説明

車用遮光フィルム

【課題】柔軟性を有する表面基材を用いて簡単に自動車のウィンドガラスの曲面に沿わせて張ることのできる車用遮光フィルムを提供する。
【解決手段】着色粘着剤層3が付着された透明ポリ塩化ビニルフィルム2を備えている車用遮光フィルムであり、または透明塩化ビニルフィルム2と、着色粘着層3と、剥離フィルム4とを順次積層した車用遮光フィルムであり、または保護フィルム1と、透明塩化ビニルフィルム2と、着色粘着層3と、剥離フィルム4とを順次積層した車用遮光フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車用遮光フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のウィンドガラスに貼着する遮光フィルムは、透明PETフィルムと着色アクリル系粘着剤層から成るものが広く使用されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−282271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、PETフィルムは、剛性が大きく可撓性・柔軟性が劣るため、リアウィンドガラスの三次曲面に沿わせて貼り付けるためには、ヒートガンで高温に加熱して三次曲面に沿うように成形しつつ貼る必要があり、主として施工業者が行っていた。あるいは、三次曲面に沿わせるために遮光フィルムを細く切って多数貼り付ける方法も行われていたが、遮光フィルムを裁断することで仕上げの美観が損なわれる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単に自動車のウィンドガラスの曲面に沿わせて張ることのできる遮光フィルムを提供することを目的とする。また、リアウィンドガラスのように三次曲面に湾曲していても、一枚貼りで、かつ、シート浮きを発生させずに、かつ、熟練を要することなく貼り付けが可能な遮光フィルムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の遮光フィルムは、着色粘着剤層が付着された透明ポリ塩化ビニルフィルムを備えているものである。
【0007】
また、透明ポリ塩化ビニルフィルムと、着色粘着剤層と、剥離フィルムと、を順次積層したものである。
【0008】
また、保護PETフィルムと、透明ポリ塩化ビニルフィルムと、着色粘着剤層と、剥離フィルムと、を順次積層したものである。
【0009】
また、上記透明ポリ塩化ビニルフィルムの厚さ寸法h2 が30〜100 μm、上記着色粘着剤層の厚さ寸法h3 が5〜50μm、に設定されているものである。
また、上記剥離フィルムの厚さ寸法h4 が12〜50μmに設定されているものである。
また、上記保護PETフィルムの厚さ寸法h1 が6〜50μm、に設定されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遮光フィルムによれば、自動車のリアウィンドガラスのような三次曲面状貼付面に対して、裁断することなく、一枚貼りすることも可能となり、さらに、局部的浮きも発生することなく美しく貼り付け可能となる。また、一般の人が、家庭用ドライヤ等の低温加熱にて(又は、全く加熱せず)、容易に貼り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の遮光フィルムの第1の実施の形態を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の遮光フィルムの第2の実施の形態を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の遮光フィルムの第3の実施の形態を示す拡大断面図である。
【図4】遮光フィルムの貼り付け後の使用例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1は、本発明の第1の実施の形態を示し、透明ポリ塩化ビニルフィルム2に、透過性を失わない程度に着色されたアクリル系着色粘着剤層3が付着(積層)している。
透明ポリ塩化ビニルフィルム2の厚さ寸法h2 が30〜100 μm、着色粘着剤層3の積層高さ寸法h3 が5〜50μm、に設定されている。h2 <30μmでは、強度上問題となり、破れる心配が生じ、また、h2 >100 μmとすると不要に材料費が高くなり、かつ、剛性が過大となって曲面状被貼着面への貼り付けが難しくなる。また、h3 <5μmでは十分な遮光性が得られなくなる。h3 >50μmでは材料が余分に必要となる。
【0013】
図2は、本発明の第2の実施の形態を示し、透明ポリ塩化ビニルフィルム2と、着色粘着剤層3と、PET製の剥離フィルム4と、を順次積層している。ポリ塩化ビニルフィルム2は、PET製の剥離フィルム4よりも剛性が小さく、伸縮性・可撓性・柔軟性に優れている。
剥離フィルム4の厚さ寸法h4 は12〜50μmに設定されている。h4 <12μmでは剥離の際等に破れ易くなり、逆に、h4 >50μmでは材料費が無駄である。
【0014】
図3は、本発明の第3の実施の形態を示し、保護PETフィルム1と、透明ポリ塩化ビニルフィルム2と、着色粘着剤層3と、剥離フィルム4と、を順次積層している。保護PETフィルム1は、着色粘着剤層3が付着している透明ポリ塩化ビニルフィルム2の反対側の表面に、静電気等の吸着力にて積層保持されている。ポリ塩化ビニルフィルム2は、保護PETフィルム1及びPET製の剥離フィルム4よりも剛性が小さく、伸縮性・可撓性・柔軟性に優れている。
保護PETフィルム1の厚さ寸法h1 は6〜50μmに設定されている。h1 <6μmでは不意に破損する虞があり、逆にh1 >50μmでは材料費が無駄である。
