説明

車両誘導方法、車両誘導プログラム、コンピュータに読み取り可能な記録媒体および車両誘導装置

【課題】地図情報を利用せずに、車両の目的地点への誘導を図ること。
【解決手段】車両誘導装置100は、受信部101と、特定部102と、取得部103と、判断部104と、送信部105と、制御部106と、を含み構成されており、受信部101は、少なくとも車両の現在位置に関する情報、目的地点に関する情報、進行方向に関する情報を含む車両情報や、誘導装置を車両が通過したか否かに関する通過情報を当該車両から受信し、特定部102は、車両情報に基づいた車両の走行道路近傍に設けられた誘導装置や、通過情報に基づいた当該誘導装置とは別の誘導装置を特定し、取得部103は、誘導装置に関する情報を取得し、そして、送信部105は、誘導装置の識別情報を車両へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両を目的地点まで誘導する車両誘導方法、車両誘導プログラム、コンピュータに読み取り可能な記録媒体および車両誘導装置に関する。ただし、この発明は、上述した車両誘導方法、車両誘導プログラム、コンピュータに読み取り可能な記録媒体および車両誘導装置には限られない。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を目的地点まで誘導するカーナビゲーション装置などでは、現在地点から目的地点までにおける最適な経路を探索し、探索した経路について、地図表示や音声案内などの手段によって運転者に案内をおこない、車両を目的地点まで誘導する。
【0003】
これまで、カーナビゲーション装置などでおこなわれる経路探索では、現在位置の情報と、あらかじめ記憶されている各地点の情報(たとえば、道路の距離、道路の幅員、渋滞情報など)を用いて、現在地点から目的地点までの種々の経路を評価する。そして、これらの経路の中で最も評価の優れた経路を最適経路として選択し、選択した最適経路を進行経路として表示する提案がされている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平06−309595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術によれば、地図情報や地図情報に対応した各地点の情報をあらかじめ記憶しておき、種々の評価に基づいて最適経路を選択するため、地図情報が記憶されていない地域での誘導がおこなえないという問題が一例として挙げられる。また、現在位置の情報は、GPS(Global Positioning System)衛星からの受信電波から取得しているため、GPS衛星からの電波が受信できない場合には、誘導に支障をきたすという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる車両誘導方法は、少なくとも車両の現在位置に関する情報、目的地点に関する情報、進行方向に関する情報を含む車両情報を当該車両から受信する車両情報受信工程と、受信された前記車両情報に基づいて、車両の走行道路近傍に設けられた複数の誘導装置のうちの一の誘導装置を特定する第1の特定工程と、前記第1の特定工程によって特定された一の誘導装置の少なくとも識別情報を含む誘導装置に関する情報を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された識別情報を前記車両へ送信する送信工程と、前記送信工程によって送信された前記一の誘導装置の識別情報に基づいて得られた、当該一の誘導装置を前記車両が通過したか否かに関する通過情報を、当該車両から受信する通過情報受信工程と、前記通過情報受信工程によって受信された前記通過情報に基づいて、前記一の誘導装置とは別の他の誘導装置を特定する第2の特定工程と、を含み、前記取得工程、前記送信工程、前記通過情報受信工程、前記第2の特定工程の各工程を、前記車両が前記目的地点に到達するまで繰り返しおこなうことを特徴とする。
【0007】
また、請求項5の発明にかかる車両誘導プログラムは、請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両誘導方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項6の発明にかかるコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、請求項5に記載の車両誘導プログラムを記録したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項7の発明にかかる車両誘導装置は、少なくとも車両の現在位置に関する情報、目的地点に関する情報、進行方向に関する情報を含む車両情報を当該車両から受信する車両情報受信手段と、受信された前記車両情報に基づいて、車両の走行道路近傍に設けられた複数の誘導装置のうちの一の誘導装置を特定する第1の特定手段と、前記第1の特定手段によって特定された一の誘導装置の少なくとも識別情報を含む誘導装置に