車両空調用蓄熱装置
【課題】車室内を好適に空調することが可能な車両空調用蓄熱装置を提供する。
【解決手段】本発明の車両空調用蓄熱装置3は、蓄熱タンク3aを備えている。蓄熱タンク3aは、貯留室7と、バイパス流路9と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9と接続される流入路11と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9に接続される流出路13と仕切板15a〜15gが一体で形成されている。また、この蓄熱タンク3aには、水を加熱する第1、2ヒータユニット19、21が設けられており、バイパス流路9には第1開閉弁23が設けられている。この車両空調用蓄熱装置3では、蓄熱時に貯留室7内の水がバイパス流路9を流通することにより、水が貯留室7内を循環する。これにより、貯留室7内の水の温度が均一となる。このため、この車両空調用蓄熱装置3を備えた車両用空調装置では、車室内の暖房能力にばらつきが生じ難くなっている。
【解決手段】本発明の車両空調用蓄熱装置3は、蓄熱タンク3aを備えている。蓄熱タンク3aは、貯留室7と、バイパス流路9と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9と接続される流入路11と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9に接続される流出路13と仕切板15a〜15gが一体で形成されている。また、この蓄熱タンク3aには、水を加熱する第1、2ヒータユニット19、21が設けられており、バイパス流路9には第1開閉弁23が設けられている。この車両空調用蓄熱装置3では、蓄熱時に貯留室7内の水がバイパス流路9を流通することにより、水が貯留室7内を循環する。これにより、貯留室7内の水の温度が均一となる。このため、この車両空調用蓄熱装置3を備えた車両用空調装置では、車室内の暖房能力にばらつきが生じ難くなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両空調用蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1に従来の空調用蓄熱装置が開示されている。この空調用蓄熱装置は、熱交換媒体を貯留可能な貯留室と、貯留室に連通する流入口と、貯留室内の熱交換媒体を流出させる流出口と、バイパス流路とを備えている。この空調用蓄熱装置の貯留室内には、熱交換媒体を加熱可能な第1ヒータが備えられている。
【0003】
また、この空調用蓄熱装置の流入口に第1配管の一端側が接続され、第1配管の他端側が熱交換器としてのヒータコア側の流出口に接続されている。また、空調用蓄熱装置の流出口には第2配管の一端側が接続され、第2配管の他端側がヒータコア側の流入口に接続されている。このように空調用蓄熱装置とヒータコアとが接続されることで空調装置が構成されている。
【0004】
また、バイパス流路は、一端側が第1配管と接続され、他端側が第2配管と接続されている。そして、このバイパス流路には、バイパス流路内の熱交換媒体を加熱可能な第2ヒータが設けられている。
【0005】
以上のように構成されたこの空調装置では、空調用蓄熱装置の貯留室とヒータコアとの間で熱交換媒体を流通させる場合と、バイパス流路と第1、2配管とを連通させて、バイパス流路とヒータコアとの間で熱交換媒体を流通させる場合とを切り替えることが可能となっている。
【0006】
空調用蓄熱装置の貯留室とヒータコアとの間で熱交換媒体を流通させた場合には、貯留室内で加熱された熱交換媒体がヒータコア内に流入し、熱交換媒体がヒータコア内で放熱を行うことでヒータコア周りの空気が加熱される。これにより、この空調装置では、ヒータコア周りの空気が室内に供給され、室内が暖房される。なお、放熱によって冷却された熱交換媒体は、流入口を経て貯留室内に至り、再び加熱されることとなる。
【0007】
一方、長時間の暖房運転により、貯留室内の熱交換媒体の熱量が不十分となれば、上記の切り替えが行われ、バイパス流路とヒータコアとの間で熱交換媒体が流通する。これにより、貯留室内の熱交換媒体は、貯留室内に貯留された状態で第1ヒータにより加熱され、その熱を蓄える。一方、バイパス流路内の熱交換媒体は第2ヒータによって加熱され、室内の暖房は継続される。貯留室内の熱交換媒体が蓄えた熱量が十分になれば、再び切り替えが行われ、空調用蓄熱装置の貯留室とヒータコアとの間で熱交換媒体が流通する。こうして、この空調装置では、長時間に亘って室内を暖房することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−82050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の空調用蓄熱装置では、暖房時において、流入口から貯留室内に流入した熱交換媒体が流出口に短絡し、貯留室内で第1ヒータによって加熱されないまま流出口から流出するおそれがある。
【0010】
このため、熱交換媒体が短絡しないよう、貯留室内に仕切板等を設けた場合には、蓄熱時において、貯留室内の熱交換媒体が対流し難くなる問題がある。このため、この空調用蓄熱装置では、蓄熱時に貯留室内の第1ヒータの熱が貯留室内の熱交換媒体全体に行渡らず、貯留室内の熱交換媒体に温度のばらつきが生じることとなる。
【0011】
このため、車両用空調装置にこの空調用蓄熱装置を採用しても、空調能力にばらつきが生じ易くなることから、車室内を好適に空調することができない。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、車室内を好適に空調することが可能な車両空調用蓄熱装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車両空調用蓄熱装置は、熱交換媒体を貯留可能な貯留室と、流入口を有して該貯留室に連通する流入路と、流出口を有して該貯留室に連通する流出路と、該流入路と該流出路とを連結するバイパス流路と、前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能な主熱供給手段とを備えた車両空調用蓄熱装置であって、
前記貯留室内には、前記流入口から前記流出口までの前記熱交換媒体の短絡を防止する短絡防止手段が設けられ、
前記貯留室内の前記熱交換媒体を前記バイパス流路により該貯留室内に循環させるか、該貯留室内の該熱交換媒体を外部に供給するかで切替可能な切替手段を備えていることを特徴とする(請求項1)。
【0014】
本発明の車両空調用蓄熱装置では、主熱供給手段が熱交換媒体を加熱又は冷却可能である。また、この車両空調用蓄熱装置では、短絡防止手段が流入口から流出口までの熱交換媒体の短絡を防止する。さらに、この車両空調用蓄熱装置では、切替手段が貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により貯留室内に循環させる場合と、貯留室内の熱交換媒体を外部に供給する場合とを切り替える。
【0015】
このため、この車両空調用蓄熱装置では、貯留室に短絡防止手段が設けられていても、切替手段が貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により貯留室内に循環させれば、加熱された熱交換媒体はその比重によって短絡防止手段及びバイパス流路を経て下方から上方に移動する。一方、冷却された熱交換媒体はその比重によって短絡防止手段及びバイパス流路を経て上方から下方に移動するため、貯留室内の熱交換媒体に対流を生じる。
【0016】
このため、この車両空調用蓄熱装置では、蓄熱時に貯留室内の主熱供給手段の熱が貯留室内の熱交換媒体全体に行渡り易く、貯留室内の熱交換媒体に温度のばらつきが生じ難い。また、この車両空調用蓄熱装置では、短絡防止手段により、流入口から貯留室内に流入した熱交換媒体が短絡して流出口から流出することもなく、かつ貯留室内の熱交換媒体と流入口から新たに流入した熱交換媒体とが不必要に混合してしまうことも防止できる。
【0017】
したがって、この車両空調用蓄熱装置を車両用空調装置に採用すれば、空調能力にばらつきが生じ難く、車室内を好適に空調することができる。
【0018】
本発明において、車両空調用蓄熱装置の外部とは、車両空調用蓄熱装置と接続され、車両空調用蓄熱装置から熱交換媒体の供給を受ける装置を指す。このような装置としては、例えば、熱交換媒体の供給を受けて、熱交換媒体の熱と周囲の空気との間で熱交換が可能な熱交換器等が挙げられる。
【0019】
熱交換媒体は、主熱供給手段が供給する熱量(正又は負の熱量)や車両空調用蓄熱装置が使用される環境等の条件に応じて、適宜、最適なものが採用される。採用される熱交換媒体としては、例えば、水の他、不凍液等の溶液が挙げられる。また、熱交換媒体は水性に限らず、シリコン油等の油性のものでも良い。
【0020】
この車両空調用蓄熱装置に備えられる主熱供給手段としては、例えば、電熱ヒータ、グロープラグ等の発熱装置を採用することができる。また、エンジン、モータ等の駆動装置の発熱を主熱供給手段として採用することもできる。主熱供給手段として、電熱ヒータ、グロープラグ等を採用すれば、エンジンやモータ等の発熱によって熱交換媒体を加熱する場合よりも、熱交換媒体の加熱温度の調整が容易となる。また、主熱供給手段としてペルチェ素子を採用することもできる。ペルチェ素子を採用した場合には、熱交換媒体の加熱の他に冷却も可能となる。
【0021】
短絡防止手段としては、任意の枚数からなる仕切板を採用することができる。この際、仕切板は本体部の高さ方向又は水平方向のいずれの方向に設けられても良く、複数枚の仕切板を高さ方向及び水平方向に組み合わせて設けられることも良い。また、短絡防手段として、本体部内にとぐろを巻くような配管を採用することもできる。
【0022】
切替手段としては、例えば、一つの流路の開閉のみを行う開閉弁を採用することができる。
【0023】
この車両空調用蓄熱装置において、貯留室、流入路、流出路、バイパス流路及び短絡防止手段は蓄熱タンクに形成されていることが好ましい(請求項2)。この場合、貯留室、流入路、流出路、バイパス流路及び短絡防止手段が一体となり、車両空調用蓄熱装置の製造が容易となる。
【0024】
この車両空調用蓄熱装置において、主熱供給手段は、バイパス流路内の熱交換媒体を加熱又は冷却可能であり得る(請求項3)。この場合、バイパス流路内の熱交換媒体の熱量を変化させることで、熱交換媒体に対流を生じさせることが可能となる。
【0025】
また、この車両空調用蓄熱装置において、主熱供給手段は、貯留室内の熱交換媒体を加熱又は冷却可能であり得る。この場合、流入口から貯留室内に流入した熱交換媒体は、貯留室内で加熱又は冷却された後、車両空調用蓄熱装置の外部に供給されることとなる。また、熱交換媒体を車両空調用蓄熱装置の外部に供給しない場合には、貯留室内の熱交換媒体の熱量の変化により、熱交換媒体に対流が生じ、貯留室内とバイパス流路との間で水を循環させることが可能となる。なお、貯留室の下流側のみに主熱供給手段を設けても良いし、貯留室の上流側のみに主熱供給手段を設けても良い。
【0026】
