説明

車両用計器

【課題】液晶パネルの面積が広い場合においても、液晶パネル全体をバランス良く、且つ、明るく照明できる車両用計器を提供する。
【解決手段】プリント基板14の表面側にプリント基板14と間隔があくように液晶パネル2をパネル状取付部材3で取り付ける。プリント基板14上に一対のLED7を離間して取り付ける。両LED7から発せられる光のうち液晶パネル2に略直交する方向に向かう第1の光L1を遮る一対の第1内壁部33と、両LED7の中間に位置し、両LED7から発せられる光のうち液晶パネル2に略沿う方向に向かう第2の光L2を液晶パネル2に向かって反射拡散させる橋絡部35とを有し、両LED7から発せられる光のうち第1及び第2の光L1、L2、L4を除く第3の光L3、L5を液晶パネル2と橋絡部35との間から対向するLED7側の照明空間Sを経て液晶パネル2に透過させるように構成された取付部材3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行距離や燃料残量等の車両の各種状態が表示される液晶パネルを備えた車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の運転席前方に設けられた車両用計器には、走行距離や燃料残量等の車両の各種状態を表示する液晶パネルが設けられている。該液晶パネルは、自発光式ではなく、背面側に配置された光源を透過させる、又は、太陽光の光を透過・反射させることによって文字等を表示させるようになっている。
【0003】
ところで、上記液晶パネルの背面側に配置された光源から発せられる光を上記液晶パネルの透過部分に直接透過させると、液晶パネルの光源に近い領域が他の領域より明るくなり過ぎて照明ムラが発生してしまう。
【0004】
これを回避するために、例えば、特許文献1の車両用計器は、液晶パネルの外周縁近傍に配置された光源から発せられて直接液晶パネルに向かう光を遮る遮蔽板と、光源から液晶パネルに沿って発せられる光を液晶パネルに向かうように反射拡散させる反射板とを備え、光源から発せられる光を液晶パネルに間接的に向かうようにして照明ムラをなくすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4514569号公報(段落0027〜0033欄、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の如き構造であっても、液晶パネルの面積が広い場合、光源から遠く離れた領域は光が届き難いので、光源に近い領域より暗くなってしまい、照明ムラが発生してしまう。これを回避するためには、遮蔽板の形状を変更し、反射板において液晶パネルの光源から近い領域に向かって反射拡散させる光の量を減らし、液晶パネル全体の照明ムラを無くすようにする工夫が必要であるが、そうすると、液晶パネルの照明が全体的に暗くなってしまう。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液晶パネルの面積が広い場合においても、液晶パネル全体をバランス良く、且つ、明るく照明できる車両用計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、光源を2つ用いて、当該2つの光源からそれぞれ発せられる光の液晶パネルへの透過のさせ方に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、第1の発明では、液晶パネルと、電子部品が実装されたプリント基板と、該プリント基板の表面側に当該プリント基板と間隔をあけて上記液晶パネルを取り付けるパネル状取付手段と、上記液晶パネルの互いに対向する外周縁近傍のプリント基板上に離間して取り付けられた一対の光源と、上記プリント基板、上記液晶パネル及び上記取付手段の間に形成された照明空間とを備え、上記取付手段には、上記両光源の液晶パネル側にそれぞれ位置し、上記両光源を液晶パネル側から個々に覆って上記各光源から発せられる光のうち液晶パネルに略直交する方向に向かう第1の光を遮る一対の遮蔽部と、上記両光源の中間に位置し、上記両光源から発せられる光のうち液晶パネルに略沿う方向に向かう第2の光を上記液晶パネルに向かって反射拡散させる反射部とが設けられ、上記両光源から発せられる光のうち上記第1及び第2の光を除く第3の光を上記液晶パネルと上記反射部との間から対向する光源側の照明空間を経て液晶パネルに透過させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、上記光源は、LEDからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明では、液晶パネルの一方の光源側は、一方の光源から発せられて反射部で反射拡散されて届く光に加えて、他方の光源から発せられて反射部を越えて直接届く光が透過する一方、液晶パネルの他方の光源側は、他方の光源から発せられて反射部で反射拡散されて届く光に加えて、一方の光源から発せられて反射部を越えて直接届く光が透過するようになる。