説明

車体部品の建付け良否判定方法

【課題】適切な建付け不良の検出対策を確立することでその改善に要する工数を削減し、車体品質の早期安定化を図る。
【解決手段】本発明に係る車体部品の建付け良否判定方法は、組付け状態にある複数の車体部品をモデル化して振動解析を行い、解析モデル上に設けた複数の応答点における応答波形の解析結果を取得する振動解析工程、実際の車体部品に対して振動解析工程の時と同じ条件で振動を付与し、かつ解析モデルと同じ位置に設けた応答点5で応答波を検出する応答波検出工程、および、応答波検出工程で検出した応答波の波形を、応答波形の解析結果と比較した結果に基づき、車体部品の建付けの良否を判定する良否判定工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体部品の建付け良否判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実際の車体部品の組付け時、例えばバンパーとヘッドランプとの間など互いに隣接する2部品間には、設計当初からは予測できない大きさの隙間や詰まり、段差等が生じる場合がある。この種の不具合(いわゆる建付け不良)は、外装建付け品質の低下を招くおそれがあるため、生産準備段階で各車体部品の全ての組付け状態を作業者が目視で確認すると共に、上記不具合を発見した場合には、当該不具合が解消されるまで対象部品の設計変更、又は隣接部品との締結部の形状変更などを繰り返し行うようにしている。
【0003】
しかし、このような旧来的な手法では建付け不良の原因解明ができず、根本的な解決とはなっていなかったため、工数を削減し難い状況にあった。また、当該手法では、建付け不良の発見作業に時間が掛かり、また、号口までに多くの工数を必然的に伴うことから作業者の負担も大きいものがあった。
【0004】
ところで、近年では、この種の建付け不良検査をCAEを用いて設計の段階で仮想的に行い(シミュレーションを行い)、実機の設計に反映させる手法が採られつつある。例えば下記特許文献1には、車体部品の建付けのばらつきを予測する手法として、各部品の図面データに基づく公差解析を行うことで各部品のばらつき値を取得すると共に、取得した各部品のばらつき値を部品データとして、ばらつきを持った各部品の有限要素解析モデルを作成し、これら有限要素解析モデルを相互に組付けた際のFEM解析を行うことで変形を考慮した建付けのばらつきを予測する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−129727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、車体部品の建付け具合を図面段階で評価することは、実機の試作回数の削減にもつながり好ましいように思われるが、その精度には問題が残る。この種の建付け不良には、上記のように各部品の寸法公差や組付け時の変形だけでなく、例えば組付け方法に起因する部品間の相対位置のずれや、塗装等の各種加工による熱変形など、非常に多くの要因が関連し、かつこれらが複雑に関わり合っているものと考えられる。そのため、上記特許文献1に開示の予測方法では適正な予測が出来ているとは言い難く、依然として複数回の試作と検査による改善作業が必要となる。
【0007】
以上の事情に鑑み、本明細書では、適切な建付け不良の検出対策を確立することでその改善に要する工数を削減し、車体品質の早期安定化を図ることを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題の解決を図るためになされたものである。すなわち、本発明に係る車体部品の建付け良否判定方法は、組付け状態にある複数の車体部品をモデル化して振動解析を行い、解析モデル上に設けた1又は複数の応答点における応答波形の解析結果を取得する振動解析工程、車体部品に対して振動解析時と同じ条件で振動を付与し、かつ解析モデルと同じ位置に設けた応答点で応答波を検出する応答波検出工程、および、検出した応答波の波形を、応答波形の解析結果と比較した結果に基づき、車体部品の建付けの良否を判定する良否判定工程を備える点をもって特徴付けられる。
【0009】
