説明

車両用灯具

【課題】意匠面で良好にすることができるとともに、スペース面で小型化を図ることができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具10は、焦線方向に沿って伸びる投影レンズ11と、投影レンズ11の後方焦線Lよりも後方側に配置された第1発光素子12と、第1発光素子からの光を前方の後方焦線Lに向けて反射させるリフレクタ13と、リフレクタからの反射光の一部を遮蔽するシェード34とを備えている。そして、車両用灯具10は、第1発光素子12よりも後方側に複数配置された第2発光素子14,15と、第2発光素子14,15からの光を導入させる入射面18、光を導く導光部19、少なくともシェードの一部を形成する遮光部17、遮光部に連設されて投影レンズ11の後方焦線Lまたはその近傍に配置され、導光部19に導かれた光を出射する出射面20とを有する導光体16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦線方向に沿って伸びる投影レンズを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用灯具の一例として、第1発光素子からの光を投影レンズに入射させる直接入射型の第1サブユニットと、リフレクタにより第2発光素子からの光を反射させて投影レンズに入射させる間接入射型の第2サブユニットと、を投影レンズの後方側の左右に並べた車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−213879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両のデザイン面において、ヘッドライト等の車両用灯具は、前面シェイプ感を演出するために、小型でスマートなものが望まれている。
ところが、上記特許文献1に開示された車両用灯具では、第1サブユニットと第2サブユニットとが投影レンズの左右方向に別構造になっているため、意匠面で好ましいとは言い難い。
【0005】
また、上記特許文献1に開示された車両用灯具では、第1サブユニットと第2サブユニットとを投影レンズの後方側の左右に並べて配置しているため、左右方向のスペースが多く必要である。すなわち、発光素子の基板はある程度の大きさが必要であり、第2発光素子も基板分のスペースが必要となり、リフレクタを有するサブユニットを左右に並べた配置にすると、左右方向に長い車両用灯具となってしまう。したがって、特に左右方向の小型化を図ろうとする車両のデザインに対応し難い。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、意匠面で良好にすることができるとともに、スペース面で小型化を図ることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、車両前後方向に延びる光軸上に配置され、車幅方向に延びる焦線を有し、該焦線方向に沿って伸びる投影レンズと、前記投影レンズの後方焦線よりも後方側に配置された第1発光素子と、前記第1発光素子からの光を前記後方焦線に向けて反射させるリフレクタと、前記リフレクタからの反射光の一部を遮蔽するシェードと、を備える車両用灯具であって、
前記第1発光素子よりも後方側に配置された第2発光素子と、該第2発光素子からの光を導入させる入射部、該入射部から導入された光を導く導光部、少なくとも前記シェードの一部を形成する遮光部、該遮光部に連設されて前記後方焦線または該後方焦線の近傍に配置され、該導光部に導かれた光を出射する出射部とを有する導光体と、を備えていることを特徴とする車両用灯具により達成される。
【0008】
上記構成の車両用灯具によれば、投影レンズの後方焦線よりも後方側に第1発光素子が配置され、該第1発光素子よりも後方側に第2発光素子が配置されている。これにより、第1発光素子とリフレクタからなるサブユニットと、第2発光素子と導光体からなるサブユニットとを一体構造とすることができる。しかも、第2発光素子が第1発光素子よりも後方側に配置され、第2発光素子の光を導光体で前方側に導くため、第1発光素子に係るサブユニットの間隔を小さくすることができる。したがって、意匠面で好ましくすることができるとともに、投影レンズの左右方向の搭載スペースの小型化を図ることができる。
【0009】
また、第1発光素子からの発光光を反射させるリフレクタからの反射光の一部が遮光部によって遮蔽される。また、第2発光素子からの発光光が入射部から導入され、導入された光が導光部によって導かれ、導かれた光が出射部から出射される。これにより、単一の導光体により遮光機能と導光機能とを兼ね備えることで部品点数の削減を図ることができる。
【0010】
また、上記構成の車両用灯具において、前記第2発光素子は、前記第1発光素子の斜め後方側にオフセット配置されていることが望ましい。
【0011】
このような構成の車両用灯具によれば、第1発光素子の斜め後方側にオフセット配置される第2発光素子は、第1発光素子の光軸に平行な面上に配置されることにより、投影レンズから出射される光の上下方向の広がりを抑制することができる。
【0012】
また、上記構成の車両用灯具において、前記導光体は、複数の前記導光部を有しており、隣接する前記導光部間に前記遮光部が一体的に形成されていることが望ましい。
【0013】
このような構成の車両用灯具によれば、隣接する導光部間に遮光部が一体形成されているので、カットオフラインに隣接する導光部間のつなぎ目の線が生じることはない。
【0014】
また、上記構成の車両用灯具において、前記導光体は、前記出射部に光拡散用のステップを有することが望ましい。
【0015】
このような構成の車両用灯具によれば、導光部に入射した第2発光素子からの光は、出射部のステップにより拡散されるため、投影レンズから水平方向および上方へ向けて出射されて被視認性の向上を図ることができる。なお、被視認性とは、車両灯具からの出射光を歩行者等が視認することを意味している。
【0016】
また、上記構成の車両用灯具において、前記導光体は、前記投影レンズを位置決め支持するレンズ支持部を有することが望ましい。
【0017】
