説明

車両用空気調和装置

【課題】エアフィルター装置のフィルターに付着した粉塵を回収箱に収集して粉塵を廃棄することで、エアフィルター装置の着脱作業や洗浄作業を不要とする車両用空気調和装置を得ること。
【解決手段】車両1の屋根2に搭載される空調装置本体8と、車両の天井3の上面に形成された吸気口4の近傍位置に配設され、車両内から吸気口より吸い込んだ空気を濾過して空調装置本体に渡すエアフィルター装置9と、エアフィルター装置に隣接して設けられ、該エアフィルター装置のフィルター体11に付着した粉塵を除去する粉塵除去装置10とを備えた車両用空気調和装置において、粉塵除去装置は、フィルター体に付着した粉塵を吸い込む吸込ノズル17と、該吸込ノズルに吸引力を与える吸込ファンを有する吸引装置18と、吸引装置が吸込ノズルから吸引した粉塵を排出ホース19を介して回収する回収箱20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルター装置のメンテナンスの手間を大幅に低減することができる車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用自動巻取式フィルター装置は、駆動ローラーと従動ローラーに巻装された長尺ロール状のフィルターを収容したフィルターユニットの側面に駆動電動機を設置、前記駆動ローラーと直接結合してフィルターを巻き取るようにし、さらに、フィルターユニットの側面に差込みプラグ(栓)を設置し、フレームには前記差込みプラグ(栓)と相対する位置に差込みプラグ(栓受)が設置され、フレームに対するフィルターユニットの着脱と同時に差込みプラグ(栓)及び差込みプラグ(栓受)も抜き差しされ、電気的接続の開閉を自動的に行うことができるため、別途付加的な電気的接続の開閉という作業を廃止でき、メンテナンスを向上できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−9996号公報(第1頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用自動巻取式フィルター装置は、メンテナンスの際に電気的接続の開閉という作業を廃止できるが、駆動ローラーと従動ローラーに巻装された長尺ロール状のフィルターのフィルター目詰まりを防止するために清掃する必要があり、そのためには車両天井内の高所に設置されたフレームに対するフィルターユニットの着脱作業を行い、さらにフィルターユニットから長尺ロール状のフィルターを取り出し、フィルターの洗浄作業をしなければならず、メンテナンスに手間がかかるという問題があった。
本発明はかかる問題を解決せんとするもので、エアフィルター装置のフィルター体に付着した粉塵を回収箱に収集して粉塵を廃棄したり、車両の外に排出することで、エアフィルター装置の着脱作業や洗浄作業を不要とする車両用空気調和装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用空気調和装置は、車両の屋根に搭載される空調装置本体と、前記車両の天井の上面に形成された吸気口の近傍位置に配設され、前記車両内から前記吸気口より吸い込んだ空気を濾過して前記空調装置本体に渡すエアフィルター装置と、前記エアフィルター装置に隣接して設けられ、該エアフィルター装置のフィルター体に付着した粉塵を除去する粉塵除去装置とを備えた車両用空気調和装置において、前記粉塵除去装置は、前記フィルター体に付着した粉塵を吸い込む吸込ノズルと、該吸込ノズルに吸引力を与える吸込ファンを有する吸引装置と、該吸引装置が吸込ノズルから吸引した粉塵を排出ホースを介して回収する回収箱とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車両用空気調和装置の粉塵除去装置は、エアフィルター装置のフィルター体に付着した粉塵を吸い込む吸込ノズルと、吸込ノズルに吸引力を与える吸込ファンを有する吸引装置と、吸引装置が吸込ノズルから吸引した粉塵を排出ホースを介して回収する回収箱とを有して構成されているので、粉塵除去装置はフィルター体に付着した粉塵を回収箱に収集することができ、車両用天井部に設置しているエアフィルター装置の着脱作業が不要となり、フィルター体の洗浄作業も不要となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態1の車両用空気調和装置が搭載された車両の概略構成を示す縦断面図。
【図2】同車両用空気調和装置が搭載された車両の平面図。
【図3】同車両用空気調和装置が搭載された車両の横断面図。
【図4】同車両用空気調和装置の平面図。
