車両用灯具、及び、インナーレンズ
【課題】追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズを面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】インナーレンズと、前記インナーレンズに入射させる光を照射する複数の光源と、を備えた車両用灯具において、前記インナーレンズは、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を車両前後方向に延びる光軸方向に制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されている。
【解決手段】インナーレンズと、前記インナーレンズに入射させる光を照射する複数の光源と、を備えた車両用灯具において、前記インナーレンズは、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を車両前後方向に延びる光軸方向に制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に係り、特にインナーレンズに入射させ、該インナーレンズを面発光させるための光を照射する複数の光源を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インナーレンズに入射させ、該インナーレンズを面発光させるための光を照射する複数の光源を備えた車両用灯具が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図17は、特許文献1に記載の車両用灯具の構成を説明するための図である。
【0004】
図17(a)(b)に示すように、特許文献1に記載の車両用灯具は、インナーレンズ210、インナーレンズ210の下端211に配置された複数の光源220等を備えている。インナーレンズ210の裏面又は正面には、粗面化した拡散処理を施すことで複数の光発光部212が形成されている。
【0005】
この特許文献1に記載の車両用灯具においては、インナーレンズ210に入射した複数の光源220からの照射光が内部反射することでインナーレンズ210を面発光させるとともに、インナーレンズ210に入射した複数の光源220からの照射光が複数の光発光部212で反射することでこの光発光部212を強調して発光させることとなる。
【特許文献1】特開2002−216507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用灯具においては、複数の光発光部212の発光はインナーレンズ210に入射した複数の光源220からの照射光の反射によるものであるため、車両前後方向に延びる光軸方向に向かう複数の光発光部212からの反射光の光量は微量である。このため、上記特許文献1に記載の車両用灯具においては、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することができず、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するには、光量確保のため、追加の光源を設けなければならない、という問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズを面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供すること(面発光と所定配光パターンの両立)を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、インナーレンズと、前記インナーレンズに入射させる光を照射する複数の光源と、を備えた車両用灯具において、前記インナーレンズは、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を車両前後方向に延びる光軸方向に制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、反射面及び配光制御用プリズムによって構成される光学系でインナーレンズ本体に入射した複数の光源からの入射光の一部を取り出し、車両前後方向に延びる光軸方向に制御することで、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズを面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能な車両用灯具の提供が可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記インナーレンズ本体の裏面には、印刷又はシボ加工が施されており、その印刷又はシボ加工された領域と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域の比率が、1.4:1であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、インナーレンズ本体の裏面に施された印刷又はシボ加工された領域と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域の比率が、1.4:1であるので、インナーレンズ本体を均一にバランスよく面発光させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記反射面は、前記インナーレンズ本体の裏面に形成された三角柱形状の凹カット、円錐形状の凹カット、又は、多角錐形状の凹カットのカット面であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、インナーレンズ本体の裏面に、三角柱形状の凹カット、円錐形状の凹カット、又は、多角錐形状の凹カットを設けることで、カット面としての反射面を形成することが可能となる。また、円錐形状や多角錐形状の凹カットを設けることで形成されるカット面としての反射面は、下から直上に向かう光以外の、下から斜め上に向かう光(迷走する光)等も捉える(反射する)こととなるので、光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記インナーレンズ本体の裏面側に配置された、前記光源と同色の別機能の光源をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、インナーレンズ本体の裏面側に光源と同色の別機能の別光源を配置することが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて全反射するように形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、反射面は、インナーレンズ本体に入射した複数の光源からの入射光を配光制御用プリズムに向けて全反射するように形成されているので、複数の光源からの入射光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、複数の光源と組み合わせて用いられるインナーレンズにおいて、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、反射面及び配光制御用プリズムによって構成される光学系でインナーレンズ本体に入射した複数の光源からの入射光の一部を取り出し、車両前後方向に延びる光軸方向に制御することで、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能なインナーレンズの提供が可能となる。