説明

車両用空調装置

【課題】簡単な構成で、室外熱交換器の除霜をすることができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、室外熱交換器26が着霜しており、かつ車両が停止しているときには、水冷媒熱交換器24において冷却水によって加熱された冷媒が室外熱交換器26に流入するように第1膨張弁23〜第3膨張弁27の絞り開度を制御する。これによって室外熱交換器26の外部からではなく、室外熱交換器26の内部から冷媒によって加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを用いて空調空気を提供する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の車両用空調装置では、外気と熱交換するための室外熱交換器を備える。室外熱交換器において、外気温が低い場合などに着霜する場合があり、着霜すると外気から吸熱(熱交換)することができず、暖房能力が低下する。
【0003】
このような室外熱交換器の着霜に関する問題を解決する従来技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の車両用空調装置では、ヒートポンプの室外熱交換器とエンジン冷却用のラジエータとを隣接して設けるとともに、室外熱交換器の近傍に外気の通過を遮断するラジエータシャッタが設けられる。このような構成において、除霜時はラジエータシャッタを閉じ、エンジンを始動させエンジン廃熱をラジエータから室外熱交換器側に移動させて除霜を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1に記載の従来技術では、ラジエータシャッタが必要であり、またラジエータの熱を室外熱交換器に移動させるために、逆回転ファンが必要である。したがって製造コストが高くなるという問題がある。また室外熱交換器を除霜するための熱は、ラジエータから外気を介して室外熱交換器に伝わるので、室外熱交換器に熱が伝わりにくい。したがって除霜が完了するまでの時間が長いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、室外熱交換器の除霜をすることができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、冷却水回路(13)と冷凍サイクル(12)とを用いて空調空気を車室内に提供する車両用空調装置であって、
一端側に空気の吸入口を有し、他端側に車室内への吹出口を有する空調空気通路(14)と、
空気を吸入口側から吹出口側へ送風する送風機(15)と、
車両に搭載される発熱機器を冷却するための冷却水が循環する冷却水回路(13)と、
冷媒が循環する冷凍サイクル(12)と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、を含み、
冷凍サイクルは、
冷媒が通過する冷媒通路と冷却水が通過する冷却水通路とを有し、冷媒通路を通過する冷媒と冷却水通路を通過する冷却水との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器(24)と、
水冷媒熱交換器に流入する冷媒を減圧する第1減圧手段(23)と、
冷媒を高温高圧に圧縮して吐出する圧縮機(22)と、
空調空気通路に設置され、圧縮機から吐出された冷媒と空気とを熱交換して加熱する室内放熱器(17)と、
室内放熱器を流下した冷媒を外気との間で熱交換して凝縮する室外熱交換器(26)と、
室外熱交換器に流入する冷媒を減圧する第2減圧手段(25)と、
空調空気通路において室内放熱器の上流側に設置され、流下する冷媒を空気から吸熱して蒸発させ、空気を冷却する蒸発器(16)と、
蒸発器に流入する冷媒を減圧する第3減圧手段(27)と、
室外熱交換器における着霜状態を検出する着霜状態検出手段(35,36)と、を含み、
第1減圧手段、第2減圧手段および第3減圧手段は、絞り開度が可変に構成され、
与えられる空調要求に基づいて、第1減圧手段、第2減圧手段および第3減圧手段の絞り開度を制御する空調制御手段であって、着霜状態検出手段によって室外熱交換器が着霜していることが検出され、かつ走行状態検出手段によって車両が停止していることが検出されると、水冷媒熱交換器において冷却水によって加熱された冷媒が室外熱交換器に流入するように各減圧手段の絞り開度を制御する空調制御手段をさらに含むことを特徴とする車両用空調装置である。
【0009】
請求項1に記載の発明に従えば、空調制御手段は、与えられる空調要求、たとえば暖房モード、および冷房モードによって、水冷媒熱交換器、室外熱交換器および蒸発器に流入する冷媒の減圧量を各減圧手段の絞り開度によって個別に調節するので、車室内に所望の空調空気を提供することができる。
【0010】
また空調制御手段は、室外熱交換器が着霜しており、かつ車両が停止しているときには、水冷媒熱交換器において冷却水によって加熱された冷媒が室外熱交換器に流入するように各減圧手段の絞り開度を制御する。これによって室外熱交換器の外部からではなく、室外熱交換器の内部から冷媒によって加熱される。したがって室外熱交換器の外部から加熱する構成に比べて熱損失が少なくなるので、短時間で除霜することができる。また車両が停止しているときに除霜するので、走行風によって除霜が妨げられることを防止することができる。さらに前述の特許文献1に記載のラジエータシャッタおよび逆回転ファンのような構成が不要であるので、短時間で除霜が可能な車両用空調装置を安価な製造コストで実現することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明では、冷凍サイクルは、室内放熱器を流下した冷媒が、第1減圧手段および冷媒通路を通過して、第2減圧手段に至るように構成され、
冷凍サイクルは、
室外熱交換器を流下した冷媒が第3減圧手段および蒸発器を通過して、圧縮機に至るサイクル流路(30)と、
冷媒通路を流下した冷媒が、第2減圧手段、室外熱交換器、第3減圧手段および蒸発器を迂回して、圧縮機に至る第1迂回流路(31)と、
室外熱交換器を流下した冷媒が第3減圧手段および蒸発器を迂回して、圧縮機に至る第2迂回流路(33)と、
第1迂回流路に設けられ、第1迂回流路の開閉状態を切り替える第1切替部(32)と、
第2迂回流路に設けられ、第2迂回流路の開閉状態を切り替える第2切替部(34)と、をさらに含み、
空調制御手段は、
与えられる空調要求が暖房モードである場合に、着霜状態検出手段によって室外熱交換器が着霜していることが検出され、かつ走行状態検出手段によって車両が走行していることが検出されると、第2減圧手段の絞り開度を全閉に制御し、第1切替部を開状態に制御し、
着霜状態検出手段によって室外熱交換器が着霜していることが検出され、かつ走行状態検出手段によって車両が停止していることが検出されると、第2減圧手段の絞り開度を全開に制御し、第1切替部を閉状態に制御し、第2切替部を開状態に制御することを特徴と。
【0012】