【図5】同車両用空気調和装置の要部断面図。
【図6】同車両用空気調和装置のエアフィルター装置の概略構成を示す平面図。
【図7】同車両用空気調和装置のエアフィルター装置の概略構成を示す縦断面図。
【図8】本発明の実施の形態2の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図9】本発明の実施の形態3の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図10】本発明の実施の形態4の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図11】本発明の実施の形態5の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図12】本発明の実施の形態6の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図13】同車両用空気調和装置の変形例の要部断面図。
【図14】本発明の実施の形態7の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図15】本発明の実施の形態8の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図16】本発明の実施の形態9の車両用空気調和装置の要部断面図。
【図17】同車両用空気調和装置の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の車両用空気調和装置が搭載された車両の概略構成を示す縦断面図、図2は同車両用空気調和装置が搭載された車両の平面図、図3は同車両用空気調和装置が搭載された車両の横断面図、図4は同車両用空気調和装置の平面図、図5は同車両用空気調和装置の要部断面図、図6は同車両用空気調和装置のエアフィルター装置の概略構成を示す平面図、図7は同車両用空気調和装置のエアフィルター装置の概略構成を示す縦断面図である。
図1〜図3において、車両1の屋根2に空調装置本体8が搭載されて車両用空気調和装置が構成される。また、車両1の車内化粧面である天井3で側部寄りに吸気口4が形成され、中央部寄りに吹出口5が形成されている。
さらに、車両1の車内化粧面である天井3と空調装置本体8の底板8aとの間で、吹出口5の近傍に後述の室内送風機から吹き出される空気の風路を形成するためのダクト6が形成されている。
【0009】
また、車両1の天井3の上面で吸気口4が形成された近傍位置にエアフィルター装置9が配設され、そのエアフィルター装置9に隣接して粉塵除去装置10が設けられている。
そのエアフィルター装置9は後述する室内送風機23が車内から空気を吸い込む際に、その空気を濾過し粉塵や埃等を除去し、空調装置本体8に渡すためのものである。
また、粉塵除去装置10はエアフィルター装置9に付着した粉塵を除去するためのものである。
なお、図1〜図3を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
図4に示すように、空調装置本体8には、室内送風機23と、第1の室内熱交換器26aと、第2の室内熱交換器26bとが内蔵されている。室内送風機23は、空気を取り込み、その空気を吹き出すためのものである。
また、第1の室内熱交換器26a及び第2の室内熱交換器26bは、室内送風機23が取り込んだ空気を熱交換して、その空気を冷風とするものである。
さらに、空調装置本体8には、室内送風機23、第1の室内熱交換器26a及び第2の室内熱交換器26bの他に、第1の圧縮機23a及び第2の圧縮機23b、第1の室外熱交換器24a及び第2の室外熱交換器24b、室外送風機25が内蔵されている。ここでは、圧縮機及び凝縮器が2つずつ内蔵されている場合を例に説明するものとする。
【0011】
また、空調装置本体8を車両1に取り付けると、空調装置本体8の底板8aと車両1の屋根2との間に隙間が形成されることがある。
そこで、図5に示すように、空調装置本体8の底板8aと車両1の屋根2との間にシールパッキン27を設けて、雨水の浸入を防止するようになっている。また、ダクト6を流れる空気の漏れを防止するためのシールパッキン27が底板8aと屋根2との間に設けられている。
【0012】
上述した空調装置本体8は、2つの冷凍サイクル(第1の圧縮機23aと、第1の室外熱交換器24aと、第1の室内熱交換器26aとで1つの冷凍サイクルを形成し、第2の圧縮機23bと、第2の室外熱交換器24bと、第2の室内熱交換器26bとで1つの冷凍サイクルを形成している)を内蔵している。
