説明

車両用照明装置

【課題】光源から出射される出射光束を効率よく導光体に誘導することができる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】車両用照明装置1は、一端13aに設けられた入光面16から入射した光線を内面で反射させて長手方向に設けられた他端へと導く棒状導光体13と、前記棒状導光体13の長手方向に直交する方向を出射方向とし前記入光面16の近傍に配置されたランプ19と、前記ランプ19から出射される出射光束を前記入光面16に誘導する光導入体20とを備える。前記光導入体20は前記ランプ19から出射される出射光束の範囲内に前記入光面16を臨ませたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関し、特に車室のインストルメントパネル等に設置される車両用照明装置に適用して好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室の例えばインストルメントパネルに設置される車両用照明装置は、棒状導光体を備え、前記棒状導光体の一端に光源、例えばLED(Light Emitting Diode)を配置し、光源から出射される出射光束を前記棒状導光体の一端から他端に向かって導くものが知られている。
【0003】
ところが、棒状導光体の同軸上に光源を配置し、棒状導光体の長手方向と平行に光源から出射光束を出射する構成とした場合、照明装置は光源を棒状導光体の一端の端面に平行に配置することとなるので、全体が長手方向に大型化してしまうという問題があった。
【0004】
これに対し、棒状導光体の長手方向に対し直交する方向を出射方向とするように光源を設けるものが開示されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−331522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、棒状導光体と光源の出射光束とが直交するので、光源から出射される出射光束を効率よく導光体に誘導することが困難で、明るい照明装置を得ることができない、という問題があった。
【0006】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、光源から出射される出射光束を効率よく導光体に誘導することができる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、一端に設けられた入光面から入射した光線を内面で反射させて長手方向に設けられた他端へと導く棒状導光体と、前記棒状導光体の長手方向に直交する方向を出射方向とし前記入光面の近傍に配置された光源と、前記光源と前記入光面との間に配置され前記光源から出射される出射光束を前記入光面に誘導する光導入体とを備え、前記入光面を前記光源から出射される出射光束の範囲内に臨ませたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、二以上の前記棒状導光体を備え、前記光導入体は、前記光源から出射される出射光束を二以上の前記棒状導光体の入光面に誘導することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の車両用照明装置は、光源から出射される出射光束を効率よく棒状導光体に誘導することができる。従って、照明としての効率を向上することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の車両用照明装置は、複数の棒状導光体に対しても効率よく出射光束を入光面に誘導できるので、照明としての効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1に示す車両用照明装置1は、車両2の車室3に設置されたインストルメントパネル4に取付けられる。本実施形態では、グローブボックス5の上端に設けられた左アウトレットパネル6や、メーターパネル7の下側に設けられた右アウトレットパネル8に組み込まれており、ワイヤーハーネスLによって図示しない電源に電気的に接続されている。このようにインストルメントパネル4に取付けられた車両用照明装置1は、インストルメントパネル4に光を照射し、間接照明として車室3内に光を提供し得るように構成されている。
【0012】
車両用照明装置1は、図2に示すように、導光ユニット10と光源ユニット11とを備え、前記導光ユニット10及び前記光源ユニット11はベース部12によって一体化されている。導光ユニット10は、棒状導光体13を一側表面10aに露出し得るように保持してなる。棒状導光体13は、一端10bから他端10cに向かって長手方向に延び、複数(本図では2本)設けられている。
【0013】
光源ユニット11は、導光ユニット10の一端10bに配置され、該一端10bから導光ユニット10に光を供給し得るように構成されている。この光源ユニット11は、導光ユニット10の他側表面10dに膨出形成されており、導光ユニット10の長手方向に対し、直交する方向に出射光束を出射する。
【0014】
このように構成された車両用照明装置1は、導光ユニット10の他側表面10dを例えば左アウトレットパネル6の表面に当接させ、他側表面10dに膨出形成された光源ユニット11を該左アウトレットパネル6に予め形成された図示しない穴に挿入して取付けられる。従って、車両用照明装置1は、インストルメントパネル4の表面に導光ユニット10の他側表面10dが露出しないので、インストルメントパネル4の表面上に露出する部分を全体として薄型とすることができる。
【0015】
