説明

車両用灯具

【課題】配光パターンを適切に形成する。
【解決手段】車両に用いられる車両用灯具であって、光を発生する光源モジュールと、光源モジュールが発生する光を、車両用灯具の外部に照射する光学部材と、光学部材に対する相対位置が既知の基準位置に、光源モジュールを固定する光源固定部とを備え、光源モジュールは、光源モジュールが光源固定部に固定される場合に、基準位置に合わせて固定される基準部と、予め定められた発光領域から光を発生する半導体発光素子と、発光領域の中心を、基準部に対する相対位置が既知の位置に合わせて、半導体発光素子を保持する保持部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。特に本発明は、車両に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用前照灯等の車両用灯具においては、安全上の観点等から、高い精度で配光パターンを形成することが必要な場合がある。この配光パターンは、例えば反射鏡又はレンズ等を用いた光学系により形成される(例えば、特許文献1参照。)。また、近年、車両用前照灯に半導体発光素子を利用することが検討されている。
【特許文献1】特開平6―89601号公報(第3−7頁、第1−14図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
配光パターンを形成するための光学的設計においては、光源の発光領域の形状等を考慮することが必要な場合がある。また、半導体発光素子は、例えば表面の全体等の、所定の広がりを有する発光領域から光を発生する。そのため、車両用前照灯に半導体発光素子を利用する場合、光学的設計が複雑化し、適切な配光パターンを形成するのが困難な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、車両に用いられる車両用灯具であって、光を発生する光源モジュールと、光源モジュールが発生する光を、車両用灯具の外部に照射する光学部材と、光学部材に対する相対位置が既知の基準位置に、光源モジュールを固定する光源固定部とを備え、光源モジュールは、光源モジュールが光源固定部に固定される場合に、基準位置に合わせて固定される基準部と、予め定められた発光領域から光を発生する半導体発光素子と、発光領域の中心を、基準部に対する相対位置が既知の位置に合わせて、半導体発光素子を保持する保持部とを有する。
【0005】
また、基準部は、保持部の一辺であり、光源固定部は、基準位置を示す基準用の辺を有し、保持部における一辺を含む面を、基準用の辺を含む面で当接することにより、基準部を基準位置に合わせて、光源モジュールを固定してよい。
【0006】
また、基準部は、保持部に形成された穴又は突起であり、光源固定部は、基準位置に、穴又は突起である基準部と勘合すべき勘合部を有してよい。光源モジュールは、少なくとも二つの基準部を有し、光源固定部は、少なくとも二つの基準部のそれぞれと、それぞれ勘合すべき少なくとも二つの勘合部を有し、二つの勘合部の一方は、当該二つの勘合部を結ぶ方向に遊びを有しつつ、対応する基準部と勘合してよい。
【0007】
また、光源モジュールは、穴又は突起である第1の基準部と、保持部の一辺である第2の基準部とを有し、光源固定部は、基準位置を示す基準用の辺を更に有し、保持部の一辺を含む面を、基準用の辺を含む面で当接することにより、基準部を基準位置に合わせてよい。
【0008】
本発明の第2の形態によると、光を発生する光源モジュールであって、予め定められた基準位置に光源モジュールを取り付ける場合に、基準位置に合わせて固定される基準部と、予め定められた発光領域から光を発生する半導体発光素子と、発光領域の中心を、基準部に対する相対位置が既知の位置に合わせて、半導体発光素子を保持する保持部とを備える。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具10の構成の一例を示す。図1は、車両用灯具10の斜視図である。図2は、中段の光源ユニット20を横断する水平面による車両用灯具10の水平断面図である。本例は、車両用灯具10の配光パターンを高い精度で形成することを目的とする。車両用灯具10は、例えば自動車等の車両に用いられる車両用前照灯(ヘッドランプ)であり、車両の前方に光を照射する。車両用灯具10は、複数の光源ユニット20、カバー12、ランプボディ14、回路ユニット16、複数の放熱部材24、エクステンションリフレクタ28、及びケーブル22、26を備える。
【0012】
複数の光源ユニット20のそれぞれは、LEDモジュール100を有し、LEDモジュール100が発生する光に基づき、所定の配光パターンの光を、車両の前方に照射する。光源ユニット20は、例えば、光源ユニット20の光軸の方向を調整するためのエイミング機構によって傾動可能に、ランプボディ14に支持される。光源ユニット20は、車両用灯具10を車体に取り付けた場合の光軸の方向が、例えば0.3〜0.6°程度、下向きになるように、ランプボディ14に支持されてよい。
【0013】
尚、複数の光源ユニット20は、同一又は同様の配光特性を有してもよく、それぞれ異なる配光特性を有してもよい。また、他の例において、一の光源ユニット20が、複数のLEDモジュール100を有してもよい。光源ユニット20は、LEDモジュール100に代えて、例えば半導体レーザを有してもよい。
【0014】
カバー12及びランプボディ14は、車両用灯具10の灯室を形成し、この灯室内に複数の光源ユニット20を収容する。カバー12及びランプボディ14は、光源ユニット20を密閉及び防水してよい。カバー12は、LEDモジュール100が発生する光を透過する素材により、例えば素通し状に、形成され、複数の光源ユニット20の前方を覆うように、車両の前面に設けられる。ランプボディ14は、複数の光源ユニット20を挟んでカバー12と対向して、複数の光源ユニット20を後方から覆うように設けられる。ランプボディ14は、車両のボディと一体に形成されてもよい。
【0015】
回路ユニット16は、LEDモジュール100を点灯させる点灯回路等が形成されたモジュールである。回路ユニット16は、ケーブル22を介して光源ユニット20と電気的に接続される。また、回路ユニット16は、ケーブル26を介して、車両用灯具10の外部と電気的に接続される。
【0016】