この車両空調用蓄熱装置において、切替手段は、流入路に設けられ、熱交換媒体を貯留室に流入させるか、バイパス流路に流通させるかを切替可能な流入切替手段を有していることが好ましい(請求項5)。この場合には、流入切替手段だけで貯留室内の熱交換媒体を循環がさせることが可能となる。このため、車両空調用蓄熱装置の構造を簡略化することが可能となり、製造コストの削減が可能となる。
【0027】
流入切替手段としては、上記の開閉弁の他に、流路を他の流路に分岐可能な分岐弁を採用することができる。分岐弁としては、例えば、三つの流路に接続され、二つの流路を連通しつつ、一つの流路を非連通とする三方弁を採用することができる。また、ポンプ等の循環装置を採用することもでき、この場合、三方弁等と循環装置とを組み合わせることもできる。また、可変フラッパを採用することもできる。流入切替手段として三方弁や可変フラッパを採用し、熱交換媒体の温度差によって生じる自然対流によって、貯留室内の熱交換媒体の循環を行えば、一層の省エネルギーが実現可能となる。
【0028】
また、この車両空調用蓄熱装置において、切替手段は、流出路に設けられ、熱交換媒体を貯留室から外部に供給するか、バイパス流路に流通させるかを切替可能な流出切替手段を有していることが好ましい(請求項6)。この場合には、流入切替手段だけで貯留室内の熱交換媒体を循環がさせることが可能となる他に、流入切替手段と組み合わせて貯留室内の熱交換媒体を循環がさせることも可能となる。この場合も、比較的車両空調用蓄熱装置の構造を簡略化することが可能となり、製造コストの削減が可能となる。なお、流出切替手段は、流入切替手段と同様のものを採用することができる。
【0029】
この車両空調用蓄熱装置において、バイパス流路には、バイパス流路には絞り部が設けられていることが好ましい(請求項7)。この場合には、バイパス流路を流れる熱交換媒体の流量を制限することで、バイパス流路を流通する熱交換媒体の流通速度を調節することができる。このため、貯留室内を循環する熱交換媒体の対流速度を調節することが可能となる。
【0030】
上記の絞り部は、通路面積を変更可能に構成された切替手段であることが好ましい(請求項8)。この場合には、バイパス流路を流れる熱交換媒体の流量を任意に制限することが可能となり、貯留室内を循環する熱交換媒体の対流速度を任意に変更することが可能となる。また、絞り部の通路面積を変更により、車両空調用蓄熱装置の外部に加熱又は冷却された蓄熱媒体を供給したり、貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により貯留室内に循環させたりすることが可能となる。この際、上記の切り替えを択一的に行う他、貯留室内の熱交換媒体の一部を車両空調用蓄熱装置の外部に供給させつつ、他の残りの熱交換媒体をバイパス流路を介して貯留室内で循環させることも可能となる。
【0031】
この車両空調用蓄熱装置において、切替手段は、蓄熱時に貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により留室内に循環させ、空調時に貯留室内の熱交換媒体を外部に供給することが好ましい(請求項9)。このように切替手段が各切替を行うことで、上記のような本発明の効果がより顕著となる。なお、蓄熱時とは、本発明の車両空調用蓄熱装置を採用した上記の車両用空調装置であって、その車両用空調装置の不使用時を意味する他、車両用空調装置の使用時において、熱交換媒体の一部を蓄熱させる場合も含まれる。また、空調時とは、車両用空調装置の使用時であって、車室内の空調を行っている場合を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1の車両用空調装置の摸式構造図である。
【図2】実施例1に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図3】実施例1に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図4】実施例2に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図5】実施例2に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図6】実施例3に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図7】実施例3に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図8】実施例4に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図9】実施例4に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図10】実施例5の車両用空調装置の摸式構造図である。
【図11】実施例5に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図12】実施例5に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した実施例1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【0034】
(実施例1)
実施例1の車両用空調装置は、ハイブリッド車又は電気自動車に搭載される。この車両用空調装置は、図1に示すように、車両空調用蓄熱装置3と車内用熱交換器としてのヒータコア5とを備えている。この車両空調用蓄熱装置3は、蓄熱タンク3aを備えている。
【0035】
図2に示すように、この蓄熱タンク3aには、熱交換媒体としての水を貯留可能な貯留室7と、貯留室7と、バイパス流路9と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9と連結する流入路11と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9に連結する流出路13とが一体で形成されている。流入路11は流入口11aを有している。また、流出路13は流出口13aを有している。また、この蓄熱タンク3aの周囲は図示しない断熱材によって覆われている。
【0036】
貯留室7内には、高さ方向に複数枚の仕切板15a〜15gがそれぞれ平行かつ互い違いに設けられている。貯留室7内には、仕切板15a〜15gで上下が挟まれるか、仕切板15a〜15gと蓄熱タンク3の内面とで仕切られることにより流路17が形成されている。流路17は水を一方通行で流通させており、貯留室7内の流路17の流路面積S1は上流から下流まで等しくされている。各仕切板15a〜15gが短絡防止手段に相当する。
【0037】
貯留室7内において、下流側となる位置である流路17の最上段には、主熱供給手段としての第1ヒータユニット19が蓄熱タンク3aの外部から嵌め込まれた状態で固定されている。この第1ヒータユニット19は、複数本のグロープラグ(符号なし)を有している。各グロープラグのターミナルは、図示しない制御装置にそれぞれ電気的に接続されており、各グロープラグは、それぞれ個別に通電可能となっている。なお、第1ヒータユニット19が有するグロープラグの本数は、必要に応じて適宜変更可能である。また、各グロープラグの構成は、周知のグロープラグと同様であり、構成の詳細な説明を省略する。
【0038】
バイパス流路9には、バイパス流路9内の水を加熱可能な第2ヒータユニット21が蓄熱タンク3aの外部から嵌め込まれた状態で固定されている。この第2ヒータユニット21は、第1ヒータユニット19と同様の構成であり、第2ヒータユニット21も図示しない制御装置に電気的に接続されている。この第2ヒータユニット21は、第1ヒータユニット19に対し副熱供給手段として機能する。この車両用蓄熱装置では、第1、2ヒータユニット19、21等の各熱供給手段を蓄熱タンク3aの外部から嵌め込み可能となるように構成することで、各熱供給手段が容易に交換可能となっている。
【0039】
また、このバイパス流路9には、切替手段としての第1開閉弁23が設けられている。この開閉弁23は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この開閉弁23を制御することにより、貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させるか、貯留室7内の水をヒータコア5内に供給するかを切り替えることが可能となっている。
【0040】
流出路13内には、第2開閉弁25が設けられている。第2開閉弁25は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この第2開閉弁を開放する制御を行うことで、貯留室7内の水をヒータコア5内に供給することが可能となっている。
【0041】
図1に示すように、ヒータコア5には、水を流出させる流出口5aと、水を流入させる流入口5bとが形成されている。また、このヒータコア5の近傍には電動ブロワ5cが設けられている。この電動ブロワ5cは、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この電動ブロワ5cを駆動すれば、ヒータコア5の周りの空気が車室内に供給される。なお、ヒータコア5にフィン等を設けてヒータコア5の表面積を大きくすることも可能である。
【0042】
車両空調用蓄熱装置3(蓄熱タンク3a)の流出口13aとヒータコア5の流入口5bとは、配管27によって接続されている。また、車両空調用蓄熱装置3の流入口11aとヒータコア5の流出口5aとは、配管29によって接続されている。配管29には、車両空調用蓄熱装置3とヒータコア5との間において、図1に示す矢印方向で水を循環させる第1ポンプP1が設けられている。第1ポンプP1は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。なお、第1ポンプP1は、配管27側に設けられても良く、この場合には、図2に示す第2開閉弁25は、流入路9側に設けられることとなる。
【0043】
以上のように構成された車両用空調装置では、車両空調用蓄熱装置3において、第1ヒータユニット19により貯留室7内の水を加熱することが可能となっている。また、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7に設けられた仕切板15a〜15gが流入口11aから流出口13aまでの水の短絡を防止している。さらに、この車両空調用蓄熱装置3では、第1開閉弁23が貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させる場合と、貯留室7内の水をヒータコア5に供給する場合とを切り替える。
【0044】
具体的には、空調時に、制御装置が第1ポンプP1作動させつつ、図2に示すように、第1開閉弁23を閉鎖し、第2開閉弁25を開放する。これにより、貯留室7内において、水は図2に示す破線矢印方向で流通する。このため、車両空調用蓄熱装置3とヒータコア5との間において、図1に示す破線矢印方向で水が循環し、ヒータコア5内に加熱された水(温水)が供給される。これにより、ヒータコア5周りの空気が加熱され、この加熱された空気が供給されることで車室内が暖房される。なお、ヒータコア5内での熱交換により冷却された水は、配管29を介して流入口11aから貯留室7内に至り、第1ヒータユニット19により再度加熱される。
