説明

車両負荷電圧の安定化モジュールおよびその方法

【課題】本発明は、車両負荷電圧の安定化モジュールおよびその方法を提供する。
【解決手段】
車両負荷電圧の安定化モジュールは、車両電池ユニット、車両コンピュータユニット、および車両負荷ユニットに使用される。該車両負荷電圧の安定化モジュールは、昇圧ユニットおよびマイクロコントローラユニットを含む。昇圧ユニットは車両電池ユニットおよび車両負荷ユニットと電気的に接続し、マイクロコントローラユニットは、昇圧ユニットおよび車両コンピュータユニットと電気的に接続する。車両電池ユニットの電圧がまもなく低下するとき、車両コンピュータユニットが電圧低下信号をマイクロコントローラユニットに送信し、マイクロコントローラユニットが昇圧ユニットを制御して、昇圧電圧を車両負荷ユニットに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電圧の安定化モジュールおよびその方法、特に、車両負荷電圧の安定化モジュールおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池(例えばバッテリ)は、自動車に必須の重要な部品である。例えば自動車エンジンの始動、またはステレオもしくはライトなどの自動車電子機器にも電池の電源が必要である。
【0003】
自動車エンジンは、始動の瞬間に電池の電圧が大幅に低下し、電池電圧が一時的に不安定になる。ステレオまたはライトのような自動車電子機器に安定した電源を供給できなくなり、例えばステレオが一時的に中断したり、ライトが点滅したりする。
【0004】
現在、ハイブリッド車が非常に注目を集めている。そのうちマイクロハイブリッド(Micro Hybrid)方式を採用したハイブリッド車の設計原理は、内燃機関を始動するとき、モーターが内燃機関を補助して比較的高い回転数で回転させ、始動をさらに効率的にする。マイクロハイブリッド方式のハイブリッド車は減速およびブレーキ時には内燃機関を停止し、加速時には始動させ、ガソリンを節約する。
【0005】
以上の記述からわかるように、マイクロハイブリッド方式を採用したハイブリッド車は、減速およびブレーキ時に内燃機関を停止し、加速時には始動する。したがって、内燃機関(すなわちエンジン)の始動および停止の回数は、一般的なハイブリッドではない自動車より頻繁である。しかし、電池電圧の不安定現象が起こる(すなわちエンジンが始動する瞬間に電池電圧が大幅に低下する)のはさらに頻繁となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来技術の欠点を改善するために、本発明の目的は車両負荷電圧の安定化モジュールを提供することにあり、自動車エンジンを始動する瞬間に安定した電圧を維持する。
【0007】
前述した従来技術の欠点を改善するための本発明のもう1つの目的は、車両負荷電圧の安定化方法を提供することにあり、自動車エンジンを始動する瞬間に安定した電圧を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前述の目的を達成するため、本発明の車両負荷電圧の安定化モジュールは、車両電池ユニット、車両コンピュータユニット、および車両負荷ユニットに使用される。該車両負荷電圧の安定化モジュールは、車両電池ユニットおよび車両負荷ユニットと電気的に接続する少なくとも1つの昇圧ユニットと、昇圧ユニットおよび車両コンピュータユニットと電気的に接続するマイクロコントローラユニットを含む。そのうち車両コンピュータユニットは、電圧低下信号をマイクロコントローラユニットに送信し、車両電池ユニットの電圧がまもなく低下することを知らせる。マイクロコントローラユニットは昇圧ユニットを制御して、昇圧電圧を車両負荷ユニットに提供する。
【0009】
本発明の前述のもう1つの目的を達成するため、本発明の車両負荷電圧の安定化方法は、車両電池ユニット、車両コンピュータユニット、車両負荷ユニットに使用される。車両負荷電圧を安定化する方法は、マイクロコントローラユニットおよび少なくとも1つの昇圧ユニットを提供する。そのうちマイクロコントローラユニットは車両コンピュータユニットと電気的に接続し、昇圧ユニットはマイクロコントローラユニット、車両電池ユニット、および車両負荷ユニットと電気的に接続する。車両コンピュータユニットは電圧低下信号をマイクロコントローラユニットに送信し、車両電池ユニットの電圧がまもなく低下することを知らせる。またマイクロコントローラユニットは昇圧ユニットを制御して昇圧電圧を車両負荷ユニットに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の車両負荷電圧の安定化モジュールのブロック図である。
