説明

車両用表示灯

【課題】 遠くからでも利用者に会社名等を容易に識別させることができ、メンテナンスの必要がなく、しかも、低コストで汎用性のある車両用表示灯を提供する。
【解決手段】 LED6が点灯されると、この光が導光板4に入射し、透光性のカバー体2の外面に照射される。透光性のカバー体2の内面には、反射フィルム9が貼り付けられているため、内面には透過せず、これに反射して、透光性のカバー体2の外面に照射される。透光性のカバー体2の外面には、遮光フィルム3、3a、3bが貼り付けられているので、これ以外の発光面Sから光が照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、タクシー等の車両の屋根に取付けられ、会社名や広告文字等を表示する車両用表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
タクシーの屋根には、会社名や広告を示す文字や図形等の標識が表された車両用表示灯が装着されている。このうち、会社名を示す表示灯は空車走行時には点灯される。そのため、タクシー利用者は空車のタクシーを夜間でも見つけることができる。従来の表示灯では、点灯させるために、電球や蛍光灯を内部に設置している。
【0003】
しかし、従来の表示灯では、輝度が低いため、利用者は遠い場所からでは見つけることが難しい。また、見つけることができても、表示灯全体が光るので、会社名を識別することができない。そのため、利用者にとっては不便である。更に、従来の表示灯では、電球や蛍光灯が消耗しやすいため、これらを頻繁に交換しなければならない。このため、遠くからでも利用者に会社名を容易に識別させることができ、メンテナンスの必要がないタクシー用表示灯の提供が望まれていた。
【0004】
これを解決するために、特許文献1では、以下のような発明が開示されている。即ち、この発明は、点灯手段を備え、文字、図形等の標識が表されたタクシーの屋上表示灯において、前記点灯手段が発光ダイオード(LED)であり、前記標識の形に複数のLEDが並べられている。
【0005】
この発明では、表示灯を点灯させる手段として、LEDを使用している。LEDは電球や蛍光灯よりも輝度が高く、そのためタクシー利用者は遠くからでも空車のタクシーを見つけることができる。その上、LEDを使用すると輝度がかなり高くなるように設定することができるので、夜間だけでなく昼間でも表示灯を際立たせることが可能である。
【0006】
また、この発明の表示灯では、標識の形にLEDが並べられているので、点灯させると、表示灯全体ではなく標識部分だけが光る。よって、利用者はタクシー会社名を容易に識別することができる。更に、LEDは消耗することがないので、本発明の表示灯はメンテナンスの必要がない。
【特許文献1】登録実用新案第3068425号公報の段落[0002]〜[0006]および図1。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記発明では、LEDの個数が多く、コストが高いという問題があった。また、特定の文字や図形に特化したLEDの配置を設計しなければならず、汎用性に乏しいという問題があった。
【0008】
そこで本発明では、遠くからでも利用者に会社名等を容易に識別させることができ、メンテナンスの必要がなく、しかも、低コストで汎用性のある車両用表示灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の車両用表示灯は、
車両の屋上に取りつけられる車両用表示灯において、
透光性を有するカバー体と、
前記カバー体の内面に設置された導光体と、
前記導光体に照射する発光素子と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の車両用表示灯は、請求項1に記載の車両用表示灯に加えて、
前記発光素子は、発光ダイオードである、
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の車両用表示灯は、請求項1に記載の車両用表示灯に加えて、
前記導光体は、導光板である、
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の車両用表示灯は、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用表示灯に加えて、
前記カバー体の内面または外面に設置された遮光体を設ける、
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の車両用表示灯は、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用表示灯に加えて、
前記導光体の少なくとも一方の面に設置される反射体を設ける、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の車両用行先表示灯によれば、
この車両用行先表示器は、透光性を有するカバー体と、前記カバー体の内面に設置された導光体と、前記導光体に照射する発光素子とを備えることによって、前記発光素子が前記導光体に光を導き、前記透光性を有するカバー体の外面に光を照射できるので、少数の発光素子でも前記導光体を介して一様な光を照射することができるとともに、低コストとすることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の車両用表示灯によれば、
前記発光素子を発光ダイオードとしたので、長寿命でメンテナンスが必要なく、しかも小電力で発光させることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の車両用表示灯によれば、
前記導光体を導光板としたので、前記カバー体の内平面にほぼ密着させて設置することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の車両用表示灯によれば、
前記カバー体の内面または外面に設置された遮光体を設けることによって、即ち、光を通過しない部分に遮光体を設けると、光が通過する部分、あるいは、通過しない部分の図形や文字が表示される。この遮光板は、様々な図形、文字など、種々の応用が可能であり、これを取り替えるだけで、多くの客先の要求に応えることができ、汎用性を持たせることが可能となる。
【0018】
また、請求項5に記載の車両用表示灯によれば、
