説明

車両用前照灯

【課題】ロービーム用配光パターンLPが確実に得られること。
【解決手段】この発明は、可動リフレクタ13U、13Dの反射面12U、12D以外の端面のうち、少なくとも、可動リフレクタ13U、13Dが第1位置に位置するときに、発光チップ4と対向する端面すなわち透孔17の端面には、発光チップ4から放射される光のうち透孔17の端面に入射する光L6U、L6Dを固定リフレクタ3の反射面2U、2D以外に反射させる表面処理部170が、設けられている。この結果、この発明は、ロービーム用配光パターンLPが確実に得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)と少なくともハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)、すなわち、ハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)とデイタイムランニングライト用配光パターンとを切り替えて車両の前方に照射する車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、ロービーム用配光パターンを形成する第1光源ユニットと、ハイビーム用配光パターンを形成する第2光源ユニットと、から構成されているものである。第1光源ユニットは、プロジェクタタイプのランプユニットであって、光源と、楕円系(収束系)のリフレクタと、シェードと、投影レンズと、を備えるものである。また、第2光源ユニットは、プロジェクタタイプのランプユニットであって、光源と、楕円系(収束系)のリフレクタと、投影レンズと、を備えるものである。以下、従来の車両用前照灯の作用について説明する。第1光源ユニットの光源を点灯すると、光源からの光がリフレクタで反射し、反射光の一部がシェードでカットオフされて、斜めカットオフラインおよび水平カットフラインを有する配光パターンすなわちロービーム用配光パターンが形成され、ロービーム用配光パターンが投影レンズから上下左右反転して車両の前方に照射(投影)される。また、第2光源ユニットの光源を点灯すると、光源からの光がリフレクタで反射し、反射光がハイビーム用配光パターンとして投影レンズから上下左右反転して車両の前方に照射(投影)される。
【0003】
ところが、従来の車両用前照灯は、光源とリフレクタとシェードと投影レンズとを備える第1光源ユニットと、光源とリフレクタと投影レンズとを備える第2光源ユニットと、から構成されているものである。このために、従来の車両用前照灯は、部品点数が多く、かつ、ハイビーム用配光パターン用の第2光源ユニットを必要とし、その分、小型化、軽量化、省電力化、コスト軽減化に課題がある。
【0004】
そこで、この出願には、小型化、軽量化、省電力化、コスト軽減化を図ることができる車両用前照灯(特願2008−280070、特願2009−019848)を先に出願した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−109493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、小型化、軽量化、省電力化、コスト軽減化を図ることができる先の出願の車両用前照灯において、ロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)が確実に得られることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、反射面を有する固定リフレクタと、反射面を有する可動リフレクタと、発光チップを有する半導体型光源と、可動リフレクタを発光チップの中心もしくはその近傍を通る水平軸回りに回転可能に取り付けているホルダと、可動リフレクタを水平軸回りに第1位置と少なくとも第2位置との間において回転させる駆動装置と、を備え、固定リフレクタの反射面がロービーム用配光パターンを形成するロービーム用反射面と少なくともハイビーム用配光パターンを形成するハイビーム用反射面とから構成されていて、可動リフレクタの反射面が少なくともハイビーム用配光パターンを形成するハイビーム用反射面から構成されていて、可動リフレクタが第1位置に位置するときには、発光チップから固定リフレクタの少なくともハイビーム用反射面に放射される光あるいは固定リフレクタの少なくともハイビーム用反射面で反射される反射光が可動リフレクタにより遮蔽され、かつ、固定リフレクタのロービーム用反射面で反射される反射光がロービーム用配光パターンとして車両の前方に照射され、可動リフレクタが少なくとも第2位置に位置するときには、可動リフレクタの少なくともハイビーム用反射面で反射される反射光および固定リフレクタの少なくともハイビーム用反射面で反射される反射光および固定リフレクタのロービーム用反射面で反射される反射光が少なくともハイビーム用配光パターンとして、それぞれ車両の前方に照射され、可動リフレクタの反射面以外の端面のうち、少なくとも、可動リフレクタが第1位置に位置するときに、発光チップと対向する端面には、発光チップから放射される光を固定リフレクタの反射面以外に反射させる表面処理部が、設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、表面処理部が、発光チップから放射される光を発光チップ側に反射させる表面処理部である、ことを特徴とする。
【0009】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、固定リフレクタにはホルダが位置する窓部が設けられていて、表面処理部が、発光チップから放射される光を窓部に反射させる表面処理部である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、前記の課題を解決するための手段により、可動リフレクタが第1位置に位置するときに、半導体型光源の発光チップを点灯発光させると、発光チップから放射される光が固定リフレクタのロービーム用反射面で反射されて、その反射光がロービーム用配光パターンとして車両の前方に照射される。また、可動リフレクタが少なくとも第2位置に位置するときに、半導体型光源の発光チップを点灯発光させると、発光チップから放射される光が可動リフレクタの少なくともハイビーム用反射面および固定リフレクタの少なくともハイビーム用反射面およびロービーム用反射面でそれぞれ反射されて、その反射光が少なくともハイビーム用配光パターンとして、それぞれ車両の前方に照射される。
【0011】
その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、固定リフレクタと可動リフレクタと半導体型光源と駆動装置とからなるので、従来の車両用前照灯と比較して、少なくともハイビーム用配光パターン用の第2光源ユニットを必要とせず、部品点数が少なくて済み、その分、小型化、軽量化、省電力化、コスト軽減化を図ることができる。
【0012】
特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、可動リフレクタの端面に設けられている表面処理部により、可動リフレクタが第1位置に位置するときに、発光チップから放射される光が可動リフレクタの発光チップと対向する端面に入射したとしても、その光を固定リフレクタの反射面以外に反射させることができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、可動リフレクタが第1位置に位置するとき、すなわち、ロービーム用配光パターンが車両の前方に照射されているときに、可動リフレクタの端面で反射した光が固定リフレクタの反射面において入射してロービーム用配光パターン以外の制御されていない反射光として車両の前方に照射されることがないので、ロービーム用配光パターンを確実に得ることができる。
【0013】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、前記の課題を解決するための手段により、可動リフレクタが第1位置に位置するときに、発光チップから放射される光であって可動リフレクタの端面の表面処理部に入射した光が発光チップ側に反射させることができる。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、ロービーム用配光パターンが車両の前方に照射されているときに、可動リフレクタの端面で反射した光が発光チップ側に反射されるので、ロービーム用配光パターンをさらに確実に得ることができる。