導光ユニット10は、図3に示すように、棒状導光体13、及び保持部15を有する。棒状導光体13は、円柱状の線状部材からなり、図示しないがコアとクラッドとを備える光ファイバーが好適に用いられる。この棒状導光体13の一端13aには、入光面16が形成されている。該入光面16は長手方向に対し棒状導光体13の一端13aを垂直に切断した面で構成される。
【0016】
保持部15は、プラスチック製の部材からなり、2本の棒状導光体13を他側表面から保持し得るように構成されている。本実施形態では、保持部15は、棒状導光体13に比べやや短い長さを有し、断面が略半円状の溝が2個平行に一側表面の長手方向に形成されている。そして、保持部15は前記溝に棒状導光体13を嵌合することにより、棒状導光体13と一体化されている。
【0017】
光源ユニット11は、ケース18、光源としてのランプ19、及び光導入体20を備え、ワイヤーハーネスLから供給された電源によりランプ19を点灯させ得るように構成されている。ケース18は、長手方向の他端側にワイヤーハーネスLの一端に形成されたコネクタ(図示しない)を接続するコネクタ挿通穴21が設けられており、コネクタ及びワイヤーハーネスLを介して供給される電源を内蔵したランプ19に供給する。ここで、ランプ19はLEDが好適に適用される。
【0018】
ベース部12は、ゴム製、例えばEPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)ゴム製の部材で構成され、導光体保持部23と光源保持部24とを有する。導光体保持部23は、棒状導光体13と一体化された保持部15を着脱自在に固定し得るように構成されている。本実施形態では、導光体保持部23は、直線部25と該直線部25の一端を閉塞する端部26とからなる長方形状の枠体からなり、一側表面23aは開口していると共に、他側表面23bは底板27が設けられている。この導光体保持部23は、一側表面23aから導光ユニット10を挿入して保持部15を固定し、導光ユニット10と一体化される。また、導光体保持部23の他側表面23bには、図示しないが両面粘着テープが設けられている。
【0019】
光源保持部24は、導光体保持部23の一端側の他側表面23bに突出形成された枠体からなり、前記光源ユニット11を保持し得るように構成されている。
【0020】
光導入体20は、図4に示すように、内面が半球状の部材からなり、ランプ19を挿入するランプ用穴30と、棒状導光体13の一端13aを挿入する導光体用穴31とを有する。前記ランプ用穴30は、導光体用穴31に対し直交する方向に開口してなる。また、導光体用穴31の内端は、半球状の内面20aに連結してなり、挿入された棒状導光体13の一端13aが前記内面20aに当接することにより、所定位置で棒状導光体13を保持し得るように構成されている。このように構成された光導入体20は、ランプ19及び棒状導光体13を組付けた状態において、ランプ19の光が棒状導光体13以外の外部に漏れないように閉空間を形成する。また、光導入体20は、ランプ19が出射する出射光束を効率よく棒状導光体13の一端13aに誘導し得るように、内面20aが鏡面などの反射面で構成されている。
【0021】
また、ケース18は、図5(a)に示すように、光導入体20を挿通する導入体挿通部32が設けられている。この導入体挿通部32は、ケース18の長手方向に直交する方向に開口してなり、前記ランプ19が組み付けられている。
【0022】
次に、上記した各構成の組み立て方法について説明する。まず、棒状導光体13を保持部15に嵌合して導光ユニット10を得る(図5(b))。この場合、棒状導光体13の一端13aは、保持部15の一端15aから突出した状態で嵌合する。次いで、保持部15の一端15aから突出した棒状導光体13の一端13aを光導入体20の導光体用穴31に挿入して、導光ユニット10と光導入体20とを一体化する(図5(c))。
【0023】
そして、光導入体20のランプ用穴30に導入体挿通部32を挿入し、導光ユニット10と光源ユニット11とを一体化する(図5(d))。ここで、光導入体20は、ランプ19の出射光束を効率よく棒状導光体13に誘導し得るよう、棒状導光体13の一端13aに形成された入光面16をランプ19に対し所定位置、すなわち、前記ランプ19から出射される出射光束の所定範囲内に前記入光面16が臨む位置に棒状導光体13を保持する。尚、ここで出射光束の所定範囲内とは、ランプ19の中心から導光体用穴31側のランプ19の外縁までの範囲をいう。本実施形態では、図6(a)に示すように、光導入体20は、ランプ19の中央を通る軸を中心軸Aとすると、導入体挿通部32の導光体用穴31側の内面と前記中心軸Aとの間δに前記入光面16を保持するのが好ましい。
【0024】
このように、一体化された導光ユニット10及び前記光源ユニット11は、光源保持部24に光源ユニット11を差し込むと同時に、保持部15を導光体保持部23で固定することにより、車両用照明装置1を得る(図2)。
【0025】
次に上記のように構成された車両用照明装置1の各部の作用及び効果について説明する。本実施形態に係る車両用照明装置1は、棒状導光体13の長手方向に直交する方向を出射方向とするランプ19を備え、該ランプ19は、棒状導光体13が露出していない他側表面10d側に設けたことにより、インストルメントパネル4に設置した場合、インストルメントパネル4上に露出する部分の厚さを薄くすることができる。
【0026】
また、前記光導入体20が前記光源から出射される出射光束の範囲内に前記入光面16を臨ませたことにより、棒状導光体13が入光面16から入射した光線を内面で反射させて長手方向に設けられた導光ユニット10の他端10cへと導き、車両用照明装置1は一端10bから他端10cに渡って光を提供し得る。
【0027】