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された識別情報を前記車両へ送信する送信手段と、前記送信手段によって送信された前記一の誘導装置の識別情報に基づいて得られた、当該一の誘導装置を前記車両が通過したか否かに関する通過情報を、当該車両から受信する通過情報受信手段と、前記通過情報受信手段によって受信された前記通過情報に基づいて、前記一の誘導装置とは別の他の誘導装置を特定する第2の特定手段と、前記第2の特定手段による他の誘導装置の特定以降、前記取得手段による誘導装置に関する情報の取得、前記送信手段による取得された情報の送信、前記通過情報受信手段による通過情報の受信および前記第2の特定手段による更なる誘導装置の特定を、前記車両が前記目的地点に到達するまで繰り返しおこなわせる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる車両誘導方法、車両誘導プログラム、コンピュータに読み取り可能な記録媒体および車両誘導装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(車両誘導装置の機能的構成)
図1を用いて、本実施の形態にかかる車両誘導装置の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる車両誘導装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1において、車両誘導装置100は、受信部101と、特定部102と、取得部103と、判断部104と、送信部105と、制御部106と、を含み構成されている。
【0013】
受信部101は、車両から各種情報を受信する。各種情報は、たとえば、車両の現在位置に関する情報、目的地点に関する情報、進行方向に関する情報を含む車両情報や、後述する、車両の走行道路近傍に設けられた誘導装置を通過したか否かに関する通過情報を受信する。また、現在位置に関する情報は、車両が、自車の進行方向最寄りの誘導装置から取得して、受信部101に送信する構成としてもよい。
【0014】
特定部102は、車両の走行道路近傍に設けられた誘導装置を特定する。誘導装置は、たとえば、車両の走行道路近傍に複数設けられており、車両と識別情報など各種情報の送受信をおこなう。誘導装置の特定は、たとえば、受信部101によって受信された車両情報に基づいて、車両の進行方向最寄りの誘導装置を特定する。また、受信部101によって受信された通過情報に基づいて、さらに他の誘導装置を特定する。
【0015】
取得部103は、特定部102によって特定された誘導装置に関する情報を取得する。誘導装置に関する情報は、たとえば、誘導装置の設置位置に関する情報や識別情報などである。より具体的には、誘導装置が設置されている位置や、それぞれの誘導装置を識別するための識別子などの識別情報や、識別子に関連づけられた、車両の目的地リストなどである。目的地リストは、たとえば、車両の進行方向最寄りの誘導装置について、車両が到達しうる目的地点のリストである。なお、誘導装置に関する情報は、図示しない記憶部にあらかじめ記憶されている構成でもよい。
【0016】
判断部104は、取得部103によって取得された誘導装置に関する情報と、受信部101によって受信された車両情報に含まれる目的地点に関する情報とに基づいて、車両の進行方向の正誤を判断する。進行方向の正誤は、たとえば、特定部102によって特定された誘導装置に対応した、車両の目的地リストに、受信部101によって受信された車両の目的地点が含まれているかを判断しておこなう。より具体的には、車両が通過する誘導装置の目的地リストに車両の目的地点がない場合は、車両は目的地点に到達する方向へ移動していないため、後述する方向変更指示を送信する。
【0017】
送信部105は、車両に対して各種情報を送信する。各種情報は、たとえば、判断部104によって車両の進行方向が正しいと判断された場合、車両に対して、特定部102によって特定された誘導装置の識別情報を送信する。また、判断部104によって車両の進行方向が誤っていると判断された場合、車両に対して、Uターンなどを促す方向変更指示を送信する。
【0018】
さらに、送信部105は、受信部101によって受信された通過情報が、特定部102によって特定された誘導装置を通過していないものだった場合、車両に対して、Uターンなどを促す方向変更指示を送信する。通過情報は、たとえば、車両によって生成され、送信部105によって車両に送信された誘導装置の識別情報と、通過した誘導装置から受信する識別情報とを照合した結果を含むものである。
【0019】
制御部106は、前述の取得部103による誘導装置に関する情報の取得、送信部105による各種情報の送信、受信部101による各種情報の受信および特定部102による誘導装置の特定を制御して、車両が目的地に到達するまで繰り返しおこなわせる。
【0020】
(車両誘導装置の処理の内容)
つぎに、図2を用いて、本実施の形態にかかる車両誘導装置100の処理の内容について説明する。図2は、本実施の形態にかかる車両誘導装置の処理の内容を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、車両誘導装置100は、受信部101が車両から車両情報を受信したか否かを判断する(ステップS201)。
