説明

車両用操作システム

【課題】画面上の選択領域に対し複合操作部により選択操作をする際に、操作方式を瞬時に判断できる画面表示を、デザイン性を悪くすること無く実現した車両用操作システムを提供する。
【解決手段】画面上に操作画面300を表示する場合に、該操作画面300に対応する複合操作部の操作方式を正しく連想させるために、制御部は、対応する操作方式における複合操作部の操作動線形状を視認できるように、該操作動線形状に沿って動く補助画像320を表示するとともに、当該補助画像320を表示する際には、操作画面300の少なくとも選択領域310内において、所定周期が経過する中で補助画像320が重なり続ける重畳継続領域がないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面上に選択的に操作入力可能となる複数の選択領域を表示し、それら選択領域を択一的に選択する操作を実施するための車両用操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車等の車両における操作部には、複雑多様化した車載機器の各種機能を効率的に使用できるように、例えば、回転操作、傾倒操作、二次元スライド操作、プッシュ操作等の複数種の操作方式を1つのデバイス上で実現した複合操作部が採用されることがある。これらは、例えば画面上に描画された複数の選択領域(コマンドスイッチ)を選択する選択操作に適用される(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2009−176432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような複合操作部を採用するに際して、次のような課題がある。即ち、画面上の複数の選択領域上にそれぞれ操作画像を表示した状態で、それらの中から1つの操作画像(選択領域)を選択する操作を上記のような複合操作部にて行おうとする場合に、複数ある操作方式のどの操作方式によって選択操作をするのかが分かりにくいという問題である。
【0005】
例えば十字方向の操作と回転操作が可能な複合操作部がある場合に、図6のようなメニュー画面が表示されたとする。図6のメニュー画面上には、画面上に4つの操作画像(選択領域)が、画面中心に対し上下左右の十字方向に環状配置されている。このように表示されると、操作画像の十字状の配置から十字方向操作と認識することもできるし、操作画像の環状の配置から回転操作と認識することもでき、どちらの操作方式にて操作画像を選択すればよいかが画面上から分かりづらい。その結果、ユーザーはどちらか一方の操作を試みて思ったとおりに反応するか否かを試すしかなく、大変煩わしい。他方、操作方式をあからさまに文字表示などで明示することは、デザイン性を大きく損なう。
【0006】
本発明の課題は、画面上の選択領域に対し複合操作部により選択操作をする際に、操作方式を瞬時に判断できる画面表示を、デザイン性を悪くすることなく実現した車両用操作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用操作システムは、
表示手段と、該表示手段の画面上に複数の選択領域を有した操作画面を表示させる主表示制御手段と、表示された操作画面内の複数の選択領域を択一的に選択する選択操作を可能とする選択操作手段と、を備える車両用操作システムであって、
選択操作手段は、選択操作を可能とする複数種の操作方式による操作をそれぞれ実施可能に構成された複合操作手段であり、
画面上において操作画面を表示する場合には、該操作画面に対応する操作方式を連想させるために、該操作方式における選択操作手段の操作動線形状を反映した補助画像を動的に表示する補助画像表示制御手段を備え、該補助画像表示制御手段による当該動的表示は、操作画面の少なくとも選択領域内において、所定周期が経過する中で補助画像が重なり続ける重畳継続領域がないことを特徴とする。
【0008】
上記本発明の構成によると、複合操作装置を操作する場合に、どの操作方式が操作対象に定められているかを、操作画面上の補助画像によって容易に判断できる。また、補助画像は、操作対象に定められた操作方式における操作動線を動的に示しているため、瞬時に操作方向を理解して操作に移行することもできる。また、補助画像が動的に表示されることで、補助画像が画面内の、特に選択領域上の一部を常に占領し、その部分を常に隠し続けるようなことがなくなる。つまり、選択領域上に主として表示されている表示内容(操作に対応する制御内容等の画像)は、所定周期の中で必ず全て視認することができ、表示内容を見誤ることもない。また、補助画像の動きが、操作方式において操作可能となる操作動線の形状に沿った動きとされていれば、操作方式をより一層認識させ易くなる。
【0009】
本発明の補助画像表示制御手段は、補助画像として操作画面の選択領域とは表示内容が異なる別画像を、操作画面を表示する主画像に対し重畳する形で表示するものとできる。これにより、比較的大き目の補助画像を表示することが可能となり、操作方式を容易に把握させることが可能となる。
【0010】
本発明の補助画像表示制御手段は、補助画像として、複数の補助図形が配列されてなる補助図形群を表示するものであり、それら補助図形の該配列方向により操作方式における選択操作手段の操作動線形状を示すものとできる、さらには、表示されている操作画面に対応する操作方式における選択操作手段の操作方向が示されるように補助画像を動的に表示するものとしてもよい。例えば、補助図形群の動きを、操作方式の操作動線方向あるいは操作方向への動きとすることができる。これにより、ユーザーは操作方式を瞬時に把握して操作に移行することが可能となる。
【0011】
本発明の補助画像表示制御手段は、補助画像を半透過状態にて表示させるものとできる。これにより、主として表示される表示内容が常に視認可能となるから、その表示内容を見誤ることがない。
【0012】
本発明において、複合操作手段は、操作方式として、第一の操作ノブを予め定められた回転軸線周りに回転させる回転操作方式と、第二の操作ノブを予め定められた平面方向に移動させる移動操作方式との少なくとも2種以上の操作方式が可能に構成することができる。地図の拡大縮小操作や、スクロール操作、ボリューム操作に適する回転操作方式と、スライド操作や傾倒操作といった位置指示に適する移動操作方式との双方を備えることで、複合操作手段の使用用途を大幅に拡大することができる。そして、補助画像の表示により、それらの操作方式の使い分けを確実に行うことができ、誤操作を招くことがなくなる。
