説明

車両用灯具

【課題】簡単な構成でアウタレンズ内面の曇りを防ぐことができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズ3によって画成される灯室4内にバルブ(光源)5とリフレクタ6及びインナレンズ7を収容して成るトランクリッドランプ(車両用灯具)1において、前記アウタレンズ3と前記リフレクタ6及びインナレンズ7によって灯室4内に形成される空間Sに開口する切欠き6a,6bを前記リフレクタ6に形成し、前記ハウジング2には前記切欠き6aの上部位置に開口部2aを形成する。又、前記切欠き6a,6bを前記リフレクタ6の上下にそれぞれ形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウタレンズ内面の曇り対策を施した車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に車両用灯具は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源やリフレクタ、インナレンズ等を収容して構成される。図5及び図6に車両用灯具の一例を示す。
【0003】
即ち、図5は従来の車両用灯具の正面図、図6は図5のC−C線断面図であり、図示の車両用灯具101は、車両後部のトランクルームを開閉するトランクリッド110に取り付けられるトランクリッドランプである。このトランクリッドランプ101は、図6に示すように、ハウジング102とその開口部を覆うアウタレンズ103によって画成される灯室104内に、光源であるバルブ105とリフレクタ106及びインナレンズ107を収容して構成されている。
【0004】
ところで、車両用灯具におけるレンズ内面の曇り防止対策として、ハウジングに空気孔を形成して灯室内を換気することは一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−282905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5及び図6に示すトランクリッドランプ101においては、図6に示すようにアウタレンズ103とリフレクタ106及びインナレンズ107によって灯室104内に密閉空間Sが形成されるため、バルブ105の点灯によって暖められた空気が密閉空間S内を対流するだけであって、密閉空間Sの換気が行われないため、消灯時等においてアウタレンズ103が冷やされると、該アウタレンズ103の低温となるコーナー部(図5のa,b,c部分)で高湿度の空気や冷やされて結露するため、そのコーナー部においてアウタレンズ103の内面に曇りが発生し易いという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、簡単な構成でアウタレンズ内面の曇りを防ぐことができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源とリフレクタ及びインナレンズを収容して成る車両用灯具において、前記アウタレンズと前記リフレクタ及びインナレンズによって灯室内に形成される空間に開口する切欠きを前記リフレクタに形成し、前記ハウジングには前記切欠きの上部位置に開口部を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記切欠きを前記リフレクタの上下にそれぞれ形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、アウタレンズとリフレクタ及びインナレンズによって灯室内に形成される空間の換気がリフレクタに形成された切欠きによってなされるため、高湿度の空気が空間内に滞留することがなく、アウタレンズが冷やされても、その内面の曇りが確実に防がれる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、切欠きをリフレクタの上下にそれぞれ形成したため、光源によって暖められた空気が下側の切欠きから空間内に流入し、この空気は上側の切欠きから空間外へと排出されるために空間内の換気が効率良くなされ、アウタレンズ内面の曇りが一層確実に防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車両用灯具が設けられた車両のトランクリッドの斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】従来の車両用灯具の正面図である。
【図6】図5のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る車両用灯具が設けられた車両のトランクリッドの部分斜視図、図2は本発明に係る車両用灯具の正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図である。
