説明

車室内構造

【課題】後席乗員用の乗降口の幅を狭めつつ、シートを操作することなく第3列シートにアクセスできる車室内構造を提供する。
【解決手段】単一シートの第2列シート12の回りには前部前後方向通路R1、前部車幅方向通路R2と、側部通路R3、R4、中央車幅方向通路R5が形成され、また、第3列シート13の左右のシート18、19間に後部前後方向通路R6が形成されている。後席乗員用乗降口26から車室10内に乗り込んだ乗員は、シートの操作無しに前部中央シート17にアクセスでき、中央車幅方向通路R5を通って第3列シート13にアクセスでき、第3列シート13の左右のシート18、19間の後部前後方向通路R6を通って最後部中央シート20にアクセスできる。後席乗員用乗降口26の幅は側部通路R3、R4の前後方向長さと実質的に同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関し、より詳しくは車室内構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の形式としてワンボックスカーが周知である。ワンボックスカーは、比較的車高が高く、そして車室が車体後端まで延びているために、8人乗車というように多人数のシートを配設して様々なシートアレンジすることが可能であることからファミリー層の支持を得ているだけでなく、大型のシートを配設して4〜5人でゆったりとしたドライブを楽しむのに利用されている。
【0003】
ワンボックスカーは、フロントサイドドアを使って乗降する運転席及び助手席の第1列シートの後方に、第2列シート、第3列シートを含み、この第2列、第3列シートに着座する乗員用のリアサイドドアがフロントサイドドアの直ぐ後方に配設されている。
【0004】
特許文献1には、ワンボックスカーに関し、リアサイドドアを開放して車室に乗降する一般的な方法が開示されている。すなわち、特許文献1の図10に例示のとおり、リアサイドドアに隣接する第2列シートのシートバックを前倒しにした状態で、この第2列シートを前方にスライドさせることで、リアサイドドアから第3列シートにアクセスすることのできる通路を形成するのが一般的であり、また、リアサイドドアは、フロントサイドドアの直ぐ後方から第3列シートの近傍まで延びる比較的幅広いドアが採用されているのが一般的である。このことから、リアサイドドアで開閉される後席乗員用の乗降口の後端縁は、この乗降口から第3列シートに直接的にアクセスできるように第2列シートの後端よりも後方に配置されている。
【0005】
特許文献1は、この従来の方法では、第3列シートにアクセスするのに第2列シートを操作しなければならない煩雑さを解消するために、第3列シートの一部、すなわちリアサイドドア側のシートを折り畳み可能にすると共に第2列シートのリアサイド側のシートを車体後端部までスライド可能に構成して、比較的少人数でドライブするときには、第2列シートのリアサイド側シートを後方にスライドさせて、これを第3列シートの一部として利用可能にすることを提案している。
【特許文献1】特開2000−62502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が提案する方法によれば、確かに、予め第2列シートの一部のシートを後方にスライドさせて、このシートを第3列シートの一部として利用することで、後席乗員用の乗降口から第3列シートに通じる通路を形成することができるが、この通路を形成するために、予め第2列シートの一部を後方にスライドさせて第3列シートに組み込む準備が必要である。
【0007】
また、従来のワンボックスカーは、前述したように、後席乗員用の乗降口が車体前後方向に大きく広がった幅広の開口で構成されているため、車体剛性を確保するのが難しいという問題を有していた。
【0008】
本発明の目的は、後席乗員用の乗降口の幅を狭めつつ、シートを操作することなく後部シートにアクセス可能な車室内構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
フロントサイドドアによって開閉される前席乗員用乗降口からアクセス可能な運転席及び助手席を含む第1列シートから車体後端まで延びる車室を備え、該車室に、前記第1列シートの後方に順に、リアサイドドアによって開閉される後席乗員用乗降口からアクセス可能な少なくとも第2乃至第4列のシートが配設された車室内構造であって、
前記第1列シートが、車幅方向に離間した運転席シートと助手席シートとで構成され、
前記第2列シートが、車幅方向中央部分に配設された1人が着座可能な前部中央シートで構成され、
前記第3列シートが、車幅方向に離間した左右のシートで構成され、
前記第4列シートが、車幅方向中央部分に配設された1人が着座可能な後部中央シートで構成され、