請求項2に記載の発明に従えば、空調制御手段は、暖房モードの場合には、室外熱交換器が着霜しており、かつ走行状態検出手段によって車両が走行していることが検出されると、第2減圧手段の絞り開度を0%(全閉)に制御し、第1切替部を開状態に制御する。これによって室外熱交換器には第2減圧手段によって冷媒が流入せず、また第1迂回流路によって、冷媒通路を流下した冷媒が圧縮機に至るので、水冷媒熱交換器によって加熱された冷媒を用いて、室内放熱器に加熱された冷媒を供給することができる。これによって着霜した室外熱交換器を用いることなく、室内放熱器によって空調風を加熱して、温風を車室内に提供することができる。したがって暖房効率が室外熱交換器の着霜によって低下することを抑制することができる。これによって燃費の低減に貢献することができる。
【0013】
また空調制御手段は、室外熱交換器が着霜しており、かつ車両が停止しているときには、第2減圧手段の絞り開度を全開に制御し、第1切替部を閉状態に制御し、第2切替部を開状態に制御する。これによって水冷媒熱交換器によって加熱された冷媒は、第2減圧手段によって減圧されることなく、室外熱交換器に至る。また第2迂回流路を冷媒が流下するので、蒸発器によって冷媒が放熱されることを抑制することができる。これによって冷却水によって加熱された冷媒を、効率良く室外熱交換器に提供することができる。
【0014】
さらに請求項3に記載の発明では、サイクル流路または第2迂回流路に設けられ、室外熱交換器および蒸発器から圧縮機への冷媒の流下を許可し、圧縮機から室外熱交換器および蒸発器への冷媒の流下を阻止する逆止弁(28)をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明に従えば、暖房モードにおいて室外熱交換器が着霜している場合に、第2減圧手段の絞り開度を全閉にしたとき、第2減圧手段の下流側にあるサイクル流路および第2迂回流路には冷媒が流れないので、冷媒の温度が低下し、冷媒が液化するおそれがある。しかしながら、本発明では逆止弁が設けられるので、第1迂回流路を通過する冷媒が室外熱交換器側および蒸発器側への流下が阻止され、第1迂回流路を通過する冷媒が液化することを防止することができる。
【0016】
さらに請求項4に記載の発明では、圧縮機の吸入側に設けられ、冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離するとともに、気相冷媒を圧縮機の吸入側に向けて流出させるアキュムレータ(29)をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明に従えば、水冷媒熱交換器によって冷媒を加熱して、加熱した冷媒を用いて除霜するので、冷媒の乾き度が小さくなる。このような乾き度が小さい冷媒を圧縮機に吸入させると、液相冷媒によって液圧縮を起こして破損するおそれがある。しかしながら、本発明ではアキュムレータが設けられるので、圧縮機が液相冷媒を吸入することを抑制することができる。これによって圧縮機が損傷することを防止することができる。
【0018】
さらに請求項5に記載の発明では、走行状態検出手段は、イグニッションスイッチのスイッチング態様を検出することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明に従えば、走行状態検出手段は、イグニッションスイッチのスイッチング態様を検出するので、イグニッションスイッチがオフの状態、すなわち車両が停止している状態を検出することができる。これによってイグニッションスイッチがオフで車両が停止している場合には、車両に搭載される発熱機器は停止しているが、イグニッションスイッチをオフにした直後は車両に搭載される発熱機器は未だ発熱しているので、このような発熱機器の熱量を用いて、除霜することができる。したがって除霜する熱量を発生させるために、わざわざ内燃機関を始動する必要はなく、発熱機器に残存する熱量を用いるので、除霜のためのエネルギーを小さくすることができる。したがって除霜のために内燃機関を始動する構成よりも、本発明は低燃費で除霜することができる。
【0020】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】車両用空調装置10の全体構成を示す模式図である。
【図2】空気吸熱・冷却水吸熱モード、空気吸熱モード、エンジン暖機アシストモードおよび除湿モードにおける冷媒の循環経路を示す車両用空調装置10の模式図である。
【図3】冷却水吸熱モードにおける冷媒の循環経路を示す車両用空調装置10の模式図である。
【図4】冷房モードおよび除湿モードにおける冷媒の循環経路を示す車両用空調装置10の模式図である。
【図5】制御装置の制御モードの設定手順を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の車両用空調装置10Aの全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図5を用いて説明する。図1は、車両用空調装置10の全体構成を示す模式図である。車両用空調装置10は、エンジン11を走行用駆動源とする車両に搭載される。車両用空調装置10は、冷凍サイクル12、冷却水回路13、室内ユニット(図示せず)および制御装置(図示せず)を含む。車両用空調装置10は、たとえば車両の車室内前部の計器盤下部に設置される。
【0024】
先ず、室内ユニットに関して説明する。室内ユニットを構成する空調ケース14は、一端側に空気の吸入口(図示せず)を有し、他端側に車室内への吹出口(図示せず)を有し、吸入口から吹出口へ空調空気を導く空調空気通路を構成している。空調ケース14の一端側には、内外気を吸入する吸入口として、内気吸入口および外気吸入口が設けられている。内気吸入口および外気吸入口は内外気切替ドア(図示せず)により切替および開閉される。吸入口に隣接して、空調ケース14内に空気を送風する送風機15が設置される。送風機15は、空気を吸入口側から吹出口側へ送風する。空調ケース14の他端側には車室内へ通ずる複数の吹出口が形成されている。これらの吹出口は吹出モード切替ドア(図示せず)によりそれぞれ切替および開閉され、たとえばフェイス、バイレベル、フット、およびデフロスタ等の吹出モードが設定される。
【0025】
送風機15より空気下流側における空調ケース14内には冷凍サイクル12の室内蒸発器16および室内放熱器17が設けられている。室内蒸発器16は、冷凍サイクル12の低圧冷媒が空気から吸熱して、空気を冷却するものである。室内放熱器17は、室内蒸発器16より空気下流側に設けられる。室内放熱器17は、冷凍サイクル12の高圧冷媒を熱源として空気を加熱するものである。室内放熱器17と空調ケース14との間には室内放熱器17をバイパスして空調空気が流通するバイパス流路18が形成されている。
【0026】
