説明

車両用収納ボックス

【課題】ボックス本体の開口部が開放される蓋体の開放位置において、蓋体を開口部に対する閉塞位置を保持するロック片或いは該ロック片が係合するロック片係合部が突起物とならないように構成する。
【構成】蓋体本体41をスライド可能に支承する支持台42の一端側にヒンジ片51を設け、ヒンジ片51側にロック片係合部6を形成するとともに、ロック片係合部6に係合するロック片7を蓋体本体41側に設け、支持台42に対して蓋体本体41をスライド操作することによりロック片係合部6とロック片7との係合を解除して、蓋体本体41を支持台42と共にヒンジ片51によってボックス本体2に対して回動し、且つ、ロック片係合部6を含むヒンジ片51及びロック片7を支持台42に形成したカバー片部42aによってカバーして、外見できないように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両の車室内において小物等の被収容物を収納するために配設される、コンソールボックスなどの車両用収納ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の車両用収納ボックスは、一般に、被収容物を収容するためのボックス本体と、ボックス本体内に被収容物を投入する開口部と、開口部を開閉するようにボックス本体に取付けられた蓋体とを備えて構成している。そして、蓋体の開閉手段は、蓋体をその一端部に取着されたヒンジ片を介してボックス本体に軸着して、ヒンジを中心として蓋体をボックス本体に対して回動させることにより、ボックス本体の開口部を開閉するように構成されている。
【0003】
かかる従来の車両用収納ボックスは、例えば、手動による蓋体の開閉に係る操作性を向上するために、蓋体の開閉手段として、開口部に対して蓋体を位置ずれ又は位置合わせさせるべくボックス本体に対して蓋体を滑動させるためのスライド機構と、開口部に対して蓋体を離間又は接近させるべくボックス本体に対して蓋体を回動させるためのターン機構とを備えている。そして、開放位置とする場合に蓋体は、スライド機構によって滑動した後でターン機構によって回動し、閉塞位置とする場合にターン機構によって回動した後でスライド機構によって滑動するものである。さらに、スライド機構が、蓋体を閉塞位置又は開放位置へ滑動させるべく蓋体に付勢力を付与するためのスライド補助具を有しており、ターン機構は、蓋体を開放位置へ回動させるべく蓋体に付勢力を付与するためのターン補助具を有して構成している。
【0004】
このように構成する従来の車両用収納ボックスは、スライド機構とターン機構とを備える開閉装置が設けられていることから、蓋体の回動時における回動半径を小さくすることができるようになる。また、スライド補助具から付与される付勢力により、蓋体は、電力を必要とすることなく、閉塞位置又は開放位置へ向かって滑動する。そして、ターン補助具から付与される付勢力により、蓋体は、電力を必要とすることなく、開放位置へ向かって回動することになる(特許文献1を参照)。
【0005】
さらに、かかる従来の車両用収納ボックスは、蓋体の下面で前端の左右両側部には、逆三角形状をなすロックアームがそれぞれ突設されており、これらロックアームの外面にはロックピンが突設されている。また、ボックス本体の収納部の内面で左右両側壁には、蓋体を閉塞位置にした場合にロックピンと対応する位置関係になるように、ロック孔が設けられている。従って、従来の車両用収納ボックスは、ロックピンをロック孔に挿入することによって、蓋体の閉塞位置からの移動が規制されるようにする規制手段を有して構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−151293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の車両用収納ボックスにおける規制手段は、ロックピンを突設したロックアームが蓋体の下面において突設されていて、蓋体の開放位置においても下方に突出したままの突起物になってしまうことになる。このことから、従来の車両用収納ボックスは、ボックス本体の収納部に被収納物を出し入れする際に、ロックアームが邪魔となって、被収納物の出し入れの邪魔となるばかりでなく、開放位置の蓋体に突起物が存することから、全体構成が折角意匠的に美観を有するように施されているにもかかわらず、見栄えを悪くしてしまうことになる。