説明

車両識別装置、車両識別方法、及びプログラム

【課題】あるフレームにおいて車両の検出に失敗した場合に、当該フレームの前と当該フレームの後の同一車両を異なる車両として認識することを防ぐ。
【解決手段】候補抽出部209は、文字列認識部202が出力した文字列のうち記憶部208が記憶する更新対象の文字列に類似する文字列を、更新候補として抽出し、更新部211は、更新対象の文字列を更新候補の文字列に書き換える。ここで、記憶部208が記憶する文字列は、文字列認識部202が同一の車両から抽出した文字列である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置、車両識別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路における料金収受では、車両固有の登録情報の特定が重要となる。また、違反車両の特定においても、車両固有の登録情報の特定が重要となる。これらの登録情報を特定する方法としては、従来、車載器と路側アンテナの通信により取得する方法や、OCRなどの画像処理技術をもってナンバープレートを認識し、その登録情報より取得する方法などを用いている。また、画像により車種を判定(例えば4輪車と2輪車の判定)も種々開発されている。
【0003】
ここで、特許文献1には、画像情報からナンバープレートの候補となる文字列を抽出し、文字列の少なくとも一部を確認し、その結果を用いてフレーム間で車両を関連付ける方法が記載されている。本方法を用いることで、カメラが撮影した複数のフレームにおいて検出される同一の車両をそれぞれ関連付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−48225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法を用いた場合、ナンバープレートの文字列の抽出に失敗したフレームが存在する場合、当該フレームの前と当該フレームの後の同一車両を異なる車両として認識してしまうおそれがある。特許文献1によれば、無線通信によってナンバー情報を取得し、当該情報を用いてフレーム間で車両の関連付けを行うこととなるが、車両の関連付けを行うために無線通信装置が必須となってしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置であって、前記撮像装置が撮像した画像から車両の特徴を示す車両情報を抽出する車両情報抽出部と、前記車両情報抽出部が抽出した車両情報を車両毎に記憶する記憶部と、前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報と同一の車両を示す車両情報を、当該更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出する候補車両情報抽出部と、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換える更新部と、前記車両情報抽出部が出力した文字列のうち、前記候補車両情報として抽出されなかった車両情報を、前記記憶部に新たに記録する記録部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明においては、前記車両情報は車両に含まれる文字列であって、前記候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報と、前記更新対象車両情報とがそれぞれ類似する文字列である場合に、前記車両情報抽出部が出力した車両情報と前記更新対象車両情報とが同一の車両を示すと判定することが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、前記車両情報抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像に含まれる車両情報とともに、当該車両情報が示す文字列の認識尤度を出力するものであり、前記記憶部は、前記車両情報抽出部が抽出した車両情報と当該車両情報の認識尤度とを関連付けて記憶するものであり、前記更新部は、前記候補車両情報抽出部が抽出した候補車両情報の認識尤度が、前記更新対象車両情報の認識尤度より高い場合に、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換えることが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記記憶部は、前記車両情報に関連付けて前記撮像装置が撮像した画像のフレーム番号を記憶するものであり、前記更新部は、前記記憶部が記憶する車両情報に加えて前記フレーム番号を更新するものであり、前記記録部は、前記車両情報に加えて前記フレーム番号を前記記憶部に記録するものであり、前記記憶部が記憶する車両情報に関連付けられたフレーム番号と前記撮像装置が今回撮像した画像のフレーム番号との差が所定の閾値以上となる場合に、当該フレーム番号に関連付けられた情報を出力する出力部と、前記出力部が出力した車両情報を前記記憶部から削除する削除部とを備えることが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記車両情報抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像から車両情報である文字列を認識する際に当該文字列の座標を特定し、前記車両情報と共に前記座標を出力するものであり、前記記憶部は、前記車両情報に関連付けて、当該車両情報が抽出された最後のフレームにおける当該車両情報の座標である終点座標と、前記終点座標より前のフレームにおける前記車両情報の座標である始点座標とを記憶するものであり、前記更新部は、前記記憶部が記憶する車両情報に加えて、前記終点座標及び前記始点座標も更新するものであり、前記記録部は、前記車両情報に加えて、前記終点座標を前記記憶部に記録するものであり、前記候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記記憶部が記憶する何れの車両情報が示す文字列にも類似せず、かつ前記記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報の始点座標と終点座標とを結ぶベクトルと、前記更新対象車両情報の終点座標と当該車両情報の座標とを結ぶベクトルとがなす角が所定の角度以下となる車両情報を、前記更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出することが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する特徴抽出部と、前記車両情報抽出部が認識した車両情報と前記特徴抽出部が抽出した特徴領域とのうち、同一の車両を示すものを相互に関連付ける関連付け部と、前記特徴抽出部が抽出した特徴領域のうち、前記関連付け部によって前記車両情報との関連付けがなされず、かつ前記記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