また空調ケース14内には、室内放熱器17には通過する空調空気量を調節するエアミックスドア19が設けられている。エアミックスドア19は、室内放熱器17の空調空気が流通する部分を開閉する回動式のドアである。エアミックスドア19の開度に応じて、室内放熱器17を流通する加熱空気と、室内蒸発器16を通過しバイパス流路18を流通する冷却空気との流量割合が調節されて、室内放熱器17下流側の空調空気温度が調節される。エアミックスドア19の開度は、制御装置によって制御される。したがってエアミックスドア19の開度を図1で仮想的に示すように閉状態に調節することによって、室内放熱器17を通過する空調空気量をほぼ0にすることができる。このような場合には、空調空気はバイパス流路18を通過する。このように室内蒸発器16および室内放熱器17によって温度調節された空調空気は、選択された吹出口から車室内に吹出される。
【0027】
次に、冷却水回路13に関して説明する。冷却水回路13は、車両に搭載される発熱機器であるエンジン11に設けられ、エンジン11を冷却するための回路である。冷却水回路13には、放熱用のラジエータ20、および水ポンプ21が配設されている。エンジン冷却用の冷却水は、水ポンプ21によって冷却水回路13内を循環する。水ポンプ21は、冷却水回路13に2つ設けられ、一方の水ポンプ21によってラジエータ20側へ冷却水を循環し、他方の水ポンプ21によって冷凍サイクル12を循環する冷媒と冷却水とを熱交換するために冷却水を循環する。このような2つの水ポンプ21は、作動回転数によって冷却水の吐出量を可変可能としている。各水ポンプ21は、制御装置によってその作動および冷却水吐出量が制御される。またラジエータ20は、冷却水の温度が所定温度範囲(たとえば90〜110℃)となるように調節(制御)するために設けられる。
【0028】
次に、冷凍サイクル12に関して説明する。冷凍サイクル12は、圧縮機22、室内放熱器17、第1膨張弁23、水冷媒熱交換器24、第2膨張弁25、室外熱交換器26、第3膨張弁27、室内蒸発器16、逆止弁28およびアキュムレータ29が環状のサイクル流路30に順次接続される。また第2膨張弁25、室外熱交換器26、第3膨張弁27、および室内蒸発器16を迂回して、水冷媒熱交換器24とアキュムレータ29とを接続する第1迂回流路31が設けられる。第1迂回流路31には、第1電磁弁32が設けられる。また第3膨張弁27および室内蒸発器16を迂回して、室外熱交換器26と逆止弁28を介してアキュムレータ29とを接続する第2迂回流路33が設けられる。第2迂回流路33には、第2電磁弁34が設けられる。冷凍サイクル12内を循環する冷媒としては、二酸化炭素(CO2)を用いており、高圧側の圧力が臨界圧力よりも高い状態で使用される場合を有している。
【0029】
圧縮機22は、電動モータ(図示せず)によって駆動されて、冷媒を高温高圧に圧縮して吐出する流体機械である。圧縮機22は、作動回転数によって冷媒の吐出量を可変可能としている。圧縮機22は、制御装置によってその作動および冷媒吐出量が制御される。圧縮機22の吐出側であって、たとえば圧縮機22と水冷媒熱交換器24との間には、冷媒の状態量を検出する冷媒状態検出手段(図示せず)が設けられる。冷媒状態検出手段は、吐出された冷媒の温度を検出する温度センサおよび冷媒の圧力を検出する圧力センサによって実現される。各センサは、検出した温度情報および圧力情報を制御装置に与える。
【0030】
室内放熱器17は、圧縮機22と第1膨張弁23との間に設けられ、圧縮機22から吐出された高温冷媒が通過する。室内放熱器17は、冷媒を加熱源として自身を流通する空調空気を加熱する熱交換器である。室内放熱器17は、空調ケース14内に設けられる。室内放熱器17は、前述のように室内蒸発器16に対して空調空気流れ下流側に配置されている。
【0031】
第1膨張弁23は、室内放熱器17から流出される冷媒を減圧する(低温低圧にする)第1減圧手段である。第1膨張弁23は、制御装置によってその絞り開度が可変され、減圧量が調節されるように構成される。第1膨張弁23の絞り開度が小さい側から大きい側に可変されるに伴って、冷媒の減圧量は小さくなっていき、最大絞り開度では減圧機能を伴わないように構成される。
【0032】
水冷媒熱交換器24は、第1膨張弁23を通過した冷媒が通過する冷媒通路と、冷却水回路13の冷却水が通過する冷却水通路とを有する。水冷媒熱交換器24は、冷媒通路を通過する冷媒と冷却水通路を通過する冷却水との間で熱交換を行う。このように水冷媒熱交換器24は、内部に冷媒通路と冷却水通路とが対向するように形成された熱交換器である。
【0033】
第2膨張弁25は、水冷媒熱交換器24から流出される冷媒を減圧する(低温低圧にする)第2減圧手段である。第2膨張弁25は、制御装置によってその絞り開度が可変され、減圧量が調節されるように構成される。第2膨張弁25の絞り開度が小さい側から大きい側に可変されるに伴って、冷媒の減圧量は小さくなっていき、最大絞り開度(全開)では減圧機能を伴わないように構成される。また最小絞り開度(全閉)では冷媒が第2膨張弁25を通過しないように構成される。
【0034】
室外熱交換器26は、凝縮器であって、第2膨張弁25から流出された冷媒とエンジンルーム内に流入する外気との間で熱交換する熱交換器である。室外熱交換器26は、車両のエンジンルームの前方、たとえばグリルの後方に配置される。室外熱交換器26には、室外熱交換器26における着霜状態を検出する着霜状態検出手段が設けられる。着霜状態とは、室外熱交換器26の外表面に霜が付着している状態である。着霜状態検出手段は、本実施の形態では冷媒温度センサ35と外気温センサ36によって実現される。冷媒温度センサ35は、室外熱交換器26の冷媒流出側に設けられ、室外熱交換器26から流出される冷媒の温度を検出する。冷媒温度センサ35は、検出した温度情報を制御装置に与える。また外気温センサ36は、室外熱交換器26の外表面近傍に設けられ、外気温を検出する。外気温センサ36は、検出した温度状態を制御装置に与える。
【0035】
第3膨張弁27は、室外熱交換器26から流出される冷媒を減圧する(低温低圧にする)第3減圧手段である。第3膨張弁27は、制御装置によってその絞り開度が可変され、減圧量が調節されるように構成される。第3膨張弁27の絞り開度が小さい側から大きい側に可変されるに伴って、冷媒の減圧量は小さくなっていき、最大絞り開度(全開)では減圧機能を伴わないように構成される。また最小絞り開度(全閉)では冷媒が第3膨張弁27を通過しないように構成される。
【0036】
室内蒸発器16は、室内ユニットの空調ケース14内で流路全体を横断するように配設される。室内蒸発器16は、蒸発器であって、第3膨張弁27で減圧された冷媒と空調ケース14内を流通する空調空気との間で熱交換して、空調空気を冷却する熱交換器である。室内蒸発器16の空調空気流れの下流側には、冷却された空気温度を検出する温度センサ(図示せず)が設けられる。温度センサは、検出した温度情報を制御装置に与える。
【0037】
逆止弁28は、第2電磁弁34の下流側であって、アキュムレータ29の上流側のサイクル流路30に設けられる。逆止弁28は、室外熱交換器26および室内蒸発器16から圧縮機22への冷媒の流下を許可し、圧縮機22から室外熱交換器26および室内蒸発器16への冷媒の流下を阻止する。換言すると、逆止弁28は、冷媒が逆流しないようにサイクル流路30に設けられる。
【0038】