【0045】
また、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図3に示すように、第1開閉弁23を開放し、第2開閉弁25を閉鎖する。この状態で、制御装置が第2ヒータユニット21を作動させる。これにより、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7に仕切板15a〜15gが設けられていても、第1開閉弁25が貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させれば、第2ヒータユニット21で加熱された水はその比重によって仕切板15a〜15g(貯留室7)及びバイパス流路9を経て下方から上方に移動する(図3中の破線矢印参照)。一方、冷却された水はその比重によって、仕切板15a〜15g(貯留室7)及びバイパス流路9を経て上方から下方に移動する。このため、貯留室7内の水に対流が生じる。なお、この際、制御装置は、第1ヒータユニット19の使用又は不使用を切り替えることができる。また、第1ヒータユニット19のみで水を加熱させることもできる。
【0046】
このため、この車両空調用蓄熱装置3では、蓄熱時に貯留室7内の水の熱が貯留室7内の水全体に行渡り易く、貯留室7内の水に温度のばらつきが生じ難い。また、この車両空調用蓄熱装置3では、仕切板15a〜15gにより、流入口11aから貯留室7内に流入した水が短絡して流出口13aから流出することもなく、かつ貯留室7内の水と流入口11aから新たに流入した水とが不必要に混合してしまうことも防止できる。
【0047】
したがって、この車両空調用蓄熱装置3採用した車両用空調装置では、空調能力にばらつきが生じ難く、車室内を好適に空調することができる。
【0048】
特に、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7、流入路11、流出路13、バイパス流路9及び仕切板15〜15gが蓄熱タンク3aに一体に形成されている。このため、車両空調用蓄熱装置3の製造が容易となっている。
【0049】
また、貯留室7において、流路17の通路面積S1が等しく形成されていることから、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7内において、水が層流の状態で小さな流路抵抗の下で流れるようになっている。このため、この車内用空調装置では、第1ポンプP1の動力損失が生じ難くなっている。
【0050】
さらに、この車両空調用蓄熱装置3では、蓄熱時に、第1ポンプP1等を用いることなく、貯留室7内の水とバイパス流路9内水との間の温度差によって生じる自然対流によって、貯留室7内の水を循環させている。このため、省エネルギーによる蓄熱を実現している。
【0051】
(実施例2)
実施例2の車両用空調装置は、実施例1の車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、図4に示す車両空調用蓄熱装置30が採用されている。車両空調用蓄熱装置30は、蓄熱タンク30aを備えている。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0052】
蓄熱タンク30aに形成された流入路11には、図4に示すように、切替手段としての三方弁31が設けられている。この三方弁31は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この三方弁31は流入切替弁としても機能しており、三方弁31を切り替える制御を行うことで、水を貯留室7内に流入させるか、バイパス流路9に流通させるかを切り替えることが可能となっている。なお、三方弁31を流出路13側に設けることもでき、この場合、三方弁31は、流出切替手段として機能する。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0053】
以上のように構成された車両用空調装置では、空調時に、制御装置が三方弁31について、流入路11と貯留室7とを連通させ、流入路11とバイパス流路9とを非連通とする制御(切替)を行う。この状態で、制御装置は、第1ポンプP1を作動させるとともに第2開閉弁25を開放する。これにより、車両空調用蓄熱装置30内の水は、図4に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房される。
【0054】
また、この車両空調用蓄熱装置30では、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図5に示すように、第2開閉弁25を閉鎖する。この状態で、制御装置は三方弁31について、流入路11と貯留室7とを非連通とし、貯留室7とバイパス流路9とを連通させる制御を行う。また、制御装置は第2ヒータユニット21を作動させる。これにより、図5に示す破線矢印方向で貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。
【0055】
この車両空調用蓄熱装置30では、三方弁31によって流路を切り替えるため、蓄熱時に貯留室7内を循環した水が流入口11aから流出(逆流)してしまうことを確実に防止することが可能となる。このため、この車両空調用蓄熱装置30では、蓄熱時に水を効果的に加熱することが可能となっている。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0056】
(実施例3)
実施例3の車両用空調装置は、実施例1の車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、図6に示す車両空調用蓄熱装置40が採用されている。車両空調用蓄熱装置40は、蓄熱タンク40aを備えている。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0057】
蓄熱タンク40aに形成された流入路11には、図6に示すように、切替手段及び流路切替手段としての可変フラッパ41が設けられている。この可変フラッパ41は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。制御装置がこの可変フラッパ41を作動させる制御を行うことで、水を貯留室7内に流入させるか、バイパス流路9に流通させるかを切り替えることが可能となっている。なお、可変フラッパ41を流出路13側に設けることもでき、この場合、可変フラッパ41は、流出切替手段として機能する。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0058】
以上のように構成された車両用空調装置では、空調時に、制御装置が可変フラッパ41を作動させ、バイパス流路9を閉鎖する状態とする。これにより、流入路11と貯留室7とが連通し、流入路11とバイパス流路9とが非連通となる。この状態で、制御装置は、第1ポンプP1を作動させるとともに第2開閉弁25を開放する。これにより、車両空調用蓄熱装置40内の水は、図6に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房される。
【0059】
また、この車両空調用蓄熱装置40では、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図7に示すように、第2開閉弁25を閉鎖する。この状態で、制御装置が可変フラッパ41を作動させ、バイパス流路9を開放する状態とする。これにより、流入路11と貯留室7とが非連通となり、貯留室7とバイパス流路9とが連通する。また、制御装置は第2ヒータユニット21を作動させる。これにより、図7に示す破線矢印方向で貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。
【0060】
この車両空調用蓄熱装置40では、可動フラッパ41によって流路を切り替え、蓄熱時に可動フラッパ41は、バイパス流路9を開放させることで、流入口11aと貯留室7とを非連通とさせる。このため、蓄熱時に貯留室7内を循環した水が流入口11aから流出してしまうことを確実に防止することが可能となる。このため、この車両空調用蓄熱装置40も蓄熱時に水を効果的に加熱することが可能となっている。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0061】
(実施例4)
実施例4の車両用空調装置は、実施例1の車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、図8に示す車両空調用蓄熱装置50が採用されている。車両空調用蓄熱装置50は、蓄熱タンク50aを備えている。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0062】
蓄熱タンク50aに形成されたバイパス流路9には、図8に示すように、切替手段としての可変絞り部51が設けられている。この可変絞り部51は、図示しない制御装置に電気的に接続されており、制御装置が可変絞り部51の開度を変化させることで、バイパス流路9の流路面積を変更可能となっている。これにより、貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させるか、貯留室7内の水をヒータコア5内に供給するかを切り替えることが可能となる。また、可変絞り部51の開度を調整することにより、貯留室7内の水の一部をヒータコア5内に供給しつつ、他の残りの水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることも可能となる。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0063】
以上のように構成された車両用空調装置では、車室内の空調時に、制御装置が第1ポンプP1を作動させるとともに第2開閉弁25を開放する。この際、制御装置は、可変絞り部51を半分程度開く制御を行う。これにより、車両空調用蓄熱装置50内の水は、図8に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房されるとともに、水(温水)の一部が貯留室7内を循環することとなる。このため、ヒータコア5内で冷却された水が流入口11aから貯留室7内へ流入する際、貯留室7内を循環する温水によって加熱することが可能となる。このため、第1ヒータコア19の作動負担を軽減することが可能となる。
【0064】
また、このように、空調時に温水の一部をバイパス流路9に流入させる際、可変絞り部51の開度を変更することで、ヒータコア5に供給される水の量を調節することも可能となる。このため、ヒータコア5から車室内に供給される空気の温度を調節することも可能となる。
【0065】