【図2】図2は、本発明の車両負荷電圧の安定化方法のフローチャート図である。
【図3】図3は、本発明の車両負荷電圧の安定化方法による実施例の電圧シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
本発明の車両負荷電圧の安定化モジュールのブロック図である図1を参照されたい。本発明の車両負荷電圧の安定化モジュール30は車両電池ユニット10、車両コンピュータユニット20、および車両負荷ユニット40に使用される。車両電池ユニット10は例えば車両のバッテリであり、自動車エンジンの始動または自動車電子機器(ステレオもしくはライトなど)の電力源を提供する。自動車コンピュータユニット20は、例えば車載コンピュータまたは自動車電子制御装置(Electronic Control Units、ECU)である。車両コンピュータユニット20は、車両電池ユニット10の電圧などを測定する機能を有するが、これは一般の従来技術であるため、その説明はここでは省略する。車両負荷ユニット40は、例えばライトまたはカーステレオなどの電子機器である。
【0012】
従来技術では、車両電池ユニット10は車両負荷ユニット40に直接電源を供給する。本発明では、車両負荷電圧の安定化モジュール30は、車両電池ユニット10、車両コンピュータユニット20、および車両負荷ユニット40に電気的に接続して電圧安定機能を提供する。
【0013】
車両負荷電圧の安定化モジュール30は、車両電池ユニット10および車両負荷ユニット40と電気的に接続する少なくとも1つの昇圧ユニット34、昇圧ユニット34および車両コンピュータユニット20と電気的に接続するマイクロコントローラユニット38、昇圧ユニット34と並列して、車両電池ユニット10および車両負荷ユニット40と電気的に接続するバイパスユニット32、バイパスユニット32、昇圧ユニット34、およびマイクロコントローラユニット38と電気的に接続する補助電源ユニット36を含む。
【0014】
本発明の車両負荷電圧の安定化方法のフローチャート図である図2を参照されたい。同時に図1も参考にされたい。まず、車両コンピュータユニット20が起動信号をマイクロコントローラユニット38に送信し、マイクロコントローラユニット38を起動する(S10)。続いて、車両電池ユニット10の電圧がまもなく低下するとき(先行技術に記述したように、自動車エンジンがまもなく再始動するとき)、車両コンピュータユニット20が電圧低下信号をマイクロコントローラユニット38に送信し、車両電池ユニット10の電圧がまもなく低下することを知らせる(S20)。続いて、マイクロコントローラユニット38が昇圧ユニット34を制御して、昇圧電圧を車両負荷ユニット40に提供する(S30)。これにより、車両電池ユニット10の電圧が低下するために、車両負荷ユニット40に供給する電圧も続いて低下する、従来技術の欠点を改善することができる。
【0015】
車両電池ユニット10の電圧が安定状態に回復したとき、車両コンピュータユニット20は電圧安定化信号をマイクロコントローラユニット38に送信して、車両電池ユニット10の電圧が安定状態に回復したことを知らせる(S40)。その後、マイクロコントローラユニット38はバイパスユニット32を制御して、車両電池ユニット10から車両負荷ユニット40に電圧を提供する。マイクロコントローラユニット38は昇圧ユニット34を制御して、車両負荷ユニット40に電圧を提供するのを停止する(S50)。
【0016】
バイパスユニット32および昇圧ユニット34の電力源は、主に車両電池ユニット10からであるが、車両電池ユニット10の電力が不足したとき、補助電源ユニット36がバイパスユニット32および昇圧ユニット34に電源を提供する。特に昇圧ユニット34が車両負荷ユニット40に電圧を順調に提供するため、車両電圧ユニット10の電力が不足したとき、補助電源ユニット36が昇圧ユニット34に電源を提供する。このほか、補助電源ユニット36はマイクロコントローラユニット38にも電源を提供する。
【0017】