報の始点座標と終点座標とを結ぶベクトルと、前記更新対象車両情報の終点座標と当該特徴領域の座標とを結ぶベクトルとがなす角が所定の角度以下となる特徴領域を、前記更新対象車両情報の終点座標の更新候補である候補領域として抽出する候補領域抽出部とを備え、前記更新部は、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報の終点座標を、前記候補領域抽出部によって抽出された候補領域の座標に書き換えることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記車両情報抽出部が出力した車両情報のパターンに基づいて、当該車両情報を有する車両の車種を判別する車両情報判別部を備え、前記特徴抽出部は、前記車両の車種毎に特徴領域を抽出し、前記候補領域抽出部は、前記更新対象車両情報が示す車種と前記特徴抽出部が抽出した特徴領域が示す車種とが一致しない場合、当該特徴領域を候補領域として抽出しないことが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記車両情報は、車両の特徴部分を示す特徴領域と当該特徴領域の座標を示す情報であって、前記候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報が示す座標と、前記更新対象車両情報が示す座標とを結ぶベクトルの角度が所定の角度範囲以内である場合に、前記車両情報抽出部が出力した車両情報と前記更新対象車両情報とが同一の車両を示すと判定することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を用いた車両識別方法であって、車両情報抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像から車両の特徴を示す車両情報を抽出し、候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記車両情報抽出部が抽出した車両情報を車両毎に記憶する記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報と同一の車両を示す車両情報を、当該更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出し、更新部は、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換え、記録部は、前記車両情報抽出部が出力した文字列のうち、前記候補車両情報として抽出されなかった車両情報を、前記記憶部に新たに記録することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を、前記撮像装置が撮像した画像から車両の特徴を示す車両情報を抽出する車両情報抽出部、前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記車両情報抽出部が抽出した車両情報を車両毎に記憶する記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報と同一の車両を示す車両情報を、当該更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出する候補車両情報抽出部、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換える更新部、前記車両情報抽出部が出力した文字列のうち、前記候補車両情報として抽出されなかった車両情報を、前記記憶部に新たに記録する記録部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、候補文字列抽出部は、文字列認識部が出力した文字列のうち記憶部が記憶する更新対象文字列に類似する文字列を、候補文字列として抽出し、更新部は、更新対象文字列を候補文字列に書き換える。ここで、記憶部が記憶する文字列は、文字列認識部が同一の車両から抽出した文字列である。したがって、あるフレームにおいて車両の検出に失敗した場合にも、記憶部には当該フレーム以前の車両の文字列が記憶されているため、当該フレームの前と当該フレームの後の同一車両を異なる車両として認識することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による車両識別装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】判定部が出力する車両情報のデータ構成を示す図である。
【図3】記憶部が記憶するテーブルの情報を示す図である。
【図4】本実施形態による車両識別装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】フレーム間統合処理の処理を示す第1のフローチャートである。
【図6】別車判定処理の処理を示すフローチャートである。
【図7】ナンバープレートの座標を推定する方法を示す図である。
【図8】フレーム間統合処理の処理を示す第2のフローチャートである。
【図9】フレーム間統合処理の処理を示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による車両識別装置200の構成を示す概略ブロック図である。
車両識別装置200は、撮像装置100が撮像する画像情報の入力を順次受け付け、当該画像情報から車両のナンバープレート情報を抽出して出力する装置であり、入力部201、文字列認識部202(車両情報抽出部)、文字列判別部203(車両情報判別部)、文字列情報出力部204、領域抽出部205(車両情報抽出部)、比較値算出部206、判定部207(関連付け部)、記憶部208、候補抽出部209(候補車両情報抽出部、候補領域抽出部)、記録部210、更新部211、出力部212、削除部213を備える。
【0019】
入力部201は、撮像装置100から画像情報の入力を受け付ける。なお、撮像装置100は所定のフレーム間隔で連続して撮像を行っており、画像情報には、撮像開始時から昇順に割り振られるフレームIDが含まれる。
文字列認識部202は、入力部201が受け付けた画像情報に対してOCR処理を実行することで文字列の認識を行い、認識した文字列、当該文字列の座標、及び当該文字列の認識尤度を、文字列判別部203及び文字列情報出力部204に出力する。
文字列判別部203は、文字列認識部202から入力された文字列と所定のパターン情報とを比較することで、当該文字列が示すナンバープレートを備える車両の車種を判別する。車種としては、二輪車、一段プレートの四輪車、二段プレートの四輪車が挙げられる。ここで、一段プレートの四輪車とは、一段構えに表示されるナンバープレートが設置された四輪車である。同様に、二段プレートの四輪車とは、二段構えに表示されるナンバープレートが設置された四輪車である。
文字列情報出力部204は、文字列認識部202の出力と文字列判別部203による判別結果とを関連付け、認識した文字列、当該文字列の座標、当該文字列の認識尤度、及び車種を、比較値算出部206及び判定部207に出力する。
