説明

車両運行管理装置及びプログラム

【課題】車両間の累積走行距離の偏りを抑えることが可能な車両運行管理装置を提供する。
【解決手段】車両運行管理装置1によると、携帯電話機60により入力された仮予約情報が取得されると(S100)、取得された仮予約情報の利用日時を含む所定期間に、利用日時が重なっている全予約情報を、予約情報データベース40から取得する(S101)。複数の車両に対する所定期間内予約の組合せを算出し(S102)、全ての所定期間内予約の利用日時が同一車両において重複しない組合せがある場合(S103:YES)、当該組合せを抽出する(S104)。そして、取得された車両の累積走行距離および予定走行距離から累積予定走行距離を算出し(S105、S106)、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定し(S107)、特定された組合せに基づいて、所定期間内予約情報に対して車両を割り当てる(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両を管理する車両運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザによって利用される複数の車両の貸出及び返却をコンピュータによって管理する技術が公知である。近年では、車両の定期点検時期や部品の消耗予定時期が同期するように、累積走行距離の少ない車両を優先して使用する技術が公開されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−245376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の発明では、予約を行った順に、累積走行距離の短い車両からユーザに割り当てる。
ところで、所定期間内に複数のユーザが車両を利用したいと希望することが往々にしてある。このとき、上述した特許文献1に記載の車両貸出システムのように、予約順に累積走行距離の短い車両から貸し出していくと、先に予約を行ったユーザの走行距離よりも、後に予約を行ったユーザの走行距離が長い場合、車両の累積走行距離の偏りが大きくなってしまう、という問題点がある。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、所定期間内における車両間の累積走行距離の偏りを抑えることが可能な車両運行管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の車両運行管理装置は、複数の車両を管理する車両運行管理装置であって、所定期間内における車両の利用を希望する複数のユーザそれぞれの、利用日時に関する情報及び予定走行距離に関する情報を取得する予約情報取得手段と、利用日時に関する情報に基づいて、所定期間内における複数の車両と複数のユーザとの組合せを算出する組合せ算出手段と、複数の車両それぞれの累積走行距離を取得する累積走行距離取得手段と、予定走行距離に関する情報と累積走行距離とに基づいて、組合せのそれぞれについて、所定期間が終了したときの複数の車両それぞれの累積予定走行距離を算出する累積予定走行距離算出手段と、複数の車両それぞれの累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定する組合せ特定手段と、特定された組合せに基づいて、複数のユーザそれぞれに対して車両を割り当てる車両決定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0006】
請求項1に記載の車両運行管理装置によれば、利用日時に関する情報に基づいて、ユーザと車両との組合せを算出する。組合せのそれぞれについて、所定期間が終了したときの複数の車両それぞれの累積予定走行距離を算出する。そして、複数の車両それぞれの累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定して、この特定された組合せに基づいて、ユーザに対して車両を割り当てるので、所定期間内に複数のユーザが車両の利用を希望する場合においても、車両間の累積走行距離の偏りを抑えることができる。このようにすれば、車両の定期点検時期や部品の消耗予定時期を同期させることができる。
【0007】
請求項2に記載の車両運行管理装置の組合せ特定手段は、複数の車両それぞれの累積走行距離、及び複数のユーザそれぞれの予定走行距離に関する情報に基づいて基準距離を算出する。基準距離は、例えば、全ての車両の累積走行距離、及び予定走行距離を合計した値を、車両台数で除することによって算出することができる。そして、累積予定走行距離と基準距離と差の絶対値である、複数の車両それぞれの差分距離を算出し、複数の車両それぞれの差分距離を合計した合計差分距離が最も小さい組合せを、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定する。このように構成すれば、より適切に累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定し、当該組合せに基づいてユーザに車両を割り当てるので、車両間の累積走行距離の偏りを抑えることができる。
