説明

車両通行遮断機

【課題】簡易かつコンパクトな構成で円滑にリリース動作を行うことが可能な車両通行遮断機を提供する。
【解決手段】傾斜軸線L回りに回転可能に配置された回転軸12と、傾斜軸線Lに対して所定角度をなして延在し、回転軸12に支持された阻止棒20とを設ける。回転軸12の回転に伴って、阻止棒20を車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容するリリース位置との間で回動させるように構成する。これにより、阻止棒20は円錐面を描くように回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの料金所に設置され、車両の通行を阻止または許可可能な車両通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所ゲートにおいて、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCにおいては、料金所ゲートへの車両の進入を車両検知器が検知すると、車線サーバが路側アンテナに対して通信指令を発し、これに基づいて路側アンテナが車両に搭載された車載器と通信を開始する。次いで、車線サーバは路側アンテナにより車載器から得られた情報に基づいて、正常車両か異常車両かの別を判断する。そして、正常車両と判断した際には車両通行遮断機の阻止棒を開状態とし、異常車両と判断した際には阻止棒を閉状態に維持することで、車両の通行を阻止又は許可するようになっている。
【0003】
このETCにおいては、阻止棒が閉じた状態であるにも拘わらず車両が強行的に車両通行遮断機を通過した場合、車両が阻止棒に衝突することによって阻止棒や車両が損傷するという事故が生じる。そこで、このような問題に対処すべく、車両の衝突時に阻止棒が受けた衝撃を逃がすように該阻止棒がリリース動作を行うように構成された車両通行遮断機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載の車両通行遮断機は、車両が阻止棒に衝突することなく通常に使用されている間は、その阻止棒が鉛直面内で回転し、水平に倒伏した状態で車両の通行を阻止する一方、鉛直に起立した状態で車両の進入を許可するような開閉動作を行う。そして、車両が阻止棒に衝突した際には、その衝撃に従って阻止棒が長手方向中間部に設けられたヒンジの位置で車両進行方向へと向かって水平面に沿って折れ曲がるように回動する。このようにして車両通行遮断機のリリース動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の車両通行遮断機においては、開閉動作時とリリース動作時との阻止棒の回動方向が異なるため、複数の回動軸が必要であった。したがって、車両通行遮断機自体の構成が複雑となってしまい、生産コストやメンテナンスコストが上昇してしまうという問題があった。また、リリース動作が水平面に沿った方向になされるため、阻止棒が他の機器の機能を妨害することのないように所定のスペースを確保する必要があった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、簡易かつコンパクトな構成で円滑にリリース動作を行うことが可能な車両通行遮断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る車両通行遮断機は、傾斜軸線回りに回転可能に配置された回転軸と、前記傾斜軸線に対して所定角度をなして延在し、前記回転軸に支持された阻止棒とを備え、前記回転軸の回転に伴って、前記阻止棒が車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容するリリース位置との間で回動することを特徴とする。
【0009】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒が回転軸回りに円錐面を描くように回動することで阻止位置とリリース位置との間での開閉動作が行われる。一方、阻止位置にある阻止棒に車両が衝突した際には、該阻止棒に与えられる衝撃力が回転軸を回転させるトルクとして作用する。このトルクにより回転軸が回転すると、該プーリに支持された阻止棒が車両進行方向前方側に向かって円錐面を描くようにしてリリース位置まで回動するリリース動作が行われる。
【0010】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、回転駆動可能とされ前記回転軸にトルクを伝達する駆動軸を備え、該駆動軸が車両通過許可指令に基づいて回転駆動することを特徴とする。
【0011】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、例えば車両通行遮断機の外部から入力される車両通過許可指令に基づいた駆動軸の回転駆動によって回転軸が回転し、これによって、阻止棒が阻止位置とリリース位置との間で回動する開閉動作が行われる。したがって、車両が阻止棒に衝突した際のリリース動作と車両を検知した際の開閉動作とが同様の動作となるため、リリース動作用の機構と開閉動作用の機構とを別に設ける必要はなく、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機は、車両の前記阻止棒への衝突を検知して衝突検知信号を発する衝突検知センサと、前記衝突検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置に回動させる方向であるリリース回転方向に、前記回転軸を回転させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、車両が阻止棒に接触して衝突検知センサから衝突検知信号が発されると、阻止棒が阻止位置からリリース位置へと向かって回動するリリース動作が行われる。即ち、車両の衝突の衝撃力に加えて、阻止棒が回転機構の寄与によって回動することで、リリース動作をより円滑に行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記駆動軸のトルクを前記回転軸に断接可能に伝達するクラッチと、前記リリース回転方向に前記回転軸を回転させる回転機構とを備え、前記制御部は、前記衝突検知信号に基づいて、前記クラッチを切断するとともに前記回転機構を作動させることで、前記リリース回転方向に前記回転軸を回転させることが好ましい。
