車両用空調装置
【課題】温風通路の下流側をフルコールド時に閉じるための補助ダンパ部をエアミックスダンパに設ける場合に、フルコールド時以外のときに温風をエアミックス空間に流入させ易くして調和空気の温度コントロール性を向上させ、乗員の快適性を向上させる。
【解決手段】空調装置1のケーシング12には、ヒータコア配設部R2と、エバポレータ配設部R1と、エアミックス空間R3とが形成されている。ケーシング12内には、エアミックスダンパ13が配設されている。エアミックスダンパ13は、ヒータコア配設部R2の上流側を開閉する主ダンパ部31と、ヒータコア配設部R2の下流側を開閉する補助ダンパ部32とを有している。開状態にある補助ダンパ部32の回動軸方向の縁部とケーシング12内面との間には、ヒータコア配設部R2の温風をエアミックス空間R3へ流すための温風流通用の隙間が形成されている。
【解決手段】空調装置1のケーシング12には、ヒータコア配設部R2と、エバポレータ配設部R1と、エアミックス空間R3とが形成されている。ケーシング12内には、エアミックスダンパ13が配設されている。エアミックスダンパ13は、ヒータコア配設部R2の上流側を開閉する主ダンパ部31と、ヒータコア配設部R2の下流側を開閉する補助ダンパ部32とを有している。開状態にある補助ダンパ部32の回動軸方向の縁部とケーシング12内面との間には、ヒータコア配設部R2の温風をエアミックス空間R3へ流すための温風流通用の隙間が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風と冷風とを混合させて調和空気を生成するように構成された車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の車両用空調装置として、熱交換器を収容するケーシングと、ケーシング内に配設されたエアミックスダンパとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ケーシング内には、温風が流れる温風通路と、冷風が流れる冷風通路と、温風通路及び冷風通路の下流端が連通し、温風及び冷風が流入して混合されるエアミックス空間とが形成されている。エアミックスダンパは、ケーシングに支持される回動軸を備えている。エアミックスダンパには、温風通路の上流側を開閉する主ダンパ部と、温風通路の下流側を開閉する補助ダンパ部とが形成されている。
【0003】
そして、強い冷房が望まれるフルコールド時には、主ダンパ部が温風通路を閉じるようにエアミックスダンパが動作し、このとき補助ダンパ部が温風通路の下流側を閉じる。温風通路の下流側が閉じられることで、温風通路内の温風が冷風の流れによってエアミックス空間へ巻き込まれるようになるのを防止でき、冷房性能を向上させることができる。一方、主ダンパ部が温風通路を開くときには、補助ダンパ部が温風通路の下流側を開く。これにより、エアミックス空間に温風を流入させて、温風と冷風とを混合させて所望温度の調和空気を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭62−17290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の空調装置では、フルコールド時の冷房性能の向上のために温風通路の下流側を補助ダンパ部で閉じるようにしているが、この補助ダンパ部が、温風をエアミックス空間へ流入させたいときに温風の流れの邪魔になる。従って、エアミックス空間に流入する温風量が減少してしまい、調和空気の温度コントロール性が悪化してしまうことが考えられる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温風通路の下流側をフルコールド時に閉じるための補助ダンパ部をエアミックスダンパに設ける場合に、フルコールド時以外のときに温風をエアミックス空間に流入させ易くして調和空気の温度コントロール性を向上させ、もって、乗員の快適性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、温風が流れる温風通路と、冷風が流れる冷風通路と、該温風通路及び冷風通路の下流端が連通し、温風及び冷風が流入して混合されるエアミックス空間とが形成されたケーシングと、上記ケーシング内に回動可能に配設され、上記温風通路及び上記冷風通路から上記エアミックス空間に流入する温風量及び冷風量を回動動作によって変更するエアミックスダンパとを備え、上記エアミックスダンパは、上記温風通路の上流側を開閉する主ダンパ部と、上記温風通路の下流側を開閉する補助ダンパ部とを有し、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を閉じたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を閉じる一方、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を開いたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を開くように構成された車両用空調装置において、開状態にある上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向する上記ケーシング内面との間には、上記温風通路内の温風を上記エアミックス空間へ流すための温風流通用の隙間が形成されることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によれば、フルコールド時にエアミックスダンパの補助ダンパ部によって温風通路の下流側を閉じることが可能になり、このことで温風がエアミックス空間へ巻き込まれるようになるのが防止される。
【0009】
そして、主ダンパ部が開いて補助ダンパ部が開状態となったときには、温風が、補助ダンパ部の縁部とケーシング内面との間に形成される温風流通用の隙間を通ってエアミックス空間へ流れるので、エアミックス空間に温風が流入しやすくなる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、主ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向するケーシング内面との間には、主ダンパ部のケーシングとの干渉を回避するための干渉回避用の隙間が形成され、温風流通用の隙間は、上記干渉回避用の隙間よりも大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、エアミックスダンパを回動させる際、主ダンパ部を閉じるときには、干渉回避用の隙間が形成されることで主ダンパ部がケーシング内面と干渉するのが抑制されてエアミックスダンパがスムーズに動作するようになる。そして、主ダンパ部を開状態としたときには、温風流通用の隙間の方が大きく設定されていることで、温風量が十分に確保される。
【0012】
第3の発明は、第1または2の発明において、温風流通用の隙間は、補助ダンパ部の回動軸方向両側にそれぞれ形成されることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、温風通路の温風が補助ダンパ部の回動軸方向両側からエアミックス空間に流入するようになる。
【0014】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、ケーシング内面には、主ダンパ部の周縁が当接する主ダンパ部用シール部と、補助ダンパ部の周縁が当接する補助ダンパ部用シール部とが突設され、上記補助ダンパ部用シール部の突出高さは、上記主ダンパ部用シール部の突出高さよりも高く設定されていることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、補助ダンパ部用シール部の突出高さが高くなっていることで、該シール部を補助ダンパ部の周縁に確実に当接させることが可能になる。
【0016】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、補助ダンパ部の回動軸方向の縁部に対向するケーシング内面には、該ケーシングの外方へ向けて窪む凹部が形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、補助ダンパ部とケーシング内面との間の温風流通用の隙間を大きく確保することが可能になる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、凹部の深さは、補助ダンパ部の開方向に行くに従って深くなるように設定されていることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、補助ダンパ部の開度が大きくなって温風がより一層必要になったときに、補助ダンパ部とケーシング内面との間の温風流通用の隙間を拡大させることが可能になる。
【0020】
第7の発明は、第1から第6のいずれか1つの発明において、補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、上記温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部は、回動軸から離れるほど、ケーシング内面から離れるように傾斜していることを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、温風通路内の風速は、エアミックスダンパの回動軸から離れた領域が回動軸に近い領域に比べて速くなる。そして、エアミックスダンパの回動軸から遠い側における温風流通用の隙間が、近い側の隙間に比べて大きくなる。これにより、補助ダンパ部の回動軸から遠い側において温風が流れやすくなる。
【0022】
第8の発明は、第1から6のいずれか1つの発明において、補助ダンパ部には、貫通孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