【0008】
以上は、車両運行管理装置の発明として説明してきたが、次に示すようなプログラムの発明として実現することもできる。
すなわち、複数の車両を管理するプログラムであって、所定期間内における車両の利用を希望する複数のユーザそれぞれの、利用日時に関する情報及び予定走行距離に関する情報を取得する予約情報取得手段、利用日時に関する情報に基づいて、所定期間内における複数の車両と複数のユーザとの組合せを算出する組合せ算出手段、複数の車両それぞれの累積走行距離を取得する累積走行距離取得手段、予定走行距離に関する情報と累積走行距離とに基づいて、組合せのそれぞれについて、所定期間が終了したときの複数の車両それぞれの累積予定走行距離を算出する累積予定走行距離算出手段、複数の車両それぞれの累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定する組合せ特定手段、及び特定された組合せに基づいて、複数のユーザぞれぞれに対して車両を割り当てる車両決定手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。このようなプログラムを実行することで、上記と同様の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明による車両運行管理装置を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1は、本実施形態による車両運行管理装置としての共用車両運行管理装置1の全体構成を示すブロック図である。共用車両運行管理装置1は、制御部10を中心に構成されており、制御部10に接続される通信部20、車両情報データベース30、及び予約情報データベース40等を備えている。
【0010】
制御部10は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、
I/O、および、これらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
通信部20は、共用車両運行管理装置1が管理する車両(以下、「共用車両」という。)5に搭載された公知のナビゲーション装置50の通信部51や携帯電話機60等と、ネットワーク3を介して通信を行うものである。ネットワーク3は、共用車両運行管理装置1とナビゲーション装置50と携帯電話機60とを相互に通信可能に接続するものである。なお、図1には、1台の共用車両5を図示したが、本実施形態では、複数の共用車両5と通信可能となるように構成されているものとする。この共用車両5が「複数の車両」に対応している。また、図1には、1つの携帯電話機60を図示したが、実際には、共用車両5を利用可能な全てのユーザの携帯電話機と通信可能となるように構成されている。
【0011】
車両情報データベース30は、通信部20により取得された共用車両5の累積走行距離31等の車両情報を、車両IDと関連づけて格納するデータベースである。
予約情報データベース40は、共用車両5の利用に関する情報(以下、「予約情報」という。)41が格納されている。本実施形態における予約情報とは、後述する携帯電話機60により取得された仮予約情報に対し利用予定車両を割り当て、予約情報データベース40に格納される共用車両5の1回の利用に係る情報である。具体的には、携帯電話機60により取得されたユーザID、利用日時に関する情報、予定走行距離に関する情報、及び共用車両運行管理装置1により割り当てられた利用予定車両に関する情報等である。ここで、例えば、10月31日13:00−15:00と、10月31日17:00−18:00とに予約が入っている場合、それぞれを個別の予約情報として記憶する。なお、同じ人が複数回の予約をしている場合においても、利用日時毎にそれぞれを個別の予約情報として記憶するものとする。
【0012】
利用日時に関する情報は、例えば「10月31日13:00−15:00」といった情報でもよいし、「10月31日13:00から2時間」といった情報であってもよい。また、予定走行距離に関する情報は、例えば「予定走行距離50km」というように距離を直接示す情報であってもよいし、地図データに基づいて距離を算出するための情報(出発地、目的地、及び経由地等)であってもよい。