また、この車両空調用蓄熱装置50では、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図9に示すように、第2開閉弁25を閉鎖させる。この状態で、制御装置は可変絞り部51の開度を最大とさせる。これにより、図9に示す破線矢印方向で貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。。この際、可変絞り部51が設けられた部分のバイバス流路9について、バイバス流路9の流路面積が減少することにより、可変絞り部51を流れる水に乱流が生じることとなる。このため、この乱流によりバイパス流路9内の水が攪拌され、第2ヒータユニット21による水の加熱効果を高めることが可能となっている。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0066】
(実施例5)
図10に示す実施例5の車両用空調装置は、実施例1に車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、車両空調用蓄熱装置60が採用されている。車両空調用蓄熱装置60は、蓄熱タンク60aを備えている。また、この車両用空調装置では、配管27に第1ポンプP1が設けられていない。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0067】
蓄熱タンク60aに形成された流入路11には、図11に示すように、切替手段及び流入切替手段としての第2ポンプP2が設けられている。この第2ポンプP2は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この第2ポンプP2は、流入口11a方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する場合と、図12に示すように、バイパス流路9方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する場合とに切り替えることが可能となっている。なお、第2ポンプP2を流出路13側に設けることも可能である。この場合には、この第2ポンプP2は、貯留室7方向から水を吸入して吐出口13a方向に水を吐出する場合と、貯留室7方向から水を吸入してバイパス流路9方向に水を吐出する場合とに切り替えを行うこととなる。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0068】
以上のように構成された車両用空調装置では、空調時において、図11に示すように、制御装置が第2ポンプP2について、流入口11a方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する状態で作動させる。また、制御装置は、第2開閉弁25を開放させる。これにより、車両空調用蓄熱装置60内の水は、図11に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、図10の破線矢印方向で水(温水)が循環し、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房される。
【0069】
また、この車両空調用蓄熱装置60では、蓄熱時において、図12に示すように、制御装置が第2ポンプP2について、バイパス流路9方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する状態で作動させる。また、制御装置は、第2開閉弁25を閉鎖させる。これにより、図12に示す破線矢印方向で貯留室7内を水が循環することとなる。この際、制御装置は第2ヒータユニット21を作動させる。こうして、貯留室7内の水が加熱される。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0070】
この車両空調用蓄熱装置60では、空調時に、第2ポンプP2によって、車両空調用蓄熱装置60とヒータコア5との間で水を循環させるだけでなく、蓄熱時に、第2ポンプP2だけで貯留室7内とバイバス流路9との間で水を循環させることが可能となっている。このため、蓄熱時において、バイパス流路9内の水と貯留室7内の水との温度差が生じていないか又は温度差が微差である状態においても、貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。さらに、この車両空調用蓄熱装置60では、第2ポンプP2単体で、車両空調用蓄熱装置60とヒータコア5との間で水を循環させる場合と、蓄熱時に、貯留室7内とバイバス流路9との間で水を循環させる場合とを切り替えることが可能である。このため、車両用空調装置の構造を簡略化することが可能となり、製造コストの削減も可能となっている。
【0071】
以上において、本発明を実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜5に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0072】
例えば、実施例1〜5の車両用空調装置について、これらを車室内の冷房専用の装置として用いることもできる。この場合、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60に設けられる主熱供給手段及び副熱供給手段は、負の熱量を供給可能なペルチェ素子等が採用される。また、この場合には、水に替えて不凍液を採用することで、車室内の冷房能力をより高くすることができる。
【0073】
また、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60について、バイバス流路9にのみ主熱供給手段が設けられる構成とすることもできる。また、バイバス流路9に主熱供給手段が設けられ、貯留室7内に副熱供給手段が設けられる構成とすることもできる。
【0074】
さらに、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60について、貯留室7内の下流側に主熱供給手段又は副熱供給手段を設ける構成とすることもできる。また、貯留室7内において、下流から上流にかけて複数の主熱供給手段又は副熱供給手段を設ける構成とすることもできる。
【0075】
また、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60について、貯留室7、流入路11、流出路13、バイパス流路9及び仕切板15〜15gは、それぞれ別々に設けられる構成とすることもできる。
【0076】
また、車両空調用蓄熱装置50について、可動絞り部51に替えて、固定絞り部を設ける構成とすることもできる。蓄熱時においては、貯留室7とバイパス流路9との間を循環する水の流量は比較的少なくなる。このため、バイパス流路9の流路面積を一定割合で小さくした固定絞り部を設けても、貯留室7とバイパス流路9との間で循環する水の流量に対する影響は少ない。一方、空調時において、ヒータコア5へ供給される水の流量は蓄熱時よりも多くなる。このため、バイパス流路9を流通する水の流量は少なくなる。このため、バイパス流路9に固定絞り部を設けた影響は空調時においても少ない。
【0077】
さらに、実施例1〜3、5の車両用空調装置において、接続流路を設けて配管27と配管29とを接続し、蓄熱タンク3内の水を蓄熱させている間は、接続流路とヒータコア5との間で水を循環させて車室内の空調を維持させることもできる。この場合に、接続流路内の水を加熱又は冷却可能な主熱供給手段等を設けることが好ましい。また、配管27において、接続流路よりも下流となる位置又は配管29において、接続流路よりも上流となる位置に第1ポンプP1が設けられることが好ましい。
【0078】
また、実施例1〜5の車両用空調装置において、貯留室7内又はバイパス流路9内に、水の温度を検知可能な検知手段を設け、制御装置は、この検知手段によって得られた水の温度を基に第1、2ヒータユニット19、21、可変絞り部51及び第2ポンプP2の作動又は停止の切り替えを行うことも良い。例えば、水の温度を基に第2ポンプP2の作動又は停止の切り替えを行えば、蓄熱タンク60では、蓄熱時に、バイパス流路9内の水と貯留室7内の水との温度差が自然対流を生じさせる温度まで至った際に、制御装置が第2ポンプP2の作動を停止させることが可能となる。これにより、一層の省エネルギーが実現できる。
【0079】
さらに、実施例1〜4の車両用空調装置において、第1ポンプP1に替えて第2ポンプP2を蓄熱タンク3a、30a、40a、50aの流入路11又は流出路13に設けることもできる。この場合には、蓄熱直後等、バイパス流路9内の水と貯留室7内の水との温度差が微差である段階から、貯留室7内の水の循環を確実に発生させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、空調装置に用いる他、エンジン、モータ等の暖気又は冷却のための装置としても利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
7…貯留室
11a…流入口
11…流入路
13a…流出口
13…流出路
9…バイパス流路
19…第1ヒータユニット(主熱供給手段)
3、30、40、50、60…(車両空調用蓄熱装置)
15a〜15g…仕切板(短絡防止手段)
23…第1開閉弁(切替手段)
3a、30a、40a、50a、60a…(蓄熱タンク)
31、41、P2…流入切替手段(31…三方弁、41…可変フラッパ、P2…第2ポンプ)
51…可変絞り部(切替手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は車両空調用蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1に従来の空調用蓄熱装置が開示されている。この空調用蓄熱装置は、熱交換媒体を貯留可能な貯留室と、貯留室に連通する流入口と、貯留室内の熱交換媒体を流出させる流出口と、バイパス流路とを備えている。この空調用蓄熱装置の貯留室内には、熱交換媒体を加熱可能な第1ヒータが備えられている。
【0003】
また、この空調用蓄熱装置の流入口に第1配管の一端側が接続され、第1配管の他端側が熱交換器としてのヒータコア側の流出口に接続されている。また、空調用蓄熱装置の流出口には第2配管の一端側が接続され、第2配管の他端側がヒータコア側の流入口に接続されている。このように空調用蓄熱装置とヒータコアとが接続されることで空調装置が構成されている。
【0004】
また、バイパス流路は、一端側が第1配管と接続され、他端側が第2配管と接続されている。そして、このバイパス流路には、バイパス流路内の熱交換媒体を加熱可能な第2ヒータが設けられている。
【0005】
以上のように構成されたこの空調装置では、空調用蓄熱装置の貯留室とヒータコアとの間で熱交換媒体を流通させる場合と、バイパス流路と第1、2配管とを連通させて、バイパス流路とヒータコアとの間で熱交換媒体を流通させる場合とを切り替えることが可能となっている。
【0006】
空調用蓄熱装置の貯留室とヒータコアとの間で熱交換媒体を流通させた場合には、貯留室内で加熱された熱交換媒体がヒータコア内に流入し、熱交換媒体がヒータコア内で放熱を行うことでヒータコア周りの空気が加熱される。これにより、この空調装置では、ヒータコア周りの空気が室内に供給され、室内が暖房される。なお、放熱によって冷却された熱交換媒体は、流入口を経て貯留室内に至り、再び加熱されることとなる。