【0021】
ステップS201において、受信部101が車両情報を受信するのを待って、受信した場合(ステップS201:Yes)は、つづいて、特定部102は、誘導装置を特定する(ステップS202)。誘導装置の特定は、たとえば、車両の進行方向最寄りの誘導装置を選択して、特定する。
【0022】
つづいて、取得部103は、ステップS202において特定された誘導装置に関する情報を取得する(ステップS203)。誘導装置に関する情報は、図示しない記憶部にあらかじめ記憶されていてもよく、誘導装置の設置位置に関する情報や、誘導装置それぞれを識別するための識別子などの識別情報や、識別子に関連づけられた、車両の目的地リストなどを取得する。また、誘導装置がそれぞれ情報を有している構成であれば、車両を介して、受信する構成としてもよい。
【0023】
そして、判断部104は、ステップS201において受信された車両情報と、ステップS203において取得された誘導装置に関する情報に基づいて、車両の進行方向の正誤を判断する(ステップS204)。進行方向の正誤の判断は、誘導装置に関する情報の有する目的地リストに、車両情報に含まれる車両の目的地点が含まれているか否かに基づいておこなってもよい。
【0024】
つぎに、送信部105は、ステップS204において判断された結果に基づいて、車両に対し、誘導装置の識別情報を送信する(ステップS205)。なお、ステップS204において、車両の進行方向が誤っていると判断された場合は、車両に誘導装置の識別情報を送信する代わりに、方向変更指示を送信する構成としてもよい。
【0025】
そして、受信部101は、車両から通過情報を受信する(ステップS206)。通過情報は、たとえば、車両によって生成され、ステップS205において車両に送信された誘導装置の識別情報と、車両が通過した誘導装置から受信する識別情報とを照合した結果を含むものである。
【0026】
つぎに、ステップS206において受信した通過情報に基づいて、車両誘導装置100は、車両が目的地点に到達したか否かを判断する(ステップS207)。ステップS207において、車両が目的地点に到達していない場合(ステップS207:No)は、ステップS202に戻り処理を繰り返す。
【0027】
また、車両が目的地点に到達した場合(ステップS207:Yes)は、そのまま一連の処理を終了する。なお、ステップS205において送信された誘導装置の識別情報と、車両が通過した誘導装置から受信する識別情報との照合が一致しない旨の通過情報であった場合は、ステップS207において、車両が目的地点に到達したか否かを判断する代わりに、車両に対して、Uターンなどを促す方向変更指示を送信して、ステップS202に戻る構成としてもよい。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、車両の走行道路近傍に設けられた誘導装置を特定して、車両の通過によって進行方向の判断および誘導装置の識別をおこなって車両を目的地点まで誘導する。したがって、地図情報を利用しなくても、車両の目的地点への誘導を図ることができる。また、車両進行方向最寄りの誘導装置の位置情報を、車両から受信する構成としてもよく、GPS衛星からの電波を受信しなくても車両の誘導を図ることができる。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの移動体と通信をおこなうセンターにおける、サーバーによって本発明の車両誘導装置を実施した場合の一例について説明する。
【0030】
(サーバーのハードウェア構成)
図3を用いて、本実施例にかかるサーバーのハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるサーバーのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図3において、サーバー300は、車両などと通信をおこなうセンターに設置されており、CPU(セントラルプロセッシングユニット)301と、ROM(リードオンリーメモリ)302と、RAM(ランダムアクセスメモリ)303と、不揮発RAM304と、FDD(フレキシィブルディスクドライブ)305と、FD(フレキシィブルディスク)306と、HDD(ハードディスクドライブ)307と、HD(ハードディスク)308と、ディスプレイ309と、通信I/F(インターフェース)310と操作I/F311と、がバス320によって接続され、構成されている。
【0032】
CPU301は、装置全体を制御する。ROM302には、基本入出力プログラムが記憶されている。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。不揮発RAM304は、電源を切ってもデータを保持しておくことが可能である。
【0033】
