説明

車載ハンズフリー装置

【課題】発信履歴データや着信履歴データ、電話帳データの少なくとも1つを、車載ハンズフリー装置に送信するタイミングを所定タイミングとすることにより、携帯電話機の着信履歴データ、発信履歴データをできる限り、リアルタイムに更新する。
【解決手段】HFPとPBAPとを同時に接続することに着目し、ハンズフリー機能付き車載ナビゲーション装置1は、携帯電話機10との間でBluetooth通信回線を確立し、HFPにて動作すると共に、HFPと同時接続でPBAPを接続することで、当該携帯電話機10がBluetooth通信回線を確立する前に記憶した発信履歴データや着信履歴データを当該携帯電話機10から受信する。これ以降、作業メモリ6に記憶した発信履歴データや着信履歴データによる発信操作を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機が近距離通信圏内にあるときに当該携帯電話機との間で通信回線を確立する車載ハンズフリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話番号と登録名との対応を表す電話帳データを携帯電話機が車載ハンズフリー装置に自動転送する構成として、例えばユーザが携帯電話機を携帯して車両に乗り込み、携帯電話機が車載ハンズフリー装置の近距離通信圏内に進入すると、携帯電話機と車載ハンズフリー装置とが通信回線を確立し、携帯電話機が電話帳データを車載ハンズフリー装置に自動転送するものがある。このものによれば、ユーザは、車載ハンズフリー装置を操作することにより、携帯電話機の電話帳データのうちから所望の電話番号を選択して発信することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−193046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電話帳データの自動転送を規定するのみならず、発信履歴データや着信履歴データの自動転送を規定する携帯電話機が考えられている。例えば、Bluetooth(登録商標)では、車載ハンズフリー装置で、着信を受けたり、発信を行うためのハンズフリープロファイル(HFP)以外に、電話帳データ、上記発信履歴データや着信履歴データの車載ハンズフリー装置への送信に対応するため、新たなプロファイル(PBAP)が検討されている。
【0005】
本発明は、HFPとPBAPとを同時に接続することに着目し、発信履歴データや着信履歴データ、電話帳データの少なくとも1つを、車載ハンズフリー装置に送信するタイミングを所定タイミングとすることにより、携帯電話機の着信履歴データ、発信履歴データをできる限り、リアルタイムに更新することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、制御手段は、前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあり且つ前記データ転送プロトコル接続手段がデータ転送中にあるときに携帯電話機が着信したときには、その着信状態が終了して、その着信状態とは異なる通信状態に移行したときに、前記データ転送プロトコル接続手段によるデータ転送プロトコルのデータ転送処理を最初から再開させる。
【0007】
これにより、データ転送プロトコルのデータ転送中にあるときに携帯電話機が着信した場合であっても、その着信状態が、その着信状態と異なる通信状態に移行すると、データ転送プロトコルのデータ転送処理を最初から再開することにより、当該着信における着信履歴データ、不在着信履歴データをも取得することができ、携帯電話機での最新の着信履歴を更新することが可能となる。また、その着信状態と異なる通信状態に移行すると、データ転送プロトコルのデータ転送処理を最初から再開することで、上記着信が応答した着信なのか、不在着信であったかが把握できる。
【0008】
また、請求項2記載の発明では、制御手段は、前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあるときに当該携帯電話機の操作により発信したと判定した場合には、前記データ転送プロトコル接続手段によるデータ転送プロトコルにて、携帯電話機からの発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを受信させる。
これにより、携帯電話機自体の操作で発信がなされたと判定した場合に、携帯電話機の少なくとも発信履歴データが、データ転送プロトコルにて送信されるので、携帯電話機の発信履歴データをほぼリアルタイムで更新することが可能となる。
【0009】
また、請求項3記載の発明では、制御手段は、前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあるときに自装置から発信したと判定した場合には、前記データ転送プロトコル接続手段によるデータ転送プロトコルにて、携帯電話機からの発信履歴データを受信させる。
これにより、車載ハンズフリー装置自体の操作で発信がなされたと判定した場合に、携帯電話機の少なくとも発信履歴データが、データ転送プロトコルにて送信されるので、携帯電話機の発信履歴データをほぼリアルタイムで更新することが可能となる。
【0010】
また、請求項4記載の発明では、制御手段は、前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあり且つ着信状態にあるときには、その着信状態が終了して、その着信状態とは異なる通信状態に移行したときに、前記データ転送プロトコル接続手段によるデータ転送プロトコルにて、携帯電話機からの着信履歴データ、不在着信履歴データのうち少なくともいずれかを受信させる。
これにより、着信状態と異なる通信状態に移行すると、データ転送プロトコルのデータ転送処理にて、当該着信における着信履歴データ、不在着信履歴データをも取得することができ、携帯電話機での最新の着信履歴を更新することが可能となる。また、その着信状態と異なる通信状態に移行すると、データ転送プロトコルのデータ転送処理を最初から再開することで、上記着信が応答した着信なのか、不在着信であったかが把握できる。
【0011】
また、請求項5記載の発明では、制御手段は、前記データ転送プロトコル接続手段によるデータ転送プロトコルにて定期的にデータ転送を行い、携帯電話機からの発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを受信させる。
これにより、携帯電話機での最新の着信履歴、不在着信、発信履歴を更新することが可能となる。
【0012】
また、請求項6記載の発明では、制御手段は、前記データ転送プロトコル接続手段によるデータ転送プロトコルを発信履歴データの表示画面、着信履歴データの表示画面、不在着信履歴データの表示画面及び電話帳データの表示画面のうち少なくともいずれかに遷移したことを条件して接続させ、携帯電話機からの発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを受信させる。
