説明

車載ディスプレイ装置

【課題】 コスト面で有利にできる車載ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】 車載ディスプレイ装置10は、メディア挿排出口19を有する筐体11と、筐体11の目隠部20,22と操作パネル締結部32,38とメディア挿排出口19に連通するメディア挿通部21,23とを有して筐体11に取り付けられるインナー部材12と、開閉自在に筐体11に取り付けられるディスプレイ17と、ディスプレイ17の前面に取り付けられる操作パネル18とを備え、インナー部材12は、ディスプレイ17の開閉動作を支持するための回動溝24を有する一対の立壁部材15,16が、複数種から選択的に選ばれて取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるメディアのプレーヤーやカーナビゲーションシステム等を含む車載ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筐体の前部に枠状の前面パネルが取り付けられて、前面パネルの両側に表示パネルの開閉動作を支持するガイド溝が形成された車載ディスプレイ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の車載ディスプレイ装置は、使用者がメディアを使用する際に、表示パネルを開成させて、筐体の前面に配置されているメディアのスロットを露出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−47483号公報(図3、段落0030,0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車載ディスプレイ装置は、表示パネルと構成部材とを適正な位置に位置決めでき、組み付け時に表示パネルとインストルメントパネル等の取付部材との隙間を小さくできる。
しかし、特許文献1に記載の車載ディスプレイ装置は、表示パネルのガイド溝を有する前面パネルが筐体に一体的に設けられている。
そのため、特許文献1に記載の車載ディスプレイ装置は、車種の展開において、表示パネルの開閉動作に係る軌跡が車種毎に異なるために、車種毎に異なる構造を有する筐体を製造することになる。
従って、特許文献1に記載の車載ディスプレイ装置は、車種毎に異なる筐体を製造するために多額の金型費を必要として金型投資費用がかさみ、コスト面で不利である。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、コスト面で有利にできる車載ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載ディスプレイ装置は、メディア挿排出口を有する筐体と、前記筐体の目隠部と操作パネル締結部と前記メディア挿排出口に連通するメディア挿通部とを有して前記筐体に取り付けられるインナー部材と、開閉自在に前記筐体に取り付けられるディスプレイと、前記ディスプレイの前面に取り付けられる操作パネルとを備え、前記インナー部材は、前記ディスプレイの開閉動作を支持するための回動溝を有する一対の立壁部材が、複数種から選択的に選ばれて取り付けられる。
【0007】
本発明に係る車載ディスプレイ装置は、前記インナー部材が、金属製のインナー板金部材と樹脂製のインナー部材本体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車載ディスプレイ装置によれば、コスト面で有利にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置の分解斜視図
【図2】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置に用いるインナー板金部材の外観斜視図
【図3】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置に用いるインナー部材本体の外観斜視図
【図4】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置に用いるインナー部材の正面図
【図5】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置に用いるインナー部材の断面図
【図6】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置に用いる第1立壁部材の外観斜視図
【図7】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置に用いる第1立壁部材の正面図
【図8】本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置に用いる第2立壁部材の外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態の車載ディスプレイ装置10は、筐体11と、インナー板金部材13およびインナー部材本体14からなり、車種展開において共通に製造されるインナー部材12とを備える。
また、車載ディスプレイ装置10は、第1立壁部材15と、第2立壁部材16と、ディスプレイ17と、操作パネル18とを備える。
【0011】
筐体11は、箱形状の外形を有し、それぞれ不図示のメディアのプレーヤーやカーナビゲーションシステム等の電気部品およびディスプレイ17を開閉動作させるための開閉機構を内蔵しており、前面の下部にメディア挿排出口19を有する。
【0012】
インナー部材12の一方を構成するインナー板金部材13は、比較的厚みの薄い金属製板部材をプレス成形することにより形成されており、中央部に筐体11の目隠部20を有し、筐体11のメディア挿排出口19に連通するメディア挿通部21を有する。