したがって、液晶パネルの面積が広い場合においても、照明ムラをなくしながら液晶パネル全体をバランス良く、且つ、明るく照明することができる。
【0012】
第2の発明では、光源が小さくなるので、液晶パネル周辺をコンパクトな構造にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用計器の正面図である。
【図2】実施形態に係る車両用計器の分解斜視図である。
【図3】実施形態に係る取付部材の斜視図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用計器1を示す。該車両用計器1は、運転者が車両の各種状態を把握できるように運転席前方に位置するインストルメントパネル(図示せず)内に収められていて、中央には車両の速度を表示するデジタル表示の速度表示1aが位置し、該速度表示1aの車幅方向右側には、車両の走行距離を表示する積算表示1b、オートマティックセレクタの状態を示すオートマティックセレクタ表示1c、及び燃料の残量を表示する燃料残量表示1dの3つが互いに接近配置されている。
【0016】
上記車両用計器1は、図2に示すように、車幅方向に延びる略矩形パネル状の樹脂製計器本体10を備え、該計器本体10の中央には、上記速度表示1aに対応する複数の小孔10aが形成され、該計器本体10の両側には、略矩形状の貫通窓10bが一対形成されている。
【0017】
上記計器本体10の表面側には、目盛や文字を表示するための樹脂製文字盤11が上記計器本体10の表面側全域を覆うように配設されている。
【0018】
また、上記文字盤11の表面側には、上記計器本体10の外周縁に沿う環状をなす樹脂製バイザー12と、上記計器本体10全域を覆う透明樹脂製の保護ガラス13とが設けられ、該保護ガラス13は、上記バイザー12の内方に組み付けられ、当該バイザー12は、上記計器本体10に組み付けられるようになっている。
【0019】
一方、上記計器本体10の裏面側には、電子部品等が実装された略矩形板状のプリント基板14が配設され、該プリント基板14は、その裏面側に配設されるリアケース15と上記計器本体10との間で挟まれて固定されるようになっている。
【0020】
上記プリント基板14の車幅方向右寄りの表面側には、上記積算表示1b、オートマティックセレクタ表示1c及び燃料残量表示1dをそれぞれ表示する略矩形板状の液晶パネル2と、上記プリント基板14と間隔をあけて上記液晶パネル2を上記プリント基板14に取り付けるパネル状の取付部材(取付手段)3とが設けられ、上記プリント基板14、上記液晶パネル2及び上記取付部材3の間に照明空間S(図4及び図5参照)が形成されるようになっている。
【0021】
また、上記液晶パネル2における車幅方向両側で、且つ、互いに対向する外周縁近傍のプリント基板14上には、図4に示すように、一対のLED(光源)7が離間して取り付けられている。
【0022】
上記液晶パネル2は、光が透過することにより文字等が表示されるようになっていて、上記貫通窓10bから車両内部に臨むようになっている。
【0023】
上記液晶パネル2の上端縁及び下端縁には、図2及び図5に示すように、それぞれ上記プリント基板14に向かって延びる針状の端子2aが車幅方向に複数設けられ、該複数の端子2aは、上記プリント基板14の端子台14c(図5に記載)に接続されるようになっている。
【0024】
また、上記液晶パネル2の裏面には、透過する光を拡散させて照明ムラを抑える樹脂製の拡散板2b(図2参照)が配設されている。
【0025】
上記取付部材3は、図3に示すように、平面視で略左右対称の形状をなし、略矩形環状をなす枠部31と、該枠部31の外周縁からプリント基板14側に延出する外壁部32とを備えている。
【0026】