【0020】
領域抽出部205は、入力部201が受け付けた画像情報から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する。本実施形態では、二輪車の特徴部分として運転者の頭から肩にかけての領域、すなわち運転者のヘルメットを用いる。また、四輪車の特徴部分として四輪車のナンバープレート(一段プレート、二段プレート)を用いる。
二輪車の特徴部分としてナンバープレートでなくヘルメットを用いる理由は、二輪車のナンバープレートは設置の自由度が高く、画像に写る角度が様々であることから、ナンバープレートよりヘルメットの方がより高い精度で抽出することができるためである。特徴部分の抽出は、予め特徴部分の特徴量について機械学習を行った判別プログラムに画像情報のある領域を入力し、入力した領域の特徴量と特徴部分の特徴量との類似度が高いものを抽出することで行う。特徴量としては、例えばHOG(Histograms of Oriented Gradients)を用い、判別プログラムとしては、例えばSVM(Support Vector Machine)を用いることができる。
領域抽出部205は、特徴部分に類似する領域を抽出すると、検知領域座標(左上及び右下の座標)、特徴量評価値(類似度)、及び車種(二輪車、四輪一段、又は四輪二段)を含む領域情報を出力する。
【0021】
比較値算出部206は、文字列情報出力部204の出力と領域抽出部205の出力とに基づいて、同一の車種に関連付けられた文字列の座標と特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する。また、比較値算出部206は、車種が二輪車を示す場合、文字列の座標と特徴領域の座標とを結ぶ線分の角度を算出する。
判定部207は、比較値算出部206が算出した距離が所定の閾値以内であるか否かに基づいて、文字列情報出力部204が出力した情報と領域抽出部205が出力した情報とが、同一の車両を示すものであるか否かを判定する。判定部207は、文字列情報出力部204が出力した情報と領域抽出部205が出力した情報とが、同一の車両を示すものであると判定した場合、これらを関連付けて候補抽出部209に出力する。他方、判定部207は、文字列情報出力部204が出力した情報のうち領域抽出部205が出力した何れの情報とも関連付けられない情報と、領域抽出部205が出力した情報のうち文字列情報出力部204が出力した何れの情報とも関連付けられない情報とを、候補抽出部209にそれぞれ別個に出力する。以下、判定部207が出力した情報を、車両情報と呼ぶ。
【0022】
図2は、判定部207が出力する車両情報のデータ構成を示す図である。
車両情報は、文字列、車種、評価値、フレームID、及び車両位置座標を要素に持つ情報である。ここで、評価値とは、文字列の認識尤度または特徴領域の特徴量評価値を示すものである。評価値には、文字列認識部202によって認識された文字列が存在する場合に、当該文字列の認識尤度が適用され、文字列認識部202によって認識された文字列が存在しない場合に、特徴領域の特徴量評価値が適用される。
【0023】
図3は、記憶部208が記憶するテーブルの情報を示す図である。
記憶部208は、車両ID、文字列、車種、最大評価値、最大評価値のフレームID、車両ベクトルの始点のフレームID及び座標(始点座標)、車両ベクトルの終点のフレームID及び座標(終点座標)、並びに車両ベクトルの角度を、それぞれ関連付けたテーブルを記憶する。
ここで、車両IDとは、記憶部208が記憶する情報を識別するIDである。また、最大評価値とは、現在のフレームまでにおける文字列の認識尤度または特徴量評価値の最大値を示す。車両ベクトルとは、異なるフレームIDの画像情報間における車両の移動を示すベクトルである。なお、車両ベクトルの終点は、車両情報が抽出された最後のフレームにおける当該車両情報の座標であり、車両ベクトルの始点は、終点の座標より前のフレームにおける車両情報の座標である。
【0024】
候補抽出部209は、判定部207が出力する車両情報の中から記憶部208が記憶する情報の更新候補となる車両情報を抽出する。具体的には、文字列を含む車両情報である場合、当該文字列が記憶部208に記憶されたある文字列(更新対象文字列)に類似するものを更新候補として抽出する。また、文字列を含まない車両情報、または記憶部208に記憶された何れの文字列にも類似しない文字列を含む車両情報である場合、更新対象文字列の始点座標と終点座標とを結ぶベクトルと、更新対象文字列の終点座標と当該車両情報の座標とを結ぶベクトルとがなす角が所定の角度以下となる車両情報を、更新候補として抽出する。
【0025】
記録部210は、判定部207が出力した車両情報のうち候補抽出部209によって更新候補として抽出されなかった車両情報を、新たに記憶部208に記録する。
更新部211は、候補抽出部209が抽出した更新候補の認識尤度が、更新対象文字列の認識尤度より高い場合に、記憶部208が記憶する更新対象文字列を候補文字列に書き換える。このとき、更新部211は、画像情報のフレームID、始点座標、終点座標を最新の情報に更新する。
【0026】
出力部212は、記憶部208が記憶する車両情報に関連付けられたフレームIDと入力部201が受け付けた画像情報のフレームIDとの差が所定の閾値以上となる場合に、当該フレームIDが示す画像情報を出力する。
削除部213は、出力部212が出力した車両情報を記憶部208から削除する。
【0027】
上記構成を備えることで、車両識別装置200は、以下の処理を実行することができる。すなわち、文字列認識部202は、撮像装置100が撮像した画像に含まれる文字列を認識する。候補抽出部209は、文字列認識部202が出力した文字列のうち、文字列認識部202が同一の車両から抽出した文字列を記憶する記憶部208に記憶された更新対象の文字列に類似する文字列を、当該更新対象の更新候補として抽出する。更新部211は、記憶部208が記憶する更新対象を更新候補の文字列に書き換える。記録部210は、文字列認識部202が出力した文字列のうち、更新候補として抽出されなかった文字列を、記憶部208に新たに記録する。
これにより、車両識別装置200は、あるフレームにおいて車両の検出に失敗した場合にも、当該フレームの前と当該フレームの後の同一車両を異なる車両として認識することを防ぐことができる。
【0028】
次に、本実施形態による車両識別装置200の動作について説明する。
図4は、本実施形態による車両識別装置200の動作を示すフローチャートである。
まず、車両識別装置200の入力部201は、撮像装置100が撮像した画像情報の入力を受け付ける(ステップS1)。次に、文字列認識部202は、入力部201が受け付けた画像情報に対してOCR処理を実行し、文字列の認識を行う(ステップS2)。このとき、文字列認識部202は、文字列認識の認識尤度、及び文字列の座標を算出する。
【0029】
