説明

車両用照明制御装置

【課題】ユーザによって点灯時間を変更することが可能な車両用照明制御装置を提供する。
【解決手段】車両に備えられた照明装置と、車両の状態を検出する車両状態検出手段と、照明装置の点灯モードを設定する点灯モード設定手段と、車両の状態が駐車状態であると判定されたときに、点灯モードの設定内容に基づいて、照明装置を予め定められた時間点灯させる照明制御手段と、を備える車両用照明制御装置であって、車両のドアをロックするための操作を行うドアロック操作手段と、ドアロック操作を検出するドアロック操作検出手段と、車両のドアのロック状態を検出するドアロック状態検出手段と、検出したドアロック操作回数を計測するドアロック操作回数計測手段と、検出したドアのロック状態および計測したドアロック操作回数に基づいて、照明装置の点灯時間を設定する点灯時間設定手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を駐車状態とすると、所定時間ヘッドライト等の照明を点灯し、所定時間が経過すると消灯する車両用照明制御装置がある。この車両用照明制御装置は、駐車スペースと玄関が離れているときに、玄関方向を照らし、乗員の安全あるいは利便性を確保することに役立っている。
【0003】
また、ユーザが操作するキーレスリモコン(携帯機)からのドアロック信号またはドアアンロック信号を利用して車幅灯や前照灯などの室外灯を点灯させることにより、夜間に車両までのアプローチを照らすように室外灯を点灯制御するための点灯制御装置が搭載されたものがある。さらに、ユーザの操作ミスによる車外灯の消灯を防止することができる自動車の室外灯の点灯制御装置およびそれを用いた点灯制御方法が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−306138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、点灯時間の変更はディーラ等で専用ツールを使って変更するものとなっている。このため、駐車場所の環境によりユーザが点灯時間を変えたいようなとき、例えば周囲が明るいときには早めに消灯する、周囲が暗ければ長めに点灯させておきたいとユーザが考えても、ユーザによって点灯時間を変更することはできない。
【0006】
上記問題を背景として、本発明の課題は、ユーザによって点灯時間を変更することが可能な車両用照明制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するための車両用照明制御装置は、車両に備えられた照明装置と、車両の状態を検出する車両状態検出手段と、照明装置の点灯モードを設定する点灯モード設定手段と、車両の状態が駐車状態であると判定されたときに、点灯モードの設定内容に基づいて、照明装置を予め定められた時間点灯させる照明制御手段と、を備える車両用照明制御装置であって、車両のドアをロックするための操作を行うドアロック操作手段と、ドアロック操作を検出するドアロック操作検出手段と、車両のドアのロック状態を検出するドアロック状態検出手段と、検出したドアロック操作回数を計測するドアロック操作回数計測手段と、検出したドアのロック状態および計測したドアロック操作回数に基づいて、照明装置の点灯時間を設定する点灯時間設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によって、ユーザによって照明装置の点灯時間を変更することが可能となる。また、点灯時間を変更するドアロック操作は、駐車時にほぼ必ず行うもので、ユーザの違和感も小さい。また、新たな操作を覚える必要もないので、ユーザの負担も増加しない。
【0009】
また、本発明の車両用照明制御装置におけるドアロック操作手段は、メカニカルキーであり、ドアロック操作検出手段は、ドアのキーシリンダに設けられてメカニカルキーの操作を検出するように構成される。
【0010】
上記構成によって、メカニカルキーを用いてドアロック操作を行う車両において、本発明の構成を実現できる。
【0011】
また、本発明の車両用照明制御装置におけるドアロック操作手段は、ユーザが携帯する無線通信可能な携帯機であり、携帯機からの電波を受信する受信手段を備え、ドアロック操作検出手段は、携帯機からの電波に含まれるドアロック要求信号を検出するように構成される。
【0012】