【0013】
この場合、回転操作方式に対応する操作画面と、移動操作方式に対応する操作画面とのいずれか又は双方において表示される複数の選択領域は、対応する操作画面上において、予め定められた画面基準点を中心とする周方向に所定間隔おきに配置されるように構成できる。画面上のある地点を中心に操作画像が環状配置された場合に、それら操作画像は、ジョグダイアルのような回転操作で操作するべきか、十字操作等の平面方向へのスライド操作で操作をするべきかを判断することが難しい。本発明によれば、補助画像の表示により、どの操作方式によって操作するべきかを迷うことなく瞬時に適切な操作方式を選択できる。
【0014】
さらに、本発明の複合操作手段は、移動操作方式に対応する第二の操作ノブが予め定められた操作基準位置から予め定められた複数の移動操作方向のみに移動操作可能となるようガイドされる構成とすることができる。例えばガイド部を設けて操作ノブの移動を物理的にガイドしたり、反力モータの制御により操作ノブの移動を所定方向に制限する等である。これにより、ユーザーによる所定の移動方向への移動操作が容易となる。また、この場合、当該移動操作方式に対応する操作画面上には、複合操作手段における上記操作基準位置と各移動操作方向との関係と、当該操作画面における画面基準点と該画面基準点に対する選択領域の配置方向との関係とが一致するように、各選択領域が画面基準点を中心に環状配置することができる。具体的にいえば、複合操作手段は、上記移動操作方式が適用される第二の操作ノブの移動操作方向が該第二の操作ノブの上記基準位置(例えば操作中立位置)を中心とする十字状をなす4方向のみに移動可能とされた十字操作方式とすることができ、この場合、当該十字操作方式に対応する操作画面上には、選択領域が上記画面基準点を中心とする十字状に配置される。このような構成によると、操作画面上の操作画像の配置位置から、十字操作方式として正しく推測される可能性もあるが、回転操作方式による操作として誤認識される可能性がある。このため、既に述べたような補助画像を表示することにより、それらの混同を効果的に防ぐことができる。
【0015】
本発明の複合操作手段は、上記第一の操作ノブと上記第二の操作ノブを共通の1つの操作ノブとして構成することができる。これにより、複合操作装置が1つの操作ノブによって複数の操作方式を実現するので、操作ノブの選択という選択肢が排除され、効率的な操作が可能となる。
【0016】
本発明の複合操作手段は、選択操作とは別の操作方式(例えば回転操作や移動操作とは異なるプッシュ操作)により、選択されている選択領域に対する決定入力操作が可能に構成されるものでもよい。この場合、補助画像は、複数の選択領域のそれぞれに対応して設けられており、選択操作により選択されている選択領域に対応する補助画像を残余の補助画像よりも相対的に強調表示する第一の補助画像強調表示手段を備えて構成できる。また、選択操作に基づいて選択領域が選択状態となったことを示すために、選択状態となった選択領域を残余の選択領域よりも相対的に強調表示する操作画像強調表示手段を備えて構成してもよい。これらの強調表示手段によると、複合操作手段において決定入力操作を行うときに、現時点での選択領域の選択状態を明確に把握できるので、誤操作を抑制できる。
【0017】
本発明においては、車両における予め定められたシーンの到来を判定するシーン判定手段と、前記シーンが到来した場合に、操作を推奨するべき選択領域を推奨領域として特定する推奨領域特定手段と、該推奨領域が特定された場合に、当該推奨領域への操作方向を示す補助画像を残余の補助画像よりも相対的に強調表示する第二の補助画像強調表示手段を備えて構成することができる。この構成によると、上記した補助表示を用いて、車両における各種のシーン(車両状態や周辺状況)において、操作が推奨される選択領域を強調することができる。第一及び第二の補助画像強調表示手段による補助画像の強調表示方法は、例えば、補助画像の大きさ、移動速度、色等に変化を加えることで容易に行うことができる。
【0018】
また、本発明の車両用操作システムは、複数の操作画面毎に画面表示用の画像情報を記憶する画像情報記憶部と、それら画像情報に対応付けた形で、対応する操作画面が表示された際に受け付け可能となる選択操作の操作方式を特定する操作方式特定情報を記憶する操作方式特定情報記憶部と、操作画面が新たな操作画面に切り替わる場合に、該新たな操作画面の画像情報を画像情報記憶部から読み出し、当該画像情報に基づく操作画面を表示する主表示制御手段と、操作画面が新たな操作画面に切り替わる場合に、該新たな操作画面の画像情報に対応する操作方式特定情報を操作方式特定情報記憶部から読み出し、当該画像情報に基づき表示される操作画面の操作方式を特定する操作方式特定手段と、特定された操作方式による選択操作の入力を複合操作手段から受け付け可能となるよう設定する操作方式設定手段と、操作画面を表示する場合に、該操作画面に対応する前記操作方式を連想させるために、該操作方式における選択操作手段の操作動線形状を反映した補助画像を動的に表示する補助画像表示制御手段と、を備えるとともに、補助画像表示制御手段による当該動的表示は、操作画面の少なくとも選択領域内において、所定周期が経過する中で補助画像が重なり続ける重畳継続領域がないことを特徴とするものとできる。各種操作画面において、選択領域の配置位置は様々であり、同様に、どの操作方式が採用されているかも様々であるが、上記構成によると、画面がどの操作画面に切り替わったとしても、切り替わるに伴いそれらを特定し、適切な選択領域の配置及び補助画像の表示を行うことができる。
【0019】
本発明において、前記複合操作手段は、前記主表示制御手段の画面とは異なる位置に設けられ、前記操作画面における操作入力を遠隔的に行うための遠隔操作手段とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態である車両用操作システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の操作入力システムが搭載された車両の場合の車室内内観図。
【図3】本発明の操作入力システムに適用可能な複合操作部の第一例を簡略的に示す図。
【図4】図3の複合操作部の操作方式を説明する図。
【図5】現在状態表示画面の一例を示す図。
【図6】操作画面の従来例を示す図。
【図7】本発明の操作画面の第一例を示す図。
【図8】図8の補助画像の動きを説明するための図。
【図9】中間層画面における補助画像の表示例を示す図。