【0014】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、前記の課題を解決するための手段により、可動リフレクタが第1位置に位置するときに、発光チップから放射される光であって可動リフレクタの端面の表面処理部に入射した光が固定リフレクタの窓部に反射させることができる。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、ロービーム用配光パターンが車両の前方に照射されているときに、可動リフレクタの端面で反射した光が固定リフレクタの窓部に反射されるので、ロービーム用配光パターンをさらに確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例1を示し、可動リフレクタの透孔の端面に表面処理を施している場合における光路の説明図である。
【図2】図2は、同じく、上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタが第1位置に位置するときの要部の斜視図である。
【図3】図3は、同じく、上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタが第2位置に位置するときの要部を示す斜視図である。
【図4】図4は、同じく、上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタが第1位置に位置するときの要部を示す正面図である。
【図5】図5は、同じく、上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタが第2位置に位置するときの要部を示す正面図である。
【図6】図6は、同じく、光路を示す図4におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図7は、同じく、光路を示す図5におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図8は、同じく、半導体型光源のエネルギー分布を示す図4におけるVI−VI線断面図である。
【図9】図9は、同じく、半導体型光源のエネルギー分布を示す図5におけるVII−VII線断面図である。
【図10】図10は、同じく、上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタおよび駆動装置を省略した要部を示す斜視図である。
【図11】図11は、同じく、上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタおよび駆動装置を省略した要部を示す正面図である。
【図12】図12は、同じく、図11におけるXII−XII線断面図である。
【図13】図13は、同じく、発光チップの中心と反射面の基準焦点との相対位置関係を示す説明斜視図である。
【図14】図14は、同じく、発光チップの中心と反射面の基準焦点との相対位置関係を示す説明平面図である。
【図15】図15は、同じく、第4セグメントからなる第1反射面および第5セグメントからなる第2反射面を設ける範囲を示す説明正面図である。
【図16】図16は、同じく、反射面のポイントP1で得られる発光チップの反射像を示す説明図である。
【図17】図17は、同じく、反射面のポイントP2、P3で得られる発光チップの反射像を示す説明図である。
【図18】図18は、同じく、反射面のポイントP4、P5で得られる発光チップの反射像を示す説明図である。
【図19】図19は、同じく、第4セグメントからなる第1反射面で得られる発光チップの反射像群を示す説明図である。
【図20】図20は、同じく、第5セグメントからなる第2反射面で得られる発光チップの反射像群を示す説明図である。
【図21】図21は、同じく、斜めカットオフラインと水平カットフラインとを有するロービーム用配光パターンを示す説明図である。
【図22】図22は、同じく、ハイビーム用配光パターンを示す説明図である。
【図23】図23は、可動リフレクタの透孔の端面に表面処理を施していない場合における光路の説明図である。
【図24】図24は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示し、デイタイムランニングライト用配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。図19、図20は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の発光チップの反射像群を示す説明図である。なお、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用前照灯を車両(自動車)に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。また、図10、図11、図12においては、発明の構成を明確にするために、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dおよび駆動装置14の図示を省略してある。さらに、図2、図3、図4、図5において、ヒートシンク部材7のフィン形状の図示を省略してある。
【実施例1】
【0017】
(構成の説明)
図1〜図22は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1は、この実施例1における車両用前照灯(自動車用前照灯)である。前記車両用前照灯1は、図21に示すすれ違い用配光パターン(ロービーム用配光パターン)、すなわち、エルボー点Eを境に、走行車線側(左側)に斜めカットオフラインCL1を有し、かつ、対向車線側(右側)に水平カットフラインCL2を有するロービーム用配光パターンLPと、図22に示す走行用配光パターン(ハイビーム用配光パターン)、すなわち、第1ハイビーム用配光パターンHP1および第2ハイビーム用配光パターンHP2および第3ハイビーム用配光パターンHP3および減光ロービーム用配光パターンLP1と、を切り替えて車両の前方に照射するものである。なお、前記斜めカットオフラインCL1とスクリーンの水平線HL−HRとのなす角度は、約15°である。
【0018】
前記車両用前照灯1は、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる上側反射面2Uおよび下側反射面2Dを有する固定リフレクタ3と、同じくパラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる上側反射面12Uを有する上側可動リフレクタ13Uおよび下側反射面12Dを有する下側可動リフレクタ13Dと、平面矩形形状(平面長方形状)の発光チップ4を有する上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dと、ホルダ6と、ヒートシンク部材7と、駆動装置14と、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0019】
前記ホルダ6は、上固定面と下固定面とを有する板形状をなす。前記ホルダ6は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記ヒートシンク部材7は、上部に上固定面を有する台形形状をなし、かつ、中間部から下部にかけてフィン形状をなす。前記ヒートシンク部材7は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。
【0020】
前記固定リフレクタ3および前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dおよび前記上側半導体型光源5Uおよび前記下側半導体型光源5Dおよび前記ホルダ6および前記ヒートシンク部材7および前記駆動装置14は、ランプユニットを構成する。すなわち、前記固定リフレクタ3は、前記ホルダ6に固定保持されている。前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dは、前記ホルダ6に水平軸X回りに回転可能に取り付けられている。前記上側半導体型光源5Uは、前記ホルダ6の上固定面に固定保持されている。前記下側半導体型光源5Dは、前記ホルダ6の下固定面に固定保持されている。前記ホルダ6は、前記ヒートシンク部材7の上固定面に固定保持されている。前記駆動装置14は、前記ホルダ6および前記ヒートシンク部材7の上固定面に固定保持されている。