アキュムレータ29は、圧縮機22の吸入側に設けられ、冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離するとともに、気相冷媒を圧縮機22の吸入側に向けて流出させる。換言すると、アキュムレータ29は、室内蒸発器16から流出された冷媒を受け入れ、冷媒の気液を分離して液相冷媒を溜め、気相冷媒を圧縮機22側へ吸入させるレシーバである。
【0039】
次に、第1迂回流路31に関して説明する。第1迂回流路31は、前述のように第2膨張弁25、室外熱交換器26、第3膨張弁27、および室内蒸発器16を迂回して、水冷媒熱交換器24とアキュムレータ29とを接続する流路である。第1迂回流路31に設けられる第1電磁弁32は、第1切替部であって、水冷媒熱交換器24から流出された冷媒の流れをアキュムレータ29に導く開状態と、流れを遮断する閉状態とにわたって切り替える。第1電磁弁32の開閉状態は、制御装置によって制御される。
【0040】
次に、第2迂回流路33に関して説明する。第2迂回流路33は、前述のように第3膨張弁27および室内蒸発器16を迂回して、室外熱交換器26と逆止弁28を介してアキュムレータ29とを接続する流路である。第2迂回流路33に設けられる第2電磁弁34は、第2切替部であって、室外熱交換器26から流出された冷媒の流れを逆止弁28を介してアキュムレータ29に導く開状態と、このような流れを遮断して室外熱交換器26から流出された冷媒の流れを第3膨張弁27、室内蒸発器16および逆止弁28を介してアキュムレータ29に導く閉状態とにわたって切り替える。第2電磁弁34の開閉状態は、制御装置によって制御される。
【0041】
次に、制御装置に関して説明する。制御装置は、空調制御手段であって、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。制御装置は、予め設定されたプログラムに従って各種センサから与えられる情報および操作パネル(図示せず)で乗員が設定する設定情報に対する演算処理を行う。制御装置に情報を与える各種センサには、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を含む。走行状態検出手段は、たとえば車両の車速およびイグニッションスイッチ(図示せず)のスイッチング態様を検出することによって、車両の走行状態を検出する。ここでイグニッションスイッチのスイッチング態様とは、車両のイグニッションのON/OFFのスイッチング態様に関する情報である。
【0042】
また操作パネルは、設定情報として、冷房モード、暖房モードおよび除湿モードのうちいずれか1つの空調モードを設定するための空調モード設定手段としての機能を有する。制御装置は、設定された空調モードによって、後述する制御モードを決定する。また制御装置は、車両の状態、たとえばイグニッションスイッチのスイッチング態様、およびエンジン11の始動直後か否かなどに基づいて前述の操作パネルで設定される3つの空調モードとは異なる制御モードを実行する。制御装置は、車両の状態に基づいて、エンジン11の暖機をアシストするエンジン暖機アシストモード、および室外熱交換器26を除霜する除霜モードを実行する。制御装置は、決定された制御モードにおける演算処理の結果に基いて、各水ポンプ21の作動および吐出量制御、圧縮機22の作動および吐出量制御、第1膨張弁23〜第3膨張弁27の弁開度制御、第1電磁弁32および第2電磁弁34の開閉制御、ならびにエアミックスドア19の開度制御を行う。
【0043】
次に、各制御モードにおける、制御装置の各部の制御に関して、図2〜図4、表1および表2を用いて説明する。表1は、各制御モードにおける、室内放熱器17、水冷媒熱交換器24、室外熱交換器26および室内蒸発器16の吸熱状態を示す表である。表2は、各制御モードにおける、第1膨張弁23〜第3膨張弁27の絞り開度、第1電磁弁32および第2電磁弁34の開閉制御、ならびにエアミックスドア19の開閉状態を示す表である。また図2〜図4は、各制御モードにおける車両用空調装置10の全体構成を示す模式図であって、冷媒の循環経路を示す模式図である。図2〜図4では、冷媒の循環経路を破線で示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

空調モードが暖房モードである場合には、車両の状態に基づいて、表1および表2に示すように、3つの暖房制御モードのうちの1つの暖房制御モードが選択される。3つの暖房制御モードは、空気吸熱・冷却水吸熱モード、冷却水吸熱モードおよび空気吸熱モードである。図2は、車両用空調装置10の全体構成を示す模式図であって、空気吸熱・冷却水吸熱モード、空気吸熱モード、エンジン暖機アシストモードおよび除湿モードにおける冷媒の循環経路を示す模式図である。図3は、車両用空調装置10の全体構成を示す模式図であって、冷却水吸熱モードにおける冷媒の循環経路を示す模式図である。図4は、車両用空調装置10の全体構成を示す模式図であって、冷房モードおよび除湿モードにおける冷媒の循環経路を示す模式図である。
【0046】
先ず、制御モードが空気吸熱・冷却水吸熱モードである場合に関して説明する。空気吸熱・冷却水吸熱モードは、室外熱交換器26にて外気から吸熱可能であり、かつ水冷媒熱交換器24にて冷却水から吸熱可能である場合に実施される。制御装置は、表2および図2に示すように、第1膨張弁23が減圧機能を発揮する絞り開度(以下、「減圧開度」ということがある)に設定し、第2膨張弁25を減圧開度または全開に設定し、第3膨張弁27を全閉とし、第1電磁弁32を閉状態とし、第2電磁弁34を開状態とし、エアミックスドア19を開状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を作動させる。すると圧縮機22から吐出された冷媒は第2迂回流路33を流れるので、室内放熱器17→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第2電磁弁34→逆止弁28→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。
【0047】
これによって表1に示すように、圧縮機22から吐出された冷媒は室内放熱器17で空調空気に放熱して、空調空気を加熱する。また室内放熱器17を流下した冷媒は、第1膨張弁23にて減圧され、水冷媒熱交換器24で冷却水回路13の冷却水から吸熱する。同様に、水冷媒熱交換器24を流下した冷媒は、第2膨張弁25にて減圧または全開の第2膨張弁25を通過し、室外熱交換器26で空気(外気)から吸熱する。そして、前述のように圧縮機22にて圧縮される。したがって室内蒸発器16には、冷媒は流入しない。制御装置は、圧縮機22の吐出量、エアミックスドア19の開度を制御し、空調空気温度を調節する。
【0048】