【0015】
これにより、車両が阻止棒に接触して衝突検知センサから衝突検知信号が発されると、まず、クラッチが切断されることにより回転軸が駆動軸から独立して回転可能となる。そして、回転機構が作動して回転軸がリリース回転方向に回転されることで、阻止棒が阻止位置からリリース位置へと向かって回動するリリース動作が行われる。これにより、リリース動作を一層円滑に行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る車両通行遮断機において、前記制御部は、リリース復帰指令に基づいて、前記クラッチを接続するとともに、前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記リリース回転方向の反対方向である復帰回転方向に前記回転軸を回転させることが好ましい。
【0017】
ここで、リリース動作後の阻止棒をリリース動作前の状態に自動復帰させるための機構がない場合には、例えば料金所係員が、車両通行遮断機の箇所まで近寄って、手動にて阻止棒を非リリース状態に復帰させる作業を行わなければならない。この点、上記構成によれば、阻止棒がリリース位置にある場合にリリース復帰指令が制御部に入力されると、まずクラッチが接続されて駆動軸のトルクが回転軸に伝達可能となる。そして、駆動軸の回転駆動によって回転軸が復帰回転方向に回転されることで、阻止棒をリリース位置から阻止位置へと回動させる復帰動作が行われる。これによって、阻止棒を当初の状態に迅速に復帰させることができる。
【0018】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機において、前記回転機構は、前記回転軸に対して前記傾斜軸線回りに相対回転可能に設けられるとともに、前記回転軸から径方向外側に突出する凸部に対して前記リリース回転方向後方側から当接可能な当接部を有するプーリと、該プーリの外周面に、前記リリース回転方向前方側に向かって繰り出し可能に巻き掛けられたワイヤと、前記プーリから繰り出された前記ワイヤに固定されたウェイトと、該ウェイトを支持するウェイト支持部とを備え、前記制御部は、前記衝突検知信号に基づいて、前記ウェイト支持部による前記ウェイトの支持を解除させることで前記回転機構を作動させることが好ましい。
【0019】
これにより、車両通過許可指令に基づいて阻止棒が開閉動作を行う際には、プーリの当接部が回転軸の凸部の移動の妨げとなることはなく、該開閉動作を円滑に行うことができる。
また、衝突検知信号が発された際には、まず、制御部がウェイト支持部によるウェイとの支持を解除し、これによりウェイトが下方に落下して該ウェイトが固定されたワイヤがプーリの外周面から繰り出される。すると、このワイヤの繰り出しに伴って、プーリがリリース回転方向に回転される。この際、プーリの当接部が回転軸の凸部に対してリリース回転方向後方側から当接しているため、プーリのリリース回転方向への回転に連動して回転軸を同方向に回転させることができる。これによって、回転軸に支持された阻止棒を阻止位置からリリース位置へと回動させるリリース動作を行うことができる。
そして、リリース動作後に復帰信号が発されて、回転軸が復帰回転方向に回転される際には、回転軸の凸部がプーリの当接部に対して復帰回転方向後方側から当接した状態にあるため、当該回転軸の回転に連動してプーリを初期の状態まで回転させることができる。
【0020】
なお、本発明に係る車両通行遮断機において、前記制御部は、前記衝突検知信号に基づいて、前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記リリース回転方向に前記回転軸を回転させてもよい。
【0021】
これによっても、車両が阻止棒に接触して衝突検知センサから衝突検知信号が発されると、阻止棒が阻止位置からリリース位置へと向かって回動するリリース動作が行われるため、該リリース動作をより円滑に行うことができる。
【0022】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機において、前記制御部は、リリース復帰指令に基づいて、前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記リリース回転方向の反対方向である復帰回転方向に前記回転軸を回転させてもよい。
これによっても、阻止棒をリリース位置から阻止位置へと回動させる復帰動作が行われるため、阻止棒を当初の状態に迅速に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の車両通行遮断機によれば、阻止棒が円錐面を描くようにして回動するため、該阻止棒の回動範囲をコンパクトに収めることができ、かつ、開閉動作とリリース動作とを単一の回転軸によって行うことができるため、複数の軸を設ける必要はない。したがって、簡易かつコンパクトな構成で円滑なリリース動作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】第一実施形態に係る車両通行遮断機の阻止棒の動作を説明する斜視図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】第一実施形態の車両通行遮断機及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図6】車線サーバが実行する阻止棒の開閉動作の処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図7】制御部が実行する阻止棒のリリース動作の処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図8】リリース動作時の回転機構の動作を説明する図である。
