説明

車載カメラ用ウォッシャノズル及び車載カメラ洗浄システム

【課題】汎用性を向上させることが可能な車載カメラ用ウォッシャノズルを提供する。
【解決手段】車体Pに取り付けられ該車体Pの周囲を撮像面13を介して撮像する車載カメラ10に対して、撮像面13の洗浄のための洗浄液Wを吐出口31aから吐出するカメラ用ノズル20であって、車載カメラは、車体Pへの取付状態において撮像面13の上側に、該撮像面13側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り勾配面14を有するものであり、吐出口31aは、下り勾配面14に向けて洗浄液Wを吐出するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ用ウォッシャノズル及び車載カメラ洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両周囲の状況を撮像する車載カメラを搭載した車両には、車載カメラで撮像した外部映像をナビゲーション用のモニタに表示することにより、運転者の車両周囲の確認を支援するものがある。この車載カメラは、車両の外部に備えられることが多く、車載カメラの前面に雨滴、泥、塵埃等の異物が付着することがある。そして、車載カメラの撮像面に異物が付着すると、当該車載カメラにて撮像した外部映像にその異物が映り込むため、鮮明な外部映像を得られなくなるという問題がある。そこで、例えば特許文献1に記載されているように、車載カメラの撮像面を清掃する洗浄システムを備えることが考えられている。
【0003】
特許文献1の洗浄システムでは、車載カメラの上部にウォッシャノズルが設けられ、そのウォッシャノズルの吐出口をカメラの撮像面(特許文献1中、前面ガラス)に向けるべく、該撮像面近傍まで延出させている。そして、ウォッシャノズルの吐出口から洗浄液を撮像面に吹き付けてその撮像面の汚れを除去するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−171491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の洗浄システムでは、洗浄液を撮像面に好適に供給するためにウォッシャノズルの吐出口を撮像面に対して極めて近く設定する必要があるため、車種による車載カメラの全長等の違いに応じて専用のウォッシャノズルをそれぞれ設計しなければならず、汎用性を欠くものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、汎用性を向上させることが可能な車載カメラ用ウォッシャノズル及び車載カメラ洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車体に取り付けられ該車体の周囲を撮像面を介して撮像する車載カメラに対して、前記撮像面の洗浄のための洗浄液を吐出口から吐出する車載カメラ用ウォッシャノズルであって、前記車載カメラは、前記車体への取付状態において前記撮像面の上側に、該撮像面側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り勾配面を有するものであり、前記吐出口は、前記下り勾配面に向けて前記洗浄液を吐出するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
この発明では、ウォッシャノズルの吐出口から吐出された洗浄液が車載カメラの下り勾配面に着水し、そこから下り勾配面の傾斜に倣って撮像面に流れ、その洗浄液によって撮像面の汚れを除去することができる。このように、ウォッシャノズルの吐出口から下り勾配面に向けて洗浄液を吐出し、その下り勾配面を介して間接的に洗浄液を撮像面に供給する構成であるため、従来構成のように、洗浄液を撮像面に直接的に供給すべくウォッシャノズルの吐出口を撮像面近傍に設定する必要がなくなる。これにより、例えば、車載カメラのサイズ等の構成によらず、ウォッシャノズルを車載カメラから上方に離間させて該カメラから独立した構成とすることが可能となる。このため、様々な種類の車載カメラに対しても同一構成のウォッシャノズルで対応させることができ、その結果、汎用性を向上させることが可能となる。
【0009】
また、洗浄液をウォッシャノズルから下り勾配面を介して間接的に撮像面に供給する構成であるため、ウォッシャノズルが撮像面よりも撮影方向側に突出しないように構成することが可能となる。その結果、車載カメラとウォッシャノズル部分の外観意匠性を向上させることができるとともに、例えばガーニッシュ等の周辺部品とウォッシャノズルとが干渉してしまうことを抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、前記車載カメラから離間して配置されていることを特徴とする。
この発明では、ウォッシャノズルと車載カメラとが互いに形状等の構成の制約を受けないため、それらの設計自由度を向上させることができる。また、車体側からの影響でウォッシャノズルや車載カメラが振動した場合でも互いに干渉しにくく、その結果、ウォッシャノズル及び車載カメラの損傷の虞を減らせることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、前記車体のみに固定されていることを特徴とする。