複数の放熱部材24は、光源ユニット20の少なくとも一部と接触して設けられたヒートシンクである。放熱部材24は、例えば金属等の、空気よりも高い熱伝導率を有する素材により形成される。放熱部材24は、例えばエイミング機構の支点に対して光源ユニット20を動かす範囲で、光源ユニット20に伴って可動であり、ランプボディ14に対し、光源ユニット20の光軸調整を行うのに十分な間隔を空けて設けられる。複数の放熱部材24は、一の金属部材により、一体に形成されてよい。この場合、複数の放熱部材24の全体から、効率よく放熱を行うことができる。
【0017】
エクステンションリフレクタ28は、例えば薄い金属板等により、複数の光源ユニット20の下部から、カバー12へ渡って形成された反射鏡である。エクステンションリフレクタ28は、ランプボディ14の内面の少なくとも一部を覆うように形成されることにより、ランプボディ14の内面の形状を隠し、車両用灯具10の見栄えを向上させる。
【0018】
また、エクステンションリフレクタ28の少なくとも一部は、光源ユニット20及び/又は放熱部材24と接触する。この場合、エクステンションリフレクタ28は、LEDモジュール100が発生する熱をカバー12に伝導する熱伝導部材の機能を有する。これにより、エクステンションリフレクタ28は、LEDモジュール100を放熱する。また、エクステンションリフレクタ28の一部は、カバー12又はランプボディ14に固定される。エクステンションリフレクタ28は、複数の光源ユニット20の上方、下方、及び側方を覆う枠状に形成されてもよい。
【0019】
本例によれば、光源としてLEDモジュール100を用いることにより、光源ユニット20を小型化することができる。また、これにより、例えば光源ユニット20の配置の自由度が向上するため、デザイン性の高い車両用灯具10を提供することができる。
【0020】
図3及び図4は、光源ユニット20の構成の一例を示す。図3は、光源ユニット20のAA垂直断面図である。図4は、光源ユニット20のBB垂直断面図である。光源ユニット20は、LEDモジュール100が発生する光を、車両の前方に照射する直射型の光源ユニットであり、LEDモジュール100、基板500、固定部材202、レンズ204、エクステンション208、及びハウジング206を有する。
【0021】
LEDモジュール100は、光を発生する光源モジュールの一例である。LEDモジュール100は、例えば白色の光を発生する光源であり、半導体発光素子102を有する。半導体発光素子102は、ケーブル22及び基板500を介して光源ユニット20の外部から受け取る電力に基づき、光を発生する。また、半導体発光素子102は、例えば、レンズ204と対向する表面の全体等の、予め定められた発光領域から光を発生する。
【0022】
基板500は、例えば表面又は内部等に形成されたプリント配線により、LEDモジュール100と、ケーブル22とを電気的に接続する。本例において、基板500は、LEDモジュール100を裁置して固定する板状体であり、溝804を有する。溝804は、LEDモジュール100の一部を収容することにより、LEDモジュール100を、予め定められた基準位置に固定する。溝804は、例えば、LEDモジュール100の外面の一部を、内壁により当接することにより、LEDモジュール100を固定する。そのため、本例によれば、基板500は、LEDモジュール100を、高い精度で固定することができる。基板500は、LEDモジュール100を固定する光源固定部の一例である。
【0023】
尚、本例において、基板500の少なくとも一部は、例えば金属等の、空気よりも熱伝導率が高い素材により形成される。また、基板500の少なくとも一部は、固定部材202と接触する。これにより、基板500は、LEDモジュール100が発生する熱を、固定部材202に伝達する。
【0024】
固定部材202は、例えば車両の前方を向く表面を有する板状体である。固定部材202は、レンズ204に対する相対位置が既知の位置に設けられる。また、固定部材202は、基板500を挟んでLEDモジュール100と対向するように、その表面上に、基板500を固定する。これにより、固定部材202は、LEDモジュール100を、車両の前方に向けて固定し、車両の前方に向けて発光させる。
【0025】
また、固定部材202は、溝904を有する。溝904は、基板500の一部を収容することにより、基板500を、予め定められた位置に固定する。溝904は、例えば、基板500の一部を、内壁により当接することにより、基板500を固定する。本例によれば、固定部材202は、基板500を、高い精度で固定することができる。
【0026】
また、固定部材202は、例えば金属等の、空気よりも熱伝導率が高い素材により形成される。これにより、固定部材202は、LEDモジュール100が発生する熱を放熱する放熱板の機能を有する。また、本例において、固定部材202は、一端において、ハウジング206と接触しており、例えばLEDモジュール100が発生する熱をハウジング206に伝達することにより、LEDモジュール100を放熱する。これにより、LEDモジュール100の発光量が熱により低下するのを防ぐことができる。
【0027】
エクステンション208は、例えば薄い金属板等により、LEDモジュール100の近傍から、レンズ204の縁部の近傍に渡って形成される。これにより、エクステンション208は、ハウジング206の内面と、LEDモジュール100との間の隙間を覆い隠し、車両用灯具10(図1参照)の見栄えを向上させる。エクステンション208は、LEDモジュール100が発生する光を反射してもよい。
【0028】
ハウジング206は、LEDモジュール100、基板500、固定部材202、及びエクステンション208を収容する筐体である。また、ハウジング206は、前面に開口部を有し、この開口部においてレンズ204を保持する。ハウジング206は、基板500及び固定部材202を介してLEDモジュール100から受け取る熱を、放熱部材24(図1参照)及び/又はエクステンションリフレクタ28(図1参照)に更に伝達してよい。これにより、LEDモジュール100を、適切に放熱することができる。
【0029】
レンズ204は、車両用灯具10に用いられる光学部材の一例である。レンズ204は、半導体発光素子102の発光領域の形状を車両の前方に投影することにより、配光パターンの少なくとも一部を形成する。本例において、レンズ204は、この発光領域の中心上に、焦点Fを有する。レンズ204は、この発光領域の形状を、例えば、配光パターンにおけるホットゾーン(高光度領域)を形成すべき位置に投影する。レンズ204は、LEDモジュール100が発生する光を、車両用灯具10の外部に照射してよい。
【0030】
