説明

車両用計器

【課題】 確認モード時における鳴動手段による出力を多様化させることによって、確認効率を高めることができる車両用計器を提供する。
【解決手段】 外部からの信号に基づいて確認モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段3が作動するように制御する制御手段2を備えた車両用計器であって、制御手段2による制御によって鳴動する鳴動手段4を備え、制御手段2は、前記確認モードにおいて、表示手段3の制御に対応させて音を変化させて発するように鳴動手段4を制御してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの信号に基づいて確認モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段が作動するように制御する制御手段を備えた車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
確認モードにおいて、車両からの情報に依存せず、計器に搭載された指針や照明などに対して、適正に作動することができるか確認するなど、故障の自己診断を行うことができるシステムが提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの車両用計器にあっては、確認モード中、例えば、指針が作動しない場合に、故障の有無を確認できるものの、それ以上の特定、例えば、プログラムや演算処理などのソフトの不具合であるのか、指針駆動源などのハードの不具合であるのか特定できないという課題があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、上述した課題に着目してなされたものであって、確認モード時における鳴動手段による出力を多様化させることによって、確認効率を高めることができる車両用計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用計器は、外部からの信号に基づいて確認モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段が作動するように制御する制御手段を備えた車両用計器であって、前記制御手段による制御によって鳴動する鳴動手段を備え、前記制御手段は、前記確認モードにおいて、前記表示手段の制御に対応させて音を変化させて発するように前記鳴動手段を制御してなることを特徴とする。
【0007】
また、前記表示手段は、回動する指針と、この指針の指示対象となる指標とを設けてなり、前記制御手段は、前記指針が所定指示位置となるように制御するとともに、前記指針の指示位置に応じて音を変化させるように前記鳴動手段を制御してなることを特徴とする。
【0008】
また、前記制御手段は、前記表示手段の制御に対応させて、音圧、または出力周波数、パターンを変化させて鳴動するように前記鳴動手段を制御してなること特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、前記表示手段の制御に対応させて、確認項目に関して音声ガイドするように前記鳴動手段を制御してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、外部からの信号に基づいて確認モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段が作動するように制御する制御手段を備えた車両用計器に関し、確認モード時における鳴動手段による出力を多様化させることによって、確認効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態の車両用計器の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態として、本発明の車両用計器について、添付図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、車両用計器の構成を示す図であり、入力手段1と、制御手段2と、表示手段3と、鳴動手段4と、から構成されている。
【0014】
入力手段1は、確認者が押し圧操作できるスイッチを適用でき、操作に応じて制御手段2に信号を出力するものである。入力手段1は、この場合、通常モード時において、計器に搭載された照明輝度の調整用スイッチや液晶表示画面の切り換え用スイッチを用いてなるが、例えば、ブレーキペダルやステアリングスイッチなど計器外の車両インターフェースを用いることもできる。
【0015】
制御手段2は、マイクロコンピュータを適用でき、入力される情報や所定のプログラムを格納するための記憶部と、これらの情報やプログラムに基づいて演算処理を行う演算部と、入力手段1からの信号や、通信ケーブルを介して車両情報を入力、または表示手段3や鳴動手段4へ制御信号を出力するための入出力インターフェース等を設けてなる。
【0016】
また、制御手段2は、入力手段1による所定操作によって、通常モードと確認モードとを切り換えることができ、各々用意されたプログラムに基づいて、表示手段3や鳴動手段4を作動させるための制御信号を生成し出力する。
【0017】
表示手段3は、回動する指針と、この指針の指示対象となる指標を備えた文字板と、指針の駆動源となるモータとを設けてなる所謂アナログ表示部と、計測値を数値やゲージにて表現する液晶パネルやバックライトからなる液晶表示部と、を設けてなる。表示手段3は、制御手段2からの制御信号に基づいて、指針の回動や液晶パネルとバックライトの駆動を行い、通常モードにおいては、車両速度や、走行距離、燃費情報、外気温度などの情報を表示することができる。
【0018】
鳴動手段4は、スピーカを適用でき、制御手段2からの制御信号に基づいて、所望の音を発するように構成される。鳴動手段4は、この場合、通常モードにおいて、警報時の注意喚起や音声ガイドなどを行うために作動する。
【0019】
次に、制御手段2による確認モード時の処理について説明する。
【0020】
制御手段2は、確認モード時において、アナログ表示部の指針の回動について確認する指針確認処理を行う。制御手段2は、指針を最低値から最高値を示すまで回動させるように促す制御信号を表示手段3に発するとともに、回動に応じて音圧が高まるように促す制御信号を鳴動手段4に発する。