【図10】最下層画面における補助画像の表示例を示す図。
【図11】本発明の操作画面の第二例を示す図。
【図12】図11の補助画像の動きを例示する図。
【図13】本発明の操作画面の第三例を示す図。
【図14】図13の補助画像の動きを例示する図。
【図15】本発明の操作画面の第四例を示す図。
【図16】図15の補助画像の動きを例示する図。
【図17】本発明の操作画面の第五例を示す図。
【図18】本発明の操作入力システムに適用可能な複合操作部の第二例を簡略的に示す図。
【図19】本発明の操作入力システムに適用可能な複合操作部の第三例を簡略的に示す図。
【図20】本発明の操作入力システムに適用可能な複合操作部の第四例を簡略的に示す図。
【図21】本発明の操作入力システムに適用可能な複合操作部の第五例を簡略的に示す図。
【図22】本発明の第二実施形態である車両用操作システムの構成を示すブロック図。
【図23】強調表示処理の流れを示すフローチャート。
【図24】強調表示の第一例を示す図。
【図25】強調表示の第二例を示す図。
【図26】強調表示の第三例を示す図。
【図27】強調表示の第四例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の操作装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態である車両用操作システムの構成を簡略的に示すブロック図である。図1における車両用操作システム1は、表示器(表示手段)3と、該表示器3の画面30(図2)上に複数の選択領域(コマンドスイッチ)を有した操作画面300を表示させる制御部(主表示制御手段)10と、表示された操作画面300内の複数の選択領域310に対し択一的な選択操作を可能とする操作部(選択操作手段)2と、を備える車両用操作システムであって、操作部2が、該選択操作を可能とする複数種の操作方式による操作をそれぞれ独立に実施可能に構成された複合操作部(複合操作手段)2として構成される。
【0023】
表示器3は、静止画や動画を自在に表示可能な例えば周知の液晶表示装置等を用いることができ、表示制御回路31を介して制御部10に接続しており、制御部10から出力される表示用駆動信号に応じて表示器3を駆動する。また、表示器3の周辺部には各種スイッチが設けられており、例えばメニュースイッチ24等が配置され、所定の信号入力部(図示なし)を介して制御部10に接続しており、各操作に応じた電気信号を制御部10に入力する。メニュースイッチ24は、操作されることにより表示器3の画面30の表示をメニュー画面200に切り替える操作部である。
【0024】
複合操作部2は、図2に示すように、表示器3とは異なる位置に設けられ、選択領域310における操作入力を遠隔的に行うための、表示器3に対する遠隔操作手段であり、表示器3の画面30上の選択領域310を選択するための遠隔操作として、カーソル等の指示画像を移動させる操作を可能とする。
【0025】
また、この複合操作部2は、複数種の操作方式を有する操作部であり、例えば方式毎に異なる方向への操作が定められている。ここでは図3に示すように、1つの操作ノブ20に対し3種の操作方式が可能とされており、それら3種の操作方式は互いに異なる操作方向を有するものとされている。具体的にいえば、操作ノブ20に対し、操作ノブ20自身に定められた軸線z周りに回転する回転操作方式(図4(a))と、操作ノブ20の中立位置において所定の基準軸線Zに一致する上記軸線zを該基準軸線Zに対し垂直な方向へ移動する移動操作方式(図4(b))と、上記基準軸線Zの軸線方向に押圧する押圧操作方式(押込み操作:図4(c))が可能である。
【0026】
本実施形態における移動操作は、予め定められた基準位置から予め定められた複数の移動操作方向のみに移動操作可能となるようガイドされる。具体的にいえば、ここでの移動操作は、基準軸線Zに対し垂直な十字状4方向に向けて、操作ノブ20を基準位置から移動(傾動を含む)させる十字方向操作(十字操作方式)である。なお、移動操作は、少なくとも操作ノブ20が基準軸線Zに対し垂直な方向へ移動する操作であれば良く、基準軸線Zに対し軸線zを平行に保持した形で操作ノブ20を移動させる操作でもよいし、所定の中立位置から軸線zを傾斜させる形で操作ノブ20全体を基準軸線Zに対し垂直な方向に向けて移動させる傾動操作でもよい。また、移動操作方向は、例えば2方向等、4方向未満の方向に操作ノブ20を移動させる操作であってよいし、また、8方向や6方向等、5方向以上の方向に操作ノブ20を移動させる操作であってもよい。
【0027】
なお、ここでの複合操作部2は、車両前後方向と車両左右方向の4方向に操作可能に構成され、それら操作方向のうち車両前後方向が表示器3の画面30の上下方向に対応し、車両左右方向が表示器3の画面30の左右方向に対応している。
【0028】
また、ここでの複合操作部2は、非操作状態にある場合には操作ノブ20が基準位置(中立位置)にて保持されるよう、付勢手段(ばね部材等)や反力付与手段(反力モータ等)といった手段を備えるとともに、装置筐体内には、操作ノブ20への各種操作方式の操作を検出する操作検出部を備える。ここでは第一の操作検出部として、操作ノブ20への上記回転操作に基づく回転操作量を電気的に検出する回転操作検出部21を備え、第二の操作検出部として、操作ノブ20への上記移動操作を検出する移動操作検出部22を備え、さらに、第三の操作検出部として、操作ノブ20への上記押圧操作を検出する押圧操作検出部23を備える。これら操作検出部21〜23はそれぞれ信号入力部(図示なし)を介して制御部10に接続しており、各操作に応じた電気信号を制御部10に入力する。
【0029】
なお、上述のような1つの操作ノブ20にて複数の操作方式の操作が可能な複合操作部2は、特開2009−176432や特開2009−064638に見られるように周知であるから、その具体的な内部構成についての説明は省略する。
【0030】
制御部10は、図示しないCPU,ROM,RAM等を有した周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMや外部記憶装置4等の記憶部に記憶されたプログラムをCPUが実行する形で、各種の制御を実施する。また、車載LAN6を介して、他の車載機器5の制御部とデータの授受が可能であるし、それら他の制御部の制御対象を駆動制御するための制御信号を、対応する制御部に送信して該制御対象を駆動する等、各車載機器5の機器機能を実行させることもできる。例えば、車載LAN6を介して接続されているナビゲーション装置51や、車両空調装置52、カーオーディオ53、その他の車載機器54等の各種機能を実行させることができる。