ここで、本例において、固定部材202は、レンズ204に対する相対位置が既知の位置に設けられており、溝904により、基板500を、所定の位置に、高い精度で固定する。また、基板500は、溝804により、LEDモジュール100を、所定の位置に、高い精度で固定する。これにより、基板500は、レンズ204に対する相対位置が既知の基準位置に、LEDモジュール100を固定する。そのため、本例によれば、LEDモジュール100を、レンズ204に対して、高い精度で固定することができる。また、これにより、配光パターンを、高い精度で、適切に形成することができる。尚、焦点Fは、光源ユニット20に用いられる光学部材に対する光学的中心の一例である。光学的中心は、光学部材に対する設計上の基準点の一例である。また、他の例において、基板500及び固定部材202は、例えば一の部材により、一体に形成されてもよい。
【0031】
図5、図6、及び図7は、LEDモジュール100の構成の一例を示す。図5は、LEDモジュール100のCC断面図である。図6は、LEDモジュール100のAA断面図である。図7は、LEDモジュール100のBB断面図である。LEDモジュール100は、半導体発光素子102、封止部材108、複数の電極104、サブマウント702、複数のボンディングワイア312、及び保持部708を有する。
【0032】
半導体発光素子102は、発光ダイオード素子であり、例えば表面上に設けられた蛍光体に対して青色光を照射することにより、蛍光体に、青色光の補色である黄色光を発生させる。この場合、LEDモジュール100は、半導体発光素子102及び蛍光体がそれぞれ発生する青色光及び黄色光に基づき、白色光を発生する。他の例において、半導体発光素子102は、蛍光体に対して紫外光を照射することにより、蛍光体に白色光を発生させてもよい。
【0033】
本例において、半導体発光素子102は、封止部材108と対向する表面から、光を発生する。この表面は、光源ユニット20(図3参照)にLEDモジュール100が固定された場合に、レンズ204(図3参照)と対向する面である。半導体発光素子102は、例えば、この表面の略全体を発光領域として、光を発生する。半導体発光素子102は、広がりを有する平面状の発光領域から光を発生する平面光源の一例である。
【0034】
本例において、半導体発光素子102の発光領域は、直線状の4個の辺310a〜dに囲まれた略正方形である。辺310a〜dは、半導体発光素子102における、封止部材108と対向する表面の辺である。辺310a〜dは、発光領域の中心Oに対する相対位置が既知の辺であってよい。また、それぞれの辺310の長さLは、例えば1mm程度であってよい。本例において、レンズ204は、この発光領域の中心Oの上に、焦点Fを有する。この場合、レンズ204は、この発光領域の形状を、高い精度で投影することができる。尚、半導体発光素子102は、例えば、辺310a〜dのそれぞれを挟んで半導体発光素子102の表面とつながる端面からも、更に光を発生してもよい。
【0035】
ここで、発光領域の中心Oとは、例えば、発光領域の形状における対称性の中心である。中心Oは、4個の辺310a〜dに囲まれた略正方形の重心や、この略正方形の外接円の中心等であってよい。また、中心Oは、例えば、いずれかの辺310の垂直2等分線上の点であってもよい。レンズ204は、中心Oに対して対称な発光領域の形状に基づき、配光パターンを形成する。この場合、この配光パターンは、発光領域の形状の対称性に対応する対称性を有する。
【0036】
封止部材108は、半導体発光素子102を封止するモールドであり、例えば透光性の樹脂等の、半導体発光素子102が発生する白色光を透過する素材により形成される。本例において、封止部材108の少なくとも一部は、半球状である。この場合、LEDモジュール100は、例えば、この半球の中心を通り、かつ半導体発光素子102の表面に垂直な光軸を有する。
【0037】
複数の電極104は、基板500(図3参照)と電気的に接続され、基板500及びケーブル22(図3参照)を介して光源ユニット20の外部から供給される電力を、ボンディングワイア312及びサブマウント702を介して、半導体発光素子102に供給する。複数のボンディングワイア312は、複数の電極104とサブマウント702とを電気的に接続する。
【0038】
サブマウント702は、例えばシリコンにより形成された板状体であり、半導体発光素子102を上面に裁置して固定する。また、サブマウント702は、ボンディングワイア312と半導体発光素子102とを電気的に接続する配線を含み、ボンディングワイア312を介してLEDモジュール100の外部から受け取る電力を、半導体発光素子102に供給する。
【0039】
保持部708は、スラグ704及びボディ706を含む。スラグ704は、サブマウント702を上面に裁置して固定することにより、半導体発光素子102を、予め定められた位置に固定する。スラグ704は、例えば、発光領域の中心Oを、LEDモジュール100の光軸上に合わせて、半導体発光素子102を固定する。また、スラグ704の少なくとも一部は、例えば金属等の、空気よりも熱伝導率の高い素材で形成され、半導体発光素子102が発生する熱を、LEDモジュール100の外部に伝達する。
【0040】
ボディ706は、例えば樹脂等により、スラグ704の外周を覆うように形成される。また、ボディ706は、複数の電極104のそれぞれの一部を収容することにより、電極104を固定する。
【0041】
本例において、ボディ706は、複数の辺402a〜dを含む。複数の辺402a〜dは、半導体発光素子102の位置を示す基準部の一例である。複数の辺402a〜dの少なくとも一部は、保持部708の一辺であってよい。また、複数の辺402a〜dの少なくとも一部は、LEDモジュール100が基板500に固定される場合に、基板500における基準位置に合わせて固定される。
【0042】
また、ボディ706は、スラグ704に対して固定して設けられている。これにより、保持部708は、半導体発光素子102における発光領域の中心Oを、辺402a〜dに対する相対位置が既知の位置に合わせて、半導体発光素子102を保持する。この場合、複数の辺402a〜dは、中心Oに対する相対位置が既知の辺となる。他の例において、保持部708は、例えば辺310a〜dのいずれかを、辺402a〜dに対する相対位置が既知の位置に合わせて、半導体発光素子102を保持してもよい。この場合も、辺310a〜dは、中心Oに対する相対位置が既知であるため、辺402a〜dは、中心Oに対する相対位置が既知の辺となる。
【0043】