これにより、使用者が表示画面に、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、電話帳データを表示させる操作が行われると、携帯電話機での最新の着信履歴、不在着信、発信履歴、電話帳データの少なくとも1つを更新することが可能となる。つまり、不要なデータ転送処理を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート(その1)
【図3】フローチャート(その2)
【図4】フローチャート(その3)
【図5】フローチャート(その4)
【図6】フローチャート(その5)
【図7】フローチャート(その6)
【図8】フローチャート(その7)
【図9】フローチャート(その8)
【図10】フローチャート(その9)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、Bluetooth通信機能を有するハンズフリー機能付き車載ナビゲーション装置(以下、車載ナビゲーション装置と称する)に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、車載ナビゲーション装置にあって発明の要部を機能ブロック図として示している。車載ナビゲーション装置1は、制御部2(本発明でいう制御手段)、Bluetooth通信部3(本発明でいうハンズフリー通話プロトコル接続手段、データ転送プロトコル接続手段)、操作部4、表示部5、作業メモリ6、記憶メモリ7、マイクロホン8及びスピーカ9を備えて構成されている。
【0015】
制御部2は、車載ナビゲーション装置1の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。Bluetooth通信部3は、無線通信手段であってBluetooth通信機能付き携帯電話機(以下、携帯電話機と称する)10がBluetooth通信圏内に存在していれば、そのBluetooth通信圏内に存在している携帯電話機10との間で無線通信回線を確立してBluetoothの通信規格に準拠した通信を行う。
【0016】
本実施形態でのBluetooth通信部3は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFP(Hands Free Profile)及び電話帳データの転送、発信履歴データや着信履歴データの転送を行うためのPBAP(Phone Book Access Profile)に対応している。これらプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
【0017】
携帯電話機10は、周知のように単独(ハンズフリー機器との間でHFPを接続していない状態)では、携帯電話網の基地局(図示せず)との間で携帯電話回線を確立して電話の発信処理及び着信処理を単独で行うことが可能に構成されている。この場合、携帯電話機10は、発信処理としては例えばユーザがダイアルキー(「0」〜「9」の数字キー)(図示せず)を操作して発信先の電話番号を入力し、続いて発信キー(図示せず)を操作すると、当該電話番号を発信先として発信することができ、発信先の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。また、携帯電話機10は、着信処理としては発信元の携帯電話機が当該携帯電話機10を発信先として発信したことに応じて基地局から着信信号を受信すると、基地局から発信元の携帯電話機の電話番号を着信電話番号として受信し、ユーザが受話キー(図示せず)を操作すると、発信元の携帯電話機に応答することができ、発信元の携帯電話機との間で通話を行うことが可能となる。
【0018】
また、携帯電話機10は、日時(日付時刻)を計時する時計部(図示せず)を有しており、上記した発信処理でダイアルキーから入力した発信電話番号と時計部が計時している日時に基づく発信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の発信履歴データを保持し、上記した着信処理で基地局から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の着信履歴データを保持し、着信に対して応答しなかったときに基地局から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとして複数件分の不在着信履歴データを保持し、電話番号と登録名との対応を1件分のデータとして複数件分の電話帳データを保持している。電話帳データとは、ユーザが電話番号と登録名とを入力し、これら電話番号と登録名とを対応付けて例えば500件程度、不揮発性メモリ(図示せず)に記憶させておくものである。
【0019】
ここで、電話帳データを保有している場合、上記した発信履歴データ及び着信履歴データには、上記した登録名が含まれる。具体的には、基地局から受信した着信電話番号が電話帳データに登録された電話番号であり、この電話番号に登録名が電話帳データに登録されているか否かをチェックし、存在する場合には、着信履歴データは、電話番号と、着信日時と、登録名とから構成される。不在着信履歴データも、同様な処理で、電話番号と、着信日時と、その登録名とからなる。一方、発信履歴データも、上記発信処理で発信された電話番号が、電話帳データに登録された電話番号であるか否かをチェックし、存在する場合は、発信日時と、発信電話番号と、その登録名とから構成される。
【0020】
そして、ユーザは、電話帳データを読出して1つの電話番号を選択して発信することにより、電話番号を構成する数字に対応する全ての数字キーを一々入力しなくとも簡単な操作で間違いなく発信することができる。尚、携帯電話機10は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば最新の20件分を記憶可能であり、発信処理や着信処理や不在着信を行う毎に最古のデータを自動的に消去し、発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを更新する。
【0021】
そして、携帯電話機10は、ハンズフリー通話を行うための周知のHFP及び電話帳データの転送、発信履歴データや着信履歴データの転送を行うためのPBAP)に対応している。携帯電話機10が、発信履歴データや着信履歴データの自動転送を規定しているPBAPに対応している場合には、Bluetooth通信部3との間で通信回線を確立した直後にPBAPを接続し、その時点で記憶している電話帳データを自動転送し、さらに、その時点で記憶している発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データを自動転送する。これにより、携帯電話機10は、車載ナビゲーション装置1がBluetooth通信圏内に存在している場合には、単独で過去に発信処理を行って記憶した最大で20件分の発信履歴データや単独で過去に着信処理を行って記憶した最大で20件分の着信履歴データや単独で過去に不在着信処理を行って記憶した最大で20件分の不在着信履歴データを車載ナビゲーション装置1に自動転送する。
