説明

車両

【課題】充電時の作業性に優れた車両、を提供する。
【解決手段】ハイブリッド自動車は、外部電源から車両本体に電力を供給するための充電ケーブル21と、発熱体であるエンジン104が配置されるエンジンルーム42と、エンジンルーム42に設けられ、充電ケーブル21を収容するケーブル収容部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、車両に関し、より特定的には、外部電源から車両本体に電力を供給するための充電ケーブルを搭載する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両に関して、たとえば、特開2000−255248号公報には、寒いが故に起こすであろう事故などの社会損失を未然に防止するとともに、暖機運転を少なくして公害を防止することを目的とした車両用暖機装置が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された車両用暖機装置においては、自動車の後部のバンパー内部に、ケーブルを巻き取るリールが設けられている。リールから引き出されたケーブルが外部電源に接続されることによって、電気エネルギが、車両の暖機運転制御回路に導かれる。
【0003】
また、特開平8−33121号公報には、各家庭に供給されている商用電源を充電電源として、電気自動車のバッテリの充電に利用でき、さらに小型で設置スペースをとらない電気自動車用充電装置が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された充電装置においては、リールタイプの充電ケーブル収納装置がガレージ内に設置されている。
【0004】
また、特開2003−244832号公報には、充電コードの収納スペースを小さくしながら、充電時のコードの発熱を抑制することを目的とした電気自動車が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示された電気自動車には、バッテリ充電用のコードとして用いられる巻取り式コードが搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−255248号公報
【特許文献2】特開平8−33121号公報
【特許文献3】特開2003−244832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、環境に配慮した自動車として、車輪の駆動にモータとエンジンとを併用するハイブリッド自動車が注目を集めている。このようなハイブリッド自動車において、外部から充電可能な構成にすることが検討されている。この場合、家庭用電源などを用いて充電を行なうことにより、燃料補給にガソリンスタンドに出向く回数が減り、ドライバーにとって便利になるとともに、安価な深夜電力等の利用によりコスト面でも見合うことも考えられる。
【0007】
一方、上述の特許文献1に記載の自動車においては、充電用のケーブルを車両に搭載し、このケーブルを用いて外部電源から車両本体側に電力を供給している。しかしながら、ケーブルを巻き取るためのリールが自動車の後部のバンパー内部に設けられているため、たとえば寒冷地において充電を行なう場合などには、ケーブルが冷たくなったり、低温のためケーブルを覆う樹脂が硬くなったりする。その結果、充電を行なう者がケーブルを取り扱い難くなり、充電時の作業性が損なわれるおそれがある。
【0008】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、充電時の作業性に優れた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従った車両は、外部電源から車両本体に電力を供給するための充電ケーブルと、発熱体が配置されるエンジンルームと、エンジンルームに設けられ、充電ケーブルを収容するケーブル収容部とを備える。
【0010】
このように構成された車両によれば、発熱体から発生する熱によって温度上昇するエンジンルームに、ケーブル収容部が設けられる。これにより、充電ケーブルの温度低下や硬化を防ぎ、充電ケーブルを取り扱う際の作業性を向上させることができる。
【0011】
また好ましくは、ケーブル収容部は、発熱体の直上に設けられる。このように構成された車両によれば、発熱体で発生した熱を効率よく、充電ケーブルの温度低下の防止に寄与させることができる。
【0012】
また好ましくは、ハイブリッド自動車は、エンジンルームの開口部を覆うエンジンフードをさらに備える。ケーブル収容部は、エンジンフードの裏面に設けられる。このように構成された車両によれば、エンジンフードは、発熱体から発生する熱によって常時、高温に保たれている。このため、そのエンジンフードの裏面にケーブル収容部を設けることによって、充電ケーブルの温度低下や硬化をより効果的に防ぐことができる。
【0013】
また好ましくは、ケーブル収容部は、ケーブルリールを有する。ケーブルリールは、回転可能な軸部材を含み、その軸部材の外周上に充電ケーブルが巻回される。このように構成された車両によれば、充電ケーブルの取り出し時もしくは収容時の作業性を向上させることができる。
【0014】
また好ましくは、車両は、エンジンルームに配置され、冷媒を供給するために設けられるアクチュエータをさらに備える。軸部材は、そのアクチュエータにより回転駆動される。このように構成された車両によれば、冷媒供給用という別の目的で設けられたアクチュエータを利用して、ケーブルリールを駆動させることができる。