【0007】
一方、長時間の暖房運転により、貯留室内の熱交換媒体の熱量が不十分となれば、上記の切り替えが行われ、バイパス流路とヒータコアとの間で熱交換媒体が流通する。これにより、貯留室内の熱交換媒体は、貯留室内に貯留された状態で第1ヒータにより加熱され、その熱を蓄える。一方、バイパス流路内の熱交換媒体は第2ヒータによって加熱され、室内の暖房は継続される。貯留室内の熱交換媒体が蓄えた熱量が十分になれば、再び切り替えが行われ、空調用蓄熱装置の貯留室とヒータコアとの間で熱交換媒体が流通する。こうして、この空調装置では、長時間に亘って室内を暖房することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−82050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の空調用蓄熱装置では、暖房時において、流入口から貯留室内に流入した熱交換媒体が流出口に短絡し、貯留室内で第1ヒータによって加熱されないまま流出口から流出するおそれがある。
【0010】
このため、熱交換媒体が短絡しないよう、貯留室内に仕切板等を設けた場合には、蓄熱時において、貯留室内の熱交換媒体が対流し難くなる問題がある。このため、この空調用蓄熱装置では、蓄熱時に貯留室内の第1ヒータの熱が貯留室内の熱交換媒体全体に行渡らず、貯留室内の熱交換媒体に温度のばらつきが生じることとなる。
【0011】
このため、車両用空調装置にこの空調用蓄熱装置を採用しても、空調能力にばらつきが生じ易くなることから、車室内を好適に空調することができない。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、車室内を好適に空調することが可能な車両空調用蓄熱装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車両空調用蓄熱装置は、熱交換媒体を貯留可能な貯留室と、流入口を有して該貯留室に連通する流入路と、流出口を有して該貯留室に連通する流出路と、該流入路と該流出路とを連結するバイパス流路と、前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能な主熱供給手段とを備えた車両空調用蓄熱装置であって、
前記貯留室内には、前記流入口から前記流出口までの前記熱交換媒体の短絡を防止する短絡防止手段が設けられ、
前記貯留室内の前記熱交換媒体を前記バイパス流路により該貯留室内に循環させるか、該貯留室内の該熱交換媒体を外部に供給するかで切替可能な切替手段を備えていることを特徴とする(請求項1)。
【0014】
本発明の車両空調用蓄熱装置では、主熱供給手段が熱交換媒体を加熱又は冷却可能である。また、この車両空調用蓄熱装置では、短絡防止手段が流入口から流出口までの熱交換媒体の短絡を防止する。さらに、この車両空調用蓄熱装置では、切替手段が貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により貯留室内に循環させる場合と、貯留室内の熱交換媒体を外部に供給する場合とを切り替える。
【0015】
このため、この車両空調用蓄熱装置では、貯留室に短絡防止手段が設けられていても、切替手段が貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により貯留室内に循環させれば、加熱された熱交換媒体はその比重によって短絡防止手段及びバイパス流路を経て下方から上方に移動する。一方、冷却された熱交換媒体はその比重によって短絡防止手段及びバイパス流路を経て上方から下方に移動するため、貯留室内の熱交換媒体に対流を生じる。
【0016】
このため、この車両空調用蓄熱装置では、蓄熱時に貯留室内の主熱供給手段の熱が貯留室内の熱交換媒体全体に行渡り易く、貯留室内の熱交換媒体に温度のばらつきが生じ難い。また、この車両空調用蓄熱装置では、短絡防止手段により、流入口から貯留室内に流入した熱交換媒体が短絡して流出口から流出することもなく、かつ貯留室内の熱交換媒体と流入口から新たに流入した熱交換媒体とが不必要に混合してしまうことも防止できる。
【0017】
したがって、この車両空調用蓄熱装置を車両用空調装置に採用すれば、空調能力にばらつきが生じ難く、車室内を好適に空調することができる。
【0018】
本発明において、車両空調用蓄熱装置の外部とは、車両空調用蓄熱装置と接続され、車両空調用蓄熱装置から熱交換媒体の供給を受ける装置を指す。このような装置としては、例えば、熱交換媒体の供給を受けて、熱交換媒体の熱と周囲の空気との間で熱交換が可能な熱交換器等が挙げられる。
【0019】
熱交換媒体は、主熱供給手段が供給する熱量(正又は負の熱量)や車両空調用蓄熱装置が使用される環境等の条件に応じて、適宜、最適なものが採用される。採用される熱交換媒体としては、例えば、水の他、不凍液等の溶液が挙げられる。また、熱交換媒体は水性に限らず、シリコン油等の油性のものでも良い。
【0020】
この車両空調用蓄熱装置に備えられる主熱供給手段としては、例えば、電熱ヒータ、グロープラグ等の発熱装置を採用することができる。また、エンジン、モータ等の駆動装置の発熱を主熱供給手段として採用することもできる。主熱供給手段として、電熱ヒータ、グロープラグ等を採用すれば、エンジンやモータ等の発熱によって熱交換媒体を加熱する場合よりも、熱交換媒体の加熱温度の調整が容易となる。また、主熱供給手段としてペルチェ素子を採用することもできる。ペルチェ素子を採用した場合には、熱交換媒体の加熱の他に冷却も可能となる。
【0021】
短絡防止手段としては、任意の枚数からなる仕切板を採用することができる。この際、仕切板は本体部の高さ方向又は水平方向のいずれの方向に設けられても良く、複数枚の仕切板を高さ方向及び水平方向に組み合わせて設けられることも良い。また、短絡防手段として、本体部内にとぐろを巻くような配管を採用することもできる。
【0022】
切替手段としては、例えば、一つの流路の開閉のみを行う開閉弁を採用することができる。
【0023】
この車両空調用蓄熱装置において、貯留室、流入路、流出路、バイパス流路及び短絡防止手段は蓄熱タンクに形成されていることが好ましい(請求項2)。この場合、貯留室、流入路、流出路、バイパス流路及び短絡防止手段が一体となり、車両空調用蓄熱装置の製造が容易となる。
【0024】
この車両空調用蓄熱装置において、主熱供給手段は、バイパス流路内の熱交換媒体を加熱又は冷却可能であり得る(請求項3)。この場合、バイパス流路内の熱交換媒体の熱量を変化させることで、熱交換媒体に対流を生じさせることが可能となる。
【0025】
また、この車両空調用蓄熱装置において、主熱供給手段は、貯留室内の熱交換媒体を加熱又は冷却可能であり得る。この場合、流入口から貯留室内に流入した熱交換媒体は、貯留室内で加熱又は冷却された後、車両空調用蓄熱装置の外部に供給されることとなる。また、熱交換媒体を車両空調用蓄熱装置の外部に供給しない場合には、貯留室内の熱交換媒体の熱量の変化により、熱交換媒体に対流が生じ、貯留室内とバイパス流路との間で水を循環させることが可能となる。なお、貯留室の下流側のみに主熱供給手段を設けても良いし、貯留室の上流側のみに主熱供給手段を設けても良い。
【0026】
この車両空調用蓄熱装置において、切替手段は、流入路に設けられ、熱交換媒体を貯留室に流入させるか、バイパス流路に流通させるかを切替可能な流入切替手段を有していることが好ましい(請求項5)。この場合には、流入切替手段だけで貯留室内の熱交換媒体を循環がさせることが可能となる。このため、車両空調用蓄熱装置の構造を簡略化することが可能となり、製造コストの削減が可能となる。
【0027】
流入切替手段としては、上記の開閉弁の他に、流路を他の流路に分岐可能な分岐弁を採用することができる。分岐弁としては、例えば、三つの流路に接続され、二つの流路を連通しつつ、一つの流路を非連通とする三方弁を採用することができる。また、ポンプ等の循環装置を採用することもでき、この場合、三方弁等と循環装置とを組み合わせることもできる。また、可変フラッパを採用することもできる。流入切替手段として三方弁や可変フラッパを採用し、熱交換媒体の温度差によって生じる自然対流によって、貯留室内の熱交換媒体の循環を行えば、一層の省エネルギーが実現可能となる。
【0028】
また、この車両空調用蓄熱装置において、切替手段は、流出路に設けられ、熱交換媒体を貯留室から外部に供給するか、バイパス流路に流通させるかを切替可能な流出切替手段を有していることが好ましい(請求項6)。この場合には、流入切替手段だけで貯留室内の熱交換媒体を循環がさせることが可能となる他に、流入切替手段と組み合わせて貯留室内の熱交換媒体を循環がさせることも可能となる。この場合も、比較的車両空調用蓄熱装置の構造を簡略化することが可能となり、製造コストの削減が可能となる。なお、流出切替手段は、流入切替手段と同様のものを採用することができる。
【0029】
この車両空調用蓄熱装置において、バイパス流路には、バイパス流路には絞り部が設けられていることが好ましい(請求項7)。この場合には、バイパス流路を流れる熱交換媒体の流量を制限することで、バイパス流路を流通する熱交換媒体の流通速度を調節することができる。このため、貯留室内を循環する熱交換媒体の対流速度を調節することが可能となる。
【0030】
上記の絞り部は、通路面積を変更可能に構成された切替手段であることが好ましい(請求項8)。この場合には、バイパス流路を流れる熱交換媒体の流量を任意に制限することが可能となり、貯留室内を循環する熱交換媒体の対流速度を任意に変更することが可能となる。また、絞り部の通路面積を変更により、車両空調用蓄熱装置の外部に加熱又は冷却された蓄熱媒体を供給したり、貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により貯留室内に循環させたりすることが可能となる。この際、上記の切り替えを択一的に行う他、貯留室内の熱交換媒体の一部を車両空調用蓄熱装置の外部に供給させつつ、他の残りの熱交換媒体をバイパス流路を介して貯留室内で循環させることも可能となる。
【0031】
この車両空調用蓄熱装置において、切替手段は、蓄熱時に貯留室内の熱交換媒体をバイパス流路により留室内に循環させ、空調時に貯留室内の熱交換媒体を外部に供給することが好ましい(請求項9)。このように切替手段が各切替を行うことで、上記のような本発明の効果がより顕著となる。なお、蓄熱時とは、本発明の車両空調用蓄熱装置を採用した上記の車両用空調装置であって、その車両用空調装置の不使用時を意味する他、車両用空調装置の使用時において、熱交換媒体の一部を蓄熱させる場合も含まれる。また、空調時とは、車両用空調装置の使用時であって、車室内の空調を行っている場合を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1の車両用空調装置の摸式構造図である。