前記前部中央シートの回りに、該前部中央シートと前記第1列シートとの間で車幅方向に延びる前部車幅方向通路と、前記前部中央シートの左右の側方に位置する側部通路と、該中央シートと前記第3列シートとの間で車幅方向に延びる後部車幅方向通路とが形成され、
前記後席乗員用乗降口の幅が前記側部通路の車幅方向長さに実質的に対応しており、該後席乗員用乗降口から前記側部通路と前記後部車幅方向通路を通じて前記第3列シート及び前記第4列シートにアクセス可能であることを特徴とする車室内構造を提供することにより達成される。
【0010】
すなわち、本発明によれば、第2列シートを車幅方向中央部分に配置した前部中央シートで構成したことから、この前部中央シートの回りに、第1列シートとの間で車幅方向に延びる前部車幅方向通路と、前部中央シートの側方の側部通路と、前部中央シートと第3列シートとの間で車幅方向に延びる後部車幅方向通路とを形成することができる。このことから、リアサイドドアを開放して後席乗員が乗降するときに、前部中央シートの側方に広がる側部通路を使って乗り降りできるため、リアサイドドアによって開閉される後席乗員用乗降口の幅を側部通路の前後方向長さに対応した寸法に設定することができ、したがって後席乗員用乗降口の幅を従来に比べて大幅に小さくすることができ、これによりワンボックスカーの車体剛性などを向上することができる。また、従来に比べて幅狭の後席乗員用乗降口から上記側部通路に足を踏み入れた後、シートの操作無しに、前部車幅方向通路を通って前部中央シートにアクセスすることができ、また、後部車幅方向通路を通って第3列シートにアクセスすることができる。
【0011】
更に、本発明では、第3列シートを左右に離間したシートで構成してあるため、この左右のシート間を通って第4列シートを構成する車幅方向中央部分に配設された最後部中央シートにアクセスすることができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態では、
前記第1列シートが、個々に独立した運転席シートと助手席シートとで構成され、
該運転席シートと前記助手席シートとが離間されて、これら運転席シートと助手席シートとの間に車体前後方向に延び且つシートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な前部前後方向通路が形成され、
該前部前後方向通路が前記前部車幅方向通路に通じている。
【0013】
これによれば、第2列シートを構成する前部中央シートに着座した乗員は、運転席と助手席との間の前部前後方向通路まで脚を伸ばした休憩姿勢でドライブを楽しむことができる。前部中央シートに着座した乗員にとって、そのシートクッション及びシートバックの幅が前記前部前後方向通路の通路幅と同じかそれよりも大きい、いわゆる大型シートであるのが好ましい。
【0014】
第1列シートを構成する運転席シートと助手席シートは、これらシートクッションよりも幅寸法が小さく且つ所定の高さを備えた台座を介して設置されているのがよい。これによれば、第2列シートである中央シートに着座した乗員が脚を伸ばした休息姿勢をとったときに、その足先の靴が位置する部位の前部前後方向通路の幅を実質的に拡大することができる。
【0015】
また、第3列シートを構成する個々に独立した左右のシートは、第1列シートを構成する運転席シートと助手席シートとの離間距離よりも大きく左右に離間されているのがよい。これによれば、この左右のシートで構成される前後方向に延びる後部戦後方向通路を通じて第4列シートの最後部中央シートにアクセスするのが容易となるだけでなく、最後部中央シートに着座した乗員は、第3列シートの左右のシート間の後部前後方向通路まで脚を伸ばした休憩姿勢でドライブを楽しむことができる。
【0016】
第2列シートを構成する前部中央シートは、好ましくは、これに着座した乗員が前方を向く第1状態と、後方を向く第2状態との間で回転可能な回転対座シートであるのがよく、この回転対座シートを採用したときには、第3列シートに着座した乗員と対面して対話を楽しみながらドライブを楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0018】
図1は本発明を適用した自動車を斜め前方から見た斜視図である。図示の自動車1は、いわゆるワンボックスカーと呼ばれている形式の車両であり、全長約4800mm、全幅約1800mm、高さ約1900mmの日本では比較的大型のワンボックスカーである。この種のワンボックスカーは、個々に独立した且つ肉厚のクッション材を備えた大型シートが設置され、内装も豪華であることから乗員は、ゆったりとくつろいだ気分でドライブを楽しむことができる。
