説明

車両用灯具のLEDユニット

【課題】部品点数を削減してコストダウンと軽量化及び組立工数の削減を図ることができる車両用灯具のLEDユニットを提供すること。
【解決手段】LED2と制御回路3が実装された回路基板4をリフレクタ5に取り付けて成る車両用灯具のLEDユニット1において、前記制御回路3を電磁気的にシールドするシールドカバー9を前記リフレクタ5と一体に形成する。又、前記リフレクタ5とこれに一体に形成された前記シールドカバー9を樹脂にて一体成形するとともに、これらの内面にアルミ蒸着(金属蒸着)を施し、前記回路基板4の導電部分と前記リフレクタ5の内面とを接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLED(発光ダイオード)を使用する車両用灯具のLEDユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDを光源として使用するポジションランプ等の車両用灯具には、図6の分解斜視図に示すように、複数(図示例では、8つ)のLED102を実装して成るLED基板104と、各LED102から出射される光を反射させるリフレクタ105と、各LED102を駆動制御する制御回路103を一体化して成るLEDユニット101として構成するものがある。
【0003】
斯かるLEDユニット101には、制御回路103からのノイズ及び制御回路103へのノイズの影響を除去するために金属製のシールドカバー109A,109Bによって制御回路103を電磁気的にシールドすることが行われていた。
【0004】
制御回路を電磁気的にシールドする別の方法として、例えば特許文献1には、制御回路(駆動回路)を金属製のハウジング(灯体)内のリフレクタの背面側に略垂直に配置する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−278029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6に示すように制御回路103を別部品である金属製のシールドカバー109A,109Bで覆って電磁気的にシールドする構成では、部品点数が増えてコストアップや重量増加、組立工数の増加等を招くという問題があった。
【0007】
又、特許文献1において提案された構成は、金属製のハウジング(灯体)を備える車両用灯具に適用が限定され、近年多く採用されている樹脂製のハウジングを備える車両用灯具には適用することができないという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、部品点数を削減してコストダウンと軽量化及び組立工数の削減を図ることができる車両用灯具のLEDユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、LEDと制御回路が実装された回路基板をリフレクタに取り付けて成る車両用灯具のLEDユニットであって、前記制御回路を電磁気的にシールドするシールドカバーを前記リフレクタと一体に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リフレクタとこれに一体に形成された前記シールドカバーを樹脂にて一体成形するとともに、これらの内面に金属蒸着を施し、前記回路基板の導電部分と前記リフレクタの内面とを接触させたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記回路基板に挿通する金属ネジを前記リフレクタに形成された取付ボスに螺着することによって回路基板をリフレクタに取り付け、該回路基板の導電部と前記ボス端部の金属蒸着面とを接触させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、制御回路を電磁気的にシールドするシールドカバーをリフレクタと一体に形成したため、別部品としてのシールドカバーが不要となり、部品点数が削減されてコストダウンと軽量化及び組立工数の削減が図られる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、リフレクタとこれに一体に形成されたシールドカバーを非導電性の樹脂にて一体成形しても、その内面に金属蒸着(例えばアルミ蒸着)を施し、回路基板の導電部とリフレクタの内面(例えばアルミ蒸着面)とを接触させたため、回路基板の制御回路がリフレクタとシールドカバーのアルミ蒸着面を経てアースされ、該制御回路がシールドカバーによって電磁気的にシールドされる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、回路基板の制御回路がリフレクタとシールドカバーのアルミ蒸着面を経てアースされるとともに、金属ネジと取付ボスの金属蒸着(例えばアルミ蒸着)が施された孔(金属ネジが螺着されるボス孔)を経てアースされるため、該制御回路がシールドカバーによって電磁気的に一層効果的にシールドされ、制御回路からのノイズ及び制御回路へのノイズの影響が確実に除去される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るLEDユニットの分解斜視図である。
【図2】本発明に係るLEDユニットの平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係るLEDユニットの一体化されたリフレクタとシールドカバーを斜め下方から見た斜視図である。
【図5】本発明に係るLEDユニットにおける回路基板のリフレクタへの取付構造を示す断面図である。
【図6】従来のLEDユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明に係るLEDユニットの分解斜視図、図2は同LEDユニットの平面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は同LEDユニットの一体化されたリフレクタとシールドカバーを斜め下方から見た斜視図、図5は回路基板のリフレクタへの取付構造を示す断面図である。
