説明

車両用灯具

【課題】2つの導光棒を一箇所の光源部で発光させる車両用灯具であって、外観商品性に優れるものを提供する。
【解決手段】車両用灯具1は、2つのLED4,4と、LED4,4と対応付けられて個別に発光し、上下方向にそれぞれ延在するとともに互いの端部を対向させて直列配置された2つの導光棒3,3とを備える。LED4,4は、各発光面を前方に向けた状態で、それぞれ対応する導光棒3の端部の後方に配置される。導光棒3,3は、対応するLEDに対向する入射面31と、入射面31から当該導光棒3内に入射した光を上下方向へ内部反射させる反射面32とを各端部に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用ヘッドライトなどの車両用灯具として、灯室内に配した長尺な導光棒を発光させて副配光を形成するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この種の車両用灯具では、導光棒内での伝播に伴う光の減衰を抑えるために、導光棒を長手方向の中間部で2つに分割し、この中間部に光源部を設けて各導光棒を発光させている。
【0003】
図3は、この光源部の側面図である。
この図に示すように、光源部50では、上下方向に沿って延在する2つの導光棒51,51が互いの端面を対向させて直列配置されている。この導光棒51,51の端面には、個別の基板52に実装された光源(例えばLED)53がそれぞれ対向しており、各光源53から出射された光が対向する端面から導光棒51内に入射して当該導光棒51を発光させるように構成されている。また、光源部50の前部には、光源53や基板52を前方から視認できないように隠すための遮蔽板54が立設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−273336号公報
【特許文献2】特開2010−146818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記光源部50では、2つの導光棒51,51の端面間に光源53や基板52を介在させているため、当該光源部50が上下方向に大きくなってしまう。したがって、2つの導光棒51,51の間の非発光部が大きくなってしまい、外観商品性に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、2つの導光棒を一箇所の光源部で発光させるものであって、外観商品性に優れる車両用灯具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
2つのLEDと、
前記2つのLEDと対応付けられて個別に発光し、前後方向に直交する延在方向にそれぞれ延在するとともに互いの端部を対向させて直列配置された2つの導光棒と、
を備える車両用灯具において、
前記2つのLEDは、各発光面を前方に向けた状態で、それぞれ対応する導光棒の端部の後方に配置され、
前記2つの導光棒は、対応するLEDに対向する入射面と、前記入射面から当該導光棒内に入射した光を前記延在方向へ内部反射させる反射面と、を各端部に有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用灯具において、
前記2つのLEDは、前記延在方向に沿って並設され、後方に配設された同一の基板に実装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2つのLED(光源)が、各発光面を前方に向けた状態で、それぞれ対応する導光棒の端部の後方に配置されており、2つの導光棒が、対応するLEDに対向する入射面と、入射面から当該導光棒内に入射した光を延在方向へ内部反射させる反射面と、を各端部に有するので、2つのLEDを2つの導光棒の後方に配した状態で、この2つの導光棒を発光させることができる。これにより、2つの導光棒の端部を延在方向に近接させて、2つのLEDが設けられた光源部を導光棒の延在方向にコンパクトに構成することができる。したがって、2つの導光棒の間に光源や基板が介在していた従来と異なり、あたかも1つの導光棒だけが発光しているように2つの導光棒を発光させることができ、外観商品性を優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態における車両用灯具の正面図である。
【図2】実施形態における車両用灯具の光源部の側面図である。
【図3】従来の車両用灯具の光源部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における車両用灯具1の正面図である。
なお、以下の説明では、特に断らない限り、「上」「下」「前」「後」「左」「右」との記載を、車両用灯具1から見た方向を指すものとして、図面の記載と対応させて用いることとする。
【0013】
図1に示すように、車両用灯具1は、図示しない車両の後端部に配置されるリヤランプであり、素通しのレンズ2で前面を覆われた灯室内に2つの長尺な導光棒3,3を備えている。
【0014】
導光棒3,3は、端部から入射した光を長手方向に沿って伝播させつつ当該光によって全体的に発光する棒状の発光部材である。導光棒3,3の構造については、従来より公知のものと同様であるため、説明を省略する。この導光棒3,3は、車両用灯具1の周縁に沿って延在するように配設されており、灯室内の側端部で互いの端部を近接させている。導光棒3,3の端部が近接している部分には、当該導光棒3,3を発光させるための光源部Lが設けられている。
【0015】
図2は、光源部Lの側面図である。
この図に示すように、光源部Lでは、上下方向に延在する導光棒3,3が互いの端部を上下方向に対向させて略直列に並んでいる。導光棒3,3の端部の後方には、2つのLED(発光ダイオード)4,4が、導光棒3,3と対応付けられて当該導光棒3,3を個別に発光させるように配設されている。具体的には、LED4,4は、それぞれ対応する導光棒3の端部の後方に配置されるとともに、各発光面を前方に向けた状態で上下方向に沿って並設されている。また、LED4,4は、後方に立設された同一の基板41に実装されている。
【0016】
LED4,4の前方に位置する導光棒3,3の各端部には、対応するLED4に対向する入射面31と、入射面31から導光棒3内に入射した光を当該導光棒3の延在方向(上下方向)に向けて上方又は下方へ内部反射させる反射面32とが形成されている。したがって、LED4,4から前方へ出射された光は、対応する導光棒3の入射面31から当該導光棒3内に入射した後、反射面32で当該導光棒3の延在方向へ内部反射される。そして、この光が導光棒3,3内を伝播することにより、当該導光棒3,3が発光する。
【0017】
以上のように、車両用灯具1によれば、LED4,4を導光棒3,3の後方に配した状態で、当該導光棒3,3を発光させることができるので、2つの導光棒3,3の端部を上下方向に近接させて、光源部Lを上下方向にコンパクトに構成することができる。したがって、2つの導光棒の間に光源や基板が介在していた従来と異なり、あたかも1つの導光棒3だけが発光しているように2つの導光棒3,3を発光させることができ、外観商品性を優れたものとすることができる。
【0018】
また、LED4,4及び基板41が導光棒3,3の後方に配置されているので、当該LED4,4及び基板41は車両外方(前方)から視認されることがない。したがって、光源及び基板が2つの導光棒の間に介在していた従来と比べ、これら光源及び基板を隠すための遮蔽板が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【0019】
また、2つのLED4,4が同一の基板41に実装されているので、2つの光源を個別の基板に実装していた従来と比べ、部品点数を減らして組立性を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0021】
例えば、上記実施形態では、光源部Lにおいて、2つの導光棒3,3が上下方向に沿って延在していることとしたが、当該導光棒3,3の延在方向は、前後方向に略直交する方向であれば特に限定されない。更に言えば、導光棒3,3の延在方向は、2つの導光棒3,3で異なっていてもよく、例えば、一方の導光棒3が上下方向であり、他方の導光棒3が左右方向であってもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 車両用灯具
3 導光棒
31 入射面
32 反射面
4 LED
41 基板
L 光源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのLEDと、
前記2つのLEDと対応付けられて個別に発光し、前後方向に直交する延在方向にそれぞれ延在するとともに互いの端部を対向させて直列配置された2つの導光棒と、
を備える車両用灯具において、
前記2つのLEDは、各発光面を前方に向けた状態で、それぞれ対応する導光棒の端部の後方に配置され、
前記2つの導光棒は、対応するLEDに対向する入射面と、前記入射面から当該導光棒内に入射した光を前記延在方向へ内部反射させる反射面と、を各端部に有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記2つのLEDは、前記延在方向に沿って並設され、後方に配設された同一の基板に実装されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−169116(P2012−169116A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28543(P2011−28543)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】