【0015】
なお、本発明の遮光フィルムは、保護PETフィルム1の厚さ寸法h1 が20〜30μm、透明ポリ塩化ビニルフィルム2の厚さ寸法h2 が50〜80μm、着色粘着剤層3の厚さ寸法h3 が15〜25μm、剥離フィルム4の厚さ寸法h4 が20〜30μm、として設定されているものが好ましい。
【0016】
上述した本発明の遮光フィルムの使用方法(作用)について説明する。
図4は、第1の実施の形態の遮光フィルム(図1)の使用例を示す拡大断面図である。 自動車のウィンドガラスGに対して、遮光フィルムを切断して適合する形状に形成し、着色粘着剤層3をウィンドガラスGの曲面に接触させて貼り付ける。この際、ウィンドガラスGと着色粘着剤層3の間に気泡が入ったり、透明ポリ塩化ビニルフィルム2に皺が発生しないように、透明ポリ塩化ビニルフィルム2を押圧し、ウィンドガラスGの曲面に沿わせて湾曲させつつ貼り付ける。
【0017】
また、図2に示した第2の実施の形態のように、剥離フィルム4を有する場合は、貼り付け前の透明ポリ塩化ビニルフィルム2が可撓性による縮みや熱膨張収縮差によるカールを起こして不意に変形しないように、剛性の大きい剥離フィルム4が柔軟な透明ポリ塩化ビニルフィルム2の姿勢を着色粘着剤層3側から保護しているため、切断や適合の作業の際に遮光フィルムを取り扱い易い。貼り付け作業時には、剥離フィルム4を取り去って、透明ポリ塩化ビニルフィルム2をウィンドガラスGの曲面に沿わせて貼り付ける。
【0018】
また、図3に示した第3の実施の形態のように、保護PETフィルム1を有する場合は、(帯状の)遮光フィルムをロール上に巻設して保管する場合、透明ポリ塩化ビニルフィルム2と剥離フィルム4が直接に接触することを防ぎ、柔軟な塩化ビニルフィルム2が剥離フィルム4の非剥離処理面4aに不均一に接着するのを防止できる。また、剛性の大きい保護PETフィルム1及び剥離フィルム4によって、柔軟な透明ポリ塩化ビニルフィルム2の姿勢を両側から保護するため、切断や適合の作業の際に遮光フィルムを取り扱い易い。貼り付け作業時には、保護PETフィルム1及び剥離フィルム4を取り去って、透明ポリ塩化ビニルフィルム2をウィンドガラスGの曲面に沿わせて貼り付ける。
【0019】
以上のように、本発明は、着色粘着剤層3が付着された透明ポリ塩化ビニルフィルム2を備えているので、裁断や加熱の手間を省略して、透明ポリ塩化ビニルフィルム2の伸縮性・可撓性・柔軟性を最大限に生かして、貼り付け作業を迅速に行なうことができ、かつ、成熟を要さずに一般の人でも簡単に遮光フィルムをウィンドガラスの表面に美しく貼り付けることができる。
【0020】
また、透明ポリ塩化ビニルフィルム2と、着色粘着剤層3と、剥離フィルム4と、を順次積層しているので、裁断や加熱の手間を省略して、透明ポリ塩化ビニルフィルム2の伸縮性・可撓性・柔軟性を最大限に生かして、貼り付け作業を迅速に行なうことができ、かつ、成熟を要さずに一般の人でも簡単に遮光フィルムをウィンドガラスの表面に美しく貼り付けることができる。また、長期保管中等においても柔軟な透明ポリ塩化ビニルフィルム2が変形することがない。
【0021】
また、保護PETフィルム1と、透明ポリ塩化ビニルフィルム2と、着色粘着剤層3と、剥離フィルム4と、を順次積層しているので、裁断や加熱の手間を省略して、透明ポリ塩化ビニルフィルム2の伸縮性・可撓性・柔軟性を最大限に生かして、貼り付け作業を迅速に行なうことができ、かつ、成熟を要さずに簡単に遮光フィルムをウィンドガラスの表面に美しく貼り付けることができる。また、柔軟な透明ポリ塩化ビニルフィルム2が長期保管中等においても変形することがないよう保護することができる。さらに、ロール状に巻設した状態で保管中の透明ポリ塩化ビニルフィルム2が剥離フィルム4の非剥離処理面4aに不均一に接着してしまうブロッキングを防止できる。
【符号の説明】
【0022】
1 保護PETフィルム
2 透明ポリ塩化ビニルフィルム
3 着色粘着剤層
4 剥離フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色粘着剤層(3)が付着された透明ポリ塩化ビニルフィルム(2)を備えていることを特徴とする車用遮光フィルム。
【請求項2】
透明ポリ塩化ビニルフィルム(2)と、着色粘着剤層(3)と、剥離フィルム(4)と、を順次積層したことを特徴とする車用遮光フィルム。
【請求項3】
保護PETフィルム(1)と、透明ポリ塩化ビニルフィルム(2)と、着色粘着剤層(3)と、剥離フィルム(4)と、を順次積層したことを特徴とする車用遮光フィルム。
【請求項4】
上記透明ポリ塩化ビニルフィルム(2)の厚さ寸法h2 が30〜100 μm、上記着色粘着剤層(3)の厚さ寸法h3 が5〜50μm、に設定されている請求項1,2又は3記載の車用遮光フィルム。
【請求項5】
上記剥離フィルム(4)の厚さ寸法h4 が12〜50μmに設定されている請求項2,3又は4記載の車用遮光フィルム。
【請求項6】
上記保護PETフィルム(1)の厚さ寸法h1 が6〜50μm、に設定されている請求項3,4又は5記載の車用遮光フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−188593(P2010−188593A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34756(P2009−34756)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000226091)日栄化工株式会社 (17)
【Fターム(参考)】