説明

車両用室内照明装置

【課題】車両室内天井のスペースを有効に利用しつつ、バランスのよい照明を行えることとする。
【解決手段】車両室内を直接照明する車両用室内照明装置であって、端面が光入射部となり、正面が光放射部となる導光板と、前記導光板の前記端面に対向する第1LEDランプと、前記導光板の上に配設される意匠レンズであって、前記導光板が放射する光を裏面から取り込み、線状の正面から前記車両室内に向けて放射する意匠レンズと、を有する線状発光ユニットを一対備えてなり、一方の線状発光ユニットは車両室内天井の右縁部に設置され、他方の線状発光ユニットは車両室内天井の左縁部に設置される、ことを特徴とする車両用室内照明装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の面状発光ユニットはオーバーヘッドコンソール内や、車両天井の中央部等に設置される。前者の一例が特許文献1に開示されている。この例では、オーバーヘッドコンソール内に直接照明ユニットと間接照明ユニットを有するルームランプが設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−138808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーバーヘッドコンソールは前部座席の斜め上方という、非常に操作しやすい位置にある。この利点を活かし、小物入れ、侵入センサー、ナビマイク、カメラ、ガレッジオープナー、各種スイッチなどの様々な機能が搭載されつつあり、更なる機能が搭載されることが要求されている。各種の機能が搭載されたオーバーヘッドコンソールにルームランプを組み付けると、オーバーヘッドコンソール内の他の部材へのルームランプによる熱影響を防止するために、ルームランプにヒートシンクを設けたり、ルームランプを他の部材から十分離間させたりするなどの放熱対策が必要となる。しかし、このような放熱対策はオーバーヘッドコンソールの大型化を引き起こす。一方、オーバーヘッドコンソール内にルームランプを組み付けると、オーバーヘッドコンソールに設けられた機能部品を操作する際、ルームランプの光が不快感を与え、また適切な操作の妨げとなる。
車両室内天井の中央にルームランプが設けられる車両の場合、ドア付近やグローブボックス付近等は照度が不足して見づらい。一方、車両室内天井の中央にサンルーフが設置される車両の場合、ルームランプを車両室内天井の中央には設置できない。
そこで、本発明は上記の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するため本発明は次の構成からなる。即ち、
車両室内を直接照明する車両用室内照明装置であって、
端面が光入射部となり、正面が光放射部となる導光板と、
前記導光板の前記端面に対向する第1LEDランプと、
前記導光板の上に配設される意匠レンズであって、前記導光板が放射する光を裏面から取り込み、線状の正面から前記車両室内に向けて放射する意匠レンズと、
を有する線状発光ユニットを一対備えてなり、
一方の線状発光ユニットは車両室内天井の右縁部に設置され、他方の線状発光ユニットは車両室内天井の左縁部に設置される、ことを特徴とする車両用室内照明装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車両用室内照明装置では、一対の線状発光ユニットが使用され、一方の線状発光ユニットが車両室内天井の右縁部に設置され、他方の線状発光ユニットが車両室内天井の左縁部に設置される。これにより、車両室内が左右両側からバランスよく、広範囲に照明される。また、オーバーヘッドコンソール内に発光ユニットが設置されないため、オーバーヘッドコンソールの構成の自由度が増す。これにより、小物入れ、侵入センサー、ナビマイク、カメラ、ガレッジオープナー、各種スイッチなどの様々な機能を設けることができる。また、新たな機能部品の追加という将来の要求にも対応できる。さらに、オーバーヘッドコンソールを小型にすることができるため、車両室内天井のスペースを有効に利用することができる。一方、オーバーヘッドコンソール内には発光ユニットが設置されないため、オーバーヘッドコンソールの操作が快適に行える。さらに、本発明の車両用室内照明装置では、車両室内天井の中央部ではなく左右縁部に線状発光ユニットが設けられるため、サンルーフを備える車両にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で使用する一対の線状発光ユニットは、その一方が車両室内天井の右縁に設置され、他方は車両室内天井の左縁に設置される。線状発光ユニットは、車両室内天井の中心線を基準として、左右対称の位置関係で設けることが好ましい。車両室内の照明バランスが良好となるからである。なお、左右の線状発光ユニットを個別に点灯制御してもよい。