【0031】
また、制御部10は、操作部21〜24から受信する操作入力信号に基づいて、対応する制御を実行する制御実行手段として機能する。また、制御部10のROMや、制御部に接続する外部記憶装置4等の記憶部には、各種画面を表示するための画像データ(背景画像や、それに重畳されるあるいは合成される操作画像等の画像表示用データ:画像情報)が記憶されている。制御部10は、これらの画像データを必要なタイミングで読み出し、これらに基づく画像を表示器3の画面30に表示させる。また、各画面においては、受け付け可能となる操作方式が対応付けられている。上記記憶部において、各種画面に対応付けた形で受け付け可能となる操作方式を特定可能とする操作方式特定情報と、受け付けた操作に応じて実行される制御内容が記憶されている。
【0032】
ここでは、外部記憶装置4は、制御部10と接続しており、操作画面300毎に画面表示用の画像情報(画像データ)を記憶した画像情報記憶部41として機能する一方で、それら画像情報に対応付けた形で、対応する操作画面300が表示された際に複合操作部2において受け付け可能となる選択操作の操作方式を特定する操作方式特定情報を記憶した操作方式特定情報記憶部として機能する。さらに、画像情報記憶部41は、上記画像情報又は上記操作方式特定情報各画像情報に対応付けた形で、それらに対応する補助画像320を記憶している(補助画像記憶部)。なお、補助画像320については後述する。
【0033】
また、制御部10は、表示器3の画面30上において操作画面300を表示する場合に、当該画面300に対応する背景画像上の各選択領域310に、対応する操作画像を重畳ないし合成した主画像を表示する。制御部10は、複合操作部2による操作によってそれら選択領域310(操作画像)のいずれかが選択され、さらに、選択された選択領域310(操作画像)に対する決定入力操作がなされるに伴い、当該選択領域310(操作画像)に対応する制御を実施する。なお、決定入力操作は、選択操作とは別の操作方式として定められており、ここでの決定入力操作には、操作ノブ20を基準軸線Zの軸線方向に押圧する押圧操作が定められている。
【0034】
そして、操作画面300上の各選択領域310(操作画像)を選択させるための複合操作部2の操作方式、即ち当該操作画面300に対応する操作方式を連想させるために、対応する操作方式における複合操作部2の操作動線を反映した補助画像320を、上記主画像上に重畳ないし合成した形で、アニメーション等のように動的に表示する。これにより、表示器3に表示されている操作画面300を操作する際に、複合操作部2のどの操作方式が操作対象に定められているかを、操作画面300に表示される補助画像320によって、容易に判断することができる。
【0035】
本実施形態においては、上記補助画像310を、表示されている操作画面300に対応する操作方式の操作動線形状を反映した形状の画像とし、これを動的に表示する。そして、動的に表示されることによって、操作画面300の少なくとも選択領域310内に、所定周期が経過する中で補助画像320が重なり続けた状態を常に継続する重畳継続領域が存在しないようにする。つまり、補助画像320を動的に表示することによって、少なくとも選択領域310内にて常に補助画像320が重なっている部分を無くし、少なくとも所定周期が経過する中で選択領域310の全領域が視認可能となるようにする。補助画像320によって一部が隠されている領域も、その補助画像320が一定の位置に留まり続けないことにより、一度は必ず表示された状態とする。これにより、少なくとも選択対象とされる選択領域310内に表示される画像や文字は、所定周期の中で必ず全て視認することが可能となる。選択領域310内に表示される画像や文字は、対応する制御内容を表記していることが多いので、これを見誤ることがなくなる。
【0036】
ここで、制御部100が実行する操作画面の表示処理について説明する。制御部100は、外部記憶装置4に記憶されている操作画面表示プログラム43を実行することにより、複合操作部2や他の操作部、さらには外部の制御部等からの画面切替要求信号が入力されるに伴い、その信号に応じた新たな操作画面300を表示する。具体的に言えば、表示要求された新たな操作画面300の画像情報を画像情報記憶部41から読み出し、当該画像情報に基づく操作画面300を表示する一方で(主表示制御手段)、表示要求された新たな操作画面300の画像情報に対応する操作方式特定情報を操作方式特定情報記憶部42から読み出し、当該画像情報に基づき表示される操作画面300の操作方式を特定し(操作方式特定手段)、特定された操作方式による選択操作の入力を複合操作部2から受け付け可能となるよう設定する(操作方式設定手段)。他方、制御部10は、特定された操作方式における複合操作部2の操作動線を反映した補助画像320の画像情報を補助画像記憶部43から読み出し、当該画像情報に基づく補助画像320を、表示要求された新たな操作画面300上に表示する(補助画像表示制御手段)。
【0037】
ここで、本実施形態の表示器3の画面30に表示される操作画面300の表示例を説明する。例えば、図5は、車両の各種車載機器5の現在の制御状態や検知情報等といった車両情報が表示する現在状態表示画面200である。図5では、オーディオの再生情報やエアコンの設定情報、時計の時刻情報等が表示されている。この状態でメニュースイッチ24を操作すると、従来の場合は、図6のようなメニュー画面399(操作画面300)に遷移する。
【0038】
図6のメニュー画面399では、複数の選択領域310が、予め定められた画面30上の画面基準点Oに対する周方向に所定の間隔おきに環状配置されている。更に具体的にいえば、選択領域310をなす各領域311〜314が画面基準点Oを中心に十字状(上下左右)に設けられている。しかしながら、本実施形態の複合操作部2にて、これらの選択領域311〜314を選択する操作を行おうとした場合、複合操作部2の操作ノブ20に対し回転操作をして選択領域311〜314を選択するのか、十字方向のいずれかへ移動操作をして選択領域311〜314を選択するのか、操作画面399の表示内容からは直感的に判断しにくい。特に図5の操作画面399の場合は、実際には十字方向の移動操作により選択領域311〜314を選択する画面と定められているが、表示されている操作画面399のデザインは、風車のような回転を連想させるデザイン性を有しており、さらに回転操作方式であると思い込み易い。具体的にいえば、各選択領域311〜314において、画面基準点Oを中心とする周方向の同一回転方向側に同一デザインの表示強調部(ここではライン画像)を有した操作画像が背景画像上に表示されており、これによって風車のような回転を連想させるデザインとなっている。
