説明

車両用灯具

【課題】リング状の光を均一的に点灯することができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】上面に略円状の開口が形成された有底箱状のハウジング10と、ハウジング10に収容された光源体12とを有する車両用灯具1に、開口の内周縁に取り付けられる、中心部に円状の貫通孔が形成されたリング状のインナーレンズ11と、インナーレンズ11の内周円の内側に配置された正面視上で略円形のストップランプユニット2とを設ける。また、光源体12は、インナーレンズ11と相対向する位置に取り付けられている。また、ハウジング10は、光源体12からの光をハウジング10の内周側面に通す光路となる中空のスペース15が形成されていると共に、その内周側面に、光源体12からの光をハウジング10の上面に向けて反射させる反射面10aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、例えば、車両の後端部に取り付けられる尾灯(テールランプ)の機能を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている自動車用のテールランプの構造が特許文献1に開示されている。
ここで、特許文献1に記載のテールランプの構造を図6に基づいて説明する。
図6は、従来技術によるテールランプの断面図である。
図示するように、テールランプ100は、光源バルブ120と、光源バルブ120を保持すると共に、光源バルブ120からの光を反射させる略椀状のリフレクタ140と、光源バルブの前方に配置されている透光カバー160とを備えている。
そして、テールランプ100をオン状態にすると、光源バルブ120からの直接光と、リフレクタ140で反射した光源バルブ120の反射光とが、透光カバー160を介して、光源バルブ120の前方に照射される。
【0003】
また、従来から、テールランプの中には、デザインの観点から、リング状になされたものがある。以下、リング状になされたテールランプについて図7および図8に基づいて説明する。
図7は、従来技術による、リング状のテールランプを備えた車両用灯具の正面図である。また、図8は、図7に示す車両用灯具のX−X断面図である。
図示するように、車両用灯具200は、正面視上、略リング状に形成されたテールランプ210と、テールランプ210のリング状の内周円側に配置された略円状に形成されたストップランプ等のランプ(以下「別機能ランプ」という)220と、テールランプ210および別機能ランプ220を保持して収容する略筒状のハウジング230(図8参照)とを備えている。
【0004】
また、テールランプ210は、ハウジング230の外側に、同一円周上に等間隔で配置されて保持されている4個の光源バルブ211a、211b、211c、211dと、光源バルブ211a、211b、211c、211dの前方に配置されたリング状カバー212とを備えている。
なお、リング状カバー212は、光源バルブ211a、211b、211c、211dと相対向する部位に(リング状カバー212がハウジング230に取り付けられた際に、光源バルブ211a、211b、211c、211dと相対向する部位に)、光源バルブ211a、211b、211c、211dからの光を前方に拡散させるためのレンズカット212が施されている。
また、別機能ランプ220は、ハウジング230の略中心部に配置された光源バルブ221と、光源バルブ221の側面を覆い、光源バルブ221からの光を反射させる略椀状のリフレクタ222と、光源バルブの前方に配置されている略円状の透光カバー223とを備えている。
【0005】
そして、テールランプ210をオン状態にすると、光源バルブ211a、211b、211c、211dからの光がリング状カバー212を介して、前方に照射される。これにより、外部から見ると、テールランプ210がリング状に点灯しているように見える。
なお、別機能ランプをオン状態すると、テールランプ210の内周円の内側が灯火する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−313110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、リング状の光を均一的に点灯させることができないという技術的課題を有している。
具体的には、図7および図8に示したテールランプ210では、それぞれの光源バルブ211a、211b、211c、211dからの光が、主に、光源バルブ211a、211b、211c、211dと相対向する部位(説明の便宜上「バルブ対向部」という)にあるレンズカット212を介して照射される。そして、レンズカバー212のうちバルブ対向部とバルブ対向部との間の部分からは弱い光しか照射されない。