この構成によれば、温風を多量に流したい場合に、温風通路の温風を補助ダンパ部の貫通孔からエアミックス空間へ流すことが可能になる。
【0024】
第9の発明は、第8の発明において、補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、貫通孔は、補助ダンパ部の回動軸に近い側と、回動軸から離れた側とにそれぞれ形成され、回動軸から離れた側の貫通孔の開口面積は、近い側の貫通孔の開口面積よりも広く設定されていることを特徴とするものである。
【0025】
この構成によれば、温風通路内の風速は、エアミックスダンパの回動軸から離れる領域が回動軸に近い領域に比べて速くなる。そして、エアミックスダンパの回動軸から遠い側における貫通孔の開口面積が、近い側の開口面積に比べて大きいので、補助ダンパ部の回動軸から遠い側において温風が流れやすくなる。
【発明の効果】
【0026】
第1の発明によれば、開状態にある補助ダンパ部の回動軸方向の縁部と、ケーシング内面との間に温風流通用の隙間を形成したので、エアミックス空間に流入する温風量を十分に確保することができる。これにより、調和空気の温度コントロール性を向上させることができ、乗員の快適性を向上させることができる。
【0027】
第2の発明によれば、主ダンパ部とケーシング内面との干渉を防止してスムーズに回動させることができ、この場合に、エアミックス空間に流入する温風量を十分に確保できる。
【0028】
第3の発明によれば、温風通路内の温風を、補助ダンパ部の回動軸方向両側からエアミックス空間にバランスよく流入させることができ、温度コントロール性をより一層向上させることができる。
【0029】
第4の発明によれば、補助ダンパ部用シール部の突出高さを、主ダンパ部用シール部よりも高くしたので、フルコールド時に補助ダンパ部の周縁を確実にシールして温風の漏れを抑制できる。
【0030】
第5の発明によれば、補助ダンパ部の縁部に対向するケーシング内面に凹部を形成したので、温風流通用の隙間を大きく確保することができ、エアミックス空間に流入する温風量をより一層多くすることができる。
【0031】
第6の発明によれば、ケーシング内面の凹部の深さを、補助ダンパ部の開方向に行くに従って深くしたので、補助ダンパ部の開度が大きくなったときに温風量を増加させることができ、調和空気の温度コントロール性をより一層向上させることができる。
【0032】
第7の発明によれば、補助ダンパ部を、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びる温風通路内に配置し、補助ダンパ部の回動軸方向の縁部を、回動軸から離れるほど、ケーシング内面から離れるように傾斜させたので、湾曲した温風通路内の温風を流れやすくして温風量を増加させることができる。
【0033】
第8の発明によれば、補助ダンパ部に貫通孔を形成したので、温風通路の温風を貫通孔からも流すことができ、温風を多量に流すことができる。
【0034】
第9の発明によれば、補助ダンパ部を、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びる温風通路内に配置し、エアミックスダンパの回動軸から遠い側における貫通孔の開口面積を、近い側の開口面積に比べて大きくしたので、湾曲した温風通路内の温風を流れやすくして温風量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態にかかる車両用空調装置の縦断面図である。
【図2】エアミックスダンパの平面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】変形例1にかかる図1相当図である。
【図6】変形例1にかかる図2相当図である。
【図7】変形例2にかかる図4相当図である。
【図8】変形例3にかかる図2相当図である。
【図9】変形例4にかかる図2相当図である。
【図10】変形例5にかかる図2相当図である。
【図11】変形例6にかかる図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
図1は、本発明の実施形態にかかる車両用空調装置1の断面構造を示すものである。この空調装置1は、自動車の車室内のインストルメントパネル(図示せず)内に配設されている。尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとする。
【0038】
空調装置1は、図示しない送風機から送風された空気を温度調節して車室の各部に送風するように構成されており、エバポレータ10及びヒータコア11と、これらを収容するケーシング12と、ケーシング12に収容されるエアミックスダンパ13、デフロスタダンパ14、ベントダンパ15及びヒートダンパ16とを備えている。
【0039】
ケーシング12は、樹脂材を成形してなるものであり、左右方向に分割された2つの部材を組み合わせて構成されている。ケーシング12の内部には、送風機から送風された空気が流れる空気通路Rが形成されている。空気通路Rの上流端はケーシング12の前端部に位置しており、ケーシング12の側壁に形成された空気流入口20に連通している。空気流入口20は上下方向に長い矩形状とされている。
【0040】
空気通路Rは、全体として後側へ向けて延びている。空気通路Rは、エバポレータ配設部(冷風通路)R1、ヒータコア配設部(温風通路)R2、エアミックス空間R3、デフロスタ吹出部R4、ベント吹出部R5及びヒート吹出部R6とを有している。
【0041】
エバポレータ配設部R1には、エバポレータ10が空気の流れを横切るようにして配設されている。エバポレータ10は、空気を冷却するための冷却用熱交換器であり、冷凍サイクルの一要素を構成する周知のものである。エバポレータ10には、図示しない冷媒配管が接続されており、冷媒配管を介して冷媒が給排されるようになっている。エバポレータ10の空気通過面は略鉛直に延びている。ケーシング12内に導入された空気の全量がエバポレータ10を通過する。
【0042】
ケーシング12の底壁部には、エバポレータ10よりも前側の部位からケーシング12内へ向けて上方へ突出する仕切板22が形成されている。仕切板22よりも前側には、エバポレータ10の表面に発生した凝縮水を排水するためのドレン孔(図示せず)が形成されている。
【0043】
ケーシング12の仕切板22よりも後側の部分が上記ヒータコア配設部R2である。仕切板22の上側には、ヒータコア配設部R2とエバポレータ配設部R1とを連通させるための上流側開口部23が形成されている。ケーシング12の底壁部の仕切板22よりも後側は、前側に比べて下方に位置するように膨出している。ヒータコア配設部R2は、上流側開口部23から下方へ延びた後、上方へ向けて湾曲して延びている。ヒータコア配設部R2の下流側は、エアミックスダンパ13の回動軸30周りに湾曲するように延びている。よって、ヒータコア配設部R2の下流側では、回動軸30から離れた領域の風速が回動軸30に近い領域の風速よりも速くなる。
【0044】
ヒータコア配設部R2には、ヒータコア11が空気の流れを横切るようにして配設されている。ヒータコア11は、空気を加熱するための加熱用熱交換器である。ヒータコア11には、図示しないヒータ配管が接続されており、ヒータ配管を介してエンジンの冷却水が給排されるようになっている。ヒータコア11の空気通過面は上側へ行くほど後側に位置するように傾斜して延びている。仕切板22の上端部には、ヒータコア11の上端部を保持するサポート部24が形成されている。このサポート部24は、上流側開口部23よりも後方へ延びる板状に形成されている。
【0045】
ケーシング12内の仕切板22の上方には、隔壁25が設けられている。隔壁25は、全体として、ケーシング12の上壁部のエバポレータ10よりも後側の部位から後方へ向けて延びている。隔壁25は、その後側寄りの部位が最も下に位置するように下方へ折れ曲がった形状となっている。
【0046】
ケーシング12内の隔壁25よりも上側の部分が上記エアミックス空間R3である。隔壁25の前側には、エバポレータ配設部R1に連通する冷風吹出口26が形成されている。この冷風吹出口26は、上流側開口部23と略同じ形状とされている。隔壁25の冷風吹出口26よりも後側には、温風吹出口27が形成されている。この温風吹出口27の前後方向の寸法は、冷風吹出口26の同方向の寸法よりも短く設定されており、温風吹出口27の方が開口面積が小さくなっている。
【0047】
ケーシング12内の仕切板22と隔壁25との間には、上記エアミックスダンパ13が配設されている。エアミックスダンパ13は、図2にも示すように、回動軸30と、回動軸30の外周面から径方向に延びる板状の主ダンパ部31及び補助ダンパ部32とを有する、いわゆるバタフライダンパである。回動軸30と主ダンパ部31及び補助ダンパ部32とは、樹脂材の一体成形品である。回動軸30は、左右方向に延びており、図1に示すように、冷風吹出口26と温風吹出口27との間に位置付けられている。回動軸30の両端部は、ケーシング12の左右両側壁にそれぞれ回動可能に支持されている。
【0048】
図2に示すように、回動軸30の右端部には、切欠部30aが形成されている。回動軸30の切欠部30aはケーシング12の外部へ突出している。この切欠部30aには、ケーシング12の外部に配設されたアクチュエータ(図示せず)の出力軸が連結されており、アクチュエータによってエアミックスダンパ13が駆動されて回動軸30周りに回動するようになっている。尚、アクチュエータは、図示しない空調制御装置によって制御されるようなっており、乗員による設定温度や車室内外の温度状態等に基づいてエアミックスダンパ13の回動角度が設定されるように構成されている。
【0049】