そして、一方の冷凍サイクルで作成される冷風を室内送風機23の吹出口から吹き出すようになっている。なお、2つの冷凍サイクルは、図示省略の冷媒配管で順次接続されているものとする。また、室内送風機23および室外送風機25は、2つの冷凍サイクルの双方で共用するようになっている。
【0013】
第1の圧縮機23a及び第2の圧縮機23bは、冷凍サイクルを循環する冷媒を圧縮して高温高圧の状態にするものである。第1の室外熱交換器24a及び第2の室外熱交換器24bは、第1の圧縮機23a及び第2の圧縮機23bから吐出された冷媒と外気との熱交換によって、その冷媒を凝縮液化するものである。
室外送風機25は、第1の室外熱交換器24a及び第2の室外熱交換器24bに供給する外気を取り込むものである。第1の室内熱交換器26a及び第2の室内熱交換器26bは、第1の室外熱交換器24a及び第2の室外熱交換器24bで熱交換された冷媒と車内の空気と熱交換し、その冷媒を蒸発ガス化するものである。
【0014】
ここで、冷房運転時における冷媒の流れについて説明する。
まず、第1の圧縮機23a及び第2の圧縮機23bで高温・高圧にされた冷媒は、第1の圧縮機23a及び第2の圧縮機23bから吐出して第1の室外熱交換器24a及び第2の室外熱交換器24bに流入する。第1の室外熱交換器24a及び第2の室外熱交換器24bに流入した冷媒は、室外送風機25が取り込んだ外気との熱交換を行なって凝縮液化する。
すなわち、冷媒は放熱して外気とほぼ同温の液体に変化するのである。そして、凝縮液化した冷媒は、第1の室内熱交換器26a及び第2の室内熱交換器26bに流入する。
【0015】
第1の室内熱交換器26a及び第2の室内熱交換器26bに流入した冷媒は、図示省略の膨張弁等で減圧されて、低圧二相状態の冷媒に変化する。そして、第1の室内熱交換器26a及び第2の室内熱交換器26bで車内25の空気と熱交換して蒸発ガス化する。
すなわち、車内の空気から吸熱して(外気を冷却)、気体に変化するのである。蒸発ガス化した冷媒は、第1の室内熱交換器26a及び第2の室内熱交換器26bから出て、第1の圧縮機23a及び第2の圧縮機23bに再度吸入される。
【0016】
図5に示すように、空調装置本体8は、車両1内の空気を吸気口4から吸い込み、この吸い込んだ空気に対してエアフィルター装置9で除塵した後、第1の室内熱交換器26a(第2の室内熱交換器26b)で熱交換され、第1の室内送風機23a(第2の室内送風機23b)により熱交換された空気を吹出口5から車両1内に吐き出す。
空調装置本体8は、このようにして車両1内の空気を循環させながら車両1内の空調をする。吸気口4及び吹出口5は、循環する空気の通風路を形成している。
【0017】
次に、本発明の実施の形態1の車両用空気調和装置に、空調装置本体8の他に設けられたエアフィルター装置9及び粉塵除去装置10について図6及び図7に基づいて詳細に説明する。
エアフィルター装置9は、輪っか状で、例えばサラン材からなるメッシュ地のフィルター体11と、そのフィルター体11の内側の一端側が巻かれた駆動軸12と、そのフィルター体11の内側の他端側が巻かれた従動軸13と、駆動軸12を駆動する巻き取りモータ14と、通過する空気によりフィルター体11が浮かないようにした浮上り防止板15と、駆動されるフィルター体11が滑らないように、フィルター体11を押し下げ方向にテンションをかけるアイドラー16とで構成されている、13aは従動軸側に設けられ、フィルター体11が1回転したかを検知する巻取り検知器である。
【0018】
また、粉塵除去装置10は、フィルター体11に付着した粉塵を吸い込む吸込ノズル17と、吸込ノズル17に吸引力を与える吸込ファンを有する吸引装置18と、吸引装置18が吸込ノズル17から吸引した粉塵を排出ホース19を介して回収する回収箱20とから構成されている。そして、粉塵除去装置10はエアフィルター装置9内に設置されている。
巻き取りモータ14と吸引装置18は空調装置本体8の電源に接続されるが、そのオン・オフは空調制御器7によって制御され、巻取り検知器13aは空調制御器7に接続されている。
【0019】
この実施の形態1では、電源が投入されると、巻取りモータ14と吸引装置18の吸込みファンが駆動される。巻取りモータ14の駆動により、駆動軸12が回転し、フィルター体11が駆動軸12と従動軸13との間を平行移動し、駆動軸12又は従動軸13にきたところ巻き取られて回転する。
このとき、まず、フィルター体11の駆動軸12にある部分に付着した粉塵を吸引装置18の吸込みファンの駆動により、駆動軸12の近傍に設けられている吸込ノズル17が吸い込み、吸込ノズル17が吸い込んだ粉塵は排出ホース19を介して回収箱20に回収される。