【0019】
図1の参照符号2は、運転席及び助手席の乗降に用いられるフロントサイドドアを示し、その直ぐ後方に、右側又は左側の少なくとも一方に後部座席乗員用のリアサイドドア3が配設されている。このリアサイドドア3は、ガイドレール4に案内されて後方にスライド可能な、いわゆるスライドドアであるが、リアサイドドア3の前端又は後端を、隣接するピラー部材にヒンジ止めしたヒンジドアであってもよい。当業者であれば直ちに分かることであるが、図示のリアサイドドア3の幅(車体前後方向の寸法)は、この種のワンボックスカーの従来のリアサイドドアよりも可成り小さい。この点については、後に説明する。なお、作図上の理由から図1には現れていないが、このワンボックスカー1は従来と同様に、車両の後端面にバックドアを有し、このバックドアを開閉することにより荷物の出し入れをすることができる。
【0020】
図2は、車室内を上から見た図であり、参照符号5は左右の前輪を示し、また、参照符号6は左右の後輪である。また、参照符号7はエンジンルームであり、参照符号8はハンドルを示す。ワンボックスカー1は、その車体後端まで連続した車室10に配設された、車体後方に向けて順に、最前列(第1列)シート11、第2列シート12、第3列シート13、第4列シート14を備えている。
【0021】
第1列シートは、運転席シート15と助手席シート16とで構成され、運転席シート15と助手席シート16は互いに独立したセパレートシートで構成されている。第2列シート12は、1人の乗員が着座可能な単一のシート17で構成されている。第3列シート13は、2つの独立した左右のセパレートシート18、19で構成されている。第4列シート14は、1人の乗員が着座可能な単一の最後部シート20で構成されている
【0022】
第1列〜第4列のシート11〜14を構成する各シート15〜20には、各シートの各参照番号に「a」を付して示してあり、また、シートバックには「b」を付して示してある。各シート15〜20は、実質的に同じ大きさの、従来と同様に大人がゆったりと着座可能な所謂大型シートで構成され、各シート15〜20のシートクッションとシートバックの幅が実質的に同じである。勿論のことであるが、第1列〜第3列のシート11〜13を構成する各シート15〜20は前後にスライド可能であるのが好ましく、また、シート高さの調整やリクライニングが可能であるのが好ましい。
【0023】
図3は車室10を側方から見た図である。この図3からも理解できるように、各シート15〜20は、所定の高さを有する台座22を介してフロアに設置されており、図2に破線からも分かるように、この台座22は平面視したときにシートクッション15a〜20aよりも幅及び長さが小さく、シートクッション15a〜20aの中央部分に配置されている。
【0024】
第1列シート11を構成する運転席シート15と助手席シート16は、車幅方向に離間して配設され、その離間距離L1(図2)は、運転席シート15と助手席シート16との間を通って車体後部に歩いて移動することができる、所謂ウオークスルーが可能な通路幅に設定されている。
【0025】
第2列シート12を構成する単一のシート17は、車幅方向中央部分において、第1列シート11から後方に離間して配設されており、その車体前後方向距離L2は、第1列シート11のシートバック15b又は16bを前倒しすることなく乗員が通過することのできる通路幅が設定されている。この第2列シート12を構成する前部中央シート17は、着座する者が前方を向いた図3の状態と、図4に示すように後方に向いた状態とを選択できる回転対座シートであるのが好ましい。
【0026】
第3列シート13は、第2列シート12の後方に離間して配設されており、その車体前後方向距離L3は、第2列シート12のシートバック17bを前倒しすることなく乗員が通過することのできる通路幅が設定されている。また、この第3列シート13を構成する構成する左右のシート18、19は車幅方向に離間して配設され、その離間距離L4は、これら左右のシート17、18の間を通って、シートを操作することなく乗員が車体後部に歩いて移動することができる幅寸法が設定されている。
【0027】
好ましくは、第3列シート13を構成する左右のシート18、19は、これに隣接する車体側壁に近づけて配置するのが好ましく、この態様では、第3列シート13の左右のシート18、19の離間距離L4は、前述した第1列シート11の運転席シート15と助手席シート16の離間距離L1よりも大きくなるように設定するの好ましい。
【0028】
第4列シート14を構成する単一の最後部シート20は、第3列シート13の後方に離間して配設されており、その離間距離をL5で示すが、この離間距離L5は、第3列シート13の左右のシート18、19のシートバック18b、19bの操作無しに、最後部シート20との間を歩いて移動できる寸法が設定されている。
