説明

車載携帯端末システム、車載携帯端末制御方法及び車載携帯端末制御用プログラム

【課題】ブルートゥース方式の指令によって入力操作が無効と設定されている複数の携帯端末を、フェリカ方式を用いて個別に解除することによって運転に関わらない人の利便性を向上させる。
【解決手段】車載通信機10から送信されるブルートゥース信号によって携帯端末20の入力操作が無効と設定されている操作ロックにおいて、運転席と運転席以外の座席に配設された車載側送受信部41乃至43のいずれかに対して操作ロックを解除する解除要求をフェリカ方式を介して送信する。この解除要求を車載側送受信部にて受信した車載側解除要求内容判定部11Aは、前記解除要求に基づいてこの解除要求は運転席か出力されたものであるか否かを判定し、運転席である場合は携帯端末20の操作ロックを解除し、運転席以外である場合には操作ロックを継続する機能を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載するカーナビゲーションなどの車載通信機と、前記移動体に乗車する人の持つ携帯端末との間で通信を行い、携帯端末の動作を制御する車載携帯端末システム、車載携帯端末制御方法及び車載携帯端末制御用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末を使用しての運転は道路交通法違反となるが、未だに運転中に携帯端末が使用されている場合が多い。運転中の携帯端末の使用を制限する技術としては、ハンズフリー電話装置が開発されている(例えば、特許文献1)。また、車両の道案内をするカーナビゲーション装置から送信される信号によって携帯端末の使用を制限する技術が開発されている(例えば、特許文献2)。
【0003】
特許文献1に開示された前記ハンズフリー電話装置は、運転中に携帯端末を持たずに通話する事を可能とするものである。これは、車内に持ち込まれた携帯端末が予め登録されたものであるか否かを判定し、登録されてあるものであればハンズフリーとして機能して、車内に取付けられたマイクとスピーカーを利用して通話ができるものである。また、登録されていない携帯端末、及び同乗者がいる場合など前記移動体に2台以上の携帯端末が存在する場合には、プライバシーを考慮して電話に出られない旨のメッセージを発信元に対して流すハンズフリー装置である。
【0004】
特許文献2に開示された車載携帯端末システムは、10メートル程度の通信距離を持つブルートゥース(Bluetooth)信号をカーナビゲーション装置から出力して、前記通信距離内にある携帯端末に対して、運転中の使用を制限するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−140731
【特許文献2】特願2009−083176
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら今日の携帯端末は、音声による通話よりも電子メールの利用やインターネット上のウェブ(Web)サイトを閲覧する頻度が高くなっている。特許文献1に開示されたハンズフリー装置は、走行する車両内でも通話の利便性を向上するものであっても、音声による通話以外の通信である電子メールの利用やウェブサイトの閲覧する場合にはハンズフリー機能が発揮されず、運転中の携帯端末の使用を抑制することはできないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に開示された車載携帯端末システムは運転手だけでなく、運転に関わらない助手席や後部座席に座っている人の携帯端末まで使用が制限されてしまうという不都合が生じていた。
【0008】
[発明の目的]
本発明は、上記従来例の有する不都合を改善し、運転手の携帯端末操作を抑制すると同時に運転手以外の携帯端末は使用可能とすることで、運転に関わらない人の利便性を向上することを可能とした車載携帯端末システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る車載携帯端末システムは、運転席を含む複数の座席を有する移動体に装備された車載通信機と、この車載通信機からの指令に基づいて入力操作の無効を設定する操作無効設定機能を備えた携帯端末とを有する車載携帯端末システムにおいて、前記携帯端末は、前記車載通信機に対して前記操作無効の設定を解除する無効設定の解除要求を送信すると共にこれに応答して前記車載通信機から出力される応答信号を受信する端末側送受信部と、この端末側送受信部で受信した前記応答が前記操作無効設定の解除指令であるか否かを判定する応答内容判定部と、この応答内容判定部により前記応答が解除指令であると判定した場合に前記操作無効の設定を解除する端末側制御部とを備え、前記車載通信機は、前記携帯端末から送信される前記無効設定の解除要求を受信する車載側送受信