【0021】
前記ランプユニット3、5U、5D、6、7、13U、13D、14は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット3、5U、5D、6、7、13U、13D、14以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。
【0022】
前記固定リフレクタ3の前記上側反射面2Uおよび前記上側可動リフレクタ13Uの前記上側反射面12Uおよび前記上側半導体型光源5Uは、前記発光チップ4の発光面が鉛直軸Y方向の上向きの上側のユニットを構成する。また、前記固定リフレクタ3の前記下側反射面2Dおよび前記下側可動リフレクタ13Dの前記下側反射面12Dおよび前記下側半導体型光源5Dは、前記発光チップ4の発光面が鉛直軸Y方向の下向きの下側のユニットを構成する。前記上側のユニット2U、5U、12U、13Uと、前記下側のユニット2D、5D、12D、13Dとは、図11に示すように、点Oを中心とした点対称の状態になるように、配置されている。なお、前記上側反射面2U、12Uの反射面設計と前記下側反射面2D、12Dの反射面設計とは、単なる点対称(反転)ではない。
【0023】
前記固定リフレクタ3は、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記固定リフレクタ3は、前記点対称の点Oを通る軸を回転軸とするほぼ回転放物面形状をなす。前記固定リフレクタ3の前側は、ほぼ円形に開口されている。前記固定リフレクタ3の前方側の開口部の大きさは、直径約100mm以下、好ましくは、約50mm以下である。一方、前記固定リフレクタ3の後側は、閉塞されている。前記固定リフレクタ3の閉塞部の中間部には、横長のほぼ長方形の窓部8が設けられている。前記固定リフレクタ3の前記窓部8には、前記ホルダ6が挿入されていて位置する。前記固定リフレクタ3は、閉塞部の外側(後側)において、前記ホルダ6に固定保持されている。
【0024】
前記固定リフレクタ3の閉塞部の内側(前側)のうち前記窓部8の上側および下側には、前記上側反射面2Uおよび前記下側反射面2Dがそれぞれ設けられている。パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる前記上側反射面2Uおよび前記下側反射面2Dは、基準焦点(擬似焦点)Fおよび基準光軸(擬似光軸)Zを有する。前記上側反射面2Uと前記下側反射面2Dとの間であって、前記固定リフレクタ3の閉塞部の内側(前側)のうち前記窓部8の左右両側には、無効面9が設けられている。
【0025】
前記固定リフレクタ3の前記上側反射面2Uおよび前記下側反射面2Dは、前記ロービーム用配光パターンLPおよび前記減光ロービーム用配光パターンLP1を形成するロービーム用反射面と、前記第1ハイビーム用配光パターンHP1および前記第2ハイビーム用配光パターンHP2を形成する第1ハイビーム用反射面および第2ハイビーム用反射面と、から構成されている。
【0026】
前記駆動装置14は、モータ15と、駆動力伝達機構16と、可動リフレクタ復帰用のスプリング(図示せず)と、から構成されている。前記モータ15は、前記ヒートシンク部材7の上固定面に直接固定保持されている。これにより、前記モータ15の通電時に発生する熱を前記ヒートシンク部材7で外部に放射(放熱)することができる。前記駆動力伝達機構16は、前記モータ15と前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dとの間に設けられている。前記駆動装置14は、前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dを、前記ホルダ6に対して、前記水平軸X回りに、第1位置(図1、図2、図4、図6、図8に示す状態の位置)と第2位置(図3、図5、図7、図9に示す状態の位置)との間において、回転させるものである。
【0027】
前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dは、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記第2位置に位置する前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dは、前記点対称の点Oを通る軸を回転軸とするほぼ回転放物面形状をなす。前記第2位置に位置する前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dの前側は、ほぼ円形に開口されている。前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dの前方側の開口部の大きさすなわち開口面積は、前記固定リフレクタ3の前方側の開口部の大きさ(直径約100mm以下、好ましくは、約50mm以下)すなわち開口面積よりも小さい。
【0028】
前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dの中央部には、半円形の透孔17がそれぞれ設けられている。また、前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dの周辺部の中間部には、長方形の庇部18がそれぞれ一体に設けられている。前記上側可動リフレクタ13Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dの前記上側半導体型光源5Uおよび前記下側半導体型光源5Dに対向する側の面には、前記上側反射面12Uおよび前記下側反射面12Dがそれぞれ設けられている。パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる前記上側反射面12Uおよび前記下側反射面12Dは、基準焦点(擬似焦点)F1および基準光軸(擬似光軸)Z7を有する。
【0029】
前記上側可動リフレクタ13Uの前記上側反射面12Uおよび前記下側可動リフレクタ13Dの前記下側反射面12Dは、前記第3ハイビーム用配光パターンHP3を形成する第3ハイビーム用反射面から構成されている。
【0030】
前記半導体型光源5U、5Dは、基板10と、前記基板10に設けられている前記発光チップ4と、前記発光チップ4を封止する薄い直方体形状の封止樹脂部材11と、から構成されている。前記発光チップ4は、図13、図14に示すように、5個の正方形のチップを水平軸X方向に配列してなるものである。なお、1個の長方形のチップを使用しても良い。
【0031】
前記発光チップ4の中心O1は、前記反射面2U、2D、12U、12Dの基準焦点F、F1もしくはその近傍に位置し、かつ、前記反射面2U、2D、12U、12Dの基準光軸Z、Z7上に位置する。また、前記発光チップ4の発光面(前記基板10と対向する面と反対側の面)は、鉛直軸Y方向に向いている。すなわち、前記上側半導体型光源5Uの前記発光チップ4の発光面は、鉛直軸Y方向の上向きに向いている。一方、前記下側半導体型光源5Dの前記発光チップ4の発光面は、鉛直軸Y方向の下向きに向いている。さらに、前記発光チップ4の長辺は、前記基準光軸Z、Z7および前記鉛直軸Yと直交する前記水平軸Xと平行である。前記水平軸Xは、前記発光チップ4の中心O1もしくはその近傍(前記発光チップ4の中心O1から前記発光チップ4の後方側の長辺までの間であって、この例では、前記発光チップ4の後方側の長辺上)、あるいは、前記反射面2U、2D、12U、12Dの基準焦点F、F1もしくはその近傍を通る。
【0032】
