説明

車両用操作装置

【課題】ディスプレイの形状やディスプレイで表示される操作項目数からの制約を実質的に受けることなく、入力装置とディスプレイと連携させる。
【解決手段】車両用操作装置は、タッチ操作が可能な操作面を備える入力装置10と、入力装置10よりも運転席から遠い側に配置され、複数の操作項目80,81,82,83を含む操作画面を表示するディスプレイ20と、処理装置とを備え、処理装置はディスプレイ20に、入力装置10により操作可能な画面範囲を表す枠表示70であって、複数の操作項目80,81,82,83のうちの一部の操作項目80,81,82,83のみを囲む枠表示70を出力すると共に、ユーザからの入力に応じて、枠表示70により囲まれる操作項目80,81,82,83を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパッドのような入力装置とディスプレイとを用いる車両用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作者の手元に設置され操作指により操作入力可能な絶対座標方式のタッチパッドと、タッチパッドよりも比較的遠方に設置されたディスプレイとを備え、タッチパッドに操作入力された絶対座標情報に基づいて、ディスプレイのカーソルを絶対座標情報に対応する位置に表示する車両用操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−061224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タッチパッドとディスプレイとを用いる車両用操作装置においては、ディスプレイ上で表示される複数の操作項目を、タッチパッド上で操作することができる。しかしながら、上述のようなタッチパッドの全面とディスプレイの全面とを絶対座標で対応付ける構成では、ディスプレイの形状(例えば縦横比)に応じてタッチパッドの形状が制約を受けたり、ディスプレイで表示される操作項目の数に応じてタッチパッドの大きさが制約を受けたりする虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、ディスプレイの形状やディスプレイで表示される操作項目数からの制約を実質的に受けることなく、入力装置とディスプレイと連携させることができる車両用操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、タッチ操作が可能な操作面を備える入力装置と、
前記入力装置よりも運転席から遠い側に配置され、複数の操作項目を含む操作画面を表示するディスプレイと、
処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記ディスプレイに、前記ディスプレイの操作画面における前記入力装置により操作可能な画面範囲を表す枠表示であって、前記複数の操作項目のうちの一部の操作項目のみを囲む枠表示を出力すると共に、ユーザからの入力に応じて、前記枠表示により囲まれる操作項目を変化させることを特徴とする、車両用操作装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ディスプレイの形状やディスプレイで表示される操作項目数からの制約を実質的に受けることなく、入力装置とディスプレイと連携させることができる車両用操作装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例による車両用操作装置1のタッチパッド10とディスプレイ20の配置状態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例による車両用操作装置1の主要構成のブロック図である。
【図3】ディスプレイ20の操作画面と共に、ディスプレイ20の操作画面における枠表示70の位置とタッチパッド10の操作面の関係の例を示す図である。
【図4】本実施例の制御ECU34により実現される主要処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施例の描画ECU32により実現される主要処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】画面遷移の一例(空調設定用操作画面)を示す図である。
【図7】図5のステップ504及び506に関連した説明図であり、ユーザの入力に応じて枠表示70の位置が変化される態様を示す図である。
【図8】図5のステップ530の操作項目選択処理に関連した説明図であり、近似選択処理の一例を示す図である。
【図9】図5のステップ540及び542に関連した説明図であり、決定操作の一例を示す図である。
【図10】本実施例の描画ECU32により実現される主要処理の他の一例を示すフローチャートである。
【図11】本実施例の描画ECU32により実現される主要処理の更なる他の一例を示すフローチャートである。
【図12】図11のステップ503,505に関連した説明図であり、ユーザの入力に応じて枠表示70の大きさが変化される態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0010】
図1は、本発明の一実施例による車両用操作装置1のタッチパッド10とディスプレイ20の配置状態の一例を示す概略図である。図2は、本発明の一実施例による車両用操作装置1の主要構成のブロック図である。
【0011】
車両用操作装置1は、図2に示すように、タッチパッド10と、ディスプレイ20と、描画ECU32と、制御ECU34とを含む。
【0012】
タッチパッド10は、タッチ操作が可能な2次元の操作面を有する。タッチパッド10による検出原理は、静電容量式に基づくものであってよい。タッチパッド10は、例えば、平板状の電極(センサ)を備え、平板状の電極に人の操作指が接触することにより生じる微弱な静電容量の変化に基づいて、操作指の接触位置(操作面内の2次元座標)等を検出するものであってよい。タッチパッド10は、操作面内における操作指の接触位置の他、なぞる操作、即ち接触しながらの操作指の動き(接触位置の変化)を検出してもよい。また、タッチパッド10は、指でタッチパッド表面上が軽く叩かれる操作(タップ)を検出できるものであってもよい。尚、タッチパッド10の操作面は、矩形であってよいが、横長比は任意であってよい。また、タッチパッド10の操作面は、円形のような他の形状を有してもよい。
【0013】
ディスプレイ20は、液晶ディスプレイのような任意の表示装置から構成される。ディスプレイ20は、表示機能のみを有するものであってよい(即ち、タッチ操作が可能でないディスプレイであってよい)。但し、ディスプレイ20は、タッチ操作が可能なディスプレイであってもよい。ディスプレイ20の画面の縦横比は、任意であり、タッチパッド10の操作面の縦横比と同一であってもよいし、異なってもよい。
【0014】
