説明

車両用照明装置

【課題】奥行き感を得ることができ、神秘的なイルミネーションの光り方を演出することができる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】車両用照明装置10は、導光体17の入射部22から入射された入射光の一部は、反射手段である点刻32により第1の面30から反射面であるリフレクタ18に向けて反射する反射光α1と、室内側に向けて反射する反射光α2(1次出射光)とを発生させる。1次出射光α2は、導光体17表面の点刻32を光らせるのに対して、曲面状反射面28により反射光α1を導光体17に向けて再反射した2次出射光α3は、点刻32が導光体17の裏面側に配置されたリフレクタ18までの往復距離分だけ距離L2の奥で光って見える。これにより、無数の星が輝く星空のような神秘的な奥行き感が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内灯などの照明装置に関し、特に車両天井に設置されるオーバーヘッドコンソール内蔵の室内イルミネーションに適用される車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用照明装置の一例として、LED等の小型光源の光が一端面から入射される線状の2本の第1導光体と、第1導光体の他端面から出射された光が入射される面状の第2導光体とを備え、均一な照明光を第1導光体及び第2導光体から出射するようにした車両用照明装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−68787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に開示された車両用照明装置では、第2導光体に施した微小凹部である点刻処理のみで反射させているため、点刻群の光り方が平面的であった。したがって、イルミネーションの光り方に奥行き感を出すことができず、神秘的な光り方を演出するのが難しかった。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、奥行き感を得ることができ、神秘的なイルミネーションの光り方を演出することができる車両用照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、光源と、前記光源に隣接して配置され、車体側の第1の面と、該第1の面と対面する室内側の第2の面とを有し、一端面から入射した前記光源の光を導光する板状の導光体と、前記導光体の前記第1の面側に配置され、前記第2の面から前記第1の面へ向かう反射光をさらに反射させる反射面と、を備える車両用照明装置であって、前記導光体は、前記第2の面に、前記一端面から入射した入射光を前記第1の面側に反射させる反射手段を備え、前記反射面は、前記反射手段により前記第1の面側に反射した反射光をさらに反射して、前記第2の面から室内側に出射させることを特徴とする車両用照明装置により達成される。
【0007】
上記構成の車両用照明装置によれば、導光体の一端面から入射した光源の光は、導光体の反射手段により第2の面から第1の面側に反射されて反射面に向かい、反射面により更に反射され、第2の面から室内側に出射される。これにより、導光体内の反射光を単純に出射させる従来のものと比べて、奥行き感を十分に得ることができ、神秘的なイルミネーションの光り方を演出することができる。
【0008】
また、上記構成の車両用照明装置において、前記反射手段は、複数の線刻又は点刻であることが望ましい。
【0009】
このような構成の車両用照明装置によれば、導光体の反射手段が複数の線刻又は点刻であることにより、イルミネーション効果を高めることができる。
【0010】
また、上記構成の車両用照明装置において、前記反射面は、複数の連続した曲面状反射面を有するリフレクタであることが望ましい。
【0011】
このような構成の車両用照明装置によれば、反射面の複数の連続した曲面状反射面により、奥行き感と共にキラキラ感を得ることができる。なお、ここで云う曲面状とは、凹状面の他に、凸状面も含む。
【0012】
また、上記構成の車両用照明装置において、前記リフレクタは、シリンドリカルステップであることが望ましい。
【0013】
このような構成の車両用照明装置によれば、リフレクタがシリンドリカルステップであることにより、導光体からの光を拡散して反射してから導光体に入射させて広い範囲を照射することができる。また、室内で視点を移動させることにより、更にキラキラ感を得ることができる。
【0014】
また、上記構成の車両用照明装置において、前記導光体に入射した入射光の一部は、線刻又は点刻から室内側に出射することが望ましい。
【0015】