【図2】実施例1に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図3】実施例1に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図4】実施例2に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図5】実施例2に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図6】実施例3に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図7】実施例3に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図8】実施例4に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図9】実施例4に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図10】実施例5の車両用空調装置の摸式構造図である。
【図11】実施例5に係り、空調時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【図12】実施例5に係り、蓄熱時の蓄熱タンクの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した実施例1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【0034】
(実施例1)
実施例1の車両用空調装置は、ハイブリッド車又は電気自動車に搭載される。この車両用空調装置は、図1に示すように、車両空調用蓄熱装置3と車内用熱交換器としてのヒータコア5とを備えている。この車両空調用蓄熱装置3は、蓄熱タンク3aを備えている。
【0035】
図2に示すように、この蓄熱タンク3aには、熱交換媒体としての水を貯留可能な貯留室7と、貯留室7と、バイパス流路9と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9と連結する流入路11と、貯留室7に連通するとともにバイパス流路9に連結する流出路13とが一体で形成されている。流入路11は流入口11aを有している。また、流出路13は流出口13aを有している。また、この蓄熱タンク3aの周囲は図示しない断熱材によって覆われている。
【0036】
貯留室7内には、高さ方向に複数枚の仕切板15a〜15gがそれぞれ平行かつ互い違いに設けられている。貯留室7内には、仕切板15a〜15gで上下が挟まれるか、仕切板15a〜15gと蓄熱タンク3の内面とで仕切られることにより流路17が形成されている。流路17は水を一方通行で流通させており、貯留室7内の流路17の流路面積S1は上流から下流まで等しくされている。各仕切板15a〜15gが短絡防止手段に相当する。
【0037】
貯留室7内において、下流側となる位置である流路17の最上段には、主熱供給手段としての第1ヒータユニット19が蓄熱タンク3aの外部から嵌め込まれた状態で固定されている。この第1ヒータユニット19は、複数本のグロープラグ(符号なし)を有している。各グロープラグのターミナルは、図示しない制御装置にそれぞれ電気的に接続されており、各グロープラグは、それぞれ個別に通電可能となっている。なお、第1ヒータユニット19が有するグロープラグの本数は、必要に応じて適宜変更可能である。また、各グロープラグの構成は、周知のグロープラグと同様であり、構成の詳細な説明を省略する。
【0038】
バイパス流路9には、バイパス流路9内の水を加熱可能な第2ヒータユニット21が蓄熱タンク3aの外部から嵌め込まれた状態で固定されている。この第2ヒータユニット21は、第1ヒータユニット19と同様の構成であり、第2ヒータユニット21も図示しない制御装置に電気的に接続されている。この第2ヒータユニット21は、第1ヒータユニット19に対し副熱供給手段として機能する。この車両用蓄熱装置では、第1、2ヒータユニット19、21等の各熱供給手段を蓄熱タンク3aの外部から嵌め込み可能となるように構成することで、各熱供給手段が容易に交換可能となっている。
【0039】
また、このバイパス流路9には、切替手段としての第1開閉弁23が設けられている。この開閉弁23は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この開閉弁23を制御することにより、貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させるか、貯留室7内の水をヒータコア5内に供給するかを切り替えることが可能となっている。
【0040】
流出路13内には、第2開閉弁25が設けられている。第2開閉弁25は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この第2開閉弁を開放する制御を行うことで、貯留室7内の水をヒータコア5内に供給することが可能となっている。
【0041】
図1に示すように、ヒータコア5には、水を流出させる流出口5aと、水を流入させる流入口5bとが形成されている。また、このヒータコア5の近傍には電動ブロワ5cが設けられている。この電動ブロワ5cは、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この電動ブロワ5cを駆動すれば、ヒータコア5の周りの空気が車室内に供給される。なお、ヒータコア5にフィン等を設けてヒータコア5の表面積を大きくすることも可能である。
【0042】
車両空調用蓄熱装置3(蓄熱タンク3a)の流出口13aとヒータコア5の流入口5bとは、配管27によって接続されている。また、車両空調用蓄熱装置3の流入口11aとヒータコア5の流出口5aとは、配管29によって接続されている。配管29には、車両空調用蓄熱装置3とヒータコア5との間において、図1に示す矢印方向で水を循環させる第1ポンプP1が設けられている。第1ポンプP1は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。なお、第1ポンプP1は、配管27側に設けられても良く、この場合には、図2に示す第2開閉弁25は、流入路9側に設けられることとなる。
【0043】
以上のように構成された車両用空調装置では、車両空調用蓄熱装置3において、第1ヒータユニット19により貯留室7内の水を加熱することが可能となっている。また、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7に設けられた仕切板15a〜15gが流入口11aから流出口13aまでの水の短絡を防止している。さらに、この車両空調用蓄熱装置3では、第1開閉弁23が貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させる場合と、貯留室7内の水をヒータコア5に供給する場合とを切り替える。
【0044】
具体的には、空調時に、制御装置が第1ポンプP1作動させつつ、図2に示すように、第1開閉弁23を閉鎖し、第2開閉弁25を開放する。これにより、貯留室7内において、水は図2に示す破線矢印方向で流通する。このため、車両空調用蓄熱装置3とヒータコア5との間において、図1に示す破線矢印方向で水が循環し、ヒータコア5内に加熱された水(温水)が供給される。これにより、ヒータコア5周りの空気が加熱され、この加熱された空気が供給されることで車室内が暖房される。なお、ヒータコア5内での熱交換により冷却された水は、配管29を介して流入口11aから貯留室7内に至り、第1ヒータユニット19により再度加熱される。
【0045】
また、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図3に示すように、第1開閉弁23を開放し、第2開閉弁25を閉鎖する。この状態で、制御装置が第2ヒータユニット21を作動させる。これにより、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7に仕切板15a〜15gが設けられていても、第1開閉弁25が貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させれば、第2ヒータユニット21で加熱された水はその比重によって仕切板15a〜15g(貯留室7)及びバイパス流路9を経て下方から上方に移動する(図3中の破線矢印参照)。一方、冷却された水はその比重によって、仕切板15a〜15g(貯留室7)及びバイパス流路9を経て上方から下方に移動する。このため、貯留室7内の水に対流が生じる。なお、この際、制御装置は、第1ヒータユニット19の使用又は不使用を切り替えることができる。また、第1ヒータユニット19のみで水を加熱させることもできる。
【0046】
このため、この車両空調用蓄熱装置3では、蓄熱時に貯留室7内の水の熱が貯留室7内の水全体に行渡り易く、貯留室7内の水に温度のばらつきが生じ難い。また、この車両空調用蓄熱装置3では、仕切板15a〜15gにより、流入口11aから貯留室7内に流入した水が短絡して流出口13aから流出することもなく、かつ貯留室7内の水と流入口11aから新たに流入した水とが不必要に混合してしまうことも防止できる。
【0047】
したがって、この車両空調用蓄熱装置3採用した車両用空調装置では、空調能力にばらつきが生じ難く、車室内を好適に空調することができる。
【0048】
特に、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7、流入路11、流出路13、バイパス流路9及び仕切板15〜15gが蓄熱タンク3aに一体に形成されている。このため、車両空調用蓄熱装置3の製造が容易となっている。
【0049】
また、貯留室7において、流路17の通路面積S1が等しく形成されていることから、この車両空調用蓄熱装置3では、貯留室7内において、水が層流の状態で小さな流路抵抗の下で流れるようになっている。このため、この車内用空調装置では、第1ポンプP1の動力損失が生じ難くなっている。
【0050】
さらに、この車両空調用蓄熱装置3では、蓄熱時に、第1ポンプP1等を用いることなく、貯留室7内の水とバイパス流路9内水との間の温度差によって生じる自然対流によって、貯留室7内の水を循環させている。このため、省エネルギーによる蓄熱を実現している。
【0051】
(実施例2)
実施例2の車両用空調装置は、実施例1の車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、図4に示す車両空調用蓄熱装置30が採用されている。車両空調用蓄熱装置30は、蓄熱タンク30aを備えている。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0052】
蓄熱タンク30aに形成された流入路11には、図4に示すように、切替手段としての三方弁31が設けられている。この三方弁31は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この三方弁31は流入切替弁としても機能しており、三方弁31を切り替える制御を行うことで、水を貯留室7内に流入させるか、バイパス流路9に流通させるかを切り替えることが可能となっている。なお、三方弁31を流出路13側に設けることもでき、この場合、三方弁31は、流出切替手段として機能する。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0053】