上記構成によって、いわゆるキーレスエントリシステムを備えた車両において、その携帯機を用いて本発明の構成を実現できる。また、従来の技術では、携帯機によって照明装置の点灯あるいは消灯のみしか行えなかったものが、点灯時間の設定をも行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の車両用照明制御装置におけるドアロック操作手段は、車両の車体外部に取り付けられ、ユーザが携帯する無線通信可能な携帯機と、携帯機に対し車両固有のIDコードの送信を要求するためのリクエスト信号を無線送信するIDコード要求手段と、要求したIDコードを無線受信するIDコード受信手段と、受信したIDコードと所定記憶部に記憶されたマスターコードとを照合する照合手段と、を備え、IDコードの照合の一致に基づいて、ドアロック操作の有効/無効が判定され、ドアロック操作検出手段は、有効と判定されたドアロック操作を検出するように構成される。
【0014】
上記構成によって、いわゆるスマートキーレスエントリシステムを備えた車両においても、その携帯機を用いて本発明の構成を実現できる。
【0015】
また、本発明の車両用照明制御装置は、点灯時間設定手段により設定された照明装置の点灯時間を記憶する点灯時間記憶手段を備え、点灯時間設定手段は、ドアがロック状態に遷移したときに、点灯時間記憶手段に記憶されている照明装置の点灯時間を読み出して、それを該照明装置の点灯時間として設定するように構成される。
【0016】
例えば、夜間に勤務先から帰宅して駐車した場合、車両から自宅玄関に移動する時間は、ほぼ一定である。点灯時間のデフォルト値が定められていると、この移動時間と異なる場合には、帰宅時に毎回点灯時間を再設定しなければならない。上記構成によって、点灯時間の設定操作を全く行わなくてもよいこともあるので、ユーザの操作回数あるいは操作負荷を低減することができる。
【0017】
また、本発明の車両用照明制御装置における点灯時間設定手段は、車両のドアがロック状態であるときに、ドアロック操作検出手段がドアロック操作を検出する度に、照明装置の点灯時間を増加または減少し、点灯時間記憶手段は、点灯時間設定手段により設定された照明装置の点灯時間を記憶するように構成される。
【0018】
上記構成によって、ユーザは所望の点灯時間を設定することができ、次の機会には、設定した点灯時間が用いられるので、ユーザの操作回数あるいは操作負荷を低減することができる。また、ドアロックが行われた後のドアロック操作で点灯時間を変更するため、同じドアロック操作であっても、ドアをロックするための操作と照明装置の点灯時間を設定する操作とは別個に行われるので、ユーザが今のドアロック操作で何が行われたか混乱することもない。
【0019】
また、本発明の車両用照明制御装置は、点灯時間設定手段により設定された照明装置の点灯時間を含む点灯時間情報を出力する点灯時間出力手段を備えるように構成される。
【0020】
上記構成によって、ユーザは照明装置の点灯時間がどれだけであるかを把握できる。また、現状設定されている点灯時間が分かるので、その点灯時間でよければ、ドアロック操作を行わなくてもよいという利点がある。
【0021】
また、本発明の車両用照明制御装置は、車両のドアがロック状態であるときに、ドアロック操作を検出してからの経過時間を計測する経過時間計測手段を備え、点灯時間設定手段は、経過時間が予め定められた値を超えたときには、ドアロック操作検出手段がドアロック操作を検出しても、照明装置の点灯時間の設定を実行しないように構成される。
【0022】
例えば、長くても、駐車スペースから自宅玄関まで移動する時間だけドアロック操作を検出できればよい。上記構成によって、無闇に照明装置の点灯時間の設定内容を変更しないようにすることができる。
【0023】
また、本発明の車両用照明制御装置における点灯時間出力手段は、携帯機に対して点灯時間情報を出力し、携帯機は、受信した点灯時間情報を、該携帯機の備える表示部に表示出力するように構成される。
【0024】
上記構成によって、キーレスエントリシステムあるいはスマートキーレスエントリシステムを備えた車両において、車両から離れた場所でも照明装置の点灯時間の設定内容を確認することができる。
【0025】
また、本発明の車両用照明制御装置は、車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉状態検出手段と、車両の車室内に取り付けられた表示手段と、を備え、点灯時間出力手段は、車両のドアが開状態に遷移したことを検出したときに、表示手段に点灯時間情報を表示出力するように構成される。