このような構成の車両用灯具によれば、投影レンズは、導光体のレンズ支持部により位置決め支持されることにより、車両用灯具の所定位置に確実に配置させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車両用灯具によれば、意匠面で良好にすることができるとともに、スペース面で小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1〜図5を参照して本発明の複数の好適な実施形態を説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る車両用灯具の平面図、図2は図1の車両用灯具の正面図、図3は図1の車両用灯具のA−A線断面図、図4は図1の車両用灯具のB−B線断面図である。なお、説明中の前後左右は、車両の方向に順じており、図1中の下方が車両用灯具の照射方向である。
【0021】
図1〜図3に示すように、本発明の第1実施形態である車両用灯具10は、車両前後方向に延びる光軸Ax上に配置され、車幅方向に延びる焦線Lを有し、焦線方向に沿って伸びる投影レンズ11を備えている。この投影レンズ11は、車幅方向に長尺なシリンドリカルレンズである。
また、車両用灯具10は、投影レンズ11の後方焦線Lよりも後方側に配置された第1発光素子12と、第1発光素子12からの発光光α1を前方の後方焦線Lに向けて反射させるリフレクタ13とを備えている。また、車両用灯具10は、投影レンズ11の後方焦線Lよりも後方側に配置された複数の第2発光素子14,15を備えている。
【0022】
また、車両用灯具10は、第2発光素子14からの発光光α2を導入させる入射部である入射面18と、入射面18から導入された光を導く導光部19と、シェードの一部を形成する遮光部17とを有する導光体16を備えている。この導光体16は、その前面に遮光部17に連設されて投影レンズ11の後方焦線Lまたはその近傍に配置され、導光部19に導かれた光を投影レンズ11方向に出射する出射部である出射面20を有している。
なお、この車両用灯具10は、不図示のヘッドライトユニットと共にフロントコンビネーションライトのランプボディ21に取り付けられている。
【0023】
第1発光素子12は、その基板22をベース23に固定している。ベース23は、ランプボディ21の取付板24に段部を介して形成されている第1発光素子取付面25に固定されている。この第1発光素子12は、フォグランプ用光源として適用される。なお、フォグランプ用光源に代えてロービーム用光源として適用しても良い。
【0024】
リフレクタ13は、第1発光素子12の発光光α1を前方の後方焦線Lに向けて反射させる楕円形状であり、投影レンズ11側に開口部を配置して第1発光素子12の上部を囲むようにランプボディ21の取付板24に固定されている。なお、第1発光素子12とリフレクタ13とで反射型の第1サブユニットを形成している。
【0025】
第2発光素子14,15は、第1発光素子12の両側で、リフレクタ13の外側近傍にそれぞれ配置されている。この第2発光素子14,15は、その基板26,27がベース28,29にそれぞれ固定されている。
また、第2発光素子14,15は、第1発光素子12の斜め後方側に各々オフセット配置されている。このため、正面視で第1発光素子12と第2発光素子14,15との間隔を小さくすることができる。したがって、車両用灯具10の横幅寸法を小さくすることができる。
【0026】
ベース28,29は、ランプボディ21の取付板24に形成されている第2発光素子取付面30,31にそれぞれ固定されている。第2発光素子14,15は、ベース28,29を第2発光素子取付面30,31にそれぞれ固定することにより、前方に向けて光を照射する。この第2発光素子14,15は、DRL(Daytime Running Lamp)用光源として適用される。なお、DRL用光源に代えてポジションランプ用光源に適用しても良い。
【0027】
導光体16は、透明な樹脂材料を素材として成形されている。この導光体16は、図1中の第1発光素子12の左側に配置されている左方導光体32と、第1発光素子12の右側に配置されている右方導光体33とを、シェード部34を介して連続的に一体成形されている。なお、第2発光素子14,15と導光体16とで導光型の第2サブユニットを形成している。
【0028】
図3に示すように、導光体16は、その上面に遮光部17の一部を形成する第1反射層35を有し、その下面に遮光部17の他の一部を形成する第2反射層36を有している。第1、第2反射層35,36は、Alの蒸着、Cr又はAlのスパッタリング等によって形成されている。第1反射層35は、投影レンズ11の後方焦線Lまたはその近傍から後方に向けて第1発光素子12からの発光光α1の光軸Axに一致するように配置されている。そのため、投影レンズ11に入射される光の配光形成をし易くすることができる。
【0029】
導光体16は、投影レンズ11側の先端部に投影レンズ11を支持するためのレンズ支持部37が形成されている。これにより、投影レンズ11は、レンズ支持部37により導光体16に対して位置決めされ、車両用灯具の所定位置に配置される。
【0030】
導光体16の上面に、遮光部17の第1反射層35よりなるシェード部34が配置されている。このため、リフレクタ13により反射して導光体16の上面を介して投影レンズ11に向かう第1発光素子12からの発光光α1は、シェード部34によって一部カットされ、投影レンズ11の下方に向けて進行される。
【0031】
図4に示すように、導光体16は、第2発光素子14側の基端部に入射部である入射面18を配置しており、導光部19の先端部に出射部である出射面20を配置している。出射面20には、複数の凹凸形状を有するステップ38が形成されている。
【0032】
第2発光素子14からの発光光α2は、入射面18から入射し、第1反射層35および第2反射層36により反射しながら進行して出射面20のステップ38により拡散されて出射される。そして、発光光α2は、投影レンズ11から車両前方に照射される。