前記水平軸Xと、前記鉛直軸Yと、前記基準光軸Z、Z7とは、前記発光チップ4の中心O1を原点とする直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。前記水平軸Xにおいては、前記上側のユニット2U、5U、12Uの場合、右側が+方向であり、左側が−方向であり、前記下側のユニット2D、5D、12Dの場合、左側が+方向であり、右側が−方向である。前記鉛直軸Yにおいては、前記上側のユニット2U、5U、12U場合、上側が+方向であり、下側が−方向であり、前記下側のユニット2D、5D、12Dの場合、下側が+方向であり、上側が−方向である。前記基準光軸Z、Z7においては、前記上側のユニット2U、5Uおよび前記下側のユニット2D、5D共に、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0033】
前記固定リフレクタ3の前記反射面2U、2Dおよび前記可動リフレクタ13U、13Dの前記反射面12U、12Dは、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)から構成されている。前記固定リフレクタ3の前記反射面2U、2Dの基準焦点Fと、前記可動リフレクタ13U、13Dの前記反射面12U、12Dの基準焦点F1とは、一致もしくはほぼ一致し、前記基準光軸Z、Z7上であって、前記発光チップ4の中心O1から前記発光チップ4の後方側の長辺までの間に位置し、この例では、前記発光チップ4の後方側の長辺に位置する。また、前記固定リフレクタ3の前記反射面2U、2Dの基準焦点距離は、約10〜18mmであり、前記可動リフレクタ13U、13Dの前記反射面12U、12Dの基準焦点距離よりも大きい。
【0034】
前記固定リフレクタ3の前記反射面2U、2Dの基準光軸Zと第2位置に位置するときの前記可動リフレクタ13U、13Dの前記反射面12U、12Dの基準光軸Z7とは、一致もしくはほぼ一致し、また、前記水平軸Xと直交し、さらに、前記発光チップ4の中心O1もしくはその近傍を通る。なお、前記可動リフレクタ13U、13Dの前記反射面12U、12Dの基準光軸Z7は、前記発光チップ4の中心O1のもしくはその近傍から前方に向かって、前記固定リフレクタ9の前記反射面2U、2Dの基準光軸Zに対して上向きである。
【0035】
前記可動リフレクタ13U、13Dが前記第1位置に位置するときには、図6に示すように、前記発光チップ4から前記固定リフレクタ3の前記第1ハイビーム用反射面に放射される光L1、および、前記固定リフレクタ3の前記第2ハイビーム用反射面で反射された反射光L2が前記可動リフレクタ13U、13Dにより遮蔽される。この結果、前記固定リフレクタ3の前記ロービーム用反射面で反射された反射光L3が、図21に示す前記ロービーム用配光パターンLP(すれ違い用配光パターン)として車両の前方に照射される。
【0036】
前記可動リフレクタ13U、13Dが前記第2位置に位置するときには、図7に示すように、前記可動リフレクタ13U、13Dの前記第3ハイビーム用反射面(前記反射面12U、12D)で反射された反射光L4が図22に示す前記第3ハイビーム用配光パターンHP3として、また、前記固定リフレクタ3の前記第1ハイビーム用反射面および第2ハイビーム用反射面で反射された反射光L5、L2が図22に示す前記第1ハイビーム用配光パターンHP1、前記第2ハイビーム用配光パターンHP2として、さらに、前記固定リフレクタ3の前記ロービーム用反射面で反射される反射光L3が図22に示す前記減光ロービーム用配光パターンLP1として、それぞれ車両の前方に照射される。図22に示すように、前記第1ハイビーム用配光パターンHP1および前記第2ハイビーム用配光パターンHP2および前記第3ハイビーム用配光パターンHP3および前記減光ロービーム用配光パターンLP1により、ハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)が形成されて車両の前方に照射される。
【0037】
前記可動リフレクタ13U、13Dが前記第2位置に位置するときには、図7に示すように、前記発光チップ4から前記固定リフレクタ3の前記ロービーム用反射面に放射される光の一部が、前記可動リフレクタ13U、13Dにより遮蔽され、かつ、前記可動リフレクタ13U、13Dの前記第3ハイビーム用反射面(前記反射面12U、12D)で反射光L4として反射される。すなわち、前記発光チップ4からの光の一部が前記減光ロービーム用配光パターンLP1から前記前記第3ハイビーム用配光パターンHP3に入れ替わる。このために、図22に示す前記減光ロービーム用配光パターンLP1の光量は、図21に示す前記ロービーム用配光パターンLPの光量よりも小さい。一方、前記可動リフレクタ13U、13Dが前記第1位置に位置するときに、前記可動リフレクタ13U、13Dにより遮蔽されていた前記発光チップ4からの光が前記第1ハイビーム用配光パターンHP1および前記第2ハイビーム用配光パターンHP2として利用される。このとき、図12に示すように、可動リフレクタ13U、13Dの前記反射面12U、12Dは、前記発光チップ4のエネルギー分布Z2中の高エネルギーの範囲Z3に位置する。この結果、総合的に見て、図22に示すハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)HP1、HP2、HP3、LP1の光量が図21に示すロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)LPの光量より大きくなる。
【0038】
前記反射面2U、2Dは、鉛直軸Y方向に8個に分割され、かつ、中央の2個が水平軸X方向にそれぞれ2個に分割されたセグメント21、22、23、24、25、26、27、28、29、20から構成されている。中央部および周辺部の第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、第6セグメント26、第7セグメント27は、前記ロービーム用反射面を構成する。また、両端の第1セグメント21、第8セグメント28は、前記第1ハイビーム用反射面を構成する。さらに、中心部の第9セグメント29、第10セグメント20は、前記第2ハイビーム用反射面を構成する。
【0039】
そして、前記ロービーム用反射面において、中央部の第4セグメント24は、第1反射面を構成する。また、中央部の第5セグメント25は、第2反射面を構成する。さらに、端部の第2セグメント22、第3セグメント23、第6セグメント26、第7セグメント27は、第3反射面を構成する。
【0040】
中央部の第1反射面の前記第4セグメント24および第2反射面の前記第5セグメント25は、図11中の2本の縦の太い実線の間の範囲Z1であって、図15中の格子斜線が施されている範囲Z1、すなわち、前記発光チップ4の中心O1から経度角±40°(図14中の±θ°)以内の範囲Z1に設けられている。なお、端部の第3反射面の前記第2セグメント22、前記第3セグメント23、前記第6セグメント26、前記第7セグメント27は、前記範囲Z1以外の図15中の白地の範囲、すなわち、前記発光チップ4の中心O1から経度角±40°以上の範囲に設けられている。
【0041】
以下、前記反射面2U、2Dのうち前記ロービーム用反射面の各セグメント22〜27において得られる平面矩形形状の前記発光チップ4の反射像(スクリーン写像)について、図16、図17、図18を参照して説明する。すなわち、第4セグメント24と第5セグメント25との境界P1おいては、図16に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約0°の前記発光チップ4の反射像I1が得られる。また、第3セグメント23と第4セグメント24との境界P2おいては、図17に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約20°の前記発光チップ4の反射像I2が得られる。さらに、第5セグメント25と第6セグメント26との境界P3おいては、図17に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約20°の前記発光チップ4の反射像I3が得られる。さらにまた、第2セグメント22と第3セグメント23との境界P4おいては、図18に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約40°の前記発光チップ4の反射像I4が得られる。さらにまた、第6セグメント26と第7セグメント27との境界P5おいては、図18に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対して、傾きが約40°の前記発光チップ4の反射像I5が得られる。