【0008】
線状発光ユニットは光源として第1LEDランプを備える。LEDランプは小型であること、低消費電力であること、長寿命であることという利点を有する。特に表面実装型のLEDランプはより小型とすることができる。LEDランプを光源とすることにより光源の発熱量が小さくなり周りの部材への熱的影響が小さいといった利点もある。LEDランプの発光色は特に限定されないが、例えば、白色、青色、アンバー色とすることができる。線状発光ユニットは光源として第2LEDランプをさらに備えていても良い。第2LEDランプは、第1LEDランプと同一のLEDランプであってよいことはもちろん、異なる種類、又は異なる発光色のLEDランプであっても良い。
【0009】
線状発光ユニットは導光板を備える。導光板の形状は、車両室内天井の長手方向に延びる長尺の形状とすることができる。導光板は通常、平面視で略矩形である。導光板の長手方向の長さは車両室内天井の長手方向の長さの約0.5〜0.9倍、約0.5〜0.8倍、又は0.6〜0.75倍とすることができる。例えば、導光板の長手方向の長さは、500mm〜3000mm、500mm〜2000mm、又は800mm〜1000mmとすることができる。導光板の材質は、導光性を有する材質であれば特に限定されず、アクリル樹脂の他、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなどを採用することができる。導光板の端面は光入射部となる。当該端面には第1LEDランプが対向する。第1LEDランプが対向する端面と反対側の端面も光入射部として、当該反対側の端面に第2LEDランプを対向させることが好ましい。即ち、導光板の両端面を光入射部とすることが好ましい。放射光の均一化が図られるからである。導光板の車両室内側の面(正面)は、導光板内を導光する光を放射する光放射部となる。導光板の正面は通常、平滑であるが、シボ加工、ブラスト処理などの表面加工による光拡散処理を施してもよい。放射光の均一化を図られるからである。なお、導光板正面の一部を光放射部としてもよい。
導光板の車両室内と反対側の面(裏面)は導光板内を導光する光を反射する反射部となる。反射部は、導光板の裏面に光反射処理が施すことにより形成することができる。導光板の裏面に施す光反射処理は、例えば、シボ加工、ブラスト処理などの表面加工や、光反射性インクの塗布又は印刷、光反射性のシート又はフィルムの配設などによる反射層の形成など、公知の方法を採用することができる。両端から中央に向かうに従って、反射部の光反射作用が高まるように光反射処理を施すことが好ましい。通常、入射部から離れるほど到達する光量が減少するが、このように光反射処理を施すことにより、入射部となる両端から離れた領域での光反射作用が高まり、光放射部から放射する光量が全域に渡って均一化されるからである。反射部は導光板裏面の一部に形成してもよい。例えば、導光板裏面のうち、導光板の両端近傍の領域を除く領域に反射部を形成することができる。通常、両端の入射部近傍の領域は到達する光量が他の領域に比べて多いため、この光を積極的に利用すれば、光放射部の放射光の輝度の均一化が妨げられる。しかし、上記の如く反射部を形成することにより、両端近傍領域では入射光は正面側へ積極的には反射されないため、放射光の輝度の均一化が図られる。
なお、導光板は無色透明の他、有色透明であってもよい。また、導光板に光拡散剤を含有させて、導光板内で積極的に光を拡散させても良い。
【0010】