タッチパッド10及びディスプレイ20は、車室内の異なる位置に配置され、タッチパッド10の方がディスプレイ20よりもユーザ(特に運転者)に近い側に配置される。具体的には、図1に示すように、タッチパッド10は、ユーザが操作しやすい位置、好ましくは、運転者が手を伸ばすだけで操作できるような位置に配置される。タッチパッド10は、例えば、センターコンソール部に配置されてよいし、インストルメントパネルに配置されてもよい。他方、ディスプレイ20は、ユーザが見やすい位置、好ましくは、運転者が運転中の視野を大きく変えることなく見ることができるような位置に配置される。ディスプレイ20は、例えば、インストルメントパネル上面の中央部に配置されてよい。尚、ディスプレイ20の画面の大きさは、典型的には、タッチパッド10の操作面の大きさよりも有意に大きく設定される。
【0015】
描画ECU32は、図2に示すように、ディスプレイ20に接続される。尚、この接続は、有線であっても無線であってもよく、また、直接的な態様であっても間接的な態様であってもよい。描画ECU32は、ディスプレイ20とは別体であってもよいし、図2に示すように、ディスプレイ20に内蔵されてグラフィックディスプレイ100を構成してもよい。描画ECU32は、ディスプレイ20における操作画面の描画機能を備え、映像信号をディスプレイ20に送ることでディスプレイ20に所定の操作画面を出力する。描画機能としては、主に、操作項目描画機能321、項目選択状態描画機能322、枠表示描画機能323及び枠選択状態描画機能324を備える。これらについては後述する。尚、描画ECU32は、更に、タッチパッド10での各種操作に応じた各種機能を実現する処理を行うものであってもよい。即ち、描画ECU32は、機能ボタンの操作による機能を実現するために、タッチパッド10上での各種操作に応じた操作信号を生成・出力する機能を備えてもよい。
【0016】
制御ECU34は、図2に示すように、タッチパッド10に接続される。尚、この接続は、有線であっても無線であってもよく、また、直接的な態様であっても間接的な態様であってもよい。制御ECU34は、タッチパッド10とは別体であってもよいし、図2に示すように、タッチパッド10に内蔵されてタッチパッドスイッチ200を構成してもよい。制御ECU34は、タッチパッド10から座標信号(タッチパッド10の操作面での操作指の接触点の2次元座標を示す座標信号)を受信する。
【0017】
また、制御ECU34は、図2に示すように、制御信号ライン36を介して描画ECU32に接続される。尚、この接続は、他の態様(無線や間接的な態様)であってもよい。制御ECU34は、座標信号を描画ECU32に送信する。また、制御ECU34は、タッチパッド10上での操作状態を表す各種信号を生成して、描画ECU32に送信する(図4参照)。
【0018】
尚、描画ECU32及び制御ECU34の機能は、1つの専用の処理装置により実現されてもよいし、互いに異なる場所に配置された3つ以上の処理装置により協動して実現されてもよい。例えば、描画ECU32及び制御ECU34の機能の一部又は全部は、ナビゲーション装置のECUやエアコンECUにより実現されてもよい。また、描画ECU32の機能の一部が制御ECU34により実現されてもよいし、逆に、制御ECU34の機能の一部が描画ECU32により実現されてもよい。
【0019】
図3は、描画ECU32により描画されるディスプレイ20の操作画面と共に、ディスプレイ20の操作画面における枠表示70の位置とタッチパッド10の操作面の関係の例を示す図である。
【0020】
ディスプレイ20の操作画面は、操作項目描画機能321により描画される複数の操作項目を含む。操作項目は、タッチパッド10上で遠隔的に操作される機能ボタンを形成する。図3に示す例では、ディスプレイ20の操作画面は、4つの操作項目80,81,82,83を含む。操作項目80,81,82,83の数や配列態様は任意である。例えば、複数の操作項目80,81,82,83は、縦方向や横方向若しくはその組み合わせで配列されてもよいし、ランダムな位置に配置されてもよい。また、ディスプレイ20の操作画面は、所定の操作によりスクロール可能であってもよい。
【0021】
操作項目は、タッチパッド10で操作可能な各種機能を表す項目を含んでよい。例えば、操作項目は、オーディオ機能、TV機能、空調機能、ナビゲーション機能、メール機能等を表すものであってよい。また、操作項目は、ディスプレイ20で表示可能な各種情報を表す項目を含んでもよい。例えば、情報項目は、燃費などの走行情報、エンターテイメント情報等を表すものであってよい。
【0022】
各情報項目は、アイコンの形態でディスプレイ20に表示されてもよい。その際、各アイコンには、対応する機能を表す絵や文字(説明)が付与されてもよい。例えば、あるアイコンは、当該アイコンを選択した場合にタッチパッド10でどのような操作が可能か(どのような機能を実現可能か)を表す絵や文字が付与されてもよい。また、あるアイコンは、当該アイコンを選択した場合にタッチパッド10でどのような情報を見ることができるかを表す絵や文字が付与されてもよい。
【0023】
例えば、情報項目80は、TV機能に対応し、情報項目Aに係るアイコンには、“TV”という文字が表示されてもよい。また、情報項目81は、オーディオ機能に対応し、情報項目81に係るアイコンには、“オーディオ”という文字が表示されてもよい。また、情報項目82は、空調機能に対応し、情報項目82に係るアイコンには、“空調設定”という文字が表示されてもよい。また、情報項目83は、ナビゲーション機能に対応し、情報項目83に係るアイコンには、“ナビ画面”という文字が表示されてもよい。
【0024】
或いは、操作項目は、より下位の機能を表す項目を含んでよい。即ち操作項目は、入口スイッチとしての機能ではなく、下位の機能スイッチであってもよい。例えば、操作項目80,81,82,83は、ヒートコントロール(いわゆるヒーコン)関連のスイッチである場合、空調装置の自動制御のオン/オフを切り替えるために操作されるAUTOスイッチや、空調装置の内外気を切り替えるために操作されるスイッチ等であってもよい。
【0025】
ディスプレイ20の操作画面は、また、タッチパッド10により操作可能な画面範囲を表す枠表示70を出力する。即ち、描画ECU32は、枠表示描画機能323により、ディスプレイ20上の操作画面に、タッチパッド10により操作可能な画面範囲を表す枠表示70を出力(重畳)する。枠表示70の形状は、任意であるが、典型的には、図3に示すように、矩形であってよい。枠表示70の大きさは、ディスプレイ20の操作画面の操作項目の全部又は一部を囲繞するように設定されてよい。
【0026】
タッチパッド10の操作面には、ディスプレイ20の操作画面の操作項目の位置と、枠表示70の位置との位置関係に応じて、各操作項目に対する反応領域が形成される。基本的には、タッチパッド10の操作面には、枠表示70内の操作項目の配列態様に対応した態様で、各操作項目に対する反応領域が形成される。これについては、後に詳説する。
【0027】