本例によれば、例えば辺402a〜dの少なくとも一部を基準にして、LEDモジュール100を固定することにより、半導体発光素子102における発光領域の中心Oを、所定の基準となる位置に対して、高い精度で固定することができる。また、図3及び図4を用いて説明したように、本例において、LEDモジュール100は、レンズ204に対する相対位置が既知の基準位置に、高い精度で固定されている。そのため、本例によれば、発光領域の中心Oを、レンズ204に対して、高い精度で位置あわせをして、固定できる。本例によれば、配光パターンを適切に形成することができる。
【0044】
以下、LEDモジュール100における寸法について更に詳しく説明する。本例において、保持部708は、発光領域の中心Oを基準として、半導体発光素子102を、サブマウント702上に固定する。半導体発光素子102は、例えば、スラグ704に対する相対位置を検出する画像処理技術を用いて、スラグ704及びサブマウント702上に設置される。これにより、半導体発光素子102を、高い精度で位置合わせして固定することができる。
【0045】
保持部708は、例えば、中心Oと辺402cとの距離が所定の距離Y1となるように、半導体発光素子102を固定する。ここで、中心Oと辺402cとの距離とは、例えば、半導体発光素子102の表面と平行な平面上に、中心O及び辺402cを投影した場合の、それぞれの投影像の間の距離である。
【0046】
保持部708は、半導体発光素子102の一辺の長さLの0.05%よりも小さな位置誤差となる精度で、中心Oと辺402cとの距離を合わせて、半導体発光素子102を固定するのが好ましい。この場合、配光パターンを適切に形成することができる。また、保持部708は、長さLの0.01%よりも小さな位置誤差となる精度で、半導体発光素子102を固定するのが更に好ましい。この場合、配光パターンを更に適切に形成することができる。保持部708は、例えば、0.01μmよりも小さな位置誤差となる精度で、半導体発光素子102を固定してよい。
【0047】
他の例において、保持部708は、中心Oと辺402dとの距離が所定の距離Y2となるように、半導体発光素子102を固定してもよい。また、保持部708は、辺310c又は辺310dと、辺402c又は辺402dとの距離が所定の距離Y3又はY4となるように、半導体発光素子102を固定してもよい。この場合も、中心Oの位置を所定の位置に合わせて、半導体発光素子102を固定することができる。尚、辺310cは、半導体発光素子102の表面における辺310dの対辺である。また、辺402cは、半導体発光素子102を挟んで辺402dと対向する辺である。
【0048】
本例において、保持部708は、更に、中心Oと、辺402bとの距離が所定の距離X1となるように、半導体発光素子102を固定する。他の例において、保持部708は、中心Oと、辺402aとの距離が所定の距離X2となるように、半導体発光素子102を固定してもよい。保持部708は、辺310b又は辺310aと、辺402b又は辺402aとの距離が所定の距離X3又はX4となるように、半導体発光素子102を固定してもよい。
【0049】
また、保持部708は、半導体発光素子102の表面と、ボディ706の下面との距離が、所定の距離Z1となるように、半導体発光素子102を固定する。ボディ706の下面は、例えば、複数の辺402a〜dの少なくとも一部を含み、かつ半導体発光素子102の表面と平行な面である。他の例において、保持部708は、半導体発光素子102の表面と、スラグ704の下面との距離が、所定の距離Z2となるように、半導体発光素子102を固定してもよい。本例によれば、半導体発光素子102を、適切に固定することができる。
【0050】
図8は、基板500の構成の一例をLEDモジュール100と共に示す。本例において、基板500は、複数のパッド504、506、及び溝804を有する。
【0051】
複数のパッド506は、LEDモジュール100の複数の電極104と、例えば半田付け等により、接続される。複数のパッド504は、ケーブル22と、例えば半田付け等により、接続され、複数のパッド506と、例えば基板500の表面又は内部等に形成されたプリント配線により、電気的に接続される。これにより、基板500は、ケーブル22と、LEDモジュール100とを、電気的に接続する。
【0052】
溝804は、保持部708の一部を収容することにより、LEDモジュール100を固定する。本例において、溝804は、複数の辺502a〜cを有する。複数の辺502a〜cは、LEDモジュール100を取り付けるべき基準位置を示す、基準用の辺の一例である。溝804は、辺502a〜cをそれぞれ含む内壁面により、辺402a〜cのそれぞれを含む保持部708の外面を当接することにより、LEDモジュール100を、基準位置に固定する。基板500は、辺402a〜cを基準位置に合わせて、LEDモジュール100を固定してよい。本例によれば、LEDモジュール100を、高い精度で固定することができる。また、これにより、半導体発光素子102を高い精度で固定することができる。
【0053】
尚、基板500は、側面に、辺802a〜dを有し、辺802a〜dの少なくとも一部を基準にして、固定部材202(図3参照)に固定される。固定部材202は、例えば、辺802a〜cのそれぞれを含む基板500の側面を、溝904(図3参照)の内壁面で当接することにより、基板500を固定する。この場合、固定部材202は、基板500を高い精度で固定することができる。そのため、本例によれば、例えば、レンズ204(図3参照)に対する相対位置が既知の基準位置に、LEDモジュール100を、高い精度で固定することができる。また、これにより、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターンを適切に形成することができる。
【0054】
図9は、車両用灯具10(図1参照)により形成される配光パターン300の一例を示す概念図である。配光パターン300は、車両用灯具10の前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム配光パターンである。本例において、車両用灯具10は、略水平方向の明暗境界を定める水平カットライン302、及び水平方向に対して15°程度の角度をなす所定の斜め方向の明暗境界を定める斜めカットライン304を有する配光パターン300を形成する。
【0055】
本例において、車両用灯具10は、それぞれ異なる配光特性を有する複数の光源ユニット20備え、それぞれの光源ユニット20が発生する光に基づき、配光パターン300を形成する。この場合、それぞれの光源ユニット20は、配光パターン300における一部の領域を形成する。例えば、図3及び図4を用いて説明した光源ユニット20は、配光パターン300の一部の領域306を形成する。
【0056】