この発明では、ウォッシャノズルが車体のみに固定される構成であるため、ウォッシャノズルを容易に固定することが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、前記吐出口は、吐出方向と直交する方向において、洗浄液を前記ウォッシャノズル内に導入する接続口よりも幅広に形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、吐出口が吐出方向と直交する方向に幅広に形成されることで、撮像面全域に亘って好適に洗浄液を供給することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、前記吐出口には、吐出する洗浄液を整流する整流部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
この発明では、吐出口から吐出される洗浄液が整流部にて整流されることで、洗浄液が吐出される際に意図しない方向に飛散してしまうことを抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、前記車載カメラとともに前記車体の後部に設けられ、前記車体の後部に設けられたガーニッシュと前記車体との間の空間に配置されていることを特徴とする。
【0015】
この発明では、ウォッシャノズルの車体後方側がガーニッシュにて覆われる構成となるため、機能的で意匠性に乏しくなりがちなウォッシャノズルが目視されてしまうことを回避でき、車体後部の意匠を損なうことなく撮像面の洗浄を可能とすることができる。また、このような構成において、ウォッシャノズルが撮像面よりも撮影方向側に突出しないように構成することで、ウォッシャノズルがガーニッシュと干渉してしまうことを抑制することが可能となる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、洗浄液を噴出する噴出口を有するノズル本体と、前記ノズル本体とは別体で構成され前記吐出口を有するガイド部材とを備え、前記ガイド部材は、前記噴出口から噴出された洗浄液を案内して前記吐出口から前記下り勾配面に向けて吐出するように構成されたことを特徴とする。
【0017】
この発明では、ウォッシャノズルは、別体で構成されたノズル本体とガイド部材とからなるため、車載カメラの仕様の大幅な変更へもノズル本体は同一構成としてガイド部材のみの変更で対応することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、車体の周囲を撮像面を介して撮像する車載カメラと、洗浄液を貯蔵するタンクと、前記タンクに貯蔵された洗浄液を圧送するポンプと、前記ポンプにて圧送された洗浄液を前記車載カメラの前記撮像面に供給する車載カメラ用ウォッシャノズルとを備えた車載カメラ洗浄システムであって、前記車載カメラ用ウォッシャノズルには、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルが用いられていることを特徴とする。
【0019】
この発明では、車載カメラ用ウォッシャノズルの汎用性が向上された車載カメラ洗浄システムを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
従って、上記記載の発明によれば、車載カメラ用ウォッシャノズルの汎用性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の車載カメラ洗浄システムの概略構成図。
【図2】車載カメラの部分断面図。
【図3】車載カメラの分解斜視図。
【図4】別例の車載カメラの部分断面図。
【図5】別例の車載カメラの模式図。
【図6】別例の車載カメラの部分断面図。
【図7】別例の車載カメラの部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車載カメラ洗浄システム1のウォッシャタンク3は、車両2のエンジンルーム内に設置されている。ウォッシャタンク3には、その内部に洗浄液Wが貯留されるとともに、ウォッシャタンク3の側壁には、筒状のインレット(図示略)がウォッシャタンク3内に挿入された状態でポンプ装置4が装着されている。ポンプ装置4には、車両2のフロントガラス2aに洗浄液Wを噴射するフロントウォッシャノズル(フロントノズル)5と、車両2のリヤガラス2bに洗浄液Wを噴射するリヤウォッシャノズル(リヤノズル)6とがそれぞれホース7a,7bを介して接続されている。そして、車室内に配置された操作スイッチ8の操作に基づいてポンプ装置4が作動され、ポンプ装置4のインレットから吸入された洗浄液Wがフロントノズル5からフロントガラス2aに、若しくはリヤノズル6からリヤガラス2bに向けて択一的に噴射されるようになっている。
【0023】