枠表示70の位置及び大きさの少なくともいずれか一方は、枠表示70内の操作項目が変化するように、ユーザからの入力に応じて可変される。即ち、表示70の位置及び大きさの少なくともいずれか一方は、ディスプレイ20上の操作画面におけるタッチパッド10により操作可能な画面範囲が変化するように、ユーザからの入力に応じて可変される。これにより、ユーザは、タッチパッド10により操作可能なディスプレイ20の操作画面の画面範囲を自由に選択することができる。これは、特にディスプレイ20の操作画面で表示する操作項目数に対してサイズの小さいタッチパッド10を使用する場合に好適である。これは、タッチパッド10には、その大きさに起因して良好な操作性で操作可能な操作項目数に限界があるためである。尚、枠表示70の位置及び大きさの少なくともいずれか一方を変化させるためのユーザ入力の態様は、任意であるが、好ましい例については後述する。
【0028】
図3(A)に示す例では、枠表示70は、4つの操作項目80,81,82,83の全てを囲む位置に出力される。これに応じて、タッチパッド10の操作面には、4つの操作項目80,81,82,83に対する反応領域が形成される。具体的には、操作項目80に対する反応領域は、タッチパッド10の操作面の横方向で範囲A0により縦方向で範囲Hにより規定され、操作項目81に対する反応領域は、タッチパッド10の操作面の横方向で範囲A1により縦方向で範囲Hにより規定され、操作項目82に対する反応領域は、タッチパッド10の操作面の横方向の範囲A2により縦方向で範囲Hにより規定され、操作項目83に対する反応領域は、タッチパッド10の操作面の横方向で範囲A3により縦方向で範囲Hにより規定されている。尚、縦方向の反応範囲Hは、本例では、タッチパッド10の操作面の上縁と下縁を除いた範囲であるが、下縁のみ若しくは上縁のみを除いた範囲であってもよいし、双方を含む範囲であってもよい。また、横方向の反応範囲A1,A2,A3,A4は、本例では、タッチパッド10の操作面の左右の縁部を除いた範囲内に規定されるが、左右の縁部を含む範囲内に規定されてもよい。また、横方向の反応範囲A1,A2,A3,A4について、隣接する反応範囲間には、不反応範囲(不感帯範囲)が設定されてもよいし、後述の引き込み力が作用する領域が設定されてもよい。
【0029】
図3(B)に示す例では、枠表示70は、4つの操作項目80,81,82,83のうちの1つの操作項目83のみを囲む位置に出力される。これに応じて、タッチパッド10の操作面には、1つの操作項目83に対する反応領域が形成される。具体的には、操作項目83に対する反応領域は、タッチパッド10の操作面の横方向で範囲A3により縦方向で範囲Hにより規定されている。この横方向の反応範囲A3は、図3(A)に示す場合の反応範囲A3よりも広い範囲であってよい。例えば、横方向の反応範囲A3は、図3(A)に示す場合の横方向の反応範囲A3の約4倍に設定することができる。これにより、ユーザは、タッチパッド10の操作面において操作項目83を選択して機能させる操作を容易に行うことができる。尚、縦方向の反応範囲Hは、図3(A)に示す場合の反応範囲Hと同一であってよい。
【0030】
このように、枠表示70の位置を変化させることで、ユーザは、タッチパッド10により操作可能なディスプレイ20の操作画面の画面範囲(操作可能な操作項目)を自由に選択することができる。尚、図3(A)及び(B)に示す例では、枠表示70の大きさ自体は、変化していない。
【0031】
図3(C)に示す例では、枠表示70は、4つの操作項目80,81,82,83のうちの2つの操作項目82,83を囲む位置及び大きさで出力される。これに応じて、タッチパッド10の操作面には、2つの操作項目82,83に対する反応領域が形成される。具体的には、操作項目82に対する反応領域は、タッチパッド10の操作面の横方向で範囲A2により縦方向で範囲Hにより規定され、操作項目83に対する反応領域は、タッチパッド10の操作面の横方向で範囲A3により縦方向で範囲Hにより規定されている。この横方向の反応範囲A2及びA3は、それぞれ、図3(A)に示す場合の反応範囲A2及びA3よりも広い範囲であってよい。例えば、横方向の反応範囲A2及びA3は、それぞれ、図3(A)に示す場合の横方向の反応範囲A2及びA3の約2倍に設定することができる。これにより、ユーザは、タッチパッド10の操作面において操作項目82又は83を選択して機能させる操作を容易に行うことができる。尚、縦方向の反応範囲Hは、図3(A)に示す場合の反応範囲Hと同一であってよい。
【0032】
このように、枠表示70の範囲(位置及び/又は大きさ)を変化させることで、ユーザは、タッチパッド10により操作可能なディスプレイ20の操作画面の画面範囲(操作可能な操作項目)を自由に選択することができる。即ち、複数の操作項目80,81,82,83のうちの一部の操作項目のみを囲む枠表示70を出力すると共に(図3(B)参照)、ユーザからの入力に応じて、枠表示70により囲まれる操作項目を変化させることで(例えば、図3(B)に示す例では、枠表示70を左に移動させて操作項目82,81,80を囲むことで)、タッチパッド10の操作性を維持しつつ、タッチパッド10により操作可能な全体としての操作項目数が低減するのを防止することができる。尚、枠表示70の大きさを大きくすれば、その分だけ多くの操作項目が操作可能となり、枠表示70の大きさを小さくすれば、その分だけタッチパッド10の操作面での操作性が向上する。枠表示70の大きさを小さくしても、枠表示70を移動させることができるので、タッチパッド10により操作可能な全体としての操作項目数が低減されることはない。従って、ディスプレイ20の形状やディスプレイ20で表示される操作項目数からの制約を実質的に受けることなく、タッチパッド10とディスプレイ20とを連携させることが可能である。
【0033】
尚、図3に示す例では、枠表示70は、位置と大きさの双方が変化可能とされているが、位置と大きさのいずれか一方のみが変化可能であってもよい。また、枠表示70は、横方向に代えて若しくは加えて、上下方向に移動可能とされてもよいし、及び/又は、上下方向で大きさが変更可能とされてもよい。また、操作項目80,81,82,83の配列態様は、上述の如く任意である。例えば、図3に示す例において、操作項目80,81,82,83が横方向に均等に配列されてもよいし、より多くの操作項目が配列されてもよい(例えば、操作項目83の右側にも操作項目が存在してもよい)。
【0034】
次に、図3に示したような枠表示70の変化を実現するための処理等の各具体例について説明する。
【0035】
図4は、本実施例の制御ECU34により実現される主要処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
制御ECU34は、ステップ400におけるタッチパッド10が何ら操作されていない状態(タッチパッド面離し状態)から、タッチパッド10で何らの操作が行われている状態(タッチパッド面接触状態)に移行すると、タッチパッド面接触状態が継続している間(ステップ404)、座標信号を描画ECU32に送信する(ステップ402)。従って、タッチパッド10の操作面にタッチする操作が行われた場合、当該タッチ操作により接触された2次元位置を表す座標信号が描画ECU32に送信される。また、タッチパッド10の操作面を指で接触させながらなぞる操作が行われた場合、当該なぞる操作により接触された各2次元位置(なぞった軌跡)を表す各座標信号が描画ECU32に送信される。制御ECU34は、タッチパッド面接触状態からタッチパッド面離し状態に移行すると、その旨を表す信号(以下、非接触移行信号ともいう)を描画ECU32に送信する(ステップ406)。