【0022】
操作部4は、例えば表示部5に形成されるタッチキーから構成され、ユーザの操作を検出し、その操作内容を表す操作信号を制御部2に出力する。表示部5は、制御部2から表示信号を入力すると、その入力した表示信号に基づいて表示画面を表示し、例えばユーザが電話番号を入力する表示画面として「0」〜「9」に対応したダイアルキーが配列された表示画面を表示する。作業メモリ6は、揮発性のメモリから構成され、携帯電話機10からユーザが何ら操作することなく自動転送された発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを記憶する。この場合、作業メモリ6は、これら発信履歴データや着信履歴データや不在着信履歴データをそれぞれ例えば5件分を記憶可能である。記憶メモリ7は、不揮発性のメモリから構成され、各種データを記憶する。
【0023】
この場合、制御部2は、ユーザが発信履歴データの表示要求を操作部4にて行うと、作業メモリ6に記憶されている発信履歴データを表示部4に表示させ、ユーザが着信履歴データの表示要求を操作部4にて行うと、作業メモリ6に記憶されている着信履歴データを表示部4に表示させ、ユーザが電話帳データの表示要求を操作部4にて行うと、作業メモリ6に記憶されている電話帳データを表示部4に表示させる。尚、本実施形態の車載ナビゲーション装置1では、上記したように作業メモリ6に記憶される発信履歴データ及び着信履歴データはそれぞれ5件であり、表示部4に表示される最大表示件数もそれぞれ5件である。
【0024】
マイクロホン8は、携帯電話機10を用いたハンズフリー通話を行うときに、ユーザが発した音声を入力し、スピーカ9は、携帯電話機10を用いたハンズフリー通話を行うときに、通話相手の受話音声を出力する。すなわち、Bluetooth通信部3と携帯電話機10との間でBluetooth通信回線を確立してHFPを接続すると、制御部2は、マイクロホン8が入力した音声をBluetooth通信部3から携帯電話機10に送信させて携帯電話機10から携帯電話網に送信させると共に、携帯電話機10が携帯電話網から受信した音声を携帯電話機10からBluetooth通信部3に受信させてスピーカ9から出力させる。
【0025】
尚、上記した車載ナビゲーション装置1は、図示した機能ブロックの他に、自車両の現在位置を検出する現在位置検出部としてのGPS装置、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索部、地図データが記録さている記録媒体から地図データを読取る地図データ読取部、VICS(登録商標)センターから配信されたVICS情報を受信するVICS情報受信部、ユーザが発した音声を音声認識する音声認識部などのナビゲーション動作に必要な機能ブロックをも備えて構成されている。
【0026】
また、上記した車載ナビゲーション装置1は、ACCスイッチのオンオフに連動して起動・停止(給電・給電停止)するように構成されており、例えばユーザが操作したことに応じてACCスイッチがオンからオフに切替わり、電源供給が停止されて装置電源がオンからオフに移行すると、その直前に記憶メモリ7に記憶されている各種データは消去されないが(記憶保持されるが)、その直前に作業メモリ6に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データは消去されるように構成されている。
【0027】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図10を参照して説明する。尚、ここでは、携帯電話機10は、最大記憶可能件数である20件分の発信履歴データ及び最大記憶可能件数である20件分の着信履歴データを既に保持(記憶)しており、この状態で、携帯電話機10を携帯するユーザが車両に近づいて車内に乗り込み、携帯電話機10が車載ナビゲーション装置1のBluetooth通信圏内に進入したことを前提として説明する。
【0028】
最初に、車載ナビゲーション装置1において、制御部2が携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを受信する手順について、図2を参照して説明する。尚、ユーザは、車載ナビゲーション装置1にて、Bluetooth通信の相手となる携帯電話機10を予め登録している。例えばこれには初期通信時に携帯電話機毎に4桁のパスワードを入力し、1または10がお互いのみ知るリンクキー生成し、これをお互いで保持登録しておく。そして、初期接続時にリンクキーの認証を行うことで、通信接続すべき携帯電話機10を選択している。つまり、未登録の携帯電話機は、HFP接続及びPBAP接続で接続されることは無く、基本的に、その車両の所有者の携帯電話機が登録されることとなる。
【0029】
本実施形態では、車載ナビゲーション装置1には、通信接続対象となる複数の携帯電話機10が登録されており、さらに、複数の携帯電話機10に対して例えば操作部4を操作して優先順位を予め設定しており、制御部2は当該優先順位を記憶している。例えば、これは、ユーザによっては、複数の携帯電話機を所有している場合があるからである。
【0030】
本実施形態の前提として、車載ナビゲーション装置1のBluetooth通信部3は、HFP及びPBAPの両プロトコルに対応し、且つ、これら2つのプロファイルを同時接続(マルチプロファイル接続)することができる。尚、ここで同時接続とは、2つを意味する。Bluetoothでは、1つのマスター通信装置に対して最大7台のスレーブ通信装置が時分割多重にて同時接続可能であり、この場合、通信チャネルは、独立した7つの時分割チャネルで通信することが可能である。したがって、同時接続とは、7つのうち2つの通信チャネルを用いて、2つの一つをHFPで使用し、残りをPBAPで使用するという形態が在り得る。また、1つの通信チャネルの論理チャネルを、パケット通信のように、HFP、PBAPで共用して同時に動作させることも可能である。これら二つの形態を本実施形態では、同時接続と呼ぶ。
【0031】
説明に戻ると、制御部2は、優先順位が上位の携帯電話機10をHFPの接続対象として選択する(ステップS1)。ここで、本実施形態では、最初にPBAPでの通信接続を行わずに、先ずはHFPでの通信を試みる。この理由は、後述する。そして、制御部2は、その選択した携帯電話機10に対してHFPを接続し(ステップS2)、HFPの接続に成功したか否かを判定する(ステップS3)。ここで、制御部2は、HFPの接続に成功した旨を判定すると(ステップS3にて「YES」)、そのHFPの接続に成功した携帯電話機10に対してPBAPを接続する(ステップS4)。ここでの接続とは、PBAPでのデータ転送を行うための通信リンクを確立するために必要な初期接続処理である。
【0032】