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来の技術における課題に鑑み、ボックス本体の開口部が開放される蓋体の開放位置において、蓋体を開口部に対する閉塞位置を保持するロック片或いは該ロック片が係合するロック片係合部が突起物とならないように構成した車両用収納ボックスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この本発明に係る車両用収納ボックスは、ボックス本体と、ボックス本体に設けられた開口部と、開口部を開閉するように前記ボックス本体にヒンジ機構を介して設けられた蓋体とを備えて構成する車両用収納ボックスであって、蓋体が、開口部を開閉する蓋体本体と、蓋体本体をスライド可能に支承する支持台とを有して構成し、支持台の一端側にヒンジ片を設けて、ヒンジ片を前記ボックス本体側に枢着することによって蓋体本体と共に支持台をボックス本体に対して回動可能に設置して開口部を開閉するヒンジ機構を構成し、かつ、ヒンジ片にロック片係合部を形成するとともにロック片係合部に係合することによって蓋体本体における開口部の閉塞状態を保持するロック片を蓋体本体側に設け、支持台に対して蓋体本体をスライド操作することによりロック片係合部に対するロック片の係合状態を解除させることにより、蓋体本体を支持台と共にヒンジ片によってボックス本体に対して回動できるように構成して、ロック片が、ヒンジ片に設けたロック片係合部と共に、支持台によりカバーされて外部に表出しないように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
かかる構成を有するこの発明は、蓋体本体をスライド可能に支承する支持台の一端側にヒンジ片を設け、ヒンジ片側に設けたロック片係合部を形成するとともに、ロック片係合部に係合するロック片を蓋体本体側に設け、支持台に対して蓋体本体をスライド操作することによりロック片係合部とロック片との係合を解除して、蓋体本体を支持台と共にヒンジ片によってボックス本体に対して回動できるように構成して、ロック片が、ヒンジ片に設けたロック片係合部と共に、支持台によりカバーされて外部に表出しないように構成したことから、全体構成における意匠的美観を損ねることがなく、見栄え向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施例を採用した車両用収納ボックスについて蓋体による開口部閉塞位置状態を車両の前方側省略して簡略的に描画した斜視図である。
【図2】同じく車両用収納ボックスについて蓋体による開口部開放位置状態を車両の前方側省略して簡略的に描画した斜視図である。
【図3】図1における車両収納ボックスにおける蓋体本体およびボックス本体を取り外した状態を描画した斜視図である。
【図4】図3の要部を拡大して描画した斜視図である。
【図5】図1のA−A線における要部断面図である。
【図6】図2のB−B線における要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る車両用収納ボックスは、ボックス本体の開口部が開放される蓋体の開放位置において、蓋体を収納ボックスに対して閉塞位置を保持すべく蓋体に設けられたロック片或いは該ロック片が係合すべくボックス本体側に設けたロック片係合部が突起物とならないように構成している。
【0013】
次に、本発明に係る車両用収納ボックスの実施例について、図を用いて説明する。
【0014】
先ず、図1及び図2において、本発明に係る車両用の収納ボックス1は、ボックス本体2とボックス本体2に設けられた開口部3と、開口部3を開閉するようにボックス本体2に設けられた蓋体4と、蓋体4をボックス本体2に対して開口部3を開口した開放位置と開口部を閉口する閉塞位置との間で移動させるためのヒンジ機構5とを、有して構成されている。
【0015】
蓋体4は、開口部3を開閉する蓋体本体41と、蓋体本体41をボックス本体2に対してスライド可能に支承する支持台42とで構成している。このために、支持台42には、図3に示すように、その側辺部において互いに離間対向する一対のスライド支持片43が装着されており、スライド支持片43間を蓋体4がスライド可能に構成されている。
【0016】
そして、支持台42の一端側である車両後端両側部側には、ヒンジ片51が設けられており、ヒンジ片51は、ヒンジ軸52を介して、ボックス本体2の車両後部側に起立設置したタワー片21に枢支されて、ボックス本体2に対して蓋体4を回動可能に枢着することによって開口部3を開閉するヒンジ機構5を構成している。
【0017】
ヒンジ軸52には、2つのコイル部分を具備したコイルスプリング53が卷回されており、コイルスプリング53の各オイル部分の間にある中間部分をヒンジ51に掛合することにより、蓋体本体41を支持台42と共に付勢して、蓋体4の開口部3の閉塞位置を保持するように構成している。
【0018】
ヒンジ片51には、図5に示すように、車両後部に面するように設けたリブ状片部51aを切欠くことによってロック片係合部6が形成されていると共に、ロック片係合部6に係合するロック片7が、蓋体本体41の車両後部側に設置されている。ロック片7は、蓋体本体に対して車両前後方向にスライド可能に構成され且つ蓋体本体41との間にリターンスプリング8を縮設することにより、常時はロック片係合部6との係合状態を保持するように構成している。そして、ロック片7は、蓋体本体41をスライド支持片43に対してスライド移動させることによって、リターンスプリング8の付勢力に抗して車両の後方側に移動して、ロック片係合部6との係合関係を解除させることができる。これによって、ヒンジ片51は、コイルスプリング53の付勢力によってヒンジ軸52を中心に回動して、蓋体本体41を支持台42と共に開口部3の開放位置に回転移動させることができるようになる。この場合、タワー片21の上端部に複数個のラチェット歯21aを刻設しすると共に、ラチェット歯21aに噛合するラチェット片部42bを支持台42の後端部に形成して、コイルスプリング53の付勢力に抗して、蓋体4の開閉角度を選択できるようになっている。