【0037】
図5は、本実施例の描画ECU32により実現される主要処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
描画ECU32は、ステップ500におけるタッチパッド10が何ら操作されていない状態(タッチパッド面離し状態)から、座標信号を受信すると、当該座標信号が表す接触点座標(タッチパッド10の操作面での操作指の接触点の2次元座標)がタッチパッド10の操作面の縁部であるか否かを判定する。判定対象となるタッチパッド10の操作面の縁部は、操作面の任意の縁部であってよい。例えば、図3に示した例のように枠表示70が左右方向に移動可能である構成の場合、判定対象となるタッチパッド10の縁部は、下縁のみ、又は、上縁のみ、若しくは、下縁及び上縁であってもよい。また、枠表示70が上下方向に移動可能である構成の場合、判定対象となるタッチパッド10の縁部は、左縁のみ、又は、右縁のみ、若しくは、左右の縁部の双方であってよい。また、枠表示70が左右方向及び上下方向に移動可能である構成の場合、判定対象となるタッチパッド10の縁部は、下縁及び左縁のみ、又は、下縁及び右縁、若しくは、上縁及び左縁のみ、等であってよい。
【0039】
ステップ502の判定の結果、接触点座標がタッチパッド10の操作面の縁部である場合は、ステップ504以降の処理に進む。この場合は、描画ECU32は、タッチパッド面接触状態(及びこれに伴う枠表示操作状態)が継続している間(ステップ506)、描画ECU32から受信される座標信号に基づいて、枠表示70の移動処理(枠表示移動処理)を行う(ステップ504)。例えば、図3に示した例のように枠表示70が左右方向に移動可能である場合、タッチパッド10の操作面の下縁等を右方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を右方向に移動し、タッチパッド10の操作面の下縁等を左方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を左方向に移動する。また、枠表示70が上下方向に移動可能である場合、タッチパッド10の操作面の右縁等を上方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を上方向に移動し、タッチパッド10の操作面の右縁等を下方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を下方向に移動する。この枠表示移動処理は、非接触移行信号が受信されるまで(タッチパッド面離し状態に移行するまで)継続する。
【0040】
他方、ステップ502の判定の結果、接触点座標がタッチパッド10の操作面の縁部以外である場合は、ステップ530以降の処理に進む。この場合は、描画ECU32は、タッチパッド面接触状態(及びこれに伴う操作項目操作状態)が継続している間(ステップ532)、描画ECU32から受信される座標信号に基づいて、枠表示70内のどの操作項目が選択されたかを決定する操作項目選択処理を行う(ステップ530)。この際、座標信号が表す接触点座標と、ディスプレイ20上の操作画面内の各座標との対応関係は、ディスプレイ20上の操作画面内における枠表示70の位置(大きさ)に基づいて決定される。即ちタッチパッド10の操作面の各2次元座標と、ディスプレイ20上の操作画面内の各2次元座標との対応関係は、ディスプレイ20上の操作画面内における枠表示70の位置(大きさ)に基づいて決定される。この際、ディスプレイ20上の操作画面における枠表示70内の操作画面部分と、タッチパッド10の操作面とが絶対座標系で同調している(ユーザ側から視て左右上下方向について同調している)。従って、例えタッチパッド10の操作面上の同一の接触点座標であっても、ディスプレイ20上の操作画面内における枠表示70の位置(大きさ)が異なる位置にあるときには、異なる操作項目が選択されることもある。例えば、図3(A)に示した枠表示70の場合は、横方向の反応領域A0で規定される接触点座標は、操作項目80に対応付けられるが、図3(B)に示した枠表示70の場合は、同接触点座標は、操作項目83に対応付けられる。
【0041】
ステップ530においては、項目選択状態描画機能322により、選択された操作項目を選択表示表現(例えばハイライト表現)に変化させることで、当該操作項目が選択状態にあることをユーザに知らせてもよい。非接触移行信号が受信されると(タッチパッド面離し状態に変化すると)、決定操作待ちタイマを起動し(ステップ534)、タッチパッド面離し状態及び決定操作保持状態が維持され(ステップ536)、タッチパッド面離し状態及び決定操作保持状態が所定時間継続すると(タイマアウト)、ステップ538において操作画面を通常表示に戻して(即ち操作項目の選択表示表現を元の表現に戻して)、ステップ500に戻る。他方、タイマアウトするまでにタッチパッド面離し状態及び決定操作保持状態にて座標信号が再び受信された場合は、現在選択されている操作項目の決定表示処理(確定表示処理)が実行される。この際、決定表示処理のための座標信号は、所定の接触点座標を表す座標信号であってよい。所定の接触点座標は、現在選択されている操作項目に対応する反応領域内であってもよいし、他の位置であってもよい。他の位置としては、例えば、現在選択されている操作項目に対応する反応領域内とその周辺であってもよいし、タッチパッドの角のような特定の位置であってもよいし、タッチパッド10の操作面上の任意の位置であってもよい。また、新たに決定ボタンを、ディスプレイ20上の現在選択されている操作項目の周辺に表示する構成であってもよく、この場合、決定操作は、タッチパッド10におけるその決定ボタンに対応する反応領域へのタッチ操作により実現されてもよい。或いは、決定操作は、タッチパッド10以外の入力装置(例えばタッチパッド10の周囲に設けられるタクトスイッチ)により行われてもよい。決定表示処理は、決定された操作項目の表示を、当該操作項目が決定されたことが分かるような態様で表現する(例えば形や色を変化させる)ことで実現されてもよい。
【0042】
