説明

車両用配索部品の接続方法および接続装置

【課題】車体側のサイドメンバにフロントエンドモジュールを組み付ける際に、両者間の配管類を比較的簡易な治具を用いて容易に接続することができる方法を提供する。
【解決手段】車体B側のサイドメンバSおよびフロントエンドモジュールMに予めスロット1を有する治具ブロックJ1またはJ2を装着して、それらに配管P1またはP2を把持させておく。サイドメンバSにフロントエンドモジュールMを組み付ける際に、治具ブロックJ1,J2同士を嵌合させ、双方の治具ブロックJ1,J2が把持している配管P1,P2同士を相互に嵌合させて接続する。接続後に治具ブロックJ1,J2を上方に引き抜く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるモジュール構造を採用した車両において、車体に対してフロントエンドモジュールを組み付ける際に、それらの車体側およびフロントエンドモジュール側にそれぞれ付帯している配管等の配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に記載のようないわゆるモジュール構造を採用した車両において、ラジエータ等を母体として予め組み立てたフロントエンドモジュールを車体に組み付ける際に、例えば油液供給のために車体側およびフロントエンドモジュール側の双方にそれぞれ付帯している配管類も同時に接続する必要があるが、これらの配管接続作業はその多くを人為的作業に依存してるのが実情である。
【特許文献1】特開2004−291764号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−146244号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなモジュール構造の車体の特殊性として配管接続箇所が多岐にわたるだけでなく、配管類の配置位置が錯綜化しているため、作業者に無理な姿勢での作業を強いることになり、作業者の肉体的負担が大きく、作業性が悪いという問題がある。
【0004】
そこで、配管類を特定の一箇所もしくは二箇所に予め集約化した上で所定の治具を用いていわゆる一括接続構造とすることが試みられているが、集約化した配管類の数が多くなればなるほどそれらの配管接続に要する挿入力および治具取り外し力が大きくなり、大規模な自動化設備を導入しないかぎり対応することが困難となる。
【0005】
本発明はこのような背景のもとになされたものであり、配管類を特定の一箇所もしくは二箇所に予め集約化した上で所定の治具を用いていわゆる一括接続構造にて接続することを前提としつつも、比較的簡易な治具を用いるだけで所期の目的を達成することができるようにした接続方法と接続装置を提供しようとするものである
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車体に対してフロントエンドモジュール等のモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する方法であることを前提としている。
【0007】
その上で、車体側およびモジュール部材側のそれぞれに配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な治具ブロックを予め装着するとともに、配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもってそれぞれの治具ブロックにて配索部品を把持する治具装着工程と、車体に対するモジュール部材の組み付けをもって治具ブロック同士を嵌合させることにより配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了時に上記把持力を解除する接続工程と、上記配索部品同士の嵌合完了を待って車体側およびモジュール部材側の治具ブロックを同時に引き抜く治具取り外し工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
ここに言う配索部品同士の接続とは、配管同士の相互嵌合による接続、もしくはワイヤハーネス(組み電線)同士のコネクタ嵌合による接続等を想定している。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、実質的に請求項1に記載の技術を接続装置として捉えたものであって、車体に対してモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置であることを前提としている。
【0010】
その上で、車体側およびモジュール部材側のそれぞれに予め装着されるとともに、配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な一対の治具ブロックをもって構成してなり、各治具ブロックは、配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもって配索部品を把持する機能と、車体に対するモジュール部材の組み付けをもって相互嵌合して配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了をもって上記把持力を解除して車体側およびモジュール部材側からの同時引き抜きを可能にする機能とを備えていることを特徴とする。