以上のように構成された車両用空調装置では、空調時に、制御装置が三方弁31について、流入路11と貯留室7とを連通させ、流入路11とバイパス流路9とを非連通とする制御(切替)を行う。この状態で、制御装置は、第1ポンプP1を作動させるとともに第2開閉弁25を開放する。これにより、車両空調用蓄熱装置30内の水は、図4に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房される。
【0054】
また、この車両空調用蓄熱装置30では、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図5に示すように、第2開閉弁25を閉鎖する。この状態で、制御装置は三方弁31について、流入路11と貯留室7とを非連通とし、貯留室7とバイパス流路9とを連通させる制御を行う。また、制御装置は第2ヒータユニット21を作動させる。これにより、図5に示す破線矢印方向で貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。
【0055】
この車両空調用蓄熱装置30では、三方弁31によって流路を切り替えるため、蓄熱時に貯留室7内を循環した水が流入口11aから流出(逆流)してしまうことを確実に防止することが可能となる。このため、この車両空調用蓄熱装置30では、蓄熱時に水を効果的に加熱することが可能となっている。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0056】
(実施例3)
実施例3の車両用空調装置は、実施例1の車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、図6に示す車両空調用蓄熱装置40が採用されている。車両空調用蓄熱装置40は、蓄熱タンク40aを備えている。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0057】
蓄熱タンク40aに形成された流入路11には、図6に示すように、切替手段及び流路切替手段としての可変フラッパ41が設けられている。この可変フラッパ41は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。制御装置がこの可変フラッパ41を作動させる制御を行うことで、水を貯留室7内に流入させるか、バイパス流路9に流通させるかを切り替えることが可能となっている。なお、可変フラッパ41を流出路13側に設けることもでき、この場合、可変フラッパ41は、流出切替手段として機能する。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0058】
以上のように構成された車両用空調装置では、空調時に、制御装置が可変フラッパ41を作動させ、バイパス流路9を閉鎖する状態とする。これにより、流入路11と貯留室7とが連通し、流入路11とバイパス流路9とが非連通となる。この状態で、制御装置は、第1ポンプP1を作動させるとともに第2開閉弁25を開放する。これにより、車両空調用蓄熱装置40内の水は、図6に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房される。
【0059】
また、この車両空調用蓄熱装置40では、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図7に示すように、第2開閉弁25を閉鎖する。この状態で、制御装置が可変フラッパ41を作動させ、バイパス流路9を開放する状態とする。これにより、流入路11と貯留室7とが非連通となり、貯留室7とバイパス流路9とが連通する。また、制御装置は第2ヒータユニット21を作動させる。これにより、図7に示す破線矢印方向で貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。
【0060】
この車両空調用蓄熱装置40では、可動フラッパ41によって流路を切り替え、蓄熱時に可動フラッパ41は、バイパス流路9を開放させることで、流入口11aと貯留室7とを非連通とさせる。このため、蓄熱時に貯留室7内を循環した水が流入口11aから流出してしまうことを確実に防止することが可能となる。このため、この車両空調用蓄熱装置40も蓄熱時に水を効果的に加熱することが可能となっている。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0061】
(実施例4)
実施例4の車両用空調装置は、実施例1の車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、図8に示す車両空調用蓄熱装置50が採用されている。車両空調用蓄熱装置50は、蓄熱タンク50aを備えている。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0062】
蓄熱タンク50aに形成されたバイパス流路9には、図8に示すように、切替手段としての可変絞り部51が設けられている。この可変絞り部51は、図示しない制御装置に電気的に接続されており、制御装置が可変絞り部51の開度を変化させることで、バイパス流路9の流路面積を変更可能となっている。これにより、貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させるか、貯留室7内の水をヒータコア5内に供給するかを切り替えることが可能となる。また、可変絞り部51の開度を調整することにより、貯留室7内の水の一部をヒータコア5内に供給しつつ、他の残りの水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることも可能となる。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0063】
以上のように構成された車両用空調装置では、車室内の空調時に、制御装置が第1ポンプP1を作動させるとともに第2開閉弁25を開放する。この際、制御装置は、可変絞り部51を半分程度開く制御を行う。これにより、車両空調用蓄熱装置50内の水は、図8に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房されるとともに、水(温水)の一部が貯留室7内を循環することとなる。このため、ヒータコア5内で冷却された水が流入口11aから貯留室7内へ流入する際、貯留室7内を循環する温水によって加熱することが可能となる。このため、第1ヒータコア19の作動負担を軽減することが可能となる。
【0064】
また、このように、空調時に温水の一部をバイパス流路9に流入させる際、可変絞り部51の開度を変更することで、ヒータコア5に供給される水の量を調節することも可能となる。このため、ヒータコア5から車室内に供給される空気の温度を調節することも可能となる。
【0065】
また、この車両空調用蓄熱装置50では、蓄熱時に、制御装置が第1ポンプP1を停止させつつ、図9に示すように、第2開閉弁25を閉鎖させる。この状態で、制御装置は可変絞り部51の開度を最大とさせる。これにより、図9に示す破線矢印方向で貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。。この際、可変絞り部51が設けられた部分のバイバス流路9について、バイバス流路9の流路面積が減少することにより、可変絞り部51を流れる水に乱流が生じることとなる。このため、この乱流によりバイパス流路9内の水が攪拌され、第2ヒータユニット21による水の加熱効果を高めることが可能となっている。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0066】
(実施例5)
図10に示す実施例5の車両用空調装置は、実施例1に車両用空調装置における車両空調用蓄熱装置3に替えて、車両空調用蓄熱装置60が採用されている。車両空調用蓄熱装置60は、蓄熱タンク60aを備えている。また、この車両用空調装置では、配管27に第1ポンプP1が設けられていない。この車両用空調装置の他の構成は、図1に示す実施例1の車両用空調装置と同様である。
【0067】
蓄熱タンク60aに形成された流入路11には、図11に示すように、切替手段及び流入切替手段としての第2ポンプP2が設けられている。この第2ポンプP2は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。この第2ポンプP2は、流入口11a方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する場合と、図12に示すように、バイパス流路9方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する場合とに切り替えることが可能となっている。なお、第2ポンプP2を流出路13側に設けることも可能である。この場合には、この第2ポンプP2は、貯留室7方向から水を吸入して吐出口13a方向に水を吐出する場合と、貯留室7方向から水を吸入してバイパス流路9方向に水を吐出する場合とに切り替えを行うこととなる。他の構成は実施例1における蓄熱タンク3aと同様であり、同一の構成には同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
【0068】
以上のように構成された車両用空調装置では、空調時において、図11に示すように、制御装置が第2ポンプP2について、流入口11a方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する状態で作動させる。また、制御装置は、第2開閉弁25を開放させる。これにより、車両空調用蓄熱装置60内の水は、図11に示す破線矢印方向で流通する。こうして、この車両用空調装置では、図10の破線矢印方向で水(温水)が循環し、ヒータコア5周りの加熱された空気が供給されて車室内が暖房される。
【0069】
また、この車両空調用蓄熱装置60では、蓄熱時において、図12に示すように、制御装置が第2ポンプP2について、バイパス流路9方向から水を吸入して貯留室7方向に水を吐出する状態で作動させる。また、制御装置は、第2開閉弁25を閉鎖させる。これにより、図12に示す破線矢印方向で貯留室7内を水が循環することとなる。この際、制御装置は第2ヒータユニット21を作動させる。こうして、貯留室7内の水が加熱される。他の作用効果は実施例1における車両空調用蓄熱装置3と同様である。
【0070】
この車両空調用蓄熱装置60では、空調時に、第2ポンプP2によって、車両空調用蓄熱装置60とヒータコア5との間で水を循環させるだけでなく、蓄熱時に、第2ポンプP2だけで貯留室7内とバイバス流路9との間で水を循環させることが可能となっている。このため、蓄熱時において、バイパス流路9内の水と貯留室7内の水との温度差が生じていないか又は温度差が微差である状態においても、貯留室7内の水をバイパス流路9により貯留室7内に循環させることができる。さらに、この車両空調用蓄熱装置60では、第2ポンプP2単体で、車両空調用蓄熱装置60とヒータコア5との間で水を循環させる場合と、蓄熱時に、貯留室7内とバイバス流路9との間で水を循環させる場合とを切り替えることが可能である。このため、車両用空調装置の構造を簡略化することが可能となり、製造コストの削減も可能となっている。