【0042】
この結果、前記ロービーム用反射面の前記第4セグメント24においては、図16に示す傾きが約0°の反射像I1から図17に示す傾きが約20°の反射像I2までの反射像が得られる。また、前記ロービーム用反射面の前記第5セグメント25においては、図16に示す傾きが約0°の反射像I1から図17に示す傾きが約20°の反射像I3までの反射像が得られる。さらに、前記ロービーム用反射面の前記第3セグメント23においては、図17に示す傾きが約20°の反射像I2から図18に示す傾きが約40°の反射像I4までの反射像が得られる。さらにまた、前記ロービーム用反射面の前記第6セグメント26においては、図17に示す傾きが約20°の反射像I3から図18に示す傾きが約40°の反射像I5までの反射像が得られる。さらにまた、前記ロービーム用反射面の前記第2セグメント22と前記第7セグメント27においては、傾きが約40°以上の反射像が得られる。
【0043】
ここで、図16に示す傾きが約0°の反射像I1から図17に示す傾きが約20°の反射像I2、I3までの反射像は、前記ロービーム用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1を含む配光を形成するのに最適な反射像である。すなわち、傾きが約0°の反射像I1から傾きが約20°の反射像I2、I3までの反射像を、傾きが約15°の斜めカットオフラインCL1に沿わせることが容易であるからである。一方、図18に示す傾きが約40°の反射像I4、I5を含む傾きが約20°以上の反射像は、前記ロービーム用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1を含む配光を形成するのには不適な反射像である。すなわち、傾きが約20°以上の反射像を、傾きが約15°の斜めカットオフラインCL1に沿わせると、配光が上下方向に厚くなり、過度な近方配光(すなわち、遠方の視認性が低下する配光)を招く結果となるからである。
【0044】
また、斜めカットオフラインCL1における配光は、遠方視認配光を担っている。このために、斜めカットオフラインCL1における配光には、高光度帯(高エネルギー帯)を形成する必要がある。このために、中央部の第1反射面の前記第4セグメント24および第2反射面の前記第5セグメント25は、図12に示すように、前記発光チップ4のエネルギー分布(ランバーシアン)Z2中の高エネルギーの範囲Z3内に収められている。なお、図8、図9、図12において、下側半導体型光源5Dのエネルギー分布の図示を省略してある。
【0045】
以上から、斜めカットオフラインCL1における配光を形成するのに最適な反射面は、パラボラ系の自由曲面の反射面のうち傾きが20°以内の反射像I1、I2が得られる範囲と、前記半導体型光源5U、5Dのエネルギー分布(ランバーシアン)との相対関係より決定される。この結果、斜めカットオフラインCL1における配光を形成するのに最適な反射面、すなわち、前記第4セグメント24と前記第5セグメント25は、前記発光チップ4の中心O1から経度角±40°以内の範囲Z1であって、傾きが前記斜めカットオフラインCL1の傾斜角度(約15°)に約5°を足した角度(約20°)以内の前記発光チップ4の反射像I1、I2が得られる範囲に相当し、かつ、前記発光チップ4のエネルギー分布(ランバーシアン)Z2中の高エネルギーの範囲Z3内に、設けられている。
【0046】
前記第4セグメント24からなる前記第1反射面は、図19、図21に示すように、前記発光チップ4の反射像I1、I2が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、前記発光チップ4の反射像I1、I2の一部が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、前記発光チップ4の反射像I1、I2を前記ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4に配光制御する自由曲面からなる反射面である。
【0047】
また、前記第5セグメント5からなる前記第2反射面は、図20、図21に示すように、前記発光チップ4の反射像I1、I3が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、前記発光チップ4の反射像I1、I3の一部が前記斜めカットオフラインCL1および前記水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、また、前記発光チップ4の反射像I1、I3群の密度が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群の密度よりも低くなり、かつ、前記発光チップ4の反射像I1、I3群が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群を含有するようにして、前記発光チップ4の反射像I1、I3を前記ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4を含有する範囲Z5に配光制御する自由曲面からなる反射面である。なお、1個の前記発光チップ4の反射像I1、I2の密度と、1個の前記発光チップ4の反射像I1、I3の密度とは、同等もしくはほぼ同等である。
【0048】
さらに、前記第2セグメント22、前記第3セグメント23、前記第6セグメント26、前記第7セグメント27からなる前記第3反射面は、図21に示すように、前記発光チップ4の反射像I4、I5が前記ロービーム用配光パターンLP内にほぼ収まるようにして、前記発光チップ4の反射像I4、I5群の密度が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群および前記第5セグメント25からなる前記第2反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I3群よりも低くなり、かつ、前記発光チップ4の反射像I4、I5群が前記第4セグメント24からなる前記第1反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I2群および前記第5セグメント25からなる前記第2反射面による前記発光チップ4の反射像I1、I3群を含有するようにして、前記発光チップ4の反射像I4、I5を前記ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4、Z5を含有する範囲Z6に配光制御する自由曲面からなる反射面である。
【0049】
前記可動リフレクタ13U、13Dの前記第3ハイビーム用反射面(前記反射面12U、12D)以外の端面のうち、少なくとも、前記可動リフレクタ13U、13Dが前記第1位置に位置するときに、前記発光チップ4と対向する端面、すなわち、前記透孔17の端面には、表面処理部170が設けられている。前記表面処理部170は、前記発光チップ4から放射される光のうち、前記第1位置に位置する前記可動リフレクタ13U、13Dの前記透孔17の端面に入射する光L6U、L6Dを前記固定リフレクタ6の前記反射面2U、2D以外、この例では、前記固定リフレクタ3の前記窓部8に反射させるものである。すなわち、前記表面処理部170は、前記発光チップ4から放射される光のうち、前記第1位置に位置する前記可動リフレクタ13U、13Dの前記透孔17の端面に入射する光L6U、L6Dを前記固定リフレクタ3の前記反射面2U、2Dに入射しないように、前記可動リフレクタ13U、13Dの前記透孔17の端面に表面処理を施してなるもの、この例では、光学制御(法線制御)し内向きに傾いた傾斜面を施してなるものである。
【0050】
(作用の説明)
以下、この実施例1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0051】