FDD305は、CPU301の制御にしたがってFD306に対するデータのリード/ライトの制御を行う。FD306は着脱自在になっており、FDD305の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する。
【0034】
また、HDD307は、CPU301の制御にしたがってHD308に対するデータのリード/ライトの制御を行う。HD308はHDD307の制御にしたがって、書き込まれたデータを記憶する。
【0035】
FD306やHD308に記憶されるデータは、たとえば、後述する発信機における、発信機の位置や発信機ID(IDentifier)や発信機IDに関連づけられた目的地リストなどを含む情報である。また、本図では、記憶媒体としてFD306およびHD308を用いて説明しているが、DVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disk)などでもよい。なお、目的地リストは、後述する通信I/F310を介して交通情報を取得し、交通情報に関連づけたものでもよい。より具体的には、道路の通行止めや渋滞などが発生している場合は、目的地リストに道路の通行止めや渋滞などを経由する目的地点を含まない構成としてもよい。
【0036】
ディスプレイ309は、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データの表示をおこなう。
【0037】
通信I/F310は、FM(Frequency Modulation)多重チューナー、無線通信機器およびその他の通信機器を介して、他の通信機器との通信をおこなう。また、図示しない通信ケーブルを介して、インターネットなどのネットワーク、外部PC(パーソナル・コンピュータ)などとも通信をおこなう構成としてもよい。より具体的には、車両と各種情報の送受信をおこなったり、交通情報の取得をおこなったりする構成である。
【0038】
操作I/F311は、図示しないキーボードやマウスを介して、各種情報の入力や、各種操作を受け付ける。
【0039】
なお、実施の形態にかかる車両誘導装置100の機能的構成である受信部101および送信部105は通信I/F310によって、特定部102および判断部104はCPU301やROM302やRAM303や不揮発RAM304によって、取得部103はFDD305やHDD307や通信I/F310によって、それぞれその機能を実現する。
【0040】
つぎに、図4を用いて、本実施例にかかるサーバー300を用いた車両誘導システムの概要について説明する。図4は、本実施例にかかるサーバーを用いた車両誘導システムの一例を示す概要図である。なお、本実施例では、車両を誘導する誘導装置として、経路上に設置された発信機を用いている。
【0041】
図4において、車両誘導システム400は、センターに設置されたサーバー300と、車両401と、発信機402と、を含み構成されている。サーバー300、車両401、発信機402は、それぞれが無線などの通信手段を用いて相互に各種情報の送受信をおこない、たとえば、矢印410,411,412が示す機器(サーバー300、車両401、発信機402)へ各種情報を送信する。
【0042】
発信機402は、経路上に設置されており、複数存在する構成でもよい。発信機402は、車両401に対して矢印410の方向に各種情報を送信する。矢印410の各種情報は、たとえば、車両401が発信機402を通過する際の発信機IDや車両401の進行方向最寄りの発信機402の位置情報を送信する。車両401の進行方向最寄りの発信機402の位置情報は、たとえば、接近してくる車両401に対して、自発信機402の位置を知らせるものである。発信機IDの送信は、たとえば、車両401からの要求に応じて送信する構成としてもよい。また、発信機402が目的地リストを有する構成であれば、発信機IDとともに送信する構成としてもよい。
【0043】
車両401は、経路上を走行しており、サーバー300に対して矢印411の方向に各種情報を送信する。矢印411の各種情報は、たとえば、車両401の位置情報、進行方向、目的地点を含む車両情報や、発信機402から受信する発信機IDとサーバー300から受信する発信機IDの照合結果を含むID合否信号を送信する。車両401の位置情報や進行方向は、前述した発信機402から受信した情報に基づいて、サーバー300に送信する構成としてもよい。また、目的地点は、ユーザーが図示しない入力部から入力した情報を送信する構成としてもよい。なお、ID合否信号については、図5に後述する。
【0044】
サーバー300は、情報をとりまとめるセンターに設置されており、車両401に対して矢印412の方向に各種情報を送信する。矢印412の各種情報は、たとえば、車両401から受信した車両情報に基づいて、車両401が目的地点へ走行する経路上における最寄りの発信機IDや、車両401の走行方向に関する、分岐方向指示信号やUターン指示信号などを送信する。分岐方向指示信号は、たとえば、車両401の進行方向の所定の範囲内に分岐する経路があった場合に、目的地点に向かう分岐を車両401に対して指示するものである。また、分岐方向指示信号は、目的地点に向かう分岐が複数存在する場合は、通信I/F310で取得する交通情報に基づいて、旅行時間の短い分岐方向を指示する構成としてもよい。また、Uターン指示信号は、たとえば、車両401の進行方向に目的地点がない場合や、車両401から受信したID合否信号の照合結果が不一致であった場合に、進行方向を逆に戻るよう車両401に対して指示するものである。