【0015】
また好ましくは、車両は、エンジンルームに配置されるパワーステアリング駆動用のモータをさらに備える。軸部材は、そのモータにより回転駆動される。このように構成された車両によれば、パワーステアリング駆動用という別の目的で設けられたモータを利用して、ケーブルリールを駆動させることができる。
【0016】
また好ましくは、発熱体は、エンジンもしくはインバータである。このように構成された車両によれば、エンジンもしくはインバータから発生する熱によって、充電ケーブルの温度低下や硬化を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、この発明に従えば、充電時の作業性に優れた車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車の外観を示す斜視図である。
【図2】図1中のハイブリッド自動車の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1中のハイブリッド自動車のエンジンルームを示す平面図である。
【図4】図3中のエンジンルームを車両側方から見た断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2におけるハイブリッド自動車のエンジンルームを示す平面図である。
【図6】図5中のエンジンルームを車両側方から見た断面図である。
【図7】図5および図6中に示すケーブルリールの自動巻き取り装置を模式的に表わした図である。
【図8】図7中の自動巻き取り装置の制御の流れを示すフローチャート図である。
【図9】図5中のハイブリッド自動車の第1変形例を示す平面図である。
【図10】図5中のハイブリッド自動車の第2変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車の外観を示す斜視図である。図2は、図1中のハイブリッド自動車の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図1および図2を参照して、ハイブリッド自動車100は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と、充放電可能なバッテリ(2次電池)から電力供給されるモータとを動力源とする。
【0022】
まず、ハイブリッド自動車100の全体構成について説明すると、ハイブリッド自動車100は、エンジン104と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構103と、バッテリBと、コンデンサCと、リアクトルLと、コンバータ110およびインバータ120,130と、車両ECU(electronic control unit)160とを有する。
【0023】
動力分割機構103は、エンジン104およびモータジェネレータMG1,MG2に結合されており、これらの間で動力を分配する。たとえば、動力分割機構103としては、サンギヤ、プラネタリキャリヤおよびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構が用いられる。この3つの回転軸は、エンジン104、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸に接続されている。たとえば、モータジェネレータMG1のロータを中空とし、その中心にエンジン104のクランク軸を通すことによって、動力分割機構103にエンジン104およびモータジェネレータMG1,MG2を機械的に接続することができる。
【0024】
なお、モータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪102に結合されている。動力分割機構103の内部には、モータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機がさらに組み込まれてもよい。
【0025】
モータジェネレータMG1は、エンジン104によって駆動される発電機として動作し、かつ、エンジン104の始動を行ない得る電動機として動作するものとしてハイブリッド自動車100に組み込まれている。モータジェネレータMG2は、ハイブリッド自動車100の駆動輪である車輪102を駆動する電動機としてハイブリッド自動車100に組み込まれている。
【0026】
モータジェネレータMG1,MG2は、たとえば、三相交流同期電動機である。モータジェネレータMG1,MG2は、U相コイル、V相コイル、W相コイルからなる三相コイルをステータコイルとして含む。
【0027】
モータジェネレータMG1は、エンジン出力を用いて三相交流電圧を発生し、その発生した三相交流電圧をインバータ120へ出力する。モータジェネレータMG1は、インバータ120から受ける三相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジン104の始動を行なう。
【0028】
モータジェネレータMG2は、インバータ130から受ける三相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。モータジェネレータMG2は、車両の回生制動時、三相交流電圧を発生してインバータ130へ出力する。