【0021】
この指針確認処理によって、指針の回動を確認するのと同時に鳴動手段4の動作を確認できるため、効率のよい確認作業が可能となる。また、指針の回動している状態を確認者に注目させるという演出効果がある。なお、回動に応じて音圧を変化させるのではなく、出力周波数を変えて徐々に高音、あるいは低温にすることで指針の変化と同調させることもできる。また。発音する間隔を徐々に短く、あるいは長くするなどして、指針の変化を音で表現することができる。
【0022】
また、制御手段2は、指針確認処理において、表示手段3を所定指示値、例えば、車両速度計の60km/hを示す位置に指針を数秒間指示させ、この際の鳴動手段4による出力について、それまでと異なる音色や発音パターン、または「毎時60キロメートル」というような音声出力を促すこともできる。したがって、制御手段2の演算によって生成された制御信号に基づいて、適正な指示値(指示位置)を示すが否かを確認することができるだけでなく、確認タイミングとして判別することができ、確認の作業効率を高めることができる。
【0023】
また、制御手段2は、確認モード時において、液晶表示部の表示出力について確認する液晶確認処理を行うことができる。制御手段2は、予め定められたタイミングで表示やバックライト輝度が変化するように促す制御信号を表示手段3に発するとともに、表示内容やバックライト輝度に応じて発音パターンや音圧が変化するように促す制御信号を鳴動手段4に発する。
【0024】
この液晶確認処理によって、液晶表示部による表示を確認するのと同時に鳴動手段4の動作を効率よく確認でき、また、表示変化や輝度変化している状態を確認者に注目させるという演出効果がある。
【0025】
また、これら処理によって、表示手段3と鳴動手段4との両方が所定の作動を行わなかった場合と、片方が所定の動作を行わなかった場合とで、何れの部品が故障、または故障していないかを特定する判断材料となるため、効率の良い作動確認作業となる。
【0026】
斯かる車両用計器は、外部からの信号に基づいて確認モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段3が作動するように制御する制御手段2を備えた車両用計器であって、制御手段2による制御によって鳴動する鳴動手段4を備え、制御手段2は、前記確認モードにおいて、表示手段3の制御に対応させて音を変化させて発するように鳴動手段4を制御してなる。
【0027】
したがって、確認モード時における鳴動手段4による出力を多様化させることによって、確認効率を高めることができる。
【0028】
また、表示手段3は、回動する指針と、この指針の指示対象となる指標とを設けてなり、制御手段2は、前記指針が所定指示位置となるように制御するとともに、前記指針の指示位置に応じて音を変化させるように鳴動手段4を制御してなることによって、演出となるだけでなく、表示手段(指示値)を確認するタイミングを知らせることができる。
【0029】
また、制御手段2は、表示手段3の制御に対応させて、音圧、または出力周波数、パターンを変化させて鳴動するように鳴動手段4を制御してなることによって、表示手段2の作動状態に応じた多様な表現、演出を行うことが可能となる。
【0030】
制御手段2は、表示手段3の制御に対応させて、確認項目に関して音声ガイドするように鳴動手段4を制御してなることによって、仕様書類を参照しなくても効率よく確認することができる。
【0031】
なお、本発明の車両用計器を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。例えば、鳴動手段4としてスピーカを用いたものを説明したが、通常モードにおいて音声出力など精細な出力が必要ない場合には、ブザーを代替してもよい。
【0032】
また、表示手段3として、指針を用いたアナログ表示部と、液晶表示部について例に挙げて説明したが、車両状態を光源の点灯/消灯にて示すインジケータや文字板の照明についても、確認モードにおける確認対象として適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば、自動車、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用計器として適用できる。
【符号の説明】
【0034】
2 制御手段
3 表示手段
4 鳴動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの信号に基づいて確認モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段が作動するように制御する制御手段を備えた車両用計器であって、
前記制御手段による制御によって鳴動する鳴動手段を備え、
前記制御手段は、前記確認モードにおいて、前記表示手段の制御に対応させて音を変化させて発するように前記鳴動手段を制御してなることを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
前記表示手段は、回動する指針と、この指針の指示対象となる指標とを設けてなり、
前記制御手段は、前記指針が所定指示位置となるように制御するとともに、前記指針の指示位置に応じて音を変化させるように前記鳴動手段を制御してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示手段の制御に対応させて、音圧、または出力周波数、パターンを変化させて鳴動するように前記鳴動手段を制御してなること特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記表示手段の制御に対応させて、確認項目に関して音声ガイドするように前記鳴動手段を制御してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。

【図1】
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【公開番号】特開2011−20595(P2011−20595A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168375(P2009−168375)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】