【0020】
次に、フィルター体11の部分が駆動軸12側に平行移動するにつれて粉塵を吸込ノズル17が順次吸い込んでいき、吸込ノズル17が吸い込んだ粉塵は排出ホース19を介して回収箱20に順次回収されていく。
最後に、フィルター体11の従動軸13にある部分が駆動軸12に達し、その部分の粉塵を吸込ノズル17が吸い込んで、吸込ノズル17が吸い込んだ粉塵が吸込ホース19を介して回収箱20に回収されたところで、空調制御器7が巻取り検知器13aのフィルター体11の従動軸13にある部分が駆動軸12に達したことの検知信号を受けると、空調制御器7は巻取りモータ14と吸引装置18の吸込みファンの駆動を停止するように制御する。
従って、粉塵除去装置10のフィルター体11を車両1の天井3から取り外して洗浄する必要がなくなった。
【0021】
なお、フィルター体11の従動軸13にある部分が駆動軸12に達したところで、巻取り検知器13aの検知信号を受けて巻取りモータ14と吸引装置18の吸込みファンの駆動を停止するようにしているが、これで吸込ノズル17によるフィルター体11に付着した粉塵の吸い込みが充分でない場合には、フィルター体11の従動軸13にある部分が駆動軸12に達し、さらに従動軸13に戻って再び駆動軸12に達したところで、巻取りモータ14と吸引装置18の吸込みファンの駆動を停止するようにしてもよい。
【0022】
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2の車両用空気調和装置の要部断面図である。
この実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
実施の形態1では、粉塵除去装置10はエアフィルター装置9内に設置されているおり、回収箱20も勿論エアフィルター装置9内に設置されている。
この実施の形態2では、粉塵除去装置10の吸引装置18に排出ホース19を介して接続されている回収箱20が車両1の天井3の上方に設置されている。
このように、回収箱20が天井3の上方に設置されることにより、通常のメンテナンスは回収箱20内に溜まった粉塵を廃棄する作業のみとなり、回収箱20を取り出すために開閉する天井3に設けられた回収箱点検カバー31が回収箱20を隠し、回収箱20を取り出すことができるだけでよいから、回収箱点検カバー31を小型化することができた。
【0023】
実施の形態3.
図9は本発明の実施の形態3の車両用空気調和装置の要部断面図である。
この実施の形態3において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
この実施の形態3は、粉塵除去装置10の吸引装置18に排出ホース19を介して接続されている回収箱20が車両用空気調和装置8内に設置されている。
このように、回収箱20が車両用空気調和装置8内に設置されることにより、室内熱交換器26の洗浄などの屋根2の上で行うメンテナンスに合わせて、回収箱20に溜まった粉塵を廃棄できるようになった。
また、天井3に設けられた回収箱点検カバー31を廃止することができた。
【0024】
実施の形態4.
図10は本発明の実施の形態4の車両用空気調和装置の要部断面図である。
この実施の形態4において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
前記実施の形態1〜3が回収箱20を必要とするのに対し、この実施の形態4は回収箱20を不要とするものである。
この実施の形態4は、車両1の屋根2の側壁に粉塵排出口2aを設け、その粉塵排出口2aに粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を接続したものである。
【0025】
このように、粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を車両1の屋根2の側壁に設けた粉塵排出口2aに接続したことにより、車両1の外に粉塵を排出することができ、回収箱20内に溜まった粉塵を廃棄するという作業が不要となった。
また、屋根2の側壁に設けた粉塵排出口2aから車両1の外に粉塵を排出することができるため、粉塵排出口2aの周囲に付着した粉塵は車両の走行により吹き飛ばされ、大気に戻すことができ、また雨水により洗浄され、或いは車両洗浄時に洗い流すことができる。
さらに、粉塵除去装置10の近傍の屋根2の側壁に粉塵排出口2aを設けることにより、排出ホース19を短くすることができる。
【0026】
実施の形態5.