前記導光体の少なくとも一方の面に設置される反射体を設けること、即ち、主な発光面と反対の面に遮光体を設置することによって、発光面側に効率よく光を照射することができる。
【0019】
以上の発明の車両用表示灯によって、遠くからでも利用者に会社名等を容易に識別させることができ、メンテナンスの必要がなく、しかも、低コストで汎用性のある車両用表示灯を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本実施形態の車両用表示灯を示す斜視図であり、その正面に会社名を表示している。本実施形態では、社名の部分が非透光性となっており、黒く表示される。本発明における実施例について図2を用いて説明する。
(実施例)
【0021】
図2(a)は、図1の車両用表示灯の正面図である、図2(b)は、図2(a)のA−A断面を示す。透光性のカバー体2の外面には、遮光フィルム3、3a、3bが接着部材によって貼り付けられている。遮光フィルム3の略中央部はひし形の穴が開いている。遮光フィルム3a、3bは、文字型に形成されている。このひし形内部と文字との間Sが発光面となっている。
【0022】
透光性のカバー体2の内面には、導光板4が貼り付けられており、該導光板4の発光面Sの背面側には、非透光性の反射フィルム9が貼り付けられている。透光性のカバー体2の底面には、プリント基板5が設置されており、このプリント基板5上であって、導光板4の端縁下部には、発光ダイオード(以下、LEDとする)6が設置されている。また、このプリント基板5上には、点灯回路の構成部品7が配置され、プリント基板5上に配置された図示しない回路パターンによってLEDと接続されている。点灯回路の構成部品7からの電源コード8は、図示しない車体側とスイッチ等を介して接続される。
【0023】
次に本実施例の作用および効果を説明する。LED6が点灯されると、この光が導光板4に入射し、透光性のカバー体2の外面に照射される。透光性のカバー体2の内面には、反射フィルム9が貼り付けられているため、内面には透過せず、これに反射して、透光性のカバー体2の外面に照射される。透光性のカバー体2の外面には、遮光フィルム3、3a、3bが貼り付けられているので、これ以外の発光面Sから光が照射される。
【0024】
このようにすることで、LED6が導光板4に光を導き、透光性のカバー体2の外面に光を照射できるので、少数のLEDでも導光板4を介して一様な光を照射することができるとともに、低コストとすることができる。
【0025】
また、LED6を用いているので、長寿命でメンテナンスが必要なく、しかも小電力で発光させることができる。また、導光板4をカバー体2の内平面にほぼ密着させて設置しているので、一様な光を漏れなく外部に照射することができる。また、導光板4の背面側には、反射フィルムを貼り付けているので効率よく外部に光を照射することができる。
【0026】
また、カバー体2の外面に遮光フィルム3、3a、3bを貼り付けたので、その部分から光を照射することにより、遮光部分の図形や文字を表示させることができる。また、この遮光フィルム3、3a、3bを取り替えるだけで、多くの客先の要求に応えることができ、汎用性を持たせることが可能となる。
【0027】
このように本実施例によれば、遠くからでも利用者に会社名等を容易に識別させることができ、メンテナンスの必要がなく、しかも、低コストで汎用性のある車両用表示灯を提供することができる。
【0028】
(応用例等)
なお、本発明は上記の実施例に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な応用が可能である。実施例では、遮光フィルム3等をカバー体2の外面に貼り付けたが、内面に貼り付けても良く、また、フィルム状のものに限定しない。また、LED6に替えて、蛍光灯や白熱電球等の他の光源を使用することもできる。また、導光板に替えて導光チューブをカバー体の内面に這わせておくことも可能である。また、本実施例では、反射フィルムを用いているが、カバー体の他の側面および上面に光を照射させる場合にはこれを省略することも可能である。また、本実施例では、表示する文字を遮光させたが、反対に文字の部分だけ透光するように、遮光フィルムを加工することも可能である。また、遮光フィルムを用いず、カバー体2に塗装してこのフィルムの代わりとしても良い。また、LED6は単色LEDに限定する必要はなく、フルカラーLED等により様々な発光色に調光することも可能である。また、LED6を導光板下部の長手方向に複数個設置することにより、より一層の一様な照射光を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の車両用表示灯の斜視図である。
【図2】本実施例の車両用表示灯の正面図(a)とそのA−A断面図(b)である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両用表示灯、2 カバー体、3、3a、3b 遮光フィルム、4 導光板、5 プリント基板、6 LED、7 点灯回路の構成部品、8 電源コード、9 反射フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋上に取りつけられる車両用表示灯において、
透光性を有するカバー体と、
前記カバー体の内面に設置された導光体と、
前記導光体に照射する発光素子と、
を備えることを特徴とする車両用表示灯。
【請求項2】
前記発光素子は、発光ダイオードである、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示灯。
【請求項3】
前記導光体は、導光板である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示灯。
【請求項4】
前記カバー体の内面または外面に設置された遮光体を設ける、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用表示灯。
【請求項5】
前記導光体の少なくとも一方の面に設置される反射体を設ける、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用表示灯。

【図1】
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【図2】
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