ナビゲーション装置50は、共用車両5に搭載されている。ナビゲーション装置50は、通信部51等を備える公知のものである。通信部51は、搭載されている共用車両5の累積走行距離を車両IDと関連づけて、ネットワーク3を介して共用車両運行管理装置1に送信可能に構成されている。
【0013】
携帯電話機60は、共用車両5を利用可能なユーザが所有する携帯電話機である。携帯電話機60は、ユーザID、利用日時に関する情報及び予定走行距離に関する情報を仮予約情報として、ネットワーク3を介して共用車両運行管理装置1に送信し、当該利用日時に共用車両5を利用できるか否かを受信する。なお、本実施形態における利用日時に関する情報の利用開始時刻と利用終了時刻とは、同じ日であるものとし、日を跨いだ利用日時に関する情報は入力できないように構成されているものとする。
【0014】
ところで、本実施形態は、ユーザに共用車両5を適切に割り当て、共用車両間の累積走行距離の偏りを抑える点に特徴を有している。
そこで、図2に示すフローチャートに基づいて、車両割り当て処理を説明する。なお、この処理は、携帯電話機60からネットワーク3を介して新たな仮予約情報が取得された場合に行われるものとする。
最初のステップS100(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)では、携帯電話機60により入力された仮予約情報であるユーザID、利用日時、出発地、及び目的地を取得する。そして、共用車両運行管理装置1に記憶されている図示しない地図データ記憶部に記憶されている地図データに基づき、取得された出発地から目的地までの経路を探索し、当該経路に基づいて予定走行距離を算出する。
【0015】
S101では、S100で取得された仮予約情報の利用日時が含まれる所定期間を決定する。本実施形態における所定期間とは、全ての日付に対して設定される0時から24時までの期間のうち、入力された仮予約情報の利用日時を含む期間であるものとする。例えば、S100で取得された利用日時が、「10月31日13:00−15:00」である場合、「10月31日0時から24時まで」が決定される所定期間である。 そして、決定された所定期間と利用日時とが重複する予約情報を、予約情報データベース40から取得する。以下、S100で取得された仮予約情報、及びS101で取得された予約情報を合わせて、「所定期間内予約情報」という。
【0016】
S102では、各共用車両5と所定期間内予約情報との組合せを全て算出する。以下、共用車両運行管理装置1において、所定期間内予約情報等の予約情報と対応づけられる共用車両5を特定するための情報(例えば、車両ID等)を、単に「車両」という。
S103では、S102で算出された組合せのうち、全ての所定期間内予約情報の利用日時が同一車両において重複しない組合せがあるか否かを判断する。この判断処理は、所定期間内に利用を希望する全てのユーザに対して、車両を割り当てることが可能かを判断するものである。利用日時が同一車両において重複しない組合せがないと判断された場合、すなわち所定期間内に利用を希望する全てのユーザに車両を割り当てることが可能で無い場合(S103:NO)、S110へ移行する。利用日時が同一車両において重複しない組合せがあると判断された場合、すなわち全ての所定期間内に利用を希望する全てのユーザに車両を割り当てることが可能である場合(S103:YES)、S104へ移行する。
【0017】
S104では、S102で算出された組合せのうち、利用日時が同一車両において重複しない組合せを全て抽出する。
S105では、車両それぞれの所定期間開始時における累積走行距離を取得する。具体的には、車両それぞれについて、当該所定期間開始前までに利用日時が含まれる予約情報の予定走行距離を、車両情報データベース30に記憶されている累積走行距離に加え、所定期間開始時における累積走行距離を算出する。
【0018】
S106では、S104で抽出された組合せのそれぞれについて、所定期間内予約情報の予定走行距離と、S105で取得された各車両の累積走行距離とに基づいて、所定期間が終了したときの車両毎の累積予定走行距離を算出する。例えば、S104で抽出されたある組合せにおいて、車両Aに対し予約情報Xと予約情報Yとが割り当てられた場合、取得された車両Aの累積走行距離と、予約情報Xの予定走行距離と、予約情報Yの予定走行距離とを合計して、累積予定走行距離を算出する、といった具合である。
【0019】
続くS107では、S106で算出された各車両の累積予定走行距離の偏りが最も少ない組合せを特定する。