図11は本発明の実施の形態5の車両用空気調和装置の要部断面図である。
この実施の形態5において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
前記実施の形態1〜3が回収箱20を必要とするのに対し、この実施の形態5も回収箱20を不要とするものである。
この実施の形態5は、車両1に搭載された空調装置本体8の側面である空調装置本体枠29に粉塵排出口29aを設け、その粉塵排出口29aに粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を接続したものである。
【0027】
このように、粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を空調装置本体枠29に設けた粉塵排出口29aに接続したことにより、車両1側に粉塵排出口を設ける必要がなくなった。
また、粉塵排出口29aを設けた空調装置本体枠29の外側には側面カバー21があることから、粉塵排出口29aに雨水が直接掛かることはない。
さらに、粉塵除去装置10の吸引装置18を空調装置本体8内に配置することにより、吸引装置18の車内へ伝播する騒音を低減することができる。
【0028】
実施の形態6.
図12は本発明の実施の形態6の車両用空気調和装置の要部断面図、図13は同車両用空調装置の変形例の要部断面図である。
この実施の形態6において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
前記実施の形態1〜3が回収箱20を必要とするのに対し、この実施の形態6も回収箱20を不要とするものである。
この実施の形態6は、上記実施の形態4と同様に、車両1の屋根2の側壁に粉塵排出口2aを設け、その粉塵排出口2aに粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を接続するが、その排出ホース19が粉塵排出口2aに向かって下方に傾斜させられている。
【0029】
このように、粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側が屋根2の側壁に粉塵排出口2aに接続されるが、その排出ホース19が粉塵排出口2aに向かって下方に傾斜させられていることにより、粉塵除去装置10側への粉塵の逆流及び雨水の流入を防止することができる。
【0030】
また、図13に実施の形態5の変形例が示され、上記実施の形態5と同様に、空調装置本体8の側面である空調装置本体枠29に粉塵排出口29aを設け、その粉塵排出口29aに粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側が接続されるが、その排出ホース19の排出側部分19aが粉塵排出口29aに向かって下方に傾斜させられていることにより、粉塵除去装置10側への粉塵の逆流及び雨水の流入を防止することができる。
【0031】
実施の形態7.
図14は本発明の実施の形態7の車両用空気調和装置の要部断面図である。
この実施の形態7において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
前記実施の形態1〜3が回収箱20を必要とするのに対し、この実施の形態7は回収箱20を不要とするものである。
この実施の形態7は、車両1の屋根2の天井上面に粉塵排出口2aを設け、その粉塵排出口2aに粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を接続し、その粉塵排出口2aの上方に防水カバー32を設けたものである。
【0032】
このように、粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を車両1の屋根2の天井上面に設けた粉塵排出口2aに接続したことにより、屋根2の天井上面に粉塵が排出されるため、雨水により屋根2の天井上面の粉塵を洗い流すことができ、その粉塵排出口2aの上方に防水カバー32が設けられているため、その粉塵排出口2aへの雨水の流入を防止することができる。
【0033】
実施の形態8.
図15は本発明の実施の形態8の車両用空気調和装置の要部断面図である。
この実施の形態8において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
前記実施の形態1〜3が回収箱20を必要とするのに対し、この実施の形態8は回収箱20を不要とするものである。
この実施の形態8は、車両1の屋根2に搭載された空調装置本体8の天井上面に粉塵排出口28aを設け、その粉塵排出口28aに粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を接続し、その粉塵排出口28aの上方に防水カバー32を設けたものである。
【0034】
このように、粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を車両1の屋根2に搭載された空調装置本体8の天井上面に設けた粉塵排出口28aに接続したことにより、空調装置本体8の天井上面に粉塵が排出されるため、雨水により空調装置本体8の天井上面の粉塵を洗い流すことができ、その粉塵排出口28aの上方に防水カバー32を設けられているため、その粉塵排出口28aへの雨水の流入を防止することができる。
【0035】
実施の形態9.