部と、前記受信した解除要求が運転席の携帯端末からの信号か否かを判定する解除要求判定部と、この解除要求判定部にて前記解除要求が運転席以外のものであると判定した場合に作動し対応する前記携帯端末に対して操作無効設定を解除する解除指令を前記応答信号として発信する車載側制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の車載電話システム制御方法は、運転席を含む複数の座席を有する移動体に装備された車載通信機と、この車載通信機からの指令に基づいて入力操作の無効を設定する操作無効設定機能を備えた携帯端末とを有する車載携帯端末システムにあって、前記携帯端末に前記操作無効の設定を解除する解除要求が入力された場合に端末側送受信部から前記車載通信機に対して送信し、前記車載通信機で受信された前記解除要求が運転席の携帯端末からのものであるか否かを前記車載通信機の解除要求判定部が判定し、前記車載通信機の解除要求判定部で運転席以外であると判定された場合に前記操作無効の設定を解除する解除指令を生成して前記解除指令を前記解除要求に対する応答として車載側送受信部から対応する前記携帯端末に送信し、前記携帯端末で受信した前記応答に基づいて当該応答が前記操作無効設定を解除する指令であるか否かを前記携帯端末の応答内容判定部が判定し、前記携帯端末の応答内容判定部で前記応答が解除指令であると判定された場合に前記車載通信機からの指令に基づいて設定された前記操作の無効設定を解除するようにしたことを特徴とする。
【0011】
更に、本発明に係る車載携帯端末システム制御用プログラムは、運転席を含む複数の座席を有する移動体に装備された車載通信機と、この車載通信機からの指令に基づいて入力操作の無効を設定する操作無効設定機能を備えた携帯端末とを有すると共に、前記携帯端末は、前記車載通信機に対して前記操作無効の設定を解除する無効解除要求の送信とこれに対する応答信号を受信する端末側送受信部と、前記携帯端末の動作を制御する端末側制御部とを備えた車載携帯端末システムにあって、前記端末側送受信部の動作を制御する端末側送受信機能、前記応答信号に基づいてこの応答が前記操作無効設定を解除する指令であるか否かを判定する応答内容判定機能、及びこの応答内容判定機能にて前記応答が解除指令であると判定された場合に稼動し前記操作無効の設定を解除する端末側解除機能、を前記端末側制御部が備えているコンピュータに実行させるようにしたことと共に、前記車載通信機は、前記携帯端末から送信される前記操作無効の設定を解除する解除要求の受信とこれに対する応答信号を対応する前記携帯端末に送信する車載側送受信部と、前記車載通信機の動作を制御する車載側制御部とを備えた車載携帯端末システムにあって、前記車載側送受信部の動作を制御する車載側送受信機能、前記受信した解除要求に基づいてこの解除要求が運転席から出力されたものであるか否かを判定する解除要求判定機能、及びこの解除要求判定機能にて運転席以外のものであると判定された場合に稼動し前記操作無効の設定を解除する解除指令を生成すると共にこれを応答信号として対応する前記携帯端末に対して前記車載側送受信部から送信するように制御する解除許可機能、を前記車載側制御部が備えているコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のように解除要求判定部と車載側制御部と応答内容判定部と端末側制御部とが機能して運転席の携帯端末か否か判定し、運転席以外の携帯端末の操作無効設定を解除することによって、運転手の携帯端末操作を抑制すると同時に運転に関わらない人の利便性の向上を可能とすることができるという優れた車載携帯端末システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による車載携帯端末システムの第1実施形態において助手席から操作ロックの解除する場合の動作を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明による車載携帯端末システムの第1実施形態において運転席から操作ロックの解除する場合の動作を示す機能ブロック図である。
【図3】図1及び図2に開示した携帯端末システムにおいて操作ロックを解除する場合の携帯端末側の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1及び図2に開示した携帯端末システムにおいて操作ロックを解除する場合のカーナビ側の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1及び図2に開示した携帯端末システムにおいて操作ロックとなる場合、及び操作ロックが解除される場合の携帯端末側の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明による車載携帯端末システムの第2実施形態において操作ロックの解除する場合の動作を示す機能ブロック図である。