【0019】
また、支持台42は、車両後端側(ヒンジ片51が形成された側)にエプロン状のカバー片部42aが一体に形成されていて、カバー片部42aは、ロック片係合部6を含むヒンジ片51とロック片7をカバーして、外見できないようにしている。
【0020】
次に、図5及び図6を参照して、この発明に係る上記実施例の作動を説明する。すなわち、図5に示す蓋体4によってボックス本体2の開口部3が閉塞されている状態においては、ロック片7がロック片係合部6に係合されて、コイルスプリング53の付勢力に抗して、蓋体4は、開口部3の閉塞位置を保持している状態になっている。
【0021】
このような蓋体4の閉塞位置状態から、開口部を開放する場合には、先ず、蓋体本体41を支持台42に装着されたスライド支持片43に対して車両後方側にスライド移動させる。この結果、ロック片7は、ロック片係合部6との係合を解除することになって、コイルスプリング53の付勢力によって、ヒンジ片51を回動させて、蓋体本体41を支持台と共に車両後方に回転させて、図6に示すように蓋体4を開放位置に移動させる。
【0022】
かかる状態において、支持台42に形成したカバー片部42aは、ロック片係合部6を含むヒンジ片51と共にロック片7をカバーしていることから、ロック片係合部6及びロック片7は、外見し得ないことになる。
【0023】
従って、この発明に係る実施例においては、蓋体本体41をスライド可能に支承する支持台42の一端側にヒンジ片51を設け、ヒンジ片51側に設けたロック片係合部6を形成するとともに、ロック片係合部6に係合するロック片7を蓋体本体41側に設け、支持台42に対して蓋体本体41をスライド操作することにより、蓋体突起形状11によってロックアーム9が押され、ロックアーム9によりロックシャフト10が押されて、ロック片係合部6とロック片7との係合離脱を行うことにより、蓋体本体41を支持台42と共にヒンジ片51によってボックス本体2に対して回動できるように構成して、ロック片7が、ヒンジ片51に設けたロック片係合部6と共に、支持台42に設けたカバー片部42aによりカバーされて外部に表出しないようにでき、このことから、蓋体4から突起物が表出していないことから全体構成における意匠的美観を損ねることがなく、見栄え向上に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上説明したように、この発明は、蓋体を構成する蓋体本体をスライド可能に支承する支持台にヒンジ片を設け、蓋体を収納ボックスに対する閉塞位置を保持すべく、ヒンジ片にロック片係合部を形成すると共にロック片係合部に係合するヒンジ片を蓋体本体側に設けて、支持台によりロック片係合部と共にロック片をカバーして外部に表出しないように構成できることから、自動車等の車両の車室内において小物等の被収容物を収納するために配設される、コンソールボックスなどの車両用収納ボックス等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0025】
1 収納ボックス
2 ボックス本体
3 開口部
4 蓋体
41 蓋体本体
42 支持台
5 ヒンジ機構
51 ヒンジ片
52 ヒンジ軸
6 ロック片係合部
7 ロック片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス本体と、該ボックス本体に設けられた開口部と、該開口部を開閉するように前記ボックス本体にヒンジ機構を介して設けられた蓋体とを備えて構成する車両用収納ボックスであって、
前記蓋体は、前記開口部を開閉する蓋体本体と、該蓋体本体をスライド可能に支承する支持台とを有して構成し、前記支持台の一端側にヒンジ片を設けて、該ヒンジ片を前記ボックス本体側に枢着することによって前記蓋体本体と共に前記支持台を前記ボックス本体に対して回動可能に設置して前記開口部を開閉する前記ヒンジ機構を構成し、かつ、前記ヒンジ片にロック片係合部を形成するとともに該ロック片係合部に係合することによって前記蓋体本体における前記開口部の閉塞状態を保持するロック片を前記蓋体本体側に設け、前記支持台に対して前記蓋体本体をスライド操作することにより前記ロック片係合部に対する前記ロック片の係合状態を離脱させることにより、前記蓋体本体を前記支持台と共にヒンジ片によって前記ボックス本体に対して回動できるように構成して、前記ロック片が、前記ヒンジ片に設けたロック片係合部と共に、前記支持台によりカバーされて外部に表出しないように構成したことを特徴とする車両用収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−116324(P2012−116324A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267633(P2010−267633)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】