このとき、発光光α2は、導光体16を通じてリフレクタ13の先端部よりも投影レンズ11寄りの出射面20から出射されるため、リフレクタ13を介した第1発光素子12からの発光光α1を阻害することなく、最適な配光特性を得ることができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具10によれば、投影レンズ11の後方焦線Lよりも後方側に第1発光素子12が配置され、第1発光素子12よりも後方側に第2発光素子14,15が配置されている。これにより、第1発光素子12とリフレクタ13とからなる第1サブユニットと、第2発光素子14,15と導光体16とからなる第2サブユニットとを一体構造とすることができる。しかも、第2発光素子14,15が第1発光素子12よりも後方側に配置され、第2発光素子14,15の光を導光体16で前方側に導くため、第1発光素子12に係る第1サブユニットの間隔を小さくすることができる。したがって、意匠面で良好にすることができるとともに、スペース面で小型化を図ることができる。
【0034】
また、導光体16は、遮光部17がリフレクタ13で反射された反射光の一部を遮蔽するとともに、導光部19が第2発光素子14,15からの発光光α2を入射面18から導いて、出射面20から出射する。このように、シェード機能と導光機能とを兼ね備えた単一の導光体16によって部品点数の削減を図ることができる。
【0035】
また、第1発光素子12の斜め後方側にオフセット配置される第2発光素子14,15は、第1発光素子12の光軸Axに平行な面上に配置されるので、投影レンズ11から出射される照射光の上下方向の広がりを抑制することができる。
また、遮光部17が隣接する導光部19間に一体形成されているので、カットオフラインに隣接する導光部19間のつなぎ目の線が生じることはない。
【0036】
また、導光体16に入射した第2発光素子14,15からの発光光α2は、その出射面20のステップ38により拡散されるので、投影レンズ11から水平方向および上方へ向けて出射され、被視認性の向上を図ることができる。
また、投影レンズ11は、導光体16のレンズ支持部37により位置決め支持されることで、車両用灯具10の所定位置に配置させることができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る車両用灯具について説明する。
図5は本発明の第2実施形態に係る車両用灯具の平面図である。なお、以下の第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素には、同一符号を付することによって説明を省略する。
【0038】
図5に示すように、本発明の第2実施形態の車両用灯具40は、図5中の第1発光素子12の左側に配置されている左方導光体41と、第1発光素子12の右側に配置されている右方導光体42とを分割した導光体16を備えている。そして、両導光体41,42の前方に独立したシェード部43を配置している。
【0039】
本実施形態の車両用灯具40は、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、特に導光体41,42の平面視形状を簡素化することができ、加工性の向上を図ることができる。
【0040】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、車両用灯具は、フロントコンビネーションライトに代えてリアコンビネーションランプ等に適用することもできることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用灯具の平面図である。
【図2】図1の車両用灯具の正面図である。
【図3】図1の車両用灯具のA−A線断面図である。
【図4】図1の車両用灯具のB−B線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車両用灯具の平面図である。
【符号の説明】
【0042】
10,40 車両用灯具
11 投影レンズ
12 第1発光素子
13 リフレクタ
14,15 第2発光素子
17 遮光部
18 入射面(入射部)
19 導光部
20 出射面(出射部)
34,43 シェード部(シェード)
35,36 反射層
37 レンズ支持部
38 ステップ
L 後方焦線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びる光軸上に配置され、車幅方向に延びる焦線を有し、該焦線方向に沿って伸びる投影レンズと、
前記投影レンズの後方焦線よりも後方側に配置された第1発光素子と、
前記第1発光素子からの光を前記後方焦線に向けて反射させるリフレクタと、
前記リフレクタからの反射光の一部を遮蔽するシェードと、
を備える車両用灯具であって、
前記第1発光素子よりも後方側に配置された第2発光素子と、
前記第2発光素子からの光を導入させる入射部、該入射部から導入された光を導く導光部、少なくとも前記シェードの一部を形成する遮光部、該遮光部に連設されて前記後方焦線または該後方焦線の近傍に配置され、該導光部に導かれた光を出射する出射部とを有する導光体と、を備えていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第2発光素子は、前記第1発光素子の斜め後方側にオフセット配置されていることを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光体は、複数の前記導光部を有しており、隣接する前記導光部間に前記遮光部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体は、前記出射部に光拡散用のステップを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記導光体は、前記投影レンズを位置決め支持するレンズ支持部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−61902(P2010−61902A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224657(P2008−224657)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】