主ダンパ部31は、冷風吹出口26や上流側開口部23を閉塞可能な略矩形状とされており、エアミックスダンパ13がケーシング12に取り付けられた状態で前方へ延びるようになっている。主ダンパ部31の両面の周縁は、それぞれ、該両面に貼り付けられたシール部材33で構成されている。シール部材33は、発泡ウレタン等の弾性材からなるものである。主ダンパ部31の左右方向(回動軸方向)の寸法は、ケーシング12における主ダンパ部31の配設部分の同方向の寸法よりも短く設定されている。これにより、図3に示すように、主ダンパ部31の左右両縁部と、該縁部に対向するケーシング12内面との間には、主ダンパ部31のケーシング12との干渉を回避するための干渉回避用の隙間Sがそれぞれ形成される。
【0050】
補助ダンパ部32は、主ダンパ部31よりも小さく、温風吹出口27を閉塞可能な略矩形状とされており、エアミックスダンパ13がケーシング12に取り付けられた状態でヒータコア配設部R2内に位置して後方へ延びるようになっている。つまり、主ダンパ部31と補助ダンパ部32とのなす角度は略180゜である。また、補助ダンパ部32の両面の周縁部は、それぞれ、主ダンパ部31と同様にシール部材33で構成されている。
【0051】
図2に示すように、補助ダンパ部32の左右方向の寸法は、主ダンパ部31の左右方向の寸法よりも短く設定されている。図4に示すように、開状態にある補助ダンパ部32の左右方向の縁部と、該縁部に対向するケーシング12内面との間には、ヒータコア配設部R2の温風をエアミックス空間R3へ流すための温風流通用の隙間Tがそれぞれ形成される。この温風流通用の隙間Tは、補助ダンパ部32の左右寸法が主ダンパ部31の左右寸法よりも短く設定されているので、干渉回避用の隙間Sよりも大きくなる。
【0052】
また、ケーシング12の左右の内面には、図1に示すように、冷風側及び温風側主ダンパ部用シール部40、41と、補助ダンパ部用シール部42とが形成されている。冷風側主ダンパ部用シール部40は、図3に示すように、ケーシング12の内面からケーシング12内方へ向けて突出し、冷風吹出口26の周縁に沿うように延びる板状をなしている。冷風側主ダンパ部用シール部40の側面に主ダンパ部31の周縁であるシール部材33が当接して、主ダンパ部31の周縁と冷風吹出口26の周縁との間がシールされるようになっている。
【0053】
温風側主ダンパ部用シール部41は、冷風側主ダンパ部用シール部40と同様に突出し、上流側開口部23の周縁に沿うように延びる板状をなしている。温風側主ダンパ部用シール部41の側面に主ダンパ部31のシール部材33が当接して、主ダンパ部31の周縁と上流側開口部23の周縁との間がシールされるようになっている。
【0054】
補助ダンパ部用シール部42は、図4に示すように、ケーシング12の内面からケーシング12内方へ向けて突出し、温風吹出口27の周縁に沿うように延びる板状をなしている。補助ダンパ部用シール部42の側面に補助ダンパ部32の周縁であるシール部材33が当接して、補助ダンパ部32の周縁と温風吹出口27の周縁との間がシールされるようになっている。
【0055】
補助ダンパ部用シール部42の突出高さは、冷風側主ダンパ部用シール部40の突出高さよりも高く設定されている。これにより、補助ダンパ部32を補助ダンパ部用シール部42に確実に当接させることができ、高いシール性が得られる。
【0056】
そして、主ダンパ部31が下方へ移動するようにエアミックスダンパ13が回動すると、ヒータコア配設部R2の上流側である上流側開口部23が主ダンパ部31によって閉塞され、かつ、ヒータコア配設部R2下流側である温風吹出口27が補助ダンパ部32により閉塞される。このとき、主ダンパ部31のシール部材33が温風側主ダンパ部用シール部41に当接して、主ダンパ部31の周縁と上流側開口部23の周縁との間がシールされ、補助ダンパ部32のシール部材33が補助ダンパ部用シール部42に当接して、補助ダンパ部32の周縁と温風吹出口27の周縁との間がシールされる。この状態では、冷風のみがエアミックス空間R3に流入することになり、いわゆるフルコールドモードとなる。
【0057】
一方、主ダンパ部31が上方へ移動するようにエアミックスダンパ13が回動すると、主ダンパ部31によって冷風吹出口26が閉塞され、かつ、補助ダンパ部32により温風吹出口27が開放される。このとき、主ダンパ部31のシール部材33が冷風側主ダンパ部用シール部40に当接して、主ダンパ部31の周縁と冷風吹出口26の周縁との間がシールされる。この状態では、温風のみがエアミックス空間R3に流入することになる。
【0058】
エアミックスダンパ13の回動角度によって上流側開口部23、冷風吹出口26及び温風吹出口27の開度が変更される。これにより、エアミックス空間R3に流入する冷風量及び温風量が変更されてエアミックス空間R3で生成される空調風の温度が変化する。
【0059】
ケーシング12の上部には、デフロスタダクト部45が形成されている。デフロスタダクト部45は、エアミックス空間R3の上部から上方へ延びており、上記デフロスタ吹出部R4を形成するためのものである。上記デフロスタダンパ14は、デフロスタ吹出部R4の上流端に配設されている。このデフロスタダンパ14は、エアミックスダンパ13と同様なバタフライダンパである。デフロスタダンパ14は、左右方向に延びる回動軸47と、一対の板状ダンパ部48,48とを備えている。各ダンパ部48にはシール部材49が配設されている。このデフロスタダンパ14によりデフロスタ吹出部R4の上流端が開閉されるようになっている。また、デフロスタダクト部45の下流端は、インストルメントパネルに形成されているデフロスタ口(図示せず)に接続されている。
【0060】
ケーシング12の前側上部には、ベントダクト部50が形成されている。ベントダクト部50は、エアミックス空間R3の前部から前方へ延びており、上記ベント吹出部R5を形成するためのものである。上記ベントダンパ15は、ベント吹出部R5の上流端に配設されている。このベントダンパ15は、左右方向に延びる回動軸51と、一対の板状ダンパ部52,52とを備えたバタフライダンパであり、各ダンパ部52にはシール部材53が配設されている。このベントダンパ15によりベント吹出部R5の上流端が開閉されるようになっている。また、ベントダクト部50の下流端は、インストルメントパネルに形成されているベント口(図示せず)に接続されている。
【0061】
ケーシング12の前側には、ヒートダクト部55が形成されている。ヒートダクト部55は、エアミックス空間R3の前部から下方へ延びており、上記ヒート吹出部R6を形成するためのものである。上記ヒートダンパ16は、ヒート吹出部R6の上流端に配設されている。このヒートダンパ16は、左右方向に延びる回動軸56と、板状ダンパ部57とを備えており、ダンパ部57にはシール部材58が配設されている。このヒートダンパ16によりヒート吹出部R6の上流端が開閉されるようになっている。
【0062】
上記デフロスタダンパ14、ベントダンパ15及びヒートダンパ16は、周知のリンク機構を介してアクチュエータ(共に図示せず)により駆動され、図1に実線で示す状態と、仮想線で示す状態との間で動くようになっている。このアクチュエータは、上記空調制御装置によって制御される。
【0063】
そして、図1に示すようにデフロスタダンパ14及びベントダンパ15が閉状態で、かつ、ヒートダンパ16が開状態にされると、空調風がヒートダクト部55に流れるヒートモードとなる。また、図示しないが、デフロスタダンパ14が開状態で、かつ、ベントダンパ15及びヒートダンパ16が閉状態にされると、空調風がデフロスタダクト部45に流れるデフロスタモードとなる。また、ベントダンパ15が開状態で、かつ、デフロスタダンパ14及びヒートダンパ16が閉状態にされると、空調風がベントダクト部50に流れるベントモードなる。デフロスタダクト部45及びヒートダクト部55の両方に空調風が流れるモードや、ベントダクト部50及びヒートダクト部55の両方に空調風が流れるモードにも切り替えられるようになっている。
【0064】
次に、上記のように構成された空調装置1の動作について説明する。送風機から送風された空気は、ケーシング12の空気流入口20からエバポレータ配設部R1に流入する。エバポレータ配設部R1に流入した空気は、エバポレータ10を通過して冷却される。このとき、エアミックスダンパ13が、上流側開口部23及び温風吹出口27を閉塞する状態であれば、エバポレータ10を通過した空気の全量が冷風吹出口26からエアミックス空間R3に流れ、吹出モードに応じて車室の各部に供給される。
【0065】
エバポレータ配設部R1の空気が冷風吹出口26からエアミックス空間R3に流れる際、温風吹出口27が補助ダンパ部32により閉塞されているので、温風がエアミックス空間R3に巻き込まれるようになることはなく、冷房性能を向上させることができる。
【0066】
一方、上流側開口部23及び温風吹出口27を閉塞した状態にあるエアミックスダンパ13が、上流側開口部23及び温風吹出口27を開く方向に回動していくと、エバポレータ配設部R1の空気が上流側開口部23からヒータコア配設部R2に流入する。ヒータコア配設部R2に流入した空気はヒータコア11を通過して加熱された後、温風吹出口27からエアミックス空間R3に流入し、冷風吹出口26から流入した空気と混合して調和空気が生成される。
【0067】
ヒータコア配設部R2の温風がエアミックス空間R3に流入するときには、補助ダンパ部32がヒータコア配設部R2内に位置することになるので温風の流れの邪魔になるが、この実施形態では、補助ダンパ部32の左右両側に温風流通用の隙間T,Tをそれぞれ形成しているので、図4に矢印で示すように、温風は温風流通用の隙間T,Tを通ってエアミックス空間R3へ流れる。これにより、エアミックス空間R3に温風が流入しやすくなるので、エアミックス空間R3に流入する温風量を十分に確保することができる。
【0068】
また、このとき、温風流通用の隙間T,Tは左右両側にあるので、温風を左右両側からエアミックス空間R3にバランスよく流入させることができる。
【0069】
以上説明したように、この実施形態によれば、開状態にある補助ダンパ部42の縁部と、ケーシング12内面との間に温風流通用の隙間T,Tを形成したので、エアミックス空間R3に流入する温風量を十分に確保することができる。これにより、調和空気の温度コントロール性を向上させることができ、乗員の快適性を向上させることができる。