【0018】
本発明に係るLEDユニット1は、車両のLEDポジションランプ等に設けられるものであって、光源である6つのLED2と制御回路3が実装された回路基板4をリフレクタ5に取り付けて構成されている。
【0019】
図1に示すように、回路基板4上には6つのLED2が横方向に適当な間隔で実装されており、回路基板4の左右両端には円孔6がそれぞれ形成されている。そして、リフレクタ5の下面の左右(回路基板4の左右の円孔6に対応する箇所)には、図4に示すように取付ボス7が一体に形成されており、回路基板4は、これの左右に形成された円孔6に下方から挿通する金属ネジ8を図5に示すようにリフレクタ5の取付ボス7のボス孔7aにねじ込むことによってリフレクタ5の下面に取り付けられる。
【0020】
ところで、リフレクタ5の背面側には下方が開放された矩形ボックス状のシールドカバー9が前記回路基板4の制御回路3を上方から覆うように一体に形成されており、該シールドカバー9の上面には円孔状の複数の通気孔10が形成されている。尚、リフレクタ5には、各LED2から出射される光を反射させる凹球面状の反射凹部5aが各LED2の周囲を覆うように左右方向に一列に形成されている。
【0021】
而して、一体化されたリフレクタ5とシールドカバー9は、非導電性の樹脂にて一体成形されるが、これらのリフレクタ5とシールドカバー7の内面は、取付ボス7のボス孔7aを含めてアルミ蒸着が施されている。ここで、図5に示すように、回路基板4を金属ネジ8によって取り付けた状態においては、回路基板4の取付ボス7の端面(アルミ蒸着面)7Aが接触する部分は、電気絶縁材であるレジストで覆われていない導電部4Aであって、この導電部4Aはアルミ蒸着が施された取付ボス7の端面7Aに接触している。従って、回路基板4の制御回路3は、回路基板4の導電部4Aと、一体化されたリフレクタ5とシールドカバー9のアルミ蒸着面を介してアースされている。又、回路基板4の制御回路3は、金属ネジ8と、これがねじ込まれる取付ボス7のボス孔7aのアルミ蒸着面を介してアースされている。このため、回路基板4の制御回路3は、リフレクタ5に一体に形成されたシールドカバー9によって電磁気的にシールドされることになる。
【0022】
以上のように、本実施の形態に係るLEDユニット1においては、制御回路3を電磁気的にシールドするシールドカバー9をリフレクタ5と一体に形成したため、従来のような別部品としてのシールドカバーが不要となり、部品点数が削減されてコストダウンと軽量化及び組立工数の削減が図られる。
【0023】
又、本実施の形態のようにリフレクタ5とこれに一体に形成されたシールドカバー9を非導電性の樹脂にて一体成形しても、その内面にアルミ蒸着を施し、回路基板4の導電部4Aとリフレクタ5の取付ボス7の端面(アルミ蒸着面)7Aとを接触させたため、回路基板4の制御回路3がリフレクタ5とシールドカバー9のアルミ蒸着面を経てアースされ、該制御回路3がシールドカバー9によって電磁気的にシールドされる。更に、回路基板4の制御回路3は、金属ネジ8と取付ボス7のアルミ蒸着が施されたボス孔7aを経てアースされるため、該制御回路3がシールドカバー9によって電磁気的に一層効果的にシールドされ、制御回路3からのノイズ及び制御回路3へのノイズの影響が確実に除去されるという効果が得られる。
【0024】
尚、少なくともリフレクタはその内面が高反射率金属(例えばアルミニウム、銀等)で蒸着されていれば良い。即ち、シールドカバー部は金属製であれば反射率は問わない。但し、製造上は、リフレクタ内面と同時に蒸着することが好ましいため、シールドカバーについてもリフレクタ内面と同じ高反射率金属を用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0025】
1 LEDユニット
2 LED
3 制御回路
4 回路基板
4A 回路基板の導電部
5 リフレクタ
5a リフレクタの反射凹部
6 回路基板の円孔
7 取付ボス
7A 取付ボスの端面
7a 取付ボスのボス孔
8 金属ネジ
9 シールドカバー
10 シールドカバーの通気孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと制御回路が実装された回路基板をリフレクタに取り付けて成る車両用灯具のLEDユニットであって、
前記制御回路を電磁気的にシールドするシールドカバーを前記リフレクタと一体に形成したことを特徴とする車両用灯具のLEDユニット。
【請求項2】
前記リフレクタとこれに一体に形成された前記シールドカバーを樹脂にて一体成形するとともに、これらの内面に金属蒸着を施し、前記回路基板の導電部分と前記リフレクタの内面とを接触させたことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具のLEDユニット。
【請求項3】
前記回路基板に挿通する金属ネジを前記リフレクタに形成された取付ボスに螺着することによって回路基板をリフレクタに取り付け、該回路基板の導電部と前記ボス端部の金属蒸着面とを接触させたことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具のLEDユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−26095(P2013−26095A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161493(P2011−161493)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】