【0011】
したがって、請求項1,5に記載の発明では、車体およびモジュール部材のそれぞれに独立した治具ブロックを着脱可能に装着して、車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品をそれらの治具ブロックにて把持して拘束しておく。
【0012】
そして、車体に対してモジュール部材を正規組付状態をもって組み付ける際に、その組付力および組付ストロークをもって双方の治具ブロック同士を嵌合させることで、最初にそれらの治具ブロックを介して車体側の配索部品とモジュール部材側の配索部品との相対位置決めがなされることになる。さらに、車体とモジュール部材とが正規組付状態になると、それぞれの治具ブロックに把持されて拘束されている車体側の配索部品とモジュール部材側の配索部品とが相互嵌合して接続されることになる。同時に、各治具ブロックは、相互嵌合をもって接続された配索部品のそれまでの把持力を解除することになる。
【0013】
この状態において、なおも相互嵌合している双方の治具ブロックは接続後の配索部品を残して引き抜き可能であることから、双方の治具ブロックを同時に引き抜くことで配索部品同士の接続作業が完了する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,5に記載の発明によれば、比較的簡易な治具ブロックを補助的に用いることで、車体に対するモジュール部材の組付力を有効利用しながら配索部品同士の相互嵌合をもってその接続作業を行うことができるから、作業者の負担を軽減できる上に大規模な自動化設備も不要であり、配索部品同士の接続を安定して行える効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1以下の図面は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であり、特に図1,2は車体B側のサイドメンバSの先端にその前面側からモジュール部材としてのフロントエンドモジュール(以下、「フロントモジュール」と略称する)Mを組み付けた状態を示している。すなわち、図1はサイドメンバSの先端にその前面側からフロントモジュールMを組み付ける際に、サイドメンバS側およびフロントモジュールM側ごとに独立している治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12をもってそのサイドメンバSとフロントモジュールMとの間で配管P1,P2同士またはP3,P4同士を接続した状態を、図2は配管P1,P2同士またはP3,P4同士の接続完了後にそれぞれの治具ブロックJ1,J2およびJ11J,12を引き抜く(取り外す)途中の状態をそれぞれ示している。
【0016】
図1,2に示すように、治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12はサイドメンバS側およびフロントモジュールM側ごとに独立した偏平ブロック状のものであり、サイドメンバSに対するフロントモジュールMの組み付けに先立って、それらサイドメンバSおよびフロントモジュールMに予め治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12を上方から個別に装着しておくものとする。その際に、各治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12は該当する配管P1,P3をスロット1にて受容するとともに、後述するように内蔵する把持爪3,3‥にてそれらの配管P1,P3を把持させておく。そして、サイドメンバSにフロントモジュールMを組み付けるべくフロントモジュールMをサイドメンバSに突き合わせる過程で、その組付ストロークおよび組付力のもとで双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12もまた相互に嵌合して、その結果として各治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12同士が把持している配管P1,P2同士およびP3,P4同士もまた相互に嵌合して接続されることになる。
【0017】
この後、図2に示すようにサイドメンバSに対してフロントモジュールMが正規組付状態となった状態では、双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12はなおも相互嵌合状態にあることから、同図に矢印aで示すように双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12同士を一体のものとして同時にそれぞれ上方に引き抜けば、サイドメンバSに対するフロントモジュールMの組み付けと同時に配管P1,P2同士およびP3,P4同士の接続も完了することになる。
【0018】
図3は一例として図1,2に示した単一の配管P1またはP2を把持可能な治具ブロックJ1,J2を示しており、配管P1またはP2を受容するためのスロット1をはさんでその両側の内側面2には片側4個ずつで両側8個で一組とするの把持爪3,3‥を対向配置してある。
【0019】