【0070】
尚、上記実施形態では、補助ダンパ部32の左右両側に温風流通用の隙間T,Tを形成しているが、これに限らず、左右のいずれか一方にのみ形成してもよい。
【0071】
また、温風流通用の隙間Tは、図5に示す変形例1のように、ケーシング12の側壁に形成した凹部60で構成してもよい。すなわち、補助ダンパ部32の左右方向の縁部に対向するケーシング12内面には、ケーシング12の外方へ向けて窪む凹部60がそれぞれ形成されている。凹部60の形成範囲は、補助ダンパ部32の移動範囲よりも広めに設定されている。これにより、補助ダンパ部32の縁部と、該縁部に対向するケーシング12内面との間には、温風流通用の隙間Tが形成されることになる。この変形例では、図6に示すように、エアミックスダンパ13の主ダンパ部31と補助ダンパ部32の左右方向の寸法を同じにすることができるが、補助ダンパ部32の方を短くしてもよく、これにより、温風流通用の隙間Tが大きくなる。凹部60は左右のいずれか一方にのみ形成してもよい。また、この変形例では、主ダンパ部31の左右方向の縁部に対向するケーシング12内面にも、上記凹部60よりも浅い凹部61が形成されている。この凹部61は省略してもよい。
【0072】
また、図7に示す変形例2のように、ケーシング12の側壁に深さが変化する凹部65を形成してもよい。この凹部65は、変形例1の凹部60と同様に温風流通用の隙間Tを形成するためのものである。凹部65の深さは、補助ダンパ部32の開方向(図7における温風流れの上流側)に行くに従って深くなるように設定されている。従って、補助ダンパ部32の開度が大きいとき(仮想線で示す)の温風流通用の隙間Tの大きさH2は、開度が小さいとき(実線で示す)の温風流通用の隙間Tの大きさH1よりも大きくなる。これにより、補助ダンパ部32の開度が大きくなって温風がより一層必要になったときに、温風流通用の隙間Tを拡大させて温風量を増加させることができ、調和空気の温度コントロール性をより一層向上させることができる。
【0073】
また、図8に示す変形例3のように、エアミックスダンパ13の補助ダンパ部32の回動軸30方向の両縁部は、回動軸30から離れるほど、ケーシング12内面から離れるようにそれぞれ傾斜させてもよい。すなわち、ヒータコア配設部R2内の風速は、エアミックスダンパ13の回動軸30から離れる領域が回動軸30に近い領域に比べて速くなり、変形例3ではこのことに対応するように、エアミックスダンパ13の回動軸30から離れた側における温風流通用の隙間Tが、近い側の隙間Tに比べて大きくなる。これにより、補助ダンパ部32の回動軸30から遠い側において温風が流れやすくなり、温風量を増加させることができる。
【0074】
また、図9に示す変形例4のように、エアミックスダンパ13の補助ダンパ部32の回動軸30方向の一縁部のみ傾斜させてもよい。この一縁部の傾斜方向は、変形例3と同じである。
【0075】
また、図10に示す変形例5のように、エアミックスダンパ13の補助ダンパ部32に複数の貫通孔32a,32a,…を形成してもよい。各貫通孔32aは円形とされているが、矩形であってもよいし、長円形であってもよい。貫通孔32aは、補助ダンパ部32の回動軸30に近い側と、遠い側とにそれぞれ形成されている。貫通孔32aのトータルの開口面積は、補助ダンパ部32の面積の1/3以下とされている。このように開口面積を設定することで、フルコールド時における補助ダンパ部32による温風吹出口27の閉塞面積を十分に確保でき、温風の巻き込み抑制効果は十分に得られる。また、貫通孔32aが形成されていることで、ヒータコア配設部R2の温風を補助ダンパ部32の貫通孔32aからエアミックス空間R3へ流すことが可能になり、温風を多量に流すことができる。
【0076】
また、図11に示す変形例6のように、補助ダンパ部32に貫通孔32aを形成する場合に、回動軸30から離れた側の貫通孔32aのトータルの開口面積を、近い側の貫通孔32aのトータルの開口面積よりも広く設定してもよい。すなわち、ヒータコア配設部R2内の風速は、エアミックスダンパ13の回動軸30から離れた領域が回動軸30に近い領域に比べて速くなるが、このとき、貫通孔32aの開口面積を上記の如く設定しておくことで、補助ダンパ部32の回動軸30から遠い側において温風が流れやすくなり、温風量を増加させることができる。また、補助ダンパ部32の回動軸30から離れた側にのみ貫通孔32aを形成してもよい。また、貫通孔32aの数はいくつであってもよい。さらに、貫通孔32aは回動軸30方向に等間隔に形成してもよいし、不等間隔に形成してもよい。
【0077】
また、変形例5、6のように補助ダンパ部32に貫通孔32aを形成する場合に、例えば、変形例3、4のように補助ダンパ部32の縁部を傾斜させてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、空調装置1がケーシング12とは別体の送風機を備えている、いわゆるセミセンタタイプに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、送風ファン、エバポレータ10及びヒータコア11を1つのケーシング12に収容したフルセンタタイプにも本発明を適用することができる。
【0079】
また、エアミックスダンパ13、デフロスタダンパ14、ベントダンパ15及びヒートダンパ16をアクチュエータで駆動することなく、乗員による手動操作とするようにしてもよい。この場合、図示しないが、操作レバーを車室内に設け、ダンパ13〜16の回動軸30,47,51,56に連結されたリンクと操作レバーとをワイヤーで連結し、ワイヤーのプッシュ−プル動作によりダンパ13〜16を作動させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明にかかる車両用空調装置は、例えば、冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器を1つのケーシングに収容するように構成されたものに適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 車両用空調装置
12 ケーシング
13 エアミックスダンパ
31 主ダンパ部
32 補助ダンパ部
40 冷風側主ダンパ部用シール部
41 温風側主ダンパ部用シール部
42 補助ダンパ部用シール部
60 凹部
R1 冷風通路
R2 温風通路
R3 エアミックス空間
S 干渉回避用の隙間
T 温風流通用の隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風と冷風とを混合させて調和空気を生成するように構成された車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の車両用空調装置として、熱交換器を収容するケーシングと、ケーシング内に配設されたエアミックスダンパとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ケーシング内には、温風が流れる温風通路と、冷風が流れる冷風通路と、温風通路及び冷風通路の下流端が連通し、温風及び冷風が流入して混合されるエアミックス空間とが形成されている。エアミックスダンパは、ケーシングに支持される回動軸を備えている。エアミックスダンパには、温風通路の上流側を開閉する主ダンパ部と、温風通路の下流側を開閉する補助ダンパ部とが形成されている。
【0003】
そして、強い冷房が望まれるフルコールド時には、主ダンパ部が温風通路を閉じるようにエアミックスダンパが動作し、このとき補助ダンパ部が温風通路の下流側を閉じる。温風通路の下流側が閉じられることで、温風通路内の温風が冷風の流れによってエアミックス空間へ巻き込まれるようになるのを防止でき、冷房性能を向上させることができる。一方、主ダンパ部が温風通路を開くときには、補助ダンパ部が温風通路の下流側を開く。これにより、エアミックス空間に温風を流入させて、温風と冷風とを混合させて所望温度の調和空気を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭62−17290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の空調装置では、フルコールド時の冷房性能の向上のために温風通路の下流側を補助ダンパ部で閉じるようにしているが、この補助ダンパ部が、温風をエアミックス空間へ流入させたいときに温風の流れの邪魔になる。従って、エアミックス空間に流入する温風量が減少してしまい、調和空気の温度コントロール性が悪化してしまうことが考えられる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温風通路の下流側をフルコールド時に閉じるための補助ダンパ部をエアミックスダンパに設ける場合に、フルコールド時以外のときに温風をエアミックス空間に流入させ易くして調和空気の温度コントロール性を向上させ、もって、乗員の快適性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、温風が流れる温風通路と、冷風が流れる冷風通路と、該温風通路及び冷風通路の下流端が連通し、温風及び冷風が流入して混合されるエアミックス空間とが形成されたケーシングと、上記ケーシング内に回動可能に配設され、上記温風通路及び上記冷風通路から上記エアミックス空間に流入する温風量及び冷風量を回動動作によって変更するエアミックスダンパとを備え、上記エアミックスダンパは、上記温風通路の上流側を開閉する主ダンパ部と、上記温風通路の下流側を開閉する補助ダンパ部とを有し、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を閉じたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を閉じる一方、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を開いたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を開くように構成された車両用空調装置において、開状態にある上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向する上記ケーシング内面との間には、上記温風通路内の温風を上記エアミックス空間へ流すための温風流通用の隙間が形成されることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によれば、フルコールド時にエアミックスダンパの補助ダンパ部によって温風通路の下流側を閉じることが可能になり、このことで温風がエアミックス空間へ巻き込まれるようになるのが防止される。