ここでは、一例として、決定操作がタッチパッド10の操作面の所定位置への接触及びその解除(離し)により実現されることが想定される。この場合、タッチパッド10の操作面の所定位置への接触に伴うタッチパッド面接触及び決定解除待ち状態において、非接触移行信号が受信されると、機能実現処理と共に操作画面を通常表示に戻して(ステップ538)、ステップ500に戻る。この際、例えばエアコン操作画面である場合、例えばマニュアルモードでAUTOスイッチに係る操作項目が選択・決定された場合、AUTOスイッチに係る操作項目が決定表現となる通常表示へと戻される。また、機能実現処理は、選択・決定された操作項目に依存して実行される。例えば、AUTOスイッチに係る操作項目が選択・決定された場合、描画ECU32からの信号に応答してエアコンECUによりオートモードが実現される。機能実現処理は、決定された操作項目の機能に応じた画面への遷移を伴う又は実行するものであってよい。例えば、情報項目“空調設定”が選択・決定された場合、ディスプレイ20上には、図6に示すような空調設定用操作画面が通常表示(ステップ538)として出力されてもよい。この場合、処理はステップ500に戻り、ユーザは、タッチパッド10上において、空調設定用操作画面上の各種ボタンをタッチパッド10上で操作することで所望の空調設定を行うことができる。この際も、枠表示70が同様に利用されてもよい。尚、ディスプレイ20の操作画面は、複数の階層で構成されてもよい。
【0043】
尚、図5に示した処理では、タッチパッド10の操作面の縁部をなぞる操作により枠表示70の移動が実現されているが、枠表示70の移動を実現するための操作態様は任意であってよい。例えば、タッチパッド10の操作面以外の入力装置への入力(例えば機械的な回転スイッチ又はスライドスイッチに対する回転又はスライド操作)に基づいて枠表示70の移動が実現されてもよい。
【0044】
図7は、図5のステップ504及び506に関連した説明図であり、ユーザの入力に応じて枠表示70の位置が変化される態様を示す図である。尚、ここでは、図3に示した例に適用した場合について説明する。
【0045】
図7(A)に示すように、タッチパッド面離し状態では、枠表示70は、初期の位置及び大きさで表示される。初期の位置及び大きさは、デフォルトの位置や大きさであってもよいし、前回の位置及び大きさが維持されてもよい。ユーザの操作指がタッチパッド10の縁部(本例では、下縁)に触れると、図7(B)に示すように、枠表示70は、枠選択状態描画機能324により通常表現(図7(A)参照)からハイライト表現に変化される。尚、図7に示す例では、ハイライト表現は、通常表現よりも線の太さが太い表現であるが、任意の表現であってよい。ユーザの操作指がタッチパッド10の縁部に触れながら右方向にスライドされると(なぞられると)、それに応じて、図7(C)に示すように、枠表示描画機能323により枠表示70の全体が右方向へ移動される。枠表示70の移動量は、なぞる操作の操作量(なぞる距離)や操作速度(なぞる速度)に応じて決定されてもよい。また、枠表示70は、最も近い操作項目間に境界線が位置するように引き込み力を受ける態様で、移動されてもよい。例えば、図7(C)に示す例では、枠表示70は、左側の境界線70aが操作項目82上に位置するので、枠表示70は、左側の境界線70aが操作項目81,82の間又は操作項目82,83の間に引き込まれる態様で、移動されてもよい。尚、引き込み力は、距離の近接度合いに加えて、なぞる操作の方向を考慮して決定されてもよい。即ち、引き込み力は、距離が近く且つなぞる操作の方向の位置する操作項目間に境界線が優先的に引き込まれる態様で、決定されてもよい。そして、枠表示70が所望の位置まで移動されると、ユーザは操作指をタッチパッド10の操作面から離し、これに伴い、図7(D)に示すように、枠表示70がハイライト表現から元の通常表現に戻される。
【0046】
図8は、図5のステップ530の操作項目選択処理に関連した説明図であり、近似的に操作項目を選択する近似選択処理の一例を示す図である。近似選択処理は、図5のステップ530の操作項目選択処理で利用されてもよい。図8には、タッチパッド10の操作面における4つの反応領域SW1−SW4の範囲が矩形で示されている。尚、4つの反応領域SW1−SW4は、ディスプレイ20の操作画面における枠表示70内の4つの操作項目(図示せず)に配列が対応しているものとする。ここでは、便宜上、図3に示したような横方向の一列の配列ではなく、図8に示すような2列の配列が想定される。
【0047】
図8(A)では、タッチパッド10の操作面における接触点座標Pが×印で示される。尚、この接触点座標Pは、タッチパッド面離し状態からのタッチ操作によるものである。この場合、接触点座標Pと4つの反応領域SW1−SW4のそれぞれと距離r1−r4が算出される。図8(A)に示す例では、r1<r2<r3<r4であるので、反応領域SW1に対応する操作項目が選択表示表現に変化される。ここでは、反応領域SW1に対応する操作項目が所望でないことが想定され、ユーザは、タッチパッド10の操作面との接触を維持しながら右方向へと操作指を動かす。このとき、図8(B)に示すように、接触点座標は、PからPへと移動される。この間、移動ベクトルが算出され、移動ベクトルが考慮される。移動ベクトルは、現時点の直前からの瞬間的な移動ベクトルであってもよいし、接触点座標Pから現在の接触点座標Pまでの移動ベクトルであってもよい。図8(B)に示す例では、移動ベクトルの方向に位置する反応領域SW4に対応する操作項目が選択表示表現に変化される。
【0048】
より具体的には、PからPへと移動する間、各接触点座標と4つの反応領域SW1−SW4のそれぞれと距離r1−r4が算出(更新)され、また、移動ベクトルが算出される。距離r1−r4は、例えば、移動ベクトルと、接触点座標から反応領域SW1−SW4までの最短距離を結ぶベクトルとのなす角度により補正されてもよい。この場合、距離r1−r4は、この角度が大きいほど大きくなる態様で補正されてもよい。例えば、反応領域SW2については、移動ベクトルとは逆方向であるので、非常に大きな値に補正され、実質的に存在が無視されてもよい。これにより、PからPへと移動する間に、r2が最小となることがあった場合でも、反応領域SW2に対応する操作項目が選択表示表現に変化されるのを防止することができる。図8(B)に示す例では、接触点座標Pにおいて距離r3と距離r4とが実質的に等しいときでも、距離r3と距離r4が角度により補正され、距離r4が最も短くなるので、反応領域SW4に対応する操作項目が選択表示表現に変化される。尚、図8に示す例において、反応領域SW1に対応する操作項目から反応領域SW4に対応する操作項目への選択表示表現の遷移は、距離r4(補正後又は補正前)が距離r1よりも小さくなったときであってもよいし、距離r4(補正後又は補正前)が所定閾値よりも小さくなったときであってもよい。
【0049】
このような近似選択処理によれば、振動等による指の僅かな動きの影響が低減され、また、ユーザの意思が考慮されるので、ユーザが指でタッチパッド10の操作面をなぞる操作により簡単に所望の操作項目を選択することができる。特に運転中においても、操作に意識を取られることが防止され、操作性を高めることができる。
【0050】
図9は、図5のステップ540及び542に関連した説明図であり、決定操作の一例を示す図である。尚、図9に示す例では、図3に示したような配列態様とは異なる例として、ディスプレイ20上には、7つの操作項目が横一列に配列されている。
【0051】