【0026】
上記構成によって、ユーザが車両から降りるときに、現状設定されている点灯時間が分かるので、その点灯時間でよければ、照明装置の点灯時間変更のためのドアロック操作を行わなくてもよいという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の車両用照明制御装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1に車両用照明制御装置1のシステム構成を示す。車両用照明制御装置1は、ドアロック検出手段2,車両状態検出手段3,ライトスイッチ4,ドアスイッチ5,ドアロック装置6,照明装置7,表示器8,スピーカ9およびこれらが接続された制御装置10を含んで構成される。
【0028】
図2〜図4に、ドアロック検出手段2の構成例を示す。まず、図2に、メカニカルキー(図2では「キー」と表記)201を用いたドアロック検出手段2の構成例を示す。メカニカルキー201を車両のキーシリンダ202に挿入して、メカニカルキー201を所定の方向へ回転操作すると、ドアロック装置6においてドアの施錠/開錠が行われる。このメカニカルキー201の回転操作を、操作検出部203において検出し、検出内容を制御装置10に送る。また、操作検出部203は、例えば、メカニカルキー201がドアロック側に操作されたときにオン状態となるスイッチを含んで構成される。制御装置10は、操作検出部203からこのオン信号を取得したときに、ドアロック操作が行われたと判定する。なお、メカニカルキー201が本発明のドアロック操作手段に相当する。
【0029】
図3に、キーレスエントリシステムに含まれる携帯機211を用いたドアロック検出手段2の構成例を示す。携帯機211には、携帯機211の操作に基づいた信号を送信する送信機212,LCDあるいはLEDを含む表示部213,ドアロックを行うロックボタン214等が備えられている。ユーザがロックボタン214を押下すると、送信機212からドアロック要求信号が車両に搭載された受信機215に送信される。受信機215での受信内容は制御装置10に送られ、制御装置10は、受信機215からこのドアロック要求信号を取得したときに、ドアロック操作が行われたと判定する。なお、ロックボタン214が本発明のドアロック操作手段に相当する。また、受信機215が本発明の受信手段に相当する。
【0030】
図4に、スマートキーレスエントリシステムに含まれる携帯機221を用いたドアロック検出手段2の構成例を示す。まず、車両に搭載された送受信機225からIDコードを要求するためのリクエスト信号を発信し、その信号に応答する携帯機221(送受信機222)からの電波(IDコード)の有無を調べる。携帯機221からの電波を受信した場合、受信したIDコードと送受信機225に含まれる記憶装置(図示せず)に記憶されたマスターIDとの照合を行う。照合の結果、照合一致とされたとき、例えばドアハンドル近傍に設けられたロックスイッチ(SW)224が押下されている場合、ドアロック装置6は、ドアをロック状態とする。制御装置10は、送受信機225から照合結果を取得し、照合一致とされ、かつロックスイッチ224が操作されていることを検出したときに、ドアロック操作が行われたと判定する。なお、ロックスイッチ224が本発明のドアロック操作手段に相当する。また、送受信機225が本発明のIDコード要求手段,IDコード受信手段に相当する。表示部223は、図3の表示部213と同様にLCDあるいはLEDを含む。
【0031】
図1に戻り、車両状態検出手段3は、車両が駐車状態であるか否かを検出するためのもので、以下のうち、1つあるいは複数の組合せを用いる。
・イグニッションスイッチ:イグニッションスイッチがオフ状態であれば、車両が駐車状態であると判定する。
・シフトポジションセンサ:シフトポジションがパーキングの位置にあれば、車両が駐車状態であると判定する。
・パーキングブレーキスイッチ:パーキングブレーキが作動してパーキングブレーキスイッチがオン状態であれば、車両が駐車状態であると判定する。
・車速センサ:車速が5km/hを下回れば、車両が駐車状態であると判定する。あるいは、車速が5km/hの状態が予め定められた時間を超えて継続すれば、車両が駐車状態であると判定する。
【0032】
ライトスイッチ4は、照明装置の点灯状態を設定するためのもので、例えば、消灯,車両周囲の明るさによって自動点灯/消灯するAUTO,車幅灯点灯(ヘッドライト非点灯),ヘッドライト点灯,の4つのポジションを備えた切替スイッチとして構成される。なお、ライトスイッチ4が本発明の点灯モード設定手段に相当する。