【図9】図7のA−A断面図である。
【図10】制御部が実行する阻止棒の復帰動作の処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図11】復帰動作時の回転機構の動作を説明する図である。
【図12】図11のA−A断面図である。
【図13】第二実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す正面図である。
【図14】第二実施形態の車両通行遮断機及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図15】リリース位置にある阻止棒を固定するボールキャッチを説明する図である。
【図16】リリース位置にある阻止棒を固定するラッチ機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第一実施形態に係る車両通行遮断機(以下、単に「遮断機」と称する)について、図面を参照して詳細に説明する。
遮断機10は、図1に示すように、 高速道路の料金所ゲートにおける車両通行路Rの側方に固定設置された筐体状をなす遮断機本体11と、該遮断機本体11内に回転可能に設置された回転軸12と、該回転軸12に支持された阻止棒20と、回転軸12を駆動させるための駆動軸40と、駆動軸40のトルクを回転軸12に伝達するクラッチ50と、回転軸12を回転させる回転機構60と、制御部80とを備えている。
なお、遮断機本体11を設置する箇所は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0026】
回転軸12は、図1及び図2に示すように、水平方向に対して所定角度θ1(本実施形態においては45°)をなして傾斜する傾斜軸線L回りに回転可能に設置されている。傾斜軸線Lは、上方向に向かうに従って漸次車両通行路R側に延びるように傾斜しており、回転軸12はこの傾斜軸線Lに沿って延在するように配置されている。また、この回転軸12の外周側には遮断機本体11内に設置された一対のベアリング13,13が設けられており、これらベアリング13,13に回転軸12が支持されることによって、該回転軸12が傾斜軸線L回りに回転自在とされている。さらに、回転軸12の上端は、遮断機本体11の上端における車両通行路R側の角部に形成された傾斜面11aから遮断機本体11の外部に露出している。
【0027】
阻止棒20は、図1及び図2に示すように、中心軸線Oに沿って延びる部材であって、回転軸12の上端に固定された基部21と、該基部21に一端が固定された長尺状をなす棒部22とを備えている。該棒部22の中心軸線Oに直交する断面形状は、該中心軸線Oを中心とした円形をなしている。また、当該中心軸線Oは、傾斜軸線Lに対して所定角度θ2(本実施形態においては45°)をなして交差しており、即ち、阻止棒20は傾斜軸線Lに対して所定角度θ2をなして延在するように、回転軸12に支持されている。
【0028】
これによって、回転軸12の傾斜軸線L回りの回転に伴って、阻止棒20は阻止位置Sとリリース位置Kとの間で円錐面を描くように回動する。ここで、阻止位置Sとは、図1及び図3に実線で示すように、阻止棒20が略水平状態であるとともに車両進行方向Gに略直交する方向に延びる状態を意味する。また、リリース位置Kとは、図1及び図3に破線で示すように、阻止棒20が略鉛直に起立した状態を意味する。
【0029】
そして、本実施形態においては、図3に示すように、阻止位置Sにある阻止棒20が車両進行方向G前方側に向かって円錐面を描くように回動することでリリース位置Kまで移動し、また、リリース位置Kにある阻止棒20が車両進行方向G前方側に向かって円錐面を描くように回動することで阻止位置Sに移動する。即ち、阻止棒20は、傾斜軸線Lを中心とした円錐面のうち、車両進行方向G前方側の180°の範囲で回動可能とされている。
【0030】
なお、以下では、阻止棒20を阻止位置Sからリリース位置Kに向かって回動させる回転軸12の回転方向をリリース回転方向T1とし、阻止棒20をリリース位置Kから阻止位置Sに向かって回動させる回転軸12の回転方向を復帰回転方向T2とする。
【0031】
このような阻止棒20における基部21の表面には、図1及び図2に示すように、車両の衝突を検知するための衝突検知センサ23が設けられている。この衝突検知センサ23は、いわゆる圧電素子であって、車両の衝突によって阻止棒20に変形が生じると、その機械的変位を電気信号に変換し、制御部80に対して検知信号を発する。なお、衝突検知センサ23としては、圧電素子に代えて、いわゆるマイクロスイッチ等の車両の衝突を検知可能なセンサならば他の構成であってもよい。
【0032】
駆動軸40は、図1及び図2に示すように、回転軸12の下方側において傾斜軸線Lに沿って配置されており、詳しくは図2に示すように、電動機45と、該電動機45の出力軸45aにカップリング41を介して連結される第一駆動軸42と、減速機43を介して第一駆動軸42に接続された第二駆動軸44とを備えている。
【0033】
電動機45は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータである。この電動機45は正逆回転可能とされており、制御部80及び後述する車線サーバ70からの指令に基づいて作動するように構成されている。電動機45が作動した際には、該電動機45の出力軸45aのトルクが第一駆動軸42に伝達され、さらにこのトルクは減速機43により回転数が減少させられた上で第二駆動軸44に伝達される。