次いで、制御部2は、発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データのデータ転送処理を行う(ステップS5)、発信履歴データ、着信履歴データ及び不在着信履歴データの転送処理を終了すると、電話帳データの転送処理を開始し(ステップS6)、電話帳データの転送処理を行う。このような処理によって、ハンズフリー待受処理に移行し、携帯電話機への着信を操作部4で受けて、通話したり、操作部4からの操作により携帯電話機に発信させることが可能となるとともに、PBAPでのデータ転送がすぐさま行えるように、PBAPも接続状態となることで、Bluetoothの通信状態としては、同時接続となる。
【0033】
これに対して、制御部2は、HFPの接続に成功しなかった(失敗した)旨を判定すると(ステップS3にて「NO」)、優先順位が次位の携帯電話機10が存在するか否かを判定し(ステップS7)、優先順位が次位の携帯電話機10が存在する旨を判定すると(ステップS7にて「YES」)、その優先順位が次位の携帯電話機10をHFPの接続対象として選択し(ステップS8)、上記したステップS2に戻り、上記した処理を繰返して行う。
【0034】
以上のように、携帯電話機10が、車載ハンズフリー装置1に近づいて、Bluetoothによる無線接続がなされると、PBAPによるデータ転送が行われるととともに、HFPも同時接続状態となり、ハンズフリー待受状態を維持したが、以下、さらに詳しく、PBAPによるデータ転送処理を説明する。
【0035】
本実施形態では、制御部2は、前提として、上述のように、携帯電話機10がBluetooth通信圏内に存在していれば、そのBluetooth通信圏内に存在している携帯電話機10との間でHFPだけの接続を、最初に行って、ハンズフリー待受状態とし、その後、PBAPの初期接続処理を行った。
【0036】
この理由は、車載ナビゲーション装置1の動作として、HFPとPBAPとの初期接続を同時に行うと、同時処理により負荷がかかるとともに、同時処理によるソフトウェアが複雑になる、さらには、同時処理によりHFP接続の完了が遅延することが考えられるためである。本実施形態の場合は、同時接続を安定して確実に行うことが可能となる。さらには、HFPの接続完了までの接続時間を短時間にすることができるため、ユーザが車両に携帯電話機10を持ち込んだときに、早期にHFPによるハンズフリー待受による発信処理、着信処理を行う状態にすることが可能となる。
【0037】
このような場合において、図3において、HFPの接続状態にあり且つPBAPを接続処理中(S4の処理に相当)にあるときに、携帯電話機10が着信を検出した旨を判定すると(ステップS11にて「YES」)、PBAPの接続処理を停止させ(ステップS12)、その着信状態または当該着信に係る通話状態が終了して待受状態に移行したか否かを判定する(ステップS13)。尚、待受状態かどうかを判定するための情報は、HFP上で通知されるものであって、携帯電話機10から、自己の通信状況(待受状態、発信中、着信中、通話中)が変化するごとに通知されるものである。車載ハンズフリー装置1からの要求により、受信し、得ても良い。
【0038】
そして、制御部2は、車載ハンズフリー装置1で着信拒否した、携帯電話機10で着信拒否した、発信相手側で発信を取消(キャンセル)した或いは終話した、携帯電話機10もしくは車載ハンズフリー装置1での操作で通話を終話したことにより、待受状態に移行した旨を判定すると(ステップS13にて「YES」)、PBAPの接続処理を最初から再開させ(ステップS14)、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS15)。これにより、PBAPの接続処理中にあるときに携帯電話機10が着信した場合であっても、その着信状態または当該着信に係る通話状態が終了して待受状態に移行してからPBAPの接続処理を最初から再開することにより、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを適切に取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。特に、車載ハンズフリー装置1は、着信履歴データとして、S11での着信に係るデータをも得ることができる。
【0039】
尚、S14では、着信状態から待受状態に移行したときに、PBAP接続を最初から開始したが、これには以下の理由がある。着信状態を検出した時点で、携帯電話機10には、新たな着信履歴データが発生することとなる。そして、着信状態を検出した時点で、PBAPの初期接続処理を開始することも可能であるが、初期接続処理を行ってデータ転送を行い始めた時点で、未だに着信が継続していると、その着信が不在着信なのか応答した着信なのかが不明である。このため、この状態で、仮に着信に係るデータを受信したとしても、車載ナビゲーション装置1としては、着信履歴の表示において、不在着信なのか応答した着信なのか区別して表示できない。そこで、着信状態から異なる状態に移行したとき、つまり、着信状態から通話状態を介さずに待受状態、着信状態から通話状態となったタイミングで、PBAPでの初期接続処理、およびデータ転送を最初からやり直す。
【0040】
本実施形態では、着信状態から通話状態を経由して待受状態になる、着信状態から通話状態を経由せずに待受状態といったように、最終的には待受状態に移行するため、待受状態を検出して、PBAP接続を最初から開始するようにしている。もちろん、着信状態から通話状態を検出し、これをPBAP接続のトリガーとしても良い。
【0041】
図3では、HFP接続状態でかつPBAP初期接続処理中において、着信があった場合のでの処理を説明したが、図4は、HFP接続状態でPBAP接続状態でデータ(発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、電話帳データ)を転送中に、着信が発生した場合の処理を表している。図4は、図3でいうと、S11でNOと判定されている間に、PBAPA接続処理が完了し、データ転送処理に移行し、データ転送中となった場合、S15でのデータ転送中である場合に、対応している。
【0042】
図4において、制御部2は、HFPの接続状態にありPBAPの接続状態でデータを転送中にあるときに携帯電話機10が着信を検出した旨を判定すると(ステップS21にて「YES」)、データの転送を停止させ(ステップS22)、その着信状態または当該着信に係る通話状態が終了して待受状態に移行したか否かを判定する(ステップS23)。そして、制御部2は、車載ハンズフリー装置1で着信拒否した、携帯電話機10で着信拒否した、発信相手側で発信を取消した或いは終話したことにより、待受状態に移行した旨を判定すると(ステップS23にて「YES」)、データの転送を最初から再開させ(ステップS24)、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS25)。これにより、PBAPの接続状態でデータを取得中にあるときに携帯電話機10が着信した場合であっても、その着信状態または当該着信に係る通話状態が終了して待受状態に移行してからPBAPの接続処理を最初から再開することにより、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを適切に取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。特に、車載ハンズフリー装置1は、着信履歴データとして、S21での着信に係るデータをも得ることができる。尚、、S24では、着信状態から待受状態に移行したときに、PBAP接続を最初から開始したが、この理由、上述のS14での説明と同じ理由である。