【0039】
これに対し本実施形態においては、図6のような回転を連想させるデザインを有しつつも、操作画面300に対応する操作方式をユーザーに正しく連想させることが可能となっている。即ち、図5の表示状態でメニュースイッチ24が操作されると、本実施形態においては、図7のようなメニュー画面301(操作画面300)に遷移する。
【0040】
図7のメニュー画面301(操作画面300)は、移動操作方式に対応する操作画面であって、複合操作部2における操作ノブ20の基準位置と各移動操作方向との関係と、画面30上における画面基準点Oと該画面基準点Oに対する選択領域310の配置方向との関係とが対応するように、選択領域310が画面基準点Oを中心に環状配置されている。ここでは、操作ノブ20が中立位置から前後左右の十字方向に移動可能とされる一方で、これに対応して、画面30上の選択領域310が画面中心点Oを中心とした上下左右方向側に十字配置されている。そして、当該操作画面301に対応する操作方式における複合操作部2の操作動線を反映した補助画像320が動的に表示されている。ここでの動的表示は、操作画面300の選択領域310の表示内容とは異なる別画像を補助画像320として、操作画面300を表示する主画像に対し重畳する形でアニメーション表示されている。
【0041】
なお、各補助画像320は、各選択領域310に少なくともその一部が重なる形で位置しているが、ここでは、各補助画像320が半透過状態とされているため、背景に位置する各選択領域310はいつでも視認可能である。しかしながら、完全に視認できるわけではなく、図7の状態(補助画像320の静止状態)が続くだけでは、上記重畳継続領域が存在し続けるといえる。このため、各補助画像320は、操作画面300の少なくとも選択領域310内において上記重畳継続領域が存在しないよう動的に表示される。ここでは特に、選択領域310内だけでなく、操作画面300全体にわたって上記重畳継続領域がないように動的表示がなされる。これにより、画面30全体に表示されている表示内容(マップやラジオ等の操作画面)も、所定周期の中で必ず全て視認することができ、表示内容を見誤ることがなくなる。
【0042】
また、本実施形態における動的表示は、図8に示すように、現在表示中の操作画面300の操作方式における複合操作部2の操作動線に沿って図形が移動する形で表現される。つまり、補助画像320の表示内容だけではなく、表示内容の動きによって、操作画面301に対応する操作方式における複合操作部2の操作動線形状を示している。ここでは、画面基準点O側から対応する選択領域310に向かう図形の移動により操作動線形状と操作方向との双方を表現している。なお、補助画像320の表示内容の動きのみで、上記操作動線及び上記操作方向のいずれか又は双方を表現するものであってもよい。
【0043】
具体的にいえば、図7及び図8の操作画面301は、補助画像320として、複数の補助図形9(ここでは9a)が配列されてなる補助図形群90(ここでは90a)を表示するものであり、それら補助図形9の該配列方向により、現在の操作画面301の操作方式における複合操作部2の操作動線形状が示されている。ここでの補助図形9aは、対応する選択領域310に向けて突に配置された弧状の図形であり、これらが選択領域310に向けて所定間隔おきに連続する形で波状に並んでいる。そして、各補助図形群90が含む複数の補助図形9aは、予め定められた領域内をそれぞれの配列方向に向かって移動する形で移動表示されており、これによって、対応する選択領域に向かう操作、即ち操作方向が示されている。なお、補助図形9は所定領域内のみで表示され、領域外では表示されない。
【0044】
また、図7及び図8の操作画面301は、上記の移動操作方式に対応しており、補助画像320(321a〜324a)は、各選択領域310(311〜314)に対応して設けられており、各々の補助画像321a〜324aが、画面基準点Oから対応する選択領域311〜314に向かう操作方向と操作動線とを動的に表現している。また、ここでは、画面30上の選択領域311〜314には、所定周期が経過する中で、対応する各補助画像321a〜324aに重畳される重畳領域が存在しており、重畳していることで、補助画像320(321a〜324a)と選択領域310(311〜314)との対応関係がより明確になっている。
【0045】
なお、図7のメニュー画面301(操作画面300)において、複合操作部2による選択操作(ここでは移動操作方式)により1つの選択領域310が選択され、さらにその選択領域310に対する決定入力操作(ここでは押圧操作方式)がなされると、画面表示は次の操作画面に遷移する。本実施形態においては、図7のようなメニュー画面が複数階層設定されており、選択操作と決定入力操作とを繰り返して到達する最下層画面において、最終的な制御内容が決定される。ここでは、図7と同様にして環状配置された選択領域310を移動操作により選択し、決定入力操作により決定する中間層画面を有するとともに、最下層画面においては、回転操作方式、又は、移動操作方式のいずれか又は双方によって実施対象となる制御内容を選択し、決定入力操作により、選択された制御内容が実行される。
【0046】
図9の操作画面302は、本実施形態における最下層画面の一例であり、ここでは、表示されている選択領域310を選択する選択操作が移動操作方式によりなされる。いずれかの選択領域310(315〜318)が選択されると、図10に示すように、回転操作方式による操作により、選択された選択領域310に対応する制御項目の具体的な制御内容が選択され、その上で、決定入力操作により、選択された制御内容が実行される。制御項目の具体的な制御内容の選択は、予め定められた序列で並ぶ設定内容を、回転操作方式による回転操作により順に送る/順に戻す形の操作により選択される。最終的な制御項目が決定した後、その詳細な設定を選択させる際には、選択肢が多数存在する場合があるので、このような場合は、回転操作による選択と、それに応じたスクロール表示による選択内容の表示が有効である。
【0047】