【0013】
インナー部材12の他方を構成するインナー部材本体14は、樹脂製であって中央部に筐体11の目隠部22を有し、筐体11のメディア挿排出口19に連通するメディア挿通部23を有する。
【0014】
第1立壁部材15は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14とは別体に形成されている。第1立壁部材15は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14の図1中の左端部に取り付けられ、内側に第1回動溝24を有する。
【0015】
第2立壁部材16は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14とは別体に形成されている。第2立壁部材16は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14の図1中の右端部に取り付けられ、内側に第2回動溝(図8参照)25を有する。
【0016】
ディスプレイ17は、液晶パネル26を有し、筐体11に電気的に接続されることにより、筐体11から送られてきた電気信号により画像等の情報を表示する。ディスプレイ17は、上端部の側部に一対の第1突起27および第2突起28を有する。
ディスプレイ17は、第1突起27が第1立壁部材15の第1回動溝24に挿入され、第2突起28が第2立壁部材16の第2回動溝25に挿入される。
【0017】
操作パネル18は、センターコンソールボックスの中央部等の使用者側に配置される。操作パネル18には、筐体11内の電気部品を操作するための複数のスイッチ29が前面に配置されており、中央部の開口部30にディスプレイ17が配置される。
操作パネル18は、複数のスイッチ29のうちのディスプレイ開閉スイッチ31が開操作されると、筐体11の開閉機構が開駆動される。
このとき、第1立壁部材15の第1回動溝24に挿入された第1突起27と、第2立壁部材16の第2回動溝25に挿入された第2突起28とが、第1回動溝24および第2回動溝25に支持されている。
そのため、筐体11の開閉機構の開駆動に伴い、ディスプレイ17が開いて使用者によりメディアのプレーヤーが操作可能な状態となる。
【0018】
操作パネル18は、ディスプレイ17が開いているときに、ディスプレイ開閉スイッチ31が閉操作されると、筐体11の開閉機構が閉駆動される。そのため、筐体11の開閉機構の閉駆動に伴い、ディスプレイ17が閉じる。
【0019】
図2に示すように、インナー板金部材13は、両側部にフランジ状に側方に向けて突出した一対の操作パネル締結部32を有し、これら操作パネル締結部32に、筐体11に取り付けるための複数のねじ挿通孔33を有する。
インナー板金部材13は、一対の操作パネル締結部32からフランジ状に前方に向けて突出した第1鍔部34および第2鍔部35を有し、これら第1鍔部34および第2鍔部35に複数の位置決孔36および位置決孔37を有する。
【0020】
図3に示すように、インナー部材本体14は、両側部にフランジ状に側方に向けて突出した一対の操作パネル締結部38を有し、これら操作パネル締結部38に、筐体11に取り付けるための複数のねじ挿通孔39を有する。
【0021】
図4および図5に示すように、インナー部材本体14は、インナー板金部材13の前面に組付けられることにより、インナー板金部材13の目隠部20がインナー部材本体14の目隠部22に重ねられる。
また、インナー板金部材13のメディア挿通部21がインナー部材本体14のメディア挿通部23に連通接続される。
【0022】
図6および図7に示すように、第1立壁部材15は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14の高さ寸法に略同一の高さ寸法を有する樹脂製の板部材である。
第1立壁部材15は、内面に、ディスプレイ17の第1突起27が挿入される第1回動溝24が略S字形状に形成されている。
第1立壁部材15は、外面に、インナー板金部材13の第1鍔部34に有する位置決孔36に挿入される複数の位置決突起40を有する。
第1立壁部材15は、位置決突起40がインナー板金部材13の第1鍔部34に有する位置決孔36に挿入されて位置決めされた後に、インナー板金部材13の第1鍔部34にねじ止め等により取り付けられる。
【0023】
図8に示すように、第2立壁部材16は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14の高さ寸法に略同一の高さ寸法を有する樹脂製の板部材である。
第2立壁部材16は、内面に、ディスプレイ17の第2突起28が挿入される第2回動溝25が、第1立壁部材15の第1回動溝24に対向する対称位置に略S字形状に形成されている。
第2立壁部材16は、外面に、インナー板金部材13の第2鍔部35に有する位置決孔37に挿入される複数の位置決突起41を有する。
第2立壁部材16は、位置決突起41がインナー板金部材13の第2鍔部35に有する位置決孔37に挿入されて位置決めされた後に、インナー板金部材13の第2鍔部35にねじ止め等により取り付けられる。
【0024】
このような車載ディスプレイ装置10は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14が車種展開において共通に製造される。
これとは異なり、車種展開において、車種毎に異なるディスプレイ17の開閉軌跡に応じて固有の第1回動溝24および第2回動溝25を有する第1立壁部材15および第2立壁部材16が製造される。