【0043】
これまでは、携帯電話機10が車内に持ち込まれて、車載ハンズフリー装置1とHFP接続、PBAP接続・データ転送が始めて行われた例を説明したが、以下、PBAPによるデータ転送が成功した後における同時接続の処理について、説明する。
【0044】
本実施形態では、PBAPはデータ転送が終了したが、その接続自体は維持されて、HFPとPBAPとの同時接続状態となっており、この状態から車載ナビゲーション装置1からの要求、自己判断により、所定タイミングでPBAPによりデータ転送を開始することが可能である。これによって、車載ハンズフリーシステムとして、新たな着信、発信が発生した場合でも、携帯電話機10の最新の発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信データを更新できる。以下、図5〜図10で、これを説明する。
【0045】
前提としては、S2でHFP接続後において、携帯電話機10に対して着信があった場合、携帯電話機10には、その着信及び発信を含む着信履歴データ、発信履歴データは、結局、自己の履歴データであるため、携帯電話機10自身のメモリに保持している。また、S2でHFP接続後において、操作部4にてBluetooth通信部3を介して携帯電話機10にて発信処理が行われた場合、発信先の電話番号は、Bluetooth通信部3を介して携帯電話機10に送られるため、その発信を含む発信履歴データは、結局、自己の履歴データであるため、携帯電話機10自身のメモリに保持している。
【0046】
図5では、携帯電話機10の操作部での操作で発信処理が行われた場合における、データ転送処理を表している。HFPにて車載ハンズフリー装置1と携帯電話機10とが接続されている状態で、車載ハンズフリー装置1側の操作部4での操作にて発信処理が行うことが可能であることは、上述した通りである。これに加え、HFP接続状態で、携帯電話機10側の操作で発信処理を行って、ハンズフリー通話を行うこと可能な場合がある。
【0047】
そして、この場合、車載ハンズフリー装置1では、この発信処理による発信履歴データを取得し、最新状態へ更新処理する必要がある。車載ハンズフリー装置1は、自己の発信かどうかは判断でき、かつHFP接続にて携帯電話機10の通信状況が通知されるため、自己の操作部4での発信か、携帯電話機10での操作での発信処理かどうか判断することができる。
【0048】
そこで、図5において、制御部2は、待受状態にあるときに、携帯電話機10から発信した旨を判定すると(ステップS31にて「YES」)、その発信状態を終了して待受状態に移行したか否かを判定する(ステップS32)。例えば、このS32が発生する状況としては、車載ハンズフリー装置1で携帯電話機10からの発信を取消した、携帯電話機10で自機からの発信を取消した或いは発信相手側で着信を拒否したことより、通話状態とならずに、待受状態に移行した旨を判定する(ステップS32にて「YES」)。その後、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS33)。これにより、携帯電話機10からの発信が終了する毎に携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。尚、、この例では、S32にて、待受状態に移行したことを判定したが、発信状態となったことを検出すると、S33に進むようにしても良い。
【0049】
次に図6について説明する。図5では、携帯電話機10での発信操作を検出して、S33にてデータ転送処理を行うようにしたが、図6では、車載ハンズフリー装置1の操作部4で発信処理が開始された場合を示している。
【0050】
図6において、制御部2は、待受状態にあるときに車載ハンズフリー装置1から発信した旨を判定すると(ステップS41にて「YES」)、その発信状態を終了して待受状態に移行したか否かを判定する(ステップS42)。例えば、このS42が発生する状況としては、車載ハンズフリー装置1で自装置からの発信を取消した、携帯電話機10で車載ハンズフリー装置1からの発信を取消した或いは発信相手側で着信を拒否したことが在り得る。そして、S42にて、通話状態とならずに、待受状態に移行した旨を判定すると、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS43)。これにより、車載ハンズフリー装置1からの発信が終了する毎に携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。尚、この例では、S42にて、待受状態に移行したことを判定したが、発信状態となったことを検出すると、S43に進むようにしても良い。
【0051】
次に、図7について説明する。図7は、上記図5、図6の変形例であって、発信処理から通話状態とならずに待受状態になった例でなく、通話状態から待受状態に移行した場合に、データ転送を行うものである。
【0052】
図7において、制御部2は、車載ハンズフリー装置1と携帯電話機10とによるハンズフリー通話状態或いは携帯電話機10単体による通話状態であるときに、車載ハンズフリー装置1で終話した、携帯電話機10で終話した或いは通話相手側が終話したことにより、待受状態に移行した旨を判定すると(ステップS51にて「YES」)、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS52)。これにより、通話を終了する毎に携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。
【0053】
図8は、着信時の処理を表すものである。図8において、制御部2は、着信状態であるときに、車載ハンズフリー装置1で着信拒否した、携帯電話機10で着信拒否した或いは発信相手側で発信を取消した、着信したのち通話状態となり通話が終了したりして、待受状態に移行した旨を判定すると(ステップS61にて「YES」)、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS62)。これにより、着信を終了する毎に携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。
【0054】