以下、図3及び図4を用いて説明した光源ユニット20の配光特性について、更に詳しく説明する。本例において、この光源ユニット20におけるレンズ204は、半導体発光素子102の発光領域の中心O上に、焦点Fを有する。そのため、レンズ204は、半導体発光素子102が発生する光を前方に照射することにより、半導体発光素子102の発光領域の形状を車両の前方に投影し、領域306を形成する。レンズ204は、領域306を、配光パターン300において、ホットゾーンを形成すべき位置に形成する。
【0057】
ここで、本例において、LEDモジュール100は、半導体発光素子102の発光領域の中心Oに対して位置合わせがされた辺402(図8参照)を用いて、所定の基準位置に、高い精度で固定されている。そのため、この中心Oは、レンズ204に対して、高い精度で位置が合わされている。この場合、レンズ204は、この発光領域の形状を、領域306へ、高い精度で投影することができる。そのため、本例によれば、適切に配光パターンを形成することができる。
【0058】
尚、他の例において、レンズ204は、領域306の縁部と、水平カットライン302又は斜めカットライン304とが一致するように、領域306を形成してよい。この場合、レンズ204は、半導体発光素子102における発光領域の縁部の形状に基づき、水平カットライン302又は斜めカットライン304を形成してよい。レンズ204は、領域306の縁部の一部と、水平カットライン302又は斜めカットライン304の一部とが一致するように、領域306を形成してもよい。
【0059】
図10は、光源ユニット20の構成の他の例を示す垂直断面図である。尚、以下に説明する点を除き、図10において、図3及び/又は図4と同じ符号を付した構成は、図3及び/又は図4における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。
【0060】
本例において、光源ユニット20は、カバー252、LEDモジュール100、基板500、固定部材202、反射鏡256、及びハウジング206を有する。カバー252は、光源ユニット20の前面に、半導体発光素子102が発生する光を透過する素材により、例えば素通し状に形成される。
【0061】
固定部材202は、表面を上方に向けて、光源ユニット20の下面の上に裁置される。固定部材202は、反射鏡256に対する相対位置が既知の位置に固定される。また、固定部材202は、上面に設けられた溝904により、基板500を固定する。基板500は、LEDモジュール100を、上面に設けられた溝804により、固定する。これにより、基板500は、LEDモジュール100を、反射鏡256に対する相対位置が既知の基準位置に、固定する。
【0062】
ここで、この基準位置は、例えば、反射鏡256の光学的中心Fに対する相対位置が既知の位置に予め定められる。光学的中心Fは、例えば、反射鏡256に対する設計上の基準点である。本例において、基板500は、半導体発光素子102の発光領域の中心を、光学的中心Fと一致させて、LEDモジュール100を固定する。
【0063】
反射鏡256は、LEDモジュール100を車両の後方から覆うように形成される。反射鏡256は、半導体発光素子102が発生する光を、車両の前方に反射することにより、車両用灯具10(図1参照)の配光パターンの少なくとも一部を形成する。反射鏡256は、車両用灯具10に用いられる光学部材の一例である。
【0064】
尚、反射鏡256の少なくとも一部は、例えば回転放物面状に形成される。この回転放物面状の部分は、例えば、光学的中心Fから入射する光を、車両の前方への直進光として、反射する。反射鏡256は、反射光を、配光パターンを形成するための拡散光として、反射してよい。反射鏡256は、反射光を、例えばホットゾーンに照射してもよい。
【0065】
図11は、配光パターン300の一例を示す概念図である。尚、以下に説明する点を除き、図11において、図9と同じ符号を付した構成は、図9における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。本例において、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターン300を形成する。また、図10を用いて説明した光源ユニット20は、配光パターン300の一部の領域306を形成する。この光源ユニット20は、領域306を、水平カットライン302及び斜めカットライン304よりも下方に、形成する。
【0066】
ここで、例えば、LEDモジュール100を固定する精度が不適切であるとすれば、光源ユニット20は、領域306の一部を、水平カットライン302又は斜めカットライン304よりも上方に形成してしまう場合がある。この場合、水平カットライン302又は斜めカットライン304が不明確となるため、車両用灯具10は、配光パターン300を適切に形成できない場合がある。
【0067】
しかし、本例において、半導体発光素子102の発光領域の中心と、反射鏡256の光学的中心Fとを一致させて、LEDモジュール100は固定されている。そのため、本例によれば、高い精度で、領域306を形成できる。本例によれば、配光パターンを、適切に形成することができる。
【0068】
図12は、LEDモジュール100の構成の他の例を示す。図12(a)は、LEDモジュール100を示す。図12(b)は、LEDモジュール100における複数の半導体発光素子102を、詳細に示す。尚、以下に説明する点を除き、図12において、図5、図6、及び/又は図7と同じ符号を付した構成は、図5、図6、及び/又は図7における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。本例のLEDモジュール100は、例えば、図3及び図4を用いて説明した光源ユニット20に用いられる。LEDモジュール100は、図10を用いて説明した光源ユニット20に用いられてもよい。
【0069】
本例において、LEDモジュール100は、複数の半導体発光素子102を有する。複数の半導体発光素子102は、仮想的な線分320a〜dに囲まれた略正方形の領域に、並べて配置される。線分320a〜dは、例えば、隣接する複数の半導体発光素子102のそれぞれの一辺を含む包絡線の一部である。
【0070】
また、保持部708は、複数の半導体発光素子102の発光領域の中心Oと、複数の辺402a〜dの少なくとも一部との距離を合わせて、複数の半導体発光素子102を固定する。保持部708は、例えば、中心Oと辺402dとの距離が距離Y2となるように、複数の半導体発光素子102を固定する。保持部708は、中心Oと、辺402b〜dのいずれかとの距離を更に合わせて、複数の半導体発光素子102を固定してよい。本例によれば、複数の半導体発光素子102を、適切に固定することができる。