ここで行われる累積予定走行距離の偏りが最も少ない組合せの特定方法について説明する。まず、基準距離の算出を行う。本実施形態における基準距離は、全ての車両の累積走行距離および全ての所定期間内予約情報の予定走行距離を合計し、この合計値を車両の台数で除した値とする。次に、S104で抽出された組合せのそれぞれについて、S106で算出された各車両の累積予定走行距離と基準距離との差の絶対値である差分距離を算出する。そして、組合せのそれぞれについて、車両それぞれの差分距離を合計した合計差分距離を算出し、この合計差分距離が最も小さい組合せを、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定する。なお、組合せ特定方法の具体例は、後述する。
【0020】
続くS108では、S107で特定された組合せに基づいて、所定期間内予約情報と車両とを対応させる。そして、仮予約情報に利用予定車両IDを付加し、S102において予約情報データベース40より取得された予約情報の利用予定車両IDを変更して、予約情報として予約情報データベース40に格納する。なお、予約情報データベース40に格納された予約情報の利用予定車両IDは、同一の所定期間よりも前に利用日時が含まれる新たな仮予約情報が取得されるごとに、随時変更されるものとする。なお、S108で行われる処理は、換言すると、ユーザに対して車両を割り当てる、ということである。
【0021】
そしてS109では、S100において仮予約情報を取得した携帯電話機60に「予約可能」と通知する。なお、この時点では、割り当てられた共用車両5に関する情報は通知されない。ユーザがどの共用車両5を利用するかは、利用開始の直前、例えば5分前、などに別途通知されるものとする。また、ユーザがどの共用車両5を利用するかは、携帯電話機60に通知するようにしてもよいし、共用車両5の保管場所付近に設けられた端末にて通知してもよい。
【0022】
S102で算出された組合せのうち、全ての所定期間内予約情報の利用日時が同一車両において重複しない組合せがないと判断された場合、すなわち所定期間内に利用を希望する全てのユーザに共用車両5を割り当てられない場合(S103:NO)に移行するS110では、S100において予約情報を取得した携帯電話機60に「予約不可」と通知する。
【0023】
無論、S109にて予約可能を通知した後は、今回処理された当該所定期間以降の期間に利用日時が含まれる予約情報が予約情報データベース40に記憶されている場合には、所定期間の開始時における累積走行距離が変更になるため、累積予定走行距離の偏りを抑えるよう上述と同様の処理を実施し、予約情報データベース40に記憶されている予約情報の利用予定車両に関する情報を変更する。
【0024】
ここで、図3に基づいて、予約情報に対する車両の割り当て処理について、具体例を用いて説明する。この例においては、共用車両は、車両E、Fの2台であるものとし、車両Eの累積走行距離は15000km、車両Fの累積走行距離は14500kmであるものとする。なお、図中では、単位を省略する。
【0025】
最初に取得された仮予約情報Pは、図3(A)に示すように、利用日時がある日の13:00−15:00であり、予定走行距離が50kmである(図2中のS100。以下、フローチャートを引用する際には「図2中の」を省略し、単にステップ番号のみを示す。)。このとき、車両E、Fに対する所定期間内予約情報の組合せは、図3(B)に示すように、2通りである(S102、S103:YES、S104)。組合せ1(図中では「組1」で示した。)は、車両Eに仮予約情報Pを割り当てた場合である。このとき所定期間終了時の車両Eの累積予定走行距離は、15050kmであり、車両Fの累積予定走行距離は14500kmである(S106)。組合せ2(図中では、「組2」で示した。)は、車両Fに仮予約情報Pを割り当てた場合である。このとき所定期間終了時の車両Fの累積予定走行距離は14550kmであり、車両Eの累積予定走行距離は、15000kmである(S106)。
【0026】
ここで、基準距離を算出する。上述した通り、基準距離は、全ての共用車両(車両E、F)の累積走行距離(15000km+14500km)および全ての所定期間内予約情報(仮予約情報P)の予定走行距離(50km)を合計し、この合計値を共用車両の台数(2台)で除した値であるので、14775kmとなる。続いて、累積予定走行距離と基準距離との差の絶対値である差分距離を車両毎に算出すると、組合せ1では車両E、F共に275kmであり、組合せ2では車両E、F共に225kmである。そして、合計差分距離を組合せ毎に算出する。組合せ1の合計差分距離は550kmであり、組合せ2の合計差分距離は450kmである。合計差分距離を比較すると、組合せ2の方が小さいので、組合せ2を、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定する(S107)。特定された組合せ2に基づいて、仮予約情報Pを「予約情報P」とし、利用予定車両IDである車両FのIDを付加して、予約情報データベース40に格納する(S108)。そして、予約情報Pに対応するユーザの携帯電話機60に「予約可能」と通知する(S109)。