尚、待受状態から着信状態となったら直ぐに、データ転送することも可能であるが、着信状態だけでは、その着信に対して電話に出なかった不在着信なのか、着信状態から通話状態となった応答着信なのかか不明である。このため、本実施形態では、着信状態から待受状態となった、不在着信である場合でも着信状態が終われば、待受状態となり、応答着信でもいずれは電話を終話して、待受状態に移行するため、待受状態となったことを判定し、これをトリガーとすることで、不在着信か応答着信かのデータを携帯電話機10から転送でき、不在着信なのか、応答着信なのかが認識できる表示画面を生成することが可能となる。
【0055】
図9は、発信、着信、通話といった通信状態を所定タイミングとするものでなく、タイマーを用いて、データ転送を開始するものである。図9において、制御部2は、PBAPの接続を完了すると、タイマ値を設定し(ステップS71)、タイマ値を所定時間間隔でデクリメントし(ステップS72)、タイマ値がタイムアップした旨を判定すると(ステップS73)、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS74)。これにより、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを定期的に取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。
【0056】
図10は、発信、着信、通話といった通信状態、タイマーを所定のタイミングとするものでなく、ユーザによる操作部4の操作をトリガーとして、データ転送を開始するものである。図10において、制御部2は、ユーザが表示画面を変更する操作を行い、発信履歴データの表示画面、着信履歴データの表示画面、不在着信履歴データの表示画面及び電話帳データの表示画面のうちいずれかに遷移した旨を判定すると(ステップS81にて「YES」)、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを取得する(ステップS82)。これにより、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを発信履歴データの表示画面、着信履歴データの表示画面、不在着信履歴データの表示画面及び電話帳データの表示画面のうちいずれかに遷移する毎に取得することができ、これら各種データを携帯電話機10の各種データと同一にしておくことができる。
【0057】
尚、図5〜図10の処理では、車載ハンズフリー装置1は、上記所定タイミングとなると、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを受信することとした。しかしながら、電話帳データは、Vcard形式に変換する処理に時間がかかったり、データ量自体も、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データに比べて大きいため、携帯電話機10への負荷が大きく、その電池容量を減らす要因となる。
【0058】
そこで、携帯電話機10が車載ハンズフリー装置1に無線接続されて、PBAPによるデータ転送が行われた場合、上記所定タイミングにて、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データだけをデータ転送するようにしても良い。これによって、携帯電話機10の処理を低減でき、その電池容量の低下を抑えることができる。
【0059】
また、車載ハンズフリー装置1は、上記所定タイミングとなると、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データを受信することとした。しかしながら、車載ハンズフリー装置1は、着信状態なのか発信状態なのかは、上述の通り把握することができるため、着信があった場合には、着信履歴データ、不在着信履歴データだけを転送し、発信があった場合は、発信履歴データだけを転送するようにしても良い。この結果、無駄なデータ転送を省略できることとなり、携帯電話機10の処理を低減でき、その電池容量の低下を抑えることができる。
【0060】
尚、図5ないし図10を参照して説明した処理は、単独で行われても良いし、複数が複合的に組み合わされて行われても良い。特に図5〜図9は、全てを実行するようにすると良い。
【0061】
次に、転送されたデータについての処理について説明する。制御部2は、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数、不在着信履歴データがそれぞれ例えば20件であり、作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数、不在着信履歴データがそれぞれ例えば5件であり、作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数が携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データの件数よりも少ないので、以下の処理を行う。
【0062】
すなわち、制御部2は、発信履歴データについては、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データのうち発信日時が古い発信履歴データを破棄し、携帯電話機10から自動転送された20件分の発信履歴データのうち発信日時が新しい5件分の発信履歴データを優先して作業メモリ6に携帯側発信履歴データとして記憶させる。ここで、また、制御部2は、着信履歴データ、不在着信履歴データについても発信履歴データと同様にして、着信履歴データのうち着信日時が古い着信履歴データを破棄し、携帯電話機10から自動転送された20件分の着信履歴データのうち着信日時が新しい5件分の着信履歴データを優先して作業メモリ6に携帯側着信履歴データとして記憶させる。
【0063】
また、PBAPを接続するときに車載ナビゲーション装置1が携帯電話機10に対して自動転送すべき件数(本実施形態では5件)を指定し、発信日時や着信日時が新しい発信履歴データや着信履歴データ、不在着信履歴データを優先して作業メモリ6に記憶するようにしても良い。
【0064】
また、携帯電話機10では、電話帳データを転送する場合には当該電話帳データのデータ形式をBluetooth通信規格で規定されている「vCard」のデータフォーマットに変換して転送する必要があると共に、電話帳データが発信履歴データ及び着信履歴データに対して一般的にデータ更新の頻度が低いという事情から、制御部2は、携帯電話機10から発信履歴データ及び着信履歴データ、不在着信履歴データをBluetooth通信部3により受信し、その後、携帯電話機10から電話帳データをBluetooth通信部3により受信しても良い。また、制御部2は、携帯電話機10から発信履歴データ及び着信履歴データをBluetooth通信部3により受信し、その後、ユーザが操作部4にて所定操作を行った場合に限って携帯電話機10から電話帳データをBluetooth通信部3により受信しても良い。
【0065】