【0029】
図示のワンボックスカー1は、運転席又は助手席用の乗降口25と、その直ぐ後方に位置する後席乗員用の乗降口26と、車体後端面に設けられた開口27とを有し、運転席又は助手席用の乗降口25は上記のフロントサイドドア2によって開閉可能であり、後席乗員用乗降口26は上記のリアサイドドア3によって開閉可能であり、後端開口27は図外のバックドアによって開閉可能である。
【0030】
図2から最も良く分かるように、第1列シート11に関し、その運転席シート15と助手席シート16との間の離間距離L1によって、運転席シート15と助手席シート16との間に前部前後方向通路R1が形成され、この前部通路R1を通じて第1列シート11から車体後部にアクセス可能である。
【0031】
また、第2列シート12に関し、その車幅方向中央部分に配設された単一の前部中央シート17と第1列シート11との間の離間距離L2(図3)によって、第1列シート11の後方に、前部車幅方向通路R2が形成され、また、この第2列シート12を構成する唯一の前部中央シート17の両側には、リアサイドドア3との間に左右の側部通路R3、R4が形成されている。更に、第2列シート12と第3列シート13との間の離間距離L3(図3)によって、第2列シート12の後方つまり第2列シート12と第3列シート13との間に中央車幅方向通路R5が形成されている。
【0032】
また、第3列シート13に関し、その左右のシート18、19の間の離間距離L4によって、これら左右のシート18、19の間に後部前後方向通路R6が形成され、この後部前後方向通路R6を通じて第3列シート13から車体後端部のラッゲージスペースLSにアクセス可能である。前述したように、第3列シート13の左右のシート18、19を、これに隣接する左右の側壁に近接させて配置して左右のシート18、19の間の離間距離L4を拡大したときには、この左右のシート18、19の間に形成される後部前後方向通路R6の通路幅を拡大することができるため、乗員が最後部シート20にアクセスし易くなる。
【0033】
第4列シート14を構成する最後部中央シート20は、その前方の第3列シート13との間の離間距離L5によって車幅方向に延びる後部車幅方向通路R7が形成され、この後部車幅方向通路R7は、最後部中央シート20の両側のラッゲージスペースLS1、LS2及び最後部中央シート20の後方のラッゲージスペースLS3に通じている。
【0034】
上記の前部前後方向通路R1、前部車幅方向通路R2、側部通路R3、R4、中央車幅方向通路R5、後部前後方向通路R6、後部車幅方向通路R7は乗員がシートを操作することなく歩いて通ることのできる通路幅が設定されている。
【0035】
特に、第2列シート12を構成する車幅方向中央に配設された唯一の前部中央シート17の回りに注目すると、前部中央シート17の回りには、前部車幅方向通路R2、側部通路R3、R4、中央車幅方向通路R5が形成されている。このことから、リアサイドドア3によって開閉される後席乗員用の乗降口26から側部通路R3(R4)に足を踏み入れて車室10内に乗り込んだ乗員は、シートを操作することなく、図2に実線で示すように、第2列シート12に着座するときには、前部車幅方向通路R2に足を踏み入れることにより第2列シート12の前部中央シート17にアクセスすることができる。同様に、第3列シート13の左右のシート18、19に着座するときには、シートの操作無しに、中央車幅方向通路R5に足を踏み入れることにより対応する左右のシート18、19に着座することができ、また、反対側のシート18、19に着座するときには、中央車幅方向通路R5を通ってアクセスすることができる。
【0036】
したがって、リアサイドドア3の車体前後方向寸法つまり後席乗員用の乗降口26の開口幅Xは、従来に比べて小さく設定することができる。ちなみに、この開口幅Xは、第1列シート11の後端近傍と第2列シート12(前部中央シート17)のシートクッション17aの後端部との間の距離つまり側部通路R3、R4の前後方向長さに略対応させることができる。
【0037】
更に、第2列シート12を構成する唯一の前部中央シート17に関し、この前部中央シート17が、その前方の運転席シート15と助手席シート16の間の前部前後方向通路R1に臨んでいるため、前部中央シート17の乗員が膝を折り曲げた通常の着座姿勢であっても脚回りに余裕があるため大人がゆったりと着座可能であるが、例えば前部中央シート17の乗員が、目の前の前部前後方向通路R1まで脚を伸ばした休息姿勢をとることができる。そして、この休息姿勢のときに、運転席シート15と助手席シート16が共にそのシートクッション15a、16aより幅寸法の小さい台座22によって支持されており、この運転席、助手席の台座22、20間の離間距離L5(図2)が前部前後方向通路R1の通路幅L1よりも大きいことから、前部中央シート17で脚を伸ばした姿勢の乗員の靴先を例えば運転席シート、助手席シート15、16の下に入れた休息姿勢でドライブを楽しむことができる。