図16は本発明の実施の形態9の車両用空気調和装置の要部断面図、図17は同車両用空気調和装置の縦断面図である。
この実施の形態9において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、実施の形態1と相違する構成について説明する。
前記実施の形態1〜3が回収箱20を必要とするのに対し、この実施の形態9は回収箱20を不要とするものである。
この実施の形態9は、車両1の屋根2に搭載された空調装置本体8の底板8aでシールパッキン27より外側位置に粉塵排出口38aを設け、その粉塵排出口38aに粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を接続したものである。
【0036】
このように、粉塵除去装置10の吸引装置18に接続されている排出ホース19の排出側を車両1の屋根2に搭載された空調装置本体8の底板8aに設けた粉塵排出口38aに接続したことにより、車両1の屋根2と空調装置本体8との間に粉塵が排出されるため、防水カバー32を廃止することができる。
また、空調装置本体8の底板8aでシールパッキン27より外側位置に粉塵排出口38aを設け、その粉塵排出口38aに排出ホース19の排出側が接続されているため、車両1の屋根2と空調装置本体8との間に排出された粉塵は、空調装置本体8内に入らず、車両走行により吹き飛ばされ、大気に戻すことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 車両、2 屋根、2a 粉塵排出口、3 天井、4 吸気口、5 吹出口、6 ダクト、7 空調制御器、8 空調装置本体、8a 底板、9 エアフィルター装置、10 粉塵除去装置、11 フィルター体、12 駆動軸、13 従動軸、13a 巻取り検知器、14 巻取りモーター、15 浮上り防止板、16 アイドラー、17 吸込ノズル、18 吸引装置、19 排出ホース、20 回収箱、21 側面カバー、22 取付足、23 室内送風機、23a 第1の圧縮機、23b 第2の圧縮機、24a 第1の室外熱交換器、24b 第2の室外熱交換器、25 室外送風機、26 第1の室内熱交換器、26b 第2の室内熱交換器、27 シールパッキン、28 空調装置天井、28a 粉塵排出口、29 空調装置本体枠、29a 粉塵排出口、32 防水カバー、38a 粉塵排出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根に搭載される空調装置本体と、
前記車両の天井の上面に形成された吸気口の近傍位置に配設され、前記車両内から前記吸気口より吸い込んだ空気を濾過して前記空調装置本体に渡すエアフィルター装置と、
前記エアフィルター装置に隣接して設けられ、該エアフィルター装置のフィルター体に付着した粉塵を除去する粉塵除去装置とを備えた車両用空気調和装置において、
前記粉塵除去装置は、
前記フィルター体に付着した粉塵を吸い込む吸込ノズルと、該吸込ノズルに吸引力を与える吸込ファンを有する吸引装置と、該吸引装置が吸込ノズルから吸引した粉塵を排出ホースを介して回収する回収箱と、
を備えていることを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記回収箱が前記車両の天井の上方に設置されていることを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記回収箱を前記空調装置本体内に備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
車両の屋根に搭載される空調装置本体と、
前記車両の天井の上面に形成された吸気口の近傍位置に配設され、前記車両内から前記吸気口より吸い込んだ空気を濾過して前記空調装置本体に渡すエアフィルター装置と、
前記エアフィルター装置に隣接して設けられ、該エアフィルター装置のフィルター体に付着した粉塵を除去する粉塵除去装置とを備えた車両用空気調和装置において、
前記粉塵除去装置は、
前記フィルター体に付着した粉塵を吸い込む吸込ノズルと、該吸込ノズルに吸引力を与える吸込ファンを有する吸引装置と、該吸引装置が吸込ノズルから吸引した粉塵を前記車両の外に排出する排出ホースと、
を備えていることを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項5】
前記排出ホースを前記車両側面に設けた粉塵排出口に接続したことを特徴とする請求項4記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】
前記排出ホースが前記吸引装置から前記粉塵排出口に向かって下方に傾斜したことを特徴とする請求項5記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】
前記排出ホースを前記空調装置本体の側面に設けた粉塵排出口に接続したことを特徴とする請求項4記載の車両用空気調和装置。
【請求項8】
前記吸引装置を前記空調装置本体内に設置したことを特徴とする請求項7記載の車両用空気調和装置。
【請求項9】
前記排出ホースが途中から前記粉塵排出口に向かって下方に傾斜したことを特徴とする請求項7又は8記載の車両用空気調和装置。
【請求項10】
前記排出ホースを前記車両の屋根に設けた粉塵排出口に接続した、前記粉塵排出口の上方に防水カバーを配置したことを特徴とする請求項4記載の車両用空気調和装置。
【請求項11】
前記排出ホースを前記空調装置本体の屋根に設けた粉塵排出口に接続し、前記粉塵排出口の上方に防止カバーを配置したことを特徴とする請求項4記載の車両用空気調和装置。
【請求項12】
前記排出ホースを前記空調装置本体の底板に設けた粉塵排出口に接続したことを特徴とする請求項4記載の車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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