本発明は、車体部品の建付け状態の良否をその振動応答特性でもって好適に評価することができる、との本発明者の知見に基づきなされたものである。すなわち、本発明に係る上記判定方法によれば、例えば車体部品を一見しただけでは分かり難い当該部品間の連結状態が、実際に検出された応答波の波形に反映されて現れる。そのため、これを応答波形の解析結果と比較することで、建付けの良否を判定することが可能となる。また、複数の応答点における比較結果に基づき建付けの良否を総合的に判定することで、建付け不良が生じている箇所を凡そ推定することもできる。よって、従前のように、作業者が目視で建付け不良箇所の有無を判断する場合と比べて作業時間の短縮を図ることができる。また、比較結果を詳細に分析することで、当該建付け不良の位置および原因を特定することもできるので、真の不良原因に応じた適切な対応策(設計変更、加工内容の変更等)を採ることができ、これにより試作評価とその改善に要する工数を大幅に削減することができる。
【0010】
ここで、具体的な良否判定方法として、例えば応答点を、組付け状態にある全ての車体部品に設けた状態で振動解析工程および応答波検出工程を実施し、良否判定工程において、建付け不良と判定し得る比較結果を示した応答点が複数存在する場合、これら複数の応答点が設けられた車体部品間に建付け不良が発生しているものと推定する方法を採ることも可能である。このようにすれば、少なくとも何れの車体部品間に建付け不良が発生しているのかを上記判定方法の一回の実施で知ることができる。そのため、不良発生箇所を特定するために要する工数を確実に減らすことができる。
【0011】
また、上記工程に係る判定方法を、応答点の位置および数を変えて2段階で実施することもできる。まず、上記の方法を実施することで建付け不良が発生している隣接2部品間を特定した上で、これら特定した隣接する2部品のみに複数の応答点を設けて、上記振動解析工程、応答波検出工程、そして良否判定工程を順に実施する。そして、その結果、建付け不良と判定し得る比較結果を示した応答点が複数存在する場合、これら複数の応答点の中で、最も近接する一対の応答点間を建付け不良の発生箇所と推定することも可能である。このような手順で建付けの良否を判定することで、建付け不良の発生箇所の詳細を少ない工数で効率よく特定することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、適切な建付け不良の検出対策を確立することでその改善に要する工数を削減し、車体品質の早期安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車体部品の建付け良否判定方法に係る振動解析工程を概念的に説明するための解析モデルの斜視図である。
【図2】車体部品の建付け良否判定方法に係る応答波検出工程を概念的に説明するための全体構成図である。
【図3】検出した応答波の波形と、解析結果に係る応答波形との比較の一例を示すグラフである。
【図4】互いに隣接する2部品間の建付け不良発生箇所を特定する際の応答点の位置関係を示す車体部品の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車体部品の建付け良否判定方法の一実施形態を図面に基づき説明する。この実施形態では、バンパーおよびヘッドランプを少なくとも車体部品に含む車体の前方部位を判定対象とする場合を例にとり説明する。
【0015】
この実施形態における建付け良否判定方法は、組付け状態にある複数の車体部品をモデル化して振動解析を行い、解析モデル上に設けた複数の応答点における応答波形の解析結果を取得する振動解析工程(A)、実際の車体部品に対して振動解析工程(A)の時と同じ条件で振動を付与し、かつ解析モデルと同じ位置に設けた応答点で応答波を検出する応答波検出工程(B)、および、応答波検出工程(B)で検出した応答波の波形を、応答波形の解析結果と比較した結果に基づき、車体部品の建付けの良否を判定する良否判定工程(C)を備える。以下、各工程の詳細を説明する。
【0016】
(A)振動解析工程
図1は、振動解析工程に使用する車体部品の解析モデル1の一部を示している。この図では、複数の車体部品を組み付けてなる解析モデル1のうち、バンパー2と、バンパー2に組付けた左右のヘッドランプ3,3の部分のみを例示している。また、この解析モデル1には、振動を入力(付与)するための入力点4と、入力した振動に対する応答を出力するための応答点5がそれぞれ設けられている。なお、この図示例では、入力点4は解析モデル1のバンパー2の部分のみに設けられ、応答点5はバンパー2とヘッドランプ3の部分に設けられているが、入力点4と応答点5の配置関係およびその数については後述のように原則任意であり、評価すべき建付け不良の内容や発生箇所、あるいは対象となる車種によって適宜設定される。