また、車両2には、カーナビゲーション装置が搭載され、地図等の表示がなされるナビゲーション用のモニタ9が車室内に備えられるとともに、車両2の後部に備えられる車載カメラ(以下、単にカメラと言う)10にて撮影された車両後方下部の外部映像が、例えば車両後進時にそのモニタ9に表示されるようになっている。
【0024】
図2に示すように、本実施形態のカメラ10は、車体P(ボディパネル)のカメラ固定部Paに固定されたベース部11と、ベース部11に固定された略立方体状をなすハウジング12とを有している。ハウジング12の前面には、内部の撮像素子がレンズ(ともに図示略)を介して臨む円形状の撮像面13が構成されている。車体Pのカメラ固定部Paは、カメラ10が固定される固定面が車体後方下側に向くように傾斜しており、そのカメラ固定部Paに固定されたカメラ10のハウジング12は、前面の撮像面13が後方下部を撮像するように傾斜配置されている。これにより、ハウジング12の上面は、前面(撮像面13)側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り勾配面14となっている。
【0025】
車体Pの後部には、カメラ10の撮像面13に付着した雨滴や泥等の異物を除去すべく洗浄液Wを吐出する車載カメラ用ウォッシャノズル(カメラ用ノズル)20が設けられている。カメラ用ノズル20は、カメラ10から上方に離間して配置されている。
【0026】
カメラ用ノズル20は、図2及び図3に示すように、第1部材21と第2部材22とが組み付けられて構成されている。第1部材21は、車体Pのノズル固定部Pbと接触して固定されるベース部23と、ベース部23の車幅方向中央から反車体側(車両後方側)に延びるノズル下面部24とを有している。ベース部23は、その車幅方向中央に1つの挿通孔23aと、その挿通孔23aの車幅方向両側にそれぞれねじ挿通孔23bを有している。尚、車体Pのノズル固定部Pbは、カメラ固定部Paと略平行をなしている。
【0027】
ノズル下面部24は、ベース部23の挿通孔23aの下側部位から延出されており、その根本部分の車幅方向寸法はベース部23の挿通孔23aよりも大きく形成されている。ノズル下面部24は、底面部24aと、その底面部24aの車幅方向両縁部から上側に略直角に延出された側面部24bとから断面略コ字状に形成されるとともに、ベース部23から延出された根本部に対して先端部が車幅方向に拡がった形状をなしている。底面部24aには、側面部24bと同方向に突出する一対の整流部24cが形成されている。各整流部24cは、ノズル下面部24の延出方向に沿って長細い形状をなすとともに、ノズル下面部24の根本側ほど車幅方向に幅狭になるように形成されている。
【0028】
第2部材22は、車体Pに対し第1部材21を挟み込むように車両後方側から組み付けられるものであって、第1部材21のベース部23に嵌め込まれる固定部25と、固定部25の車幅方向中央から車体P側に延びる略円筒状の接続筒部26(接続口)と、固定部25の車幅方向中央から反車体側に延びるノズル上面部27とから構成されている。
【0029】
固定部25は、第1部材21のベース部23に密着するとともに、ノズル上面部27の車幅方向両側の位置にねじ挿通孔25aを有している。車体Pに対して第1及び第2部材21,22が組み付けられた状態で、一対のねじSがそれぞれ第1及び第2部材21,22のねじ挿通孔23b,25aに挿通されるとともに、そのねじSに車体P(パネル)を挟むようにボルトBが螺着される。これにより、第1及び第2部材21,22が車体Pに対してねじ締め固定される。
【0030】
接続筒部26は、ベース部23の挿通孔23aに挿通されている。この接続筒部26には、前記リヤノズル6に向かうホース7bの途中でTジョイントなどにより分岐して接続されたホース7cの一端(図1参照)が差し込まれて洗浄液Wが導入されるようになっている。ノズル上面部27は、ノズル下面部24に対応する形状をなし、そのノズル下面部24と合わさってノズル部31を構成している(図2参照)。このノズル部31は接続筒部26と連通しており、接続筒部26から導入された洗浄液Wはノズル部31へと流れ込むようになっている。尚、ノズル上面部27は、ノズル下面部24の整流部24cの上端面と接触しており、ノズル部31を流れる洗浄液Wは、各整流部24c間及び整流部24cと側面部24bとの間を主に流れるようになっている。
【0031】
ノズル部31は、図2に示すように、その根本部分が下方にやや屈曲されるとともに、鉛直方向下方に延出されており、カメラ10よりも車体後方側(撮像方向側)に突出しないように構成されている。そして、ノズル部31の先端部(下端部)は、洗浄液Wが吐出される吐出口31aとなっており、その吐出口31aはカメラ10の下り勾配面14の上方に位置している。即ち、ノズル部31の吐出口31aは、カメラ10の下り勾配面14を向くように構成されている。また、ノズル部31は、車体Pに近い根本部分から吐出口31aにかけて車幅方向に拡がる形状をなしている。これにより、吐出口31aは、車幅方向(吐出方向と直交する方向)の寸法が接続筒部26よりも大きく形成されている。また、前記整流部24cは、ノズル部31の吐出方向中間部から吐出口31aにかけて形成されている。このノズル部31は、接続筒部26から導入された洗浄液Wを下り勾配面14に向けてガイドするガイド部としての役割をなしている。