【0029】
バッテリBとしては、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池などの2次電池を用いることができる。また、バッテリBに替えて、大容量の電気2重層コンデンサを用いることもできる。
【0030】
本実施の形態におけるハイブリッド自動車100は、家庭用電源などの外部電源からの電力供給を受けることによってバッテリBに充電可能なように構成されている。
【0031】
より具体的には、ハイブリッド自動車100は、充電部191をさらに有する。充電部191とバッテリBとの間には、AC/DCコンバータ140および切り替え機構150が設けられている。AC/DCコンバータ140は、充電部191を通じて外部電源から供給された交流電流を直流電流に変換するとともに、所定の電圧とする。切り替え機構150は、AC/DCコンバータ140とバッテリBとの間に設けられている。切り替え機構150は、車両ECU160からの信号に基づいて、AC/DCコンバータ140およびバッテリB間の通電状態のON/OFFを切り替える。
【0032】
本実施の形態におけるハイブリッド自動車100においては、充電部191が、ドライバーシート側のフロントフェンダに設けられている。充電部191の設置場所は、ドライバーシート側のフロントフェンダに限られず、たとえば、パッセンジャーシート側のフロントフェンダやリヤフェンダなどであってもよい。
【0033】
ハイブリッド自動車100は、充電ケーブル21をさらに有する。充電ケーブル21は、長尺の電気ケーブルから形成されており、その両端にそれぞれコネクタ22およびコネクタ23を有する。
【0034】
コネクタ22は、家庭用電源のコンセント等、外部電源に対して接続可能に設けられている。コネクタ23は、車両本体側に設けられた充電部191に対して接続可能に設けられている。バッテリBの充電作業時、コネクタ22およびコネクタ23がそれぞれ外部電源および充電部191に差し込まれ、充電ケーブル21を通じて、外部電源から車両本体側に電力が供給される。
【0035】
充電ケーブル21は、常時ハイブリッド自動車100に搭載されており、バッテリBの充電作業時にその搭載場所から降ろされて使用される。続いて、ハイブリッド自動車100に設けられた充電ケーブル21の搭載構造について説明する。
【0036】
図3は、図1中のハイブリッド自動車のエンジンルームを示す平面図である。図4は、図3中のエンジンルームを車両側方から見た断面図である。
【0037】
図3および図4を参照して、ハイブリッド自動車100の車両前方部には、エンジン104を収容するエンジンルーム42が設けられている。エンジンルーム42は、上面に開口部を有して形成されている。エンジンルーム42には、その開口部を覆うように開閉自在なエンジンフード(ボンネット)41が設けられている。エンジンルーム42の車両前方側には、エンジンルーム42内に外気を取り込むためのフロントグリル44が設けられている。エンジンルーム42の車両側方側には、左右のフロントフェンダ43が設けられている。
【0038】
ハイブリッド自動車100は、充電ケーブル21を収容するためのケーブル収容部31をさらに有する。ケーブル収容部31は、エンジンルーム42に設けられている。
【0039】
ケーブル収容部31の構造についてより具体的に説明すると、ケーブル収容部31は、ケーブル収容ボックス32を有して構成されている。ケーブル収容ボックス32は、箱形状を有し、エンジンフード41の裏面(エンジンルーム42の内側に面する表面)に設けられている。ケーブル収容ボックス32は、エンジン104の直上に設けられている。すなわち、ケーブル収容ボックス32は、エンジンフード41とエンジン104との間に設けられている。充電ケーブル21は、束ねられた状態でケーブル収容ボックス32の内部に収容されている。
【0040】
なお、エンジンルーム42には、エンジン104に加えて、図2中のインバータ120,130が配置されている。ケーブル収容ボックス32は、発熱体としてのインバータ120,130の直上に設けられてもよい。
【0041】
外部電源からの電力供給が可能に構成されたハイブリッド自動車において、充電ケーブル21を屋外や車両室内以外の車両上に搭載する場合が想定される。しかしながら、この場合、時期が冬季であったり、場所が寒冷地であったりすると、ケーブル自体が低温となり、硬くなってしまう。これにより、充電ケーブル21を延ばし難くなって、充電作業時の作業者への負担が増大したり、硬くなった充電ケーブル21によって車両を傷付けたりするおそれがある。このような問題を解決するために空調された車両室内に充電ケーブル21を保管する方法も考えられるが、この場合、汚れてしまった充電ケーブル21を車両室内に保管することとなり、埃や泥によって室内を汚してしまう可能性がある。
【0042】
これに対して、本実施の形態におけるハイブリッド自動車100においては、ケーブル収容ボックス32が、エンジン104もしくはインバータ120,130からの放熱によって高温となったエンジンルーム42に設けられている。これにより、ケーブル収容ボックス32に収容された充電ケーブル21が低温になり、ケーブルが硬くなることを防ぐことができる。特に本実施の形態では、ケーブル収容ボックス32が、常に高い温度に維持されるエンジンフード41の裏面に設けられるとともに、発熱体であるエンジン104の直上に配置されている。このため、充電ケーブル21の温度低下や硬化を防ぐ上記効果をより有効に奏することができる。