車両コンピュータユニット20およびマイクロコントローラユニット38は、ローカル相互接続ネットワーク(Local Interconnect Network、LIN)、またはコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)通信プロトコルを採用して伝達信号を送受信し、車両コンピュータユニット20を利用して車両負荷電圧を安定化するモジュール30の作業状況を把握する。マイクロコントローラユニット38は論理回路(図示せず)も含んでおり、昇圧ユニット34およびバイパスユニット32の動作を制御する。
【0018】
本発明の車両負荷電圧の安定化方法による実施例の電圧シーケンス図である図3を参照されたい。図3は全部で6本の曲線があり、上から下まで順を追って述べる。1本目は車両コンピュータユニット20がマイクロコントローラユニット38に送信する起動信号を示しており、これによりマイクロコントローラユニット38を起動する。2本目は車両コンピュータユニット20がマイクロコントローラユニット38に送信する電圧低下信号を示しており、これにより車両電池ユニット10の電圧がまもなく低下することを知らせる。3本目は車両電池ユニット10の電圧曲線を示しており、この電池ユニット10の電圧が自動車エンジンの始動により大幅に低下し、一定時間後に正常に回復することがわかる。4本目はバイパスユニット32の電圧曲線を示す。5本目は昇圧ユニット34の電圧曲線を示す。6本目は車両負荷ユニット40の電圧曲線を示しており、自動車エンジンを始動する間、昇圧ユニット34が電圧の安定を維持し、自動車エンジンの始動によって車両電池ユニット10の電圧が大幅に低下する影響を受けないことがわかる。
【0019】
このほか車両設計の需要により、車両負荷電圧を安定化するモジュール30は複数の昇圧ユニット34を含むこともできる。このときマイクロコントローラユニット38は、インターリーブ制御(Interleave Control)方式によりこれらの昇圧ユニット34を制御することができる(しかし限定されない)。
【0020】
本発明の車両負荷電圧の安定化方法は、従来の車両電池ユニット10および車両負荷ユニット40の間に昇圧ユニット34を直列接続する。車両電池ユニット10の電圧がまもなく低下するとき、昇圧ユニット34から車両負荷ユニット40に電圧を提供する。車両電池ユニット10の電圧が安定状態に回復したとき、バイパスユニット32から車両負荷ユニット40に電圧を提供する。つまり、昇圧ユニット34は自動車エンジンを始動する瞬間に、車両負荷ユニット40に安定した直流電圧を提供することができる。これにより、車両電池ユニット10の電圧が低下するために、車両負荷ユニット40に供給する電圧も続いて低下するという従来技術の欠点を改善することができる。
【0021】
総合すると、本発明は産業上の利用可能性、新規性、および進歩性を有し、本発明の構造も類似製品および公用においていまだ見ることはなく、発明の特許申請の重要な条件と完全に一致しており、ここに特許法に基づいて申請する。
【符号の説明】
【0022】
10 車両電池ユニット
20 車両コンピュータユニット
30 車両負荷電圧の安定化モジュール
40 車両負荷ユニット
32 バイパスユニット
34 昇圧ユニット
36 補助電源ユニット
38 マイクロコントローラユニット
S10〜S50 段落

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両電池ユニット、車両コンピュータユニット、および車両負荷ユニットに使用される車両負荷電圧の安定化モジュールであって、
該車両電池ユニットおよび該車両負荷ユニットと電気的に接続する少なくとも1つの昇圧ユニットと、
該昇圧ユニットおよび該車両コンピュータユニットと電気的に接続するマイクロコントローラユニット
を含み、
そのうち、該車両コンピュータユニットが電圧低下信号を該マイクロコントローラユニットに送信して、該車両電池ユニットの電圧がまもなく下がることを知らせたとき、該マイクロコントローラユニットが該昇圧ユニットを制御して、昇圧電圧を該車両負荷ユニットに提供する
ことを特徴とする車両負荷電圧の安定化モジュール。
【請求項2】
該昇圧ユニットと並列して、該車両電池ユニットおよび該車両負荷ユニットと電気的に接続するバイパスユニットをさらに含み、該車両コンピュータユニットが電圧安定化信号を該マイクロコントローラユニットに送信し、該車両電池ユニットの電圧が安定状態に回復したことを知らせたとき、該マイクロコントローラユニットが該バイパスユニットを制御して、該車両負荷ユニットに電圧を提供することを特徴とする請求項1に記載の車両負荷電圧の安定化モジュール。