導光板の正面の上には意匠レンズが配設される。意匠レンズの導光板と反対側の面は車両室内に露出して意匠レンズの正面となる。意匠レンズの形状は、導光板と同様に、車両室内天井の長手方向に延びる長尺の形状とすることができる。意匠レンズは、導光板正面の光放射部から放射された光を裏面から取り込み、取り込んだ光を線状の正面から車両室内に向けて放射する。即ち、意匠レンズの正面が発光部となる。意匠レンズの正面の形状は線状である。ここでいう「線状」とは直線状又は曲線状に延びた形状であって、所望の幅を有していても良い。例えば、意匠レンズの正面の形状は車両室内天井の形状にあわせて緩やかに湾曲した形状としても良い。意匠レンズの正面の長手方向の長さは、導光板と同様に、車両室内天井の長手方向の長さの約0.5〜0.9倍、約0.5〜0.8倍、又は0.6〜0.75倍とすることができる。例えば、意匠レンズの正面の長手方向の長さは、500mm〜3000mm、500mm〜2000mm、又は800mm〜1000mmとすることができる。一対の線状発光ユニットの内、車両室内天井の右縁に設置される線状発光ユニットの意匠レンズの正面が、車両室内天井の右縁外周に沿い、車両室内天井の左縁に設置される線状発光ユニットの意匠レンズの正面が、車両室内天井の左縁外周に沿うことが好ましい。車両室内天井の左右両縁外周に沿って一対の線状発光ユニットを配置することにより、車両室内をバランスよく照明できるからである。意匠レンズの正面は、車両室内天井の表面と面一となっていることが好ましい。線状発光ユニットと車両室内天井の一体感が高まり、意匠性が向上するからである。意匠レンズの正面の上に色変換層を形成しても良い。これにより光源本来の色と異なる色の光を放射することができる。色変換層は、光源の光で励起する蛍光物質を含む層により形成することができる。なお、導光板と同様に、意匠レンズは無色透明の他、有色透明であってもよい。また、意匠レンズに光拡散剤を含有させて、意匠レンズ内で積極的に光を拡散させても良い。さらに、導光板の正面と意匠レンズとの間に拡散層を設けても良い。拡散層は公知の拡散シートを採用することができる。
意匠レンズの表面又は裏面に光拡散処理を施しても良い。光拡散処理としては例えば、シボ加工、ブラスト処理などの表面加工や印刷などを挙げることができる。
【0011】
意匠レンズにおいて、光源近傍を除く領域を車両室内に露出した領域(即ち、意匠レンズの正面)とすることが好ましい。光源近傍の領域は他の領域に比べて到達する光の量が過剰に多く、この光を線状発光に利用すると輝度バランスが乱れる。そのため、光源近傍の領域の光を利用しないことにより輝度バランスが良好に保たれるからである。
【0012】
各乗降口の上部にアシストグリップが設けられる車両では、本発明の車両用照明装置は次のように設けられる。即ち、意匠レンズの正面の前端が前部座席のアシストグリップよりも前方に位置し、意匠レンズの正面の後端が後部座席のアシストグリップよりも後方に位置するように車両用照明装置が設けられる。このような配置したことにより、線状発光ユニットの光は車両室内を照明するとともに、アシストグリップも照明でき、夜間等でのアシストグリップの視認性が向上する。
【0013】
本発明の一態様では導光板が可撓性を有している。可撓性を有する導光板は、軟質ポリプロピレン系樹脂、軟質アクリル系樹脂などの軟質系の透明樹脂材料により形成することができる。可撓性を有する導光板によれば、本発明の装置が取り付けられる車両室内の天井の形状に合わせて導光板を変形させることができるため、様々な車種に対して当該導光板を共用することができる。これにより、部材の共通化が図られてコスト面で有利となる。本発明で使用する導光板は長尺であるため、硬質の材料で形成すると割れ等が生じるおそれがあり、慎重に取り扱う必要があるが、可撓性を有する導光板では割れ等が生じにくく、取り扱いが容易となる。さらに、意匠レンズが可撓性を有していることが好ましい。導光板と同様に意匠レンズも部材の共通化が図られ、コスト面で更に有利となるからである。さらに、導光板、意匠レンズを固定するベゼルやケースなどをエラストマー系材料などの可撓性材料で形成することとしてもよい。導光板、意匠レンズと同様にベゼルやケースも部材の共通化が図られ、一層、部材の共通化が図られ、コスト面で更に有利となるからである。また、車両室内天井の形状や意匠に合わせて特別な設計をする必要がないため、設計工程を削減できる。さらに、導光板、意匠レンズ、ベゼル、ケース等を可撓性とすることにより、装置全体として可撓性を有することとなるため、車両室内天井の形状や意匠に合わせることが一層容易となるとともに装置全体を車両室内天井の形状に沿った形状とすることができるため、意匠性が向上する。