上記枠部31の上辺部及び下辺部は、車幅方向両側辺部よりもプリント基板14側に接近していて、当該部分の両側、すなわち上記枠部31の四隅近傍には、当該枠部31の外側方に撓む係止片31aがそれぞれ一体に形成され、該各係止片31aが上記液晶パネル2の外周縁に係止することにより、当該液晶パネル2が取付部材3に取り付けられるようになっている。
【0027】
また、上記枠部31の上辺部及び下辺部には、車幅方向に延びる細長形状の貫通孔31bが形成され、該貫通孔31bに上記液晶パネル2の各端子2aが挿通されるようになっている。
【0028】
一方、上記外壁部32の両側辺部には、係合爪32aが上下に所定の間隔をあけて一対設けられ、該係合爪32aがプリント基板14の図示しない係合孔に係合することにより、上記プリント基板14に上記取付部材3が取り付けられるようになっている。
【0029】
また、上記取付部材3は、上記枠部31の両側辺部内周縁から上記プリント基板14側に延出する左右一対の第1内壁部(遮蔽部)33と、上記枠部31の上辺部及び下辺部内周縁から上記プリント基板14側に延出する上下一対の第2内壁部34とを備えている。
【0030】
上記一対の第1内壁部33は、図4にも示すように、上記プリント基板14側に行くにしたがって互いに接近しながら緩やかに上記液晶パネル2に対して傾斜し、その延出端は、上記プリント基板14の表面から所定の間隔をあけた位置となっていて、上記第1内壁部33の延出端と上記プリント基板14の表面との間には、光通過口33aが形成されている。
【0031】
そして、上記一対の第1内壁部33は、上記両LED7の液晶パネル2側にそれぞれ位置し、上記両LED7を液晶パネル2側から個々に覆って上記各LED7から発せられる光のうち液晶パネル2に略直交する方向に向かう第1の光L1を遮るようになっている(図4参照)。
【0032】
一方、上記一対の第2内壁部34は、図5にも示すように、上記プリント基板14側に行くにしたがって互いに接近しながら上記液晶パネル2に対して緩やかに傾斜し、その延出端は、プリント基板14の表面にまで達していて、両LED7から発せられる光を液晶パネル2に向かって反射拡散させるようになっている。
【0033】
上記第2内壁部34の車幅方向両側には、図3に示すように、延出端側の略半分が凹状に窪み、上記第1内壁部33の延出端縁に対向する対向面部34aと上記第1内壁部33の延出端縁と交差する交差面部34bとが設けられている。
【0034】
上記対向面部34aは、上記プリント基板14側に行くにしたがって第1内壁部33に接近しながら傾斜する一方、上記交差面部34bは、上記プリント基板14に対して略垂直となっている。
【0035】
そして、車幅方向左側の対向面部34aは、図3に示すように、車幅方向左側に位置するLED7(以下、左側LED7と呼ぶ)から発せられる光のうち、上記液晶パネル2に略沿うように車幅方向右側に向かって発せられて車幅方向左側の光通過口33a(以下、左側光通過口33aと呼ぶ)を通過する第2の光L2を上記液晶パネル2の車幅方向左側部分に向かって反射拡散させる一方、車幅方向右側の対向面部34aは、車幅方向右側に位置するLED7(以下、右側LED7と呼ぶ)から発せられる光のうち、上記液晶パネル2に略沿うように車幅方向左側に向かって発せられて車幅方向右側の光通過口33a(以下、右側光通過口33aと呼ぶ)を通過する第2の光L4を上記液晶パネル2の車幅方向右側部分に向かって反射拡散させるようになっている。
【0036】
上記取付部材3の略中央、即ち、上記両LED7の中間には、上記一対の第2内壁部34の延出端側を互いに橋絡する橋絡部(反射部)35が一体に形成され、該橋絡部35は上記液晶パネル2の略中央下方に位置している。
【0037】
該橋絡部35は、図4に示すように、上記液晶パネル2側が先細の断面略V字状をなし、車幅方向左側及び右側にそれぞれ向く一対の傾斜面部35aを有し、その先端は、上記第1内壁部33の延出端よりも若干液晶パネル2側で、且つ、当該液晶パネル2裏面から所定の間隔Dをあけた位置となっている。
【0038】
上記橋絡部35における車幅方向左側の傾斜面部35aは、左側LED7から発せられる光のうち、上記液晶パネル2に略沿うように車幅方向右側に向かって発せられて左側光通過口33aを通過する第2の光L2を上記液晶パネル2の車幅方向左側部分に向かって反射拡散させるようになっている。
【0039】
