導体型光源を前記保持部材に取り付ける取付部材と、
前記発光チップから車両の前方に直接放射される光を光学的に処理する光学部材と、
を備え、
前記取付部材と前記光学部材とは、一体構造をなす、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記光学部材は、少なくとも、第1基準焦点が前記発光チップもしくはその近傍に位置し、かつ、第2基準焦点が前記発光チップから外れた位置に位置する楕円系の自由曲面からなり、前記発光チップから車両の前方に直接放射される光を、前記リフレクタに設けられている付加反射面で所定の付加配光パターンとして車両の前方に照射するために、前記第2基準焦点に収束反射させる付加反射面から構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記光学部材は、レンズ焦点が前記発光チップもしくはその近傍に位置し、前記発光チップから車両の前方に直接放射される光を所定の付加配光パターンとして車両の前方に照射する自由曲面レンズから構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記光学部材は、前記発光チップから車両の前方に直接放射される光を遮蔽するシェードから構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate


【公開番号】特開2011−222366(P2011−222366A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91814(P2010−91814)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】