【0045】
つづいて、図5を用いて、本実施例にかかるサーバー300における経路誘導の概要について説明する。図5は、本実施例にかかるサーバーによる経路誘導の一例を示す説明図である。
【0046】
図5において、車両401は、センターに設置されたサーバー300の経路誘導にしたがって、矢印502を進行方向として、三叉路を含む経路500を走行し、出発地点503から目的地点504まで移動する。また、経路500上には、複数の発信機(発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513)が設置されており、それぞれ車両401と通信をおこなう。
【0047】
車両401は、図示しない通信部から、車両情報をサーバー300に送信する。車両情報は、たとえば、車両401の位置情報、進行方向、目的地点504を含む情報で、サーバー300から車両401に対して要求があった場合に送信する構成としてもよい。また、車両401の位置情報は、車両401が、自車の進行方向最寄りの発信機A510から取得して、サーバー300に送信する構成としてもよい。
【0048】
また、車両401は、発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513のうち、通過する発信機の発信機IDを取得し、サーバー300から送信される発信機IDと照合する。そして、発信機IDが合致したか否かの情報を含むID合否信号をサーバー300へ送信する。発信機IDは、発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513に固有の識別子である。
【0049】
発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513は、それぞれ固有の発信機IDを有しており、車両401が通過する際、発信機IDを車両401に送信する。発信機IDの送信は、たとえば、車両401が、それぞれの発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513を通過する際の発信機ID情報要求信号に応じて送信してもよい。または、常に発信機IDを近傍に発信し続けてもよい。
【0050】
サーバー300は、車両401から、車両情報を受信して、発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513から最寄りの発信機を選択する。たとえば、本図においては、発信機A510を選択し、発信機A510の発信機IDを取得する。なお、発信機IDは、サーバー300にあらかじめ登録されている構成としているが、車両401から受信する構成としてもよい。
【0051】
また、サーバー300は、HD308に目的地リストを記憶しており、目的地リストは、それぞれ発信機IDと関連づけられて記憶されている。目的地リストは、たとえば、車両401がそれぞれの発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513を通過して、到達しうる地点の一覧でもよい。
【0052】
目的地リストは、より具体的には、車両401が発信機A510を矢印502の方向に通過する場合において、発信機A510の発信機IDに関連づけられた目的地リストは、出発地点503を含んでいないが、目的地点504を含んでいる。また、車両401が発信機D513を矢印520の方向に通過する場合において、発信機D513の発信機IDに関連づけられた目的地リストは、目的地点504を含んでいない。あるいは、車両401が発信機D513を矢印521の方向に通過する場合において、発信機D513の発信機IDに関連づけられた目的地リストは、出発地点503、目的地点504を含む構成となっている。
【0053】
また、サーバー300は、車両401を出発地点503から目的地点504へ経路誘導する。経路誘導は、たとえば、車両401の通過する発信機A510,発信機B511,発信機C512,発信機D513の発信機IDに関連づけられた目的地リストと、車両401から送信されるID合否信号に基づいておこない、車両401に対して分岐の進行方向を指示する分岐方向指示信号や、Uターンを指示するUターン指示信号を送信する。なお、経路誘導の詳細については、図6に後述する。そして、車両401は分岐方向指示信号やUターン指示信号にしたがい、図示しない表示部に進行方向の表示をおこなったり、図示しない音声出力部などから音声案内をおこなう構成としてもよい。
【0054】
(サーバーの処理の内容)