次に、文字列判定部207は、文字列認識部202が識別した文字列と所定のパターン情報とを比較することで、当該文字列が示すナンバープレートを備える車両の車種を判別する(ステップS3)。次に、文字列情報取得部は、文字列認識部202が出力する情報と文字列判定部207による判定結果を関連付けて比較値算出部206及び判定部207に出力する。
【0030】
他方、ステップS1で入力部201が画像情報の入力を受け付けると、領域抽出部205は、SVM等を用いて、入力部201が受け付けた画像情報から、二輪車の特徴領域、及び一段プレート並びに二段プレートの四輪車の特徴領域をそれぞれ抽出し、当該特徴領域の情報を比較値算出部206及び判定部207に出力する(ステップS4)。このとき、領域抽出部205は、抽出した特徴領域のそれぞれに対して、当該特徴領域が二輪車の特徴領域であるか、四輪車の特徴領域であるかを示す種別情報を付与する。
【0031】
次に、判別部207は、1フレームの画像情報から抽出した文字列と特徴領域とフレームIDとを関連付けるフレーム内統合処理を実行する(ステップS5)。判別部207は、フレーム内統合処理を実行することで、同一の車両を示す文字列と特徴領域と当該画像情報のフレームIDとを関連付けた情報である車両情報を生成する。なお、判別部207は、同一の車両を示す文字列と特徴領域とに基づいて、文字列と特徴領域とフレームIDとを含む車両情報を生成する。また、判別部207は、対応する特徴領域がない文字列に基づいて、文字列とフレームIDとを含む車両情報、すなわち特徴領域を含まない車両情報を生成する。また、判別部207は、対応する文字列がない特徴領域に基づいて、特徴領域とフレームIDとを含む車両情報、すなわち文字列を含まない車両情報を生成する。
【0032】
フレーム内統合処理を終了すると、判定部207は、車両情報を候補抽出部209に出力する。次に、車両識別装置200は、複数のフレームの画像情報から抽出した車両情報同士を関連付けるフレーム間統合処理を実行する(ステップS6)。
図5は、フレーム間統合処理の処理を示す第1のフローチャートである。
まず候補抽出部209は、現在のフレームにおいて判定部207から受け付けた車両情報が存在するか否かを判定する(ステップS601)。現在のフレームにおいて判定部207から受け付けた車両情報が存在しない場合は(ステップS601:NO)、記憶部208が記憶する情報に統合する情報がないため、処理を行わずにフレーム間統合処理を終了する。他方、現在のフレームにおいて判定部207から受け付けた車両情報が存在する場合(ステップS601:YES)、候補抽出部209は、判定部207から出力された全ての車両情報のそれぞれについて、以下に示すステップS603〜ステップS616の処理を実行する(ステップS602)。
【0033】
まず、候補抽出部209は、ステップS602で選択した車両情報に、文字列認識部202によって認識された文字列が存在するか否かを判定する(ステップS603)。車両情報に文字列が存在する場合(ステップS603:YES)、候補抽出部209は、当該車両情報に含まれる文字列の座標を、車両の位置を示す座標である車両位置座標とする(ステップS604)。次に、候補抽出部209は、記憶部208が記憶するテーブルのレコードのそれぞれについて、以下に示すステップS606〜ステップS612の処理を実行する(ステップS605)。
【0034】
まず、候補抽出部209は、ステップS602で選択した車両情報が示す車両とステップS605で選択したレコードが示す車両とが同一の車両であるか否かを判別する別車判定処理を実行する(ステップS607)。
図6は、別車判定処理の処理を示すフローチャートである。
候補抽出部209は、まずステップS604で特定した車両位置座標が、ステップS605で選択したレコードの車両ベクトルの終点座標に対して前方にあるか否かを判定する(ステップS901)。
【0035】
車両位置座標が前方にある場合(ステップS901:YES)、候補抽出部209は、次にステップS602で選択した車両情報が示す車両のナンバープレート文字の色がステップS605で選択したレコードが示す車両のナンバープレート文字の色と一致するか否かを判定する(ステップS902)。なお、ステップS902では、色が完全に一致している場合に限られず、多少の誤差が有った場合にも一致していると判定する。例えば、色相や明度、彩度の差が全て所定の閾値未満である場合に色が一致していると判定する。
【0036】
ナンバープレート文字の色が一致する場合(ステップS902:YES)、候補抽出部209は、次にステップS602で選択した車両情報が示す車両のナンバープレートの段数がステップS605で選択したレコードが示す車両のナンバープレートの段数と一致するか否かを判定する(ステップS903)。
【0037】
ナンバープレートの段数が一致する場合(ステップS903:YES)、候補抽出部209は、次にステップS602で選択した車両情報が示す車両の検出時刻が、ステップS605で選択したレコードが示す車両の前回の検出時刻から一定時間内であるか否かを判定する(ステップS904)。今回の車両検出が前回の車両検出から一定時間内であるか否かの判定方法としては、例えばステップS602で選択した車両情報のフレームIDとステップS605で選択したレコードの終点ベクトルのフレームIDとの差が所定の閾値以内であるか否かを判定する方法が挙げられる。
【0038】
今回の車両検出が前回の車両検出から一定時間内である場合(ステップS904:YES)、候補抽出部209は、次にステップS602で選択した車両情報の文字列と、ステップS605で選択したレコードの文字列との差が所定の閾値(例えば2文字)以下であるか否かを判定する(ステップS905)。すなわち、候補抽出部209は、ステップS602で選択した車両情報の文字列が、ステップS605で選択したレコードの文字列と類似しているか否かを判定する。
ここで文字列の差とは、2つの文字列における同じ桁の文字の組のうち、互いに異なる組の個数のことを示す。例えば、車両情報の文字列が「SBD5655#」であり、レコードの文字列が「S#D5655C」であった場合(ここで、「#」は判別できなかった文字を示す)、同じ桁における異なる文字の組は、2桁目と8桁目であるため、文字列の差は「2」である。
また、2つの文字列の桁数が異なる場合は、桁数の小さい方の文字列をずらして、それぞれに対して文字列の差を判定し、差が小さいものを採用する。例えば、車両情報の文字列が「SBD5655#」であり、レコードの文字列が「BD5655C」であった場合、「SBD5655#」に対して、桁数の小さい文字列である「BD5655C」を前にずらした「BD5655C#」と後ろにずらした「#BD5655C」とのそれぞれと比較を行う。この場合、「SBD5655#」と「BD5655C#」との差が7であり、「SBD5655#」と「#BD5655C」との差が2であることから、「SBD5655#」と「BD5655C」との差は2となる。
【0039】
ステップS905で文字列の差が所定の閾値以内であると判定された場合(ステップS906)、候補抽出部209は、ステップS602で選択した車両情報が示す車両とステップS605で選択したレコードが示す車両とが同一の車両であると判定し(ステップS906)、別車判定処理を終了する。