また、以上の説明では、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、電話帳データを自動転送させたが、電話帳データを手動転送、自動転送させるかは、車載ナビゲーション装置1においてユーザが手動転送或いは自動転送を選択して設定しておき、この設定に応じてPBAP処理を行うようにしても良い。例えば、ユーザが自動転送設定を行っていない場合、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データだけが、自動転送される。一方、手動設定による電話帳データの転送を行った場合には、電話帳データだけは不揮発性の記憶メモリ7に記憶しておき、記憶されたデータは次回の車載ナビゲーション装置1の起動時に記憶メモリ7から読出して電話帳データとして利用すると良い。
【0066】
また、制御部2は、携帯電話機10から受信した発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データを当該携帯電話機10毎に区別して作業メモリ6に記憶させても良い。この場合、制御部2は、携帯電話機10と作業メモリ6に記憶させているデータとを例えば以下のようにして対応付ける。すなわち、携帯電話機10から受信した発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データを作業メモリ6に記憶させるときに、携帯電話機10から受信した当該携帯電話機10に個別に付与されている携帯電話機IDと車載ハンズフリー装置1に個別に付与されている装置IDとに基づいてリンクキーを生成し、その生成したリンクキーと各種データと対応付けて作業メモリ6に記憶させる。そして、制御部2は、これ以降に、携帯電話機10から携帯電話機IDを受信すると、その受信した携帯電話機IDと装置IDとに基づいてリンクキーを再度生成し、その生成したリンクキーに対応付けられて作業メモリ6に記憶されている各種データを更新する。
【0067】
また、制御部2は、携帯電話機10から着信履歴データとして応答した着信履歴と応答しなかった着信(不在着信)履歴とを区別して受信するが、これらを同時一覧表示する場合、応答した着信である旨を表すアイコン図形(受話器と矢印との組合わせからなる図形)及び応答しなかった着信(不在着信)である旨を表すアイコン図形(受話器と×印との組合わせからなる図形)のうちいずれかをデータ毎に表示させるようにすると良い。
【0068】
尚、以上は、携帯電話機10から転送された発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データが作業メモリ6に記憶される場合や電話帳データのみが記憶メモリ7に記憶される場合を説明したが、携帯電話機10から転送された発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データが記憶メモリ7に記憶される構成であっても良く、そのような構成では、装置電源がオフされた場合であっても、記憶メモリ7に記憶された発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データは記憶保持されることになる。
【0069】
以上に説明したように本実施形態によれば、HFPとPBAPとの同時接続を行って、必要なときのみ、PBAPによるデータ転送を行うようにしたので、データ転送を無用に行うこと無く、携帯電話機での最新の着信履歴、不在着信、発信履歴を更新することが可能となる。
【0070】
また、車載ナビゲーション装置1において、携帯電話機10との間でBluetooth通信回線を確立し、当該携帯電話機10がBluetooth通信回線を確立する前に記憶した発信履歴データや着信履歴データを当該携帯電話機10から受信すると、その発信履歴データや着信履歴データを自装置の発信履歴データや着信履歴データと同等に作業メモリ6に記憶し、これ以降、作業メモリ6に記憶した発信履歴データや着信履歴データによる発信操作を可能とするように構成したので、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データや着信履歴データのうちから所望の電話番号を選択して発信することができると共に、自装置の発信履歴データや着信履歴データのうちからも所望の電話番号を選択して発信することができ、利便性を高めることができる。
【0071】
また、携帯電話機10から発信履歴データや着信履歴データを受信した後に、ユーザが操作部4にて所定操作を行った場合に限って携帯電話機10から電話帳データを受信するように構成すれば、データ更新の頻度が高い発信履歴データや着信履歴データをデータ更新の頻度が低い電話帳データよりも優先して受信することができ、また、発信履歴データや着信履歴データを転送するにはデータ変換が必要でないものの電話帳データを転送するにはデータ変換が必要であるという事情から、転送時間が短い発信履歴データや着信履歴データを転送時間が長い電話帳データよりも優先して受信することができる。さらに、データ更新の頻度が低く且つ転送時間が長い電話帳データを受信するか否かを選択することができ、利便性を高めることができる。
【0072】
また、発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データを携帯電話機10毎に区別して作業メモリ6に記憶するように構成すれば、携帯電話機10毎に発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データを管理することができる。また、発信履歴データ、着信履歴データ及び電話帳データを携帯電話機10毎に区別して記憶メモリ7に記憶するように構成すれば、装置電源がオンする毎に携帯電話機10から電話帳データを受信する必要がなく、ユーザが自身の携帯電話機10に対応して記憶保持されている電話帳データを速やかに利用することができ、電話帳機能を使用するときの利便性を格段に高めることができる。
【0073】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車載ハンズフリー装置は、ハンズフリー機能を主として実現するハンズフリー専用装置から構成されていても良いし、CDやラジオを再生する車両用オーディオ装置にハンズフリー機能を搭載した装置であっても良い。また、車載ナビゲーション装置1がポータブル性を有する(可搬タイプの)構成であっても良い。
携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とがBluetooth通信を行う構成に限らず、他の近距離無線通信を行う構成であっても良く、また、有線通信を行う構成であっても良い。
【0074】
作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数は1件であっても良い。
また、車載ナビゲーション装置1において、複数の発信履歴データ、複数の着信履歴を同時に表示するよう説明したが、1件ずつ表示するようにしても良い。この場合、例えば、先ず、最初に、最新のデータを表示し、操作部4の操作により、次に最新のデータを順に表示するようにしても良い。