【0043】
さらに、ケーブル収容ボックス32が設けられるエンジンフード41の付近は、乗用車の場合、大人のひざから腰にかけての高さとなる。このため、充電ケーブル21の取り出し時もしくは収容時の操作が行ない易く、充電時の作業者の負担を軽減することができる。
【0044】
以上に説明した、この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車100の構造についてまとめて説明すると、車両としてのハイブリッド自動車100は、外部電源から車両本体に電力を供給するための充電ケーブル21と、発熱体としてのエンジン104が配置されるエンジンルーム42と、エンジンルーム42に設けられ、充電ケーブル21を収容するケーブル収容部31とを備える。
【0045】
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車100によれば、ケーブル収容部31をエンジンルーム42に設けることによって、充電ケーブル21の温度低下や硬化を防ぐことができる。これにより、充電ケーブル21の取り扱いを容易とし、充電時の作業性を向上させることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、充電ケーブル21を車両本体側および外部電源側のそれぞれにコネクタを有するタイプとして説明したが、充電ケーブル21は外部電源側にのみコネクタを有するタイプであってもよい。この場合、ケーブル収容部31に収容された充電ケーブル21がコネクタ22側の端部から引き出され、コネクタ22が外部電源に接続されることによって、充電作業が実施される。
【0047】
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2におけるハイブリッド自動車のエンジンルームを示す平面図である。図6は、図5中のエンジンルームを車両側方から見た断面図である。本実施の形態におけるハイブリッド自動車は、実施の形態1におけるハイブリッド自動車100と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
【0048】
図5および図6を参照して、本実施の形態では、ケーブル収容部31として、図4中のケーブル収容ボックス32に替えてケーブルリール35が設けられている。ケーブルリール35は、回転可能に支持されたリールシャフト36を有する。充電ケーブル21は、リールシャフト36の外周上に巻回されている。ケーブルリール35から充電ケーブル21が引き出された状態でリールシャフト36を所定の方向に回転させることによって、充電ケーブル21がリールシャフト36に巻き取られる。
【0049】
本実施の形態では、ケーブルリール35が、リールシャフト36の回転軸が車両前後方向に延びるように配置されている。すなわち、本実施の形態では、充電作業時に充電ケーブル21が、エンジンルーム42の車両側方に設けられたフロントフェンダ43側から引き出される。
【0050】
図7は、図5および図6中に示すケーブルリールの自動巻き取り装置を模式的に表わした図である。図5から図7を参照して、ケーブルリール35には、充電完了後、充電ケーブル21をリールシャフト36に自動的に巻き取るための巻き取り装置が設けられている。以下、その巻き取り装置の構造について説明する。
【0051】
エンジンルーム42には、発熱するエンジン104やインバータ120,130などに冷却水を供給するためのウォータポンプ51が設けられている。ウォータポンプ51は、ウォータポンプ用モータ52と、ウォータポンプ用モータ52の駆動に伴って冷却水を圧送するウォータポンプ本体53とから構成されている。
【0052】
本実施の形態では、リールシャフト36に対してその回転軸方向に被駆動軸38が連設されている。被駆動軸38は、連結機構としての電磁クラッチ57を介して、ウォータポンプ用モータ52の駆動軸54に接続されている。電磁クラッチ57は、被駆動軸38および駆動軸54間を連結し、もしくはその連結を解除する。電磁クラッチ57によって被駆動軸38および駆動軸54間が連結されたとき、ウォータポンプ用モータ52の回転力が電磁クラッチ57を通じてリールシャフト36に伝達される。
【0053】
図8は、図7中の自動巻き取り装置の制御の流れを示すフローチャート図である。図7および図8を参照して、ハイブリッド自動車には、自動巻き取り用スイッチ62および制御装置としてのECU61が設けられている。
【0054】
充電終了後に充電ケーブル21をリールシャフト36に巻き取る場合、作業者は、自動巻き取り用スイッチ62を操作してONとする。自動巻き取り用スイッチ62がONにされると、電磁クラッチ57は、ECU61からの連結信号を受けて、被駆動軸38および駆動軸54間を連結させる。次に、ウォータポンプ用モータ52は、ECU61からのトルク指令を受けて、充電ケーブル21を巻き取る際に適したトルクAにより回転する。これにより、ウォータポンプ用モータ52の回転力がリールシャフト36に伝達され、充電ケーブル21が順次、リールシャフト36に巻き取られていく。
【0055】
一方、自動巻き取り用スイッチ62がオフにされているとき、被駆動軸38および駆動軸54間の連結が解除されている。この場合、ウォータポンプ用モータ52は、ECU61からのトルク指令を受けて、冷却水を圧送する際に適したトルクBにより回転する。