すなわち、請求項6に記載の発明によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズを面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能なインナーレンズの提供が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズ本体を面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能な車両用灯具を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の車両用灯具に用いられるインナーレンズの正面図である。図2は、図1に示したインナーレンズの背面図である。図3は、図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をA−A線で切断した断面図である。図4は、図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をB−B線で切断した断面図である。
【0023】
本実施形態の車両用灯具100は、自動車等の尾灯、制動灯等の車両用信号灯具に適用されるものであり、図1〜図4に示すように、インナーレンズ10、インナーレンズ10の下端面11aに対向した状態で配置された複数の光源20、図3、図4に示すように、インナーレンズ10の外側に設けられたアウターレンズ30、インナーレンズ10、複数の光源20、アウターレンズ30が固定されたハウジング40等を備えている。
【0024】
インナーレンズ10は、インナーレンズ本体11、インナーレンズ本体11の背面に設けられた複数の反射面12、インナーレンズ本体11の正面に設けられた配光制御用プリズム13を備えており、例えば、ポリカーボネートやアクリル等の透明材料を射出成型することにより一体的に形成されている。
【0025】
インナーレンズ本体11は、車両デザイン等との関係で、種々の形態をとり得る。図1〜図4は、正面視略矩形、鉛直断面が曲線形状となるように形成されたインナーレンズ本体11の例であり、背面(又は正面)には、印刷又はシボ加工(例えば、棚沢八光社TH110相当)が施されている。インナーレンズ本体11は、例えばハウジング40に固定されており、下端面11aから内部に複数の光源20からの照射光が入射し、この入射光が内部反射(導光)することで面発光する(図3、図4中L7、L8で例示する光線)。図2は、印刷又はシボ加工された領域(図2中三角の領域)と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域(図2中三角と三角の間の領域)の比率が、1.4:1の例である。この比率とすれば、インナーレンズ本体11を比較的均一にバランスよく面発光させることが可能となる。
【0026】
本実施形態においては、インナーレンズ本体11に入射した複数の光源20からの入射光の一部を取り出し、法規上要求される規格を満足する所定配光パターン(例えば、尾灯用の配光パターンや制動灯用の配光パターン)を形成するため、反射面12及び配光制御用プリズム13からなる光取り出し用の光学系が設けられている。
【0027】
反射面12は、複数の光源20からの入射光を反射面12のほぼ真裏に形成された配光制御用プリズム13に向けて全反射する反射面であり、例えば、図5に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に図5中左右方向に延びる三角柱形状の凹カットを設けることで形成されたカット面としての平面形状の反射面である。図2は、インナーレンズ本体11の裏面の左右12列の各列に一つの反射面12(上下二段の各段に六つの反射面12)を配置した例である。このように、反射面12を各列にひとつずつ間欠的に配置したので、インナーレンズ本体11を均一発光させることが可能となる。
【0028】
なお、反射面12が形成される列数、段数、反射面12の個数、サイズは、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンに応じて適宜の列数、段数、個数、サイズとすることが可能である。なお、反射面12の反射面積を大きくするため、凹カットはインナーレンズ本体11の厚み方向に出来るだけ深く形成するのが好ましい。
【0029】
反射面12の傾斜角度は、図6、図7に示すように、反射面12に到達した複数の光源20からの入射光L1、L2(平行光)が全反射する角度(例えば、インナーレンズ10がポリカーボネートやアクリルで形成されている場合、法線方向に対してα=45°以上)に設定されている。この反射面12の傾斜角度は、例えば、所定プログラムを用いて複数の光源20からの入射光の光線追跡を行うことで求めることが可能である。このように、反射面12はインナーレンズ本体10に入射した複数の光源20からの入射光を配光制御用プリズム13に向けて全反射するように形成されているので、複数の光源20からの入射光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0030】
配光制御用プリズム13は、この配光制御用プリズム13のほぼ真裏に設けられた反射面12からの反射光を制御して所定配光パターンを形成するためのものであり、インナーレンズ本体11の正面に形成されている。図1〜図4は、インナーレンズ本体11の正面に水平方向に延びる二つの配光制御用プリズム13(出射面13a)を配置した例である。
【0031】
出射面13aは、図6、図7に示すように、出射面13aに到達した反射面12からの反射光L1、L2を車両前後方向に延びる光軸AX方向に出射する出射面であり、例えば、反射面12からの反射光を上下左右に拡散させるようにカットされたカット面である。図6は図1中下段に配置された出射面13aの例であり、図7は図1中上段に配置された出射面13aの例である。この出射面13aの形状は、例えば、所定プログラムを用いて複数の光源20からの入射光の光線追跡を行うことで求めることが可能である。なお、特定の反射面12のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13(出射面13a)部分を、他の反射面12のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13(出射面13a)部分と異ならせてもよい。このようにすれば、例えば、他の反射面12及びこの他の反射面12のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13部分で基本配光パターンを形成し、特定の反射面及びこの特定の反射面のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13部分で基本配光パターンに重畳される付加配光パターンを形成することが可能となる。