そのため、図9に示すように、テールランプ210を点灯すると、表面側のリング状カバー212に外観視上、明るく光って見える部分300a、300b、300c、300dと、暗く見える部分310a、310b、310c、310dとができてしまい、均一感の無い見栄えの悪いものになる。
なお、特許文献1にテールランプ100は、リング状に点灯させるものではない。
【0008】
また、上述した車両用灯具200では、リング状の光を点灯させるために、複数の光源バルブ211a、211b、211c、211dを搭載しているため、高電力化および質量の増加を招くという技術的課題も有している。
【0009】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであり、リング状の光を均一的に点灯することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、上面に略円状の開口が形成された有底箱状のハウジングと、前記ハウジングに収容された光源体とを有する車両用灯具に適用される。
そして、上記車両用灯具は、前記開口の内周縁に取り付けられる、中心部に円状の貫通孔が形成されたリング状のレンズと、前記リング状のレンズの内周円の内側に配置され、前記貫通孔を覆う正面視上で略円形の遮光部を有する円状ユニットとを備え、前記光源体は、前記ハウジングのなかの前記レンズと相対向する位置に取り付けられており、前記ハウジングは、前記光源体からの光を該ハウジングの内周側面に通す光路となる中空のスペースが形成されていると共に、その内周側面に、前記光源体からの光を該ハウジングの上面に向けて反射させる反射面が形成されていることを特徴とする。
【0011】
このように、本発明によれば、光源体を収容したハウジングの上面に取り付けられたリング状のレンズの内周円の内側に、レンズの貫通孔を覆う略円形の遮光部を有する円状ユニットを配置している。これにより、ハウジングに収容された光源体からの光は、レンズの内周円の内側から照射されることはない(遮光部より遮蔽されるため)。
また、前記ハウジングは、前記光源体からの光を内周側面に通す光路となる中空のスペースが形成されていると共に、その内周側面に、前記光源体からの光を該ハウジングの上面に向けて反射させる反射面が形成されている。
上記の構成により、光源体からの光は、光路となるスペースを通って、ハウジングの内周側面に形成された反射面で反射され、その反射された反射光がリング状のレンズに照射される(すなわち、光源体と相対向する位置にないレンズにも光が照射される)。また、光源体からの光は、光源体と相対向する位置のレンズに直接照射される。
そのため、本発明によれば、光源体からの光は、リング状のレンズの裏面の全体に照射され、その結果、リング状の光を均一的に点灯させることができる。
また、上記の構成によれば、1個の光源体により、リング状のレンズの裏面の全体に光を略均等に入射させることができるため、省電力化が図れると共に、質量を軽減させることができる。
【0012】
また、前記円状ユニットは、その一端面側に、前記スペースの中に配置され、且つ前記ハウジングの内周部に固定されるボスが形成され、前記ボスは、透光性を有する材料により形成されていることが望ましい。
このように、本発明によれば、ボスが透光性を有する材料により形成されているため、光路となるスペースに、ボスを配置しても、ボスにより光源体からの光が遮断されることがない。
【0013】
また、前記円状ユニットは、前記遮光部の上に搭載されたLEDと、前記LEDの前方を覆うカバーとを有するストップランプユニットであることが望ましい。
このように構成することにより、リング状の光を点灯させるランプの内側に、別の機能を持つ照明を配置させることができる。
また、ストップランプユニットは、光源に、電球等に比べて小型のLEDを用いており、これにより、ストップランプユニット自体を小型化することができる。その結果、前記ハウジングに、別機能を持つストップランプユニットを配置しても、光源体から照射される光の光路となるスペースを確保できるため、リング状に点灯させる光が影響されることがない(すなわち、リング状の光を均一的に点灯させることができる)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リング状の光を均一的に点灯することができる車両用灯具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の車両用灯具について図面に基づいて説明する。