まず、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dを第1位置(図1、図2、図4、図6、図8に示す状態の位置)に位置させる。すなわち、駆動装置14のモータ15への通電を遮断すると、スプリングの作用および図示しないストッパの作用により、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dが第1位置に位置する。このときに、上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dの発光チップ4を点灯発光させる。すると、上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dの発光チップ4から光が放射される。
【0052】
この光の一部、すなわち、固定リフレクタ3の第1ハイビーム用反射面(第1セグメント21および第8セグメント28)に放射される光L1は、図6に示すように、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dにより遮蔽される。また、この光の一部、すなわち、固定リフレクタ3の第2ハイビーム用反射面(第9セグメント29および第10セグメント20)で反射された反射光L2は、図6に示すように、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dにより遮蔽される。さらに、残りの光L3は、図6に示すように、固定リフレクタ3の上側反射面2Uおよび下側反射面2Dのロービーム用反射面(第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、第6セグメント26、第7セグメント27)で反射される。この反射光L3は、図21に示すロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。なお、上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dの発光チップ4からの直射光(図示せず)は、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13D特に庇部18により遮蔽される。なお、図6においては、固定リフレクタ3の下側反射面2Dおよび下側可動リフレクタ13Dの下側反射面12Dにおける光路の図示を省略してある。
【0053】
すなわち、反射面2U、2Dの第4セグメント24からなる第1反射面からの反射光は、発光チップ4の反射像I1、I2が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、発光チップ4の反射像I1、I2の一部が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4に配光制御される。
【0054】
また、反射面2U、2Dの第5セグメント25からなる第2反射面からの反射光は、発光チップ4の反射像I1、I3が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2から飛び出ないように、かつ、発光チップ4の反射像I1、I3の一部が斜めカットオフラインCL1および水平カットフラインCL2にほぼ接するようにして、また、発光チップ4の反射像I1、I3群の密度が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群の密度よりも低くなり、かつ、発光チップ4の反射像I1、I3群が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群を含有するようにして、ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4を含有する範囲Z5に配光制御される。
【0055】
さらに、反射面2U、2Dの第2セグメント22、第3セグメント23、第6セグメント26、第7セグメント27からなる第3反射面からの反射光は、発光チップ4の反射像I4、I5がロービーム用配光パターンLP内にほぼ収まるようにして、発光チップ4の反射像I4、I5群の密度が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群および第5セグメント25からなる第2反射面による発光チップ4の反射像I1、I3群よりも低くなり、かつ、発光チップ4の反射像I4、I5群が第4セグメント24からなる第1反射面による発光チップ4の反射像I1、I2群および第5セグメント25からなる第2反射面による発光チップ4の反射像I1、I3群を含有するようにして、ロービーム用配光パターンLP中の範囲Z4、Z5を含有する範囲Z6に配光制御される。
【0056】
さらにまた、図1に示すように、発光チップ4から放射された光のうち、可動リフレクタ13U、13Dの透孔17の端面に入射した光L6U、L6Dは、可動リフレクタ13U、13Dの表面処理部170で固定リフレクタ3の窓部8側に反射される。その反射光L7U、L7Dは、窓部8を通ってランプユニット3、5U、5D、6、7、13U、13D、14の後側に進み、固定リフレクタ3の反射面2U、2Dには入射しない。
【0057】
以上のようにして、図21に示すロービーム用配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0058】
つぎに、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dを第2位置(図3、図5、図7、図9に示す状態の位置)に位置させる。すなわち、駆動装置14のモータ15に通電してモータ15を駆動させると、モータ15の駆動力が駆動力伝達機構16を介して上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dに伝達されて、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dがスプリング力に抗して第1位置から第2位置に同期して回転し図示しないストッパの作用により第2位置に位置する。このときに、上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dの発光チップ4を点灯発光させる。すると、上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dの発光チップ4から光が放射される。
【0059】
この光の一部であって、固定リフレクタ3の上側反射面2Uおよび下側反射面2Dのロービーム用反射面(第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、第6セグメント26、第7セグメント27)に放射される光の一部は、図7に示すように、可動リフレクタ13U、13Dの第3ハイビーム用反射面(反射面12U、12D)で反射されて、その反射光L4が図22に示す第3ハイビーム用配光パターンHP3として車両の前方に照射される。また、固定リフレクタ3の上側反射面2Uおよび下側反射面2Dのロービーム用反射面(第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、第6セグメント26、第7セグメント27)に放射される光であって、可動リフレクタ13U、13Dの第3ハイビーム用反射面(反射面12U、12D)に入射しなかった残りの光は、図7に示すように、固定リフレクタ3のロービーム用反射面(第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、第6セグメント26、第7セグメント27)で反射されて、その反射光L3が図22に示す減光ロービーム用配光パターンLP1として車両の前方に照射される。さらに、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dが第1位置に位置していたときにその上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dにより遮蔽されていた固定リフレクタ3の第1ハイビーム用反射面(第1セグメント21および第8セグメント28)に放射される光L1は、図7に示すように、固定リフレクタ3の第1ハイビーム用反射面(第1セグメント21および第8セグメント28)で反射されて、その反射光L5が図22に示す第1ハイビーム用配光パターンHP1として車両の前方に照射される。さらにまた、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dが第1位置に位置していたときにその上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dにより遮蔽されていた固定リフレクタ3の第2ハイビーム用反射面(第9セグメント29および第10セグメント20)からの反射光L2は、図7に示すように、第2位置に位置する上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dの透孔17を通って、図22に示す第2ハイビーム用配光パターンHP2として車両の前方に照射される。なお、図7においては、固定リフレクタ3の下側反射面2Dおよび下側可動リフレクタ13Dの下側反射面12Dにおける光路の図示を省略してある。