このような構成の車両用照明装置によれば、導光体の点刻から室内側に反射した出射光(以下、1次出射光と云う)と、点刻からリフレクタ側に反射して、再度リフレクタで反射されてから導光体を透過して室内側に出る出射光(以下、2次出射光と云う)が視認される。1次出射光は、導光体表面の線刻又は点刻を光らせるのに対して、2次出射光は、線刻又は点刻が導光体の裏面側に配置されたリフレクタまでの往復距離分だけ奥で光って見えるので、実際の星空のような神秘的な奥行き感が得られる。
また、室内で視点を動かしながら見ると、点刻から室内側に反射する1次出射光は、導光体表面で動かないのに対し、リフレクタで再反射される2次出射光は、視点の移動方向に対して反対方向に素早く移動するため、更なる奥行き感とキラキラ感が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用照明装置によれば、導光体の第2の面に、一端面から入射した入射光を第1の面側に反射させる反射手段を備え、第1の面側に配置された別の反射面が第1の面側に反射した反射光をさらに反射して、第2の面から室内側に出射させることで、奥行き感を得ることができ、神秘的なイルミネーションの光り方を演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る車両用照明装置の第1実施形態を示す斜め下方から観た外観斜視図である。
【図2】図1の車両用照明装置の分解斜視図である。
【図3】図1の車両用照明装置のA−A線断面図である。
【図4】図1の車両用照明装置のB−B線断面図である。
【図5】図2の車両用照明装置に適用されるリフレクタのC−C線断面図である。
【図6】図1の車両用照明装置の光学的特性を説明する部分概略図である。
【図7】本発明に係る車両用照明装置の第2実施形態を示す部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用照明装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1〜図6に示すように、本発明の第1実施形態である車両用照明装置10は、ベゼル11、ドームランプレンズ12、アウターレンズ13、点灯スイッチ14、ドームランプ光源15、LED光源ユニット16、導光体17およびリフレクタ18を備える自動車等のルーフに取り付けられるオーバーヘッドルームランプである。
【0020】
図1及び図2に示すように、ベゼル11は、枠形状に形成されており、車両前方側から後方側に向けて、ドームランプレンズ取付孔19、点灯スイッチ取付孔20、アウターレンズ取付孔21が順次形成されている。このベゼル11は、ルーフ外板26の内側に配置された室内天井を形成するルーフライニングクロス27に取り付けられている。
そして、ドームランプレンズ取付孔19にドームランプレンズ12が配置され、上記ドームランプは読書灯(スポット照明)等に使用される。また、点灯スイッチ取付孔20に点灯スイッチ14、及びアウターレンズ取付孔21にアウターレンズ13が各々配置される。
【0021】
図2及び図3に示すように、導光体17は、アウターレンズ13の内側に組み付けられている。導光体17は、透明な樹脂材料により、アウターレンズ13の外形に類似した平板状である。導光体17は、その車両前方側の一端面に入射部22を有している。
リフレクタ18は、透光性のない樹脂材料を用いて導光体17の外形に類似した平板状である。
【0022】
LED光源ユニット16は、複数のLED23と、LED23を実装したLED基板24とを備えている。LED23は、白色の他にR・G・B等の色に適宜選択することができる。LED基板24は、複数のLED23の光軸を導光体17の入射部22近傍に配置されるようにベゼル11上に組み付けられており、リード線25を通じて不図示の点灯制御回路に電気的に接続されている。
また、LED光源ユニット16は、点灯制御回路に内蔵されている、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御回路等により使用者の好みに合わせた調光を行うことができる。更に、点灯スイッチ14は、LED光源ユニット16と同様に、リード線25を通じて不図示の点灯制御回路に電気的に接続されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、ベゼル11は、車両のルーフ外板26の内側に配置されているルーフライニングクロス27に密着するように取り付けられている。ドームランプレンズ12および点灯スイッチ14は運転席の上部に配置され、アウターレンズ13は運転席および後部席の上部に配置されている。ドームランプレンズ12内には、LED光源ユニット16とは独立したドームランプ光源15を収容している。ドームランプ光源15は例えば電球が適用される。