【0032】
なお、図6、図7は一つの反射面12に対して一つの配光制御用プリズム13(出射面13a)を設けた例であるが、図8、図9に示すように、一つの反射面12に対して複数の配光制御用プリズム13(出射面13a)を設けてもよい。このように、一つの反射面12に対して複数の配光制御用プリズム13(出射面13a)を設ければ、肉厚が略均一となるため、インナーレンズ10の射出成型時の型抜きを容易に行うことが可能となる。
【0033】
光源20は、単色又は複数色(例えばRGB三色)の一つ又は複数のLEDチップをパッケージ化したLEDパッケージや白熱電球等の光源であり、インナーレンズ本体11の下端面11aに対向した状態でハウジング40等に固定されている。
【0034】
上記構成の車両用灯具100によれば、反射面12及び配光制御用プリズム13(出射面13a)によって構成される光学系でインナーレンズ本体11に入射した複数の光源20からの入射光の一部を取り出し、車両前後方向に延びる光軸AX方向に制御することで、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能となる。
【0035】
本出願の発明者らは、所定プログラムを用いたシミュレーションを行うことで、上記構成の車両用灯具100により形成される配光パターンが、車両用信号灯具に適した配光パターンとなっていることを確認した。
【0036】
図13は、本実施形態の車両用灯具100によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)であり、中心に向かうにつれて光度が高くなっていることを表している。図14は、欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図13に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【0037】
図15は、既存の一般的な車両用信号灯具によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)であり、中心に向かうにつれて光度が高くなっていることを表している。図16は、欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図15に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【0038】
図13〜図16を参照すると、図13に示した配光パターンは、図15に示した配光パターンと比べ、光度分布が異なるものの、図13に示した配光パターン中の各ポイントごとの実測光度が、欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって要求される光度を満たしていること(図14参照)、すなわち、本実施形態の車両用灯具100により形成される配光パターンが、車両用信号灯具に適した配光パターンであること、を確認できる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具100によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源20のみで、インナーレンズ本体11を面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、追加の光源を設けることなく、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能となるため、例えば、図12に示すように、上段の配光制御用プリズム13と下段の配光制御用プリズム13の間のインナーレンズ本体11部分の裏面側や、下段の配光制御用プリズム13と光源20の間のインナーレンズ本体11部分の裏面側に、光源20と同色の別機能の光源50を配置することが可能となる(例えば、光源20を尾灯用の光源とし、光源50を制動灯用の光源とする場合)。
【0041】
次に、変形例について説明する。
【0042】
上記実施形態では、反射面12は、図5に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に図5中左右方向に延びる三角柱形状の凹カットを設けることで形成されたカット面としての平面形状の反射面であるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、反射面12は、図10に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に円錐形状の凹カット、あるいは、図11に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に多角錐形状(図11では八角錐形状を例示)の凹カットを設けることで形成されたカット面としての曲面形状の反射面であってもよい。
【0043】
このように、円錐形状や多角錐形状の凹カットを設けることで形成されるカット面としての反射面12は、図2に示すように、下から直上に向かう光L3以外の、下から斜め上に向かう光L4〜L6(迷走する光)等も捉える(反射する)こととなるので、光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0044】
また、上記実施形態では、反射面12は全反射面であるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、インナーレンズ本体11の背面にアルミ蒸着等の鏡面処理を施すことにより反射面12を形成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、光源20は、インナーレンズ本体11の下端面11aに対向した状態で配置されているように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、光源20は、インナーレンズ本体11の上端面、左端面、右端面のいずれか、又は、いくつかの端面に対向した状態で配置されていてもよい。
【0046】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の車両用灯具に用いられるインナーレンズの正面図である。
【図2】図1に示したインナーレンズの背面図である。
【図3】図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をA−A線で切断した断面図である。
【図4】図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をB−B線で切断した断面図である。
【図5】インナーレンズの反射面12付近を拡大した拡大斜視図である。
【図6】インナーレンズの下側の配光制御用プリズム13付近を拡大した拡大断面図である。
【図7】インナーレンズの上側の配光制御用プリズム13付近を拡大した拡大断面図である。
【図8】インナーレンズの下側の配光制御用プリズム13(変形例)付近を拡大した拡大断面図である。
【図9】インナーレンズの上側の配光制御用プリズム13(変形例)付近を拡大した拡大断面図である。