【0034】
クラッチ50は、図1及び図2に示すように、回転軸12と駆動軸40の第二駆動軸44との間に介装されており、第二駆動軸44のトルクを回転軸12に断接可能に伝達する部材である。このクラッチ50は、制御部80の指令に基づいて、第二駆動軸44から回転軸12へのトルクの伝達を可能とする接続状態と、該トルクの伝達を不能とする切断状態とに切り換えるように構成されている。
【0035】
回転機構60は、プーリ61と、ワイヤ62と、ローラ63と、ウェイト64と、ウェイト支持部65と、上部ウェイト検知センサ66と、下部ウェイト検知センサ67とを備えている。
【0036】
プーリ61は、図1及び図2に示すように、回転軸12に対して傾斜軸線L回りに相対回転可能に設けられた円筒状の部材であって、より詳細には、図4に示すように、該プーリ61の内周面と回転軸12の外周面との間に介装されたベアリング14を介して回転軸12に対して相対回転可能に外嵌されている。
【0037】
ここで、上記回転軸12には、図4に示すように、該回転軸12の外周面から径方向外側に向かって突出する凸部12aが形成されている。また、プーリ61には、回転軸12の凸部12aに対してリリース回転方向T1後方側から当接可能な当接部61aが形成されている。
【0038】
ワイヤ62は、図2及び図4に示すように、その一端側がプーリ61の外周面に対してリリース回転方向T1前方側に向かって繰り出し可能に巻き掛けられている。該プーリ61から繰り出されたワイヤ62は、図2に示すように、遮断機本体11に固定されたローラ63に巻き掛けられて下方に延びており、該ワイヤ62の他端にはウェイト64が固定されている。これによってウェイト64の下方への移動に伴ってプーリ61の外周面からワイヤ62が順次繰り出されることにより、プーリ61がリリース回転方向T1に回転する。
【0039】
ウェイト支持部65は、ウェイト64を下方から支持する機構であって、水平方向に沿って進退可能とされて上面にウェイト64が載置される進退板65aを備えている。この進退板65aは、制御部80によってその進退移動が制御されており、進退板65aが進出状態にある場合にウェイト64を支持する一方、該進退板65aが後退することでウェイト64の支持が解除されるようになっている。
【0040】
上部ウェイト検知センサ66は、ウェイト64がウェイト支持部65に支持されている状態、即ち、ウェイト64が最上位置にあることを検知するセンサであって、該ウェイト64の上面が当接可能なスイッチセンサが用いられている。
【0041】
下部ウェイト検知センサ67は、ウェイト支持部65による支持が解除されたウェイト64が落下して、該ウェイト64が最下位置にあることを検知するセンサであって、ウェイト64の下面が当接可能なスイッチセンサが用いられている。
【0042】
次に、制御部80について、遮断機10の機能構成を踏まえて説明する。図5は遮断機10及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機10においては、阻止棒20に設けられた衝突検知センサ23と、上部ウェイト検知センサ66と、下部ウェイト検知センサ67と、駆動軸40の電動機45と、クラッチ50と、ウェイト支持部65とがそれぞれ制御部80に対して電気的に接続されている。さらに、この制御部80には、遮断機10の外部に設けられた操作部73が電気的に接続されている。
【0043】
そして、制御部80は、衝突検知センサ23、上部ウェイト検知センサ66、下部ウェイト検知センサ67及び操作部73からの入力に基づいて、電動機45、クラッチ50及びウェイト支持部65の制御を行うように構成されている。
【0044】
また、遮断機10の外部には、周辺機器として、車両検知器71、路側アンテナ72及び上記操作部73がそれぞれ接続された車線サーバ70が設けられている。
車両検知器71は、例えば車両通行路Rの両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入及び退出を検知するように構成されている。即ち、この車両検知器71は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機10の車両進行方向G後方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。
【0045】
路側アンテナ72は、例えば遮断機10よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信するように構成されている。
そして、車線サーバ70は、車両検知器71及び路側アンテナ72からの出力に基づいて、遮断機10の電動機45の制御を行うように構成されている。
【0046】
また、操作部73は、例えば料金所ゲートに設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ70に対して阻止棒の開閉要求を出力する。車線サーバ70は、この開閉要求に基づいて電動機45に指令を発することで阻止棒20を開閉させる。なお、操作部73は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0047】
さらに、この操作部73は、上述したように、遮断機10の制御部80に対しても接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」を押下することにより送出されるリリース復帰指令が制御部80に入力されるように構成されている。