なお、図9の操作画面302(300)では、移動操作方式による操作が受け付け可能であることを示すように、図7と同様の補助画像320(325〜328)が表示されている。他方、図9の操作画面302において選択領域310が選択され、選択状態となった場合には、図10に示す操作画面303(300)が表示される。図10の操作画面303では、現在の選択状態において回転操作方式による操作が受け付け可能であることを示すように、選択されている選択領域310(315〜318)に対してのみ補助画像329(320)が表示されている。ここでの補助画像329(91)は、湾曲する帯状の第一の補助図形91a1を有し、その湾曲形状が回転操作方式を示している。さらにここでは、固定表示される第一の補助図形91a1に沿って往復動する第二の補助図形91a2を有しており、これも回転操作方式を示している。なお、図10の操作画面303は、移動操作方式も受け付け可能とされており、移動操作により選択中の選択領域310を変更することができる。
【0048】
本実施形態の車両用操作システム1において、複合操作部2は、これらの主操作部よりもユーザーの操作負担が小さくなるよう、予め定められた座席2により近い位置に補助操作部として配置される。ここでは、図2に示すように、運転席と助手席に座したユーザー(搭乗者)がそれら各座席の背もたれにもたれた着座状態のまま双方のユーザーが操作可能となる位置に設けられている。具体的にいえば、複合操作部2は、車両の左右両座席(ここでは運転席と助手席)の間に挟まれる領域(ここではセンターコンソール)Cに配置されている。他方、表示器3は、複合操作部2よりも車両前方側にて、それら双方の座席に座したユーザーから視認可能な形で配置されている。
【0049】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。以下、上記実施形態とは異なる実施形態について説明する。
【0050】
上記実施形態においては、選択画面300において、移動操作方式による選択領域310(操作画像)の選択が可能とされているが、操作方式の操作動線形状を反映した形で補助画像320を表示し、なおかつその補助画像320が操作画面300の少なくとも選択領域310内において上記重畳継続領域がないよう動的に表示されるものであれば、他の操作方式であってもよい。
【0051】
例えば、操作画面300上における選択領域310(操作画像)の選択操作は、複合操作部2における回転操作方式の操作により行うこともできる。このときの具体的な補助画像320の表示例としては、図11,13,15,17を例示できる。
【0052】
図11の場合は、操作画面304(300)上において、環状に等間隔配置された選択領域310(操作画像)のうち、隣接するもの同士の間の区間にて、補助画像320(321b〜324b)として円弧状の補助図形群90bが表示される。ここでは、補助図形群90bをなす複数の補助図形(ここでは3つ)9bが、該補助図形9bの径方向に並んで配置されている。これら補助図形群90bは、全体で見ると円形状に見え、これらが回転操作方式の操作動線形状を反映している。なお、この補助図形9bは、図12に示すように、上記重畳継続領域が存在しないよう径方向外向きに移動する形で動的表示してもよい。ただし、この場合、回転操作方式における複合操作部2の操作方向については表現されない。
【0053】
図13の場合は、操作画面305(300)上において、環状に等間隔配置された各選択領域310(操作画像)に取り囲まれる内側の領域に、補助画像320(320c)として、円形状の補助図形9c2と、該補助図形9c2の円形状に沿って所定間隔おきに連続配置された円弧状の補助図形9c1とからなる補助図形群90cが表示される。なお、図14に示すように、図13の円形状の補助図形9c2は、回転操作方式の操作動線形状を反映する形で固定表示する一方、図13の円弧状の各補助図形9c1は、固定表示される補助図形9c2(回転操作方式の操作動線形状)に沿って移動させる形で動的表示するようにしてもよく、これにより、少なくとも回転操作方式の操作動線形状を反映した動的表示がなされている。例えば、各補助図形9c1を、固定表示される補助図形9c2に沿って往復動作させる、あるいは一定方向に回転させる動的表示を行うことができる。
【0054】
図15の場合は、操作画面306(300)上において、環状に等間隔配置された各選択領域310(操作画像)に取り囲まれる内側の領域に、補助画像320(320d)として、二重円形状の補助図形9d2と、それら二重円図形9d2の間に挟まれる形でそれら二重円図形9d2の円形状に沿って所定間隔おきに連続配置された円形状の補助図形9d1とからなる補助図形群90dが表示される。なお、図16に示すように、二重円形状の補助図形9d2が回転操作方式の操作動線形状を反映する形で固定表示する一方、円形状の補助図形9d1は、補助図形9d2に沿って移動させる形で動的に表示してもよい。この場合も動的表示が回転操作方式の操作動線形状を反映している。例えば、各補助図形9d1を、固定表示される補助図形9c2に沿って往復動作させる、あるいは一定方向に回転させる動的表示を行うことができる。
【0055】
図17の場合は、操作画面307(300)上において、環状に等間隔配置された各選択領域310(操作画像)に取り囲まれる内側の領域に、補助画像320(320e)として円形状(ここでは三重円形状)の補助図形9eが表示され、それが所定時間間隔にて点滅する動的表示がなされる。
【0056】
また、本発明においては、操作画面300の少なくとも選択領域310内において、所定周期が経過する中で補助画像320が重なり続ける重畳継続領域がないという特徴を有しており、操作画面300の主画像全体に対する重畳継続領域は存在していてもよい。ただし、主画像においても重畳継続領域が存在していない方が当然よい。
【0057】
また、本発明においては、補助画像320の動的表示を、選択領域310の表示内容を動的に変形させる形、例えば選択領域310上に頂上される操作画像を動的に変形させる形で実施するようにしてもよい。より具体的にいえば、操作動線方向あるいは操作方向に操作画像の一部ないし全体を歪ませる等、動的変形により、操作方式における操作動線形状や操作方向までも示すように構成できる。これにより、操作画像を変形するだけで、操作方式を容易に認識させることができる。なお、別の補助画像を使う実施形態との組み合わせであってもよい。
【0058】