次に、暖房制御モードが空気吸熱モードである場合に関して説明する。空気吸熱モードは、室外熱交換器26にて外気から吸熱可能であり、かつエンジン11が暖機中などのため水冷媒熱交換器24にて冷却水から吸熱不可である場合に実施される。制御装置は、表2および図2に示すように、第1膨張弁23を全開または減圧開度に設定し、第2膨張弁25を全開または減圧開度に設定し、第3膨張弁27を全閉とし、第1電磁弁32を閉状態とし、第2電磁弁34を開状態とし、エアミックスドア19を開状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を停止する。すると圧縮機22から吐出された冷媒は、空気吸熱・冷却水吸熱モードと同様に、第2迂回流路33を流れるので、室内放熱器17→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第2電磁弁34→逆止弁28→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。
【0049】
これによって表1に示すように、圧縮機22から吐出された冷媒は室内放熱器17で空調空気に放熱して、空調空気を加熱する。また室内放熱器17を流下した冷媒は、第1膨張弁23にて減圧または全開の第1膨張弁23を通過し、水冷媒熱交換器24で冷却水回路13の冷却水から吸熱することなく、単に通過する。次に、水冷媒熱交換器24を流下した冷媒は、第2膨張弁25にて減圧または全開の第2膨張弁25を通過し、室外熱交換器26で空気(外気)から吸熱する。そして、前述のように圧縮機22にて圧縮される。したがって室内蒸発器16には、冷媒は流入しない。制御装置は、圧縮機22の吐出量、エアミックスドア19の開度を制御し、空調空気温度を調節する。
【0050】
次に、暖房制御モードが冷却水吸熱モードである場合に関して説明する。冷却水吸熱モードは、室外熱交換器26が着霜していることによって外気から吸熱不可であり、かつ水冷媒熱交換器24にて冷却水から吸熱可能である場合に実施される。制御装置は、表2および図3に示すように、第1膨張弁23を減圧開度に設定し、第2膨張弁25を全閉とし、第3膨張弁27を全閉とし、第1電磁弁32を開状態とし、第2電磁弁34を閉状態とし、エアミックスドア19を開状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を作動させる。すると圧縮機22から吐出された冷媒は第1迂回流路31を流れるので、室内放熱器17→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第1電磁弁32→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。
【0051】
これによって表1に示すように、圧縮機22から吐出された冷媒は室内放熱器17で空調空気に放熱して、空調空気を加熱する。また室内放熱器17を流下した冷媒は、第1膨張弁23にて減圧され、水冷媒熱交換器24で冷却水回路13の冷却水から吸熱する。そして、前述のように圧縮機22にて圧縮される。したがって室内蒸発器16および室外熱交換器26には、冷媒は流入しない。制御装置は、圧縮機22の吐出量、エアミックスドア19の開度を制御し、空調空気温度を調節する。
【0052】
次に、制御モードがエンジン暖機アシストモードである場合に関して説明する。エンジン暖機アシストモードは、エンジン11を暖機するために、冷却水の加熱を優先するために実施される。制御装置は、表2および図2に示すように、第1膨張弁23を全開に設定し、第2膨張弁25を減圧開度に設定し、第3膨張弁27を全閉とし、第1電磁弁32を閉状態とし、第2電磁弁34を開状態とし、エアミックスドア19を閉状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を作動させる。すると圧縮機22から吐出された冷媒は第2迂回流路33を流れるので、室内放熱器17→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第2電磁弁34→逆止弁28→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。
【0053】
これによって表1に示すように、圧縮機22から吐出された冷媒は室内放熱器17にて放熱せずに、単に通過し、全開の第1膨張弁23も単に通過し、水冷媒熱交換器24で冷却水回路13の冷却水へ放熱する。これによって冷却水が加熱され、加熱された冷却水によってエンジン11が加熱される。次に、水冷媒熱交換器24を流下した冷媒は、第2膨張弁25にて減圧され、室外熱交換器26で空気(外気)から吸熱する。そして、前述のように圧縮機22にて圧縮される。したがって室内蒸発器16には、冷媒は流入しない。制御装置は、圧縮機22の吐出量を制御し、冷却水の温度を調節する。
【0054】
次に、制御モードが除霜モードである場合に関して説明する。除霜モードは、室外熱交換器26を除霜するために、室外熱交換器26における放熱を優先するために実施される。制御装置は、表2および図2に示すように、第1膨張弁23を全開に設定し、第2膨張弁25を全開に設定し、第3膨張弁27を全閉とし、第1電磁弁32を閉状態とし、第2電磁弁34を開状態とし、エアミックスドア19を閉状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を停止させる。すると圧縮機22から吐出された冷媒は第2迂回流路33を流れるので、室内放熱器17→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第2電磁弁34→逆止弁28→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。
【0055】
これによって表1に示すように、圧縮機22から吐出された冷媒は室内放熱器17にて放熱せずに、単に通過し、全開の第1膨張弁23も単に通過し、水冷媒熱交換器24の冷却水によって加熱される。次に、水冷媒熱交換器24を流下した冷媒は、第2膨張弁25を単に通過し、室外熱交換器26で空気(外気)へ放熱する。これによって室外熱交換器26には、高温高圧の冷媒が流れるので、室外熱交換器26が加熱され、除霜することができる。そして、前述のように圧縮機22にて圧縮される。したがって室内蒸発器16には、冷媒は流入しない。制御装置は、圧縮機22の吐出量を制御し、冷媒の温度を調節する。
【0056】
次に、制御モードが冷房モードである場合に関して説明する。制御装置は、表2および図4に示すように、第1膨張弁23を全開に設定し、第2膨張弁25を全開に設定し、第3膨張弁27を減圧開度に設定し、第1電磁弁32を閉状態とし、第2電磁弁34を閉状態とし、エアミックスドア19を閉状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を停止させる。すると圧縮機22から吐出された冷媒はサイクル流路30を流れるので、室内放熱器17→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第3膨張弁27→室内蒸発器16→逆止弁28→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。
【0057】