つぎに、図6を用いて、本実施例にかかるサーバー300の処理の内容について説明する。図6は、本実施例にかかるサーバーの処理の内容を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、まず、サーバー300は、通信I/F310を介して、車両401から経路誘導の要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS601)。ここで、経路誘導の要求を受け付けるのを待って、受け付けた場合(ステップS601:Yes)は、つづいて、サーバー300は、通信I/F310を介して、車両401の車両情報を受信する(ステップS602)。車両情報は、たとえば、車両401の進行方向や目的地点504を含む情報で、サーバー300から車両401に対して要求して受信する構成としてもよい。また、車両401の現在位置に関する情報を、車両401がGPS衛星からの電波を受信して位置を特定できる機能を有していれば、GPS衛星からの電波から取得してもよい。
【0055】
つづいて、サーバー300は、通信I/F310を介して、車両401から、車両401の進行方向最寄りの発信機の情報を受信する(ステップS603)。発信機の情報は、たとえば、車両401が進行方向最寄りの発信機から取得して、サーバー300に送信する構成でもよく、発信機の位置情報や発信機IDや、車両401の進行方向(発信機に近づいてくる車両401の方向)を含む情報である。なお、サーバー300は、発信機の位置情報から、車両401の現在位置の情報を取得してもよい。また、発信機IDは、HD308にあらかじめ登録されている構成でもよく、サーバー300は、発信機の位置情報に基づいて、発信機の発信機IDを取得してもよい。
【0056】
そして、CPU301は、ステップS603において受信した発信機の発信機IDに関連づけられた目的地リストに車両401の目的地点504が存在するか否かを判断する(ステップS604)。ここで、目的地リストに、車両401の目的地点504が存在しない場合(ステップS604:No)は、CPU301は、通信I/F310を介して、車両401にUターン指示信号を送信して(ステップS605)、ステップS603に戻り、処理を繰り返す。
【0057】
また、ステップS604において、目的地リストに、車両401の目的地点504が存在する場合(ステップS604:Yes)は、CPU301は、通信I/F310を介して、車両401に対し、目的地点504に至る経路において、車両401が通過予定の発信機IDを送信する(ステップS606)とともに、車両401の所定の範囲内に分岐経路があるか否かを判断する(ステップS607)。なお、ステップS606において送信する発信機IDは、通常、ステップS603において受信した発信機のものであるが、車両401の速度や複数の発信機の間隔に応じて、その先を通過予定の発信機としてもよい。
【0058】
そして、所定の範囲内に分岐経路がある場合(ステップS607:Yes)は、CPU301は、通信I/F310を介して、車両401に分岐方向指示信号を送信して(ステップS608)、車両401からのID合否信号が合致であったか否かを判断する(ステップS609)。ID合否信号は、たとえば、ステップS606において送信された発信機IDと、車両401が通過する発信機IDとの照合の結果を含む信号で、本実施例では、車両401によって生成される。
【0059】
また、ステップS607において、所定の範囲内に分岐経路がない場合(ステップS607:No)は、CPU301は、ステップS608における分岐方向指示信号を送信する代わりに、ID合否信号が合致であったか否かを判断する(ステップS609)。ステップS609において、ID合否信号が合致であった場合(ステップS609:Yes)は、つづいて、CPU301は、車両401が目的地点504に到達したか否かを判断する(ステップS610)。ここで、ID合否信号が合致でなかった場合(ステップS609:No)は、CPU301は、通信I/F310を介して、車両401にUターン指示信号を送信して(ステップS605)、ステップS603に戻り、処理を繰り返す。
【0060】
ステップS610において、車両401が目的地点504に到達した場合(ステップS610:Yes)は、そのまま一連の処理を終了する。また、車両401が目的地点504に到達しなかった場合(ステップS610:No)は、ステップS603に戻って、以降の処理を繰り返す。なお、目的地点504に到達したか否かの判断は、たとえば、目的地点504周辺の発信機に車両401が接近しているか否かに基づくものでもよく、車両401に対して、目的地点504に接近した旨を報知する構成でもよい。
【0061】
ここで、図5を用いて、具体的に案内の内容について説明する。まず、車両401は、出発地点503において、サーバー300に経路誘導の要求をおこなう。ステップS601において、車両401から経路誘導の要求を受け付けたサーバー300は、つづいて、ステップS602において、車両401から、車両401の車両情報を受信して、ステップS603において車両401に最寄りの発信機A510を選択し、発信機A510の発信機IDを含む発信機の情報を取得する。
【0062】