また、本発明における複合操作部2は、複数の異なる操作ノブを有した構成とすることができる。例えばそれら各操作ノブに対し1つ又は複数の操作方式が可能となるよう構成してもよい。例えば、複合操作部2として、第一の操作ノブ201(20)が予め定められた回転軸線周りに回転させる回転操作方式を採用した構成を有し、それとは異なる第二の操作ノブ202(20)が予め定められた平面方向に移動させる移動操作方式を採用した構成を有し、これら2つの操作部により少なくとも2種以上の操作方式が可能に構成することができる。この場合も、既に述べた実施形態のように、回転操作方式に対応する操作画面300と、移動操作方式に対応する操作画面300とのいずれか又は双方において、複数の選択領域310が、予め定められた画面30上の画面基準点Oに対し周方向に所定間隔おきに環状配置されると、第一の操作ノブ201を操作してよいのか、第二の操作ノブ202を操作してよいのか、正しく判断するのかが難しく、上記補助画像320を表示することで、その判断を正確に行うことが可能となる。
【0059】
例えば、図18の操作部2A(2)のように、予め定められた複数の移動操作方向(例えば4方向や8方向等)に移動する操作が可能なスティック状をなす第一の操作ノブ201Aと、当該操作ノブ201Aの一面に順逆双方向に回転操作可能で、なおかつ操作ノブ201Aの軸方向に押圧操作可能に取り付けられたホイール状の第二の操作ノブ202Aとを備えた構成でもよい。また、図19の操作部2B(2)のように、図18のようなスティック状の第一の操作ノブ201Bにトラックボール202Bを設けた構成でもよい。また、図20の操作部2C(2)のように、図3のような移動操作(十字方向操作)と押圧操作が可能な操作ノブ201Cを第一の操作ノブ201Cとし、その上に図18のようなホイール状の第二の操作ノブ202Cを設けた構成でもよい。また、図21の操作部2D(2)のように、図3のようなダイアル回転操作と押圧操作が可能な操作ノブ20を第一の操作ノブ201Dとし、その上にプッシュ式の十字スイッチを第二の操作ノブ202Dを設けた構成でもよい。また、これらを組み合わせた操作部であってもよいし、他の操作部を組み合わせてもよい。
【0060】
また、本発明において、回転操作方式に対応する操作画面300は、画面30内において地図を拡大/縮小する縮尺操作、スクロール表示を伴う選択操作、ボリューム操作のいずれかの操作が可能とされた操作画面とすることができる。
【0061】
また、上記実施形態において、例えば、選択操作により選択されている選択領域310の表示内容を残余の選択領域310の表示内容よりも相対的に強調して表示する表示制御を制御部(選択領域強調表示手段)10が行うようにしてもよい。また、上記実施形態のように補助画像320が複数の選択領域310のそれぞれに対応して設けられている場合は、選択操作により選択されている選択領域310に対応する補助画像320を残余の補助画像320よりも相対的に強調して表示する表示制御を制御部(第一の補助画像強調表示手段)10が行うようにしてもよい。また、選択状態の選択領域310と対応する補助画像の双方を相対的に強調させる表示としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、選択操作とは別に決定入力操作を行う構成となっているが、選択操作と同時に決定入力操作がなされる構成、即ち、選択操作に決定入力操作が兼用される構成としてもよい。
【0063】
また、本発明の車両用操作システムにおいては、車両における予め定められたシーンの到来を判定し、当該シーンが到来した場合に、選択操作を推奨するべき選択領域310を推奨領域として特定するとともに、推奨領域が特定された場合には、当該推奨領域を選択するための操作方向を示す補助画像320を残余の補助画像320よりも相対的に強調する表示制御を制御部(シーン判定手段、推奨領域特定手段、第二の補助画像強調表示手段)10が実行するようにしてもよい。例えば、補助図形320である波状図形や矢印図形の表示を、大きさや移動早さ、色(色相、彩度、明度のいずれか又は複数)等を変えることにより、車両状態や周辺状況に応じた最適な制御内容や、選択されるべき(推奨される)操作画面への画面遷移や、モード選択に対応する選択領域310の選択操作・決定入力操作を促すことにより、各種車載機器5の効果的な使用が見込める。
【0064】
具体的には、図22に示す車両用操作システム1’のように、制御部10が車両における予め定められたシーンを検出する特定シーン検出部7と接続し、外部記憶装置4等に記憶された強調表示プログラム44を実行することにより実施可能とする。強調表示プログラム44の処理の流れを図23に示す。まず、S1にて、車両における予め定められたシーン(強調表示シーン)を特定するためのシーン特定情報を特定シーン検出部7から取得し、S2にて予め定められたシーンであるか否かを判定する。S3にて、予め定められたシーンが到来したと判定された場合には、当該シーンに対応して定められている選択領域310、あるいは当該選択領域310を操作可能な操作画面300に到達するための選択領域310を特定し、特定された選択領域310を推奨領域として、S4にて、当該推奨領域を選択するための操作方向を示す補助画像320を残余の補助画像320よりも相対的に強調する。他方、S3にて、予め定められたシーンが到来したと判定された場合には、補助画像320は通常表示のままとする。この処理は所定周期にて繰り返し実行する。
【0065】
図24〜図27は強調表示(S4)の一例であり、図24及び図26は、画面基準位置Oから推奨領域310(313,317)に向かう補助画像320(323A,327a)を、残余の補助図形320よりも太くして強調しており、図25は、画面基準位置Oから推奨領域310(313)に向かう補助画像320(323B)の色を、残余の補助図形320とは異なる色にして強調している。図25は、選択中の選択領域315(310)から推奨領域318(310)に向かう補助画像321b(320)を、残余の補助図形320よりも太くして強調している。
【0066】
S1及びS2で特定されるシーンとしては、例えば、テレビやラジオの視聴時に放送信号の受信感度が弱くなって聞きにくくなってきたシーンである。ここでの特定シーン検出部7は、受信した放送信号の受信感度を検出する周知の受信感度検出回路であってチューナ内に設けられており、ここで検出された受信感度が予め定められた基準感度を下回ると、制御部10は、メニュー画面301においてオーディオ操作が推奨されるよう、オーディオ操作画面へ遷移させる選択領域に対応した補助画像320を、残余の補助画像320よりも相対的に強調して表示する。また、オーディオ操作画面においては、ラジオのプリセットモードではなく、マニュアル周波数選局が推奨されるように、マニュアル周波数選局の選択領域に対応した補助画像320を、残余の補助画像320よりも相対的に強調して、誘導する(サービスエリア外で他のプリセットのチャンネルが選局されない時を想定してマニュアル選局に誘導する)。