【請求項3】
該バイパスユニット、該昇圧ユニット、および該マイクロコントローラユニットと電気的に接続する補助電源ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車両負荷電圧の安定化モジュール。
【請求項4】
そのうち該車両コンピュータユニットおよび該マイクロコントローラユニットが、ローカル相互接続ネットワーク(Local Interconnect Network、LIN)、またはコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)通信プロトコルを採用し、送受信を行うことを特徴とする請求項2に記載の車両負荷電圧の安定化モジュール。
【請求項5】
そのうち該安定化モジュールが複数の該昇圧ユニットを含み、該マイクロコントローラユニットが、インターリーブ制御(Interleave Control)方式によりそれらの昇圧ユニットを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両負荷電圧の安定化モジュール。
【請求項6】
車両電池ユニット、車両コンピュータユニット、車両負荷ユニットに使用される車両負荷電圧の安定化方法であり、
a.マイクロコントローラユニットおよび少なくとも1つの昇圧ユニットを提供し、そのうち該マイクロコントローラユニットが該車両コンピュータユニットと電気的に接続し、該昇圧ユニットが該マイクロコントローラユニット、該車両電池ユニット、および該車両負荷ユニットと電気的に接続する段階と、
b.該車両コンピュータユニットが、電圧低下信号を該マイクロコントローラユニットに送信し、該車両電池ユニットの電圧がまもなく低下することを知らせる段階と、
c.該マイクロコントローラユニットが該昇圧ユニットを制御して、昇圧電圧を該車両負荷ユニットに提供する段階
を含むことを特徴とする車両負荷電圧の安定化方法。
【請求項7】
d.該マイクロコントローラユニット、該車両電池ユニット、および車両負荷ユニットと電気的に接続するバイパスユニットを提供する段階と、
e.該車両コンピュータユニットが、電圧安定化信号を該マイクロコントローラユニットに送信し、該車両電池ユニットの電圧が安定状態に回復したことを知らせる段階と、
f.該マイクロコントローラユニットが該バイパスユニットを制御して、該車両負荷ユニットに電圧を提供する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の車両負荷電圧の安定化方法。
【請求項8】
該段階eが、該マイクロコントローラユニットが該昇圧ユニットを制御して、該車両負荷ユニットに電圧を提供するのを停止する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の車両負荷電圧の安定化方法。
【請求項9】
該段階bの前に、
b1.該車両コンピュータユニットが起動信号を該マイクロコントローラユニットに送信し、該マイクロコントローラユニットを起動する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の車両負荷電圧の安定化方法。
【請求項10】
g.該バイパスユニット、該昇圧ユニット、および該マイクロコントローラユニットと電気的に接続する補助電圧ユニットを提供する段階と、
h.該補助電源ユニットが、該バイパスユニット、該昇圧ユニット、および該マイクロコントローラユニットに電源を提供する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の車両負荷電圧の安定化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−135755(P2011−135755A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295723(P2009−295723)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(510002442)台達電子工業股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】