【0033】
ドアスイッチ5は、車両のドアの開閉状態を検出するためのもので、例えば、ドアが開状態であればオン状態、閉状態であればオフ状態となる。なお、ドアスイッチ5が本発明のドア開閉状態検出手段に相当する。
【0034】
ドアロック装置6は、車両のドアの施錠/開錠を行うためのもので、ドアロックECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)ともいわれる。ドアロック検出手段2の検出状態(施錠/開錠操作)に基づいて、モータ等を含むドアロックアクチュエータを駆動制御して、ドアの施錠/開錠を行う。本発明の構成においては、制御装置10がドアロック検出手段2の検出状態を取得して、その検出状態に基づいた施錠/開錠指令をドアロック装置6に送る。ドアロック装置6が直接ドアロック検出手段2の検出状態を取得して、ドアの施錠/開錠を行ってもよい。ドアロック装置6は、ドアの施錠/開錠状態を出力し、制御装置10は、取得したその状態に基づいて、ドアの施錠/開錠状態を判定する。
【0035】
照明装置7は、ヘッドライト,車幅灯,尾灯,ルームランプ,ハザードランプ等、車外から視認可能なものを含む。また、制御装置10は、各照明装置に流れる電流値を検出する等して、照明装置7の点灯状態を取得可能な構成となっている。
【0036】
表示器8は、例えばLCD表示器として構成される。ナビゲーション装置のような他の車載機器の表示器を用いる構成としてもよい。なお、表示器8が本発明の表示手段に相当する。
【0037】
スピーカ9は、車両用照明制御装置1の状態を示す音声メッセージあるいはブザー音を出力する。制御装置10には、図示しないアンプや音声合成回路等の音声メッセージ出力に必要な回路が含まれている。ナビゲーション装置のような他の車載機器のスピーカを用いる構成としてもよい。
【0038】
制御装置10は、周知のCPU11,プログラム等が記憶されたROM12,プログラム実行時の作業領域として使用するRAM13,不揮発性記憶媒体で構成されたメモリ14,外部との信号の入出力を行う入出力部15等がバスライン16で接続された周知のコンピュータとして構成される。CPU11がROM12に記憶されたプログラムを実行することで、車両用照明制御装置としての機能を実現する。なお、制御装置10が本発明の照明制御手段,ドアロック状態検出手段,ドアロック操作回数計測手段,点灯時間設定手段,照合手段,経過時間計測手段,点灯時間出力手段に相当する。また、メモリ15が本発明の点灯時間記憶手段に相当する。
【0039】
図5,図6を用いて、照明制御処理について説明する。なお、本処理は、ROM12に記憶されたプログラムに含まれ、プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0040】
まず、ライトスイッチ4の状態を調べ、AUTOの位置にあるか否かを判定する。また、このとき、照明制御の対象となる照明装置7の点灯状態も取得する。ライトスイッチ4がAUTOの位置にあり、照明制御の対象となる照明装置7が点灯状態にあるとき(S101:Yes)、車両状態検出手段3から車両の状態を取得して、車両が駐車状態であるか否かを判定する。なお、本処理では、イグニッションスイッチの状態のみを用い、イグニッションスイッチがオフ状態であれば、車両が駐車状態であると判定する。
【0041】
イグニッションスイッチがオフ状態であるとき(S102:Yes)、ドアスイッチ5からドアの開閉状態を取得し、ドアが閉状態から開状態に遷移したか否かを判定する。ドアの開閉状態の判定は、運転席側ドアのみを判定の対象としている。また、全てのドアを判定の対象とし、いずれかのドアが閉状態から開状態に遷移したか否かを判定するようにしてもよい。ドアが閉状態から開状態に遷移したと判定されたとき(S103:Yes)、メモリ14に記憶されている前回の照明装置7の点灯時間(図5,図6では「継続時間」と表記)を読み出して、車室内の表示器8に、例えば「ライトの点灯時間は30秒です」のように表示する(S104)。スピーカ9から音声メッセージを送出してもよい。
【0042】