そして、ステップS604において、発信機A510の発信機IDに関連づけられた目的地リストには、車両401の目的地点504が含まれているため、ステップS606において、車両401がつぎに通過する発信機B511の発信機IDを車両401に送信するとともに、ステップS607において、所定範囲内に分岐する経路があるか否かを判断する。ここで、三叉路の分岐地点が所定範囲内であるとすると、車両401に対して、分岐を左とし、左方向へ走行する指示信号を送信する。そして、発信機B511を車両401が通過する際、発信機IDの照合結果が合致であるID合否信号を受信して、ステップS610において、目的地点504に到達しなければ、ステップS603へ戻って、車両401の進行方向最寄りの発信機C512を選択し、車両401に発信機C512の発信機IDを送信する。
【0063】
その後、車両401が発信機C512を通過すると、ステップS609において、車両401から発信機IDの照合結果が合致であるID合否信号を受信して、ステップS610において、車両401は、目的地点504に到達し、一連の処理を終了する。
【0064】
また、車両401が発信機B511を誤って右方向に走行し、発信機D513を通過すると、ステップS609において、発信機D513の発信機IDとの照合結果が合致とならないため、ステップS609において、車両401から受信するID合否信号が合致でなく、ステップS605において、車両401に対してUターン指示信号を送信する。
【0065】
そして、Uターン指示信号を受信した車両401が、Uターンをすると、ステップS603において、車両401に最寄りの発信機D513を選択し、発信機D513の発信機IDを取得する。そして、ステップS604において、車両の進行方向が変更されたため、発信機D513の発信機IDに関連づけられた目的地リストに目的地点504が含まれており、ステップS606以降の処理を繰り返す。なお、ステップS608では、三叉路の分岐地点が所定範囲内であるとすると、車両401に対して、分岐を右方向へ走行する指示信号を送信することとなる。ちなみに、車両401がUターンした際に、Uターンした側の車線近傍に別の発信機が存在すれば、その別の発信機を選択し、その発信機IDを取得するようにしてもよい。この場合には、別の発信機IDの捕捉により車線がわかるため、あえて車両401から進行方向の情報を取得しなくてもよい。
【0066】
以上説明したように、本発明によれば、車両の走行道路近傍に設けられた誘導装置を特定して、車両の通過によって進行方向の判断および誘導装置の識別をおこなって車両を目的地点まで誘導する。したがって、地図情報を利用しなくても、車両の目的地点への誘導を図ることができる。また、車両の進行方向最寄りの誘導装置の位置情報を、車両から受信する構成としてもよく、GPS衛星からの電波を受信しなくても車両の誘導を図ることができる。
【0067】
また、以上説明したように、本発明によれば、サーバーは、車両情報と車両の進行方向最寄りの発信機の情報を受信して、目的地リストと車両の目的地点の照合をおこなう。そして、目的地点を含む目的地リストの発信機を辿るように車両を誘導するため、地図情報がなくても、車両を目的地点まで誘導することができる。
【0068】
また、サーバーは、車両の進行方向最寄りの発信機の情報から、車両の現在位置の情報を取得することができるため、GPS衛星の電波が利用できない状況でも、車両を目的地点まで誘導することができる。
【0069】
また、本発明は、車両の経路誘導について説明したが、車両に限るものではない。発信機などの誘導装置が経路上に設置されていれば、人を誘導する装置にも適用できる。また、地図情報のない工場内などにおける貨物の搬送経路に誘導にも適用できる。
【0070】
また、本発明は、車両の進行方向最寄りの発信機の情報を取得して、通過の際に発信機IDの照合をおこなってID合否信号の送受信をおこなっているが、サーバーは、車両情報を受信したら、車両に目的地点までの経路の発信機IDを一括で送信する構成としてもよい。その場合は、サーバーは、車両のID合否信号が不一致となるまで、つぎの発信機IDを車両に送信しなくても、車両を目的地点まで誘導できる。
【0071】
なお、本実施の形態で説明した車両誘導方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシィブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施の形態にかかる車両誘導装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる車両誘導装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるサーバーのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施例にかかるサーバーを用いた車両誘導システムの一例を示す概要図である。
【図5】本実施例にかかるサーバーによる経路誘導の一例を示す説明図である。
【図6】本実施例にかかるサーバーの処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
100 車両誘導装置