【0038】
このことは、第4列シート14を構成する唯一の後部中央シート20についても同様であり、その前方の第3列シート13の左右のシート18、19の間の後部方向通路R6に臨んでいるため、後部中央シート20の乗員が膝を折り曲げた通常の着座姿勢であっても脚回りに余裕があるだけでなく、目の前の後部前後方向通路R6まで脚を伸ばした休息姿勢をとることができる。そして、この休息姿勢のときに、左右のシート18、19が共にそのシートクッション15a、16aより幅寸法の小さい台座22によって支持されていることから、この運転席、助手席の台座22、20間の離間距離L7(図2)が前部前後方向通路R6の通路幅L4よりも大きいことから、後部中央シート20で脚を伸ばした姿勢の乗員の靴先を例えば左右のシート18、19の下に入れた休息姿勢でドライブを楽しむことができる。
【0039】
なお、従来では、第3列シート13の乗員のために後席乗員用の乗降口26の入り口部分にステップを設ける必要があったが、本発明の実施例では、後席乗員用の乗降口26の入り口部分にステップを設けてもよいし、ステップ無しであってもよい。
【0040】
上述したように、本発明の実施例によれば、第2列シート12が車幅方向中央部分に配置した唯一のシート17で構成されているため、リアサイドドア3を開放して車両に乗り降りするときに、前部中央シート17の両側に位置する側部通路R3、R4を使うことができるため、リアサイドドア3の幅Xを従来に比べて小さくすることができる。したがって、これを案内するガイドレール4の長さ寸法を短縮できるため車体後部のデザインの自由度を向上できるだけでなく、車体の側部に大きな後席乗員用の乗降口を形成する必要が無くなるため、車体剛性を向上することができる。また、この側部通路R3、R4が前部中央シート17の前方の前部車幅方向通路R2、後方の中央車幅方向通路R5に通じているため、更に、後部前後方向通路R6に通じているため、シートの操作無しに前部中央シート17及び第3列シート18、19へアクセスすることができ、また、最後部中央シート20へアクセスすることができる。
【0041】
また、第2列シート12の回りに位置する側部通路R3、R4、中央車幅方向通路R5や第3列シート13の中央に位置する後部前後方向通路R6が比較的大きな通路幅を備えているため、これら通路R3、R4、R5、R6を手荷物置き場として利用することで、第2、第3列シート12、13の乗員の手荷物を身の回りの近くに置いた状態でドライブを楽しむことができる。同様に、車体の後端部で車幅方向中央に配設された最後部シート20の乗員は、その両側のラッゲージスペースLS1、LS2を利用して手荷物をみの回りの近くに置くことができる
【0042】
また、第2列シート12を構成する前部中央シート17として回転対座シートを採用したときには、図4に図示の着座者が後方に向いて第3列シート13に着座した者と対面しながら会話を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例を適用したワンボックスカーを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図1のワンボックスカーのシート配列及びサイドドアの配置を説明するための図である。
【図3】図1のワンボックスカーのシート配列を説明するために車体側方から見た図である。
【図4】第2列シートである前部中央シートを回転対座シートで構成した場合に第3列シートと対面した状態を説明するための、図3に対応した図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ワンボックスカー
2 フロントサイドドア
3 リアサイドドア
10 車室
11 第1列シート
12 第2列シート
13 第3列シート
14 第4列シート
15 運転席シート
16 助手席シート
17 第2列シートを構成する前部中央シート
18,19 第3列シートを構成する左右のシート
20 第4列シートを構成する最後部中央シート
22 シートの台座
L1 運転席と助手席と離間距離
L2 第1列と第2列との間の離間距離
L3 第2列と第3列との間の離間距離
L4 第3列の左右シートの離間距離
L5 第3列と第4列との間の離間距離
L6 運転席と助手席の台座間の離間距離
L7 第3列シートの台座間の離間距離
25 運転席又は助手席の乗降口
26 後席乗員用の乗降口
R1 前部前後方向通路
R2 前部車幅方向通路
R3、R4 側部通路(第2列シートの側方)
R5 中央車幅方向通路
R6 後部前後方向通路
R7 後部車幅方向通路
LS1〜3 車体後端部のラッゲージスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントサイドドアによって開閉される前席乗員用乗降口からアクセス可能な運転席及び助手席を含む第1列シートから車体後端まで延びる車室を備え、該車室に、前記第1列シートの後方に順に、リアサイドドアによって開閉される後席乗員用乗降口からアクセス可能な少なくとも第2乃至第4列のシートが配設された車室内構造であって、
前記第1列シートが、車幅方向に離間した運転席シートと助手席シートとで構成され、
前記第2列シートが、車幅方向中央部分に配設された1人が着座可能な前部中央シートで構成され、
前記第3列シートが、車幅方向に離間した左右のシートで構成され、
前記第4列シートが、車幅方向中央部分に配設された1人が着座可能な後部中央シートで構成され、
前記前部中央シートの回りに、該前部中央シートと前記第1列シートとの間で車幅方向に延びる前部車幅方向通路と、前記前部中央シートの左右の側方に位置する側部通路と、該中央シートと前記第3列シートとの間で車幅方向に延びる後部車幅方向通路とが形成され、
前記後席乗員用乗降口の幅が前記側部通路の車幅方向長さに実質的に対応しており、該後席乗員用乗降口から前記側部通路と前記後部車幅方向通路を通じて前記第3列シート及び前記第4列シートにアクセス可能であることを特徴とする車室内構造。
【請求項2】
前記第1列シートが、個々に独立した運転席シートと助手席シートとで構成され、
該運転席シートと前記助手席シートとが離間されて、これら運転席シートと助手席シートとの間に車体前後方向に延び且つシートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な前部前後方向通路が形成され、
該前部前後方向通路が前記前部車幅方向通路に通じている、請求項1に記載の車室内構造。
【請求項3】
前記第2列シートである前部中央シートのシートクッション及びシートバックの幅が前記前部前後方向通路の通路幅と同じかそれよりも大きい、請求項2に記載の車室内構造。
【請求項4】
前記第1列シートを構成する運転席シートと助手席シートが台座を介して取り付けられ、該台座が、前記運転席シート及び助手席シートのシートクッションの幅よりも小さな幅を有し且つこれら運転席シート及び助手席シートのシートクッションの中央部分に配設されている、請求項2又は3に記載の車室内構造。
【請求項5】
前記第3列シートを構成する左右のシートが前記第1列シートの運転席シートと助手席シートとの離間距離も大きく左右に離間して、前記第4列シートに歩いてアクセス可能な後部前後方向通路が形成され、
該後部前後方向通路に臨んで前記第4列シートを構成する最後部中央シートが配設されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の車室内構造。
【請求項6】
前記第3列シートを構成する左右のシートが、夫々、台座を介して取り付けられ、該台座が、前記左右のシートのシートクッションの幅よりも小さな幅を有し且つこれら左右のシートのシートクッションの中央部分に配設されている、請求項5に記載の車室内構造。
【請求項7】
前記第4列シートを構成する最後部中央シートの両側にラッゲージスペースが形成され、該ラッゲージスペースには、バックドアによって開閉可能な車体後端面の開口を通じてアクセス可能である、請求項6に記載の車室内構造。
【請求項8】
前記第1列シートを構成する運転席シートと助手席シートと、前記第2列シートを構成する前記前部中央シートと、前記第3列シートを構成する互いに独立した左右のシートと、前記第4列シートを構成する後部中央シートとが、実質的に同じ大きさのシートで構成されている、請求項2〜7のいずれか一項に記載の車室内構造。
【請求項9】
前記第2列シートを構成する前部中央シートが、該前部中央シートに着座した乗員が前方を向く第1状態と、後方を向く第2状態との間で回転可能な回転対座シートである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車室内構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−168608(P2007−168608A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368825(P2005−368825)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】