図9(A)では、タッチパッド10の操作面における接触点座標に対応したディスプレイ20上の座標が×印で示される。尚、この接触点座標は、タッチパッド面離し状態からのタッチ操作によるものである。この場合、例えば図8で説明した近似選択処理に従い、操作項目80が選択表示表現に変化される。ここでは、操作項目80がユーザの所望でないことが想定され、ユーザは、図9(B)に示すように、タッチパッド10の操作面との接触を維持しながら右方向へと操作指を動かす。この間は、タッチパッド10の操作面における接触点座標と、ディスプレイ20の操作画面における枠表示70内の画面部分の座標とは、上述の如く所定の対応関係で対応付けられている。従って、選択表示表現が操作項目80から操作項目81、操作項目82へと順に移動する。ここでは、操作項目82がユーザの所望であることが想定される。この場合、ユーザは、図9(C)に示すように、選択表示表現が操作項目82へと移動したときに、タッチパッド10の操作面から指を離してから、決定操作としてタッチ操作(タップ)する。この際、本実施例では、タップされた接触点座標(図9(C)のディスプレイ20上の×印参照)が、操作項目82に対応する反応領域からずれている場合でも、現時点で選択表示表現である操作項目82が決定されたと看做して、各種処理を実行する(図5のステップ540,542,538参照)。即ち、タッチパッド10の操作面から指を離した時点で、一時的に、タッチパッド10の操作面における接触点座標と、ディスプレイ20の操作画面における枠表示70内の画面部分の座標との間の所定の対応関係が補正される。具体的には、タッチパッド10の操作面から指を離したときの接触点座標が、現時点で選択表示表現である操作項目82に係る反応領域に対応するように補正される。これにより、なぞる操作から離し操作を介してタップ操作を行う一連の選択・決定操作を行う際、例えばなぞる操作の流れで操作指が真上に離されないことに起因して、その後のタップによる接触点座標がユーザの所望の操作項目に対応する反応領域からずれている場合(図9(C)のディスプレイ20上の×印参照)でも、ユーザの所望の操作項目が決定されることになるので、操作性が向上する。
【0052】
図10は、本実施例の描画ECU32により実現される主要処理の他の一例を示すフローチャートである。
【0053】
図10に示す処理は、ステップ508,510が追加された点が図5に示した処理と異なる。従って、同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。図10に示す処理では、ステップ508,510が追加されることで、一旦、ステップ506にてタッチパッド面接触状態(及びこれに伴う枠表示操作状態)が形成されると、非接触移行信号が受信されても、保持タイマにより計時される所定時間、枠表示操作保持状態が形成され、枠表示操作が受け付けられる。従って、ユーザは、この間、枠表示70の移動のやり直しを行うことで、枠表示70の位置を修正することができる。尚、この間、枠表示操作保持状態であることがユーザに分かるように、枠表示70は、ハイライト表現が維持されてもよい。尚、非接触移行信号が受信されてから、座標信号が新たに受信されることなく、所定時間経過すると、ステップ500に戻る。
【0054】
尚、図10に示す例では、枠表示操作、特に枠表示70を移動させる操作は、図5に示した例と同様、タッチパッド10の操作面の縁部を指でなぞる操作であってもよいが、それ以外の操作であってもよい。例えば、枠表示70を移動させる操作は、タッチパッド10の操作面における縁部以外の部位をなぞる操作であってもよい。この場合、ユーザは、先ず、タッチパッド10の操作面の縁部を指で触れることで、枠表示操作状態を形成し(ステップ506)、次に、タッチパッド10の操作面の縁部から指を離し、その後、保持タイマにより計時される所定時間が経過するまでに、タッチパッド10の操作面における縁部以外の部位をなぞる操作により枠表示70の全体を移動させることとしてもよい。
【0055】
尚、図10に示す処理では、タッチパッド10の操作面の縁部が接触されるか、又は、タッチパッド10の操作面の縁部以外が接触されるかに応じて、ステップ504以降の枠表示操作関係の処理、又は、ステップ530以降の枠表示70内の操作項目操作関係の処理に振り分けられている。これは、タッチパッド10の操作面の縁部は、一般的に、操作面と周辺パネルとの間の段差に起因して、ユーザが感覚により把握できる部位であるためである。但し、タッチパッド10の操作面の縁部以外の所定部位が接触されるか否かで同様の振り分けを行ってもよいし、タッチパッド10の操作面の以外の入力装置への入力に基づいて同様の振り分けを行ってもよい。
【0056】
図11は、本実施例の描画ECU32により実現される主要処理の更なる他の一例を示すフローチャートである。図11に示す処理は、ステップ503,505が追加された点が図10に示した処理と異なる。従って、同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を適宜省略する。図11に示す処理では、ステップ503,505が追加されることで、タッチパッド10の枠表示70の移動処理(枠表示移動処理)に加えて、タッチパッド10の枠表示70の大きさを変更する処理(枠表示拡縮処理)が実行可能となる。尚、図5及び図11に示す例において、タッチパッド10の枠表示70の移動処理に代えて、以下で説明するタッチパッド10の枠表示70の枠表示拡縮処理を組み入れることも可能である。
【0057】
図11に示す処理では、描画ECU32は、ステップ500におけるタッチパッド10が何ら操作されていない状態(タッチパッド面離し状態)から、座標信号を受信すると、当該座標信号が表す接触点座標(タッチパッド10の操作面での操作指の接触点の2次元座標)がタッチパッド10の操作面の縁部であるか否かを判定する。ステップ502の判定の結果、接触点座標がタッチパッド10の操作面の縁部である場合は、ステップ503以降の処理に進む。
【0058】
ステップ503では、描画ECU32は、操作指の本数を判定し、操作指の本数が1本である場合は、ステップ504に進み、操作指の本数が2本である場合は、ステップ505に進む。操作指の本数は、例えば、座標信号の個数(又は範囲)により判断されてもよい。
【0059】
ステップ504では、描画ECU32は、タッチパッド面接触状態(及びこれに伴う枠表示操作状態)が継続している間(ステップ506)、描画ECU32から受信される座標信号に基づいて、枠表示移動処理を行う。例えば、図3に示した例のように枠表示70が左右方向に移動可能である場合、タッチパッド10の操作面の下縁等を1本の操作指で右方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を右方向に移動し、タッチパッド10の操作面の下縁等を1本の操作指で左方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を左方向に移動する。また、枠表示70が上下方向に移動可能である場合、タッチパッド10の操作面の右縁等を1本の操作指で上方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を上方向に移動し、タッチパッド10の操作面の右縁等を1本の操作指で下方向になぞる操作に応じて、枠表示70の全体を下方向に移動する。この枠表示移動処理は、非接触移行信号が受信されるまで(タッチパッド面離し状態に移行するまで)継続する。