【図7】図6に開示した携帯端末システムにおいて操作ロックを解除依頼する場合のカーナビ側の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0015】
図1において、車載携帯端末システムは、自動車など移動体に搭載されるブルートゥース方式及びフェリカ方式に対応した車載通信機10と、前記移動体に持ち込むブルートゥース方式及びフェリカ方式に対応した携帯端末20とによって構成されている。
【0016】
ここで、前記ブルートゥース(Bluetooth)方式とは、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.:米国電気電子学会)802.15規格であり、双方の通信機器がブルートゥース方式に対応している場合には10メートル程度の近距離無線通信が可能な方式である。
【0017】
また、前記フェリカ(Felica)方式とは、非接触型ICカード技術を用いて通信を行う方式である。これは、10センチメートル程度の通信距離を持ち、お互いの送受信部を接近させて通信を行うため個別の制御に適している。
【0018】
前記携帯端末20は、オペレータから入力動作を受け付ける端末側操作部22と、通信状態などを表示する端末側表示部23と、前記携帯端末20の動作を制御する端末側制御部21と、前記車載通信機10から指令として送信されるブルートゥース信号を受信する端末側近距離通信送受信部25と、この端末側近距離通信送受信部25の動作を制御する端末側近距離通信制御部24とを備えている。
【0019】
ここで、前記端末側近距離通信制御部24は、前記端末側近距離通信送受信部25で受信した指令に基づいてこの指令がブルートゥース信号であるか否かを判定する近距離通信接続判定機能24Aを備える。
【0020】
また、前記端末側近距離通信制御部24は、この近距離通信接続判定機能24Aにてブルートゥース信号であると判定された場合に、前記判定に続いて前記ブルートゥース信号に基づいてこのブルートゥース信号の出力元は車載通信機であるか否かを判定する車載通信機接続判定機能24Bを備えている。
【0021】
この端末側近距離通信制御部24は、端末側近距離通信送受信部25にて前記ブルートゥース信号を受信すると、近距離通信接続判定機能24A及び車載通信機接続判定機能24Bを作動させる機能を有する。
【0022】
この前記近距離通信接続判定機能24A及び前記車載通信機接続判定機能24Bによって、前記端末側近距離通信送受信部25で受信した信号はブルートゥース方式を介して車載通信機から前記携帯端末20に対して出力された信号であるか否か判定される。
【0023】
さらに、前記携帯端末20は、近距離通信接続状態記憶部26と、車載通信機接続状態記憶部27とを備えると共に、前記近距離通信接続状態記憶部26は、前記近距離通信判定機能24Aにてブルートゥース信号であると判定された場合には接続と記憶する一方でブルートゥース信号でないと判定された場合には未接続と記憶し、前記車載通信機接続状態記憶部27は、前記車載通信機接続判定機能24Bにて車載通信機あると判定された場合には接続と記憶する一方で車載通信機以外であると判定された場合には未接続と記憶する。
【0024】
また、前記端末側制御部21は、通話やメールを利用するための操作を無効とする操作ロックと設定する操作無効設定機能21Bを有すると共に、前記操作無効設定機能21Bは、前記近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中であり、且つ前記車載通信機接続状態記憶部27の記憶内容が車載通信機器と接続中であることを確認した場合に前記操作ロックに設定する。
【0025】
前記携帯端末表示制御部21は、前記操作ロックの設定した場合には前記携帯端末表示部23に操作ロック中であると表示する設定表示制御機能21Dを備えると共に、この設定表示制御機能21Dによって前記携帯端末操作部22から入力される通話の発信操作やメールの操作などの入力動作の受け付けを制限する。
【0026】
このため、前記車載通信機10から前記ブルートゥース信号が出力されている状態で前記携帯端末20を前記移動体に持ち込むと、前記携帯端末20は自動的に前記操作ロックに設定されると共に前記端末側表示部23に前記操作ロック中であると表示し走行中の携帯端末操作を抑制することができる。
【0027】
さらに、前記携帯端末20は、前記車載通信機10に対して前記操作ロックを解除する無効解除要求をフェリカ方式からなる通信手段で送信すると共にこの無効解除要求に応答して前記車載通信機10から出力される応答信号をフェリカ方式からなる通信手段で受信する端末側送受信部30と、この端末側送受信部30の動作を制御する端末側送受信制御部29とを備えている。