なお、操作部73が車線サーバ70に接続されておらず制御部80のみに接続された構成であってもよい。この場合、操作部73を操作することにより出力される開閉要求は制御部80に入力され、該制御部80はこの開閉要求に基づいて電動機45を制御することで阻止棒20の開閉動作を行う。
【0048】
次に、本実施形態の遮断機10の作用について説明する。
車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、図1に示すように、阻止棒20はホームポジションである阻止位置Sにあり、クラッチ50は接続状態とされている。この状態において、プーリ61は、図4に示すように、回転軸12の凸部12aに対してリリース回転方向T1後方側から当接した初期状態とされている。また、図3に示すように、ウェイト64は最上位置においてウェイト支持部65によって支持された状態にあり、上部ウェイト検知センサ66がON状態とされている。
【0049】
始めに、上記のように待機状態の遮断機10を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒20の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒20の開閉動作は、車線サーバ70の制御によって行われる。図6は、車線サーバ70が実行する阻止棒20の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
まず、車線サーバ70は、車両検知器71が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器71からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S11)。その結果、車両検知器71からOFF信号が入力されていると判定した場合(S11:No)、車線サーバ70は、車両検知器71からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器71からからON信号が入力されたと判断した場合(S11:Yes)、車線サーバ70は、路側アンテナ72に対して車載器情報の受信指令を送出し(S12)、路側アンテナ72はこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0051】
次いで、車線サーバ70は、路側アンテナ72が受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S13)。その結果、異常車両であると判断した場合(S13:No)、車線サーバ70は異常処理を行い(S14)、阻止棒20の開動作を行うことなく該阻止棒20を阻止位置Sに維持する。これにより、S13にて異常車両と判断した際の車線サーバ70の処理が終了する。
【0052】
一方、S13にて正常車両であると判断した場合(S13:Yes)、車線サーバ70は、電動機45に車両通行許可指令を送出し、駆動軸40を正回転させることにより回転軸12をリリース方向T1に180°回転させる。即ち、車線サーバ70は、阻止棒20が阻止位置Sからリリース位置Kへと回動する開動作を該阻止棒20に行わせる(S15)。これによって、遮断機10が、車両の通行を許可した状態となる。
【0053】
S15の後、車線サーバ70は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器71による車両の検知が終了した結果、車両検知器71からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S16)。そして、車両検知器71から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S16:No)、車線サーバ70は、車両検知器71からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器71からOFF信号が入力されたと判断した場合(S17:Yes)、車線サーバ70は、電動機45に信号を送出し駆動軸40を逆回転させて回転軸12を復帰回転方向T2に180°回転させる。これにより、即ち、車線サーバ70は、阻止棒20がリリース位置Kから阻止位置Sへと回動する閉動作を該阻止棒20に行わせる。(S17)。これによって、遮断機10が車両の通行を阻止した状態となり、S13にて正常車両と判断した際の車線サーバ70の処理が終了する。
【0054】
ここで、上記のように、車線サーバ70が異常車両と判断して異常処理を行った際には、阻止棒20が阻止位置Sに維持されることにより、該阻止棒20に車両が衝突する場合がある。また、車線サーバ70が正常車両と判断して阻止棒20に開動作を行わせた際であっても、車両の進入速度が速すぎる場合には、阻止棒20に車両が衝突し得る。この際、本実施形態においては、阻止棒20のリリース動作が行われる。即ち、阻止棒20に対して車両が衝突すると、当該衝撃力が回転軸12を回転させるトルクとして作用する。このトルクにより回転軸12が回転すると、該回転軸12に支持された阻止棒20が阻止位置Sからリリース位置Kへと向かって円錐面を描くように回動する。
【0055】
ここで、本実施形態の遮断機10においては、阻止棒20が車両の衝突の衝撃力によって回動されるのみならず、制御部80の指令に基づく回転機構60の作用により、阻止棒20をリリース位置Kまで回動させることができる。図7は、制御部80が実行する阻止棒20のリリース動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