【0027】
次に、仮予約情報Qが取得されるものとする(S100)。図3(C)に示すように、仮予約情報Qの利用日時は、予約情報Pと同一の所定期間の14:00−16:00であるものとする。とすれば、仮予約情報Qの利用日時と同じ所定期間に含まれる予約情報Pが、予約情報データベース40から読み出される(S101)。そして、共用車両に対する所定期間内予約情報P及びQの組合せは、4(=22)通りである(図2中のS102)。予約情報Pの利用日時と、仮予約情報Qの利用日時とは、一部が重なっており、同一の車両に割り当てることはできないので、利用日時が同一車両において重複しない組合せは、図3(D)に示すように、組合せ3(図中では「組3」で示した。)及び組合せ4(図中では「組4」で示した。)の2通りある(S103:YES、S104)。そして、組合せ3及び組合せ4について、各車両の累積予定走行距離、基準距離、差分距離、及び合計差分距離を算出する(図3(D)参照)。合計差分距離を比較すると、組合せ4よりも組合せ3の方が小さいので、組合せ3を、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定する(S107)。特定された組合せ3に基づいて、予約情報Pの利用予定車両IDを車両EのIDに変更し、仮予約情報Qを「予約情報Q」とし、利用予定車両IDである車両FのIDを付加して、予約情報データベース40に格納する(S108)。そして、予約情報Qに対応するユーザの携帯電話機60に「予約可能」と通知する(S109)。
【0028】
また次に、仮予約情報Rが取得されるものとする(S100)。図3(E)に示すように、仮予約情報Rの利用日時は、予約情報P、Qと同一の所定期間の14:00−15:00であるものとする。とすれば、仮予約情報Rの利用日時と同じ所定期間に含まれる予約情報P、Qが、予約情報データベース40から読み出される(S101)。そして、共用車両に対する所定期間内予約情報の組合せは、8(=23)通りであるが(S102)、利用日時が同一車両において重複しない組合せがないので(S103:NO)、仮予約情報Rに車両を割り当てることができない。したがって、仮予約情報Rに対応するユーザの携帯電話機60に「予約不可」と通知する(S110)。
【0029】
さらに次に、仮予約情報Sが取得されるものとする(S100)。図3(F)に示すように、仮予約情報Sの利用日時は、予約情報P、Qと同一の所定期間の15:30−17:00であるものとする。とすれば、仮予約情報Sの利用日時と同じ所定期間に含まれる予約情報P、Qが、予約情報データベース40から読み出される(図2中のS101)。そして、共用車両に対する所定期間内予約情報の組合せは、8(=23)通りである(S102)。そのうち、利用日時が同一車両において重複しない組合せは、図3(G)に示すように、組合せ5(図中では「組5」で示した。)及び組合せ6(図中では「組6」で示した。)の2通りある(S103:YES、S104)。そして、組合せ5及び組合せ6について、各車両の累積予定走行距離、基準距離、差分距離、及び合計差分距離を算出する(図3(G)参照)。合計差分距離を比較すると、組合せ5よりも組合せ6の方が小さいので、組合せ6を、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定する(S107)。特定された組合せ6に基づいて、予約情報Pの利用予定車両IDを車両FのIDに変更し、予約情報Qの利用予定車両IDを車両EのIDに変更し、仮予約情報Sを「予約情報S」とし、利用予定車両IDである車両FのIDを付加して、予約情報データベース40に格納する(S108)。そして、予約情報Sに対応するユーザの携帯電話機60に「予約可能」と通知する(S109)。
【0030】
このようにすれば、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定し、当該組合せに基づいて予約情報に車両を割り当てるので、車両間の累積走行距離の偏りを抑えることができる。
【0031】
ここで、図4及び図5に基づいて、予約情報に対する車両の割り当て処理について、別の具体例を示して説明する。この例においては、共用車両は車両A〜Cの3台であるものとし、車両A〜Cの累積走行距離は、短い順に、車両B、車両C、車両Aである。まず、ある所定期間内に利用日時が含まれる仮予約情報Xが最初に取得された場合には、図4に示すように、取得された仮予約情報Xと共用車両との組合せは3(=31)通りであり(S102)、仮予約情報Xは、他の所定期間内予約情報がないため車両A〜Cのいずれに割り当てることも可能である(S103:YES、S104)。ここで、累積予定走行距離を算出し、比較すると、累積予定走行距離の偏りが最も小さくなる組合せは、図4(B)に示すように、累積走行距離が最も短い車両Bに仮予約情報Xを割り当てる組合せである(S107)。そして、仮予約情報Xを「予約情報X」とし、利用予定車両IDである車両BのIDを付加して、予約情報データベース40に格納する(S108)。