【0040】
他方、車両位置座標が前方にないと判定された場合(ステップS901:NO)、ナンバープレート文字の色が異なると判定された場合(ステップS902:NO)、ナンバープレートの段数が異なると判定された場合(ステップS903:NO)、前回の車両検出から一定時間以上経過していると判定された場合(ステップS904:NO)、または文字列の差が所定の閾値を超えていると判定された場合(ステップS905:NO)、候補抽出部209は、ステップS602で選択した車両情報が示す車両とステップS605で選択したレコードが示す車両とが異なる車両であると判定し(ステップS907)、別車判定処理を終了する。
【0041】
図5に戻り、ステップS606による別車判定処理を終了すると、候補抽出部209は、別車判定処理においてステップS602で選択した車両情報が示す車両とステップS605で選択したレコードが示す車両とが同一の車両であると判定したか否かを判定する(ステップS607)。候補抽出部209が、ステップS907で異なる車両であると判定した場合(ステップS607:NO)、ステップS605に戻り、記憶部208が記憶する他のレコードの選択を行う。
【0042】
他方、候補抽出部209は、ステップS906で同一の車両であると判定した場合(ステップS607:YES)、ステップS602で選択した車両情報を、ステップS605で選択したレコードを更新対象とする更新候補として抽出し、当該車両情報とレコードの車両IDとを更新部211に出力する(ステップS608)。
【0043】
更新部211は、更新対象のレコードの車両IDに関連付けられたレコードを記憶部208から読み出し、当該レコードにおける車両ベクトルの始点のフレームID及び座標を、当該車両ベクトルの終点のフレームID及び座標に書き換える。また、更新部211は、当該レコードにおける車両ベクトルの終点のフレームID及び座標を、更新候補の車両情報のフレームID及び座標に書き換える(ステップS609)。次に、更新部211は、ステップS609で書き換えたレコードにおける車両ベクトルの始点及び終点の座標から当該車両ベクトルの角度を算出し、当該レコードにおける車両ベクトルの角度を書き換える(ステップS610)。
【0044】
次に、更新部211は、更新候補の車両情報の文字列認識尤度が、更新対象のレコードの文字列認識尤度以上であるか否かを判定する(ステップS611)。更新部211は、更新候補の車両情報の文字列認識尤度が、更新対象のレコードの文字列認識尤度以上であると判定した場合(ステップS611:YES)、更新対象のレコードにおける文字列認識尤度及び最大評価値のフレームIDを、更新候補の車両情報の文字列認識尤度及びフレームIDに書き換え(ステップS612)、ステップS605に戻り、記憶部208が記憶する他のレコードの選択を行う。
【0045】
他方、更新部211は、更新候補の車両情報の文字列認識尤度が、更新対象のレコードの文字列認識尤度未満であると判定した場合(ステップS611:NO)、文字列及び文字列認識尤度の更新を行わずに、ステップS605に戻り、記憶部208が記憶する他のレコードの選択を行う。
【0046】
記憶部208が記憶する全てのレコードに対して上記ステップS606〜ステップS612の処理を実行すると、ステップS602に戻り、現在フレームの他の車両情報の選択を行う。
【0047】
また、候補抽出部209は、ステップS603において車両情報に文字列が存在しないと判定した場合(ステップS603:NO)、当該車両情報の車種が二輪であるか否かを判定する(ステップS613)。候補抽出部209は、車両情報の車種が二輪であると判定した場合(ステップS613:YES)、車両情報に含まれる特徴領域の座標からナンバープレートの座標を推定する(ステップS614)。
【0048】
図7は、ナンバープレートの座標を推定する方法を示す図である。
候補抽出部209は図7に示すように、特徴領域の座標から距離dbike、角度180°+θbikeとなる点を、ナンバープレートの座標と推定する。ここで、距離dbikeは、ステップS513で用いた、画像に写ったときの二輪プレートと特徴部分との標準的な距離である。また、角度θbikeは、ステップS516で用いた、画像に写ったときの二輪プレートと特徴部分とを結ぶ線分のレーン毎の標準的な角度である。
候補抽出部209は、ステップS614でナンバープレートの座標を推定すると、当該推定した座標を車両位置座標として(ステップS615)、ステップS602に戻り、現在フレームの他の車両情報の選択を行う。
【0049】
また、候補抽出部209は、ステップS613において、車両情報の車種が二輪でないと判定した場合(ステップS613:NO)、当該車両情報に含まれる特徴領域の座標を車両位置座標として(ステップS616)、ステップS602に戻り、現在フレームの他の車両情報の選択を行う。
【0050】
図8は、フレーム間統合処理の処理を示す第2のフローチャートである。
判定部207が出力した全ての車両情報に対して上記ステップS603〜ステップS616の処理を実行すると、候補抽出部209は、判定部207が出力した全ての車両情報がステップS608において更新候補となったか否かを判定する(ステップS617)。全ての車両情報が更新候補になった場合は(ステップS617:YES)、これ以上統合する情報がないため、処理を行わずにフレーム間統合処理を終了する。
【0051】
他方、更新候補として抽出されなかった車両情報が存在する場合(ステップS617:NO)、候補抽出部209は、記憶部208が記憶するレコードのそれぞれについて、以下に示すステップS619〜ステップS631の処理を実行する(ステップS618)。
【0052】
まず、候補抽出部209は、ステップS618で選択されたレコードの車両ベクトルの終点座標を始点とし、ステップS608において更新候補として抽出されなかった車両情報の車両位置座標を終点とする未関連車両ベクトルの角度を算出する(ステップS619)。次に、候補抽出部209は、ステップS619で選択した未関連車両ベクトルの始点となったレコードに、車両ベクトルの角度θmXnYが存在するか否かを判定する(ステップS620)。ここで、車両ベクトルの角度θmXnYが存在しない場合とは、前回の処理において新たに記録されたために車両ベクトルの始点が存在しない場合である。
【0053】
車両ベクトルに角度が存在する場合(ステップS620:YES)、候補抽出部209は、ステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θmXnY−δveh以上であるものが存在するか否かを判定する(ステップS621)。ここで、δvehとは、車両の操舵により前回の進行方向に対して1フレームの間に変化し得る角度である。
【0054】
ステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θmXnY−δveh以上であるものが存在する場合(ステップS621:YES)、候補抽出部209は、角度がθmXnY−δveh以上であると判定された未関連車両ベクトルの中に、当該角度が所定の角度θmXnY+δveh以下であるものが存在するか否かを判定する(ステップS622)。なお、ステップS621、ステップS622の処理は、ステップS618で選択したレコードに記憶された車両ベクトルとステップS619で算出したベクトルとがなす角が、所定の角度δveh以下となっているか否かを判定する処理と等価である。
【0055】
角度がθmXnY−δveh以上であると判定された未関連車両ベクトルの中に、当該角度がθmXnY+δveh以下であるものが存在する場合(ステップS622:YES)、候補抽出部209は、その未関連車両ベクトルのうち、角度が最もθmXnYに近いものを抽出する。そして、抽出した未関連車両ベクトルの終点を示す車両情報を、ステップS613で選択したレコードを更新対象とする更新候補として抽出し、当該車両情報とレコードの車両IDとを更新部211に出力する(ステップS623)。
なお、ステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θmXnY−δveh以上であるものが存在しない場合(ステップS621:NO)、及びステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θmXnY+δveh以下であるものが存在しない場合(ステップS622:NO)、ステップS613で選択したレコードが示す車両に相当する車両情報が存在しないため、ステップS618に戻り、他のレコードを選択する。
【0056】
他方、ステップS618で選択したレコードの車両ベクトルに角度が存在しない場合(ステップS620:NO)、候補抽出部209は、ステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θveh−δveh以上であるものが存在するか否かを判定する(ステップS621)。ここで、θvehとは、画像情報における車両の進行方向のレーン毎の標準的な角度である。
【0057】
ステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θveh−δveh以上であるものが存在する場合(ステップS624:YES)、候補抽出部209は、角度がθveh−δveh以上であると判定された未関連車両ベクトルの中に、当該角度が所定の角度θveh+δveh以下であるものが存在するか否かを判定する(ステップS625)。
【0058】
角度がθveh−δveh以上であると判定された未関連車両ベクトルの中に、当該角度がθveh+δveh以下であるものが存在する場合(ステップS625:YES)、候補抽出部209は、その未関連車両ベクトルのうち、角度が最もθvehに近いものを抽出する。そして、抽出した未関連車両ベクトルの終点を示す車両情報を、ステップS613で選択したレコードを更新対象とする更新候補として抽出し、当該車両情報とレコードの車両IDとを更新部211に出力する(ステップS626)。
なお、ステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θveh−δveh以上であるものが存在しない場合(ステップS624:NO)、及びステップS619で算出した未関連車両ベクトルの中に、角度が所定の角度θveh+δveh以下であるものが存在しない場合(ステップS625:NO)、ステップS613で選択したレコードが示す車両に相当する車両情報が存在しないため、ステップS618に戻り、他のレコードを選択する。
【0059】
ステップS623またはステップS626で候補抽出部209が更新候補の車両情報及び更新対象のレコードの車両IDを出力すると、更新部211は、候補抽出部209から受け付けた車両IDに関連付けられたレコードを記憶部208から読み出し、当該レコードにおける車両ベクトルの始点のフレームID及び座標を、当該車両ベクトルの終点のフレームID及び座標に書き換える。また、更新部211は、当該レコードにおける車両ベクトルの終点のフレームID及び座標を、候補抽出部209から受け付けた車両情報のフレームID及び座標に書き換える(ステップS627)。次に、更新部211は、ステップS627で書き換えたレコードにおける車両ベクトルの始点及び終点の座標から当該車両ベクトルの角度を算出し、当該レコードにおける車両ベクトルの角度を書き換える(ステップS628)。
【0060】
次に、更新部211は、更新対象のレコードに文字列が含まれるか否かを判定する(ステップS629)。レコードに文字列が含まれない場合(ステップS629:NO)、更新部211は、更新候補の車両情報の特徴量評価値が、更新対象のレコードの特徴量評価値以上であるか否かを判定する(ステップS630)。更新部211は、更新候補の車両情報の特徴量評価値が、更新対象のレコードの特徴量評価値以上であると判定した場合(ステップS630:YES)、更新対象のレコードにおける特徴量評価値及び最大評価値のフレームIDを、更新候補の車両情報の特徴量評価値及びフレームIDに書き換え(ステップS631)、ステップS618に戻り、記憶部208が記憶する他のレコードの選択を行う。
【0061】
他方、更新部211は、更新対象のレコードに文字列が含まれる場合(ステップS629:YES)、または更新候補の車両情報の特徴量評価値が、更新対象のレコードの文字列認識尤度未満であると判定した場合(ステップS630:NO)、文字列及び文字列認識尤度の更新を行わずに、ステップS618に戻り、記憶部208が記憶する他のレコードの選択を行う。
【0062】
図9は、フレーム間統合処理の処理を示す第3のフローチャートである。
記憶部208が記憶する全てのレコードに対して上記ステップS619〜ステップS631の処理を実行すると、候補抽出部209は、判定部207が出力した全ての車両情報がステップS608、ステップS623、またはステップS626において更新候補となったか否かを判定する(ステップS632)。全ての車両情報が更新候補になった場合は(ステップS632:YES)、これ以上統合する情報がないため、処理を行わずにフレーム間統合処理を終了する。
【0063】
他方、更新候補として抽出されなかった車両情報が存在する場合(ステップS632:NO)、候補抽出部209は、更新候補として抽出されなかった車両情報のそれぞれについて、以下に示すステップS634〜ステップS636の処理を実行する(ステップS633)。
【0064】
まず、候補抽出部209は、ステップS633で選択した車両情報の特徴量評価値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS634)。特徴量評価値が所定の閾値以上である場合(ステップS634:YES)、記録部210は、当該車両情報を、新規車両として新たに記憶部208に記録する(ステップS635)。他方、特徴量評価値が所定の閾値未満である場合(ステップS634:NO)、候補抽出部209は、当該車両情報を記録せずに破棄する(ステップS636)。