制御部80は、まず、衝突検知センサ23が車両の衝突を検知したか否か、即ち、衝突検知センサ23からON信号(衝突検知信号)が入力されたか否かを判定する(S21)。その結果、衝突検知センサ23からOFF信号が入力されていると判断した場合(S21:No)、制御部80は、衝突検知センサからON信号が入力されるまで待機する。一方、阻止位置Sにある阻止棒20に車両が衝突した結果、衝突検知センサ23からON信号が入力されたと判断した場合(S21:Yes)、制御部80は、クラッチ50に対して該クラッチ50を切断状態とする信号を送出する(S22)。これによって、図8に示すように、クラッチ50が切断されると、回転軸12が駆動軸40から独立して回転可能な状態となる。
【0057】
その後、制御部80は、ウェイト支持部65に信号を送出して進退板65aを進出位置から後退位置へと移動させる(S23)。これにより、進退板65aが後退位置に移動すると、図8に示すように、ウェイト64の支持が解除され、該ウェイト64は重力に従って下方に落下する。すると、該ウェイト64に固定されたワイヤ62がプーリ61の外周面から繰り出されることにより、図9に示すように、プーリ61がリリース回転方向T1に回転する。そして、ウェイト64が最下位置にて下部ウェイト検知センサ67により検知されると、プーリ61は初期の状態からリリース回転方向T1に180°回転した状態となる。
【0058】
この際、プーリ61における当接部61aが回転軸12の凸部12aに対してリリース回転方向T1後方側から当接していることにより、図9に示すように、プーリ61のリリース回転方向T1への回転に連動して回転軸12もリリース回転方向T1に同様に180°だけ回転する。これに伴って、回転軸12に支持された阻止棒20は、傾斜軸線Lを中心軸とした円錐面を描くようにして阻止位置Sからリリース位置Kまで回動する。
【0059】
そして、制御部80は、ウェイト64が最下位置にまで移動して、下部ウェイト検知センサ67がON信号が入力されたか否かを判定する(S23)。その結果、下部ウェイト検知センサ67からOFF信号が入力されていると判断した場合(S23:No)、制御部80は下部ウェイト検知センサ67からON信号が入力されるまで待機する。一方、下部ウェイト検知センサ67からON信号が入力されたと判断した場合(S23:Yes)、制御部80は、ウェイト64が最下位置に移動した結果、リリース動作が適切に行われて阻止棒20がリリース位置Kに移動したことを認識する。これによって、リリース動作の処理が完了する。
【0060】
次に、リリース動作の完了後、阻止棒20がリリース位置Kにある場合において、当該阻止棒20を阻止位置Sに回動させる復帰動作について説明する。この復帰動作は、リリース動作後の阻止棒20がリリース位置にある状態において、例えば料金所の係員による操作部73の操作によって制御部80に入力されるリリース復帰指令に基づいて行われる。図10は、制御部80が実行する阻止棒20の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
まず、制御部80は、操作部73からON信号が入力されたか否か、即ち、操作部73からリリース復帰指令が入力されたか否かを判定する(S31)。その結果、操作部73からOFF信号が入力されていると判断した場合(S31:No)、操作部73からON信号が入力されるまで待機する。
【0062】
制御部80が、操作部73からON信号が入力されたと判断した場合(S31:Yes)、制御部80は、クラッチ50を接続状態とする信号を送出する(S32)。これによって、クラッチ50が接続されると、駆動軸40のトルクが回転軸12に対して伝達される状態となり、駆動軸40の駆動に伴って回転軸12が回転可能となる。
【0063】
次いで、制御部80は、電動機45を逆回転させて、阻止棒20をリリース位置Kから阻止位置Sに回動させる(S33)。即ち、駆動軸40を逆回転させることで、該駆動軸40にクラッチ50を介して接続された回転軸12を復帰回転方向T2に180°回転させる。これによって、図11に示すように、阻止棒20が阻止位置Sに復帰する。
【0064】
この際、図12に示すように、プーリ61における当接部61aが回転軸12の凸部12aに対してリリース回転方向T1後方側から当接していることにより、回転軸12の復帰回転方向T2への回転に連動してプーリ61も復帰回転方向T2に同様に回転する。これにより、プーリ61が初期状態に復帰すると、図11に示すように、該プーリ61がワイヤ62を巻き取ることによりワイヤ62に固定されたウェイト64が上方に移動し、該ウェイト64が最上位置にて上部ウェイト検知センサ66により検知される。
【0065】
続いて、制御部80は、上部ウェイト検知センサ66からON信号が入力されているか否か、即ち、ウェイト64が上方に移動して初期の高さ位置に復帰したか否かを判定する。上部ウェイト検知センサ66からOFF信号が入力されていると判断した場合(S34:No)、上部ウェイト検知センサ66からON信号が入力されるまで待機する。上部ウェイト検知センサ66からON信号が入力された場合(S34:Yes)、制御部80は、ウェイト支持部65に対して進退板65aを進出させる信号を送出する(S35)。これにより、ウェイト64が再びウェイト支持部65によって支持され、復帰動作が完了し、遮断機10が当初の待機状態となる。これによって、復帰動作の処理が完了する。
【0066】
以上ように、本実施形態の遮断機10によれば、傾斜軸線L回りに回転可能とされた回転軸12に対して阻止棒20が所定角度θ2をなして支持されているため、阻止位置Sにある阻止棒20に車両が衝突すると、阻止棒20は車両進行方向G前方側に向かって円錐面を描くようにしてリリース位置Kまで回動する。これによって阻止棒20の回動範囲をコンパクトに収めることができる。また、阻止棒20を先行車両を回避するように回動することになるため、該阻止棒20の先行車両への衝突を防止することが可能となる。
【0067】
