説明

車両用照明器具

【課題】 本発明は、美感を向上しながらも、コストや工程を減らすことができる車両用照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも乗客側に面したグローブ20の下部筐体21又はガラス固定部23が不燃材料としてのアルマイトの押し出し成形で形成されている。そのため、下部筐体21は、アルマイト材により押し出し成型することで、ヘアライン調に長手方向の色を合わせやすく、コストや加工工程を短縮することが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内部の照明に用いられる照明器具であって、バス・鉄道(列車)・大型自動車等に設けられ、蛍光灯など光源により乗客や通路を照らす車両用照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から車両内部に設けられた車両用照明器具は、コスト削減やメンテナンス性の向上を図るため、蛍光灯を覆うカバーを軽量な樹脂材で成形されている。特に、蛍光灯を覆うカバーすなわちグローブは、掃除や蛍光灯の交換を考慮して軽量に樹脂で形成され、グローブの一側に設けられたヒンジにより、本体に対して一方に開閉ができる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、これらヒンジ機構を改良し、長尺なカバー体の開閉をスムーズにする構造(例えば、特許文献3参照)やヒンジ機能と係合機能を併せ持ったバネおよび軸からなる機構をそれぞれ灯具カバーおよび灯具本体に設けることによって、灯具本体に対する灯具カバーの回動と着脱の双方を容易にした照明器具(例えば、特許文献2参照)が提案されてきた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−36721号公報(段落0044、段落0052、図3乃至図6)
【特許文献2】特開2006−79918号公報(図4)
【特許文献3】特開2007−26739号公報(図5乃至図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の車両用照明器具では、メンテナンス性の向上やコスト削減のためグローブの全体が樹脂で形成される場合が多く、車両内での火災事故が発生すると天井の車両用照明器具から樹脂が溶け落ちて来る恐れやグローブ等の樹脂の燃焼によりグローブが一気に引火してグローブ自体が落下するする恐れがあり、火災に対する対策が望まれるようになってきた。
【0006】
そして、火災事故に対する対策のうち特にグローブの火災対策を行うために、金属やガラス等の不燃素材を使用してグローブを形成する必要が出てきたが、ガラスを固定する際に、重量物であるため、金属を使用して筐体を形成している。金属にて作成する場合には型で筐体の部品を形成をしていたが、ヘアライン調の筐体を形成したい場合には、へアラインを擬似的に作成するために塗装を施していた。塗装を施すことによって工程が余分にかかり、コスト面や時間が掛かるなどの問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、美感を向上しながらも、コストや工程を減らすことができる車両用照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題を解決するために請求項1記載の本発明は、照明用の光源(蛍光灯、ランプ、LED灯、EEFL灯、ネオン灯等)を収納する本体(30)と、当該本体(30)を覆うように形成されたグローブ(20)とからなり車両内部の客室の天井付近に設けられる車両用照明器具(10)であって、前記グローブ(20)は、少なくとも乗客側に面した位置にあって前記光源からの光を透過する不燃材料で形成された透過部(22)と、当該透過部(22)を収納し枠状に不燃材料で形成された筐体(21)と、から構成され、当該筐体(21)は、前記透過部(22)の形状に沿って設けられ前記透過部(22)を固定する固定部(23)と、両側端面には前記固定部を側面から固定する固定手段(24)と、を設け、前記固定部(23)には、当該固定手段と嵌合する嵌合固定手段(25)を設け、前記筐体(21)をアルマイト材料を使用し押し出し成形により形成したことを特徴とする。
【0009】
以上の構成により、アルマイト材により押し出し成型することで、筐体をヘアライン調に長手方向に対して色を合わせやすく、コストや加工工程を短縮することが可能となった。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成により、美感を向上しながらも、コストや工程を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図4に基づいて、本実施の形態を以下に説明する。
図1は、本実施形態における車両用照明器具が車両に装着された状態を下方から見た斜視図である。図2は、本実施形態における車両用照明器具が車両から取り外された状態を上方から見た斜視図である。図3(a)は、本実施形態における車両用照明器具の平面図である。図3(b)は、本実施形態における車両用照明器具の正面図である。図3(c)は、本実施形態における車両用照明器具の底面図である。図3(d)は、本実施形態における車両用照明器具の背面図である。図3(e)は、本実施形態における車両用照明器具の左側面図である。図3(f)は、本実施形態における車両用照明器具の右側面図である。図4は、本実施形態における車両用照明器具のA−A拡大断面図である。
【0012】
図1及び図2には、車両の天井に取り付けられ、内蔵されている直管状の蛍光灯により車内を照らす車両用照明器具10が示されている。車両用照明器具10は、車両の天井に車両用照明器具10を装着し蛍光灯を収納するための本体30と、その本体30から下方に開閉することができるグローブ20とから構成されている。また、本体30の外側の天井にはトランス5が設けられている。
【0013】
図1及び図2に示すように、グローブ20は、下部筐体21と側面両端にある筐体側面24にガラス固定部23をビス等で固定するための固定部ビス孔26が設けられている。
図3(d)に示される背面図のうち長手方向の寸法は1275mmであり、そのうち1個のガラス固定部23の横幅寸法は18mmである。
【0014】
図4は、図3(d)に示される背面図に現れるA−A拡大断面図である。ガラス22は、スポンジ27を介してガラス固定部23により挟持されている。そのガラス固定部23は、3箇所の取付片25によってグローブ20の筐体側面24からビスで固定される。また、本体30に蛍光灯を装着するソケット3が設けられている。下部筐体21の上部には、上述したトルクヒンジ35に対面するようにラッチ金具37がグローブ20の側端の2箇所に設けられている。
【0015】