【図10】インナーレンズの反射面12(変形例)付近を拡大した背面図である。
【図11】インナーレンズの反射面12(変形例)付近を拡大した背面図である。
【図12】光源20と同色の別機能の光源50を配置した例である。
【図13】本実施形態の車両用灯具100によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)である。
【図14】欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図13に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【図15】既存の一般的な車両用信号灯具によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)である。
【図16】欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図15に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【図17】(a)従来の車両用灯具のインナーレンズの構成を説明するための正面図、(b)図13(a)に示したインナーレンズをA−A線で切断した断面図である。
【符号の説明】
【0048】
100…車両用灯具、10…インナーレンズ、11…インナーレンズ本体、11a…下端面、12…反射面、13…配光制御用プリズム、…13a 出射面、20…光源、30…アウターレンズ、40…ハウジング
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に係り、特にインナーレンズに入射させ、該インナーレンズを面発光させるための光を照射する複数の光源を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インナーレンズに入射させ、該インナーレンズを面発光させるための光を照射する複数の光源を備えた車両用灯具が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図17は、特許文献1に記載の車両用灯具の構成を説明するための図である。
【0004】
図17(a)(b)に示すように、特許文献1に記載の車両用灯具は、インナーレンズ210、インナーレンズ210の下端211に配置された複数の光源220等を備えている。インナーレンズ210の裏面又は正面には、粗面化した拡散処理を施すことで複数の光発光部212が形成されている。
【0005】
この特許文献1に記載の車両用灯具においては、インナーレンズ210に入射した複数の光源220からの照射光が内部反射することでインナーレンズ210を面発光させるとともに、インナーレンズ210に入射した複数の光源220からの照射光が複数の光発光部212で反射することでこの光発光部212を強調して発光させることとなる。
【特許文献1】特開2002−216507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用灯具においては、複数の光発光部212の発光はインナーレンズ210に入射した複数の光源220からの照射光の反射によるものであるため、車両前後方向に延びる光軸方向に向かう複数の光発光部212からの反射光の光量は微量である。このため、上記特許文献1に記載の車両用灯具においては、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することができず、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するには、光量確保のため、追加の光源を設けなければならない、という問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズを面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供すること(面発光と所定配光パターンの両立)を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、インナーレンズと、前記インナーレンズに入射させる光を照射する複数の光源と、を備えた車両用灯具において、前記インナーレンズは、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を車両前後方向に延びる光軸方向に制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、反射面及び配光制御用プリズムによって構成される光学系でインナーレンズ本体に入射した複数の光源からの入射光の一部を取り出し、車両前後方向に延びる光軸方向に制御することで、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズを面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能な車両用灯具の提供が可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記インナーレンズ本体の裏面には、印刷又はシボ加工が施されており、その印刷又はシボ加工された領域と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域の比率が、1.4:1であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、インナーレンズ本体の裏面に施された印刷又はシボ加工された領域と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域の比率が、1.4:1であるので、インナーレンズ本体を均一にバランスよく面発光させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記反射面は、前記インナーレンズ本体の裏面に形成された三角柱形状の凹カット、円錐形状の凹カット、又は、多角錐形状の凹カットのカット面であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、インナーレンズ本体の裏面に、三角柱形状の凹カット、円錐形状の凹カット、又は、多角錐形状の凹カットを設けることで、カット面としての反射面を形成することが可能となる。