説明

車両用照明装置

【課題】 従来にない斬新な発光形態で車両部材を照明する車両用照明装置の提供である。
【解決手段】 ドアハンドル装置100のケース体2の背面部に開口2aを設け、この開口2aに臨ませて照明装置200を取り付ける。照明装置200には、透明アクリル樹脂材より成る2枚の導光板6,7がそれらの厚み方向に所定間隔Lを介して積層状態で配置されている。各導光板6,7の側面部から各LED9〜12の光を照射させ、各導光板6,7内を拡散する光を、対応する導光板6,7の背面に所定の図柄を刻設したマーク部13,14に当ててその反射光を室内側Pに向けて出射させて、各マーク部13,14の図柄を発光状態で立体的に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両部材を照明する車両用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の車両(例えば、自動車)には、夜間であっても車両部材(例えば、インサイドドアハンドル装置。以下、ドアハンドル装置と記載する)の位置が車両の乗員(主に運転者)に明確に視認されるように、照明装置が設けられている場合がある(例えば、特許文献1を参照)。しかし、特許文献1に開示された技術では、ドアハンドル装置がぼんやりと発光するだけであり、見栄えが良好でない。
【特許文献1】特開2005−32565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記した事情に鑑み、従来にない斬新な発光形態で車両部材を照明する車両用照明装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0004】
上記課題を解決するための本発明は、
所定の図柄を表示させることによって車両部材を照明するための照明装置であって、
透明部材の一方の端面部に図柄を刻設したマーク部が形成された導光板より成る導光部と、
前記導光部に光を照射する光源と、を備え、
前記光源から前記導光部に入射した光が、前記導光部のいずれかの端面部で反射しながら該導光部内を拡散し、前記一方の端面部に形成されたマーク部に至ることによってその拡散経路を変更して前記導光部から外部に出射され、前記マーク部に設けられた図柄を前記導光部から透過させた状態で表示することを特徴としている。
【0005】
本発明に係る車両用照明装置は、上記したように構成されていて、車両部材の導光部に形成されたマーク部の図柄が、発光状態で浮かび上がって表示される。これにより車両部材が照明され、例えば夜間であっても、車両の乗員が該車両部材を視認容易になるとともに、マーク部の図柄を、従来にない斬新な形態で表示させることができるため、意匠上の美感も向上する。
【0006】
前記導光部は、複数枚の導光板がそれらの厚み方向に所定間隔をおいて積層する形態で形成され、
前記光源と前記マーク部とは、前記複数枚の導光板のそれぞれに設けられ、
前記各光源から対応する導光板に入射して外部に出射された光が、前記各マーク部の図柄を重なり状態で表示するように構成してもよい。
【0007】
複数枚の導光板により導光部を形成する。そして、各導光板に光源を設けるとともに、それぞれにマーク部を形成することにより、発光状態のマーク部の図柄が一層明るくなるとともに、それらが奥行き感(立体感)をもって表示される。これにより、照明装置としての効果が向上するとともに、マーク部の図柄をより斬新な形態で表示することができる。
【0008】
前記マーク部は、導光板の背面に刻設されていることが望ましい。
【0009】
導光板において車両の乗員からより遠くにマーク部を形成することにより、発光状態で表示されたときの奥行き感(立体感)が一層強調されることとなる。
【0010】
また、前記導光部における最も奥側の導光板の背面部には、前記光源から前記導光板に入射した光を反射させるための反射板を設けてもよい。
【0011】
これにより、導光部からのすべての光が乗員の側に向けて出射されるため、小さな又は低輝度の光源であっても、発光状態のマーク部の図柄の明るさが確保される。
【0012】
そして、前記車両部材は、車両のインサイドドアハンドル装置とすることができる。
【0013】
これにより、夜間におけるインサイドドアハンドル装置の部分を照明することができ、乗員の的確な降車に寄与できる。もちろん、他の車両部材に照明装置を設けてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例について説明する。図1は照明装置200が取り付けられたドアハンドル装置100の正面図、図2は図1のX−X線断面図、図3は図1のY−Y線断面図、図4は照明装置200の斜視図である。
【実施例1】
【0015】