この車両用照明装置1において、棒状導光体13の一端13aに形成された入光面16とランプ19との位置と、棒状導光体13の輝度との関係について図7に示す方法で確認した。垂直に立設された壁Wに棒状導光体13の長手方向が水平方向となるように車両用照明装置1を固定し、該棒状導光体13の表面から1m離れた位置において色彩輝度計(TOPCON BM-5A)40にて棒状導光体13の輝度を測定した。試料は、導入体挿通部32の導光体用穴31側の内面と前記中心軸Aとの間δに前記入光面16を保持した場合の例(図6(a))として、棒状導光体13の入光面16がランプ19の中心軸Aと一致させたものを挿入量0mm(実施例)とし、棒状導光体13の入光面16がランプ19の中心軸Aを通り過ぎて1mm突出させたものを挿入量1mm(比較例1、図6(b))、棒状導光体13の入光面16をランプ19の中心軸Aの手前5mmの箇所にとどまらせたものを挿入量―5mm(比較例2、図6(c))とする3種類を用意した。また、輝度は、棒状導光体13の入光面16付近における「入口」、棒状導光体13の中央付近における「中央」、及び、棒状導光体13の他端付近における「出口」の3箇所においてそれぞれ測定した。その結果を表1及び図8に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
この結果から、挿入量0mm(実施例)の試料に対し、挿入量1mm(比較例1)及び挿入量−5mm(比較例2)は、棒状導光体13のいずれの位置においても輝度が小さくなることが分かった。
【0030】
従って、車両用照明装置1は、導入体挿通部32の導光体用穴31側の内面と前記中心軸Aとの間δ、例えば、入光面16をランプ19の中心軸に一致させることにより、ランプ19の出射光束を棒状導光体13に効率的に誘導することができる。
【0031】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記した本実施形態では、棒状導光体13の一端13aに形成された入光面16は長手方向に対し垂直に切断された面で構成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図9に示すように、光導入体20に組付けた場合に、ランプ用穴30のある方向を上方とした場合に先端へいくに従って下方へ傾斜する面で構成してもよい。
【0032】
また、上記した本実施形態では、棒状導光体13を2本設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、3本以上、例えば図10に示すように7本としてもよい。その場合、光導入体41は、中央に設けたランプ用穴30を中心として、放射状に棒状導光体13を配置するように構成してもよい。この場合、車両用照明装置1は、ランプ19を中心として360度全方向へ棒状導光体13を配置することができるので、例えば、車室3の天井などに設置して広範囲に光を供給することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る車両用照明装置の使用状態を示す全体斜視図である。
【図2】本実施形態に係る車両用照明装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る車両用照明装置の分解斜視図である。
【図4】本実施形態に係る車両用照明装置の光導入体の構成を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る車両用照明装置の組み立て状態を段階的に示す斜視図であり、(a)組み立て前の状態、(b)導光体ユニットを組み立てた状態、(c)導光体ユニットと光導入体を一体化した状態、(d)導光体ユニットと光源ユニットとを一体化した状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係る車両用照明装置の縦断面図であり、(a)実施例、(b)比較例1、(c)比較例2を示す図である。
【図7】本実施形態に係る車両用照明装置の輝度を測定した実験装置を模式的に示す図である。
【図8】本実施形態に係る車両用照明装置の輝度を測定した結果を示すグラフである。
【図9】本実施形態に係る車両用照明装置の変形例を示す縦断面図である。
【図10】本実施形態に係る車両用照明装置の別の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 車両用照明装置
16 入光面
13 棒状導光体
13a 一端
19 ランプ(光源)
20 光導入体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に設けられた入光面から入射した光線を内面で反射させて長手方向に設けられた他端へと導く棒状導光体と、
前記棒状導光体の長手方向に直交する方向を出射方向とし前記入光面の近傍に配置された光源と、
前記光源と前記入光面との間に配置され前記光源から出射される出射光束を前記入光面に誘導する光導入体とを備え、
前記入光面を前記光源から出射される出射光束の範囲内に臨ませたことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
二以上の前記棒状導光体を備え、
前記光導入体は、前記光源から出射される出射光束を二以上の前記棒状導光体の入光面に誘導することを特徴とする請求項1記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−280150(P2009−280150A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136057(P2008−136057)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】