【0060】
ステップ505では、描画ECU32は、タッチパッド面接触状態(及びこれに伴う枠表示操作状態)が継続している間(ステップ506)、描画ECU32から受信される座標信号に基づいて、枠表示拡縮処理を行う。例えば、図3に示した例のように枠表示70が左右方向に拡縮可能である場合、タッチパッド10の操作面の下縁を2本の操作指で右方向になぞる操作に応じて、枠表示70の左側の境界線70aを右方向に移動し、タッチパッド10の操作面の下縁を2本の操作指で左方向になぞる操作に応じて、枠表示70の右側の境界線70bを左方向に移動する(図12参照)。或いは、タッチパッド10の操作面の下縁に接触する2本の指を開く操作に応じて、枠表示70を左右方向で拡大し、タッチパッド10の操作面の下縁に接触する2本の指を閉じる操作に応じて、枠表示70を左右方向で縮小する。左右方向の拡大・縮小量は、2本の指を開く量・閉じる量に応じて決定されてもよい。これらの量は、例えば2つの操作指の接触点座標を表す2つの座標信号に基づいて判断されてもよい。また、枠表示70が上下方向に拡縮可能である場合、タッチパッド10の操作面の右縁等を2本の操作指で上方向になぞる操作に応じて、枠表示70の下側の境界線70cを上方向に移動し、タッチパッド10の操作面の右縁等を2本の操作指で下方向になぞる操作に応じて、枠表示70の上側の境界線70dを下方向に移動する。或いは、タッチパッド10の操作面の右縁等に接触する2本の指を開く操作に応じて、枠表示70を上下方向で拡大し、タッチパッド10の操作面の右縁等に接触する2本の指を閉じる操作に応じて、枠表示70を上下方向で縮小する。上下方向の拡大・縮小量は、2本の指を開く量・閉じる量に応じて決定されてもよい。これらの量は、例えば2つの操作指の接触点座標を表す2つの座標信号に基づいて判断されてもよい。この枠表示拡縮処理は、非接触移行信号が受信されるまで(タッチパッド面離し状態に移行するまで)継続する。
【0061】
ステップ505(又はステップ504)の後は、図10に示した処理と同様であり、一旦、ステップ506にてタッチパッド面接触状態(及びこれに伴う枠表示操作状態)が形成されると、非接触移行信号が受信されても、保持タイマにより計時される所定時間、枠表示操作保持状態が形成され、枠表示操作が受け付けられる。従って、ユーザは、この間、枠表示70の移動や大きさ変更を行うことで、枠表示70の位置や大きさを修正することができる。尚、この間、枠表示操作保持状態であることがユーザに分かるように、枠表示70は、ハイライト表現が維持されてもよい。尚、非接触移行信号が受信されてから、座標信号が新たに受信されることなく、所定時間経過すると、ステップ500に戻る。
【0062】
図12は、図11のステップ503,505に関連した説明図であり、ユーザの入力に応じて枠表示70の大きさが変化される態様を示す図である。尚、ここでは、図3に示した例に適用した場合について説明する。
【0063】
図12(A)に示すように、タッチパッド面離し状態では、枠表示70は、初期の位置及び大きさで表示される。初期の位置及び大きさは、デフォルトの位置や大きさであってもよいし、前回の位置及び大きさが維持されてもよい。ユーザの操作指がタッチパッド10の縁部(本例では、下縁)に触れると、図12(B)に示すように、枠表示70は、枠選択状態描画機能324により通常表現からハイライト表現に変化される。ユーザの2本の操作指がタッチパッド10の縁部に触れながら右方向にスライドされると(なぞられると)、それに応じて、図12(C)に示すように、枠表示描画機能323により枠表示70の左側の境界線70aが右方向へ移動される。枠表示70の左側の境界線70aの移動量は、なぞる操作の操作量や操作速度に応じて決定されてもよい。また、枠表示70の境界線は、最も近い操作項目間に引き込まれる態様で移動されてもよい。例えば、図12(C)に示す例では、枠表示70の左側の境界線70aは、操作項目80,81の間付近に位置するので、操作項目80,81の間に引き込まれる態様で、移動されてもよい。尚、引き込み力は、近接度合いに加えて、なぞる操作の方向を考慮して決定されてもよい。即ち、引き込み力は、距離が近く且つなぞる操作の方向の位置する操作項目間に境界線が優先的に引き込まれる態様で、決定されてもよい。そして、枠表示70が所望の位置まで移動されると、ユーザは操作指をタッチパッド10の操作面から離し、これに伴い、図12(D)に示すように、枠表示70がハイライト表現から元の通常表現に戻される。
【0064】
尚、図11に示す例では、枠表示操作、特に枠表示70の大きさを変化させる操作は、タッチパッド10の操作面の縁部を2本の指でなぞる操作であってもよいが、それ以外の操作であってもよい。例えば、枠表示70の大きさを変化させる操作は、タッチパッド10の操作面における縁部以外の部位を所定本数の指でなぞる操作であってもよい。この場合、ユーザは、先ず、タッチパッド10の操作面の縁部を指で触れることで、枠表示操作状態を形成し(ステップ506)、次に、タッチパッド10の操作面の縁部から指を離し、その後、保持タイマにより計時される所定時間が経過するまでに、タッチパッド10の操作面における縁部以外の部位を所定本数の指で所望の方向になぞる操作により枠表示70の左右及び/又は上下の境界線を所望の方向へ移動させることとしてもよい。或いは、枠表示70の大きさを変化させる操作は、タッチパッド10の操作面における縁部以外の部位に接触する2本の指の間隔を左右方向及び/又は上下方向で広げたり狭めたりする操作であってもよい。この場合も、ユーザは、先ず、タッチパッド10の操作面の縁部を指で触れることで、枠表示操作状態を形成し(ステップ506)、次に、タッチパッド10の操作面の縁部から指を離し、その後、保持タイマにより計時される所定時間が経過するまでに、タッチパッド10の操作面における縁部以外の部位で2本の指の間隔を所望の方向で変化させることで、枠表示70の左右及び/又は上下の境界線を所望の方向へ移動させることとしてもよい。或いは、枠表示70の大きさを変化させる操作は、タッチパッド10の操作面における、枠表示70の左右及び/又は上下の境界線に対応する部位に操作指を接触させてからなぞる操作により枠表示70の左右及び/又は上下の境界線を移動させることとしてもよい。この場合も、ユーザは、先ず、タッチパッド10の操作面の縁部を指で触れることで、枠表示操作状態を形成し(ステップ506)、次に、タッチパッド10の操作面の縁部から指を離し、その後、保持タイマにより計時される所定時間が経過するまでに、タッチパッド10の操作面における、枠表示70の左右及び/又は上下の境界線に対応する部位に操作指を接触させてから所望の方向へのなぞる操作により枠表示70の左右及び/又は上下の境界線を所望の方向へ移動させることとしてもよい。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0066】