図5乃至図8は、図1乃至図4のうち特徴ある部分となるガラス固定部23を現した図である。図5(a)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の平面図である。図5(b)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の正面図である。図5(c)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の底面図である。図5(d)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の背面図である。図5(e)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の左側面図である。図5(f)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の右側面図である。図6は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の下方から見た斜視図である。図7は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分のB−B拡大断面図である。図8(e)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の左側面図の拡大図である。図8(f)は、本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の右側面図の拡大図である。
【0016】
図5(d)に示される背面図のうち長手方向の寸法は1275mmであり、そのうち1個のガラス固定部23の横幅寸法は18mmである。図7は、図3(d)に示される背面図に現れるB−B拡大断面図である。
【0017】
(本実施形態の効果)
(1)本実施の形態の構成により、少なくとも乗客側に面したグローブ20の下部筐体21及びガラス固定部23が不燃材料としてのアルマイトの押し出し成形で形成されている。そのため、下部筐体21は、アルマイト材により押し出し成型することで、ヘアライン調に長手方向の色を合わせやすく、コストや加工工程を短縮することが可能となった。
【0018】
(2)本実施の形態の構成により、乗客側に対する面の裏面を凹状に形成したガラス22と金属製の下部筐体21とで形成した空間は、本体30内部に樹脂を多用しても溶けた樹脂を貯めることができるので、乗客側へ溶け落ちるようなことはない。
【0019】
(3)本実施の形態の構成により、トルクヒンジ35とラッチ金具37の採用により、グローブ20と本体30とが係止されている状態において、ラッチ金具37に内蔵された弾性力とトルクヒンジ35のヒンジ機構により車両の振動を吸収することができる。
【0020】
(他の実施形態への変更例)
以上説明した実施形態を他の実施形態へ変更した例を以下に示す。
【0021】
・以上の本実施形態では、蛍光灯を使用して説明したが、電球ランプやLED灯や冷陰極管を使用したEEEFL灯やネオン灯等の照明器具の灯具に適用できる。
【0022】
・以上の本実施形態では、透過部材25をガラスで形成したが、耐火性のある樹脂や透過性のある色ガラス(白色等)であっても良く、樹脂のように溶け落ちる心配がないと共に有毒ガス灯が発生する恐れはなく火災対策に効果を発揮する。
【0023】
・ヒンジ機構としては、ヒンジの回転に反して作用するものとしてトルクヒンジ35に見られる部材同士の圧力で作用するものや油圧・空気・バネ等で作用するものがあり、バネヒンジ、ダンパーヒンジ、ロータリーダンパーヒンジ等がある。
【0024】
・ガラス22を乗客側に面した側については弧状に湾曲して説明したが、特に弧状に限定されることはなく、平坦であっても良く、又逆に凹状であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
鉄道の車両だけでなく、バスやトラックや船舶等の蛍光灯の灯具を使用する箇所にも使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態における車両用照明器具が車両に装着された状態を下方から見た斜視図である。
【図2】本実施形態における車両用照明器具が車両から取り外された状態を上方から見た斜視図である。
【図3】(a)本実施形態における車両用照明器具の平面図である。 (b)本実施形態における車両用照明器具の正面図である。(c)本実施形態における車両用照明器具の底面図である。(d)本実施形態における車両用照明器具の背面図である。(e)本実施形態における車両用照明器具の左側面図である。 (f)本実施形態における車両用照明器具の右側面図である。
【図4】本実施形態における車両用照明器具のA−A拡大断面図である。
【図5】(a)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の平面図である。 (b)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の正面図である。(c)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の底面図である。(d)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の背面図である。(e)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の左側面図である。 (f)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の右側面図である 。
【図6】本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の下方から見た斜視図である。
【図7】本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分のB−B拡大断面図である。
【図8】(e)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の左側面図の拡大図である。(f)本実施形態における車両用照明器具の特徴を表す部分の右側面図の拡大図である。
【符号の説明】
【0027】
5・・・トランス、3・・・蛍光灯用ソケット、
10・・・車両用照明器具、
20・・・グローブ、21・・・下部筐体、22・・・透過部としてのガラス、
23・・・ガラス固定部、24・・・筐体側面、25・・・取付片、
26・・・固定部ビス孔、27・・・スポンジ、
30・・・本体、35・・・トルクヒンジ、37・・・ラッチ金具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明用の光源を収納する本体と、当該本体を覆うように形成されたグローブとからなり車両内部の客室の天井付近に設けられる車両用照明器具であって、
前記グローブは、少なくとも乗客側に面した位置にあって前記光源からの光を透過する不燃材料で形成された透過部と、当該透過部を収納し枠状に不燃材料で形成された筐体と、から構成され、
当該筐体は、前記透過部の形状に沿って設けられ前記透過部を固定する固定部と、両側端面には前記固定部を側面から固定する固定手段と、を設け、
前記固定部には、当該固定手段と嵌合する嵌合固定手段を設け、
前記筐体をアルマイト材料を使用し押し出し成形により形成したことを特徴とする車両用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−190582(P2009−190582A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33855(P2008−33855)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】