以下に本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例である車両用照明装置1を備える車両の室内天井60の斜視図である。室内天井には第1線状発光ユニット10a、第2線状発光ユニット10b、サンルーフ20、オーバーヘッドコンソール30、サンバイザ40、アシストグリップ50a、50b、51a、51bが設けられている。第1線状発光ユニット10aは運転席側のアシストグリップ50a、51aよりも車両室内天井60の中央側であって、かつ、車両室内天井60の運転席側の縁外周に沿うように運転席側の縁部に設けられる。第1線状発光ユニット10aの前端101aは運転席側のアシストグリップ50aよりも前方に位置し、第1線状発光ユニット10aの後端102aは運転席側のアシストグリップ51aよりも後方に位置している。一方、第2線状発光ユニット10bは助手席側のアシストグリップ50b、51bよりも車両室内天井の内側60の中央側であって、かつ、車両室内天井60の助手席側の縁部の縁外周に沿うように助手席側の縁部に設けられる。第1線状発光ユニット10aと同様に、第2線状発光ユニット10bの前端101bは運転席側のアシストグリップ50bよりも前方に位置し、第2線状発光ユニット10bの後端102bは運転席側のアシストグリップ51bよりも後方に位置している。第1線状発光ユニット10aと第2線状発光ユニット10bは、車両室内天井60の中心線61を基準として、左右対称の位置関係で設けられている。
【0015】
第1線状発光ユニット10aを抜き出してその正面図を図2に示し、図2のA−A線断面図を図3に示す。第1線状発光ユニット10aはLEDランプ11、ヒートシンク12、導光板13、意匠レンズ15、ベゼル16、及びケース17を備える。LEDランプ11は表面実装型の白色LEDランプである。LEDランプ11は導光板13の端面13aに対向するように3個設けられる。3個のLEDランプ11の背面にはヒートシンク12が設けられる。同様に反対側の端面13bにも3個のLEDランプ11とヒートシンク12が設けられる。導光板13は無色透明のアクリル製であって、その形状は車両室内天井60の長手方向に延びる線状である。導光板13の長手方向の長さLは約960mm、幅Wは約30mmである。図3に示すように、導光板13の正面(車両室内の面)上には意匠レンズ15が設けられる。第1線状発光ユニット10aの厚さDは約15mmである。意匠レンズ15はアクリル製である。意匠レンズ15は導光板13と反対側の面に、車両室内に露出する意匠レンズ15の正面15aを備える。発光面15aの形状は車両室内天井60の長手方向に延びる線状であって導光板13の大きさよりも一回り小さい形状であり、正面15aの長手方向の長さLは約920mm、幅Wは約25mmである。導光板13及び意匠レンズ15の下方にはベゼル16が設けられる。ベゼル16は正面15aの下縁部に沿って車両室内に露出している。
【0016】
導光板13の裏面(車両室内と反対側の面)には白色インクによるドット印刷がされている。このドット密度はLEDランプ11から離れるに従って高くなっている。即ち両端から中央に向かってドット密度が高くなるようにドット印刷されている。導光板13の裏面側にはケース17が設けられる。ベゼル16はネジ18によりケース17に固定される。これにより、意匠レンズ15と導光板13がこの順でケース17とベゼル16によって挟持されることとなる。ケース17は上縁部に突起17aを備え、下縁部に係合爪17bを備える。車両室内天井60(図3で破線で示す)の室内と反対側には係止部61と係合部62が取り付けられている。係止部61には孔が形成されており、この孔にケース17の突起部17aが嵌入する。一方、係合部62にも孔が形成されており、この孔にケース17の係合爪17bが係合する。第1線状発光ユニット10aを装着する際には、一旦、突起部17aを係止部61に嵌入して係止させた後、係合部62に係合爪17bが係合するように、係止部61を支点として第1線状発光ユニット10a全体を回動させて嵌め込む。第2線状発光ユニット10bも第1線状発光ユニット10aと同一の構成である。
なお、オーバーヘッドコンソール30には、小物入れ、侵入センサー、ナビマイク、カメラ、ヘルプネット、ガレッジオープナー(図示せず)の他に、第1線状発光ユニット10a及び第2線状発光ユニット10bの点灯状態を制御するスイッチ31a、31bが設けられている。
【0017】