さらに、本実施形態の遮断機10においては、制御部80が車両検知信号に基づいて駆動軸40を駆動させ、これに伴って回転軸12が回転することにより、阻止棒20を阻止位置Sとリリース位置Kとの間で回動させる開閉動作が行われる。即ち、車両が阻止棒20に衝突した際のリリース動作と車両を検知した際の開閉動作とが同様の動作となるため、リリース動作用の機構と開閉動作用の機構とを別に設ける必要はなく、装置構成の簡略化を図ることができる。
したがって、本実施形態の遮断機10によれば、簡易かつコンパクトな構成で円滑なリリース動作を行うことが可能となる。
【0068】
また、車両が阻止棒20に接触して衝突検知センサ23から衝突検知信号が発されると、クラッチ50が切断されることにより回転軸12が駆動軸40から独立して回転可能とされた後、回転機構60が作動して回転軸12がリリース回転方向T1に回転される。これによって、阻止棒20が阻止位置Sからリリース位置Kへと向かって回動するリリース動作を行うことができる。即ち、車両の衝突の衝撃力に加えて阻止棒20を回転機構60の寄与により回動させることができるため、リリース動作をより円滑に行うことができる。
【0069】
さらに、阻止棒20がリリース位置Kにある場合に操作部73から復帰信号が発されると、クラッチ50が接続状態となって駆動軸40のトルクが回転軸12に伝達可能となった後、駆動軸40の回転駆動によって回転軸12が復帰回転方向T2に回転される。これによって、阻止棒20をリリース位置Kから阻止位置Sへと回動させる復帰動作を行うことができ、阻止棒20を待機状態とさせることができる。
【0070】
また、車両検知信号に基づいて阻止棒20が開閉動作を行う際には、プーリ61の当接部61aが回転軸12の凸部12aの移動の妨げとなることはない一方、リリース動作時及び復帰動作時には、これら当接部61aと凸部12aとが当接して互いに干渉し合うことで、リリース動作及び復帰動作を円滑に行うことができる。
【0071】
さらに、特に本実施形態においては、阻止棒20における棒部22が断面円形をなしているため、車両が該棒部22に衝突した際には、棒部22に対して斜め上方に向かっての衝撃力、即ち、円錐面に沿った回動方向への衝撃力が与えられる。これによって、阻止棒20をより一層円滑に回動させることが可能となる。
【0072】
次に、第二実施形態の遮断機について図13を参照して説明する。なお、第二実施形態において第一実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この遮断機100は、図13に示すように、遮断機本体11と、回転軸12と、該回転軸12に支持された阻止棒20と、回転軸12を駆動させるための駆動軸40と、制御部80とを備えている。
【0073】
第二実施形態においては、駆動軸40の第二駆動軸44が第二のカップリング46を介して回転軸12の下端に接続されている。これによって、回転軸12と駆動軸40とは、常に連動して回転する。
【0074】
ここで、第二実施形態の遮断機100の機能構成について説明する。図14は第二実施形態の遮断機100及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。第二実施形態の遮断機100においては、阻止棒20に設けられた衝突検知センサ23と、駆動軸40の電動機45とがそれぞれ制御部80に対して電気的に接続されている。さらに、制御部80には外部に設置された操作部73が接続されている。そして、制御部80は、衝突検知センサ23及び操作部73の入力に基づいて、電動機45の制御を行うように構成されている。
なお、遮断機100の電動機45には、第一実施形態同様、車線サーバ70が接続されており、車線サーバ70は、車両検知器71、路側アンテナ72及び操作部73からの入力に基づいて電動機45を制御することで、阻止棒20の開閉動作を行う。
【0075】
このような第二実施形態の遮断機100においては、第一実施形態同様、車線サーバ70が電動機45を制御することで阻止棒20の開閉動作が行われる。
一方、阻止棒20に車両が衝突した際には、当該車両の衝突を衝突検知センサ23が検知して、該衝突検知センサ23から制御部80に信号が入力される。これに基づいて、制御部80は電動機45に信号を送出して駆動軸40を正回転させることにより回転軸12をリリース方向T1に180°回転させる。これにより、阻止棒20が阻止位置Sからリリース位置Kへと回動するリリース動作が行われる。
【0076】
そして、阻止棒20のリリース動作の完了後、操作部73から制御部80に対してリリース復帰指令が入力されると、制御部80は、電動機45に信号を送出して駆動軸40を逆回転させることにより回転軸12を復帰方向T2に180°回転させる。これにより、阻止棒20がリリース位置Kから阻止位置Sへと回動する復帰動作が行われる。
このように本実施形態においては、衝突検知センサ23及び操作部73の出力が制御部80に入力されることにより、阻止棒20のリリース動作及び復帰動作を円滑に行うことができる。
なお、開閉動作とリリース動作及び復帰動作を同一の駆動源で行うことで装置構成を簡略化することができるが、安全性向上のためにトルクリミッタを備え、例えば高速車両が衝突した際には、クラッチを切断することにより駆動軸40から電動機45を切り離し、衝突力により受動的にリリースさせる機構を持たせてもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、実施形態においては阻止棒20における棒部22の断面形状を円形としたが、車両が棒部22に衝突した際に衝撃力が斜め上方に向かって与えられる形状ならば他の形状であってもよい。例として、棒部22における車両が衝突する部分に、車両進行方向G後方かつ下方を向く傾斜面を備えた形状とすることが挙げられる。
【0078】
さらに、例えば図15に示すように、阻止棒20がリリース位置Kにある場合に当該阻止棒20を固定するボールキャッチ90が設けられていてもよい。このボールキャッチ90は、阻止棒20における基部21に設けられた雄部材91と遮断機本体11の上面に設けられた雌部材92とから構成されている。そして、阻止棒20が阻止位置Sからリリース位置Kに移動すると、阻止棒20側の雄部材91の凸部91aが雌部材92の凹部92aに入り込む。