【0071】
尚、複数の半導体発光素子102に対する発光領域とは、例えば、複数の半導体発光素子102のそれぞれの発光領域を含む領域であり、例えば線分320a〜dより囲まれる領域である。また、複数の半導体発光素子102の発光領域における中心Oとは、例えば、複数の半導体発光素子102に対する発光領域における対称性の中心である。中心Oは、この発光領域の重心であってよい。この場合、光源ユニット20(図3参照)は、中心Oに対して対称な発光領域の形状を投影することにより、配光パターンの少なくとも一部を形成してよい。この配光パターンの一部は、例えば、発光領域の対称性に応じた対称性を有する。
【0072】
他の例において、中心Oは、図12(b)に点線で示した線分322a、bのような、複数の半導体発光素子102の間を延伸する線分上の点であってもよい。この場合、光源ユニット20は、例えば、線分322a、bを挟んで対称な発光領域の形状に基づき、配光パターンの少なくとも一部を形成する。
【0073】
ここで、本例において、レンズ204(図3参照)は、中心Oの上に、焦点Fを有する。この場合、レンズ204は、複数の半導体発光素子102の発光領域の形状を、車両の前方に、高い精度で投影することができる。そのため、本例によれば、配光パターンを適切に形成することができる。
【0074】
図13、図14、及び図15は、LEDモジュール100の構成の更なる他の例を示す。図13は、LEDモジュール100のAA断面図である。図14は、LEDモジュール100のBB断面図である。図15は、LEDモジュール100の下面図である。尚、以下に説明する点を除き、図13、図14、及び図15において、図5、図6、及び/又は図7と同じ符号を付した構成は、図5、図6、及び/又は図7における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。
【0075】
本例において、ボディ706は、スラグ収容部952及び延伸部954を含む。スラグ収容部952は、スラグ704の外周を覆って形成される。これにより、スラグ収容部952は、スラグ704を収容して固定する。
【0076】
延伸部954は、スラグ収容部952の下端から、更に下方に延伸して形成される。ここで、下方とは、例えば、半球状の封止部材108の頂点から、当該半球の中心に向かう方向である。また、延伸部954は、下面に、半導体発光素子102の表面と垂直な方向に窪んだ略正方形の穴を有する。この穴は、複数の辺402a〜dを内壁面の少なくとも一部に有する。辺402a〜dは、半導体発光素子102の位置を示す基準部の一例である。複数の辺402a〜dは、保持部708における穴の内壁面の辺であってよい。
【0077】
尚、複数の辺402a〜dは、半導体発光素子102の表面と平行な一の平面上に、形成されてよい。スラグ収容部952と延伸部954とは、当該平面を境界として、形成されてよい。
【0078】
また、本例において、保持部708は、例えば、半導体発光素子102の発光領域の中心Oを、辺402a〜dに対する相対位置が既知の位置に合わせて、半導体発光素子102を固定する。保持部708は、例えば、中心Oと辺402dとの距離がY2となり、中心Oと辺402bとの距離がX1となるように半導体発光素子102を固定する。保持部708は、中心Oと、辺402a〜dのいずれかとの距離を合わせて、複数の半導体発光素子102を保持してよい。
【0079】
また、保持部708は、半導体発光素子102の表面と、複数の辺402a〜dを含む面との距離がZ1となるように、半導体発光素子102を固定する。この場合も、半導体発光素子102を高い精度で固定することができる。また、これにより、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターンを適切に形成することができる。尚、保持部708は、半導体発光素子102の表面と延伸部954の下端との距離が所定の距離Z3となるように、半導体発光素子102を固定してもよい。
【0080】
図16は、基板500の構成の他の例を、図13、図14、及び図15を用いて説明したLEDモジュール100と共に示す。尚、以下に説明する点を除き、図16において、図8と同じ符号を付した構成は、図8における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。
【0081】
本例において、基板500は、LEDモジュール100に向かう方向に突出する複数の凸部510、512を有する。複数の凸部510、512は、保持部708における穴に収容されることにより、LEDモジュール100を、基準位置に合わせる。凸部510は、複数の辺402a〜dに対応する複数の辺502a〜dを、LEDモジュール100と対向すべき上面に有する。複数の辺502a〜dは、LEDモジュール100を取り付けるべき基準位置を示す、基準用の辺の一例である。この基準位置は、例えば、固定部材202(図3参照)が基板500を固定した場合に、レンズ204(図3参照)に対する相対位置が既知となる位置である。
【0082】
凸部510は、辺502a〜dをそれぞれ含む側面により、辺402a〜dのそれぞれを含む保持部708の内壁面を当接することにより、LEDモジュール100を、基準位置に固定する。そのため、本例によれば、LEDモジュール100を、高い精度で固定することができる。
【0083】
凸部512は、凸部510の上面から更に突出して形成される。そして、基板500がLEDモジュール100を固定する場合、凸部512の上面は、スラグ704の下面と接触する。これにより、凸部512は、半導体発光素子102が発生する熱を、スラグ704を介して受け取る。本例によれば、LEDモジュール100を、適切に固定することができる。また、これにより、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターンを適切に形成することができる。
【0084】
図17、図18、及び図19は、LEDモジュール100の構成の更なる他の例を示す。図17は、LEDモジュール100のCC断面図である。図18は、LEDモジュール100のAA断面図である。図19は、LEDモジュール100のBB断面図である。尚、以下に説明する点を除き、図17、図18、及び図19において、図5、図6、及び/又は図7と同じ符号を付した構成は、図5、図6、及び/又は図7における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。