次に車両用室内照明装置1の照明態様について説明する。スイッチ31a、31bをオンにすることにより、または車両ドアの開放に連動して、LEDランプ11が点灯する。LEDランプ11の光は導光板13に入射して導光板13内を導光する。導光板13内を導光する光は、導光板13裏面による反射作用を受けて、あるいは直接正面側に進行して導光板13正面(光放射部)から放射される。放射光は意匠レンズ15の裏面から意匠レンズ15に入射して正面15aから車両室内に放射される。このようにして第1線状発光ユニット10a及び第2線状発光ユニット10bにより車両室内が直接照明される。ここで、第1線状発光ユニット10a及び第2線状発光ユニット10bは車両室内天井60の左右にそれぞれ設けられているため、車両室内天井60の中央に設けられるサンルーフ20との間で設置位置の問題が生じない。さらに、オーバーヘッドコンソール30に備えられる小物入れ、侵入センサー、ナビマイク、カメラ、ヘルプネット、ガレッジオープナーを操作する際に、操作者がオーバーヘッドコンソール30に視線を向けてもその視線上に第1線状発光ユニット10a及び第2線状発光ユニット10bが位置しない。これにより、操作者が操作時に第1線状発光ユニット10a及び第2線状発光ユニット10bの光によって眩しさを感じることが低減される。また、第1線状発光ユニット10aの前端101aは運転席側のアシストグリップ50aよりも前方に位置し、第1線状発光ユニット10aの後端102aは助手席側のアシストグリップ51aよりも後方に位置している。これにより、第1線状発光ユニット10aは車両室内とともにアシストグリップ50a、51aを照明するため、暗所等でのアシストグリップ50a、51aの視認性が向上する。同様に第2線状発光ユニット10bによって、アシストグリップ50b、51bの視認性が向上する。さらに、第1線状発光ユニット10a及び第2線状発光ユニット10bはこのように長尺であるため、車両室内の広い範囲が照明され、夜間等の暗所における車両室内の視認性が向上する。加えて、第1線状発光ユニット10aと第2線状発光ユニット10bは車両室内天井60の左右両側部に沿って左右対称に設けられるため、車両室内がバランスよく照明されることも夜間等の暗所における車両室内の視認性の向上に寄与している。このように線状発光ユニットがオーバーヘッドコンソール30内に設けられないため、オーバーヘッドコンソール30内に設けた場合に比べて、オーバーヘッドコンソール30を小型に構成することができる。これにより、車両室内天井60のスペースを有効活用することができる。また、オーバーヘッドコンソール30の設計自由度も向上する。
【0018】
一方、導光板13の裏面には両端から中央に向かってその密度が高くなるようにドット印刷されている。これにより両端から中央に向かって拡散反射効果が高まる。通常、導光板13の両端から中央に向かうほど、両端面13aからの入射光の光量は減少するが、上述の如き導光板13の裏面のドット印刷により、正面15aから放射する光量は全域に渡って均一化される。ところで、導光板13の端面13a近傍領域はLEDランプ11に近いため、そこに到達する光量が他の領域に比べて多い。そのため、この光を積極的に利用することとすれば、正面15aの放射光の輝度の均一化が妨げられる。しかし、正面15aは、導光板13の端面13aよりも約20mm内側に形成されているため、導光板13の端面13a近傍領域の光は正面15aの発光に積極的には利用されない。その結果、正面15aの放射光の輝度の均一化がさらに図られる。これにより、車両室内が良好に照明されることとなる。図3に示すように、正面15aは車両室内天井60と面一となるように連なっている。これにより、第1線状発光ユニット10a、第2線状発光ユニット10bと車両室内天井60の一体感が増して、意匠性の高い車両用室内照明装置となる。
【0019】
なお、第1線状発光ユニット10a及び第2線状発光ユニット10bの近傍にマップランプを併設しても良い。例えば、第1線状発光ユニット10aの前端101aの前方と、第2線状発光ユニット10bの前端101bの前方に、それぞれマップランプを設けることができる。このようにすれば、車両用室内照明装置1とマップランプとの一体感が得られ、意匠性がさらに向上する。
【実施例2】
【0020】
本発明の実施例である車両用照明装置400を備える車両室内天井460の斜視図を図4に示し、図4におけるB−B線断面拡大図を図5に示す。車両用照明装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。室内天井には第1線状発光ユニット410a、第2線状発光ユニット410b、サンルーフ20、オーバーヘッドコンソール30、サンバイザ40、アシストグリップ50a、50b、51a、51bが設けられている。第1線状発光ユニット410aは運転席側のアシストグリップ50a、51aよりも車両室内天井460の中央側であって、かつ、車両室内天井460の運転席側の縁外周に沿うように運転席側の縁部に設けられる。