各把持爪3,3‥は所定曲率で湾曲したゴムをもって形成したものであり、図7に示すように各把持爪3,3‥の頂部をもって断面が円形の配管P1またはP2をセンタリングしながら弾性的に把持するようになっている。つまり、後述するように各把持爪3,3‥は該当する配管P1,P2同士の相互嵌合方向および治具ブロックJ1,J2そのものの脱着方向と共に直交する方向から弾性的に把持することが可能となっている。同時に、それらの把持爪3,3‥は曲率半径が可変となっており、後述するようにその曲率半径を積極的に変化させることで各把持爪3,3‥が配管P1またはP2に及ぼす把持力が可変となっている。
【0020】
より詳しくは、図4の(A),(B)に示すように、治具ブロックJ1,J2の内側面2には把持すべき配管P1またはP2の軸心方向に進退移動(スライド)可能なスライド部材としてセンタピン4が配置されているとともに、そのセンタピン4は圧縮コイルスプリング5にて図4の(B)の左方向に付勢されている。また、センタピン4の近傍には、片側4個の把持爪3,3‥にそれぞれに対応する複数のベアリングスライダ6が配置されていて、各ベアリングスライダ6はセンタピン4のスライド方向と直交する溝7内を上下方向にスライド可能で且つ回転可能となっているとともに、これらのベアリングスライダ6とセンタピン4はアーム8にて個別に連結されている。センタピン4には対応する把持爪3,3‥の一端が連結されている一方、各把持爪3,3‥の他端はセンタピン4をガイドしているガイドブロック9に連結されている。これにより、センタピン4のスライド動作に応じて上下のベアリングスライダ6,6同士ひいては各把持爪3,3‥の両端部同士が接近離間動作し、もって内側面2からの各把持爪3,3‥の突出量ひいては各把持爪3,3‥の曲率半径が変化する構造となっている。
【0021】
センタピン4の後端には図5,6に示すようにフック10が形成されており、図5に示すようにベアリングスライダ6,6同士が上下方向で最も離間した時、すなわち各把持爪3,3‥の曲率半径が最大となった時に上記フック10が治具ブロックJ1,J2の背面に係止してその状態を自己保持することができるように設定されている。すなわち、図5に示すように各把持爪3,3‥の曲率半径が最大となった状態では、各把持爪3,3‥の把持力が該当する配管P1またはP2に及ばないように設定されており、したがって、フック10を有するスライド部材たるセンタピン4は、配管P1またはP2に対する把持爪3,3‥の把持力解除状態を自己保持するロック手段を形成している。
【0022】
ここで、図6に示すように、上記のセンタピン4は各把持爪3,3‥にて配管P1またはP2を把持可能となった時にフック10に配管P1側の突起11が当接することでフック10の係止が解除され、もって上記ロック状態が解除されてアンロック状態となり、図4の圧縮コイルばね5の弾性力をもってセンタピン4が同図(B)の左方向にスライドするのを許容することになる。その一方、逆に図8に示すように配管P1,P2同士の相互嵌合をもってその接続が完了した時には、同じく配管P1側のフランジ部12に押し戻されてフック10が再び係止状態となり、もってロック状態に復帰するように設定されている。
【0023】
このような構造によれば、先に図1に基づいて説明したように、サイドメンバSを有する車体BおよびフロントモジュールMそれぞれの単体の状態で上方から治具ブロックJ1,J2を装着する際には、センタピン4をロック状態として各把持爪3,3‥を最大の曲率半径を有する状態としておく。
【0024】
そして、図5,6に示すように治具ブロックJ1,J2を該当する配管P1,P2の上方から装着しながらスロット1にてその配管P1またはP2を受容する際には、各把持爪3,3‥の曲率半径が最大であるが故に各把持爪3,3‥と配管P1またはP2が干渉しないだけでなくその把持力は配管P1またはP2には及ばず、各把持爪3,3‥の対向間隙内に配管P1またはP2をスムーズに受容することが可能となる。
【0025】
やがて、図6の状態を経た上で図7に示すように各把持爪3,3‥と把持すべき配管P1またはP2との相対位置決めがなされて、合計8個の把持爪3,3‥にて配管P1またはP2を把持可能な状態になると、その過程で図6に示すように配管P1側に予め形成されている突起11がセンタピン4のフック10に当接してそのフック10の係止を外すことでセンタピン4のロック状態が解除されてアンロック状態となる。アンロック状態となったセンタピン4は図7のように圧縮コイルばね5の力により配管P1に予め形成されているフランジ部12に当接するまで前進動作し、それに連動して各把持爪3,3‥の曲率半径が小さくなり、各把持爪3,3‥の内側面2からの突出量が大きくなる。これにより、各把持爪3,3‥が配管P1に弾接して配管P1をセンタリングしながら弾性的に把持することになる。このような動作は、治具J2側においても全く同様に行われて配管P2を把持することになる。
【0026】
この状態がサイドメンバSを有する車体BおよびフロントモジュールMそれぞれの単体の状態で上方から治具ブロックJ1,J2を装着した状態であり、各治具ブロックJ1,J2はこの状態を自己保持することが可能である。
【0027】