【0028】
ここで、前記端末側送受信制御部21は、端末側送受信部30にて受信した信号に基づいて前記信号が応答信号であるか否かを判定する応答信号判定部21Cと、前記応答信号判定部にて応答信号であると判定された場合に前記応答信号に基づいて前記応答信号が前記操作ロックを解除する指令であるか否かを判定する応答内容判定部21Aを備えている。
【0029】
このように前記解除要求を前記車載通信機10に送信する端末側送受信部30を、前記端末側近距離通信送受信部25とは別に設けたことにより、複数の携帯端末を個別に制御することが可能となる。
【0030】
また、前記携帯端末20は、解除指令記憶部28を備えると共に、前記端末側制御部21は、前記端末側解除判定機能21Aの判定にて操作ロックを解除する内容であると判定された場合に操作ロックの解除を行うと同時に、前記解除指令記憶部28に対して操作ロックが有効であると記憶させ、解除が不許可である場合には操作ロックが無効であると記憶させる。
【0031】
前記端末側制御部21は、前記操作ロックの状態で前記解除指令記憶部28を参照して、操作ロックが有効である場合は操作ロックの解除を行い、操作ロックが無効である場合は操作ロックを継続し続けることを特徴とする。
【0032】
さらに、前記端末側制御部21は、操作ロックを解除すると前記携帯端末表示部に操作ロックを解除したと表示すると共に前記端末側操作部23からの受け付けを有効とする機能を有する。
【0033】
一方、前記カーナビ10は、入力動作を受け付ける車載側操作部12と、地図などを表示する車載側表示部13と、前記カーナビ10の動作を制御する車載側制御部11とを備えると共に、前記車載側制御部11は、他のブルートゥース方式に対応した機器に対して自身の機器の種類が車載通信機であることを認識させるための種別信号を生成する。
【0034】
さらに、前記車載通信機10は、前記種別信号をブルートゥース信号として前記携帯端末20に対して出力する車載側近距離通信送受信部15と、前記車載側近距離通信送受信部15の動作を前記車載制御部11の指令に従って制御する車載側近距離通信制御部14と、前記携帯端末20からフェリカ方式を介して送信される前記携帯端末20の動作の制限を解除する解除要求を受信する車載側送受信部41乃至43と、前記車載側送受信部41乃至43の動作の制御及び前記車載側送受信部41乃至43が配設された場所にかかる情報を前記受信した解除要求に付加をする車載側送受信制御部16とを備えている。
【0035】
さらに、前記車載側近距離通信制御部14は、前記種別信号をブルートゥース信号に変換し、前記車載側近距離通信送受信部15から前記ブルートゥース信号を出力する機能を有する。
【0036】
また、前記車載側送受信部41は運転席のドア部に配設され、前記車載側送受信部42は助手席のドア部に配設され、前記車載側送受信部43は後部座席に配設されている。
【0037】
前記車載側制御部11は、前記車載側送受信部41乃至43にて受信した信号が前記解除要求であるか否かを判定する解除要求信号判定部11Bと、前記受信した解除要求に基づいてこの解除要求は運転席の携帯端末から出力されたものであるか否かを判定する第1の解除要求判定部11Aを備えると共に、前記車載側制御部11は、この第1の解除要求判定部11Aにて前記解除要求が運転席以外のものであると判定した場合に作動し対応する前記携帯端末20に対して操作ロックの解除を前記応答信号として生成する。
【0038】
本実施形態では、車載側送受信部をドア部に配設したが、設置場所はドア部に限るものではなく、運転席と運転席以外の移動体の天井部など、運転手と運転手以外を区別することが可能な場所であればドア部でなくてもよい。
【0039】
なお、本第1実施形態では、前記携帯端末20に前記種別信号を送信する手段としてブルートゥース(Bluetooth)方式を用いたが、前記移動体の各座席に前記操作の無効を設定する指令が届く程度の通信手段であればこれに限るものではない。
【0040】
さらに、本第1実施形態では、前記携帯端末20と前記カーナビ10の間で送受信される前記解除要求と前記応答信号を送信する手段としてフェリカ(Felica)方式を用いる事により、操作ロックを解除する際に携帯端末とカーナビを有線で接続する煩わしさがない利点があるが、前記移動体内の携帯端末を個別に制御できる通信手段であればこれに限るものではない。
【0041】
〔全体的な動作〕
次に、車載携帯端末システムの全体的な動作を図3乃至図5及び図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
最初に、車載通信機10からブルートゥース方式を介して送信される指令によって携帯端末20が操作ロックとなる動作を図5に基づいて説明する。
【0043】