【0024】
図5に示すように、リフレクタ18は、透光性のない樹脂材料により成形されており、曲面状反射面28を有する凹状のシリンドリカルステップである。即ち、曲面状反射面28は、図中紙面を鉛直に貫く方向に沿って予め定められた曲率で連続的に形成されている。換言すると、曲面状反射面28は、導光体17の長手方向と水平面内で直交する短手方向に延設されており、隣接する曲面状反射面28間に平行線状の頂部29を有している。
なお、曲面状反射面28の曲率および数は任意に設定変更可能である。また、リフレクタ18は、シリンドリカルステップの他に、魚眼ステップを適用することもできる。また、曲面状反射面28に代えて、凸状反射面や平面反射面であっても良い。
【0025】
次に、車両用照明装置10の光学的特性について説明する。
図6に示すように、導光体17は、車体側の第1の面30と、第1の面30と対面する室内側の第2の面31とを有し、入射部22から入射したLED23の光を導光する。そして、導光体17は、第2の面31側に複数の点刻32を形成している。点刻32は、円錐状であるが、錘状、台形状、或いは球面状であっても良い。なお、複数の点刻32に代えて複数の線刻を形成しても良い。また、点刻32のピッチも任意に設定変更可能である。
リフレクタ18は、曲面状反射面28が所定のステップピッチL1で長手方向に沿って連設されている。
【0026】
先ず、点灯制御回路からの給電によりLED23が発光されると、LED23の発光光は、導光体17の入射部22から入射され、導光体17内をほぼ全反射しながら進行する。そして、少なくともこの入射光の一部は、点刻32によって、第1の面30からリフレクタ18に向けて反射する強い反射光α1と、室内側に向けて出射する出射光α2(1次出射光、α2<α1)と、を発生する。
【0027】
第1の面30からリフレクタ18側に反射した強い反射光α1は、リフレクタ18の曲面状反射面28によって、再び導光体17に向けて反射する。そして、反射した反射光α3(2次出射光、α2<α3)は、焦点fを通過して拡散しながら、第1の面30から導光体17内を透過して、第2の面31から室内に出射される。
【0028】
このとき、室内の搭乗者からは、第1の面30からリフレクタ18側に反射した強い反射光α1が距離L2のA方向から出射された光のように認識される。これにより、複数の点刻32によって、複数の光が照射しているように見える。したがって、1次出射光α2は、導光体17表面の点刻32を光らせるのに対して、2次出射光α3は、点刻32が導光体17の裏面側に配置されたリフレクタ18までの往復距離分だけ距離L2の奥で光って見える。これにより、無数の星が輝く星空のような神秘的な奥行き感が得られる。
【0029】
また、室内の搭乗者の視点を動かしても、点刻32から室内側に出射する1次出射光α2は、導光体17表面で動かないのに対し、リフレクタ18で再反射する2次出射光α3は、凹状の曲面状反射面28によって頂部29と頂部29の間を視点の移動方向に対して、反対方向に素早く移動しているように見える。この1次出射光α2と2次出射光α3の見え方の差異により、更なる奥行き感とキラキラ感が得られる。更に、点刻32の間隔、曲面状反射面28の曲率、頂部29と頂部29の間隔を調整することにより、様々な見え方に調整可能である。
【0030】
上述したように本実施形態の車両用照明装置10によれば、導光体17の入射部22から入射したLED23の光は、導光体17の点刻32により第1の面30側に反射されてリフレクタ18側に反射され、リフレクタ18の曲面状反射面28により再び導光体17側に反射され、導光体17を透過して第2の面31から室内側に出射される。
これにより、導光体17内を導光した光を単純に出射させる従来のものと比べて、奥行き感を得ることができ、神秘的な光り方をするイルミネーションの演出を行うことができる。
【0031】
また、車両用照明装置10によれば、導光体17に複数の点刻32が形成されていることにより、イルミネーション効果を高めることができる。
また、車両用照明装置10によれば、リフレクタ18の複数の連続した曲面状反射面28により、奥行き感と共にキラキラ感を得ることができる。
更に、車両用照明装置10によれば、リフレクタ18がシリンドリカルステップであることにより、導光体17からの光を拡散して反射してから導光体17に入射させて広い範囲を照射することができる。また、室内で視点を移動させることにより、更にキラキラ感を得ることができる。
【0032】
また、車両用照明装置10によれば、導光体17に入射した入射光の一部は、点刻32から室内側に出射する1次出射光α2により、導光体17表面の点刻32を光らせる。これに対して、再度リフレクタ18で反射されてから導光体17を透過して室内側に出る2次出射光α3は、点刻32が導光体17の裏面側に配置されたリフレクタ18までの往復距離分だけ奥で光って見えるので、実際の星空のような神秘的な奥行き感が得られる。