次いで、図1,2に示した車体B側のサイドメンバSにフロントモジュールMを組み付けるべく両者を突き合わせると、先に述べたように双方の治具ブロックJ1,J2同士が嵌合する一方で、図7に示すように相互嵌合をもって接続すべきサイドメンバS側の配管P1とフロントモジュールM側の配管P2とが正対し、サイドメンバSとフロントモジュールMとの組み付けストロークの進行に併せて、その組み付け力を嵌合力として利用して図8に示すように配管P1,P2同士の相互嵌合をもってそれらが接続される。なお、配管P1側には予めシール材13が装着されている。
【0028】
この時、図8に示すように、配管P1,P2同士の相互嵌合に基づく接続の進行に併せてセンタピン4がフランジ部4にて押し戻されて、各把持爪3,3‥の曲率半径が徐々に大きくなるのに伴い、各把持爪3,3‥が配管P1,P2に及ぼす把持力が次第に小さくなって、配管P1,P2の位置自由度が確保される。そして、最終的には図8に示すようにセンタピン4のフック10が再び治具ブロックJ1,J2の背面に係止してロック状態となり、同時に最大曲率半径となった各把持爪3,3‥の把持力が配管P1,P2に及ばないいわゆる非把持状態となることで接続が完了する。
【0029】
なお、このような一連の動作は図1,2に示したもう一方の治具J11,J12側についても全く同様である。
【0030】
この後、図2に示すように相互嵌合状態にある各治具ブロックJ1,J2を一体のものとして同時に上方に引き抜いて配管P1,P2同士の接続作業を終了する。この時、図8に示したように各把持爪3,3‥が非把持状態にあることから各治具ブロックJ1,J2をきわめてスムーズに引き抜くことが可能となる。
【0031】
ここで、図2〜8では便宜上単一の治具ブロックJ1またはJ2にて単一の配管P1またはP2を把持する場合について例示したが、上下方向で所定距離離れた複数の配管を把持した上で同時に接続を行う場合には、図3のような両側の8個一組とする把持爪3,3‥をさらに付加することで対応可能であることは言うまでもない。
【0032】
また、必要に応じて図9に示すように両側の4個一組とする把持爪23,23‥の構成としても同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【0033】
このように本実施の形態によれば、きわめて簡素な治具ブロックJ1,J2を採用するだけで、車体Bに対するフロントモジュールMの組付時に各種配管P1,P2の相互嵌合による接続作業を同時に且つスムーズに行えるようになる。
【0034】
なお、上記の実施の形態では、配索部品として配管同士を接続する場合について例示したが、本発明はワイヤハーネス同士を例えばコネクタ嵌合にて接続する場合にも同様に適用することができる。
【0035】
また、本件はフロントエンドモジュール以外のモジュール、例えばコックピットモジュール等の組み付けにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のより具体的な実施の形態を示す図で、治具ブロックを使用した本発明の配索部品接続方法が適用されるモジュール構造の車両の車体に対しフロントエンドモジュールを組み付けた状態を示す要部斜視図。
【図2】図1の状態からの治具ブロックの取り外し状態を示す要部斜視図。
【図3】図1,2で使用される治具ブロックの概略構造を示す斜視図。
【図4】図3に示す治具ブロックの詳細を示す図で、(A)は把持爪の曲率半径を最小としたときの図3の要部拡大図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図5】図3に示す治具ブロックの詳細を示す図で、(A)は把持爪の曲率半径を最大としたときの図3の要部拡大図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図6】図3に示す治具ブロックの詳細を示す図で、(A)は把持爪による配管把持の直前の状態を示す要部正面図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図7】(A)は図6の状態から把持爪により配管を把持したときの状態を示す要部正面図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図8】(A)は図7の状態の把持爪から配管を解放したときの状態を示す要部正面図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図9】図3に示す治具ブロックの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1…スロット
3…把持爪
4…スライド部材としてのセンタピン(ロック手段)
6…ベアリングスライダ
8…アーム
10…フック
11…突起
12…フランジ部
23…把持爪
B…車体
J1,J2…治具ブロック
J11,J12…治具ブロック
M…フロントエンドモジュール
P1,P2…配管(配索部品)
P3,P4…配管(配索部品)
S…サイドメンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対してモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する方法であって、
車体側およびモジュール部材側のそれぞれに配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な治具ブロックを予め装着するとともに、配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもってそれぞれの治具ブロックにて配索部品を把持する治具装着工程と、