また、円錐形状や多角錐形状の凹カットを設けることで形成されるカット面としての反射面は、下から直上に向かう光以外の、下から斜め上に向かう光(迷走する光)等も捉える(反射する)こととなるので、光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記インナーレンズ本体の裏面側に配置された、前記光源と同色の別機能の光源をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、インナーレンズ本体の裏面側に光源と同色の別機能の別光源を配置することが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて全反射するように形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、反射面は、インナーレンズ本体に入射した複数の光源からの入射光を配光制御用プリズムに向けて全反射するように形成されているので、複数の光源からの入射光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、複数の光源と組み合わせて用いられるインナーレンズにおいて、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、反射面及び配光制御用プリズムによって構成される光学系でインナーレンズ本体に入射した複数の光源からの入射光の一部を取り出し、車両前後方向に延びる光軸方向に制御することで、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能なインナーレンズの提供が可能となる。すなわち、請求項6に記載の発明によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズを面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能なインナーレンズの提供が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源のみで、インナーレンズ本体を面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能な車両用灯具を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の車両用灯具に用いられるインナーレンズの正面図である。図2は、図1に示したインナーレンズの背面図である。図3は、図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をA−A線で切断した断面図である。図4は、図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をB−B線で切断した断面図である。
【0023】
本実施形態の車両用灯具100は、自動車等の尾灯、制動灯等の車両用信号灯具に適用されるものであり、図1〜図4に示すように、インナーレンズ10、インナーレンズ10の下端面11aに対向した状態で配置された複数の光源20、図3、図4に示すように、インナーレンズ10の外側に設けられたアウターレンズ30、インナーレンズ10、複数の光源20、アウターレンズ30が固定されたハウジング40等を備えている。
【0024】
インナーレンズ10は、インナーレンズ本体11、インナーレンズ本体11の背面に設けられた複数の反射面12、インナーレンズ本体11の正面に設けられた配光制御用プリズム13を備えており、例えば、ポリカーボネートやアクリル等の透明材料を射出成型することにより一体的に形成されている。
【0025】
インナーレンズ本体11は、車両デザイン等との関係で、種々の形態をとり得る。図1〜図4は、正面視略矩形、鉛直断面が曲線形状となるように形成されたインナーレンズ本体11の例であり、背面(又は正面)には、印刷又はシボ加工(例えば、棚沢八光社TH110相当)が施されている。インナーレンズ本体11は、例えばハウジング40に固定されており、下端面11aから内部に複数の光源20からの照射光が入射し、この入射光が内部反射(導光)することで面発光する(図3、図4中L7、L8で例示する光線)。図2は、印刷又はシボ加工された領域(図2中三角の領域)と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域(図2中三角と三角の間の領域)の比率が、1.4:1の例である。この比率とすれば、インナーレンズ本体11を比較的均一にバランスよく面発光させることが可能となる。
【0026】
本実施形態においては、インナーレンズ本体11に入射した複数の光源20からの入射光の一部を取り出し、法規上要求される規格を満足する所定配光パターン(例えば、尾灯用の配光パターンや制動灯用の配光パターン)を形成するため、反射面12及び配光制御用プリズム13からなる光取り出し用の光学系が設けられている。
【0027】
反射面12は、複数の光源20からの入射光を反射面12のほぼ真裏に形成された配光制御用プリズム13に向けて全反射する反射面であり、例えば、図5に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に図5中左右方向に延びる三角柱形状の凹カットを設けることで形成されたカット面としての平面形状の反射面である。図2は、インナーレンズ本体11の裏面の左右12列の各列に一つの反射面12(上下二段の各段に六つの反射面12)を配置した例である。このように、反射面12を各列にひとつずつ間欠的に配置したので、インナーレンズ本体11を均一発光させることが可能となる。
【0028】
なお、反射面12が形成される列数、段数、反射面12の個数、サイズは、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンに応じて適宜の列数、段数、個数、サイズとすることが可能である。なお、反射面12の反射面積を大きくするため、凹カットはインナーレンズ本体11の厚み方向に出来るだけ深く形成するのが好ましい。
【0029】
反射面12の傾斜角度は、図6、図7に示すように、反射面12に到達した複数の光源20からの入射光L1、L2(平行光)が全反射する角度(例えば、インナーレンズ10がポリカーボネートやアクリルで形成されている場合、法線方向に対してα=45°以上)に設定されている。この反射面12の傾斜角度は、例えば、所定プログラムを用いて複数の光源20からの入射光の光線追跡を行うことで求めることが可能である。このように、反射面12はインナーレンズ本体10に入射した複数の光源20からの入射光を配光制御用プリズム13に向けて全反射するように形成されているので、複数の光源20からの入射光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0030】
配光制御用プリズム13は、この配光制御用プリズム13のほぼ真裏に設けられた反射面12からの反射光を制御して所定配光パターンを形成するためのものであり、インナーレンズ本体11の正面に形成されている。図1〜図4は、インナーレンズ本体11の正面に水平方向に延びる二つの配光制御用プリズム13(出射面13a)を配置した例である。
【0031】
出射面13aは、図6、図7に示すように、出射面13aに到達した反射面12からの反射光L1、L2を車両前後方向に延びる光軸AX方向に出射する出射面であり、例えば、反射面12からの反射光を上下左右に拡散させるようにカットされたカット面である。図6は図1中下段に配置された出射面13aの例であり、図7は図1中上段に配置された出射面13aの例である。この出射面13aの形状は、例えば、所定プログラムを用いて複数の光源20からの入射光の光線追跡を行うことで求めることが可能である。なお、特定の反射面12のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13(出射面13a)部分を、他の反射面12のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13(出射面13a)部分と異ならせてもよい。このようにすれば、例えば、他の反射面12及びこの他の反射面12のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13部分で基本配光パターンを形成し、特定の反射面及びこの特定の反射面のほぼ真裏に設けられた配光制御用プリズム13部分で基本配光パターンに重畳される付加配光パターンを形成することが可能となる。