【0032】
次に、図5に基づいて、予約情報Xの利用日時と同一の所定期間に利用を希望する仮予約情報Yが取得された場合について説明する。仮予約情報Yの利用日時は、予約情報Xの利用日時との重複はなく、仮予約情報Yの予定走行距離は、予約情報Xの予定走行距離よりも長いものとする。予約情報X及び仮予約情報Yと、共用車両A〜Cとの組合せは9(=32)通りである(S102、S103:YES、S104)。ここで、累積予定走行距離を算出し、比較すると、累積予定走行距離の偏りが最も小さくなる組合せは、図5(B)に示すように、累積走行距離が最も短い車両Bに予定走行距離の長い仮予約情報Yを、累積走行距離が2番目に短い車両Cに予定走行距離の短い予約情報Xを割り当てる組合せである(S107)。したがって、予約情報Xの利用予定車両IDを車両CのIDに変更し、仮予約情報Yを「予約情報Y」とし、利用予定車両IDである車両BのIDを付加して、予約情報データベース40に格納する(S108)。
【0033】
このように、累積走行距離と予定走行距離とに基づいて予約情報に車両を割り当てれば、累積予定走行距離が最も長い車両と短い車両との差d1(図5(B)参照)は、予約順に累積走行距離の短い車両を割り当てた場合の累積予定走行距離が最も長い車両と短い車両との差d2(図5(C)参照)と比較して、小さい。これにより、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せ特定し、当該組合せに基づいて予約情報に車両を割り当てるので、車両間の累積走行距離の偏りを抑えることができる。
【0034】
以上、詳述したように、本実施形態の共用車両運行管理装置1によると、携帯電話機60により入力された仮予約情報が取得されると(S100)、取得された仮予約情報の利用日時を含む所定期間に、利用日時が重なっている全予約情報を、予約情報データベース40から取得する(S101)。複数の車両に対する所定期間内予約の組合せを算出し(S102)、全ての所定期間内予約の利用日時が同一車両において重複しない組合せがある場合(S103:YES)、当該組合せを抽出する(S104)。そして、取得された車両の累積走行距離および予定走行距離から累積予定走行距離を算出し(S105、S106)、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定し(S107)、特定された組合せに基づいて、所定期間内予約情報に対して車両を割り当てる(S108)。
【0035】
すなわち、本実施形態においては、累積予定走行距離を算出し、この累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せを特定し、当該組合せに基づいて予約情報に車両を割り当てるので、車両間の累積走行距離の偏りを抑えることができる。このようにすれば、車両の定期点検時期や部品の消耗予定時期が同期するため、部品のメンテナンスなどの時期を同期させることができ、車両管理上の利便性が向上する。
【0036】
なお、本実施形態における制御部10が、「予約情報取得手段」、「組合せ算出手段」、「累積走行距離取得手段」、「累積予定走行距離算出手段」、「組合せ特定手段」、「車両決定手段」を構成する。そして、図2中のS100が「予約情報取得手段」の機能としての処理に相当し、S102〜S104が「組合せ算出手段」の機能としての処理に相当し、S105が「累積走行距離取得手段」の機能としての処理に相当し、S106が「累積予定走行距離算出手段」の機能としての処理に相当し、S107が「組合せ特定手段」の機能としての処理に相当し、S108が「車両決定手段」の機能としての処理に相当する。
【0037】
上述の実施形態における「組合せ特定手段」の処理では、全ての共用車両の累積走行距離および全ての所定期間内予約情報の予定走行距離を合計し、この合計値を共用車両の台数で除した値を、基準距離として算出し、各車両の累積走行距離と基準距離との差の絶対値である差分距離を算出した。そして、組合せのそれぞれについて、車両それぞれの差分距離を合計した合計差分距離を算出し、この合計差分距離が最も小さい組合せを、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定した。これに対して、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せの特定は、合計差分距離ではなく、組合せのそれぞれについて累積予定走行距離の標準偏差を算出し、標準偏差が最も小さい組合せを、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定してもよい。また、標準偏差に代えて、分散が最も小さい組合せとしてもよい。