すなわち、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、ディスプレイ17の開閉構造に応じて複数種から選択的に選ばれた第1回動溝24および第2回動溝25を有して製造される。
従って、車種毎の第1立壁部材15および第2立壁部材16を製造するだけになって、インナー部材12全体を車種毎に異なった形状に製造する必要がなくなるために、多額の金型費を不要として金型投資費用が減少され、コスト面で有利にできる。
【0025】
このとき、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14に比べてボリュームが小さくなっている。
従って、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、成形時に樹脂のひけ等の影響を受けずに製造できる。
また、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14とは別途に製造されるために、必要な材料を削減できる。
【0026】
そして、第1立壁部材15が、位置決突起40をインナー板金部材13の位置決孔36に位置決めされ、第2立壁部材16が、位置決突起41をインナー板金部材13の位置決孔37に位置決めされて、インナー板金部材13に取り付けられる。
そのため、筐体11の開閉機構の開閉駆動に伴い、第1立壁部材15の第1回動溝24および第2立壁部材16の第2回動溝25によりディスプレイ17の第1突起27および第2突起28を移動自在に支持する。
【0027】
このとき、熱の影響を受け難い金属製のインナー板金部材13と熱の影響を受けやすい樹脂製のインナー部材本体14とが一体的に組付けられるインナー部材12のインナー板金部材13に第1立壁部材15および第2立壁部材16が取り付けられている。
従って、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、熱の影響を受け難いインナー板金部材13に取り付けられることにより、熱の影響を受けずにディスプレイ17の開閉動作を支持できる。
【0028】
以上、説明したように一実施形態の車載ディスプレイ装置10によれば、車種毎に異なるディスプレイ17に応じて、第1回動溝24および第2回動溝25を有する第1立壁部材15および第2立壁部材16が複数種から選択的に選ばれる。
従って、車種毎の第1立壁部材15および第2立壁部材16を製造するだけになって、インナー部材12全体を車種毎に異なった形状に製造する必要がなくなるために、多額の金型費を不要として金型投資費用が減少され、コスト面で有利にできる。
【0029】
また、一実施形態の車載ディスプレイ装置10によれば、金属製のインナー板金部材13と樹脂製のインナー部材本体14とが一体的に組付けられるインナー部材12のインナー板金部材13に第1立壁部材15および第2立壁部材16が取り付けられている。
従って、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、熱の影響を受け難いインナー板金部材13に取り付けられることにより、熱の影響を受けずにディスプレイ17の開閉動作を支持できる。
【0030】
そして、一実施形態の車載ディスプレイ装置10によれば、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14に比べてボリュームが小さくなっている。
従って、一実施形態の車載ディスプレイ装置10によれば、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、成形時に樹脂のひけ等の影響を受けずに製造できる。
また、一実施形態の車載ディスプレイ装置10によれば、第1立壁部材15および第2立壁部材16は、インナー板金部材13およびインナー部材本体14とは別途に製造されるために、必要な材料を削減できる。
【0031】
なお、本発明の車載ディスプレイ装置において筐体,ディスプレイ,操作パネル等は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上述べたように、本発明の車載ディスプレイ装置によれば、コスト面で有利にできるものである。以上の結果として、限りある資源を有効に使用でき、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0033】
10 車載ディスプレイ装置
11 筐体
12 インナー部材
13 インナー板金部材
14 インナー部材本体
15 第1立壁部材
16 第2立壁部材
17 ディスプレイ
18 操作パネル
19 メディア挿排出口
20 目隠部
21 メディア挿通部
22 目隠部
23 メディア挿通部
24 第1回動溝
25 第2回動溝
32 操作パネル締結部
38 操作パネル締結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディア挿排出口を有する筐体と、
前記筐体の目隠部と操作パネル締結部と前記メディア挿排出口に連通するメディア挿通部とを有して前記筐体に取り付けられるインナー部材と、
開閉自在に前記筐体に取り付けられるディスプレイと、
前記ディスプレイの前面に取り付けられる操作パネルとを備え、
前記インナー部材は、前記ディスプレイの開閉動作を支持するための回動溝を有する一対の立壁部材が、複数種から選択的に選ばれて取り付けられる車載ディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載ディスプレイ装置において、
前記インナー部材が、金属製のインナー板金部材と樹脂製のインナー部材本体とを備える車載ディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate