説明

車外監視装置および車外監視方法

【課題】分割領域内で距離分布のピーク候補となる相対距離が複数ある場合においても、所望する相対距離を特定し、立体物を正しく認識すると共に、処理負荷の軽減を図る。
【解決手段】車外監視装置は、検出領域内に存在する立体物の位置情報を取得し、検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し(S450)、位置情報に基づいて第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出し、第1代表距離に基づき第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成し、第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し(S452)、相対距離が第1代表距離に近接する第2分割領域をグループ化して第2分割領域群を生成し、第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、第1代表距離を導出する対象範囲を、第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外に位置する立体物の自車両に対する距離分布に基づいて車外の状況を監視する車外監視装置および車外監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の前方に位置する車両(先行車両および前方で停止している車両)や障害物といった立体物を検出し、検出した立体物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つように制御する技術が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
このような技術では、距離センサ等を用い、前方に位置する立体物の、自車両に対する相対距離を含む相対的な三次元位置(位置情報)を導出し、その立体物を特定している。しかし、相対距離を検出する距離センサ自体は、通常、検出した被検出部位がどのような立体物の一部であるかを認識できないため、その3次元位置は、立体物単位ではなく、検出領域における検出分解能単位で独立して導出されることとなる。そこで、検出分解能単位の3次元位置が近接する位置情報同士を抽出してグループ化し、それを立体物として特定する処理が必要になる。
【0004】
上述した特許文献1、2の技術では、まず、検出領域を、複数の短冊形状の分割領域に分割し、分割領域毎に、検出された複数の位置情報を統計処理して距離分布を求め、距離分布のピークに相当する相対距離をその分割領域の代表値(代表距離)を求める。そして、代表距離同士の比較を通じて立体物としてのグループ化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3349060号
【特許文献2】特開平10−283461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1、2の技術で実行されているグループ化処理において、鉛直方向に延びる短冊形状の分割領域に分割しているのは、その分割領域において、道路上の最後尾に位置する先行車両を一意に特定できるからである。また、距離分布のピークに相当する相対距離を代表距離としているのは、誤検出による突発的な位置情報を排除するためである。
【0007】
しかし、一体的に形成されている一つの立体物に対し、短冊形状の領域において複数の相対距離が検出される場合がある。例えば、トラック等の車両において、キャビン部と荷台背面部とは自車両に対する相対距離が異なるので、短冊形状の領域内の距離分布には、主としてキャビン部と荷台背面部の2つの相対距離が検出される。
【0008】
このとき、上述した特許文献1、2の技術では、分割領域における距離分布のピークに相当する相対距離を代表距離としているので、キャビン部や荷台背面部の占有面積や検出可能な部位の総数等の検出状況に応じて、距離分布が変化し得る。このような距離分布の変化に伴ってピークとなる相対距離が変化し、代表距離がいずれの部の相対距離となるか定まり難い場合がある。そうすると、キャビン部や荷台背面部を一つの立体物としてグループ化できず、立体物を正しく認識できなくなるおそれがある。例えば、立体物との相対距離として、キャビン部の相対距離と荷台背面部の相対距離とが時間的に前後して検出されると、以下の事態が生じ得る。即ち、先行車両との車間距離を安全に保つ制御(クルーズコントロール)を通じて、自己の車両が、先行車両の相対距離の変化に忠実に反応してしまい、搭乗者は自己の車両の加減速による違和感を覚えることとなり得る。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、分割領域内で距離分布のピーク候補となる相対距離が複数ある場合においても、所望する相対距離を特定し、立体物を正しく認識することが可能な、車外監視装置および車外監視方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の車外監視装置は、検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、位置情報に基づいて第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出する第1代表距離導出部と、第1代表距離に基づき第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成する第1分割領域群生成部と、第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、相対距離が第1代表距離に近接する第2分割領域をグループ化して第2分割領域群を生成する第2分割領域群生成部と、を備え、第1代表距離導出部は、第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、第1代表距離を導出する対象範囲を、第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする。
【0011】
第2分割領域群生成部は、第1代表距離に近接する相対距離が第2分割領域中の相対距離の総数に対して所定比率含まれる場合に、第2分割領域をグループ化の対象としてもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の他の車外監視装置は、検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、位置情報に基づいて第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出する第1代表距離導出部と、第1代表距離に基づき第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成する第1分割領域群生成部と、第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、位置情報に基づいて第2分割領域毎の距離分布のピークに相当する第2代表距離を導出する第2代表距離導出部と、第2代表距離に基づき第2分割領域をグループ化し、相対距離が最短でありかつ第1代表距離との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群を生成する第2分割領域群生成部と、を備え、第1代表距離導出部は、第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、第1代表距離を導出する対象範囲を、第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の他の車外監視装置は、検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、位置情報に基づいて第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出する第1代表距離導出部と、第1代表距離に基づき第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成する第1分割領域群生成部と、第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、相対距離が第1代表距離に近接する第2分割領域をグループ化して第2分割領域群を生成する処理と、第2分割領域毎の距離分布のピークに相当する第2代表距離に基づき第2分割領域をグループ化し、相対距離が最短でありかつ第1代表距離との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群を生成する処理とを排他的に実行する第2分割領域群生成部と、を備え、第1代表距離導出部は、第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、第1代表距離を導出する対象範囲を、第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする。
【0014】
第1代表距離導出部は、第2分割領域群が生成された第1分割領域群毎に独立して、対象範囲をそれぞれの鉛直範囲に制限してもよい。
【0015】
第1代表距離導出部は、鉛直範囲内の相対距離の平均値、鉛直範囲内の相対距離の中央値、または、鉛直範囲内で最短となる相対距離のいずれかを第1代表距離としてもよい。
【0016】
第2分割領域群生成部は、鉛直範囲を所定範囲拡張して設定してもよい。
【0017】
第2分割領域群生成部は、鉛直範囲を第1分割領域群の下端まで拡張して設定してもよい。
【0018】
第2分割領域群生成部は、第1代表距離が第2閾値以上の場合、鉛直範囲を更新しないとしてもよい。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の車外監視方法は、検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得し、検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、位置情報に基づいて第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出し、第1代表距離に基づき第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成し、第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、相対距離が第1代表距離に近接する第2分割領域をグループ化して第2分割領域群を生成し、第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、第1代表距離を導出する対象範囲を、第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の他の車外監視方法は、検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得し、検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、位置情報に基づいて第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出し、第1代表距離に基づき第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成し、第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、位置情報に基づいて第2分割領域毎の距離分布のピークに相当する第2代表距離を導出し、第2代表距離に基づき第2分割領域をグループ化し、相対距離が最短でありかつ第1代表距離との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群を生成し、第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、第1代表距離を導出する対象範囲を、第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、分割領域内で距離分布のピーク候補となる相対距離が複数ある場合においても、所望する相対距離を特定し、立体物を正しく認識すると共に、検出範囲を制限することで処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車外監視システムの接続関係を示したブロック図である。
【図2】距離画像を説明するための説明図である。
【図3】第1の実施形態における車外監視装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図4】位置情報取得部による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。
【図5】第1分割領域と第1代表距離とを説明するための説明図である。
【図6】第1分割領域群を説明するための説明図である。
【図7】第2分割領域と第2分割領域群を説明するための説明図である。
【図8】第2分割領域群を生成した後の第1代表距離導出部の動作を説明するための説明図である。
【図9】車外監視方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図10】第1代表距離導出処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】第1分割領域群生成処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】第2分割領域群生成処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】第2の実施形態における車外監視装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図14】第2分割領域と第2分割領域群を説明するための説明図である。
【図15】第2分割領域群生成処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
(車外監視システム100)
図1は、車外監視システム100の接続関係を示したブロック図である。車外監視システム100は、車両1内に設けられた、複数(本実施形態では2つ)の撮像装置110と、画像処理装置120と、車外監視装置130と、車外制御装置140とを含んで構成される。
【0025】
撮像装置110は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成される。また、撮像装置110は、車両1の進行方向側において2つの撮像装置110それぞれの光軸が略平行になるように、略水平方向に離隔して配置される。撮像装置110は、車両1の前方の検出領域に存在する立体物を撮像した画像データを、例えば1/60秒毎(60fps)に連続して生成する。以下の実施形態における各機能部は、このような画像データの更新を契機として各処理を遂行する。
【0026】
画像処理装置120は、2つの撮像装置110それぞれから画像データを取得し、2つの画像データに基づいて、画像中の任意のブロック(所定数の画素を集めたもの)の視差、および、任意のブロックの画面中の位置を示す画面位置を含む視差情報を導出する。画像処理装置120は、一方の画像データから任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを他方の画像データから検索する、所謂パターンマッチングを用いて視差を導き出す。水平は画面横方向を示し実空間上の水平に相当し、垂直は画面縦方向を示し実空間上の鉛直方向に相当する。
【0027】
このパターンマッチングとしては、2つの画像データ間において、任意の画像位置を示すブロック単位で輝度値(Y色差信号)を比較することが考えられる。例えば、輝度値の差分をとるSAD(Sum of Absolute Difference)、差分を2乗して用いるSSD(Sum of Squared intensity Difference)や、各画素の輝度値から平均値を引いた分散値の類似度をとるNCC(Normalized Cross Correlation)等の手法がある。画像処理装置120は、このようなブロック単位の視差導出処理を検出領域(例えば600画素×200画素)に映し出されている全てのブロックについて行う。ここでは、ブロックを4画素×4画素としているが、ブロック内の画素数は任意に設定することができる。
【0028】
ただし、画像処理装置120では、検出分解能単位であるブロック毎に視差を導出することはできるが、そのブロックがどのような立体物の一部であるかを認識できない。したがって、視差情報は、立体物単位ではなく、検出領域における検出分解能単位で独立して導出されることとなる。ここでは、このようにして導出された視差情報を画像データに対応付けた画像を距離画像という。
【0029】
図2は、距離画像を説明するための説明図である。例えば、2つの撮像装置110を通じ、検出領域122について図2(a)のような撮像画像(画像データ)124が生成されたとする。ただし、ここでは、理解を容易にするため、2つの画像データの一方のみを模式的に示し、アスペクト比を約2:1として説明している。画像処理装置120は、このような撮像画像124からブロック毎の視差を求め、図2(b)のような距離画像126を形成する。距離画像126における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
【0030】
視差は、画像のエッジ部分(隣り合う画素間で明暗の差分が大きい部分)で特定され易いので、距離画像126において黒のドットが付されている、視差が導出されたブロックは、元の撮像画像124においてもエッジとなっていることが多い。したがって、図2(a)に示す元の撮像画像124と図2(b)に示す距離画像126とは似たものとなる。
【0031】
車外監視装置130は、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報(距離画像126)を、所謂ステレオ法を用いて、相対距離を含む三次元の位置情報に変換し、車両1外の道路形状や立体物を特定する。ここで、ステレオ法は、三角測量法を用いることで、立体物の視差からその立体物の撮像装置110に対する相対距離を導出する方法である。かかる車外監視装置130に関しては、後ほど詳述する。
【0032】
車外制御装置140は、車外監視装置130で特定された立体物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ制御を実行する。具体的に、車外制御装置140は、操舵の角度を検出する舵角センサ142や車両1の速度を検出する車速センサ144等を通じて現在の車両1の走行状態を取得し、アクチュエータ146を制御して先行車両との車間距離を安全な距離に保つ。また、車外制御装置140は、立体物との衝突が想定される場合、運転者の前方に設置されたディスプレイ148にその旨警告表示(報知)を行うと共に、アクチュエータ146を制御して車両1を自動的に制動する。かかる車外制御装置140は、車外監視装置130と一体的に形成することもできる。
【0033】
(車外監視装置130)
図3は、車外監視装置130の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図3に示すように、車外監視装置130は、I/F部150と、データ保持部152と、中央制御部154とを含んで構成される。
【0034】
I/F部150は、画像処理装置120や車外制御装置140との双方向の情報交換を行うためのインターフェースである。データ保持部152は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、画像処理装置120から受信した視差情報(距離画像126)や、以下に示す各機能部の処理に必要な様々な情報を一時的に保持する。
【0035】
中央制御部154は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、システムバス156を通じて、I/F部150やデータ保持部152を制御する。また、本実施形態において、中央制御部154は、位置情報取得部160、第1代表距離導出部162、第1分割領域群生成部164、第2分割領域群生成部166としても機能する。
【0036】
位置情報取得部160は、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報を、ステレオ法を用いて、相対距離を含む三次元の位置情報に変換する。
【0037】
図4は、位置情報取得部160による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。位置情報取得部160は、まず、距離画像126を図4の如く画素単位の座標系として認識する。ここでは、図4中、左下隅を原点(0,0)とし、横方向をi座標軸、縦方向をj座標軸とする。したがって、視差をdpとする距離画像126上のブロック(ドット)は、画素位置i、jと視差dpによって(i,j,dp)のように表すことができる。
【0038】
本実施形態における実空間上の三次元座標系を、車両1を中心とした相対座標系で考える。ここでは、車両1の進行方向右側方をX軸の正方向、車両1の上方をY軸の正方向、車両1の進行方向(前方)をZ軸の正方向、2つの撮像装置110の中央を通る鉛直線と道路面との交点を原点(0,0,0)とする。このとき、道路を平面と仮定すると、道路面がX−Z平面(Y=0)と一致することとなる。位置情報取得部160は、以下の(数式1)〜(数式3)によって距離画像126上のブロック(i,j,dp)を、実空間上の三次元の点(x,y,z)に座標変換する。
x=CD/2+z・PW・(i−IV) …(数式1)
y=CH+z・PW・(j−JV) …(数式2)
z=KS/dp …(数式3)
ここで、CDは撮像装置110同士の間隔(基線長)であり、PWは1画素当たりの視野角であり、CHは撮像装置110の道路面からの配置高さであり、IV、JVは車両1の真正面における無限遠点の画像上の座標(画素)であり、KSは距離係数(KS=CD/PW)である。
【0039】
続いて、位置情報取得部160は、変換した位置情報を利用して実空間上における道路200上の白線202だけを分離して抽出し、データ保持部152に予め保持されている道路モデルのパラメータを実際の道路形状と合致するよう修正して道路形状を認識する。
【0040】
上記道路モデルは、道路200上の自車線(検出端まで)を、予め定められた間隔で複数の区間に分け、区間毎に左右の白線を3次元の直線式で近似して放射状に連結したものである。位置情報取得部160は、かかる道路モデルを用いて、実空間上の座標系における水平方向の直線式のパラメータa、b、および、鉛直方向の直線式のパラメータc、dを求め、以下の数式4に示す水平方向の直線式や数式5に示す鉛直方向の直線式を得る。
x=a・z+b …(数式4)
y=c・z+d …(数式5)
【0041】
第1代表距離導出部162は、まず、検出領域122を、水平方向に対して複数の第1分割領域に分割する。続いて、第1代表距離導出部162は、道路表面より上に位置するブロックを対象に、位置情報に基づいて第1分割領域毎に、複数区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離を積算してヒストグラムを生成する。そして、第1代表距離導出部162は、積算した距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出する。ここで、ピークに相当するとは、ピーク値またはピーク近傍で任意の条件を満たす値をいう。
【0042】
図5は、第1分割領域210と第1代表距離214とを説明するための説明図である。図4に示したような、距離画像126を水平方向に複数分割すると、第1分割領域210は図5(a)のような短冊形状になる。このような短冊形状の第1分割領域210は、本来、例えば、水平幅4画素のものが150個配列して成るが、ここでは、説明の便宜上、検出領域122を20等分している。
【0043】
続いて、第1代表距離導出部162は、各第1分割領域210において、ブロック毎の相対距離を参照し、ヒストグラム(図5(b)中、横長の四角(バー)で示す)を作成すると、図5(b)のような距離分布212が得られる。ここで、縦方向は、車両1に対する相対距離を、横方向は区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離の個数を示している。ただし、図5(b)は計算を行う上での仮想的な画面であり、実際には視覚的な画面の生成を伴わない。そして、第1代表距離導出部162は、このようにして導出された距離分布212を参照し、ピークに相当する相対距離である第1代表距離(図5(b)、黒で塗りつぶした四角で示す)214を特定する。
【0044】
第1分割領域群生成部164は、隣接する第1分割領域210同士の第1代表距離214を順次比較し、第1代表距離214が近接する(例えば、1m以内に位置する)第1分割領域210をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成する。このとき、3以上の第1分割領域210で第1代表距離214が近接していた場合にも、連続する全ての第1分割領域210を第1分割領域群として纏める。
【0045】
図6は、第1分割領域群222を説明するための説明図である。第1分割領域群生成部164は、第1分割領域210同士を比較し、図6に示すように第1代表距離214をグループ化する(グループ化後の仮想的なグループを220で示す)。かかるグループ化によって、第1分割領域群生成部164は、道路表面より上方に位置する立体物を特定することができる。また、第1分割領域群生成部164は、そのグループ化された立体物中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移に基づいて、先行車両の後部、側部、またはガードレール等の道路に沿った構造物等のいずれであるかを認識することが可能となる。
【0046】
このようなグループ化処理を通じ、例えば、図2(a)において撮像画像124中央に位置するトラックも、図6中ハッチングが施されたグループ220aのように、一体的な立体物としてその相対距離が特定される。しかし、トラック等は、キャビン部と荷台背面部といったように、短冊形状の第1分割領域210において相異なる複数の相対距離が検出される場合がある。
【0047】
このとき相対距離が最短となる荷台背面部がトラックの相対距離と判定されれば問題ないが、キャビン部の占有面積が大きかったり、視差が検出されたブロックの総数が多かったりすると、以下の事態が生じ得る。即ち、任意の第1分割領域210における距離分布のピークがキャビン部の相対距離となったり、キャビン部に対してグループ化が行われ破線で示したグループ220bが形成されたりすることがある。このとき、仮にトラックが荷台に荷物を積載していると、さらに異なる相対距離が認識される場合もある。
【0048】
本実施形態において、第1分割領域群生成部164は、そのグループ化した第1代表距離が含まれる第1分割領域210同士を関連付けて第1分割領域群222とし、後述する処理に引き継ぐ。
【0049】
第2分割領域群生成部166は、第1分割領域群222を、鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、第2分割領域内の相対距離が第1代表距離214に近接している第2分割領域同士をグループ化して第2分割領域群を生成する。
【0050】
図7は、第2分割領域230と第2分割領域群234を説明するための説明図である。ここでは、改めて図2(b)で示した距離画像126が用いられる。第2分割領域群生成部166は、第1分割領域群生成部164が生成した全ての第1分割領域群222それぞれを、鉛直方向に対して複数の第2分割領域230に分割する。ただし、ここでは、理解を容易にするため、検出領域122中央に位置するトラックが含まれる第1分割領域群222に着目して説明する。
【0051】
第1分割領域群222を鉛直方向に複数分割した第2分割領域230は、図7(a)のような水平方向に延びる短冊形状になる。このような短冊形状の第2分割領域230は、本来、例えば、垂直幅4画素のものが50個配列して成るが、ここでは、説明の便宜上、検出領域122を20等分している。
【0052】
続いて、第2分割領域群生成部166は、各第2分割領域230において、ブロック毎の相対距離を参照し、ヒストグラム(図7(b)中、縦長の四角で示す)を作成し、図7(b)のような距離分布232を得ることができる。ここで、横方向は、車両1に対する相対距離を、縦方向は区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離の個数を示している。ただし、図7(b)は計算を行う上での仮想的な画面であり、実際には視覚的な画面の生成を伴わない。
【0053】
第2分割領域群生成部166は、第1代表距離214に基づいて(図7(b)中、一点鎖線で示す)、その第1代表距離214との差分が所定距離以下である相対距離を有する第2分割領域230を全て抽出し、グループ化して第2分割領域群234とする。かかる第1代表距離214は、第1分割領域群生成部164が当該第1分割領域群222をグループ化する際に基準とした第1代表距離214である。
【0054】
図8は、第2分割領域群234が生成された後の第1代表距離導出部162の動作を説明するための説明図である。第1代表距離導出部162は、図5を用いて説明したように、距離画像126を水平方向に複数分割し、図5(a)のような短冊形状の第1分割領域210を得る。ここでは、理解を容易にするため、図8(a)に示すように、検出領域122中央に位置するトラックが含まれる第1分割領域群222に着目して説明する。
【0055】
第1代表距離導出部162は、各第1分割領域210において、ブロック毎の相対距離を参照し、ヒストグラムを作成する。本実施形態では、第2分割領域群生成部166が第2分割領域群234を生成した後においては、第2分割領域群234が生成された第1分割領域群222における、第1代表距離を導出する対象範囲を、特定された第2分割領域群234に相当する鉛直範囲に制限する。
【0056】
したがって、第1代表距離導出部162は、第1分割領域群222に関して、鉛直範囲のみを対象範囲とし、図8(b)のような距離分布212を得る。ここでは、第2分割領域群234に相当する鉛直範囲に制限して距離分布212を生成しているので、図5(b)では出現していた、荷台背面部以外の例えばキャビン部に対応する相対距離が出現しなくなる(図8(b)中、点線で示す)。このように、第1代表距離導出部162は、荷台背面部に対応する相対距離のみを抽出することができる。
【0057】
そして、第1代表距離導出部162は、このように鉛直範囲が制限された状態で導出された距離分布212を参照し、ピークに相当する相対距離である第1代表距離(図8(b)中、黒で塗りつぶした四角で示す)214を特定する。こうして、以後の処理では、第1代表距離導出部162は、監視対象となる先行車両の最後尾、即ち、トラックの荷台背面部の相対距離のみを第1代表距離として確実に認識することができる。また、第1分割領域群生成部164は、それらをグループ化して、適切に第1分割領域群222を生成することが可能となる。
【0058】
また、ここでは、検出領域122中央に位置するトラックが含まれる第1分割領域群222に着目して説明したが、他の立体物を認識した第1分割領域群222に関しても同様の処理が可能なのはいうまでもない。このとき、第1代表距離導出部162は、第2分割領域群234が生成された第1分割領域群222毎に独立して、対象範囲をそれぞれの鉛直範囲に制限し、第1代表距離214を導出する。即ち、第1分割領域群222毎に独立して鉛直範囲が設けられ、それぞれ個別に第1代表距離214が求められることとなる。
【0059】
(車外監視方法)
以下、車外監視装置130の具体的な処理を図9〜図12のフローチャートに基づいて説明する。図9は、画像処理装置120から視差情報が送信された場合の割込処理に関する全体的な流れを示し、図10〜図12は、その中の個別のサブルーチンを示している。
【0060】
図9に示すように、距離画像126の受信を契機に当該車外監視方法による割込が発生すると、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報に基づき、第1分割領域210毎に第1代表距離214が導出される(S300)。次に、立体物単位で水平方向にグループ化された第1分割領域群222が生成される(S302)。そして、第1分割領域群222内で、さらに鉛直方向の第2分割領域230について相対距離が判定され、第2分割領域群234が生成される(S304)。こうして生成された第2分割領域群234は、次回の第1分割領域群222の生成時において、第1代表距離214を導出する対象範囲を制限するための鉛直範囲として用いられる。
【0061】
(第1代表距離導出処理S300)
図10を参照すると、位置情報取得部160は、道路形状パラメータを読み込み(S350)、検出領域122を、水平方向に対して例えば4画素単位で150個の第1分割領域210に分割する(S352)。次に、位置情報取得部160は、分割した150個の第1分割領域210から1の第1分割領域210を、例えば水平方向左側から順次抽出して、その第1分割領域210内に存在する全ての位置情報を設定する(S354)。
【0062】
ここで、前回の割込処理において、鉛直範囲が設定されたか否か判定され(S356)、鉛直範囲が設定されていなければ(S356におけるNO)、次の位置情報抽出処理S360に処理を移す。一方、鉛直範囲が設定されていれば(S356におけるYES)、位置情報取得部160は、第1分割領域210内の位置情報から、設定された鉛直範囲に存在する位置情報のみを抽出して、位置情報設定処理S354で設定した位置情報を更新する(S358)。
【0063】
位置情報取得部160は、設定された複数の位置情報から1の位置情報を順次抽出し(S360)、数式1〜3を用いて、距離画像126上のブロック(i,j,dp)を実空間上の点(x,y,z)に座標変換する(S362)。そして、数式4、5を用いて、実空間上の点の座標zにおける道路表面の高さyrを算出し(S364)、実空間上の点の座標yが道路表面の高さyr以上となるブロックであれば立体物として有効な相対距離zとみなす(S366)。第1代表距離導出部162は、所定距離間隔で区分したヒストグラムにその相対距離を積算(投票)する(S368)。ここで、実空間上の点の座標yが道路表面の高さyr以上であったとしても、道路表面から高さ0.1m以下のブロックは、道路上の白線や汚れ、影等であるとみなして処理対象から除外する。また、自己の車両1の高さより上に位置するブロックも、歩道橋や標識等であるとみなして処理対象から除外する。
【0064】
位置情報取得部160は、設定された複数の位置情報全てに関して、当該ヒストグラムへの積算処理を遂行したか判定する(S370)。ここで、全てが完了していなければ(S370におけるNO)、ヒストグラムへの積算処理を遂行していない位置情報抽出処理S360からを繰り返す。
【0065】
第1代表距離導出部162は、このようにして生成されたヒストグラムを参照し、ヒストグラムの度数(相対距離の個数)が所定の閾値(適宜設定される)以上となる区間が存在したら当該第1分割領域210には立体物が存在すると判定する。そして、第1代表距離導出部162は、ヒストグラムの度数が所定の閾値以上、かつ、最大値となる区間に対応する相対距離を、第1代表距離214とする(S372)。ここでは単純にヒストグラムの最大値を第1代表距離214としているが、相対距離が短いブロックほど、優先的に第1代表距離214として抽出されるように、上記所定の閾値を相対距離に応じて異なるように設定してもよい。
【0066】
そして、第1代表距離導出部162は、複数の第1分割領域210全てに関して、当該第1代表距離214の導出処理を遂行したか判定する(S374)。ここで、全てが完了していると判定されなければ(S374におけるNO)、新たな第1分割領域に関して位置情報の設定処理S354からを繰り返す。一方、第1代表距離214の導出処理が全て完了していれば(S374におけるYES)、当該第1代表距離導出処理S300を終了する。
【0067】
ここで、画像処理装置120から受信された位置情報には、誤検出された位置情報も含まれているおそれがあるが、そのような位置情報はヒストグラム上で大きな度数とならない。ここでは、度数が所定の閾値以上となる場合にはじめて立体物が存在すると判定することとし、誤検出された位置情報の影響を最小限に抑えることができる。
【0068】
(第1分割領域群生成処理S302)
図11を参照すると、第1分割領域群生成部164は、複数の第1分割領域210から任意の第1分割領域210を、例えば水平方向左側から順次特定し、その任意の第1分割領域210の水平方向右側に隣接する第1分割領域210も特定する(S400)。そして、第1分割領域群生成部164は、両第1分割領域210に第1代表距離214が存在するか否か判定する(S402)。ここで、両第1分割領域210に第1代表距離214が存在していなければ(S402におけるNO)、次の第1分割領域210に関して第1分割領域特定処理S400からを繰り返す。一方、両第1分割領域210に第1代表距離214が存在していれば(S402におけるYES)、両第1分割領域210の第1代表距離214同士を比較する(S404)。
【0069】
ここで、両第1代表距離214の差分が所定の閾値(同一の立体物とみなせる値)以下であれば、両第1代表距離214は近接しているとみなされ、第1分割領域群生成部164は、第1分割領域210同士をグループ化する。そして、第1分割領域群生成部164は、そのグループ化した情報を車外制御装置140に送信すると共に、グループ化された第1代表距離214を有する第1分割領域210同士を第1分割領域群222として設定する(S406)。このとき、一方の第1分割領域210が既に第1分割領域群222として設定されている場合、他方の第1分割領域210は、その第1分割領域群222に統合される。
【0070】
かかるグループ化においては、さらに、複数のグループに対して相互の位置関係が判定される。例えば、同種類の立体物のグループ間で、端点の位置が接近し、かつ、立体物中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移がほぼ等しい(連続する)場合には、同一立体物の同一の面であると判断されて、それらのグループが一つのグループに統合される。このとき立体物中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移は、ハフ変換あるいは最小二乗法による近似直線によって特定することができる。また、先行車両であれば、z座標に対する相対移動速度が等しいことによっても複数のグループを一つのグループに統合することができる。
【0071】
そして、第1分割領域群生成部164は、複数の第1分割領域210全てに関して、当該第1分割領域群222の生成処理を遂行したか判定する(S408)。ここで、全てが完了していなければ(S408におけるNO)、新たな第1分割領域210に関して特定処理S400からを繰り返す。一方、第1分割領域群222の生成処理が全て完了していれば(S408におけるYES)、当該第1分割領域群生成処理S302を終了する。
【0072】
(第2分割領域群生成処理S304)
図12を参照すると、第2分割領域群生成部166は、設定された複数の第1分割領域群222から1の第1分割領域群222を、例えば、水平方向左側から順次抽出する(S450)。次に、抽出した第1分割領域群222を、鉛直方向に対して例えば垂直幅4画素単位で50個の第2分割領域230に分割する(S452)。第2分割領域群生成部166は、分割した50個の第2分割領域230から1の第2分割領域230を、例えば、垂直方向下側から順次抽出して、その第2分割領域230内に存在する全ての位置情報を設定する(S454)。ただし、上記鉛直範囲判定処理S356において鉛直範囲が設定されている場合、第2分割領域群生成部166は、その鉛直範囲のみに関して第2分割領域230に分割することとなる。
【0073】
第2分割領域群生成部166は、設定された複数の位置情報から1の位置情報を順次抽出し(S456)、ブロック毎に、数式4、5を用いて、実空間上の点の座標zにおける道路表面の高さyrを算出する(S458)。そして、実空間上の点の座標yが道路表面の高さyr以上となるブロックであれば立体物として有効な相対距離zとみなし(S460)、第2分割領域群生成部166は、所定距離間隔で区分したヒストグラムにその相対距離を積算(投票)する(S462)。ここで、実空間上の点の座標yが道路表面の高さyr以上であったとしても、図10で説明したヒストグラム同様、道路表面から高さ0.1m以下のブロックは、道路上の白線や汚れ、影等であるとみなして処理対象から除外する。また、自己の車両1の高さより上に位置するブロックも、歩道橋や標識等であるとみなして処理対象から除外する。
【0074】
第2分割領域群生成部166は、設定された複数の位置情報全てに関して、当該ヒストグラムへの積算処理を遂行したか判定する(S464)。ここで、全てが完了していなければ(S464におけるNO)、ヒストグラムへの積算処理を遂行していない位置情報の抽出処理S456からを繰り返す。一方、全てが完了していれば(S464におけるYES)、第2分割領域群生成部166は、生成されたヒストグラムを参照し、第1分割領域群生成部164が当該第1分割領域群222をグループ化する際に基準とした第1代表距離214との差分を導出する。第2分割領域群生成部166は、この差分が所定閾値(同一の立体物における同一の部位とみなせる値)以下である相対距離群を特定する。そして、その第1代表距離214と近接する相対距離群(ヒストグラムの面積に相当)が当該第2分割領域230中の相対距離の総数に対して所定比率(例えば50%)含まれるか判定する。所定比率含まれる場合、第2分割領域群生成部166は、その相対距離群のピークに相当する第2代表距離をグループ化候補として抽出する(S466)。このように相対距離群が所定比率以上である場合にのみグループ化候補とすることで、第1代表距離と等しいとみなすことができる立体物を確実に抽出することが可能となる。
【0075】
そして、第2分割領域群生成部166は、設定された複数の第2分割領域230全てに関して、当該第2代表距離抽出を遂行したか判定する(S468)。ここで、全てが完了していなければ(S468におけるNO)、位置情報設定処理S454からを繰り返す。一方、全てが完了していれば(S468におけるYES)、当該第1分割領域群222をグループ化する際に基準とした第1代表距離214が所定の第2閾値未満であるか否か判定する(S470)。ここで、第1代表距離が第2閾値未満であれば(S470におけるYES)、第2分割領域群生成処理S472に処理を移す。
【0076】
第2分割領域群生成部166は、第2代表距離抽出処理S466において第2代表距離が抽出された第2分割領域230をグループ化して、第2分割領域群234を生成する(S472)。かかる第2分割領域群234は、第1代表距離214を導出する対象範囲を制限するための鉛直範囲となる。このとき、第2代表距離が抽出された第2分割領域230の間に、第2代表距離が抽出されなかった第2分割領域230が所定の閾値(同一の立体物における同一の部位ではないと判定できる値)以上含まれる場合がある。この場合、第2分割領域群生成部166は、その第2代表距離が抽出されなかった第2分割領域230の鉛直方向下方に位置する第2代表距離が抽出された第2分割領域230のみをグループ化する。こうすることで、本来抽出すべき立体物に絞って第2分割領域群234を生成することができる。
【0077】
また、本実施形態において、第2分割領域群生成部166は、一旦生成された鉛直範囲を、鉛直方向上下に所定範囲拡張して設定し直す。先行車両等の立体物は、自己の車両1に対する相対距離に応じて、例えば、監視対象が自車線の先行車両であった場合、その相対距離が長くなるほど、鉛直範囲は、検出領域122の中央(無限遠点)に近くなると共にその範囲は小さくなる。ここで、立体物の今回の位置に基づいて次回の位置を厳密に制限してしまうと、立体物の検出領域122内の位置の変化に対応できないおそれがある。そこで、鉛直範囲を上下に拡張して鉛直範囲を設定し直すことで、自己の車両1との位置関係により立体物の検出範囲が変化した場合においても、その変化した部位が適切に抽出可能となる。また、鉛直範囲を水平方向左右に拡張することも可能である。
【0078】
また、本実施形態において、第2分割領域群生成部166は、一旦生成された鉛直範囲を、鉛直方向下方における第1分割領域群222の下端まで拡張して設定し直すとしてもよい。したがって、鉛直範囲は、第2分割領域群234の上端から第1分割領域群222の下端までとなる。上述したように、先行車両等の立体物は、自己の車両1に対する相対距離に応じて、例えば、監視対象が自車線の先行車両であった場合、その相対距離が長くなるほど、先行車両の検出位置が検出領域122の中央(無限遠点)に近くなる。換言すれば、現在認識している先行車両より上方に位置する立体物は、先行車両より自車両1に対する相対距離が長く、下方に位置する立体物は、先行車両より相対距離が短いこととなる。本実施形態では、相対距離の短い立体物の抽出を目的としているので、直前の先行車両もさることながら、直前の先行車両よりさらに相対距離が短い立体物、例えば、自車両1と先行車両1との間に割り込んできた車両等を抽出することが望ましい。そこで、鉛直範囲を第1分割領域群222の下端まで拡張して鉛直範囲を設定し直すことで、監視対象より手前に立体物が生じたとしても、その立体物を適切に抽出可能となる。
【0079】
さらに、第2分割領域群生成部166は、第1分割領域群生成部164が当該第1分割領域群222をグループ化する際に基準とした第1代表距離214を記憶しておく。そして、前回導出された第1代表距離214と今回導出された第1代表距離が所定の閾値(同一の立体物がフレーム間で移動しうる範囲を超える値)以上離隔している場合、鉛直範囲の設定をキャンセルする。これは、所定の閾値以上離隔していると、前回検出した立体物と自己の車両1の間に新たな立体物が侵入してきたか、または、前回検出した立体物が検出不能になったとみなせるからである。すると第1代表距離導出部162は、鉛直範囲に制限されず、第1分割領域群222全てに渡って第1代表距離214の導出処理を遂行することとなる。
【0080】
また、第1代表距離が第2閾値以上であれば(S470におけるNO)、第2分割領域群生成部166は、第2分割領域群234を生成せず、前回生成された第2分割領域群234を今回の第2分割領域群234として、前回値を維持する(更新しない)。これは、遠方に位置する立体物に関しては、検出分解能や受光可能な輝度との関係で、相対距離の検出精度が劣化する場合あり、そのような検出精度が劣化した相対距離を用いるより、前回値を用いた方が本実施形態の目的を達成できるからである。
【0081】
第2分割領域群生成部166は、設定された複数の第1分割領域群222全てに関して、当該第2分割領域群の生成処理を遂行したか判定する(S476)。ここで、全てが完了していなければ(S476におけるNO)、第1分割領域群222の抽出処理S450からを繰り返す。一方、全てが完了していれば(S476におけるYES)。当該第2分割領域群生成処理S304を終了する。
【0082】
以上、説明したように、本実施形態の車外監視装置130によれば、距離分布のピーク候補となり得る相対距離が複数ある場合においても、鉛直範囲に制限して第1代表距離214を導出することで、車両1の直前に位置する立体物を正しく認識することができる。
【0083】
また、第1代表距離導出部162の第1代表距離214を導出する対象範囲が第1分割領域群222全てではなく、上記鉛直範囲に制限されることで、制限された分の処理負荷を軽減できる。また、それに伴って、車外監視システム100全体の処理速度を高め、システム全体の応答性を向上すると共に、高い安全性を確保することが可能となる。
【0084】
さらに、第1代表距離導出部162は、第1分割領域群222毎に独立して、対象範囲をそれぞれの鉛直範囲に制限しているので、処理負荷を軽減しつつ、効率的かつ適切に、車両1の直前に位置する立体物を認識することが可能となる。
【0085】
また、第1代表距離導出部162は、同一のフレーム内で鉛直範囲に制限して第1代表距離214を再度導出することもできるが、鉛直範囲を次のフレームの第1代表距離214の導出に反映するとしてもよい。フレームは、例えば1/60秒毎に切り換わるので、次のフレームに反映するとしても、計算結果にはほとんど影響を及ぼすことなく、第1代表距離の導出処理が1つのフレーム間に1回で済むので、システム全体の応答性をさらに向上することが可能となる。
【0086】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、第1分割領域群生成部164が第1分割領域群222をグループ化する際に基準とした第1代表距離214に近接する相対距離を有する第2分割領域230をグループ化して第2分割領域群234を導出した。かかる構成によると、処理負荷を軽くできるメリットがある。しかし、仮に第1代表距離214が所望する相対距離、即ち、車両1の直前に位置する立体物の相対距離となっていない場合、適切な第1代表距離214が導出されるまで、数フレーム分の時間を費やすおそれがある。
【0087】
そこで、第2の実施形態においては、多少処理負荷は重くなるものの、車両1の直前に位置する立体物の相対距離を第1代表距離214として適切に導出可能な技術について説明する。
【0088】
(車外監視装置530)
図13は、第2の実施形態における車外監視装置530の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図13に示すように、車外監視装置530は、I/F部150と、データ保持部152と、中央制御部154とを含んで構成される。また、中央制御部154は、位置情報取得部160、第1代表距離導出部162、第1分割領域群生成部164、第2代表距離導出部532、第2分割領域群生成部534としても機能する。第1の実施形態における構成要素として既に述べたI/F部150と、データ保持部152と、中央制御部154と、位置情報取得部160と、第1代表距離導出部162と、第1分割領域群生成部164とは、実質的に機能が同一なので重複説明を省略する。ここでは、構成が相違する第2代表距離導出部532、第2分割領域群生成部534を主に説明する。
【0089】
第2代表距離導出部532は、第1分割領域群生成部164が生成した第1分割領域群222を、鉛直方向に対して複数の第2分割領域230に分割し、位置情報に基づいて第2分割領域230毎の距離分布のピークに相当する第2代表距離を導出する。
【0090】
第2分割領域群生成部534は、第2代表距離導出部532が導出した第2代表距離に基づき第2分割領域230をグループ化し、相対距離が最短でありかつ第1代表距離214との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群234を生成する。
【0091】
図14は、第2分割領域230と第2分割領域群234を説明するための説明図である。第2分割領域群生成部534は、第1分割領域群生成部164が生成した全ての第1分割領域群222それぞれを、鉛直方向に対して複数の第2分割領域230に分割する。ただし、ここでも、理解を容易にするため、検出領域122中央に位置するトラックが含まれる第1分割領域群222に着目して説明する。
【0092】
第2代表距離導出部532は、各第2分割領域230において、ブロック毎の相対距離を参照し、ヒストグラム(図14(b)中、縦長の四角で示す)を作成し、図7(b)同様に、図14(b)のような距離分布232を得ることができる。ここで、横方向は、車両1に対する相対距離を、縦方向は区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離の個数を示している。そして、第2代表距離導出部532は、このようにして導出された距離分布232を参照し、ピークに相当する相対距離である第2代表距離(図14(b)、黒で塗りつぶした四角で示す)540を特定する。
【0093】
第2分割領域群生成部534は、隣接する第2分割領域230同士の第2代表距離540を順次比較し、第2代表距離540が近接する(例えば、1m以内に位置する)第2分割領域230をグループ化して1または複数の第2分割領域群候補542を生成する。このとき、3以上の第2分割領域230で第2代表距離540が近接していた場合にも、連続する全ての第2分割領域230を第2分割領域群候補542として纏める。続いて、第2分割領域群生成部534は、第2分割領域群候補542のうち、相対距離が最短でありかつ第1代表距離214との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群候補542を抽出して、それを第2分割領域群234とする。ここで、第1閾値は、第1代表距離214を有する立体物と同一の立体物であると判定可能な値である。
【0094】
以下、車外監視装置530の具体的な処理を説明する。ただし、車外監視方法の全体的な流れ(図9)、第1代表距離導出処理S300(図10)、および、第1分割領域群生成処理S302(図11)は、その処理が実質的に等しいので、その詳細な説明を省略する。ここでは、図15のフローチャートを用いて、第2分割領域群生成処理S304を説明するが、実質的に等しい処理については図12と同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0095】
(第2分割領域群生成処理S304)
図15を参照すると、第1分割領域群222が抽出され(S450)、さらに垂直方向に対して分割された第2分割領域230のヒストグラムが生成される(S462)。第2代表距離導出部532は、生成されたヒストグラムを参照し、ヒストグラムの度数(相対距離の個数)が所定の閾値(適宜設定される)以上、かつ、最大値となる区間に対応する相対距離を第2代表距離とする(S550)。ここでは単純にヒストグラムの最大値を第2代表距離としているが、相対距離が短い、即ち、近くに位置することが想定されるブロックほど、優先的に第2代表距離として抽出されるように、上記所定の閾値を相対距離に応じて異なるように設定してもよい。
【0096】
このようにして第2代表距離540が全ての第2分割領域230について導出され(S468におけるYES)、第1代表距離214が第2閾値未満であると判定されれば(S470におけるYES)、第2分割領域特定処理S552に処理を移す。
【0097】
第2分割領域群生成部534は、複数の第2分割領域230から任意の第2分割領域230を、例えば垂直方向下側から順次特定し、その任意の第2分割領域230の垂直方向上側に隣接する第2分割領域230も特定する(S552)。そして、第2分割領域群生成部534は、両第2分割領域230に第2代表距離540が存在するか否か判定する(S554)。ここで、両第2分割領域230に第2代表距離540が存在していなければ(S554におけるNO)、次の第2分割領域230に関して第2分割領域特定処理S552からを繰り返す。一方、両第2分割領域230に第2代表距離540が存在していれば(S554におけるYES)、両第2分割領域230の第2代表距離540同士を比較する(S556)。
【0098】
ここで、第2代表距離540の差分が所定の閾値(同一の立体物とみなせる値)以下であれば、両第2代表距離540は近接しているとみなされる。第2分割領域群生成部534は、差分が所定の閾値以下となる第1分割領域210同士をグループ化し、グループ化された第2代表距離540を有する第2分割領域230同士を第2分割領域群候補542として設定する(S558)。このとき、一方の第2分割領域230が既に第2分割領域群候補542として設定されている場合、他方の第2分割領域230は、その第2分割領域群候補542に統合される。
【0099】
かかるグループ化においては、さらに、複数のグループに対して相互の位置関係が判定される。例えば、同種類の立体物のグループ間で、端点の位置が接近し、かつ、立体物中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移がほぼ等しい(連続する)場合には、同一立体物の同一の面であると判断されて、それらのグループが一つのグループに統合される。このとき立体物中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移は、ハフ変換あるいは最小二乗法による近似直線によって特定することができる。また、先行車両であれば、z座標に対する相対移動速度が等しいことによっても複数のグループを一つのグループに統合することができる。
【0100】
そして、第2分割領域群生成部534は、複数の第2分割領域230全てに関して、当該第2分割領域群候補542の生成処理を遂行したか判定する(S560)。ここで、全てが完了していなければ(S560におけるNO)、新たな第2分割領域230に関して特定処理S552からを繰り返す。一方、全て完了していれば(S560におけるYES)、全ての第2分割領域群候補542のうち、相対距離が最短でありかつ第1代表距離214との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群候補542を抽出して第2分割領域群234とする(S562)。
【0101】
最後に、第2分割領域群生成部534は、設定された複数の第1分割領域群222全てに関して、当該第2分割領域群の生成処理を遂行したか判定する(S476)。ここで、全てが完了していれば(S476におけるYES)、当該第2分割領域群生成処理S304を終了する。
【0102】
以上、説明したように、車外監視装置530によれば、距離分布のピーク候補となり得る相対距離が複数ある場合においても、鉛直範囲に制限して第1代表距離214を導出することで、車両1の直前に位置する立体物を正しく認識することができる。さらに、第2の実施形態においては、第2分割領域群234を生成する際、毎回、自己の車両1の直前に位置する立体物を特定するので、より正確に立体物を認識することが可能となる。また、第1の実施形態と同様の構成に関しては、第2の実施形態においても同様の作用、効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0103】
また、コンピュータを、車外監視装置130、530として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0104】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0105】
上述した実施形態においては、第1の実施形態と第2の実施形態に分けてその構成を説明したが、両者を並行して排他的に動作させることもできる。例えば、通常は、第1の実施形態に沿って、第1代表距離214に基づき、第2分割領域群234を生成し、定期的に、第2の実施形態に沿って、第2代表距離540を求め、車両1の直前に位置する立体物を特定し、立体物の前後関係を校正するとしてもよい。
【0106】
上述したように、第1の実施形態に基づく第2分割領域群234の生成処理では、第1代表距離214を基準にすることで処理負荷を軽減でき、第2の実施形態に基づく第2分割領域群234の生成処理では、自車両1の直前に位置する立体物を適切に導出できる。そこで、第2の実施形態に基づく第2分割領域群234の生成処理を間欠的に実施することで自車両1と直前に位置する立体物との位置関係を正確に把握する。また、そこで得た位置関係に基づき、通常時は、第1の実施形態に基づく第2分割領域群234の生成処理によって、所定の立体物を抽出する。こうして、処理負荷を軽減しつつ、直前の立体物の検出精度を高めることが可能となる。
【0107】
また、上述した実施形態においては、立体物の三次元位置を複数の撮像装置110を用い画像データ間の視差に基づいて導出しているが、かかる場合に限られず、例えば、レーザレーダ測距装置等、既知の様々な距離測定装置を用いることができる。ここで、レーザレーダ測距装置は、検出領域122にレーザビームを投射し、このレーザビームが物体に当たって反射してくる光を受光し、この所要時間から物体までの距離を測定するものである。
【0108】
また、上述した実施形態では、位置情報取得部160が、画像処理装置120から視差情報を受けて三次元の位置情報を生成している例を挙げている。しかし、かかる場合に限られず、画像処理装置120において予め三次元の位置情報を生成し、位置情報取得部160は、その生成された三次元の位置情報を取得するとしてもよい。このようにして、機能分散を図り、車外監視装置130、530の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0109】
また、上述した実施形態においては、位置情報取得部160、第1代表距離導出部162、第1分割領域群生成部164、第2分割領域群生成部166、534、第2代表距離導出部532は中央制御部154によってソフトウェアで動作するように構成している。しかし、上記の機能部をハードウェアによって構成することも可能である。
【0110】
また、上述した実施形態において、第1代表距離導出部162は、第1分割領域210における相対距離の距離分布212におけるピーク値を第1代表距離214としている。しかし、本実施形態では、その対象範囲を鉛直範囲に制限することができることから、鉛直範囲内の相対距離の平均値、鉛直範囲内の相対距離の中央値、または、鉛直範囲内で最短となる相対距離のいずれかを第1代表距離とすることもできる。かかる構成により、容易に第1代表距離を導出できるので、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0111】
なお、本明細書の車外監視方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、車外に位置する立体物の自車両に対する距離分布に基づいて車外の状況を監視する車外監視装置および車外監視方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 …車両
110 …撮像装置
120 …画像処理装置
122 …検出領域
126 …距離画像
130、530 …車外監視装置
160 …位置情報取得部
162 …第1代表距離導出部
164 …第1分割領域群生成部
166、534 …第2分割領域群生成部
168 …鉛直範囲変更部
210 …第1分割領域
212、232 …距離分布
214 …第1代表距離
222 …第1分割領域群
230 …第2分割領域
234 …第2分割領域群
532 …第2代表距離導出部
540 …第2代表距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、前記位置情報に基づいて該第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出する第1代表距離導出部と、
前記第1代表距離に基づき前記第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成する第1分割領域群生成部と、
前記第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、前記相対距離が前記第1代表距離に近接する第2分割領域をグループ化して第2分割領域群を生成する第2分割領域群生成部と、
を備え、
前記第1代表距離導出部は、前記第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、前記第1代表距離を導出する対象範囲を、前記第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする車外監視装置。
【請求項2】
前記第2分割領域群生成部は、前記第1代表距離に近接する相対距離が前記第2分割領域中の相対距離の総数に対して所定比率含まれる場合に、該第2分割領域をグループ化の対象とすることを特徴とする請求項1に記載の車外監視装置。
【請求項3】
検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、前記位置情報に基づいて該第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出する第1代表距離導出部と、
前記第1代表距離に基づき前記第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成する第1分割領域群生成部と、
前記第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、前記位置情報に基づいて該第2分割領域毎の距離分布のピークに相当する第2代表距離を導出する第2代表距離導出部と、
前記第2代表距離に基づき第2分割領域をグループ化し、相対距離が最短でありかつ前記第1代表距離との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群を生成する第2分割領域群生成部と、
を備え、
前記第1代表距離導出部は、前記第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、前記第1代表距離を導出する対象範囲を、前記第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする車外監視装置。
【請求項4】
検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、前記位置情報に基づいて該第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出する第1代表距離導出部と、
前記第1代表距離に基づき前記第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成する第1分割領域群生成部と、
前記第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、前記相対距離が前記第1代表距離に近接する第2分割領域をグループ化して第2分割領域群を生成する処理と、該第2分割領域毎の距離分布のピークに相当する第2代表距離に基づき第2分割領域をグループ化し、相対距離が最短でありかつ前記第1代表距離との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群を生成する処理とを排他的に実行する第2分割領域群生成部と、
を備え、
前記第1代表距離導出部は、前記第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、前記第1代表距離を導出する対象範囲を、前記第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする車外監視装置。
【請求項5】
前記第1代表距離導出部は、前記第2分割領域群が生成された第1分割領域群毎に独立して、前記対象範囲をそれぞれの前記鉛直範囲に制限することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車外監視装置。
【請求項6】
前記第1代表距離導出部は、前記鉛直範囲内の相対距離の平均値、該鉛直範囲内の相対距離の中央値、または、該鉛直範囲内で最短となる相対距離のいずれかを前記第1代表距離とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車外監視装置。
【請求項7】
前記第2分割領域群生成部は、前記鉛直範囲を所定範囲拡張して設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車外監視装置。
【請求項8】
前記第2分割領域群生成部は、前記鉛直範囲を前記第1分割領域群の下端まで拡張して設定することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車外監視装置。
【請求項9】
前記第2分割領域群生成部は、前記第1代表距離が第2閾値以上の場合、鉛直範囲を更新しないことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の車外監視装置。
【請求項10】
検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得し、
前記検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、
前記位置情報に基づいて前記第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出し、
前記第1代表距離に基づき前記第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成し、
前記第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、前記相対距離が前記第1代表距離に近接する第2分割領域をグループ化して第2分割領域群を生成し、
前記第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、前記第1代表距離を導出する対象範囲を、前記第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする車外監視方法。
【請求項11】
検出領域内に存在する立体物の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得し、
前記検出領域を水平方向に対して複数の第1分割領域に分割し、
前記位置情報に基づいて前記第1分割領域毎の距離分布のピークに相当する第1代表距離を導出し、
前記第1代表距離に基づき前記第1分割領域をグループ化して1または複数の第1分割領域群を生成し、
前記第1分割領域群を鉛直方向に対して複数の第2分割領域に分割し、前記位置情報に基づいて該第2分割領域毎の距離分布のピークに相当する第2代表距離を導出し、
前記第2代表距離に基づき第2分割領域をグループ化し、相対距離が最短でありかつ前記第1代表距離との差分が第1閾値以下となる第2分割領域群を生成し、
前記第2分割領域群が生成された第1分割領域群における、前記第1代表距離を導出する対象範囲を、前記第2分割領域群に相当する鉛直範囲に制限することを特徴とする車外監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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