これによって表1に示すように、圧縮機22から吐出された冷媒は室内放熱器17にて放熱せずに、単に通過し、全開の第1膨張弁23、水冷媒熱交換器24、および全開の第2膨張弁25を単に通過する。次に、室外熱交換器26で空気(外気)へ放熱する。したがって圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は室外熱交換器26で外気に放熱し冷却される。冷却された冷媒は、弁開度が調節される第3膨張弁27で減圧されて、室内蒸発器16に流入し、空調用空気によって蒸発され、その時の蒸発潜熱によって空調空気を冷却する。制御装置は、温度センサによって検出される空調空気温度が乗員の設定する設定温度となるように、圧縮機22の吐出量を制御する。
【0058】
次に、制御モードが除湿モードである場合に関して説明する。制御装置は、表2および図4に示すように、第1膨張弁23を全開に設定し、第2膨張弁25を減圧開度または全開に設定し、第3膨張弁27を全開または減圧開度に設定し、第1電磁弁32を閉状態とし、第2電磁弁34を閉状態とし、エアミックスドア19を開状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を停止させる。すると圧縮機22から吐出された冷媒はサイクル流路30を流れるので、室内放熱器17→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第3膨張弁27→室内蒸発器16→逆止弁28→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。
【0059】
これによって表1に示すように、圧縮機22から吐出された冷媒は室内放熱器17にて放熱せずに、単に通過し、全開の第1膨張弁23、および水冷媒熱交換器24を単に通過する。次に冷媒は、減圧開度または全開の第2膨張弁25を経て、室外熱交換器26で空気(外気)へ放熱する。したがって圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は室外熱交換器26で外気に放熱し冷却される。冷却された冷媒は、弁開度が調節される第3膨張弁27で減圧されて、室内蒸発器16に流入し、空調用空気によって蒸発され、その時の蒸発潜熱によって空調空気を冷却する。制御装置は、除湿モードでは、特にエアミックスドア19の開度を制御することによって、冷房モードと除湿モードとで空調空気温度および湿度が異なるように制御する。
【0060】
次に、制御装置の制御モードの決定手順に関して説明する。図5は、制御装置の制御モードの設定手順を示すフローチャートである。本フローは、イグニッションがオンであり、暖房モードに設定された状態で実行される。
【0061】
ステップa1では、エンジン11が暖機中であるか否かを判断し、エンジン11が暖機中である場合には、ステップa3に移り、エンジン11が暖機中でない場合には、ステップa2に移る。ステップa3では、エンジン11が暖機中であるので、制御モードを空気吸熱モードにし、ステップa1に戻る。したがってエンジン暖機中では、制御モードは空気吸熱モードになる。運転はじめでエンジン11が始動直後は、エンジン11が暖機中であり、暖機中に水冷媒熱交換器24の冷却水から吸熱すると暖機が遅くなってしまうので、前述のように空気吸熱モードに設定し、室外熱交換器26から空気吸熱のみを行い、水冷媒熱交換器24を通過する冷媒は冷却水と熱交換を行わない。このように暖機中は、室外熱交換器26にて空気から吸熱し、室内放熱器17によって放熱して、暖房を行う。
【0062】
ステップa2では、エンジン11は暖機中ではないので、制御モードを空気吸熱・冷却水吸熱モードにし、ステップa4に移る。これによって室外熱交換器26にて空気から吸熱し、水冷媒熱交換器24にて冷却水から吸熱することによって、室内放熱器17によって放熱し、暖房を行う。
【0063】
ステップa4では、除霜運転が必要か否かを判断し、除霜運転が必要と判断した場合には、ステップa5に移り、除霜運転が必要になるまで、ステップa4の処理を繰返す。換言すると、除霜運転が必要になるまで、制御モードは、空気吸熱・冷却水吸熱モードの状態が維持される。除霜運転が必要か否かの判断は、室外熱交換器26に設けられる外気温センサ36および冷媒温度センサ35によって検出される各温度によって判断される。たとえば外気温が低く、室外熱交換器26に霜が着くような場合には、外気温センサ36と冷媒温度センサ35の温度差が所定値以上となったときには、着霜が進み除霜が必要であると判断する。
【0064】
ステップa5では、除霜が必要であるので、制御モードを冷却水吸熱モードに設定し、ステップa6に移る。これによって室外熱交換器26からの吸熱をやめ、エンジン廃熱の吸熱のみとなる。このような場合は、外気温より冷却水の温度の方が一般的に高いので、冷媒が室外熱交換器26を迂回することによって、低圧側の圧力を外気から吸熱するときより高く維持することができ、圧縮機22の消費電力を抑えることができる。
【0065】
また第2膨張弁25より下流側は、冷媒が流れないにもかかわらずサイクルの蒸発温度(水冷媒熱交換器24内飽和温度)より低くなるため冷媒が寝込むことが考えられるが、逆止弁28を設けているので、第2膨張弁25よりも下流側への冷媒の流入を防止し、冷媒の寝込みを防止することができる。
【0066】
ステップa6では、イグニッションスイッチがオフになったか否かを判断し、オフになった場合には、ステップa7に移り、イグニッションスイッチがオフになるまで、ステップa5の処理を繰返す。換言すると、イグニッションスイッチがオフになるまで、制御モードは、冷却水吸熱モードの状態が維持される。
【0067】
ステップa7では、イグニッションスイッチがオフであるので、制御モードを除霜モードに設定し、除霜を開始し、ステップa8に移る。イグニッションスイッチがオフである場合には、車両の走行が終了しているので走行風がない。したがって室外熱交換器26の除霜を効率的に行うことができる。換言すると、走行中は室外熱交換器26に暖かい冷媒を流しても走行風で熱を奪われてしまうため除霜が困難である。これによって前述のように室外熱交換器26には、冷却水によって加熱された冷媒が流入するので、除霜することができる。このとき冷媒の乾き度が小さくなり、このまま圧縮機22に冷媒が吸入されると圧縮機22が液圧縮をおこして破損する恐れがあるが、アキュムレータ29を設けることで圧縮機22が液冷媒を吸込むことを緩和し、圧縮機22の破損を防止することができる。
【0068】
ステップa8では、除霜が終了したか否かを判断し、除霜が終了した場合には、本フローを終了し、除霜が終了するまで、ステップa8の処理を繰返す。
【0069】
以上説明したように本実施の形態の車両用空調装置10では、与えられる空調要求、たとえば暖房モード、および冷房モードによって、水冷媒熱交換器24、室外熱交換器26および室内蒸発器16に流入する冷媒の減圧量を第1膨張弁23〜第3膨張弁27の絞り開度によって個別に調節するので、車室内に所望の空調空気を提供することができる。
【0070】