更に、室内で視点を動かしながら見ると、点刻32から室内側に反射する1次出射光α2は、導光体17表面で動かないのに対して、リフレクタ18で再反射する2次出射光α3は、凹状の曲面状反射面28によって、頂部29と頂部29の間を視点の移動方向に対して、反対方向に素早く移動する。この1次出射光α2と2次出射光α3の見え方の差異により、更なる奥行き感とキラキラ感が得られる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る車両用照明装置の第2実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については、図中に同一符号を付することによって説明を簡略或いは省略する。
【0034】
図7に示すように、本発明の第2実施形態である車両用照明装置40は、導光体とリフレクタとを一体成形して、ルーフ外板側の第1の面側に複数の連続したアルミニウムの曲面状蒸着面42を形成した導光体41を適用したことを特徴としている。
【0035】
車両用照明装置40は、LED23の発光に伴い、導光体41の入射部22から入射したLED23からの入射光の一部は、点刻32により室内側に出射する1次出射光α2により、導光体41表面の点刻32を光らせる。
これに対して、入射光の別の一部は、点刻32により曲面状蒸着面42側に強い反射光α1として反射される。この強い反射光α1は、曲面状蒸着面42により再び反射され、導光体41を透過して第2の面31から室内側に2次出射光α3(α2<α3)として出射される。2次出射光α3は、点刻32が導光体41の裏面側に配置された曲面状蒸着面42までの往復距離分だけ奥で光って見えるので、1次出射光α2と相まって神秘的な奥行き感が得られる。
【0036】
また、室内で視点を動かしながら見ると、点刻32から室内側に反射する1次出射光α2は、導光体41表面で動かないのに対して、曲面状蒸着面42で反射された2次出射光α3は、視点の移動方向に対して反対方向に素早く移動するため、更なる奥行き感とキラキラ感が得られる。
【0037】
上述したように本実施形態の車両用照明装置40によれば、リフレクタを導光体に一体成形することで部品点数が削減できると共に、反射面を複数の連続した曲面状蒸着面42とすることにより、神秘的な奥行き感とキラキラ感を得ることができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0039】
10、40 車両用照明装置
17、41 導光体
18 リフレクタ(反射面)
23 LED(光源)
28 曲面状反射面
30 第1の面
31 第2の面
32 点刻(反射手段)
42 曲面状蒸着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源に隣接して配置され、車体側の第1の面と、該第1の面と対面する室内側の第2の面とを有し、一端面から入射した前記光源の光を導光する板状の導光体と、
前記導光体の前記第1の面側に配置され、前記第2の面から前記第1の面へ向かう反射光をさらに反射させる反射面と、
を備える車両用照明装置であって、
前記導光体は、前記第2の面に、前記一端面から入射した入射光を前記第1の面側に反射させる反射手段を備え、
前記反射面は、前記反射手段により前記第1の面側に反射した反射光をさらに反射して、前記第2の面から室内側に出射させることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記反射手段は、複数の線刻又は点刻であることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記反射面は、複数の連続した曲面状反射面を有するリフレクタであることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記リフレクタは、シリンドリカルステップであることを特徴とする請求項3に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記導光体に入射した入射光の一部は、線刻又は点刻から室内側に出射することを特徴とする請求項2に記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−25738(P2011−25738A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170912(P2009−170912)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】