【0085】
本例において、LEDモジュール100は、複数の突起452a、bを有する。突起452a、bは、保持部708の下面から、下方に突出して形成される。突起452a、bは、スラグ704の下面から突出してよい。
【0086】
また、保持部708は、半導体発光素子102の発光領域の中心Oを、突起452a、bに対する相対位置が既知の位置に合わせて、半導体発光素子102を固定する。保持部708は、例えば、中心Oと突起452aとの距離がY2となるように、半導体発光素子102を固定する。保持部708は、更に、中心Oと突起452bとの距離がY1となるように、半導体発光素子102を固定してよい。この場合も、半導体発光素子102を高い精度で、適切に固定することができる。また、これにより、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターンを適切に形成することができる。
【0087】
尚、突起452a、bは、半導体発光素子102の位置を示す基準部の一例である。また、中心Oと突起452との距離とは、例えば、半導体発光素子102の表面と平行な平面上に、中心Oと、突起452の中心軸とを投影した場合の、それぞれの投影像の間の距離である。
【0088】
また、保持部708は、例えば、辺310bと、複数の突起452a、bを結ぶ直線との距離が、X1となり、辺310aと、この直線との距離がX2となるように、半導体発光素子102を固定してよい。これにより、複数の突起452a、bを結ぶ方向と垂直な方向に対して、中心Oの位置を、適切に合わせることができる。辺310b又は辺310aと、複数の突起452a、bを結ぶ直線との距離とは、例えば、半導体発光素子102の表面と平行な平面上に、辺310b又は辺310aと、当該直線とを投影した場合の、それぞれの投影像の間の距離である。他の例において、保持部708は、辺310c、dと、突起452a、bとの距離を合わせて、半導体発光素子102を固定してもよい。この場合も、中心Oの位置を適切に合わせて、保持部708は、半導体発光素子102を固定することができる。
【0089】
図20は、基板500の構成の更なる他の例を、図17、図18、及び図19を用いて説明したLEDモジュール100と共に示す。尚、以下に説明する点を除き、図20において、図8と同じ符号を付した構成は、図8における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。
【0090】
本例において、基板500は、複数の突起452a、bに対応して設けられた複数の勘合部552a、bを有する。基板500がLEDモジュール100を固定する場合、複数の勘合部552a、bのそれぞれは、複数の突起452a、bのそれぞれと勘合する。また、勘合部552a、bは、LEDモジュール100を固定すべき基準位置に設けられる。この基準位置は、例えば、固定部材202(図3参照)が基板500を固定した場合に、レンズ204(図3参照)に対する相対位置が既知となる位置である。これにより、基板500は、レンズ204に対して、LEDモジュール100を、高い精度で固定することができる。
【0091】
また、本例において、一方の勘合部552bは、二つの勘合部552a、bを結ぶ方向に遊びを有しつつ、対応する突起452bと勘合する。また、他方の勘合部552aは、対応する突起452aと、当該方向に遊びがほとんどないように、勘合する。また、両方の勘合部552a、bは、突起452a、bと、当該方向と垂直、かつ基板500の表面に平行な方向に遊びがほとんどないように、勘合する。この場合、例えば突起452bの先端を勘合部552bに勘合させた後に、突起452aと勘合部552aとを勘合させることにより、LEDモジュール100を、基板500に、容易に取り付けることができる。本例によれば、LEDモジュール100を、適切に固定することができる。また、これにより、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターンを適切に形成することができる。
【0092】
尚、他の例において、LEDモジュール100は、基準部として、突起452a、bに代えて、例えば、保持部708(図19参照)に形成された穴を有してもよい。この場合、基板500は、勘合部552a、bとして、当該穴と勘合すべき突起を有してよい。この場合も、LEDモジュール100を適切に固定することができる。また、LEDモジュール100は、複数の突起452a、bのうちの一の突起452に代えて、保持部708に形成された穴を有してもよい。基板500は、複数の勘合部552a、bとして、これらと勘合すべき穴及び突起を有してよい。
【0093】
図21は、LEDモジュール100及び基板500の構成の更なる他の例を示す。尚、以下に説明する点を除き、図21において、図5〜8、図16〜20と同じ符号を付した構成は、図5〜8、図16〜20における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。
【0094】
本例において、LEDモジュール100は、辺402及び突起452を有する。辺402及び突起452は、半導体発光素子102(図5参照)の位置を示す基準部の一例である。
【0095】
また、基板500は、凸部510及び勘合部552を有する。また、凸部510は、辺502を含む。辺502及び勘合部552は、LEDモジュール100を取り付けるべき基準位置を示す。
【0096】
そして、基板500がLEDモジュール100を固定する場合、凸部510は、辺502を含む側面により、辺402を含むLEDモジュール100の外面を当接する。また、勘合部552は、突起452と勘合する。この場合も、基板500は、LEDモジュール100を、高い精度で固定することができる。そのため、本例においても、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターンを適切に形成することができる。
【0097】
図22は、LEDモジュール100の構成の更なる他の例を示す。尚、以下に説明する点を除き、図22において、図5、図6、図7及び/又は図12と同じ符号を付した構成は、図5、図6、図7及び/又は図12における構成と同一又は同様の機能を有するため説明を省略する。
【0098】
本例において、LEDモジュール100は、複数の半導体発光素子102a〜cを有する。複数の半導体発光素子102a〜cは、仮想的な線分320dに一辺を合わせるようにして、仮想的な線分320a〜dに囲まれた略正方形の領域に、例えば0.01mm以下程度の間隔dを隔てて、並べて配置される。