更新候補として抽出されなかった全ての車両情報に対して上記ステップS634〜ステップS636の処理を実行すると、フレーム間統合処理を終了する。
【0065】
図4に戻り、ステップS6によるフレーム間統合処理を終了すると、出力部212は、入力部201から現在のフレームIDを取得する。次に、出力部212は、記憶部208が記憶するレコードの中に、車両ベクトルの終点のフレームIDと現在のフレームIDとの差が所定フレーム以上となるものがあるか否かを判定する(ステップS7)。出力部212は、記憶部208が記憶するレコードの中に、車両ベクトルの終点のフレームIDと現在のフレームIDとの差が所定フレーム以上となるものがないと判定した場合(ステップS7:NO)、処理を終了する。
【0066】
他方、出力部212は、記憶部208が記憶するレコードの中に、車両ベクトルの終点のフレームIDと現在のフレームIDとの差が所定フレーム以上となるものがあると判定した場合(ステップS7:YES)、終点のフレームIDと現在のフレームIDとの差が所定フレーム以上となるレコードの、最大評価値のフレームIDが示すフレームの画像情報を、外部装置に出力する(ステップS8)。また、削除部213は、出力部212が出力したレコードを記憶部208から削除し(ステップS9)、処理を終了する。
以降、入力部201が画像情報を受け付ける度に、ステップS1からステップS9の処理を実行する。
【0067】
このように、本実施形態によれば、候補抽出部209は、文字列認識部202が出力した文字列のうち記憶部208が記憶する更新対象の文字列に類似する文字列を、更新候補として抽出し、更新部211は、更新対象の文字列を更新候補の文字列に書き換える。ここで、記憶部208が記憶する文字列は、文字列認識部202が同一の車両から抽出した文字列である。したがって、あるフレームにおいて車両の検出に失敗した場合にも、記憶部208には当該フレーム以前の車両の文字列が記憶されている。そのため、車両識別装置200は、当該フレームの前と当該フレームの後の同一車両を異なる車両として認識することを防ぐことができる。
【0068】
また、本実施形態では、更新部211は、候補抽出部209が抽出した更新候補の文字列認識尤度が、更新対象のレコードの文字列認識尤度より高い場合に、記憶部208が記憶するレコードの文字列を、更新候補の文字列に書き換える。これにより、記憶部208は、最も認識尤度が高い文字列を記憶しておくことができる。
【0069】
また、本実施形態では、出力部212は、記憶部208が記憶するレコードにおける車両ベクトルの終点のフレーム番号と、撮像装置100が今回撮像した画像情報のフレーム番号との差が所定の閾値以上となる場合に、当該フレーム番号が示す画像情報を出力する。これにより、車両識別装置200は、撮像装置100の撮像範囲外に出た車両を示す画像情報を出力することができる。
【0070】
また、本実施形態では、候補抽出部209は、文字列認識部202が出力した文字列のうち、記憶部208が記憶する何れの文字列にも類似せず、かつ記憶部208に記憶された更新対象のレコードの車両ベクトルと、更新対象の車両ベクトルの終点座標と、文字列認識部202が出力した文字列の座標とを結ぶベクトルとがなす角が、所定の角度δveh以下となる文字列を、更新候補として抽出する。これにより、車両識別装置は、文字列の認識に失敗した場合にも、前回までの車両の進行方向に基づいて、記憶部208が記憶するレコードを更新することができる。
【0071】
また、本実施形態では、候補抽出部209は、特徴抽出部205が抽出した特徴領域のうち、判定部207によって文字列情報出力部204が出力した文字列との関連付けがなされず、かつ記憶部208に記憶された更新対象の車両ベクトルと、当該車両ベクトルの終点座標と当該特徴領域の座標とを結ぶベクトルとがなす角が所定の角度δveh以下となる特徴領域を、更新対象の終点座標の更新候補として抽出する。これにより、車両識別装置は、文字列の認識に失敗した場合にも、前回までの車両の進行方向に基づいて、記憶部208が記憶するレコードを更新することができる。
【0072】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、二輪車の特徴部分としてヘルメットを用い、四輪車の特徴部分としてナンバープレートを用いる場合を説明したが、これに限られず、その他の特徴部分を用いても、同様の処理を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態では、四輪車のナンバープレートの種類として一段プレートと二段プレートとがある場合を用いて説明したが、これに限られず、1種類または3種類以上のナンバープレートがある場合にも適用することができる。
【0074】
上述の車両識別装置200は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0075】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0076】
100…撮像装置 200…車両識別装置 201…入力部 202…文字列認識部 203…文字列判別部 204…文字列情報出力部 205…領域抽出部 206…比較値算出部 207…判定部 208…記憶部 209…候補抽出部 210…記録部 211…更新部 212…出力部 213…削除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置であって、
前記撮像装置が撮像した画像から車両の特徴を示す車両情報を抽出する車両情報抽出部と、
前記車両情報抽出部が抽出した車両情報を車両毎に記憶する記憶部と、
前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報と同一の車両を示す車両情報を、当該更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出する候補車両情報抽出部と、
前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換える更新部と、
前記車両情報抽出部が出力した文字列のうち、前記候補車両情報として抽出されなかった車両情報を、前記記憶部に新たに記録する記録部と
を備えることを特徴とする車両識別装置。
【請求項2】
前記車両情報は車両に含まれる文字列であって、
前記候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報と、前記更新対象車両情報とがそれぞれ類似する文字列である場合に、前記車両情報抽出部が出力した車両情報と前記更新対象車両情報とが同一の車両を示すと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両識別装置。
【請求項3】
前記車両情報抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像に含まれる車両情報とともに、当該車両情報が示す文字列の認識尤度を出力するものであり、
前記記憶部は、前記車両情報抽出部が抽出した車両情報と当該車両情報の認識尤度とを関連付けて記憶するものであり、