【0032】
上記のカメラ10の一部及びカメラ用ノズル20は、車体Pの後部に設けられたガーニッシュGによって覆われている。ガーニッシュGは、カメラ用ノズル20の車体後方側を覆っている。即ち、カメラ用ノズル20は、車体Pの後部に設けられたガーニッシュGと車体Pとの間の空間に配置される。また、カメラ10は、そのベース部11を含む根本部分がガーニッシュGにて覆われるとともに、撮像面13を含む先端部分がガーニッシュGの開口部Gaから突出するように構成されている。尚、カメラ10の下り勾配面14とガーニッシュGの開口部Gaとの間には、所定間隔の間隙が形成されている。このように、ガーニッシュGによってカメラ用ノズル20が覆い隠されることで、カメラ用ノズル20が目視されにくくなっている。
【0033】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
ポンプ装置4の作動により、リヤノズル6とともにカメラ用ノズル20に洗浄液Wが供給されると、ノズル部31の吐出口31aから洗浄液Wが吐出され、その洗浄液Wはカメラ10の下り勾配面14に着水する。下り勾配面14に着水した洗浄液Wは、その下り勾配面14の傾斜に倣ってハウジング12の前面の撮像面13に流れる。即ち、カメラ用ノズル20の吐出口31aから吐出された洗浄液Wは、下り勾配面14を介して間接的に撮像面13に供給され、その洗浄液Wによって撮像面13の雨滴や泥等の異物が洗い流されるようになっている。
【0034】
ここで、ノズル部31内を通過する洗浄液Wは、ノズル部31の幅広形状に倣って車幅方向に拡がった状態で吐出口31aから吐出されるため、撮像面13の全体に亘って洗浄液Wが供給される。また、ノズル部31内には、吐出方向に沿って延在する整流部24cが設けられているため、洗浄液Wは吐出口31aから吐出される前に整流部24cによって整流され、その結果、吐出の際に意図しない方向に洗浄液Wが飛散してしまうことが抑制されている。
【0035】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)車載カメラ10は、車体Pへの取付状態において撮像面13の上側に、該撮像面13側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り勾配面14を有し、カメラ用ノズル20の吐出口31aは、下り勾配面14に向けて洗浄液Wを吐出するように構成される。これにより、カメラ用ノズル20の吐出口31aから吐出された洗浄液Wが車載カメラ10の下り勾配面14に着水し、そこから下り勾配面14の傾斜に倣って撮像面13に流れ、その洗浄液Wによって撮像面13の汚れを除去することができる。このように、カメラ用ノズル20の吐出口31aから下り勾配面14に向けて洗浄液Wを吐出し、その下り勾配面14を介して間接的に洗浄液Wを撮像面13に供給する構成であるため、従来構成のように、洗浄液Wを撮像面13に直接的に供給すべくカメラ用ノズル20の吐出口31aを撮像面13近傍に設定する必要がなくなる。これにより、例えば、車載カメラ10のサイズ等の構成によらず、カメラ用ノズル20を車載カメラ10から上方に離間させて該カメラから独立した構成とすることが可能となる。このため、様々な種類の車載カメラ10に対しても同一構成のカメラ用ノズル20で対応させることができ、その結果、汎用性を向上させることが可能となる。
【0036】
また、洗浄液Wをカメラ用ノズル20から下り勾配面14を介して間接的に撮像面13に供給する構成であるため、カメラ用ノズル20が撮像面13よりも撮影方向側に突出しないように構成することが可能となり、その結果、車載カメラ10とカメラ用ノズル20部分の外観意匠性を向上させることができる。
【0037】
(2)カメラ用ノズル20は、車載カメラ10から離間して配置される。これにより、カメラ用ノズル20と車載カメラ10とが互いに形状等の構成の制約を受けないため、それらの設計自由度を向上させることができる。また、車体P側からの影響でカメラ用ノズル20や車載カメラ10が振動した場合でも互いに干渉しにくく、その結果、カメラ用ノズル20及び車載カメラ10の損傷の虞を減らせることができる。
【0038】
(3)カメラ用ノズル20は車体Pのみに固定された構成であるため、カメラ用ノズル20を容易に固定することが可能となる。
(4)吐出口31aは、吐出方向と直交する方向において接続口よりも幅広に形成されるため、撮像面13全域に亘って好適に洗浄液Wを供給することが可能となる。
【0039】
(5)吐出口31aには、吐出する洗浄液Wを整流する整流部24cが設けられる。これにより、吐出口31aから吐出される洗浄液Wが整流部24cにて整流されるため、洗浄液Wが吐出される際に意図しない方向に飛散してしまうことを抑制することができる。
【0040】