【0009】
そして、主ダンパ部が開いて補助ダンパ部が開状態となったときには、温風が、補助ダンパ部の縁部とケーシング内面との間に形成される温風流通用の隙間を通ってエアミックス空間へ流れるので、エアミックス空間に温風が流入しやすくなる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、主ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向するケーシング内面との間には、主ダンパ部のケーシングとの干渉を回避するための干渉回避用の隙間が形成され、温風流通用の隙間は、上記干渉回避用の隙間よりも大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、エアミックスダンパを回動させる際、主ダンパ部を閉じるときには、干渉回避用の隙間が形成されることで主ダンパ部がケーシング内面と干渉するのが抑制されてエアミックスダンパがスムーズに動作するようになる。そして、主ダンパ部を開状態としたときには、温風流通用の隙間の方が大きく設定されていることで、温風量が十分に確保される。
【0012】
第3の発明は、第1または2の発明において、温風流通用の隙間は、補助ダンパ部の回動軸方向両側にそれぞれ形成されることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、温風通路の温風が補助ダンパ部の回動軸方向両側からエアミックス空間に流入するようになる。
【0014】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、ケーシング内面には、主ダンパ部の周縁が当接する主ダンパ部用シール部と、補助ダンパ部の周縁が当接する補助ダンパ部用シール部とが突設され、上記補助ダンパ部用シール部の突出高さは、上記主ダンパ部用シール部の突出高さよりも高く設定されていることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、補助ダンパ部用シール部の突出高さが高くなっていることで、該シール部を補助ダンパ部の周縁に確実に当接させることが可能になる。
【0016】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、補助ダンパ部の回動軸方向の縁部に対向するケーシング内面には、該ケーシングの外方へ向けて窪む凹部が形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、補助ダンパ部とケーシング内面との間の温風流通用の隙間を大きく確保することが可能になる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、凹部の深さは、補助ダンパ部の開方向に行くに従って深くなるように設定されていることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、補助ダンパ部の開度が大きくなって温風がより一層必要になったときに、補助ダンパ部とケーシング内面との間の温風流通用の隙間を拡大させることが可能になる。
【0020】
第7の発明は、第1から第6のいずれか1つの発明において、補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、上記温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部は、回動軸から離れるほど、ケーシング内面から離れるように傾斜していることを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、温風通路内の風速は、エアミックスダンパの回動軸から離れた領域が回動軸に近い領域に比べて速くなる。そして、エアミックスダンパの回動軸から遠い側における温風流通用の隙間が、近い側の隙間に比べて大きくなる。これにより、補助ダンパ部の回動軸から遠い側において温風が流れやすくなる。
【0022】
第8の発明は、第1から6のいずれか1つの発明において、補助ダンパ部には、貫通孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
この構成によれば、温風を多量に流したい場合に、温風通路の温風を補助ダンパ部の貫通孔からエアミックス空間へ流すことが可能になる。
【0024】
第9の発明は、第8の発明において、補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、貫通孔は、補助ダンパ部の回動軸に近い側と、回動軸から離れた側とにそれぞれ形成され、回動軸から離れた側の貫通孔の開口面積は、近い側の貫通孔の開口面積よりも広く設定されていることを特徴とするものである。
【0025】
この構成によれば、温風通路内の風速は、エアミックスダンパの回動軸から離れる領域が回動軸に近い領域に比べて速くなる。そして、エアミックスダンパの回動軸から遠い側における貫通孔の開口面積が、近い側の開口面積に比べて大きいので、補助ダンパ部の回動軸から遠い側において温風が流れやすくなる。
【発明の効果】
【0026】
第1の発明によれば、開状態にある補助ダンパ部の回動軸方向の縁部と、ケーシング内面との間に温風流通用の隙間を形成したので、エアミックス空間に流入する温風量を十分に確保することができる。これにより、調和空気の温度コントロール性を向上させることができ、乗員の快適性を向上させることができる。
【0027】
第2の発明によれば、主ダンパ部とケーシング内面との干渉を防止してスムーズに回動させることができ、この場合に、エアミックス空間に流入する温風量を十分に確保できる。
【0028】
第3の発明によれば、温風通路内の温風を、補助ダンパ部の回動軸方向両側からエアミックス空間にバランスよく流入させることができ、温度コントロール性をより一層向上させることができる。
【0029】
第4の発明によれば、補助ダンパ部用シール部の突出高さを、主ダンパ部用シール部よりも高くしたので、フルコールド時に補助ダンパ部の周縁を確実にシールして温風の漏れを抑制できる。
【0030】
第5の発明によれば、補助ダンパ部の縁部に対向するケーシング内面に凹部を形成したので、温風流通用の隙間を大きく確保することができ、エアミックス空間に流入する温風量をより一層多くすることができる。
【0031】
第6の発明によれば、ケーシング内面の凹部の深さを、補助ダンパ部の開方向に行くに従って深くしたので、補助ダンパ部の開度が大きくなったときに温風量を増加させることができ、調和空気の温度コントロール性をより一層向上させることができる。
【0032】
第7の発明によれば、補助ダンパ部を、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びる温風通路内に配置し、補助ダンパ部の回動軸方向の縁部を、回動軸から離れるほど、ケーシング内面から離れるように傾斜させたので、湾曲した温風通路内の温風を流れやすくして温風量を増加させることができる。
【0033】
第8の発明によれば、補助ダンパ部に貫通孔を形成したので、温風通路の温風を貫通孔からも流すことができ、温風を多量に流すことができる。
【0034】
第9の発明によれば、補助ダンパ部を、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びる温風通路内に配置し、エアミックスダンパの回動軸から遠い側における貫通孔の開口面積を、近い側の開口面積に比べて大きくしたので、湾曲した温風通路内の温風を流れやすくして温風量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態にかかる車両用空調装置の縦断面図である。
【図2】エアミックスダンパの平面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】変形例1にかかる図1相当図である。
【図6】変形例1にかかる図2相当図である。
【図7】変形例2にかかる図4相当図である。
【図8】変形例3にかかる図2相当図である。
【図9】変形例4にかかる図2相当図である。
【図10】変形例5にかかる図2相当図である。
【図11】変形例6にかかる図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
図1は、本発明の実施形態にかかる車両用空調装置1の断面構造を示すものである。この空調装置1は、自動車の車室内のインストルメントパネル(図示せず)内に配設されている。尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとする。
【0038】
空調装置1は、図示しない送風機から送風された空気を温度調節して車室の各部に送風するように構成されており、エバポレータ10及びヒータコア11と、これらを収容するケーシング12と、ケーシング12に収容されるエアミックスダンパ13、デフロスタダンパ14、ベントダンパ15及びヒートダンパ16とを備えている。
【0039】