車体に対するモジュール部材の組み付けをもって治具ブロック同士を嵌合させることにより配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了時に上記把持力を解除する接続工程と、
上記配索部品同士の嵌合完了を待って車体側およびモジュール部材側の治具ブロックを同時に引き抜く治具取り外し工程と、
を含むことを特長とする車両用配索部品の接続方法。
【請求項2】
上記配索部品の把持力は弾性に基づく把持力であって、配索部品同士の嵌合進行度合いと並行して各配索部品の把持力が徐々に小さくなることを特徴とする請求項1に記載の車両用配索部品の接続方法。
【請求項3】
車体側およびモジュール部材側に対するそれぞれの治具ブロックの装着時には上記把持力が解除されていて、各治具ブロックと配索部品との相対位置決め完了時に初めて所定の把持力をもって配索部品を把持することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用配索部品の接続方法。
【請求項4】
各治具ブロックが複数の配索部品を同時に把持可能となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用配索部品の接続方法。
【請求項5】
車体に対してモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置であって、
車体側およびモジュール部材側のそれぞれに予め装着されるとともに、配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な一対の治具ブロックをもって構成してなり、
各治具ブロックは、
配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもって配索部品を把持する機能と、
車体に対するモジュール部材の組み付けをもって相互嵌合して配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了をもって上記把持力を解除して車体側およびモジュール部材側からの同時引き抜きを可能にする機能と、
を備えていることを特長とする車両用配索部品の接続装置。
【請求項6】
上記治具ブロックによる配索部品の把持力は弾性に基づく把持力であって、配索部品同士の嵌合進行度合いと並行して各配索部品の把持力が徐々に小さくなるように設定してあることを特徴とする請求項5に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項7】
車体側およびモジュール部材側に対するそれぞれの治具ブロックの装着時には上記把持力が解除されていて、各治具ブロックと配索部品との相対位置決め完了時に治具ブロックが初めて所定の把持力をもって配索部品を把持するように設定してあることを特徴とする請求項6に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項8】
各治具ブロックは、配索部品を弾性的に把持するべく断面円弧状のゴム系弾性体からなる複数の把持爪を有していて、配索部品に及ぼす把持力がこの把持爪の曲率半径の変化に応じて可変となっていることを特徴とする請求項7に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項9】
各治具ブロックは、車体側およびモジュール部材側への装着時に配索部品との相対位置決めが完するまでは把持爪による把持力解除状態を自己保持するロック手段を有していることを特徴とする請求項8に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項10】
上記ロック手段は、治具ブロックに対し配索部品同士の嵌合方向にスライド可能に設けられ且つ把持爪による把持力解除状態位置にてロック可能なスライド部材をもって形成されていて、
このスライド部材は、治具ブロックと配索部品との相対位置決めが完了した時点で配索部品の一部との当接によりアンロック状態となってスライド変位する一方、配索部品同士の相互嵌合完了時には同じく配索部品の他の一部との当接により押し戻されてロック状態となるように設定されていて、
このスライド部材のスライド変位に連動して把持爪の曲率半径が変化するように設定されいていることを特徴とする請求項9に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項11】
各治具ブロックが複数の配索部品を同時に把持可能となっていることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の車両用配索部品の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−182077(P2006−182077A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375196(P2004−375196)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】