また制御装置は、室外熱交換器26が着霜しており、かつ車両が停止しているときには、ステップa7にて説明したように、水冷媒熱交換器24において冷却水によって加熱された冷媒が室外熱交換器26に流入するように第1膨張弁23〜第3膨張弁27の絞り開度を制御する。これによって室外熱交換器26の外部からではなく、室外熱交換器26の内部から冷媒によって加熱される。したがって室外熱交換器26の外部から加熱する構成に比べて熱損失が少なくなるので、短時間で除霜することができる。また車両が停止しているときに除霜するので、走行風によって除霜が妨げられることを防止することができる。さらに前述の特許文献1に記載のラジエータシャッタおよび逆回転ファンのような構成が不要であるので、短時間で除霜が可能な車両用空調装置10を安価な製造コストで実現することができる。
【0071】
また本実施の形態では、制御装置は、暖房モードの場合には、室外熱交換器26が着霜しており、かつイグニッションスイッチがオンであることが検出されると、冷却水吸熱モードに設定し、第2膨張弁25の絞り開度を0%(全閉)に制御し、第1電磁弁32を開状態に制御する。これによって室外熱交換器26には第2膨張弁25によって冷媒が流入せず、また第1迂回流路31によって、冷媒通路を流下した冷媒が圧縮機22に至るので、水冷媒熱交換器24によって加熱された冷媒を用いて、室内放熱器17に加熱された冷媒を供給することができる。これによって着霜した室外熱交換器26を用いることなく、室内放熱器17によって空調風を加熱して、温風を車室内に提供することができる。したがって暖房効率が室外熱交換器26の着霜によって低下することを抑制することができる。これによって燃費の低減に貢献することができる。
【0072】
また制御装置は、室外熱交換器26が着霜しており、かつ車両が停止しているときには、除霜モードに設定し、第2膨張弁25の絞り開度を全開に制御し、第1電磁弁32を閉状態に制御し、第2電磁弁34を開状態に制御する。これによって水冷媒熱交換器24によって加熱された冷媒は、第2膨張弁25によって減圧されることなく、室外熱交換器26に至る。また第2迂回流路33を冷媒が流下するので、室内蒸発器16によって冷媒が放熱されることを抑制することができる。これによって冷却水によって加熱された冷媒を、効率良く室外熱交換器26に提供することができる。
【0073】
さらに本実施の形態では、暖房モードにおいて室外熱交換器26が着霜している場合に、第2膨張弁25の絞り開度を全閉にしたとき、第2膨張弁25の下流側にあるサイクル流路30および第2迂回流路33には冷媒が流れないので、冷媒の温度が低下し、冷媒が液化するおそれがある。しかしながら、本実施の形態では逆止弁28が設けられるので、第1迂回流路31を通過する冷媒が室外熱交換器26側および室内蒸発器16側への流下が阻止され、第1迂回流路31を通過する冷媒が液化することを防止することができる。
【0074】
また本実施の形態では、水冷媒熱交換器24によって冷媒を加熱して、加熱した冷媒を用いて除霜するので、冷媒の乾き度が小さくなる。このような乾き度が小さい冷媒を圧縮機22に吸入させると、液相冷媒によって液圧縮を起こして破損するおそれがある。しかしながら、本実施の形態ではアキュムレータ29が設けられるので、圧縮機22が液相冷媒を吸入することを抑制することができる。これによって圧縮機22が損傷することを防止することができる。
【0075】
さらに本実施の形態では、走行状態を検出するために、イグニッションスイッチのスイッチング態様を検出するので、イグニッションスイッチがオフの状態、すなわち車両が停止している状態を検出することができる。これによってイグニッションスイッチがオフで車両が停止している場合には、車両に搭載されるエンジン11は停止しているが、イグニッションスイッチをオフにした直後はエンジン11は未だ発熱しているので、このようなエンジン11の熱量を用いて、除霜することができる。したがって除霜する熱量を発生させるために、わざわざエンジン11を始動する必要はなく、エンジン11に残存する熱量を用いるので、除霜のためのエネルギーを小さくすることができる。したがって除霜のためにエンジン11を始動する構成よりも、低燃費で除霜することができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、図6を用いて説明する。図6は、第2実施形態の車両用空調装置10Aの全体構成を示す模式図である。本実施の形態では、冷凍サイクル12Aにおいて、水冷媒熱交換器24が室外熱交換器26の下流側に設けられ、第1実施形態の第1迂回流路31および逆止弁28を除いた構成である点に特徴を有する。
【0077】
冷凍サイクル12Aは、圧縮機22、室内放熱器17、第2膨張弁25、室外熱交換器26、第1膨張弁23、水冷媒熱交換器24、第3膨張弁27、室内蒸発器16およびアキュムレータ29が環状のサイクル流路30に順次接続される。また第3膨張弁27および室内蒸発器16を迂回して、水冷媒熱交換器24とアキュムレータ29とを接続する第2迂回流路33が設けられる。第2迂回流路33には、第2電磁弁34が設けられる。図6では、サイクル流路30における冷媒の循環経路を破線で示し、第2迂回流路33を通過する場合の冷媒の循環経路を一点鎖線で示す。
【0078】
次に、各制御モードにおける、制御装置の各部の制御に関して説明する。本実施の形態では、第1実施形態と異なり第1迂回流路31が無いので、暖房モードは、冷却水吸熱モードおよび空気吸熱・冷却水吸熱モードのみである。制御モードが暖房モード、エンジン暖機アシストモード、除霜モードの場合には、制御装置は、第3膨張弁27を全閉とし、第2電磁弁34を開状態とし、圧縮機22を作動させる。すると圧縮機22から吐出された冷媒は第2迂回流路33を流れるので、室内放熱器17→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第2電磁弁34→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。このときに、各モードに応じて、第1膨張弁23および第2膨張弁25の絞り開度、エアミックスドア19の開度、および水ポンプ21の駆動状態を制御することによって、第1実施形態と同様に、各モードにおける冷媒循環状態に制御することができる。たとえば除霜モードでは、水冷媒熱交換器24にて加熱された冷媒が、室外熱交換器26に流れ込む。
【0079】
制御モードが冷房モードおよび除湿モードの場合には、制御装置は、第1膨張弁23および第2膨張弁25を全開にし、第3膨張弁27を減圧開度に設定し、第2電磁弁34を閉状態とし、圧縮機22を作動させ、水ポンプ21を停止する。すると圧縮機22から吐出された冷媒はサイクル流路30を流れるので、室内放熱器17→第2膨張弁25→室外熱交換器26→第1膨張弁23→水冷媒熱交換器24→第3膨張弁27→室内凝縮器→アキュムレータ29→圧縮機22の順に循環する。このときに、各モードに応じて、第3膨張弁27の絞り開度、エアミックスドア19の開度を制御することによって、第1実施形態と同様に、各モードにおける冷媒循環状態に制御することができる。
【0080】
このように本実施の形態では、前述の第1実施形態よりも簡単な構成で、前述の第1実施形態の第1迂回流路31に関する効果を除く残余の作用および効果を達成することができる。
【0081】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0082】