【0017】
このようにして解析モデル1上に一又は複数の入力点4および応答点5をそれぞれ設けた上で、入力点4に所定の振動を付与したときの各応答点5における応答を振動解析により評価する。具体的には、上記入力振動に対して各応答点5で出力される応答波形を上記振動解析の結果として取得する。そして、この解析結果を適当な記憶手段(例えば後述するコンピューター23)に電磁的な手段で記憶しておく。
【0018】
この場合、取得すべき応答波形は、後述する検出された応答波との間で適正に比較可能な形態であることが望ましく、例えば応答点5における出力波(応答波)それ自体の時間軸波形でもよく、あるいは、この波形に対して例えばフーリエ変換やウェーブレット変換などの適当な変換を施して、周波数を変数とする関数ないしそのグラフとして表したもの(波形)であってもよい。その結果として、例えば図3に示すように、応答波形の解析結果を、横軸に周波数、縦軸にゲインをとった周波数応答関数のグラフとして取得することが可能である。もちろん、周波数以外の物理量を変数(横軸)とする関数に変換して表した波形を、検出された応答波と比較する際の波形として使用しても構わない。
【0019】
(B)応答波検出工程
次に、応答波検出工程(B)について説明する。図2は、この検出工程を概念的に説明するための図であり、検出対象となる複数の車体部品、ここではバンパー12、ヘッドランプ13,13、フード14、およびフェンダー15などが相互に組みつけられた状態のアセンブリ10に対して応答波の検出が行われるようになっている。ここで、図2に示すように、アセンブリ10の近傍には、車体部品(ここではバンパー12)に対して振動解析工程(A)時と同じ条件で振動を付与する振動付与手段が配設されている。振動付与手段としては例えばインパルスハンマー21を用いることができ、このインパルスハンマー21の打点部を、振動解析工程(A)と同じ位置(バンパー12)に設けた入力点4にセットしておくことで、上記所定の振動を入力点4に付与できるようになっている。また、このインパルスハンマー21は後述するコンピューター23に接続されており、アセンブリ10に入力した振動を電磁的な信号としてコンピューター23に記憶できるようになっている。
【0020】
また、アセンブリ10を構成する各車体部品には、図1に示す解析モデル1と同じ位置に同数の応答点5が設けられると共に、各応答点5で応答波を検出する応答波検出手段が配設されている。ここで、応答波検出手段は、例えば加速度ピックアップ(加速度センサ)などの複数の振動センサ22で構成され、これら振動センサ22を振動解析工程(A)と同位置に設けた複数の応答点5上に設置することで、各応答点5における応答波を検出できるようになっている。また、これら複数の振動センサ22は何れも附設のコンピューター23に接続されており、検出した応答波を電磁的な信号としてコンピューター23に記憶できるようになっている。なお、前述の振動解析を実行するための振動解析手段や、応答波検出手段(振動センサ22)で検出した波を比較可能な波形へと変換する手段、さらには、波形の比較手段や、当該比較手段で比較した結果に基づきアセンブリ10の建付けの良否を判定する良否判定手段はいずれも、上記コンピューター23にそれぞれプログラムとしてインストールされている。もちろん、個々の電磁的処理手段をプログラムとして含むコンピューターを別個に配設するようにしても構わない。
【0021】
上記のようにして、実車の一部としてのアセンブリ10上に、解析モデル1と同様に、入力点4および応答点5を設けた上で、インパルスハンマー21により入力点4に振動解析工程(A)時と同じ振動を付与し、この際の各応答点5における応答波を振動センサ22により検出する。検出した応答波は、振動センサ22に接続したコンピューター23内に設けた波形変換手段により振動解析工程(A)時に得た応答波形と同じ形態の波形に変換される。上記一連の工程を、全ての応答点5について実施し、各応答点5における検出された応答波の波形を得る。これら複数の検出応答波形は上述した解析応答波形と共にコンピューター23に接続されたディスプレイ24に表示される。
【0022】
(C)良否判定工程