例えば、上述した実施例では、ユーザからの入力に応じて枠表示70の位置及び大きさを変化させることで、枠表示70により囲まれる操作項目を変化させているが、この動きは相対的であればよく、逆の構成も可能である。即ち、枠表示70の位置及び大きさを固定しつつ、ユーザからの入力に応じてディスプレイ20上の操作画面を変化させることで、枠表示70により囲まれる操作項目を変化させてもよい。この場合、枠表示70は、ディスプレイ20上の操作画面上に表示される複数の操作項目の一部のみを囲む大きさに固定されてもよい。そして、例えばタッチパッド10の操作面の縁部を触れることで表示枠操作保持状態を形成しつつ、タッチパッド10の操作面を左右方向になぞる操作を行うことで、ディスプレイ20上の操作画面を左右方向に移動(スクロール)できるようにしてもよい。また、例えばタッチパッド10の操作面の縁部を触れることで表示枠操作保持状態を形成しつつ、タッチパッド10の操作面上に接触する2本の指の間隔を左右方向及び/又は上下方向で広げたり狭めたりする操作を行うことで、ディスプレイ20上の操作画面を左右方向及び/又は上下方向で拡大・縮小できるようにしてもよい。また、ディスプレイ20上の操作画面は、スクロール操作により、スクロール操作前に表示されていない新たな操作項目を出現させるものであってもよい。
【0067】
また、上述した実施例では、タッチパッド10を用いているが、タッチパネルのような他のタッチ操作可能な入力装置が使用されてもよい。タッチパネルにおけるタッチ操作を検出する原理は、任意であり、感圧式であってもよいし、静電式であってもよい。尚、タッチ操作は、人の手によるタッチ操作や、ペン(スタイラス)などの器具によるタッチ操作を含んでよい。
【0068】
また、上述した実施例では、枠表示70は、4つの辺を備える閉じた枠の形態であったが、必ずしも閉じた形態である必要はない。例えば、枠表示70は、左側と右側の境界線を規定する2本の縦線の表示であってもよい。
【0069】
また、上述した実施例では、枠表示70は、ユーザの入力に応じて位置や大きさが変化されているが、車両の走行状態に応じて大きさが変化されてもよい。例えば、走行中は停止中に比べてタッチパッド10上の緻密な位置の指定が困難であることを考慮して、走行中は、枠表示70が縮小されてもよいし、停止中は、枠表示70が拡大されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用操作装置
10 タッチパッド
20 ディスプレイ
32 描画ECU
34 制御ECU
36 制御信号ライン
70 枠表示
70a 左側の境界線
70b 右側の境界線
80−83 操作項目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作が可能な操作面を備える入力装置と、
前記入力装置よりも運転席から遠い側に配置され、複数の操作項目を含む操作画面を表示するディスプレイと、
処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記ディスプレイに、前記ディスプレイの操作画面における前記入力装置により操作可能な画面範囲を表す枠表示であって、前記複数の操作項目のうちの一部の操作項目のみを囲む枠表示を出力すると共に、ユーザからの入力に応じて、前記枠表示により囲まれる操作項目を変化させることを特徴とする、車両用操作装置。
【請求項2】
前記処理装置は、ユーザからの入力に応じて、前記ディスプレイの操作画面における前記枠表示の位置及び大きさの少なくともいずれか一方を変化させる、請求項2に記載の車両用操作装置。
【請求項3】
前記処理装置は、前記入力装置の操作面の2次元位置と、前記操作画面の2次元位置との対応関係を、前記枠表示の位置及び大きさの少なくともいずれか一方の変化に応じて変化させる、請求項2に記載の車両用操作装置。
【請求項4】
前記処理装置は、前記入力装置の操作面上の各2次元位置を、前記操作画面における前記枠表示が表す画面範囲内の各2次元位置に対応付ける、請求項3に記載の車両用操作装置。
【請求項5】
前記処理装置は、前記入力装置の操作面の縁部に操作指が接触される操作を検出した場合に、前記枠表示の位置及び大きさの少なくともいずれか一方がユーザからの入力に応じて変化可能な状態を形成する、請求項2〜4のうちのいずれか1項に記載の車両用操作装置。
【請求項6】
前記枠表示の位置及び大きさの少なくともいずれか一方がユーザからの入力に応じて変化可能な状態を形成している状況下で、前記入力装置の操作面上で操作指を移動させる位置変更操作を検出した場合に、前記処理装置は、前記位置変更操作に応じて前記枠表示の位置を変化させる、請求項5に記載の車両用操作装置。
【請求項7】
前記枠表示の位置及び大きさの少なくともいずれか一方がユーザからの入力に応じて変化可能な状態を形成している状況下で、前記入力装置の操作面上で2本の操作指の間隔を変化させる大きさ変更操作を検出した場合に、前記処理装置は、前記大きさ変更操作に応じて前記枠表示の大きさを変化させる、請求項5又は6に記載の車両用操作装置。
【請求項8】
前記処理装置は、前記枠表示の位置及び大きさの少なくともいずれか一方がユーザからの入力に応じて変化可能な状態と、前記操作画面における前記枠表示が表す画面範囲内の操作項目がユーザからの入力に応じて操作可能な状態とを、選択的に形成し、
前記操作画面における前記枠表示が表す画面範囲内の操作項目がユーザからの入力に応じて操作可能な状態を形成している状況下で、前記入力装置の操作面上の2次元位置の指示操作が検出された場合、前記処理装置は、前記枠表示が表す画面範囲内の複数の操作項目のうちの、前記指示された2次元位置に対応する前記操作画面における2次元位置に最も近い1つの操作項目を優先的に選択する、請求項5〜7のうちのいずれか1項に記載の車両用操作装置。
【請求項9】
前記処理装置は、前記枠表示の位置及び大きさの少なくともいずれか一方がユーザからの入力に応じて変化可能な状態と、前記操作画面における前記枠表示が表す画面範囲内の操作項目がユーザからの入力に応じて操作可能な状態とを、選択的に形成し、
前記操作画面における前記枠表示が表す画面範囲内の操作項目がユーザからの入力に応じて操作可能な状態を形成している状況下で、前記入力装置の操作面上で操作指を移動させる位置変更操作を検出した場合に、前記処理装置は、前記操作画面における前記操作指の移動ベクトルの方向に位置する操作項目を優先的に選択する、請求項5〜7のうちのいずれか1項に記載の車両用操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−33343(P2013−33343A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168408(P2011−168408)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】