第1線状発光ユニット410aの前端401aは運転席側のアシストグリップ50aよりも前方に位置し、第1線状発光ユニット410aの後端402aは運転席側のアシストグリップ51aよりも後方に位置している。一方、第2線状発光ユニット410bは助手席側のアシストグリップ50b、51bよりも車両室内天井の内側460の中央側であって、かつ、車両室内天井460の助手席側の縁部の縁外周に沿うように助手席側の縁部に設けられる。第1線状発光ユニット410aと同様に、第2線状発光ユニット410bの前端401bは運転席側のアシストグリップ50bよりも前方に位置し、第2線状発光ユニット410bの後端402bは運転席側のアシストグリップ51bよりも後方に位置している。第1線状発光ユニット410aと第2線状発光ユニット410bは、車両室内天井460の中心線461を基準として、左右対称の位置関係で設けられている。ここで車両室内天井460の縁外周は湾曲しており、これに沿って配置される第1線状発光ユニット410aおよび第2線状発光ユニット410bはともに湾曲した状態で設置されている。
図5に示すように、第1線状発光ユニット410aはLEDランプ11、ヒートシンク12、導光板413、意匠レンズ415、ベゼル416、及びケース417を備える。LEDランプ11は導光板13の端面13aに対向するように設けられる。同様に反対側の端面13bにも3個のLEDランプ11とヒートシンク12が設けられる(図示せず)。導光板413は無色透明の軟質ポリプロピレン系樹脂製であって可撓性を有する。導光板413の形状は車両室内天井460の長手方向に延びる略線状であって、その長手方向の長さは約960mm、幅は約30mmである。導光板413の正面(車両室内の面)上には意匠レンズ415が設けられる。意匠レンズ415は軟質アクリル系樹脂製で可撓性を有する。導光板413及び意匠レンズ415の下方にはベゼル416が設けられる。ベゼル416はエラストマー製で可撓性を有する。ベゼル416は意匠レンズ415の縁部に沿って車両室内に露出している。
【0021】
図6に第1線状発光ユニット410aの取り付け方法を説明する模式図を示す。車両室内天井460には縁部に沿って取り付け孔部62が設けられている。取り付け孔部62は第1線状発光ユニット410aの背面部417の外形と同一の形状を有している。ベゼル416の車両天井側には複数の爪部416aが設けられている。一方、取り付け孔部62の壁面には爪416aに対応する位置に切り欠き62aが設けられている。ここで、導光板413、意匠レンズ415、ベゼル416はいずれも可撓性を有しているため、第1線状発光ユニット410aは全体として可撓性を有している。かかる第1線状発光ユニット410aを撓ませることで、取り付け孔部62に車両室内側から嵌め込まれ、爪416aが取り付け孔部62の切り欠き62aに係合して固定される。図4に示すように、車両室内天井460の縁部は湾曲しており、これに沿って取り付け孔部62も湾曲している。第1線状発光ユニット410aは全体として可撓性を有しているため、湾曲した取り付け孔部62に沿って湾曲した状態で設けられる。このように第1線状発光ユニット410aは可撓性を有するため、取り付け孔部62の形状に限らず湾曲されることができる。そのため、車両室内天井の形状が異なる他の車両にも使用することができる。従って、部材の共通化が図られ、コスト面で更に有利となる。また、車両室内天井の形状や意匠に合わせて特別な設計をする必要がないため、設計工程を削減できる。第1線状発光ユニット410a全体を車両室内天井の形状に沿った形状とすることができるため、意匠性が向上する。第2線状発光ユニット410bは第1線状発光ユニット410aと左右対称に同様に設けられて、同一の効果を奏する。このような車両用照明装置400によっても車両用照明装置1と同等の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は様々な車両(乗用車、バスなど)に適用可能である。
【0023】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の実施例である車両用照明装置1を備える車両室内天井の斜視図である。
【図2】図2は第1線状発光ユニット10aの上面図である。
【図3】図3は図2のAーA線位置における縦断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例である車両用照明装置400を備える車両室内天井460の斜視図である。