【0067】
また、車両のフロントウィンドが曇りやすい車外環境状況(気温が低い中または雨の中を走行時)において、なおかつ車載空調装置が内気モードで、Å/Cスイッチ(エアコンSW)がOFF(コンプレッサOFF)に設定されている際に、Climateモードが選択された場合には、A/CスイッチをON(コンプレッサON)とするように、A/Cスイッチに対応する選択領域に対応した補助画像320を、残余の補助画像320よりも相対的に強調して、誘導する(窓曇りしないよう誘導する)。ここでの特定シーン検出部7は、雨滴センサ、車両内外の温度センサ、内気/外気モード切替スイッチ等とすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用操作システム
2 複合操作部(選択操作手段:複合操作手段)
20 操作ノブ
3 表示器(表示手段)
4 外部記憶装置
5 車載機器
10 制御部(主表示制御手段、補助画像表示制御手段、補助画像強調表示手段、シーン判定手段、推奨領域特定手段)
300 操作画面
310 選択領域
320 補助画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、該表示手段の画面上に複数の選択領域を有した操作画面を表示させる主表示制御手段と、表示された前記操作画面内の複数の選択領域を択一的に選択する選択操作を可能とする選択操作手段と、を備える車両用操作システムであって、
前記選択操作手段は、前記選択操作を可能とする複数種の操作方式による操作をそれぞれ独立に実施可能に構成された複合操作手段であり、
前記画面上において前記操作画面を表示する場合には、該操作画面に対応する前記操作方式を連想させるために、該操作方式における前記選択操作手段の操作動線形状を反映した補助画像を動的に表示する補助画像表示制御手段を備えるとともに、該補助画像表示制御手段による該動的表示は、前記操作画面の少なくとも前記選択領域内において、所定周期が経過する中で前記補助画像が重なり続ける重畳継続領域がないことを特徴とする車両用操作システム。
【請求項2】
前記補助画像表示制御手段は、前記補助画像として前記操作画面の選択領域とは表示内容が異なる別画像を、前記操作画面を表示する主画像に対し重畳する形で表示するものである請求項1記載の車両用操作システム。
【請求項3】
前記補助画像表示制御手段は、前記補助画像として、複数の補助図形が配列されてなる補助図形群を表示するものであり、それら補助図形の該配列方向により、表示されている前記操作画面に対応する前記操作方式における前記選択操作手段の操作動線形状を示すものである請求項2記載の車両用操作システム。
【請求項4】
前記補助画像表示制御手段は、前記補助図形群が含む複数の補助図形の配列方向への移動表示により、表示されている前記操作画面に対応する前記操作方式における前記選択操作手段の操作方向を示すものである請求項3記載の車両用操作システム。
【請求項5】
前記補助画像表示制御手段は、前記補助画像を半透過状態にて表示させる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項6】
前記複合操作手段は、前記操作方式として、第一の操作ノブを予め定められた回転軸線周りに回転させる回転操作方式と、第二の操作ノブを予め定められた平面方向に移動させる移動操作方式との少なくとも2種以上の操作方式が可能に構成され、
前記回転操作方式に対応する前記操作画面と、前記移動操作方式に対応する前記操作画面とのいずれか又は双方において表示される複数の前記選択領域が、対応する操作画面上において、予め定められた画面基準点を中心とする周方向に所定間隔おきに配置される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項7】
前記第一の操作ノブと前記第二の操作ノブが共通の1つの操作ノブとして構成されてなる請求項6記載の車両用操作システム。
【請求項8】
前記複合操作手段は、前記移動操作方式に対応する前記第二の操作ノブが予め定められた基準位置から予め定められた複数の移動操作方向のみに移動操作可能となるようガイドされる構成を有し、
前記移動操作方式に対応する前記操作画面上には、前記複合操作手段における前記基準位置と各前記移動操作方向との関係と、当該操作画面における前記画面基準点と該画面基準点に対する前記選択領域の配置方向との関係とが対応するように、各前記選択領域が前記画面基準点を中心に環状配置されている請求項6又は請求項7に記載の車両用操作システム。
【請求項9】
前記移動操作方式は、各前記移動操作方向が前記基準位置を中心とする十字状をなす4方向のみに移動可能とされた十字操作方式である請求項8記載の車両用操作システム。
【請求項10】
前記複合操作手段は、前記選択操作とは別の操作方式により、選択されている前記選択領域に対する決定入力操作が可能に構成される請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項11】
前記補助画像が複数の前記選択領域のそれぞれに対応して設けられており、前記選択操作により選択されている前記選択領域に対応する前記補助画像を残余の補助画像よりも相対的に強調して表示する第一の補助画像強調表示手段を備える請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項12】
車両における予め定められたシーンの到来を判定するシーン判定手段と、
前記シーンが到来した場合に、選択操作を推奨するべき選択領域を推奨領域として特定する推奨領域特定手段と、
前記推奨領域が特定された場合に、当該推奨領域を選択するための操作方向を示す前記補助画像を残余の補助画像よりも相対的に強調して表示する第二の補助画像強調表示手段を備える請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の車両用操作システム。

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−118681(P2011−118681A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275691(P2009−275691)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】