前記更新部は、前記候補車両情報抽出部が抽出した候補車両情報の認識尤度が、前記更新対象車両情報の認識尤度より高い場合に、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換える
ことを特徴とする請求項2に記載の車両識別装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記車両情報に関連付けて前記撮像装置が撮像した画像のフレーム番号を記憶するものであり、
前記更新部は、前記記憶部が記憶する車両情報に加えて前記フレーム番号を更新するものであり、
前記記録部は、前記車両情報に加えて前記フレーム番号を前記記憶部に記録するものであり、
前記記憶部が記憶する車両情報に関連付けられたフレーム番号と前記撮像装置が今回撮像した画像のフレーム番号との差が所定の閾値以上となる場合に、当該フレーム番号に関連付けられた情報を出力する出力部と、
前記出力部が出力した車両情報を前記記憶部から削除する削除部と
を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両識別装置。
【請求項5】
前記車両情報抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像から車両情報である文字列を認識する際に当該文字列の座標を特定し、前記車両情報と共に前記座標を出力するものであり、
前記記憶部は、前記車両情報に関連付けて、当該車両情報が抽出された最後のフレームにおける当該車両情報の座標である終点座標と、前記終点座標より前のフレームにおける前記車両情報の座標である始点座標とを記憶するものであり、
前記更新部は、前記記憶部が記憶する車両情報に加えて、前記終点座標及び前記始点座標も更新するものであり、
前記記録部は、前記車両情報に加えて、前記終点座標を前記記憶部に記録するものであり、
前記候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記記憶部が記憶する何れの車両情報が示す文字列にも類似せず、かつ前記記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報の始点座標と終点座標とを結ぶベクトルと、前記更新対象車両情報の終点座標と当該車両情報の座標とを結ぶベクトルとがなす角が所定の角度以下となる車両情報を、前記更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出する
ことを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1項に記載の車両識別装置。
【請求項6】
前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する特徴抽出部と、
前記車両情報抽出部が認識した車両情報と前記特徴抽出部が抽出した特徴領域とのうち、同一の車両を示すものを相互に関連付ける関連付け部と、
前記特徴抽出部が抽出した特徴領域のうち、前記関連付け部によって前記車両情報との関連付けがなされず、かつ前記記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報の始点座標と終点座標とを結ぶベクトルと、前記更新対象車両情報の終点座標と当該特徴領域の座標とを結ぶベクトルとがなす角が所定の角度以下となる特徴領域を、前記更新対象車両情報の終点座標の更新候補である候補領域として抽出する候補領域抽出部と
を備え、
前記更新部は、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報の終点座標を、前記候補領域抽出部によって抽出された候補領域の座標に書き換える
ことを特徴とする請求項5に記載の車両識別装置。
【請求項7】
前記車両情報抽出部が出力した車両情報のパターンに基づいて、当該車両情報を有する車両の車種を判別する車両情報判別部を備え、
前記特徴抽出部は、前記車両の車種毎に特徴領域を抽出し、
前記候補領域抽出部は、前記更新対象車両情報が示す車種と前記特徴抽出部が抽出した特徴領域が示す車種とが一致しない場合、当該特徴領域を候補領域として抽出しない
ことを特徴とする請求項6に記載の車両識別装置。
【請求項8】
前記車両情報は、車両の特徴部分を示す特徴領域と当該特徴領域の座標を示す情報であって、
前記候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報が示す座標と、前記更新対象車両情報が示す座標とを結ぶベクトルの角度が所定の角度範囲以内である場合に、前記車両情報抽出部が出力した車両情報と前記更新対象車両情報とが同一の車両を示すと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両識別装置。
【請求項9】
車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を用いた車両識別方法であって、
車両情報抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像から車両の特徴を示す車両情報を抽出し、
候補車両情報抽出部は、前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記車両情報抽出部が抽出した車両情報を車両毎に記憶する記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報と同一の車両を示す車両情報を、当該更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出し、
更新部は、前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換え、
記録部は、前記車両情報抽出部が出力した文字列のうち、前記候補車両情報として抽出されなかった車両情報を、前記記憶部に新たに記録する
ことを特徴とする車両識別方法。
【請求項10】
車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を、
前記撮像装置が撮像した画像から車両の特徴を示す車両情報を抽出する車両情報抽出部、
前記車両情報抽出部が出力した車両情報のうち、前記車両情報抽出部が抽出した車両情報を車両毎に記憶する記憶部に記憶されたある車両情報である更新対象車両情報と同一の車両を示す車両情報を、当該更新対象車両情報の更新候補である候補車両情報として抽出する候補車両情報抽出部、
前記記憶部が記憶する更新対象車両情報を前記候補車両情報に書き換える更新部、
前記車両情報抽出部が出力した文字列のうち、前記候補車両情報として抽出されなかった車両情報を、前記記憶部に新たに記録する記録部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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