ケーシング12は、樹脂材を成形してなるものであり、左右方向に分割された2つの部材を組み合わせて構成されている。ケーシング12の内部には、送風機から送風された空気が流れる空気通路Rが形成されている。空気通路Rの上流端はケーシング12の前端部に位置しており、ケーシング12の側壁に形成された空気流入口20に連通している。空気流入口20は上下方向に長い矩形状とされている。
【0040】
空気通路Rは、全体として後側へ向けて延びている。空気通路Rは、エバポレータ配設部(冷風通路)R1、ヒータコア配設部(温風通路)R2、エアミックス空間R3、デフロスタ吹出部R4、ベント吹出部R5及びヒート吹出部R6とを有している。
【0041】
エバポレータ配設部R1には、エバポレータ10が空気の流れを横切るようにして配設されている。エバポレータ10は、空気を冷却するための冷却用熱交換器であり、冷凍サイクルの一要素を構成する周知のものである。エバポレータ10には、図示しない冷媒配管が接続されており、冷媒配管を介して冷媒が給排されるようになっている。エバポレータ10の空気通過面は略鉛直に延びている。ケーシング12内に導入された空気の全量がエバポレータ10を通過する。
【0042】
ケーシング12の底壁部には、エバポレータ10よりも前側の部位からケーシング12内へ向けて上方へ突出する仕切板22が形成されている。仕切板22よりも前側には、エバポレータ10の表面に発生した凝縮水を排水するためのドレン孔(図示せず)が形成されている。
【0043】
ケーシング12の仕切板22よりも後側の部分が上記ヒータコア配設部R2である。仕切板22の上側には、ヒータコア配設部R2とエバポレータ配設部R1とを連通させるための上流側開口部23が形成されている。ケーシング12の底壁部の仕切板22よりも後側は、前側に比べて下方に位置するように膨出している。ヒータコア配設部R2は、上流側開口部23から下方へ延びた後、上方へ向けて湾曲して延びている。ヒータコア配設部R2の下流側は、エアミックスダンパ13の回動軸30周りに湾曲するように延びている。よって、ヒータコア配設部R2の下流側では、回動軸30から離れた領域の風速が回動軸30に近い領域の風速よりも速くなる。
【0044】
ヒータコア配設部R2には、ヒータコア11が空気の流れを横切るようにして配設されている。ヒータコア11は、空気を加熱するための加熱用熱交換器である。ヒータコア11には、図示しないヒータ配管が接続されており、ヒータ配管を介してエンジンの冷却水が給排されるようになっている。ヒータコア11の空気通過面は上側へ行くほど後側に位置するように傾斜して延びている。仕切板22の上端部には、ヒータコア11の上端部を保持するサポート部24が形成されている。このサポート部24は、上流側開口部23よりも後方へ延びる板状に形成されている。
【0045】
ケーシング12内の仕切板22の上方には、隔壁25が設けられている。隔壁25は、全体として、ケーシング12の上壁部のエバポレータ10よりも後側の部位から後方へ向けて延びている。隔壁25は、その後側寄りの部位が最も下に位置するように下方へ折れ曲がった形状となっている。
【0046】
ケーシング12内の隔壁25よりも上側の部分が上記エアミックス空間R3である。隔壁25の前側には、エバポレータ配設部R1に連通する冷風吹出口26が形成されている。この冷風吹出口26は、上流側開口部23と略同じ形状とされている。隔壁25の冷風吹出口26よりも後側には、温風吹出口27が形成されている。この温風吹出口27の前後方向の寸法は、冷風吹出口26の同方向の寸法よりも短く設定されており、温風吹出口27の方が開口面積が小さくなっている。
【0047】
ケーシング12内の仕切板22と隔壁25との間には、上記エアミックスダンパ13が配設されている。エアミックスダンパ13は、図2にも示すように、回動軸30と、回動軸30の外周面から径方向に延びる板状の主ダンパ部31及び補助ダンパ部32とを有する、いわゆるバタフライダンパである。回動軸30と主ダンパ部31及び補助ダンパ部32とは、樹脂材の一体成形品である。回動軸30は、左右方向に延びており、図1に示すように、冷風吹出口26と温風吹出口27との間に位置付けられている。回動軸30の両端部は、ケーシング12の左右両側壁にそれぞれ回動可能に支持されている。
【0048】
図2に示すように、回動軸30の右端部には、切欠部30aが形成されている。回動軸30の切欠部30aはケーシング12の外部へ突出している。この切欠部30aには、ケーシング12の外部に配設されたアクチュエータ(図示せず)の出力軸が連結されており、アクチュエータによってエアミックスダンパ13が駆動されて回動軸30周りに回動するようになっている。尚、アクチュエータは、図示しない空調制御装置によって制御されるようなっており、乗員による設定温度や車室内外の温度状態等に基づいてエアミックスダンパ13の回動角度が設定されるように構成されている。
【0049】
主ダンパ部31は、冷風吹出口26や上流側開口部23を閉塞可能な略矩形状とされており、エアミックスダンパ13がケーシング12に取り付けられた状態で前方へ延びるようになっている。主ダンパ部31の両面の周縁は、それぞれ、該両面に貼り付けられたシール部材33で構成されている。シール部材33は、発泡ウレタン等の弾性材からなるものである。主ダンパ部31の左右方向(回動軸方向)の寸法は、ケーシング12における主ダンパ部31の配設部分の同方向の寸法よりも短く設定されている。これにより、図3に示すように、主ダンパ部31の左右両縁部と、該縁部に対向するケーシング12内面との間には、主ダンパ部31のケーシング12との干渉を回避するための干渉回避用の隙間Sがそれぞれ形成される。
【0050】
補助ダンパ部32は、主ダンパ部31よりも小さく、温風吹出口27を閉塞可能な略矩形状とされており、エアミックスダンパ13がケーシング12に取り付けられた状態でヒータコア配設部R2内に位置して後方へ延びるようになっている。つまり、主ダンパ部31と補助ダンパ部32とのなす角度は略180゜である。また、補助ダンパ部32の両面の周縁部は、それぞれ、主ダンパ部31と同様にシール部材33で構成されている。
【0051】
図2に示すように、補助ダンパ部32の左右方向の寸法は、主ダンパ部31の左右方向の寸法よりも短く設定されている。図4に示すように、開状態にある補助ダンパ部32の左右方向の縁部と、該縁部に対向するケーシング12内面との間には、ヒータコア配設部R2の温風をエアミックス空間R3へ流すための温風流通用の隙間Tがそれぞれ形成される。この温風流通用の隙間Tは、補助ダンパ部32の左右寸法が主ダンパ部31の左右寸法よりも短く設定されているので、干渉回避用の隙間Sよりも大きくなる。
【0052】
また、ケーシング12の左右の内面には、図1に示すように、冷風側及び温風側主ダンパ部用シール部40、41と、補助ダンパ部用シール部42とが形成されている。冷風側主ダンパ部用シール部40は、図3に示すように、ケーシング12の内面からケーシング12内方へ向けて突出し、冷風吹出口26の周縁に沿うように延びる板状をなしている。冷風側主ダンパ部用シール部40の側面に主ダンパ部31の周縁であるシール部材33が当接して、主ダンパ部31の周縁と冷風吹出口26の周縁との間がシールされるようになっている。
【0053】
温風側主ダンパ部用シール部41は、冷風側主ダンパ部用シール部40と同様に突出し、上流側開口部23の周縁に沿うように延びる板状をなしている。温風側主ダンパ部用シール部41の側面に主ダンパ部31のシール部材33が当接して、主ダンパ部31の周縁と上流側開口部23の周縁との間がシールされるようになっている。
【0054】
補助ダンパ部用シール部42は、図4に示すように、ケーシング12の内面からケーシング12内方へ向けて突出し、温風吹出口27の周縁に沿うように延びる板状をなしている。補助ダンパ部用シール部42の側面に補助ダンパ部32の周縁であるシール部材33が当接して、補助ダンパ部32の周縁と温風吹出口27の周縁との間がシールされるようになっている。
【0055】
補助ダンパ部用シール部42の突出高さは、冷風側主ダンパ部用シール部40の突出高さよりも高く設定されている。これにより、補助ダンパ部32を補助ダンパ部用シール部42に確実に当接させることができ、高いシール性が得られる。
【0056】
そして、主ダンパ部31が下方へ移動するようにエアミックスダンパ13が回動すると、ヒータコア配設部R2の上流側である上流側開口部23が主ダンパ部31によって閉塞され、かつ、ヒータコア配設部R2下流側である温風吹出口27が補助ダンパ部32により閉塞される。このとき、主ダンパ部31のシール部材33が温風側主ダンパ部用シール部41に当接して、主ダンパ部31の周縁と上流側開口部23の周縁との間がシールされ、補助ダンパ部32のシール部材33が補助ダンパ部用シール部42に当接して、補助ダンパ部32の周縁と温風吹出口27の周縁との間がシールされる。この状態では、冷風のみがエアミックス空間R3に流入することになり、いわゆるフルコールドモードとなる。
【0057】
一方、主ダンパ部31が上方へ移動するようにエアミックスダンパ13が回動すると、主ダンパ部31によって冷風吹出口26が閉塞され、かつ、補助ダンパ部32により温風吹出口27が開放される。このとき、主ダンパ部31のシール部材33が冷風側主ダンパ部用シール部40に当接して、主ダンパ部31の周縁と冷風吹出口26の周縁との間がシールされる。この状態では、温風のみがエアミックス空間R3に流入することになる。
【0058】
エアミックスダンパ13の回動角度によって上流側開口部23、冷風吹出口26及び温風吹出口27の開度が変更される。これにより、エアミックス空間R3に流入する冷風量及び温風量が変更されてエアミックス空間R3で生成される空調風の温度が変化する。
【0059】
ケーシング12の上部には、デフロスタダクト部45が形成されている。デフロスタダクト部45は、エアミックス空間R3の上部から上方へ延びており、上記デフロスタ吹出部R4を形成するためのものである。上記デフロスタダンパ14は、デフロスタ吹出部R4の上流端に配設されている。このデフロスタダンパ14は、エアミックスダンパ13と同様なバタフライダンパである。デフロスタダンパ14は、左右方向に延びる回動軸47と、一対の板状ダンパ部48,48とを備えている。各ダンパ部48にはシール部材49が配設されている。このデフロスタダンパ14によりデフロスタ吹出部R4の上流端が開閉されるようになっている。また、デフロスタダクト部45の下流端は、インストルメントパネルに形成されているデフロスタ口(図示せず)に接続されている。