【0071】
以上において、本発明を実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜5に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0072】
例えば、実施例1〜5の車両用空調装置について、これらを車室内の冷房専用の装置として用いることもできる。この場合、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60に設けられる主熱供給手段及び副熱供給手段は、負の熱量を供給可能なペルチェ素子等が採用される。また、この場合には、水に替えて不凍液を採用することで、車室内の冷房能力をより高くすることができる。
【0073】
また、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60について、バイバス流路9にのみ主熱供給手段が設けられる構成とすることもできる。また、バイバス流路9に主熱供給手段が設けられ、貯留室7内に副熱供給手段が設けられる構成とすることもできる。
【0074】
さらに、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60について、貯留室7内の下流側に主熱供給手段又は副熱供給手段を設ける構成とすることもできる。また、貯留室7内において、下流から上流にかけて複数の主熱供給手段又は副熱供給手段を設ける構成とすることもできる。
【0075】
また、車両空調用蓄熱装置3、30、40、50、60について、貯留室7、流入路11、流出路13、バイパス流路9及び仕切板15〜15gは、それぞれ別々に設けられる構成とすることもできる。
【0076】
また、車両空調用蓄熱装置50について、可動絞り部51に替えて、固定絞り部を設ける構成とすることもできる。蓄熱時においては、貯留室7とバイパス流路9との間を循環する水の流量は比較的少なくなる。このため、バイパス流路9の流路面積を一定割合で小さくした固定絞り部を設けても、貯留室7とバイパス流路9との間で循環する水の流量に対する影響は少ない。一方、空調時において、ヒータコア5へ供給される水の流量は蓄熱時よりも多くなる。このため、バイパス流路9を流通する水の流量は少なくなる。このため、バイパス流路9に固定絞り部を設けた影響は空調時においても少ない。
【0077】
さらに、実施例1〜3、5の車両用空調装置において、接続流路を設けて配管27と配管29とを接続し、蓄熱タンク3内の水を蓄熱させている間は、接続流路とヒータコア5との間で水を循環させて車室内の空調を維持させることもできる。この場合に、接続流路内の水を加熱又は冷却可能な主熱供給手段等を設けることが好ましい。また、配管27において、接続流路よりも下流となる位置又は配管29において、接続流路よりも上流となる位置に第1ポンプP1が設けられることが好ましい。
【0078】
また、実施例1〜5の車両用空調装置において、貯留室7内又はバイパス流路9内に、水の温度を検知可能な検知手段を設け、制御装置は、この検知手段によって得られた水の温度を基に第1、2ヒータユニット19、21、可変絞り部51及び第2ポンプP2の作動又は停止の切り替えを行うことも良い。例えば、水の温度を基に第2ポンプP2の作動又は停止の切り替えを行えば、蓄熱タンク60では、蓄熱時に、バイパス流路9内の水と貯留室7内の水との温度差が自然対流を生じさせる温度まで至った際に、制御装置が第2ポンプP2の作動を停止させることが可能となる。これにより、一層の省エネルギーが実現できる。
【0079】
さらに、実施例1〜4の車両用空調装置において、第1ポンプP1に替えて第2ポンプP2を蓄熱タンク3a、30a、40a、50aの流入路11又は流出路13に設けることもできる。この場合には、蓄熱直後等、バイパス流路9内の水と貯留室7内の水との温度差が微差である段階から、貯留室7内の水の循環を確実に発生させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、空調装置に用いる他、エンジン、モータ等の暖気又は冷却のための装置としても利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
7…貯留室
11a…流入口
11…流入路
13a…流出口
13…流出路
9…バイパス流路
19…第1ヒータユニット(主熱供給手段)
3、30、40、50、60…(車両空調用蓄熱装置)
15a〜15g…仕切板(短絡防止手段)
23…第1開閉弁(切替手段)
3a、30a、40a、50a、60a…(蓄熱タンク)
31、41、P2…流入切替手段(31…三方弁、41…可変フラッパ、P2…第2ポンプ)
51…可変絞り部(切替手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換媒体を貯留可能な貯留室と、流入口を有して該貯留室に連通する流入路と、流出口を有して該貯留室に連通する流出路と、該流入路と該流出路とを連結するバイパス流路と、前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能な主熱供給手段とを備えた車両空調用蓄熱装置であって、
前記貯留室内には、前記流入口から前記流出口までの前記熱交換媒体の短絡を防止する短絡防止手段が設けられ、
前記貯留室内の前記熱交換媒体を前記バイパス流路により該貯留室内に循環させるか、該貯留室内の該熱交換媒体を外部に供給するかで切替可能な切替手段を備えていることを特徴とする車両空調用蓄熱装置。
【請求項2】
前記貯留室、前記流入路、前記流出路、前記バイパス流路及び前記短絡防止手段は蓄熱タンクに形成されている請求項1記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項3】
前記主熱供給手段は、前記バイパス流路内の前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能である請求項1又は2記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項4】
前記主熱供給手段は、前記貯留室内の前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能である請求項2記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記流入路に設けられ、前記熱交換媒体を前記貯留室に流入させるか、前記バイパス流路に流通させるかを切替可能な流入切替手段を有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項6】
前記切替手段は、前記流出路に設けられ、前記熱交換媒体を前記貯留室から外部に供給するか、前記バイパス流路に流通させるかを切替可能な流出切替手段を有している請求項1乃至5のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項7】
前記バイパス流路には絞り部が設けられている請求項1乃至6のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項8】
前記絞り部は通路面積を変更可能に構成された前記切替手段である請求項7記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項9】
前記切替手段は、蓄熱時に前記貯留室内の前記熱交換媒体を前記バイパス流路により該貯留室内に循環させ、空調時に該貯留室内の該熱交換媒体を外部に供給する請求項1乃至8のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項1】
熱交換媒体を貯留可能な貯留室と、流入口を有して該貯留室に連通する流入路と、流出口を有して該貯留室に連通する流出路と、該流入路と該流出路とを連結するバイパス流路と、前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能な主熱供給手段とを備えた車両空調用蓄熱装置であって、
前記貯留室内には、前記流入口から前記流出口までの前記熱交換媒体の短絡を防止する短絡防止手段が設けられ、
前記貯留室内の前記熱交換媒体を前記バイパス流路により該貯留室内に循環させるか、該貯留室内の該熱交換媒体を外部に供給するかで切替可能な切替手段を備えていることを特徴とする車両空調用蓄熱装置。
【請求項2】
前記貯留室、前記流入路、前記流出路、前記バイパス流路及び前記短絡防止手段は蓄熱タンクに形成されている請求項1記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項3】
前記主熱供給手段は、前記バイパス流路内の前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能である請求項1又は2記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項4】
前記主熱供給手段は、前記貯留室内の前記熱交換媒体を加熱又は冷却可能である請求項2記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記流入路に設けられ、前記熱交換媒体を前記貯留室に流入させるか、前記バイパス流路に流通させるかを切替可能な流入切替手段を有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項6】
前記切替手段は、前記流出路に設けられ、前記熱交換媒体を前記貯留室から外部に供給するか、前記バイパス流路に流通させるかを切替可能な流出切替手段を有している請求項1乃至5のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項7】
前記バイパス流路には絞り部が設けられている請求項1乃至6のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項8】
前記絞り部は通路面積を変更可能に構成された前記切替手段である請求項7記載の車両空調用蓄熱装置。
【請求項9】
前記切替手段は、蓄熱時に前記貯留室内の前記熱交換媒体を前記バイパス流路により該貯留室内に循環させ、空調時に該貯留室内の該熱交換媒体を外部に供給する請求項1乃至8のいずれか1項記載の車両空調用蓄熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−195062(P2011−195062A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65335(P2010−65335)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]