携帯電話機10と車載ナビゲーション装置1とがBluetooth通信回線を確立した場合に、発信履歴データや着信履歴データを自動転送する構成に限らず、ユーザが車載ナビゲーション装置1や携帯電話機10を操作することを条件として発信履歴データや着信履歴データや電話帳データを転送する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0075】
図面中、1はハンズフリー機能付き車載ナビゲーション装置(車載ハンズフリー装置)、2は制御部(制御手段)、3は通信部(ハンズフリー通話プロトコル接続手段、データ転送プロトコル接続手段)、10はBluetooth通信機能付き携帯電話機(携帯電話機)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機(10)によるハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)と、
当該携帯電話機(10)に記憶されている着信履歴データ、不在着信履歴データのうち少なくともいずれかを当該携帯電話機(10)から受信するためのデータ転送処理を行うデータ転送プロトコル接続手段(3)と、
前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあり且つ前記データ転送プロトコル接続手段(3)がデータ転送中にあるときに携帯電話機(10)が着信したときには、その着信状態が終了して、その着信状態とは異なる通信状態に移行したときに、前記データ転送プロトコル接続手段(3)によるデータ転送プロトコルのデータ転送処理を最初から再開させる制御手段(2)とを備えたことを特徴とする車載ハンズフリー装置。
【請求項2】
携帯電話機(10)によるハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)と、
携帯電話機(10)に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを当該携帯電話機(10)から受信するためのデータ転送プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するデータ転送プロトコル接続手段(3)と、
前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあるときに当該携帯電話機(10)の操作により発信したと判定した場合には、前記データ転送プロトコル接続手段(3)によるデータ転送プロトコルにて、携帯電話機(10)からの発信履歴データを受信させる制御手段(2)とを備えたことを特徴とする車載ハンズフリー装置。
【請求項3】
携帯電話機(10)によるハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)と、
携帯電話機(10)に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを当該携帯電話機(10)から受信するためのデータ転送プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するデータ転送プロトコル接続手段(3)と、
前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあるときに自装置から発信したと判定した場合には、前記データ転送プロトコル接続手段(3)によるデータ転送プロトコルにて、携帯電話機(10)からの発信履歴データを受信させる制御手段(2)とを備えたことを特徴とする車載ハンズフリー装置。
【請求項4】
携帯電話機(10)によるハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)と、
携帯電話機(10)に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを当該携帯電話機(10)から受信するためのデータ転送プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するデータ転送プロトコル接続手段(3)と、
前記ハンズフリー通話プロトコル接続手段(3)がハンズフリー通話プロトコルの接続状態にあり且つ着信状態にあるときには、その着信状態が終了して、その着信状態とは異なる通信状態に移行したときに、前記データ転送プロトコル接続手段(3)によるデータ転送プロトコルにて、携帯電話機(10)からの着信履歴データ、不在着信履歴のうち少なくともいずれかを受信させる制御手段(2)とを備えたことを特徴とする車載ハンズフリー装置。
【請求項5】
携帯電話機(10)に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを当該携帯電話機(10)から受信するためのデータ転送プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するデータ転送プロトコル接続手段(3)と、
前記データ転送プロトコル接続手段(3)によるデータ転送プロトコルにて定期的にデータ転送を行い、携帯電話機(10)からの発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを受信させる制御手段(2)とを備えたことを特徴とする車載ハンズフリー装置。
【請求項6】
携帯電話機(10)に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを当該携帯電話機(10)から受信するためのデータ転送プロトコルを当該携帯電話機(10)との間で接続するデータ転送プロトコル接続手段(3)と、
前記データ転送プロトコル接続手段(3)によるデータ転送プロトコルを発信履歴データの表示画面、着信履歴データの表示画面、不在着信履歴データの表示画面及び電話帳データの表示画面のうち少なくともいずれかに遷移したことを条件して接続させ、携帯電話機(10)からの発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ及び電話帳データのうち少なくともいずれかを受信させる制御手段(2)とを備えたことを特徴とする車載ハンズフリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−257296(P2012−257296A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171910(P2012−171910)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2007−290746(P2007−290746)の分割
【原出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】