先ず、本実施形態の車両用灯具の構成を図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の車両用灯具を示した斜視図であり、図1(a)は、車両に搭載された状態の車両用灯具の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の車両用灯具を拡大した斜視図である。
また、図2は、図1に示した車両用灯具のA−A断面図である。また、図3は、図1に示した車両用灯具のB−B断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の車両用灯具1は、車両Vの後端部に搭載される。また、車両用灯具1は、自身を搭載した車両Vの存在を後方に知らせるためにリング状の光を点灯するテールランプの機能と、車両Vが制動操作中(ブレーキ操作中)であることを後方に知らせるためのストップランプの機能とを備えている。
なお、車両用灯具1は、例えば、車両Vの後端部に設けられた凹部(図示しない)に嵌合させることにより、車両Vの後端部に取り付けられる。
【0017】
具体的には、車両用灯具1は、テールランプおよびストップランプの機能を備えた照明ユニット2と、照明ユニット2の前方を覆う透光性を有する合成樹脂等により形成されたアウタカバー3とを備えている。
また、図2および図3に示すように、照明ユニット2は、上面に略円状の開口が形成された中空の有底箱状のハウジング10と、前記開口の内周縁側に取り付けられた、円形の貫通孔を有するリング状のインナーレンズ11と、インナーレンズ11の貫通孔の内側に配置され、前記貫通孔を覆う略円状(正面視上で略円状)のストップランプユニット20と、ハウジング10の底部に取り付けられた1個の光源体12と、光源体12の点灯および消灯を制御する回路基板(図示しない)とを備えている。
そして、上記構成により、ハウジング10の上面の開口は、リング状のインナーレンズ11と、インナーレンズ11の内周円の内側に配置された略円状態のストップランプユニット20とにより塞がれる。
【0018】
また、上述した光源体12は、ハウジング10の内周側の底部の中のインナーレンズ11と相対向する位置に取り付けられる。なお、本実施形態では、光源体12が、ハウジングの下端側(図1および図2における下側)に取り付けられるものとする。
なお、光源体12の具体的な構成について特に限定されるものではないが、本実施形態では光源体12に電球(例えば、消費電力が5Wの電球)を用いる。
【0019】
ハウジング10は、合成樹脂等により作られており、その内周側面に、光源体12からの光を上面側(車両Vに取り付けられた際の正面側)に反射させる反射面10aが形成されている。
なお、光源体12が取り付けられたハウジング10の下端部側の内周側面は、ハウジング10の底部に対して略直交方向に形成され、下端部以外の内周側面は、ハウジング10の底部に対して外側に向けて広がるテーパ状に形成されている。
これにより、光源体12からの直接光が照射される位置のインナーレンズ11(光源体12と相対向する位置のインナーレンズ11)に照射されるハウジング10の内周側面からの反射光を減少させている。すなわち、インナーレンズ11に均等に光(光源体12からの直接光および反射面10aからの反射光)が照射されるようにしている。
【0020】
また、インナーレンズ11は、透光性を有する合成樹脂等により形成され、その表面に、後方からの光を前方に向けて拡散させるための拡散レンズカット11aが施されている(拡散レンズカットは、表面全体に施されている)。
また、インナーレンズ11は、外周端にフランジ部11bが形成され、そのフランジ部11bがハウジング10の内周側の上端部に取り付けられる。また、インナーレンズ11は、内周縁にフランジ部11cが形成され、そのフランジ部11cがストップランプユニット20に形成された溝部21aに係止される。
【0021】
また、ストップランプユニット12は、正面視上で略円形のベース部(遮光部)21と、ベース部21の一方面(上面)に取り付けられた複数のLED22を実装した回路基板(図示せず)と、ベース部21の上面を覆う略キャップ状のインナーカバー23と、ベース部21の下面に設けられた柱状のボス24とを備えている。
【0022】
また、ベース部21は、光を通さない合成樹脂等で形成されており、その上面の外周部には、環状に凹状の溝部21aが形成されている。また、上記のボス部24は、光を通す透明な材料(例えば、透光性を有する合成樹脂)により形成されている。また、インナーカバー23は、透光性を有する合成樹脂により形成されている。