次に、ドアスイッチ5からドアの開閉状態を取得し、全てのドアが閉状態となっているか否かを判定する。全てのドアが閉状態となっていると判定されたとき(S105:Yes)、ドアロック検出手段2がドアロック要求を検出したか取得したか否かを判定する。すなわち、上述のように、図2の例では、メカニカルキー201がドアロック側に操作され、操作検出部203からこのオン信号を取得したとき、図3の例では、受信機215からドアロック要求信号を取得したとき、図4の例では、照合一致とされ、かつロックスイッチ224が押下されていることを検出したとき、それぞれドアロック要求を検出したと判定する。
【0043】
ドアロック要求を検出したと判定されたとき(S106:Yes)、ドアロック装置6から施錠状態に関する情報を取得し、車両の全てのドアが施錠状態であるか否かを判定する。このとき、RAM12上のドアロック要求回数カウンタを更新(インクリメント)する。
【0044】
なお、ライトスイッチ4がAUTOの位置にないか、照明制御の対象となる照明装置7が点灯状態にないとき(S101:No)、イグニッションスイッチがオン状態である(車両が駐車状態にない)とき(S102:No)、ドアが閉状態から開状態に遷移していないと判定されたとき(S103:No)、全てのドアが閉状態となっていないと判定されたとき(S105:No)、あるいは、ドアロック要求を検出しなかったと判定されたとき(S106:No)、図5の「A」(すなわち図6のRETURN)へ移り、一旦本処理を終了する。
【0045】
車両の全てのドアが施錠状態でないと判定されたとき(S107:No)、制御装置10からドアロック装置6に指令を送り、車両の全てのドアを施錠状態とする(S108)。このとき、例えば、照明装置7に含まれるハザードランプを点滅させて、ドアロックが行われたことを示すアンサーバックを行ってもよい。続いて、上述のステップS104でメモリ14から読み出した照明装置7の点灯時間(継続時間)を、RAM12上の継続タイマにセットする(S109)。この後、「C」すなわち図6のステップS115へ移る。
【0046】
一方、車両の全てのドアが施錠状態であると判定されたとき(S107:Yes)、RAM13上に領域が確保され、照明装置7の点灯時間のためのドアロック要求を受け付ける時間を規定するタイマ1が作動中か否かを判定する。タイマ1が作動中でないとき(S110:No)、「B」すなわち図6のS117に移る(後述)。一方、タイマ1が作動中のとき(S110:Yes)、そのドアロック要求が2回目(ドアロックが行われた次のドアロック要求)であるとき(S111:Yes)、前回の継続時間(すなわちステップS109でセットされた照明装置7の点灯時間)よりも1段階異なる継続時間(前回+1)をセットする(S112)。
【0047】
また、そのドアロック要求が3回目(ドアロックが行われた次の次のドアロック要求)であるとき(S113:Yes)、前回の継続時間(すなわちステップS109でセットされた照明装置7の点灯時間)よりも2段階異なる継続時間(前回+2)をセットする(S114)。つまり、N回目のドアロック要求があったときには、前回の継続時間よりもN−1段階異なる継続時間をセットする(図5では省略)。
【0048】
このように、ドアロック後のドアロック要求の回数に応じて、継続時間を前回の継続時間と異なるものとする。例えば、1段階で継続時間が30秒増加するようにし、前回の継続時間が0秒である場合には、「前回+1」は30秒、「前回+2」は60秒となる。また、継続時間の最大値が90秒に設定されているときに、継続時間が90秒のときにドアロック要求を検出した場合には、継続時間を0秒(すなわち、前回+4)とする。
【0049】
逆に、1段階で継続時間が30秒ずつ減少するようにもできる。例えば、前回の継続時間が60秒である場合には、「前回+1」は30秒、「前回+2」は0秒となる。また、継続時間の最大値が90秒に設定されているときに、継続時間が0秒のときにドアロック要求を検出した場合には、継続時間を90秒とする。
【0050】
「C」すなわち図6のステップS115では、タイマ1をスタートさせる。タイマ1の作動時間は例えば30秒である。次に、セットされた継続時間(照明装置7の点灯時間)を、メモリ14の所定領域に記憶する(S116)。
【0051】
「B」すなわち図6のステップS117では、ユーザに、セットされた継続時間に基づく消灯時間(消灯するまでの時間)を通知する。通知方法は以下のいずれを用いてもよい。
・車両のホーンを用い、消灯時間に応じた回数だけ吹鳴させる。例えば、消灯時間の基本単位を30秒とすると、0秒では0.5秒×1回、60秒では0.5秒×3回ホーンを吹鳴させる。