【図5】図5は図4におけるB−B線断面拡大図である。
【図6】図6は第1線状発光ユニット410aの取り付け方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0025】
1、400 車両用照明装置
10a、410a 第1線状発光ユニット
10b、410b 第2線状発光ユニット
11 LEDランプ
12 ヒートシンク
13 導光板
15、415 意匠レンズ
16、416 ベゼル
17、416 ケース
18 ネジ
20 サンルーフ
30 オーバーヘッドコンソール
40 サンバイザ
50a、50b、51a、51b アシストグリップ
60、460 車両室内天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内を直接照明する車両用室内照明装置であって、
端面が光入射部となり、正面が光放射部となる導光板と、
前記導光板の前記端面に対向する第1LEDランプと、
前記導光板の上に配設される意匠レンズであって、前記導光板が放射する光を裏面から取り込み、線状の正面から前記車両室内に向けて放射する意匠レンズと、
を有する線状発光ユニットを一対備えてなり、
一方の線状発光ユニットは車両室内天井の右縁部に設置され、他方の線状発光ユニットは車両室内天井の左縁部に設置される、ことを特徴とする車両用室内照明装置。
【請求項2】
前記導光板は、前記第1LEDランプが対向する前記端面と反対側の端面も光入射部となり、該反対側の端面に対向する第2LEDランプがさらに設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記一方の線状発光ユニットは、その意匠レンズの正面が車両室内天井の右縁外周に沿うように配置され、
前記他方の線状発光ユニットは、その意匠レンズの正面が車両室内天井の左縁外周に沿うように配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用室内照明装置。
【請求項4】
前記意匠レンズの正面の長手方向の長さは、前記車両室内天井の長手方向の長さの約0.5倍〜0.9倍である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用室内照明装置。
【請求項5】
前記一対の線状発光ユニットは前記車両室内天井の中心線を対称軸として、左右対称の位置関係で配置される、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用室内照明装置。
【請求項6】
前記線状発光ユニットの前記意匠レンズの正面はアシストグリップよりも車両室内天井の中央側に位置する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用室内照明装置。
【請求項7】
前記意匠レンズの正面の前端が前部座席のアシストグリップよりも前方に位置し、
前記意匠レンズの正面の後端が後部座席のアシストグリップよりも後方に位置する、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用室内照明装置。
【請求項8】
前記意匠レンズの正面は前記車両室内天井と面一となる、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用室内照明装置。
【請求項9】
前記導光板の正面と前記意匠レンズの間に拡散層が設けられる、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用室内照明装置。
【請求項10】
前記導光板が可撓性を有する、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両用室内照明装置。
【請求項11】
前記意匠レンズが可撓性を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の車両用室内照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−78794(P2009−78794A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100961(P2008−100961)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】