【0060】
以上のようにして、図22に示すハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3、LP1が車両の前方に照射される。
【0061】
(効果の説明)
この実施例1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0062】
この実施例1における車両用前照灯1は、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dが第1位置に位置するときに、上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dの発光チップ4を点灯発光させると、発光チップ4から放射される光が固定リフレクタ3のロービーム用反射面(第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、第6セグメント26、第7セグメント27)で反射されて、その反射光L3がロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。また、上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dが第2位置に位置するときに、上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dの発光チップ4を点灯発光させると、発光チップ4から放射される光が上側可動リフレクタ13U、下側可動リフレクタ13Dの第3ハイビーム用反射面2U、2Dおよび固定リフレクタ3の第1ハイビーム用反射面(第1セグメント21、第8セグメント28)および第2ハイビーム用反射面(第9セグメント29、第10セグメント20)およびロービーム用反射面(第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、第6セグメント26、第7セグメント27、)でそれぞれ反射されて、その反射光L2、L3、L4、L5がハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3、LP1として、それぞれ車両の前方に照射される。
【0063】
その上、この実施例1における車両用前照灯1は、固定リフレクタ3と上側可動リフレクタ13Uおよび下側可動リフレクタ13Dと上側半導体型光源5Uおよび下側半導体型光源5Dと駆動装置14とからなるので、従来の車両用前照灯と比較して、ハイビーム用配光パターン用の第2光源ユニットを必要とせず、部品点数が少なくて済み、その分、小型化、軽量化、省電力化、コスト軽減化を図ることができる。
【0064】
特に、この実施例1における車両用前照灯1は、可動リフレクタ13U、13Dの透孔17の端面に設けられている表面処理部170により、可動リフレクタ13U、13Dが第1位置に位置するときに、発光チップ4から放射される光の一部L6U、L6Dが可動リフレクタ13U、13Dの発光チップ4と対向する端面(透孔17の端面)に入射したとしても、その光L6U、L6Dを固定リフレクタ3の反射面2U、2D以外この例では固定リフレクタ3の窓部8に反射させることができる。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、可動リフレクタ13U、13Dが第1位置に位置するとき、すなわち、ロービーム用配光パターンLPが車両の前方に照射されているときに、可動リフレクタ13U、13Dの透孔17の端面で反射した光L7U、L7Dが固定リフレクタ3の反射面2U、2Dにおいて入射してロービーム用配光パターンLP以外の制御されていない反射光として車両の前方に照射されることがないので、ロービーム用配光パターンLPを確実に得ることができる。
【0065】
ここで、可動リフレクタ13U、13Dの透孔17の端面に表面処理部170が設けられていない車両用前照灯の場合の光路について図23を参照して説明する。発光チップ4から放射される光の一部L6U、L6Dが第1位置に位置する可動リフレクタ13U、13Dの発光チップ4と対向する端面(透孔17の端面)に入射すると、その光L6U、L6Dが可動リフレクタ13U、13Dの透孔17の端面で反射する。この反射光L8U、L8Dが固定リフレクタ3の反射面2U、2Dに入射して、固定リフレクタ3の反射面2U、2Dで反射する場合がある。固定リフレクタ3の反射面2U、2Dで反射した反射光L9U、L9Dは、迷光ゾーンPU、路面配光ムラゾーンPD(図21中の点線で囲まれているゾーン)として車両の前方に照射される場合がある。すなわち、固定リフレクタ3の上側反射面2Uからの反射光L9Uにより、路面の手前側に配光ムラのゾーンPDが形成される。一方、固定リフレクタ3の下側反射面2Dで反射した反射光L9Dにより、上方に迷光ゾーンPUが形成される。これら迷光ゾーンPU、路面配光ムラゾーンPDは、配光制御されていないので、車両の前方に照射されることは好ましくない。
【0066】
これに対して、この実施例1における車両用前照灯1は、可動リフレクタ13U、13Dの透孔17の端面に表面処理部170を設けたものであるから、前記のように、発光チップ4から放射される光の一部L6U、L6Dが第1位置に位置する可動リフレクタ13U、13Dの発光チップ4と対向する端面(透孔17の端面)に入射したとしても、表面処理部170により、迷光ゾーンPU、路面配光ムラゾーンPDの形成を確実に防ぐことができ、ロービーム用配光パターンLPを確実に得ることができる。
【0067】
また、この実施例1における車両用前照灯1は、可動リフレクタ13U、13Dが第1位置に位置するときに、発光チップ4から放射される光であって可動リフレクタ13U、13Dの端面の表面処理部170に入射した光L6U、L6Dが発光チップ4側、この例では、固定リフレクタ3の窓部8に反射させることができる。この結果、この実施例1における車両用前照灯1は、ロービーム用配光パターンLPが車両の前方に照射されているときに、可動リフレクタ13U、13Dの端面で反射した光L7U、L7Dが発光チップ4側この例では固定リフレクタ3の窓部8に反射されるので、ロービーム用配光パターンLPをさらに確実に得ることができる。なお、図1に示すように、窓部8の上下幅Wは、第1位置に位置する可動リフレクタ13U、13Dの端面の表面処理部170の上下幅よりも若干大きいので、表面処理部170に入射した光を、確実に、発光チップ4側この例では固定リフレクタ3の窓部8に反射させることができる。
【実施例2】
【0068】
図24は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示す。以下、この実施例2における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図23と同符号は、同一のものを示す。
【0069】
前記の実施例1における車両用灯具1は、可動リフレクタ13U、13Dが第2位置に位置するときにはハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3、LP1が得られるものである。これに対して、この実施例2における車両用前照灯は、可動リフレクタ13U、13Dが少なくとも第2位置、すなわち、可動リフレクタ13U、13Dが第2位置に位置するときには前記のようにハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3、LP1が得られ、かつ、可動リフレクタ13U、13Dが第3位置に位置するときには図24に示すようにデイタイムランニングライト用配光パターンdP1、DP2、DP3、DP4、DP5が得られるものである。