(6)カメラ用ノズル20は、車載カメラ10とともに車体Pの後部に設けられ、車体Pの後部に設けられたガーニッシュGと車体Pとの間の空間に配置される。これにより、カメラ用ノズル20の車体後方側がガーニッシュGにて覆われる構成となるため、機能的で意匠性に乏しくなりがちなカメラ用ノズル20が目視されてしまうことを回避でき、車体Pの後部の意匠を損なうことなく撮像面13の洗浄を可能とすることができる。また、このような構成において、カメラ用ノズル20が撮像面13よりも撮影方向側に突出しないように構成されているため、カメラ用ノズル20がガーニッシュGと干渉してしまうことを抑制することが可能となる。
【0041】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のカメラ用ノズル20の構成を、例えば、図4及び図5に示すように変更してもよい。図4及び図5に示す構成では、カメラ用ノズル40は、洗浄液Wを噴出する噴出口41aを有するノズル本体41と、ノズル本体41とは別体で構成され吐出口42aを有するガイド部材42とから構成されている。
【0042】
ガイド部材42は、その固定部43が一対のねじS(図5参照)にて車体Pのノズル固定部Pbに固定されるとともに、その固定部43のねじS間の部位でノズル本体41を保持している。
【0043】
ノズル本体41は、上記実施形態と同様の接続筒部26を有し、その接続筒部26はガイド部材42の固定部43に挿通保持されている。ノズル本体41の先端部には、ガイド部材42から突出するヘッド部44が形成され、このヘッド部44内には、接続筒部26と連通する噴出口41aが形成されている。接続筒部26から導入された洗浄液Wは、ヘッド部44で略直角に流れ、噴出口41aからノズル固定部Pbに沿って下側に噴出されるようになっている。
【0044】
ガイド部材42には、固定部43から延びるガイド部45が形成されている。ガイド部45は、底面部45aと、その底面部45aの車幅方向両縁部から上側に略直角に延出された側面部45bとから断面略コ字状に形成されるとともに、根本部に対して先端部の吐出口42aが車幅方向に拡がった形状をなしている(図5参照)。ガイド部45の底面部45aは、車体後方側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜している。ガイド部材42は、噴出口41aから底面部45aに向かって噴出された洗浄液Wをガイド部45で案内して吐出口42aから下り勾配面14に向けて吐出し、下り勾配面14に着水した洗浄液Wは、下り勾配面14の傾斜に倣って撮像面13へと流れる。
【0045】
このような構成では、上記実施形態と略同様の作用及び効果を得ることができる。更に、カメラ用ノズル40が、別体で構成されたノズル本体41とガイド部材42とからなるため、車載カメラ10の仕様の大幅な変更へもノズル本体41は同一構成としてガイド部材42のみの変更で対応することができる。
【0046】
また、ガイド部材42がノズル本体41とは別体構成であることから、ガイド部材42をノズル本体41とは異なる材質にすることが可能となる。このため、ガイド部材42に例えばゴム等の弾性を有する材質を用いることで、車体P側からの振動等によって仮にガイド部材42とカメラ10の下り勾配面14とが衝突してしまった場合等に、カメラ10の位置ずれ及び損傷を抑えることができる。
【0047】
また、上記実施形態のカメラ用ノズル20の構成を、図4及び図5に示すノズル本体41とガイド部材42とを一体部品とした形成した構成としてもよい。
・上記実施形態では、カメラ用ノズル20の第1部材21と第2部材22とが別体で構成されているが、これに特に限定されるものではなく、第1部材21と第2部材22とを一体部品として形成してもよい。
【0048】
・上記実施形態の撮像面13は、レンズで構成されていてもよいし、レンズで構成されていなくてもよい。
・上記実施形態において、カメラ用ノズル20の吐出口31aから吐出されて下り勾配面14に着水した洗浄液Wを、ハウジング12の外面に設けられた段差部12a(図2及び図3参照)によって撮像面13にガイドしてもよい。この構成によれば、吐出口31aから吐出された洗浄液Wを効率的に撮像面13に供給することが可能となる。
【0049】
・上記実施形態では、カメラ10は、その前面の撮像面13が後方下部を撮像するように下方に傾斜配置され、これにより、カメラ10の上面が前面(撮像面13)側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り勾配面14となっているが、これに特に限定されるものではない。
【0050】
例えば、図6に示すように、車載カメラを、前面の撮像面50aに向かうにつれて先細りする台形型のカメラ50とし、その傾斜する上面を下り勾配面50bとして構成してもよい。また、図7に示すように、車載カメラを半球型のカメラ60とし、前面の撮像面50aの上側の湾曲部位を下り勾配面60bとして構成してもよい。この図6及び図7に示すような構成によれば、カメラ50,60の撮像方向(カメラ10の設置向き)を水平若しくは水平近くとした場合であっても、下り勾配面50b,60bを撮像面50a,60a側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜するように構成することができ、その結果、設計自由度の向上に寄与できる。