また、ベース部21に形成された溝部21aには、上述したインナーレンズ11の内周縁側に形成されたフランジ部11cと、インナーカバー23の端部とが挿入される。
【0023】
また、ストップランプユニット12は、その中心部がハウジング10の上面の開口の略中心部に配置された状態で、ボス24により、ハウジング10の内周側面部に固定される。これにより、ハウジング10の上面に取り付けられたインナーレンズ11の内周円の内側の貫通孔が塞がれる。
そして、上記の構成により、ハウジング10の内周面と、インナーレンズ11と、ストップランプユニット20のベース部21とにより中空のスペース15が形成される。このスペース15が、光源体10から照射される光の光路になる。
なお、本実施形態は、ボス24によりストップランプユニット20がハウジング10に固定されていればよく、その固定方法について特に限定されるものではない。例えば、ハウジング10の内周側面に、ボス24が嵌合する形状の係止穴を設けておき、その係止穴にボス24を挿入することにより、ストップランプユニット20をハウジング10に固定する。
【0024】
また、本実施形態では、ストップランプユニット20の光源に、電球等に比べて小型のLEDを用いるようにして、ストップランプユニット20自体の高さ寸法(t(mm))を小さくした。このようにしたのは、照明ユニット2の内部に、光源体12から照射される光の光路となるためのスペース15を確保するためである。
そして、照明ユニット2の内部に、光源体12の光路となるスペース15を大きくとることにより、インナーレンズ11に光源体12からの光を均等に入射させるようにした。
【0025】
次に、本実施形態の車両用灯具1の機能について説明する。
先ず、車両用灯具1のテールランプとしての機能を説明する。
車両用灯具1に搭載された、図示しない、光源体12の点灯および消灯を制御する回路基板(以下、「テールランプ制御基板」という)は、車両Vの運転席に設けられたスイッチ等に電気的に接続されている。前記テールランプ制御基板は、前記スイッチ等からの制御信号にしたがい、光源体12を点灯させたり、消灯させたりできるようになされている。
【0026】
そして、上記のテールランプ制御基板は、光源体12の点灯を指示する御信号を受信すると、光源体12を点灯させる。
また、光源体12が点灯されると、光源体12からの光と、当該光がハウジング10の内周側面(反射面10a)で反射した反射光とが、インナーレンズ11に入射される。その結果、インナーレンズ11からリング状の光が照射される。
なお、光源体12から照射された光が、インナーレンズ11の内周円の内側から照射することはない(ストップランプユニット20のベース部21により遮蔽されているため)。
【0027】
このように、車両用灯具1は、光源体12を灯火させた場合、図1(b)に示すように、照明ユニット2の上面に配置されたインナーレンズ11からリング状に光を照射する。これにより、車両用灯具1がテールランプとしての機能を果たす。
また、本実施形態の車両用灯具1は、光源体12から照射される光の光路となるスペース15を設けている(光源体12からの光がハウジング10の内周側面の全体に届くように十分な大きさのスペース15を設けている)。また、ハウジング10の内周側面に、光源体12からの光を上面側に反射させる反射面10aが形成されている。
この構成により、本実施形態によれば、光源体12からの光を、インナーレンズ11の裏面の全体に略均等に入射させることができるため、リング状の光を均一的に点灯することができる。
【0028】
具体的には、光源体12をオン状態にすると(点灯すると)、図2に示すように、光源体12の前方に照射される光(図示する矢印a方向に照射される直接光)が、リング状のインナーレンズ11の下端部を通過し(拡散レンズカット11aにより拡散光に変換され)、拡散光として前方に照射される。
【0029】
また、光源体12から照射される光は、スペース15を通って、ハウジング10の内周側面に形成された反射面10aで反射し、その反射した反射光が、リング状のインナーレンズ11の上端部および左右両側を通過し、拡散光として前方に照射される。
具体的には、光源体12からハウジング10の上側に向かって照射された光(図示する矢印b方向に照射される光)は、光路であるスペース15を通って、ハウジング10の内周側面に形成された反射面10aで反射する。また、反射面10aで反射された反射光は、インナーレンズ11の上端部に照射される(図示する矢印c方向に照射される)。そして、前記反射光が、インナーレンズ11の上端部を通り、拡散光として前方に照射される。