【0060】
ケーシング12の前側上部には、ベントダクト部50が形成されている。ベントダクト部50は、エアミックス空間R3の前部から前方へ延びており、上記ベント吹出部R5を形成するためのものである。上記ベントダンパ15は、ベント吹出部R5の上流端に配設されている。このベントダンパ15は、左右方向に延びる回動軸51と、一対の板状ダンパ部52,52とを備えたバタフライダンパであり、各ダンパ部52にはシール部材53が配設されている。このベントダンパ15によりベント吹出部R5の上流端が開閉されるようになっている。また、ベントダクト部50の下流端は、インストルメントパネルに形成されているベント口(図示せず)に接続されている。
【0061】
ケーシング12の前側には、ヒートダクト部55が形成されている。ヒートダクト部55は、エアミックス空間R3の前部から下方へ延びており、上記ヒート吹出部R6を形成するためのものである。上記ヒートダンパ16は、ヒート吹出部R6の上流端に配設されている。このヒートダンパ16は、左右方向に延びる回動軸56と、板状ダンパ部57とを備えており、ダンパ部57にはシール部材58が配設されている。このヒートダンパ16によりヒート吹出部R6の上流端が開閉されるようになっている。
【0062】
上記デフロスタダンパ14、ベントダンパ15及びヒートダンパ16は、周知のリンク機構を介してアクチュエータ(共に図示せず)により駆動され、図1に実線で示す状態と、仮想線で示す状態との間で動くようになっている。このアクチュエータは、上記空調制御装置によって制御される。
【0063】
そして、図1に示すようにデフロスタダンパ14及びベントダンパ15が閉状態で、かつ、ヒートダンパ16が開状態にされると、空調風がヒートダクト部55に流れるヒートモードとなる。また、図示しないが、デフロスタダンパ14が開状態で、かつ、ベントダンパ15及びヒートダンパ16が閉状態にされると、空調風がデフロスタダクト部45に流れるデフロスタモードとなる。また、ベントダンパ15が開状態で、かつ、デフロスタダンパ14及びヒートダンパ16が閉状態にされると、空調風がベントダクト部50に流れるベントモードなる。デフロスタダクト部45及びヒートダクト部55の両方に空調風が流れるモードや、ベントダクト部50及びヒートダクト部55の両方に空調風が流れるモードにも切り替えられるようになっている。
【0064】
次に、上記のように構成された空調装置1の動作について説明する。送風機から送風された空気は、ケーシング12の空気流入口20からエバポレータ配設部R1に流入する。エバポレータ配設部R1に流入した空気は、エバポレータ10を通過して冷却される。このとき、エアミックスダンパ13が、上流側開口部23及び温風吹出口27を閉塞する状態であれば、エバポレータ10を通過した空気の全量が冷風吹出口26からエアミックス空間R3に流れ、吹出モードに応じて車室の各部に供給される。
【0065】
エバポレータ配設部R1の空気が冷風吹出口26からエアミックス空間R3に流れる際、温風吹出口27が補助ダンパ部32により閉塞されているので、温風がエアミックス空間R3に巻き込まれるようになることはなく、冷房性能を向上させることができる。
【0066】
一方、上流側開口部23及び温風吹出口27を閉塞した状態にあるエアミックスダンパ13が、上流側開口部23及び温風吹出口27を開く方向に回動していくと、エバポレータ配設部R1の空気が上流側開口部23からヒータコア配設部R2に流入する。ヒータコア配設部R2に流入した空気はヒータコア11を通過して加熱された後、温風吹出口27からエアミックス空間R3に流入し、冷風吹出口26から流入した空気と混合して調和空気が生成される。
【0067】
ヒータコア配設部R2の温風がエアミックス空間R3に流入するときには、補助ダンパ部32がヒータコア配設部R2内に位置することになるので温風の流れの邪魔になるが、この実施形態では、補助ダンパ部32の左右両側に温風流通用の隙間T,Tをそれぞれ形成しているので、図4に矢印で示すように、温風は温風流通用の隙間T,Tを通ってエアミックス空間R3へ流れる。これにより、エアミックス空間R3に温風が流入しやすくなるので、エアミックス空間R3に流入する温風量を十分に確保することができる。
【0068】
また、このとき、温風流通用の隙間T,Tは左右両側にあるので、温風を左右両側からエアミックス空間R3にバランスよく流入させることができる。
【0069】
以上説明したように、この実施形態によれば、開状態にある補助ダンパ部42の縁部と、ケーシング12内面との間に温風流通用の隙間T,Tを形成したので、エアミックス空間R3に流入する温風量を十分に確保することができる。これにより、調和空気の温度コントロール性を向上させることができ、乗員の快適性を向上させることができる。
【0070】
尚、上記実施形態では、補助ダンパ部32の左右両側に温風流通用の隙間T,Tを形成しているが、これに限らず、左右のいずれか一方にのみ形成してもよい。
【0071】
また、温風流通用の隙間Tは、図5に示す変形例1のように、ケーシング12の側壁に形成した凹部60で構成してもよい。すなわち、補助ダンパ部32の左右方向の縁部に対向するケーシング12内面には、ケーシング12の外方へ向けて窪む凹部60がそれぞれ形成されている。凹部60の形成範囲は、補助ダンパ部32の移動範囲よりも広めに設定されている。これにより、補助ダンパ部32の縁部と、該縁部に対向するケーシング12内面との間には、温風流通用の隙間Tが形成されることになる。この変形例では、図6に示すように、エアミックスダンパ13の主ダンパ部31と補助ダンパ部32の左右方向の寸法を同じにすることができるが、補助ダンパ部32の方を短くしてもよく、これにより、温風流通用の隙間Tが大きくなる。凹部60は左右のいずれか一方にのみ形成してもよい。また、この変形例では、主ダンパ部31の左右方向の縁部に対向するケーシング12内面にも、上記凹部60よりも浅い凹部61が形成されている。この凹部61は省略してもよい。
【0072】
また、図7に示す変形例2のように、ケーシング12の側壁に深さが変化する凹部65を形成してもよい。この凹部65は、変形例1の凹部60と同様に温風流通用の隙間Tを形成するためのものである。凹部65の深さは、補助ダンパ部32の開方向(図7における温風流れの上流側)に行くに従って深くなるように設定されている。従って、補助ダンパ部32の開度が大きいとき(仮想線で示す)の温風流通用の隙間Tの大きさH2は、開度が小さいとき(実線で示す)の温風流通用の隙間Tの大きさH1よりも大きくなる。これにより、補助ダンパ部32の開度が大きくなって温風がより一層必要になったときに、温風流通用の隙間Tを拡大させて温風量を増加させることができ、調和空気の温度コントロール性をより一層向上させることができる。
【0073】
また、図8に示す変形例3のように、エアミックスダンパ13の補助ダンパ部32の回動軸30方向の両縁部は、回動軸30から離れるほど、ケーシング12内面から離れるようにそれぞれ傾斜させてもよい。すなわち、ヒータコア配設部R2内の風速は、エアミックスダンパ13の回動軸30から離れる領域が回動軸30に近い領域に比べて速くなり、変形例3ではこのことに対応するように、エアミックスダンパ13の回動軸30から離れた側における温風流通用の隙間Tが、近い側の隙間Tに比べて大きくなる。これにより、補助ダンパ部32の回動軸30から遠い側において温風が流れやすくなり、温風量を増加させることができる。
【0074】
また、図9に示す変形例4のように、エアミックスダンパ13の補助ダンパ部32の回動軸30方向の一縁部のみ傾斜させてもよい。この一縁部の傾斜方向は、変形例3と同じである。
【0075】
また、図10に示す変形例5のように、エアミックスダンパ13の補助ダンパ部32に複数の貫通孔32a,32a,…を形成してもよい。各貫通孔32aは円形とされているが、矩形であってもよいし、長円形であってもよい。貫通孔32aは、補助ダンパ部32の回動軸30に近い側と、遠い側とにそれぞれ形成されている。貫通孔32aのトータルの開口面積は、補助ダンパ部32の面積の1/3以下とされている。このように開口面積を設定することで、フルコールド時における補助ダンパ部32による温風吹出口27の閉塞面積を十分に確保でき、温風の巻き込み抑制効果は十分に得られる。また、貫通孔32aが形成されていることで、ヒータコア配設部R2の温風を補助ダンパ部32の貫通孔32aからエアミックス空間R3へ流すことが可能になり、温風を多量に流すことができる。
【0076】
また、図11に示す変形例6のように、補助ダンパ部32に貫通孔32aを形成する場合に、回動軸30から離れた側の貫通孔32aのトータルの開口面積を、近い側の貫通孔32aのトータルの開口面積よりも広く設定してもよい。すなわち、ヒータコア配設部R2内の風速は、エアミックスダンパ13の回動軸30から離れた領域が回動軸30に近い領域に比べて速くなるが、このとき、貫通孔32aの開口面積を上記の如く設定しておくことで、補助ダンパ部32の回動軸30から遠い側において温風が流れやすくなり、温風量を増加させることができる。また、補助ダンパ部32の回動軸30から離れた側にのみ貫通孔32aを形成してもよい。また、貫通孔32aの数はいくつであってもよい。さらに、貫通孔32aは回動軸30方向に等間隔に形成してもよいし、不等間隔に形成してもよい。
【0077】
また、変形例5、6のように補助ダンパ部32に貫通孔32aを形成する場合に、例えば、変形例3、4のように補助ダンパ部32の縁部を傾斜させてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、空調装置1がケーシング12とは別体の送風機を備えている、いわゆるセミセンタタイプに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、送風ファン、エバポレータ10及びヒータコア11を1つのケーシング12に収容したフルセンタタイプにも本発明を適用することができる。