前述の第1実施形態では、イグニッションスイッチがオフになった場合に、除霜モードを実行しているが、イグニッションスイッチがオフの状態に限るものではなく、車速が0になった場合に除霜モードになるように制御してもよい。したがってエンジン11が動作中に、信号待ちなどで車速が0になった場合に、除霜モードになるように制御してもよい。
【0083】
また前述の第1実施形態では、室外熱交換器26における着霜状態を検出する着霜状態検出手段は、外気温センサ36および冷媒温度センサ35によって実現されるが、このような2つのセンサに限るものではなく、他のセンサを用いて着霜の有無を検出してもよい。
【0084】
また前述の第1実施形態では、各切替部は、電磁弁によって実現されているが、これに限ることはない。各切替部は、冷媒の通過を許可する状態と、遮断する状態とが切替可能な構成であればよい。
【0085】
また前述の第1実施形態では、冷凍サイクル12に用いる冷媒は二酸化炭素であったが、二酸化炭素に限ることはなく、フロン系の冷媒を用いてもよい。また冷却水回路13は、エンジン11を冷却する構成であったが、発熱機器はエンジン11に限るものではなく、他の発熱機器、たとえば燃料電池車における燃料電池を冷却する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…車両用空調装置
11…エンジン(発熱機器)
12…冷凍サイクル
13…冷却水回路
14…空調ケース(空調空気通路)
15…送風機
16…室内蒸発器(蒸発器)
17…室内放熱器
22…圧縮機
23…第1膨張弁(第1減圧手段)
24…水冷媒熱交換器
25…第2膨張弁(第2減圧手段)
26…室外熱交換器
27…第3膨張弁(第3減圧手段)
28…逆止弁
29…アキュムレータ
30…サイクル流路
31…第1迂回流路
32…第1電磁弁
33…第2迂回流路
34…第2電磁弁
35…冷媒温度センサ(着霜状態検出手段)
36…外気温センサ(着霜状態検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水回路(13)と冷凍サイクル(12)とを用いて空調空気を車室内に提供する車両用空調装置であって、
一端側に空気の吸入口を有し、他端側に車室内への吹出口を有する空調空気通路(14)と、
空気を前記吸入口側から前記吹出口側へ送風する送風機(15)と、
車両に搭載される発熱機器を冷却するための冷却水が循環する冷却水回路(13)と、
冷媒が循環する冷凍サイクル(12)と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、を含み、
前記冷凍サイクルは、
前記冷媒が通過する冷媒通路と前記冷却水が通過する冷却水通路とを有し、前記冷媒通路を通過する冷媒と前記冷却水通路を通過する冷却水との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器(24)と、
前記水冷媒熱交換器に流入する前記冷媒を減圧する第1減圧手段(23)と、
前記冷媒を高温高圧に圧縮して吐出する圧縮機(22)と、
前記空調空気通路に設置され、前記圧縮機から吐出された前記冷媒と前記空気とを熱交換して加熱する室内放熱器(17)と、
前記室内放熱器を流下した前記冷媒を外気との間で熱交換して凝縮する室外熱交換器(26)と、
前記室外熱交換器に流入する前記冷媒を減圧する第2減圧手段(25)と、
前記空調空気通路において前記室内放熱器の上流側に設置され、流下する冷媒を前記空気から吸熱して蒸発させ、前記空気を冷却する蒸発器(16)と、
前記蒸発器に流入する前記冷媒を減圧する第3減圧手段(27)と、
前記室外熱交換器における着霜状態を検出する着霜状態検出手段(35,36)と、を含み、
前記第1減圧手段、前記第2減圧手段および前記第3減圧手段は、絞り開度が可変に構成され、
与えられる空調要求に基づいて、前記第1減圧手段、前記第2減圧手段および前記第3減圧手段の絞り開度を制御する空調制御手段であって、前記着霜状態検出手段によって前記室外熱交換器が着霜していることが検出され、かつ前記走行状態検出手段によって車両が停止していることが検出されると、前記水冷媒熱交換器において前記冷却水によって加熱された冷媒が前記室外熱交換器に流入するように前記各減圧手段の絞り開度を制御する空調制御手段をさらに含むことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記冷凍サイクルは、前記室内放熱器を流下した冷媒が、前記第1減圧手段および前記冷媒通路を通過して、前記第2減圧手段に至るように構成され、
前記冷凍サイクルは、
前記室外熱交換器を流下した冷媒が前記第3減圧手段および前記蒸発器を通過して、前記圧縮機に至るサイクル流路(30)と、
前記冷媒通路を流下した冷媒が、前記第2減圧手段、前記室外熱交換器、前記第3減圧手段および前記蒸発器を迂回して、前記圧縮機に至る第1迂回流路(31)と、
前記室外熱交換器を流下した冷媒が前記第3減圧手段および前記蒸発器を迂回して、前記圧縮機に至る第2迂回流路(33)と、
前記第1迂回流路に設けられ、前記第1迂回流路の開閉状態を切り替える第1切替部(32)と、
前記第2迂回流路に設けられ、前記第2迂回流路の開閉状態を切り替える第2切替部(34)と、をさらに含み、
前記空調制御手段は、
与えられる空調要求が暖房モードである場合に、前記着霜状態検出手段によって前記室外熱交換器が着霜していることが検出され、かつ前記走行状態検出手段によって車両が走行していることが検出されると、前記第2減圧手段の絞り開度を全閉に制御し、前記第1切替部を開状態に制御し、
前記着霜状態検出手段によって前記室外熱交換器が着霜していることが検出され、かつ前記走行状態検出手段によって車両が停止していることが検出されると、前記第2減圧手段の絞り開度を全開に制御し、前記第1切替部を閉状態に制御し、前記第2切替部を開状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記サイクル流路または前記第2迂回流路に設けられ、前記室外熱交換器および前記蒸発器から前記圧縮機への冷媒の流下を許可し、前記圧縮機から前記室外熱交換器および前記蒸発器への冷媒の流下を阻止する逆止弁(28)をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記圧縮機の吸入側に設けられ、冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離するとともに、気相冷媒を前記圧縮機の吸入側に向けて流出させるアキュムレータ(29)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記走行状態検出手段は、イグニッションスイッチのスイッチング態様を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−260450(P2010−260450A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112987(P2009−112987)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】