ここで、ハウジング10のスペース15には、ストップランプユニット20を固定するためのボス24が配置されているが、ボス24は、上述した通り、光を通す透明な材料により形成されている。そのため、ボス24により、光源体12からの光が遮断されることがない(すなわち、光は、ボス24を通っても減衰しない)。
なお、インナーレンズ11の左右両側面から照射される光の流れは、上述した上端部からの光の流れと同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0030】
つぎに、車両用灯具1のストップランプとしての機能を説明する。
車両用灯具1のストップランプユニット20は、図示しないLED22を実装した回路基板(LED制御基板)により、LED22を点灯させたり、消灯させたりできるようになされている。
そして、前記LED制御基板は、車両Vの制動操作(ブレーキの操作)を示す制御信号の入力を受け付けると、LED22を点灯させる。
これにより、車両用灯具のリング状のインナーレンズ11の内周円の内側が灯火して、ストップランプとしての機能を果たす。
なお、車両Vの制動操作に応じて、LED22を点灯および消灯さを制御する構成は、公知の技術により実現されるものとする。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具1は、ハウジング10内に、光源体12から照射される光の光路となるスペース15が設けられていると共に、ハウジング10の内周側面に、光源体12からの光を上面側に向けて反射させる反射面10aが形成されている。
そして、この構成により、本実施形態によれば、光源体12からの光を、インナーレンズ11の裏面の全体に略均等に入射させることができるため、リング状の光を均一的に点灯させることが可能になる。
【0032】
また、本実施形態の車両用灯具1の構成によれば、1つの光源体12(電球)で、リング状に光を灯火することが可能になる。
そのため、本実施形態の車両用灯具1は、図5〜図7に示した車両用灯具200に比べ、省電力化を実現できると共に、質量を軽減させることができる(従来技術の車両用灯具に比べて、電球の数を「4個」から「1個」に減少させることができる)。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなくその要旨の範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、リング状のインナーレンズ11の内周円の内側にストップランプユニット2を配置するようにしているが、あくまでもこれは例示に過ぎない。
ストップランプユニット2と同様の形状をしており、インナーレンズ11の内周円の内側に配置された際に、光路となる中空のスペース15を形成でき、且つ光源体12からの光が、インナーレンズ11の内周円の内側から照射されることを防ぐことができることができるものであれば、どのようなものでもかまわない。
【0034】
また、例えば、インナーレンズ11のうち、光源体12と相対向する部位については(光源体12からの直接光が入射される部位については)、その部位から照射される光が弱くなるように、レンズカット11aの形状を変更するようにしてもよい。
【0035】
また、例えば、リング状に均等に光を灯火させるために、図4および図5に示すように、インナーレンズ11の拡散レンズカット11aの形状を、インナーレンズ11の部位に応じて変えるようにしてもよい。
図4は、本発明の実施形態の変形例のインナーレンズの正面図である。また、図5は、図4に示したインナーレンズのC‐C断面図であり、インナーレンズ11の右側面部110bの断面を示している。
なお、図4および図5では、説明の便宜上、上述した実施形態と同じ符号を用いる。
【0036】
図4に示すように、インナーレンズ11は、「拡散角8.5°タイプのレンズステップカット11a1」が施された部分(110a、110d、110f(第1拡散部))と、「拡散角18°タイプのレンズステップカット11a2」が施された部分(110b、110c、110e(第2拡散部))とが交互に配置されている。
ここで、「拡散角8.5°タイプのレンズステップカット11a1」とは、拡散角8.5°の光を前方に照射するレンズカットのことをいう。また、「拡散角18°タイプのレンズステップカット11a2」とは、拡散角18°の光を前方に照射するレンズカットのことをいう。