本明細書では、車両部材の一例であるドアハンドル装置100に取り付けられた照明装置200について説明する。最初に、ドアハンドル装置100について説明する。図1ないし図3に示されるように、車両のドアにおける内側のドアパネル1にドアハンドル装置100が取り付けられている。ドアハンドル装置100は、室内側Pの前面が開口された箱状のケース体2と、ケース体2に対して回動可能に支持されたドアハンドル3と、ロックノブ4とを有している。ドアハンドル3とロックノブ4とは、高さ方向に重なり状態で配置されている。ドアハンドル3とロックノブ4は、ケース体2の左右方向の端部(図1の場合、図面視における右端部)に設けられた回動軸5を中心に回動自在である。車両の乗員が降車しようとするとき、ドアハンドル3に指を掛けて、ドアハンドル3を手前側(室内側P)に引き起こす。これにより、ドアが解錠される。そして、そのままドアを室外側に向かって押し込むことにより、ドアが開かれる。なお、ドアの閉状態で、ロックノブ4をケース体2の内側に向かって押し込む(ロックノブ4を、回動軸5を中心に時計回りの方向に回動させる)ことにより、ドアハンドル3が引き起こされたときのドア1の解錠を無効にできる。
【0016】
ドアハンドル装置100のケース体2の背面(奥側の面)には、開口2aが設けられている。そして、この開口2aに臨んで照明装置200が取り付けられている。この照明装置200は、導光部と光源とを備えている。本実施例の導光部は、第1及び第2の導光板6,7より成る。第2導光板7の背面部には、反射板8が密着状態で取り付けられている。同じく光源は、各導光板6,7の一方の側面部に近接し、かつ高さ方向に所定間隔をおいて配置されたLED(発光ダイオード)である。本実施例の場合、第1導光板6に対する上側第1LED9と下側第1LED10、第2導光板7に対する上側第2LED11と下側第2LED12である。
【0017】
図4に示されるように、各導光板6,7は、透明なアクリル樹脂材より成る。そして、各導光板6,7の背面部には、所定の図柄(本実施例の場合、アルファベットの「S」の輪郭線)が凹状に刻設されて、第1及び第2のマーク部13,14が形成されている。本実施例の場合、第1及び第2のマーク部13,14は、各導光板6,7の同一位置に形成されている。このため、第1及び第2の導光板6,7が同一のもので済むという利点がある。各マーク部13,14は、成形状態のアクリル樹脂板にレーザーで刻設したり、印刷によって形成したりすることができる。また、導光板6,7を型成形する際に、成形型に設けられた突条によって形成してもよい。
【0018】
第1及び第2の導光板6,7は、それらの厚み方向に所定間隔Lをおいて(所定間隔Lだけ離隔して)、積層状態で配置されている。これにより、発光状態における各マーク部13,14の図柄は、奥行き感(立体感)を有する重なり状態で表示される(後述)。
【0019】
本実施例の照明装置200の作用について説明する。図5に示されるように、上下の第1LED9,10から第1導光板6の側面部に向けて照射された光は、第1導光板6の表面(図5の図面視における下面)又は背面(図5の図面視における上面)で反射しながら第1導光板6内を拡散する。この光が第1マーク部13に至ると第1マーク部13で反射してその拡散経路を変更し、第1導光板6の表面から車両の室内側Pに向けて出射する。これにより、第1マーク部13の図柄が導光板6,7を透過し、発光状態で浮かび上がって表示され、夜間であっても、車両の乗員がドアハンドル3の位置を容易に視認できるようになる(図1参照)。
【0020】
同様に、上下の第2LED11,12から第2導光板7の側面部に向けて照射された光は、第2導光板7の表面(図5の図面視における下面)又は背面(図5の図面視における上面)で反射しながら第2導光板7内を拡散する。この光が第2マーク部14に至ると第2マーク部14で反射してその拡散経路を変更し、第2導光板7の表面から車両の室内側Pに向けて出射する。第2導光板7の背面に反射板8が取り付けられているため、第2導光板7内を拡散した光は、確実に第2導光板7の表面から車両の室内側Pに向けて出射する。これにより、第2マーク部14の図柄が発光状態で浮かび上がって表示され、ドアハンドル3が照明される。各導光板6,7に対してそれぞれ光源(第1及び第2のLED9〜12)が配置されているため、発光状態の明るさが確保されている。
【0021】
また、本実施例の照明装置200では、2枚の導光板6,7が厚み方向に所定間隔Lをおいて積層状態で配置されているため、各導光板6,7を透過して発光状態で浮かび上がった各マーク部13,14の図柄が重なり状態で表示され、それらに奥行き感(立体感)が感じられるようになる。これにより、従来の発光表示装置にはない斬新な表示がなされて意匠上の美感が向上するとともに、発光状態の各マーク部13,14の図柄が視覚上のアクセントとなる。
【0022】