【0099】
また、保持部708は、中央の半導体発光素子102bの発光領域の中心Oと、複数の辺402a〜dの少なくとも一部との距離を合わせて、複数の半導体発光素子102a〜cを固定する。保持部708は、例えば、中心Oと辺402dとの距離が距離Y2となるように、複数の半導体発光素子102a〜cを固定する。保持部708は、中心Oと、辺402b〜dのいずれかとの距離を更に合わせて、複数の半導体発光素子102を固定してよい。本例によれば、複数の半導体発光素子102a〜cを、適切に固定することができる。また、これにより、車両用灯具10(図1参照)は、配光パターンを適切に形成することができる。
【0100】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】車両用灯具10の斜視図である。
【図2】車両用灯具10の水平断面図である。
【図3】光源ユニット20のAA垂直断面図である。
【図4】光源ユニット20のBB垂直断面図である。
【図5】LEDモジュール100のCC断面図である。
【図6】LEDモジュール100のAA断面図である。
【図7】LEDモジュール100のBB断面図である。
【図8】基板500の構成の一例を示す図である。
【図9】配光パターン300の一例を示す概念図である。
【図10】光源ユニット20の構成の他の例を示す垂直断面図である。
【図11】配光パターン300の一例を示す概念図である。
【図12】LEDモジュール100の構成の他の例を示す図である。
【図13】LEDモジュール100のAA断面図である。
【図14】LEDモジュール100のBB断面図である。
【図15】LEDモジュール100の下面図である。
【図16】基板500の構成の他の例を示す図である。
【図17】LEDモジュール100のCC断面図である。
【図18】LEDモジュール100のAA断面図である。
【図19】LEDモジュール100のBB断面図である。
【図20】基板500の構成の更なる他の例を示す図である。
【図21】LEDモジュール100及び基板500の構成の更なる他の例を示す図である。
【図22】LEDモジュール100の構成の更なる他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
10・・・車両用灯具、12・・・カバー、14・・・ランプボディ、16・・・回路ユニット、20・・・光源ユニット、22・・・ケーブル、24・・・放熱部材、26・・・ケーブル、28・・・エクステンションリフレクタ、100・・・LEDモジュール、102・・・半導体発光素子、104・・・電極、108・・・封止部材、202・・・固定部材、204・・・レンズ、206・・・ハウジング、208・・・エクステンション、252・・・カバー、256・・・反射鏡、260・・・反射鏡、300・・・配光パターン、302・・・水平カットライン、304・・・斜めカットライン、306・・・領域、310・・・辺、312・・・ボンディングワイア、320・・・線分、402・・・辺、452・・・突起、500・・・基板、502・・・辺、504・・・パッド、506・・・パッド、510・・・凸部、512・・・凸部、552・・・勘合部、602・・・領域、604・・・領域、702・・・サブマウント、704・・・スラグ、706・・・ボディ、708・・・保持部、802・・・辺、804・・・溝、902・・・辺、904・・・溝、952・・・スラグ収容部、954・・・延伸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた発光領域から光を発生する半導体発光素子と、前記半導体発光素子を保持する保持部と、前記保持部の一辺とされた基準部と、を有する光源モジュールと、
前記発光領域から発生された光を車外へ照射する光学部材と、
前記基準部に当接する基準用の辺を有しており、前記基準部と前記基準用の辺とを当接させた状態で前記光源モジュールを固定する光源固定部と、
を備え、
前記光源固定部は、前記光学部材の光学的中心が前記発光領域の中心に位置する状態で前記光源モジュールを固定する車両用灯具。
【請求項2】
前記光学部材の光学的中心から前記基準用の辺までの距離と、前記発光領域の中心から前記基準部までの距離とを等しくした請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
予め定められた発光領域から光を発生する半導体発光素子と、前記半導体発光素子を保持する保持部と、前記保持部に形成された穴又は突起とされた第1の基準部と、を有する光源モジュールと、
前記発光領域から発生された光を車外へ照射する光学部材と、
前記第1の基準部に嵌合する基準用の嵌合部を有しており、前記第1の基準部と前記基準用の嵌合部とを嵌合させた状態で前記光源モジュールを固定する光源固定部と、
を備え、
前記光源固定部は、前記光学部材の光学的中心が前記発光領域の中心に位置する状態で前記光源モジュールを固定する車両用灯具。
【請求項4】
前記光学部材の光学的中心から前記基準用の嵌合部までの距離と、前記発光領域の中心から前記第1の基準部までの距離とを等しくした請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記保持部は、少なくとも二つの前記第1の基準部を有しており、
前記光源固定部は、二つの前記基準用の嵌合部を有し、前記二つの前記基準用の嵌合部の一方を、一の前記第1の基準部に遊嵌させた状態で前記保持部を固定する請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記保持部は、前記保持部の一辺である第2の基準部を更に有し、
前記光源固定部は、前記第2の基準部が当接する基準用の辺を更に有し、前記第2の基準部と前記基準用の辺とを当接させることにより、前記第1の基準部を基準位置に配する請求項3に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−98186(P2008−98186A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341217(P2007−341217)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【分割の表示】特願2003−279425(P2003−279425)の分割
【原出願日】平成15年7月24日(2003.7.24)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】