なお、本変形例は、説明の便宜上、光源体12(図2参照)の配置や、ハウジング10の内部に形成された光路の関係により、第2拡散部(110b、110c、110e)に比べて、第1拡散部(110a、110d、110f)に強い光(光源体12からの光およびハウジング10の内周側面からの反射光)が入射される場合を例にしている。
【0037】
具体的には、図5に示すように、インナーレンズ11の右側面部110b(第2拡散部)は、「拡散角18°タイプのレンズステップカット11a2」が施されている。なお、右側面部110b以外の第2拡散部(110c、110e)についても、図5と同様の形状のレンズカットが施される。また、図示しないが、第1拡散部(110a、110d、110f)には、「拡散角8.5°タイプのレンズステップカット11a1」が施されている。
【0038】
そして、本変形例では、上述したように、第2拡散部(110b、110c、110e)に比べて、第1拡散部(110a、110d、110f)に強い光(光源体12からの光およびハウジング10の内周側面からの反射光)が入射されるようになされている。そのため、本変形例では、上記のレンズカット11aが施されたインナーレンズ11を用いることにより、インナーレンズ11の部位に応じて、インナーレンズ11から照射される光の拡散角を変えて、インナーレンズ11からの光がリング状に均等に灯火しているように見せている。
なお、本変形例のレンズカット11aは、あくまでも例示である。レンズカット11aは、リング状に均等に光を灯火させることができるように形成されていればよい。
すなわち、レンズカット11aの形状及び配置は、光源体12(図2参照)の配置やハウジング10の内部に形成された光路、ストップランプユニット20を固定するためのボス24等の関係により、適時設計される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態の車両用灯具の斜視図である。
【図2】図1に示した車両用灯具のA−A断面図である。
【図3】図1に示した車両用灯具のB−B断面図である。
【図4】本発明の実施形態の変形例のインナーレンズの正面図である。
【図5】図4に示したインナーレンズのC‐C断面図である。
【図6】従来技術によるテールランプの断面図である。
【図7】従来技術による、リング状のテールランプを備えた車両用灯具の正面図である。
【図8】図7に示す車両用灯具のX−X断面図である。
【図9】図7に示した車両用灯具が点灯された状態を示した模式図である。
【符号の説明】
【0040】
V…車両
1…車両用灯具
2…照明ユニット
3…アウタカバー
10…ハウジング
10a…反射面
11…インナーレンズ
11a…レンズカット
11a1…拡散角18°タイプのレンズステップカット
11a2…拡散角8.5°タイプのレンズステップカット
11b、11c…フランジ部
12…光源体
15…スペース
20…ストップランプユニット
21…ベース部
21a…溝部21
22…LED
23…インナーカバー
24…ボス
110a、110d、110f…第1拡散部
110b、110c、110e…第2拡散部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に略円状の開口が形成された有底箱状のハウジングと、前記ハウジングに収容された光源体とを有する車両用灯具において、
前記開口の内周縁に取り付けられる、中心部に円状の貫通孔が形成されたリング状のレンズと、
前記リング状のレンズの内周円の内側に配置され、前記貫通孔を覆う正面視上で略円形の遮光部を有する円状ユニットとを備え、
前記光源体は、前記ハウジングのなかの前記レンズと相対向する位置に取り付けられており、
前記ハウジングは、前記光源体からの光を該ハウジングの内周側面に通す光路となる中空のスペースが形成されていると共に、その内周側面に、前記光源体からの光を該ハウジングの上面に向けて反射させる反射面が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記円状ユニットは、その一端面側に、前記スペースの中に配置され、且つ前記ハウジングの内周部に固定されるボスが形成され、
前記ボスは、透光性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記円状ユニットは、前記遮光部の上に搭載されたLEDと、前記LEDの前方を覆うカバーとを有するストップランプユニットであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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