【0032】
なお、図6、図7は一つの反射面12に対して一つの配光制御用プリズム13(出射面13a)を設けた例であるが、図8、図9に示すように、一つの反射面12に対して複数の配光制御用プリズム13(出射面13a)を設けてもよい。このように、一つの反射面12に対して複数の配光制御用プリズム13(出射面13a)を設ければ、肉厚が略均一となるため、インナーレンズ10の射出成型時の型抜きを容易に行うことが可能となる。
【0033】
光源20は、単色又は複数色(例えばRGB三色)の一つ又は複数のLEDチップをパッケージ化したLEDパッケージや白熱電球等の光源であり、インナーレンズ本体11の下端面11aに対向した状態でハウジング40等に固定されている。
【0034】
上記構成の車両用灯具100によれば、反射面12及び配光制御用プリズム13(出射面13a)によって構成される光学系でインナーレンズ本体11に入射した複数の光源20からの入射光の一部を取り出し、車両前後方向に延びる光軸AX方向に制御することで、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成することが可能となる。
【0035】
本出願の発明者らは、所定プログラムを用いたシミュレーションを行うことで、上記構成の車両用灯具100により形成される配光パターンが、車両用信号灯具に適した配光パターンとなっていることを確認した。
【0036】
図13は、本実施形態の車両用灯具100によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)であり、中心に向かうにつれて光度が高くなっていることを表している。図14は、欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図13に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【0037】
図15は、既存の一般的な車両用信号灯具によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)であり、中心に向かうにつれて光度が高くなっていることを表している。図16は、欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図15に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【0038】
図13〜図16を参照すると、図13に示した配光パターンは、図15に示した配光パターンと比べ、光度分布が異なるものの、図13に示した配光パターン中の各ポイントごとの実測光度が、欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって要求される光度を満たしていること(図14参照)、すなわち、本実施形態の車両用灯具100により形成される配光パターンが、車両用信号灯具に適した配光パターンであること、を確認できる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具100によれば、追加の光源を設けることなく、複数の光源20のみで、インナーレンズ本体11を面発光させるとともに、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、追加の光源を設けることなく、法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成すること(面発光と所定配光パターンの両立)が可能となるため、例えば、図12に示すように、上段の配光制御用プリズム13と下段の配光制御用プリズム13の間のインナーレンズ本体11部分の裏面側や、下段の配光制御用プリズム13と光源20の間のインナーレンズ本体11部分の裏面側に、光源20と同色の別機能の光源50を配置することが可能となる(例えば、光源20を尾灯用の光源とし、光源50を制動灯用の光源とする場合)。
【0041】
次に、変形例について説明する。
【0042】
上記実施形態では、反射面12は、図5に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に図5中左右方向に延びる三角柱形状の凹カットを設けることで形成されたカット面としての平面形状の反射面であるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、反射面12は、図10に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に円錐形状の凹カット、あるいは、図11に示すように、インナーレンズ本体11の裏面に多角錐形状(図11では八角錐形状を例示)の凹カットを設けることで形成されたカット面としての曲面形状の反射面であってもよい。
【0043】
このように、円錐形状や多角錐形状の凹カットを設けることで形成されるカット面としての反射面12は、図2に示すように、下から直上に向かう光L3以外の、下から斜め上に向かう光L4〜L6(迷走する光)等も捉える(反射する)こととなるので、光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0044】
また、上記実施形態では、反射面12は全反射面であるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、インナーレンズ本体11の背面にアルミ蒸着等の鏡面処理を施すことにより反射面12を形成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、光源20は、インナーレンズ本体11の下端面11aに対向した状態で配置されているように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、光源20は、インナーレンズ本体11の上端面、左端面、右端面のいずれか、又は、いくつかの端面に対向した状態で配置されていてもよい。
【0046】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の車両用灯具に用いられるインナーレンズの正面図である。
【図2】図1に示したインナーレンズの背面図である。
【図3】図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をA−A線で切断した断面図である。
【図4】図1に示したインナーレンズを含む車両用灯具をB−B線で切断した断面図である。
【図5】インナーレンズの反射面12付近を拡大した拡大斜視図である。
【図6】インナーレンズの下側の配光制御用プリズム13付近を拡大した拡大断面図である。