【0070】
なお、前記の実施例1、2においては、ロービーム用配光パターンLPについて説明するものである。ところが、この発明おいては、ロービーム用配光パターンLP以外の配光パターン、たとえば、高速道路用配光パターン、フォグランプ用配光パターンなど、エルボー点を境に、走行車線側に斜めカットオフラインを有し、かつ、対向車線側に水平カットフラインを有する配光パターンであっても良い。
【0071】
また、前記の実施例1、2においては、左側走行車線用の車両用前照灯1について説明する。ところが、この発明においては、右側走行車線用の車両用前照灯についても適用することができる。
【0072】
さらに、前記の実施例1、2においては、上側反射面2U、12Uおよび上側半導体型光源5Uからなる上側のユニットと、下側反射面2D、12Dおよび下側半導体型光源5Dからなる下側のユニットとが点対称の状態に配置されている車両用前照灯1について説明する。ところが、この発明においては、上側反射面2U、12Uおよび上側半導体型光源5Uからなる上側のユニットのみから構成されている車両用前照灯、または、下側反射面2D、12Dおよび下側半導体型光源5Dからなる下側のユニットのみから構成されている車両用前照灯であっても良い。
【符号の説明】
【0073】
1 車両用前照灯
2U 上側反射面
2D 下側反射面
3 固定リフレクタ
4 発光チップ
5U 上側半導体型光源
5D 下側半導体型光源
6 ホルダ
7 ヒートシンク部材
8 窓部
9 無効面
10 基板
11 封止部材
12U 上側反射面(第3ハイビーム用反射面)
12D 下側反射面(第3ハイビーム用反射面)
13U 上側可動リフレクタ
13D 下側可動リフレクタ
14 駆動装置
15 モータ
16 駆動力伝達機構
17 透孔
18 庇部
21 第1セグメント(第1ハイビーム用反射面)
22 第2セグメント(ロービーム用反射面、第3反射面)
23 第3セグメント(ロービーム用反射面、第3反射面)
24 第4セグメント(ロービーム用反射面、第1反射面)
25 第5セグメント(ロービーム用反射面、第2反射面)
26 第6セグメント(ロービーム用反射面、第3反射面)
27 第7セグメント(ロービーム用反射面、第3反射面)
28 第8セグメント(第1ハイビーム用反射面)
29 第9セグメント(第2ハイビーム用反射面)
20 第10セグメント(第2ハイビーム用反射面)
170 表面処理部
E エルボー点
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットフライン
LP ロービーム用配光パターン
LP1 減光ロービーム用配光パターン
HP1 第1ハイビーム用配光パターン
HP2 第2ハイビーム用配光パターン
HP3 第3ハイビーム用配光パターン
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
PU 迷光ゾーン
PD 路面配光ムラゾーン
DP1 第1デイタイムランニングライト用配光パターン
DP2 第2デイタイムランニングライト用配光パターン
DP3 第3デイタイムランニングライト用配光パターン
DP4 第4デイタイムランニングライト用配光パターン
DP5 第5デイタイムランニングライト用配光パターン
O 点対象となる中心点
O1 発光チップの中心
F 固定リフレクタの反射面の基準焦点
F1 可動リフレクタの反射面の基準焦点
X 水平軸
Y 鉛直軸
Z 固定リフレクタの反射面の基準光軸
Z7 可動リフレクタの反射面の基準光軸
P1 第4セグメントと第5セグメントとの境界
P2 第3セグメントと第4セグメントとの境界
P3 第5セグメントと第6セグメントとの境界
P4 第2セグメントと第3セグメントとの境界
P5 第6セグメントと第7セグメントとの境界
I1 境界P1における発光チップの反射像
I2 境界P2における発光チップの反射像
I3 境界P3における発光チップの反射像
I4 境界P4における発光チップの反射像
I5 境界P5における発光チップの反射像
Z1 発光チップの中心から経度角が±40°以内の範囲
Z2 発光チップのエネルギー分布の範囲
Z3 高エネルギーの範囲
Z4 第1反射面による配光範囲
Z5 第2反射面による配光範囲
Z6 第3反射面による配光範囲
L1 第1ハイビーム用反射面に放射される光
L2 第2ハイビーム用反射面で反射された反射光
L3 ロービーム用反射面で反射された反射光
L4 第3ハイビーム用反射面で反射された反射光
L5 第1ハイビーム用反射面で反射された反射光
W 窓部の上下幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを切り替えて車両の前方に照射する車両用前照灯において、
パラボラ系の自由曲面からなる反射面を有する固定リフレクタと、
パラボラ系の自由曲面からなる反射面を有する可動リフレクタと、
発光チップを有する半導体型光源と、
前記可動リフレクタが前記発光チップの中心もしくはその近傍を通る水平軸回りに回転可能に取り付けられているホルダと、
前記可動リフレクタを前記水平軸回りに第1位置と少なくとも第2位置との間を回転させる駆動装置と、
を備え、
前記固定リフレクタの前記反射面の基準焦点と前記可動リフレクタの前記反射面の基準焦点とは、一致もしくはほぼ一致し、かつ、前記発光チップの中心もしくはその近傍に位置し、
前記固定リフレクタの前記反射面の基準光軸と前記可動リフレクタの前記反射面の基準光軸とは、一致もしくはほぼ一致し、また、前記水平軸と直交し、さらに、前記発光チップの中心もしくはその近傍を通り、
前記固定リフレクタの前記反射面の面積は、前記可動リフレクタの前記反射面の面積よりも大きく、
前記固定リフレクタの前記反射面の基準焦点距離は、前記可動リフレクタの前記反射面の基準焦点距離よりも大きく、
前記固定リフレクタの前記反射面は、前記ロービーム用配光パターンを形成するロービーム用反射面と、少なくとも前記ハイビーム用配光パターンを形成するハイビーム用反射面と、から構成されていて、
前記可動リフレクタの前記反射面は、少なくとも前記ハイビーム用配光パターンを形成するハイビーム用反射面から構成されていて、
前記可動リフレクタが前記第1位置に位置するときには、前記発光チップから前記固定リフレクタの少なくとも前記ハイビーム用反射面に放射される光、あるいは、前記固定リフレクタの少なくとも前記ハイビーム用反射面で反射される反射光が前記可動リフレクタにより遮蔽され、かつ、前記固定リフレクタの前記ロービーム用反射面で反射される反射光が前記ロービーム用配光パターンとして車両の前方に照射され、
前記可動リフレクタが少なくとも前記第2位置に位置するときには、前記可動リフレクタの少なくとも前記ハイビーム用反射面で反射される反射光、および、前記固定リフレクタの少なくとも前記ハイビーム用反射面で反射される反射光、および、前記固定リフレクタの前記ロービーム用反射面で反射される反射光が少なくとも前記ハイビーム用配光パターンとして、それぞれ車両の前方に照射され、
前記可動リフレクタの前記反射面以外の端面のうち、少なくとも、前記可動リフレクタが前記第1位置に位置するときに、前記発光チップと対向する端面には、前記発光チップから放射される光を前記固定リフレクタの前記反射面以外に反射させる表面処理部が、設けられている、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記表面処理部は、前記発光チップから放射される光を前記発光チップ側に反射させる表面処理部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記固定リフレクタには、前記ホルダが位置する窓部が設けられていて、
前記表面処理部は、前記発光チップから放射される光を前記窓部に反射させる表面処理部である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−222367(P2011−222367A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91815(P2010−91815)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】