本実施例の照明装置200では、各導光板6,7の背面にマーク部13,14が形成されている。これにより、各導光板6,7の表面にマーク部13,14を形成する場合と比較して、車両の乗員からより遠くにマーク部13,14が形成されている。これにより、各マーク部13,14の図柄が発光状態で表示されたときの奥行き感(立体感)が一層強調されることとなる。
【0023】
各マーク部13,14の図柄は、文字、絵、模様等のいかなるものであってもよい。また、文字の輪郭線でマーク部13,14を形成するのではなく、文字そのものを凹状に形成してもよい。
【0024】
本実施例の照明装置200の導光部は、厚み方向に所定間隔Lをおいて積層状態で配置された2枚の導光板6,7により構成されている。これにより、発光状態の各マーク部13,14の奥行き感(立体感)が感じられるという利点がある。この導光板は、1枚又は3枚以上であってもよい。
【0025】
この照明装置200は、例えばイグニッションキースイッチがONになったときに各LED9〜12を点灯して、各マーク部13,14の図柄を発光状態で常時表示させてもよい。また、イグニッションキースイッチのON/OFFに関係なく車両のランプスイッチがONとなったときに各LED9〜12を点灯して、各マーク部13,14の図柄を発光状態で表示させてもよい。更に、通常の運転状態ではマーク部13,14の図柄を表示させず、例えば車両用衝突検出スイッチ(図示せず)と連動させて、衝突検出スイッチの作動時(緊急時)に乗員に緊急事態を報知する手段として用いてもよい。
【0026】
各導光板6,7に配置されている2個のLED9〜12の発光色を異ならせることにより、表示されるマーク部13,14の図柄の色を、車両の使用状況によって(例えば、夜間であるか否か、通常走行時(低速走行時)であるか高速走行時であるか)変化させてもよい。
【0027】
本実施例の照明装置200は、ドアハンドル装置100の部分に取り付けられている。しかし、ドアハンドル装置100以外の車両部材(例えば、グローブボックス)に取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】照明装置200が取り付けられたドアハンドル装置100の正面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】図1のY−Y線断面図である。
【図4】照明装置200の斜視図である。
【図5】照明装置200の作用説明図である。
【符号の説明】
【0029】
100 インサイドドアハンドル装置(車両部材)
200 照明装置
6 第1導光板(導光部)
7 第2導光板(導光部)
8 反射板
9 上側第1LED(光源)
10 下側第1LED(光源)
11 上側第2LED(光源)
12 下側第2LED(光源)
13 第1マーク部(マーク部)
14 第2マーク部(マーク部)
L 所定間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の図柄を表示させることによって車両部材を照明するための照明装置であって、
透明部材の一方の端面部に図柄を刻設したマーク部が形成された導光板より成る導光部と、
前記導光部に光を照射する光源と、を備え、
前記光源から前記導光部に入射した光が、前記導光部のいずれかの端面部で反射しながら該導光部内を拡散し、前記一方の端面部に形成されたマーク部に至ることによってその拡散経路を変更して前記導光部から外部に出射され、前記マーク部に設けられた図柄を前記導光部から透過させた状態で表示することを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記導光部は、複数枚の導光板がそれらの厚み方向に所定間隔をおいて積層する形態で形成され、
前記光源と前記マーク部とは、前記複数枚の導光板のそれぞれに設けられ、
前記各光源から対応する導光板に入射して外部に出射された光が、前記各マーク部の図柄を重なり状態で表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記マーク部は、導光板の背面に刻設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記導光部における最も奥側の導光板の背面部には、前記光源から前記導光板に入射した光を反射させるための反射板が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記車両部材は、車両のインサイドドアハンドル装置であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−51277(P2009−51277A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217970(P2007−217970)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000105925)サカエ理研工業株式会社 (110)
【Fターム(参考)】