このようにして、各応答点5について、振動解析工程(A)で得られた応答波形の解析結果と、応答波検出工程(B)で検出した応答波の波形とをコンピューター23内に設けた比較手段で比較する。そして、各応答点5における解析結果と実測結果との間に差異が見られた場合には、予め定めておいた判定基準に基づきその差異の程度を判断し、当該差異が上記基準を満たさない場合には、応答異常と判定する。例えば図3に示すように周波数応答関数として双方の波形を比較する場合、解析結果に係る波形(図中実線で示す波形)で見られたピークが、検出応答波の波形(図中破線で示す波形)では見られないときや、逆に解析結果に係る波形で見られないピークが、検出応答波の波形でのみ確認できるとき、あるいは波形全体で見た場合の相関性(類似性)が所定割合に満たないときなどに、応答異常と判定する。もちろん、上記の判定基準は例に過ぎず、比較波形の形態に応じて、又は、判定すべき建付け不良の内容に応じてその際の判定基準を適宜設定することが可能である。
【0023】
このようにして、各応答点5における応答異常の有無を判定した上で、1つでも応答異常と判定された応答点5が存在すれば、アセンブリ10に建付け不良が発生しているものと判定する。また、上記応答異常と判定された応答点5が複数存在する場合には、それら応答点5が設けられた車体部品の間に建付け不良が発生しているものと判定する。例えば、図2に示すように、バンパー12に設けた応答点5と、ヘッドランプ13に設けた応答点5について応答異常と判定された場合、これら応答点5が設けられたバンパー12とヘッドランプ13との間、より詳細にはこれらの間の締結部に何らかの建付け不良が発生しているものと判定することができる。以上より、建付け不良の有無を判定することができ、かつ、その際の建付け不良の発生箇所を凡そ特定することができる。
【0024】
このように建付け不良の発生箇所を特定できれば、建付け不良の発生原因を解明することも可能になるので、何れの部位を設計変更し、あるいは加工条件等を変更すればよいかを容易に知ることができる。これにより、設計変更と試作評価の繰り返しに要する回数を減らして、早期に所定品質の号口を実施することが可能となる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記例示の方法に限定されるわけではなく、本発明の範囲内において任意の形態を採り得ることはもちろんである。
【0026】
例えば、上記実施形態では、建付け不良の発生箇所ないし発生原因となる車体部品の特定が全くできない状況下で建付けの良否およびその発生箇所を判定する場合について説明したが、ある程度建付け不良の発生しそうな箇所を予測できる場合には、以下に示す方法を採ることもできる。
【0027】
例えば図4に示すように、他の車体部品間に比べて、バンパー12とヘッドランプ13の間に建付け不良が発生する可能性が高いと思われる場合、当初から応答点5の位置を狭い範囲に絞って、建付け不良の発生箇所の詳細を知ることも可能である。すなわち、バンパー12とヘッドランプ13との間には、通常、複数の締結部16が設けられている。これら締結部16はクリップや爪係合、ピン止めなど、種々の形態で構成されている。よって、図4の如く、これら複数の締結部16(あるいはその近傍)のバンパー12側とヘッドランプ13側とにそれぞれ応答点5を設け、上記振動解析工程(A)、応答波検出工程(B)、および良否判定工程(C)を実施することで、各応答点5についての応答異常の可否を判定する。そして、その結果、応答異常と判定された応答点5が複数存在する場合、これら複数の応答点5のうち、最も近接する一対の応答点5(この図示例では、所定の締結部16上にあって、そのバンパー12側とヘッドランプ13側にそれぞれ配置された一対の応答点5)の間に位置する締結部16(ないし一対の応答点5に最も近い締結部16)を建付け不良の発生箇所と認定する。よって、この場合には、具体的な建付け不良の原因(箇所)を特定することができ、適正な改善策を早期に実施することができる。もちろん、この場合には、先の良否判定方法の際とは異なる条件で振動解析から建付け良否判定に至る一連の工程を実施してもよい。
【0028】
あるいは、上記建付け不良箇所の特定を、2段階の良否判定方法を実施することで行うことも可能である。例えば、まず組付け状態にある全ての車体部品(例えばバンパー12、ヘッドランプ13、フード14、フェンダー15)に応答点5を設け、これら複数の応答点5に対して振動解析工程(A)、応答波検出工程(B)、良否判定工程(C)を順に実施する。そして、その判定結果から、建付け不良が生じていると推定される隣接2部品を特定した上で、例えば図4に示す場合と同様に、隣接2部品の締結部もしくはその近傍であって、各車体部品の側に一対の応答点5を設けて上記と同様(A)〜(C)の工程を実施し、かつ、良否判定工程(C)の結果、応答異常と判定された複数の応答点5のうち、最も近接する一対の応答点5の間に位置する締結部16を建付け不良の発生箇所と特定する。よって、この方法によれば、建付け不良の発生箇所の詳細な位置を最小限の工数で効率よく特定することができる。