【0079】
また、エアミックスダンパ13、デフロスタダンパ14、ベントダンパ15及びヒートダンパ16をアクチュエータで駆動することなく、乗員による手動操作とするようにしてもよい。この場合、図示しないが、操作レバーを車室内に設け、ダンパ13〜16の回動軸30,47,51,56に連結されたリンクと操作レバーとをワイヤーで連結し、ワイヤーのプッシュ−プル動作によりダンパ13〜16を作動させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明にかかる車両用空調装置は、例えば、冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器を1つのケーシングに収容するように構成されたものに適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 車両用空調装置
12 ケーシング
13 エアミックスダンパ
31 主ダンパ部
32 補助ダンパ部
40 冷風側主ダンパ部用シール部
41 温風側主ダンパ部用シール部
42 補助ダンパ部用シール部
60 凹部
R1 冷風通路
R2 温風通路
R3 エアミックス空間
S 干渉回避用の隙間
T 温風流通用の隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風が流れる温風通路と、冷風が流れる冷風通路と、該温風通路及び冷風通路の下流端が連通し、温風及び冷風が流入して混合されるエアミックス空間とが形成されたケーシングと、
上記ケーシング内に回動可能に配設され、上記温風通路及び上記冷風通路から上記エアミックス空間に流入する温風量及び冷風量を回動動作によって変更するエアミックスダンパとを備え、
上記エアミックスダンパは、上記温風通路の上流側を開閉する主ダンパ部と、上記温風通路の下流側を開閉する補助ダンパ部とを有し、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を閉じたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を閉じる一方、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を開いたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を開くように構成された車両用空調装置において、
開状態にある上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向する上記ケーシング内面との間には、上記温風通路内の温風を上記エアミックス空間へ流すための温風流通用の隙間が形成されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調装置において、
主ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向するケーシング内面との間には、主ダンパ部のケーシングとの干渉を回避するための干渉回避用の隙間が形成され、
温風流通用の隙間は、上記干渉回避用の隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
温風流通用の隙間は、補助ダンパ部の回動軸方向両側にそれぞれ形成されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
ケーシング内面には、主ダンパ部の周縁が当接する主ダンパ部用シール部と、補助ダンパ部の周縁が当接する補助ダンパ部用シール部とが突設され、
上記補助ダンパ部用シール部の突出高さは、上記主ダンパ部用シール部の突出高さよりも高く設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部の回動軸方向の縁部に対向するケーシング内面には、該ケーシングの外方へ向けて窪む凹部が形成されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用空調装置において、
凹部の深さは、補助ダンパ部の開方向に行くに従って深くなるように設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、
上記温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、
上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部は、回動軸から離れるほど、ケーシング内面から離れるように傾斜していることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部には、貫通孔が形成されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、
上記温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、
貫通孔は、補助ダンパ部の回動軸に近い側と、回動軸から離れた側とにそれぞれ形成され、回動軸から離れた側の貫通孔の開口面積は、近い側の貫通孔の開口面積よりも広く設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項1】
温風が流れる温風通路と、冷風が流れる冷風通路と、該温風通路及び冷風通路の下流端が連通し、温風及び冷風が流入して混合されるエアミックス空間とが形成されたケーシングと、
上記ケーシング内に回動可能に配設され、上記温風通路及び上記冷風通路から上記エアミックス空間に流入する温風量及び冷風量を回動動作によって変更するエアミックスダンパとを備え、
上記エアミックスダンパは、上記温風通路の上流側を開閉する主ダンパ部と、上記温風通路の下流側を開閉する補助ダンパ部とを有し、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を閉じたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を閉じる一方、該主ダンパ部が上記温風通路の上流側を開いたときに該補助ダンパ部が温風通路の下流側を開くように構成された車両用空調装置において、
開状態にある上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向する上記ケーシング内面との間には、上記温風通路内の温風を上記エアミックス空間へ流すための温風流通用の隙間が形成されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調装置において、
主ダンパ部の回動軸方向の縁部と、該縁部に対向するケーシング内面との間には、主ダンパ部のケーシングとの干渉を回避するための干渉回避用の隙間が形成され、
温風流通用の隙間は、上記干渉回避用の隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
温風流通用の隙間は、補助ダンパ部の回動軸方向両側にそれぞれ形成されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
ケーシング内面には、主ダンパ部の周縁が当接する主ダンパ部用シール部と、補助ダンパ部の周縁が当接する補助ダンパ部用シール部とが突設され、
上記補助ダンパ部用シール部の突出高さは、上記主ダンパ部用シール部の突出高さよりも高く設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部の回動軸方向の縁部に対向するケーシング内面には、該ケーシングの外方へ向けて窪む凹部が形成されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用空調装置において、
凹部の深さは、補助ダンパ部の開方向に行くに従って深くなるように設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、
上記温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、
上記補助ダンパ部の回動軸方向の縁部は、回動軸から離れるほど、ケーシング内面から離れるように傾斜していることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部には、貫通孔が形成されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用空調装置において、
補助ダンパ部は、温風通路内に配置され、
上記温風通路は、エアミックスダンパの回動軸周りに湾曲するように延びており、
貫通孔は、補助ダンパ部の回動軸に近い側と、回動軸から離れた側とにそれぞれ形成され、回動軸から離れた側の貫通孔の開口面積は、近い側の貫通孔の開口面積よりも広く設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−5987(P2011−5987A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152320(P2009−152320)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000152826)株式会社日本クライメイトシステムズ (154)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000152826)株式会社日本クライメイトシステムズ (154)
【Fターム(参考)】
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