・車両のハザードランプ(照明装置7に含まれる)を用い、消灯時間に応じた回数だけ点滅させる。上記と同様に、例えば、90秒では4回点滅させる。
・携帯機221(図4参照)に含まれる表示部223がLCDにより構成されているときには、「あと30秒で消灯します」というようにメッセージを表示する。
・携帯機221に含まれる表示部223がLEDインジケータで構成されているときには、例えば、0秒では1個、60秒では3個のように、消灯時間に応じた個数だけLEDを点灯させる。消灯時間の長さに応じてLEDの表示色を変更するようにしてもよい。
・携帯機221にブザーが含まれているときには、ホーンと同様に、消灯時間に応じた回数だけ吹鳴させる。
・携帯機211(図3参照)の送信機212に受信機能を備え、受信機215に送信機能を追加して、携帯機211との間で送受信可能な構成として、表示部213を設け、上述の携帯機221のように消灯時間を通知する構成としてもよい。
【0052】
次に、RAM13上の、継続時間がセットされた継続タイマをスタートさせる(S118)。そして、継続タイマの作動が終了したとき(S119:No)、照明装置7(ライト)を消灯する(S120)。一方、継続タイマが作動中のとき(S119:Yes)、一旦本処理を終了する。
【0053】
図5,図6の構成では、ユーザが照明装置7の点灯時間(継続時間)を変更可能な時間をタイマ1によって規定していたが、ドアロック操作の回数によって規定してもよい。例えば、ドアロック操作の回数を5回に制限し、6回目以降のドアロック操作を検出したときには、照明装置7の点灯時間を変更しないというものである。
【0054】
図7,図8に、上記処理のフロー図を示す。この処理は、図5,図6の変形例であるので、同一の処理内容のステップには同じステップ番号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。図7において、ステップS110aで、検出したドアロック要求の回数が6回以上であるか否かを判定し、検出したドアロック要求の回数が6回以上であるときには(S110a:No)、図7の「D」すなわち図8のステップS119へ移る。また、図6のステップS115に相当する処理は行われず、図7,図8における「C」はS116に相当する。
【0055】
ユーザが照明装置7の点灯時間(継続時間)を変更できなくなった状態において、ドアロック操作を行ったときに、該点灯時間を変更できない旨の通知を行ってもよい。通知は、例えば、上述のように、ホーン,ハザードランプ,携帯機(221等)等を用いて行う。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】車両用照明制御装置のシステム構成を示す図。
【図2】ドアロック検出手段の構成例を示す図(メカニカルキー)。
【図3】ドアロック検出手段の構成例を示す図(キーレスエントリシステム)。
【図4】ドアロック検出手段の構成例を示す図(スマートキーレスエントリシステム)。
【図5】照明制御処理を説明するフロー図。
【図6】図5に続く照明制御処理を説明するフロー図。
【図7】照明制御処理の別例を説明するフロー図。
【図8】図7に続く照明制御処理の別例を説明するフロー図。
【符号の説明】
【0058】
1 車両用照明制御装置
2 ドアロック検出手段
3 車両状態検出手段
4 ライトスイッチ(点灯モード設定手段)
5 ドアスイッチ(ドア開閉状態検出手段)
6 ドアロック装置
7 照明装置
8 表示器(表示手段)
9 スピーカ
10 制御装置(照明制御手段,ドアロック状態検出手段,ドアロック操作回数計測手段,点灯時間設定手段,照合手段,経過時間計測手段,点灯時間出力手段)
15 メモリ(点灯時間記憶手段)
201 メカニカルキー(ドアロック操作手段)
202 キーシリンダ
211 携帯機
213 表示部
214 ロックボタン(ドアロック操作手段)
215 受信機(受信手段)
221 携帯機
223 表示部(点灯時間出力手段)
224 ロックスイッチ(ドアロック操作手段)
225 送受信機(IDコード要求手段,IDコード受信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた照明装置と、
前記車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
前記照明装置の点灯モードを設定する点灯モード設定手段と、
前記車両の状態が駐車状態であると判定されたときに、前記点灯モードの設定内容に基づいて、前記照明装置を予め定められた時間点灯させる照明制御手段と、