【0056】
このような構成によれば、ケーブル収容部31としてケーブルリール35を利用することによって、作業者は、充電ケーブル21の引き出し、収容を行ない易くなるため、充電時の作業性をさらに向上させることができる。この際、ケーブルリール35の自動巻き取り装置として、エンジンルーム42内に備え付けのウォータポンプ用モータ52を流用するため、簡易な構成によって充電時の作業性を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、ケーブルリール35の自動巻き取り装置に、ウォータポンプ用モータ52を用いたが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、自動巻き取り装置として、エアコンディショナの冷媒を圧縮し、循環させるためのコンプレッサを用いてもよいし、パワーステアリング駆動用のモータを用いてもよい。
【0058】
図9は、図5中のハイブリッド自動車の第1変形例を示す平面図である。図9を参照して、本変形例では、ケーブルリール35が、リールシャフト36の回転軸が車両幅方向に延びるように配置されている。すなわち、本変形例では、充電作業時に充電ケーブル21が、エンジンルーム42の車両前方に設けられたフロントグリル44側から引き出される。
【0059】
図10は、図5中のハイブリッド自動車の第2変形例を示す平面図である。図10を参照して、本変形例では、フロントグリル44に、ケーブル引き出し口66が設けられている。ケーブル引き出し口66は、エンジンルーム42内と外部空間とを連通させる開口部により形成されている。ケーブルリール35に巻回された充電ケーブル21は、エンジンルーム42からケーブル引き出し口66を通じて外側に引き出される。このような構成によれば、充電作業時、エンジンフード41を開けることなく、充電ケーブル21をエンジンルーム42から引き出すことができる。
【0060】
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるハイブリッド自動車によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
【0061】
なお、以上に説明した実施の形態1〜2に記載のハイブリッド自動車の構造を適宜組み合わせて、新たな車両を構成してもよい。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
この発明は、主に、エンジンと、バッテリから電力供給されるモータとを動力源として備えるハイブリッド自動車に利用される。
【符号の説明】
【0064】
21 充電ケーブル、22,23 コネクタ、31 ケーブル収容部、32 ケーブル収容ボックス、35 ケーブルリール、36 リールシャフト、38 被駆動軸、41 エンジンフード、42 エンジンルーム、43 フロントフェンダ、44 フロントグリル、51 ウォータポンプ、52 ウォータポンプ用モータ、53 ブレードウォータポンプ本体、54 駆動軸、57 電磁クラッチ、62 自動巻き取り用スイッチ、66 ケーブル引き出し口、100 ハイブリッド自動車、102 車輪、103 動力分割機構、104 エンジン、110 コンバータ、120,130 インバータ、140 コンバータ、150 切り替え機構、191 充電部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から車両本体に電力を供給するための充電ケーブルと、
発熱体が配置されるエンジンルームと、
前記エンジンルームに設けられ、前記充電ケーブルを収容するケーブル収容部とを備える、車両。
【請求項2】
前記ケーブル収容部は、前記発熱体の直上に設けられる、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記エンジンルームの開口部を覆うエンジンフードをさらに備え、
前記ケーブル収容部は、前記エンジンフードの裏面に設けられる、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記ケーブル収容部は、回転可能な軸部材を含み、前記軸部材の外周上に前記充電ケーブルが巻回されるケーブルリールを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
前記エンジンルームに配置され、冷媒を供給するために設けられるアクチュエータをさらに備え、
前記軸部材は、前記アクチュエータにより回転駆動される、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記エンジンルームに配置されるパワーステアリング駆動用のモータをさらに備え、
前記軸部材は、前記モータにより回転駆動される、請求項4に記載の車両。
【請求項7】
前記発熱体は、エンジンもしくはインバータである、請求項1から6のいずれか1項に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−241291(P2010−241291A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93034(P2009−93034)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】