【0038】
また、変形例として、利用日時が重複しない組合せのうち、累積走行距離が最も長い車両の累積予定走行距離と、累積走行距離が最も短い車両の累積予定走行距離との差が最も小さくなる組合せを、累積予定走行距離の偏りが最も小さい組合せとして特定するようにしてもよい。
【0039】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の共用車両運行管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の共用車両運行管理装置による車両割り当て処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態の共用車両運行管理装置による車両割り当て処理の具体例を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態の共用車両運行管理装置による車両割り当て処理の具体例を説明する説明図である。
【図5】本発明の一実施形態の共用車両運行管理装置による車両割り当て処理の具体例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1:共用車両運行管理装置、3:ネットワーク、5:車両、10:制御部(予約情報取得手段、累積走行距離取得手段、組合せ算出手段、累積予定走行距離算出手段、組合せ特定手段、車両決定手段)、20:通信部、30:車両情報データベース、31:累積走行距離、40:予約情報データベース、41:予約情報、50:ナビゲーション装置、51:通信部、60:携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両を管理する車両運行管理装置であって、
所定期間内における前記車両の利用を希望する前記複数のユーザそれぞれの、利用日時に関する情報及び予定走行距離に関する情報を取得する予約情報取得手段と、
前記利用日時に関する情報に基づいて、前記所定期間内における前記複数の車両と前記複数のユーザとの組合せを算出する組合せ算出手段と、
前記複数の車両それぞれの累積走行距離を取得する累積走行距離取得手段と、
前記予定走行距離に関する情報と前記累積走行距離とに基づいて、前記組合せのそれぞれについて、前記所定期間が終了したときの前記複数の車両それぞれの累積予定走行距離を算出する累積予定走行距離算出手段と、
前記複数の車両それぞれの前記累積予定走行距離の偏りが最も小さい前記組合せを特定する組合せ特定手段と、
前記特定された組合せに基づいて、前記複数のユーザそれぞれに対して前記車両を割り当てる車両決定手段と、
を備えることを特徴とする車両運行管理装置。
【請求項2】
前記組合せ特定手段は、
前記複数の車両それぞれの累積走行距離、及び前記複数のユーザそれぞれの前記予定走行距離に関する情報に基づいて基準距離を算出し、
前記組合せのそれぞれについて、前記累積予定走行距離と前記基準距離との差の絶対値である、前記複数の車両それぞれの差分距離を算出し、
前記組合せ算出手段により算出された前記組合せのうち、前記複数の車両それぞれの前記差分距離を合計した合計差分距離が最も小さい前記組合せを、前記累積予定走行距離の偏りが最も小さい組み合わせとして特定することを特徴とする請求項1に記載の車両運行管理装置。
【請求項3】
複数の車両を管理するプログラムであって、
所定期間内における前記車両の利用を希望する前記複数のユーザそれぞれの、利用日時に関する情報及び予定走行距離に関する情報を取得する予約情報取得手段、
前記利用日時に関する情報に基づいて、前記所定期間内における前記複数の車両と前記複数のユーザとの組合せを算出する組合せ算出手段、
前記複数の車両それぞれの累積走行距離を取得する累積走行距離取得手段、
前記予定走行距離に関する情報と前記累積走行距離とに基づいて、前記組合せのそれぞれについて、前記所定期間が終了したときの前記複数の車両それぞれの累積予定走行距離を算出する累積予定走行距離算出手段、
前記複数の車両それぞれの前記累積予定走行距離の偏りが最も小さい前記組合せを特定する組合せ特定手段、
及び前記特定された組合せに基づいて、前記複数のユーザそれぞれに対して前記車両を割り当てる車両決定手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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