を備える車両用照明制御装置であって、
前記車両のドアをロックするための操作を行うドアロック操作手段と、
前記ドアロック操作を検出するドアロック操作検出手段と、
前記車両のドアのロック状態を検出するドアロック状態検出手段と、
検出した前記ドアロック操作回数を計測するドアロック操作回数計測手段と、
検出した前記ドアのロック状態および計測した前記ドアロック操作回数に基づいて、前記照明装置の点灯時間を設定する点灯時間設定手段と、
を備えることを特徴とする車両用照明制御装置。
【請求項2】
前記ドアロック操作手段は、メカニカルキーであり、
前記ドアロック操作検出手段は、ドアのキーシリンダに設けられて前記メカニカルキーの操作を検出する請求項1に記載の車両用照明制御装置。
【請求項3】
前記ドアロック操作手段は、ユーザが携帯する無線通信可能な携帯機であり、
前記携帯機からの電波を受信する受信手段を備え、
前記ドアロック操作検出手段は、前記携帯機からの電波に含まれるドアロック要求信号を検出する請求項1または請求項2に記載の車両用照明制御装置。
【請求項4】
前記ドアロック操作手段は、前記車両の車体外部に取り付けられ、
前記ユーザが携帯する無線通信可能な携帯機と、
前記携帯機に対し車両固有のIDコードの送信を要求するためのリクエスト信号を無線送信するIDコード要求手段と、
要求した前記IDコードを無線受信するIDコード受信手段と、
受信した前記IDコードと所定記憶部に記憶されたマスターコードとを照合する照合手段と、を備え、
前記IDコードの照合の一致に基づいて、前記ドアロック操作の有効/無効が判定され、
前記ドアロック操作検出手段は、有効と判定された前記ドアロック操作を検出する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用照明制御装置。
【請求項5】
前記点灯時間設定手段により設定された前記照明装置の点灯時間を記憶する点灯時間記憶手段を備え、
前記点灯時間設定手段は、前記ドアがロック状態に遷移したときに、前記点灯時間記憶手段に記憶されている前記照明装置の点灯時間を読み出して、それを該照明装置の点灯時間として設定する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用照明制御装置。
【請求項6】
前記点灯時間設定手段は、前記車両のドアがロック状態であるときに、前記ドアロック操作検出手段が前記ドアロック操作を検出する度に、前記照明装置の点灯時間を増加または減少し、
前記点灯時間記憶手段は、前記点灯時間設定手段により設定された前記照明装置の点灯時間を記憶する請求項5に記載の車両用照明制御装置。
【請求項7】
前記点灯時間設定手段により設定された前記照明装置の点灯時間を含む点灯時間情報を出力する点灯時間出力手段を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用照明制御装置。
【請求項8】
前記車両のドアがロック状態であるときに、前記ドアロック操作を検出してからの経過時間を計測する経過時間計測手段を備え、
前記点灯時間設定手段は、前記経過時間が予め定められた値を超えたときには、前記ドアロック操作検出手段が前記ドアロック操作を検出しても、前記照明装置の点灯時間の設定を実行しない請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用照明制御装置。
【請求項9】
前記点灯時間出力手段は、前記携帯機に対して前記点灯時間情報を出力し、
前記携帯機は、受信した前記点灯時間情報を、該携帯機の備える表示部に表示出力する請求項7または請求項8に記載の車両用照明制御装置。
【請求項10】
前記車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉状態検出手段と、
前記車両の車室内に取り付けられた表示手段と、を備え、
前記点灯時間出力手段は、前記車両のドアが開状態に遷移したことを検出したときに、前記表示手段に前記点灯時間情報を表示出力する請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両用照明制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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