【0015】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、図1に示すように、車両(乗用車)の後部に設けられた不図示のトランクルームを開閉するためのトランクリッド10の後面の左右に取り付けられるトランクリッドランプ(図1には一方のみ図示)である。このトランクリッドランプ1は、図3及び図4に示すように、ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズ3によって画成される灯室4内に、光源であるバルブ5とリフレクタ6及びインナレンズ7を収容して構成されている。尚、図1〜図4に示すトランクリッドランプ1は、車両の右側部に配されるものであって、左右のトランクリッドランプ1は左右対称に構成され、その基本構成は左右で同じであるため、以下、右側のトランクリッドランプ1についてのみ説明する。
【0016】
前記ハウジング2は光透過性樹脂によってボックス状に一体成形され、前記アウタレンズ3は光透過性樹脂によって一体成形されており、アウタレンズ3の周縁がハウジング2の開口部周縁に接着されることによって該アウタレンズ3がハウジング2に接合一体化されている。そして、図3に示すように、ハウジング2の背面中央部には前記バルブ5がソケット8を介して挿通保持されている。又、図4に示すように、ハウジング2の上部にはトランクリッド20の内部に開口する開口部2aが形成されている。
【0017】
又、前記リフレクタ6は光不透過性の樹脂によって一体成形されており、その内面は反射面を構成しており、この反射面には銀塗装やアルミ蒸着等の反射処理が施されている。そして、このリフレクタ6の車両後方(図3の下方、図4の左方)に向かって開口する開口部には前記インナレンズ7が嵌め込まれて固定されている。
【0018】
上記インナレンズ7は、光透過性樹脂によって成形されており、アウタレンズ3の内面に近接して配置されている。そして、灯室4内のアウタレンズ3の内面に近い側には、アウタレンズ3とリフレクタ6及びインナレンズ7によって区画される空間Sが形成されており、図4に示すように、リフレクタ6の上下(正面視で図2のX部分とY部分)には、灯室4内の前記空間Sに開口する切欠き6a,6bがそれぞれ形成されている。
【0019】
以上のように構成されたトランクリッドランプ1において、バルブ5が点灯すると、該バルブ5から出射する光の一部は直射光としてインナレンズ7及びアウタレンズ3を透過して配光されながら車両後方へと出射し、他の光はリフレクタ6の反射面で反射して車両後方へと進み、反射光としてインナレンズ7及びアウタレンズ3を透過して配光されながら車両後方へと出射する。
【0020】
而して、バルブ5の点灯によって暖められた灯室4内の空気は、図4に矢印にて示すように灯室4内を対流する。即ち、ハウジング2の底部とリフレクタ6に底部との間をアウタレンズ3(車両後方)に向かって図示矢印方向に流れ、リフレクタ6の下側に形成された切欠き6bを通過して空間S内に流入し、この空間S内を上に向かって流れる。そして、空間S内を上向きに流れる空気は、リフレクタ6の上側に形成された切欠き6aから空間S外へと流出し、ハウジング2の上部に開口する開口部2aからトランクリッド10内へと排出される。又、トランクリッド10内の温度の低い空気は、ハウジング2の開口部2aから灯室4内へと流入し、以後,同様の経路を流れて空間Sの換気に供される。
【0021】
以上のように、本実施の形態に係るトランクリッドランプ1においては、アウタレンズ3とリフレクタ6及びインナレンズ7によって灯室4内に形成される空間Sの換気がリフレクタ6の上下にそれぞれ形成された切欠き6a,6bによってなされるため、高湿度の空気が空間S内に滞留することがなく、アウタレンズ3が冷やされても、その内面の曇りが防がれる。特に、本実施の形態では、切欠き6a,6bをリフレクタ6の上下にそれぞれ形成したため、バルブ5によって暖められた空気が下側の切欠き6bから空間S内に流入し、この空気は上側の切欠き6aから空間S外へと排出されることによって空間S内の換気が効率良くなされ、アウタレンズ3の内面の曇りが確実に防がれる。
【0022】
尚、以上は本発明をトランクリッドランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、同様の構成を有する他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 トランクリッドランプ(車両用灯具)
2 ハウジング
2a ハウジングの開口部
3 アウタレンズ
4 灯室
5 バルブ(光源)
6 リフレクタ
6a,6b リフレクタの切欠き
7 インナレンズ
8 ソケット
10 トランクリッド
S 空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源とリフレクタ及びインナレンズを収容して成る車両用灯具において、
前記アウタレンズと前記リフレクタ及びインナレンズによって灯室内に形成される空間に開口する切欠きを前記リフレクタに形成し、前記ハウジングには前記切欠きの上部位置に開口部を形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記切欠きを前記リフレクタの上下にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−174628(P2012−174628A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37877(P2011−37877)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】