そして、上記左側LED7から発せられる光のうち、上記第1の光L1及び第2の光L2を除く第3の光L3は、上記液晶パネル2と上記橋絡部35との間から車幅方向右側の照明空間Sを経て液晶パネル2の車幅方向右側部分に透過するようになっている。
【0040】
一方、上記橋絡部35における車幅方向右側の傾斜面部35aは、右側LED7から発せられる光のうち、上記液晶パネル2に略沿うように車幅方向左側に向かって発せられて右側光通過口33aを通過する第2の光L4を上記液晶パネル2の車幅方向右側部分に向かって反射拡散させるようになっている。
【0041】
そして、上記右側LED7から発せられる光のうち、上記第1の光L1及び第2の光L4を除く第3の光L5は、上記液晶パネル2と上記橋絡部35との間から車幅方向左側の照明空間Sを経て液晶パネル2の車幅方向左側部分に透過するようになっている。
【0042】
以上より、本発明の実施形態によれば、液晶パネル2の左側LED7側は、左側LED7から発せられて橋絡部35で反射拡散されて届く第2の光L2に加えて、右側LED7から発せられて橋絡部35を越えて直接届く光L5が透過する一方、液晶パネル2の右側LED7側は、右側LED7から発せられて橋絡部35反射拡散されて届く第2の光L4に加えて、左側LED7から発せられて橋絡部35を越えて直接届く第3の光L3が透過するようになる。したがって、液晶パネル2の面積が広い場合においても、照明ムラをなくしながら液晶パネル2全体をバランス良く、且つ、明るく照明することができる。
【0043】
また、光源にLED7を用いているので、光源が小さくなり、液晶パネル2周辺をコンパクトな構造にできる。
【0044】
尚、本発明の実施形態では、光源にLEDを用いているが、これに限らず、他の種類の光源を用いてもよい。
【0045】
また、本発明の実施形態では、計器本体10と取付部材3とが別体であるが、一体に形成してもよい。
【0046】
さらに、本実施形態では、自動車に用いられる車両用計器1についての適用について説明したが、例えば、自動二輪車に適用してもよいし、他の車両に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、走行距離や燃料残量等の車両の各種状態が表示される液晶パネルを備えた車両用計器に適している。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用計器
2 液晶パネル
3 取付部材(取付手段)
7 LED(光源)
14 プリント基板
33 第1内壁部(遮蔽部)
35 橋絡部(反射部)
S 照明空間
L1 第1の光
L2,L4 第2の光
L3,L5 第3の光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
電子部品が実装されたプリント基板と、
該プリント基板の表面側に当該プリント基板と間隔をあけて上記液晶パネルを取り付けるパネル状取付手段と、
上記液晶パネルの互いに対向する外周縁近傍のプリント基板上に離間して取り付けられた一対の光源と、
上記プリント基板、上記液晶パネル及び上記取付手段の間に形成された照明空間とを備え、
上記取付手段には、上記両光源の液晶パネル側にそれぞれ位置し、上記両光源を液晶パネル側から個々に覆って上記各光源から発せられる光のうち液晶パネルに略直交する方向に向かう第1の光を遮る一対の遮蔽部と、
上記両光源の中間に位置し、上記両光源から発せられる光のうち液晶パネルに略沿う方向に向かう第2の光を上記液晶パネルに向かって反射拡散させる反射部とが設けられ、
上記両光源から発せられる光のうち上記第1及び第2の光を除く第3の光を上記液晶パネルと上記反射部との間から対向する光源側の照明空間を経て液晶パネルに透過させるように構成されていることを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用計器において、
上記光源は、LEDからなることを特徴とする車両用計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44673(P2013−44673A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183834(P2011−183834)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(591182112)NSウエスト株式会社 (10)
【Fターム(参考)】