【図7】インナーレンズの上側の配光制御用プリズム13付近を拡大した拡大断面図である。
【図8】インナーレンズの下側の配光制御用プリズム13(変形例)付近を拡大した拡大断面図である。
【図9】インナーレンズの上側の配光制御用プリズム13(変形例)付近を拡大した拡大断面図である。
【図10】インナーレンズの反射面12(変形例)付近を拡大した背面図である。
【図11】インナーレンズの反射面12(変形例)付近を拡大した背面図である。
【図12】光源20と同色の別機能の光源50を配置した例である。
【図13】本実施形態の車両用灯具100によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)である。
【図14】欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図13に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【図15】既存の一般的な車両用信号灯具によって形成される配光パターン(0.5cdごとに光度分布を表す等高線を描いてある)である。
【図16】欧州車両規定(ECE Regulation)No.7-02によって各ポイントごとに要求される光度、及び、図15に示した配光パターン中の各ポイントごとに実測した光度を併記したリストである。
【図17】(a)従来の車両用灯具のインナーレンズの構成を説明するための正面図、(b)図13(a)に示したインナーレンズをA−A線で切断した断面図である。
【符号の説明】
【0048】
100…車両用灯具、10…インナーレンズ、11…インナーレンズ本体、11a…下端面、12…反射面、13…配光制御用プリズム、…13a 出射面、20…光源、30…アウターレンズ、40…ハウジング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーレンズと、前記インナーレンズに入射させる光を照射する複数の光源と、を備えた車両用灯具において、
前記インナーレンズは、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、
前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、
前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を車両前後方向に延びる光軸方向に制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記インナーレンズ本体の裏面には、印刷又はシボ加工が施されており、
その印刷又はシボ加工された領域と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域の比率が、1.4:1であることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記反射面は、前記インナーレンズ本体の裏面に形成された三角柱形状の凹カット、円錐形状の凹カット、又は、多角錐形状の凹カットのカット面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記インナーレンズ本体の裏面側に配置された、前記光源と同色の別機能の光源をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて全反射するように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
複数の光源と組み合わせて用いられるインナーレンズにおいて、
前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、
前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、
前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、
前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、
前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とするインナーレンズ。
【請求項1】
インナーレンズと、前記インナーレンズに入射させる光を照射する複数の光源と、を備えた車両用灯具において、
前記インナーレンズは、前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、
前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、
前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を車両前後方向に延びる光軸方向に制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記インナーレンズ本体の裏面には、印刷又はシボ加工が施されており、
その印刷又はシボ加工された領域と印刷又はシボ加工されていない素通しの領域の比率が、1.4:1であることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記反射面は、前記インナーレンズ本体の裏面に形成された三角柱形状の凹カット、円錐形状の凹カット、又は、多角錐形状の凹カットのカット面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記インナーレンズ本体の裏面側に配置された、前記光源と同色の別機能の光源をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて全反射するように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
複数の光源と組み合わせて用いられるインナーレンズにおいて、
前記複数の光源からの入射光が内部反射することで面発光するインナーレンズ本体と、
前記インナーレンズ本体の背面に形成された少なくとも一つの凹カットのカット面としての反射面と、
前記インナーレンズ本体の正面に形成された少なくとも一つの配光制御用プリズムと、を備え、
前記反射面は、前記インナーレンズ本体に入射した前記複数の光源からの入射光を前記配光制御用プリズムに向けて反射するように形成されており、
前記配光制御用プリズムは、前記反射面からの反射光を制御して法規上要求される規格を満足する所定配光パターンを形成するように形成されていることを特徴とするインナーレンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−140676(P2010−140676A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313580(P2008−313580)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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