【0029】
以上の工程は、隣接する2部品間の締結部又はその近傍に建付け不良が発生している場合、あるいは当該不良の発生原因が生じている場合に使用されるが、例えば応答波の検出のし易さを考慮して、応答点5の設置箇所を定めても構わない。他部品(フレーム等の外観意匠を構成しない部品を含む)との連結部ないしその近傍では当該部品が拘束されるため応答が反映され難いのに対し、当該連結部(拘束部)から離れた箇所では応答が比較的大きく反映される傾向にある。そのため、応答を大きく反映させた状態で当該応答波を検出したい場合には、例えば図示は省略するが、バンパー12の下部中央や、ヘッドランプ13の中央など、各車体部品の何れの拘束部からも離れた位置に応答点5を設けて上記振動解析、応答波検出、および建付け良否判定を実施しても構わない。
【0030】
なお、以上では、建付け不良が主として隣接2部品間の締結部又はその近傍に発生する場合について説明したが、本発明に係る建付け良否判定方法によれば、原則何れの箇所に発生した建付け不良につても検出(判定)することができ、またその発生箇所を特定することも可能である。また、入力点4に関しても特に図示の形態に限定されることはなく、複数の入力点4を同一又は異なる車体部品上に設けるようにしてもよい。このように、比較波形の選定や、その比較結果の判定基準だけでなく、入力点4や応答点5の数、およびそれらの配置関係により、様々な建付け不良の検出およびその原因(発生位置)の特定を図ることができる。
【0031】
また、振動解析工程に使用する解析モデル1に関し、例えばこの種の車体部品をCAEを利用して設計している場合には、当該設計時に作成したCAEモデルを解析モデル1に転用することも可能である。振動解析用のモデルを別途一から作成する手間が省けて経済的である。また、振動解析結果の信頼性を高める目的で、建付け良否の予測結果に基づいて作成されたCAEモデルを用いることも可能である。
【0032】
また、上記以外の事項についても、本発明の技術的意義を没却しない限りにおいて他の具体的形態を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0033】
1 解析モデル
2 バンパー(解析モデル)
3 ヘッドランプ(解析モデル)
4 入力点
5 応答点
10 アセンブリ
12 バンパー(実車)
13 ヘッドランプ(実車)
14 フード(実車)
15 フェンダー(実車)
16 締結部
21 インパルスハンマー
22 振動センサ
23 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付け状態にある複数の車体部品をモデル化して振動解析を行い、前記解析モデル上に設けた1又は複数の応答点における応答波形の解析結果を取得する振動解析工程、
前記車体部品に対して前記振動解析時と同じ条件で振動を付与し、かつ前記解析モデルと同じ位置に設けた応答点で応答波を検出する応答波検出工程、および、
前記検出した応答波の波形を、前記応答波形の解析結果と比較した結果に基づき、前記車体部品の建付けの良否を判定する良否判定工程を備える車体部品の建付け良否判定方法。
【請求項2】
前記応答点を、前記組付け状態にある全ての車体部品に設けた状態で前記振動解析工程および前記応答波検出工程を実施し、
前記良否判定工程において、建付け不良と判定し得る比較結果を示した前記応答点が複数存在する場合、これら複数の応答点が設けられた前記車体部品間に建付け不良が発生しているものと推定する請求項1に記載の車体部品の建付け良否判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−223703(P2010−223703A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70193(P2009−70193)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】