【0051】
・上記実施形態では、カメラ用ノズル20が車体Pのみに支持される構成としたが、これ以外に例えば、車体PとガーニッシュGの内側部位とによって支持される構成としてもよい。
【0052】
・上記実施形態のカメラ用ノズル20及び図4及び図5に示す構成のノズル本体41において、ポンプ装置4の停止状態で吐出口31a又は噴出口41aからの洗浄液Wの漏れを防止するためのチェックバルブを設けてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、リヤノズル6側に向かうホース7bから単にホース7cを分岐させてカメラ用ノズル20に接続し、リヤノズル6での洗浄液Wの噴射と同時にカメラ用ノズル20での洗浄液Wの吐出が実施される構成としたが、これに特に限定されるものではない。例えば、リヤノズル6とカメラ用ノズル20とでポンプ装置4を個々に設けたり、リヤノズル6とカメラ用ノズル20との流路を切り替える切替バルブ等を用いて、それぞれ独立して作動するようにしてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、後方視認用のカメラ10を洗浄するカメラ用ノズル20に適用したが、側方視認用のサイドビューカメラや前方視認用のフロントビューカメラ等、その他の車載カメラを洗浄するカメラ用ノズルに適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…車載カメラ洗浄システム、3…ウォッシャタンク、4…ポンプ装置、10…車載カメラ、13,50a,60a…撮像面、14,50b,60b…下り勾配面、20,40…車載カメラ用ウォッシャノズル、24c…整流部、26…接続筒部(接続口)、31a,42a…吐出口、41…ノズル本体、41a…噴出口、42…ガイド部材、G…ガーニッシュ、P…車体、W…洗浄液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられ該車体の周囲を撮像面を介して撮像する車載カメラに対して、前記撮像面の洗浄のための洗浄液を吐出口から吐出する車載カメラ用ウォッシャノズルであって、
前記車載カメラは、前記車体への取付状態において前記撮像面の上側に、該撮像面側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り勾配面を有するものであり、
前記吐出口は、前記下り勾配面に向けて前記洗浄液を吐出するように構成されたことを特徴とする車載カメラ用ウォッシャノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、
前記車載カメラから離間して配置されていることを特徴とする車載カメラ用ウォッシャノズル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、
前記車体のみに固定されていることを特徴とする車載カメラ用ウォッシャノズル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、
前記吐出口は、吐出方向と直交する方向において、洗浄液を前記ウォッシャノズル内に導入する接続口よりも幅広に形成されていることを特徴とする車載カメラ用ウォッシャノズル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、
前記吐出口には、吐出する洗浄液を整流する整流部が設けられていることを特徴とする車載カメラ用ウォッシャノズル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、
前記車載カメラとともに前記車体の後部に設けられ、前記車体の後部に設けられたガーニッシュと前記車体との間の空間に配置されていることを特徴とする車載カメラ用ウォッシャノズル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルにおいて、
洗浄液を噴出する噴出口を有するノズル本体と、
前記ノズル本体とは別体で構成され前記吐出口を有するガイド部材と
を備え、前記ガイド部材は、前記噴出口から噴出された洗浄液を案内して前記吐出口から前記下り勾配面に向けて吐出するように構成されたことを特徴とする車載カメラ用ウォッシャノズル。
【請求項8】
車体の周囲を撮像面を介して撮像する車載カメラと、
洗浄液を貯蔵するタンクと、
前記タンクに貯蔵された洗浄液を圧送するポンプと、
前記ポンプにて圧送された洗浄液を前記車載カメラの前記撮像面に供給する車載カメラ用ウォッシャノズルと
を備えた車載カメラ洗浄システムであって、
前記車載カメラ用ウォッシャノズルには、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車載カメラ用ウォッシャノズルが用いられていることを特徴とする車載カメラ洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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