101 受信部
102 特定部
103 取得部
104 判断部
105 送信部
106 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両の現在位置に関する情報、目的地点に関する情報、進行方向に関する情報を含む車両情報を当該車両から受信する車両情報受信工程と、
受信された前記車両情報に基づいて、車両の走行道路近傍に設けられた複数の誘導装置のうちの一の誘導装置を特定する第1の特定工程と、
前記第1の特定工程によって特定された一の誘導装置の少なくとも識別情報を含む誘導装置に関する情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された識別情報を前記車両へ送信する送信工程と、
前記送信工程によって送信された前記一の誘導装置の識別情報に基づいて得られた、当該一の誘導装置を前記車両が通過したか否かに関する通過情報を、当該車両から受信する通過情報受信工程と、
前記通過情報受信工程によって受信された前記通過情報に基づいて、前記一の誘導装置とは別の他の誘導装置を特定する第2の特定工程と、
を含み、
前記取得工程、前記送信工程、前記通過情報受信工程、前記第2の特定工程の各工程を、前記車両が前記目的地点に到達するまで繰り返しおこなうことを特徴とする車両誘導方法。
【請求項2】
前記第1の特定工程は、前記車両情報受信工程によって受信された車両情報に基づいて、前記複数の誘導装置のうちの前記車両の最も近傍に位置する最寄誘導装置を選択するものであり、
前記誘導装置に関する情報と前記車両情報とを照合することにより前記車両の目的地点に対する進行方向の正誤を判断する判断工程を含み、
前記送信工程は、前記判断工程によって前記車両の進行方向が誤っていると判断された場合、方向変更指示に関する情報を前記車両に送信することを特徴とする請求項1に記載の車両誘導方法。
【請求項3】
前記第2の特定工程により、前記通過情報受信工程によって受信された前記通過情報が、前記誘導装置を前記車両が通過していない情報を含んでいた場合には、方向変更指示に関する情報を前記車両へ送信する第2の送信工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両誘導方法。
【請求項4】
前記方向変更指示は、前記車両にUターンすることを促す指示を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の車両誘導方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両誘導方法をコンピュータに実行させることを特徴とする車両誘導プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の車両誘導プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
少なくとも車両の現在位置に関する情報、目的地点に関する情報、進行方向に関する情報を含む車両情報を当該車両から受信する車両情報受信手段と、
受信された前記車両情報に基づいて、車両の走行道路近傍に設けられた複数の誘導装置のうちの一の誘導装置を特定する第1の特定手段と、
前記第1の特定手段によって特定された一の誘導装置の少なくとも識別情報を含む誘導装置に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された識別情報を前記車両へ送信する送信手段と、
前記送信手段によって送信された前記一の誘導装置の識別情報に基づいて得られた、当該一の誘導装置を前記車両が通過したか否かに関する通過情報を、当該車両から受信する通過情報受信手段と、
前記通過情報受信手段によって受信された前記通過情報に基づいて、前記一の誘導装置とは別の他の誘導装置を特定する第2の特定手段と、
前記第2の特定手段による他の誘導装置の特定以降、前記取得手段による誘導装置に関する情報の取得、前記送信手段による取得された情報の送信、前記通過情報受信手段による通過情報の受信および前記第2の特定手段による更なる誘導装置の特定を、前記車両が前記目的地点に到達するまで繰り返しおこなわせる制御手段と、
を備えることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項8】
前記第1の特定手段は、前記車両情報受信手段によって受信された車両情報に基づいて、前記複数の誘導装置のうちの前記車両の最も近傍に位置する最寄誘導装置を選択するものであり、
前記誘導装置に関する情報と前記車両情報とを照合することにより前記車両の目的地点に対する進行方向の正誤を判断する判断手段を有し、
前記送信手段は、前記判断手段によって前記車両の進行方向が誤っていると判断された場合、方向変更指示に関する情報を前記車両に送信することを特徴とする請求項7に記載の車両誘導装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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