【0079】
この際、凹部92aの側面から付勢された一対のボール92b,92bが凸部91aのくびれ部91bに嵌り込むことによって雄部材91と雌部材92とが係合した状態となる。これによって、阻止棒20がリリース位置Kにおいて固定される。これによって、リリース位置Kにある阻止棒20が不用意に回動してしまうことを防止することができる。
【0080】
また、阻止棒20がリリース位置Kから阻止位置Sに回動する際には、回転軸12のトルクによって、ボール92b,92bの付勢力に抗して凸部91aが凹部92a内から脱出することにより、雄部材91と雌部材92との係合状態が解除される。
【0081】
さらに、ボールキャッチ90に代えて、例えば図16に示すように、ラッチ機構93が設けられていてもよい。このラッチ機構93は、阻止棒20における基部21に設けられたラッチ94と遮断機本体11の上面に設けられたラッチ掛け部材95とから構成されている。そして、阻止棒20が阻止位置Sからリリース位置Kに移動すると、進退可能に設けられたラッチ94がラッチ掛け部材95に係合することで、阻止棒20がリリース位置Kにおいて固定される。これによっても、リリース位置Kにある阻止棒20が不用意に回動してしまうことを防止することができる。
なお、ラッチ94とラッチ掛け部材95との係合を解除する際には、例えばラッチ94内に設けられたソレノイドに通電することでラッチ94を後退させればよい。
【符号の説明】
【0082】
10…遮断機(車両通行遮断機)
12… 回転軸
12a …凸部
20…阻止棒
21…基部
22…棒部
23…衝突検知センサ
40…駆動軸
45…電動機
50…クラッチ
60…回転機構
61…プーリ
61a…当接部
62…ワイヤ
64…ウェイト
65…ウェイト支持部
66…上部ウェイト検知センサ
67…下部ウェイト検知センサ
70… 車線サーバ
71… 車両検知器
72… 路側アンテナ
73… 操作部
80…制御部
100…遮断機(車両通行遮断機)
S…阻止位置
K…リリース位置
L…傾斜軸線
O…中心軸線
R…車両通行路
G…車両進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜軸線回りに回転可能に配置された回転軸と、
前記傾斜軸線に対して所定角度をなして延在し、前記回転軸に支持された阻止棒とを備え、
前記回転軸の回転に伴って、前記阻止棒が車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容するリリース位置との間で回動することを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項2】
回転駆動可能とされ前記回転軸にトルクを伝達する駆動軸を備え、
該駆動軸が車両通過許可指令に基づいて回転駆動することを特徴とする請求項1に記載の車両通行遮断機。
【請求項3】
車両の前記阻止棒への衝突を検知して衝突検知信号を発する衝突検知センサと、
前記衝突検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置に回動させる方向であるリリース回転方向に、前記回転軸を回転させる制御部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の車両通行遮断機。
【請求項4】
前記駆動軸のトルクを前記回転軸に断接可能に伝達するクラッチと、
前記リリース回転方向に前記回転軸を回転させる回転機構とを備え、
前記制御部は、前記衝突検知信号に基づいて、前記クラッチを切断するとともに前記回転機構を作動させることで、前記リリース回転方向に前記回転軸を回転させることを特徴とする請求項3に記載の車両通行遮断機。
【請求項5】
前記制御部は、リリース復帰指令に基づいて、前記クラッチを接続するとともに、前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記リリース回転方向の反対方向である復帰回転方向に前記回転軸を回転させることを特徴とする請求項4に記載の車両通行遮断機。
【請求項6】
前記回転機構は、
前記回転軸に対して前記傾斜軸線回りに相対回転可能に設けられるとともに、前記回転軸から径方向外側に突出する凸部に対して前記リリース回転方向後方側から当接可能な当接部を有するプーリと、
該プーリの外周面に、前記リリース回転方向前方側に向かって繰り出し可能に巻き掛けられたワイヤと、
前記プーリから繰り出された前記ワイヤに固定されたウェイトと、
該ウェイトを支持するウェイト支持部とを備え、
前記制御部は、前記衝突検知信号に基づいて、前記ウェイト支持部による前記ウェイトの支持を解除させることで前記回転機構を作動させることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両通行遮断機。
【請求項7】
前記制御部は、前記衝突検知信号に基づいて、前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記リリース回転方向に前記回転軸を回転させることを特徴とする請求項3に記載の車両通行遮断機。
【請求項8】
前記制御部は、リリース復帰指令に基づいて、前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記リリース回転方向の反対方向である復帰回転方向に前記回転軸を回転させることを特徴とする請求項7に記載の車両通行遮断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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