まず、車載側制御部11は、自身の機器の種別が車載通信機である情報を含んだ種別信号を生成し、車載側近距離通信制御部14を作動させて、車載側近距離通信送受信部15から携帯端末20に対して送信する。
【0044】
ここで、前記種別信号は、前記携帯端末20にて受信されると前記携帯端末20の動作を制限する操作ロック状態に設定する指令としての役割をもち、前記車載側近距離通信制御部14は、前記種別信号をブルートゥース信号に変換して前記車載側近距離通信送受信部15から出力する。
【0045】
次に、端末側近距離通信制御部24は、端末側近距離通信送受信部25にて前記ブルートゥース信号を受信すると、近距離通信接続判定機能24A及び車載通信機接続判定機能24Bを作動させる。
【0046】
つづいて、前記近距離通信接続判定機能24Aは、前記受信したブルートゥース信号に基づいてこの信号がブルートゥース信号であるか否かを判定し(図5:ステップS301/操作ロック設定工程)、前記近距離通信接続判定機能24Aにてブルートゥース信号と判定された場合に、近距離通信接続状態記憶部26に対して、近距離通信を介して接続中であると記憶させる(図5:ステップS302/操作ロック設定工程)。
【0047】
次に、前記車載通信機接続判定機能24Bは、前記近距離通信接続判定機能24Aにてブルートゥース信号と判定された場合に、前記ブルートゥース信号に基づいてこのブルートゥース信号は前記車載通信機10から出力されたものであるか否かを判定する(図5:ステップS303/操作ロック設定工程)。
【0048】
ここで、前記車載通信機接続判定機能24Bにて前記ブルートゥース信号は車載通信機10から出力されたものであると判定された場合に、車載通信機接続状態記憶部27に対して車載通信機と接続中であると記憶させる(図5:ステップS304/操作ロック設定工程)。
【0049】
続いて、前記端末側制御部21は、近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中であることと、車載通信機接続状態記憶部27の内容が車載通信機と接続中であることを確認した場合に、端末側操作部22からの入力操作の無効を設定する操作ロック状態に設定すると同時に設定表示制御機能21Dによって、端末側表示部23に操作ロック中であることを表示する(図5:ステップS305/操作ロック設定工程)。
【0050】
これにより前記携帯端末20は、前記操作ロック状態となり、前記端末側操作部22を操作して通話やメールの利用することができなくなる。このため、運転中の携帯端末操作を抑制することができる。
【0051】
また、前記ブルートゥース信号は、前記車載通信機10の電源が入っている限り継続して送信されているので、運転中は操作ロックが維持される。
【0052】
次に、前記操作ロックに設定された状態において前記移動体の車外に出ることで前記ブルートゥース信号の受信できない状態となる場合、又はカーナビの電源を切る事によって操作ロックが解除される場合の動作を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0053】
前記端末側近距離通信制御部24は、前記端末側近距離通信送受信部25に前記ブルートゥース信号が受信しなくなった場合に(図5:ステップS306/操作ロック設定工程)、近距離通信接続判定機能24Aによってブルートゥース信号を受信しなくなったと判定され、前記車載通信機接続状態記憶部27に車載通信機と未接続状態であると記憶すると共に(図5:ステップS307/操作ロック設定工程)、近距離通信接続状態記憶部26に近距離通信を介して通信を行っていないと記憶する(図5:ステップS308/操作ロック設定工程)。
【0054】
続いて、前記端末側制御部21は、前記車載通信機接続状態記憶部27の記憶内容が車載通信機と接続中であり、且つ近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中であった場合に、前記操作ロックを解除し、前記端末側表示部23に表示されている操作ロックであることを示す表示を前記設定表示制御機能21Dによって消去すると同時に前記端末側操作部22から入力される入力動作の受け付けを有効にする(図5:ステップS309/操作ロック設定工程)。
【0055】
これによって、前記携帯端末20は、運転中である場合には前記操作ロックに設定して携帯端末操作を抑制し、運転中でない場合は操作ロックを解除して通話やメールの利用が可能となる。
【0056】
次に、前記操作ロックの状態において、運転席以外の座席となる助手席から前記操作ロックの解除を行う動作を図3のフローチャート、図4のフローチャート及び図1の機能ブロック図に基づいて説明する。
【0057】
携帯側制御部21Aは、操作ロック状態である場合に(図3:ステップS101/端末側送受信工程)端末側操作部から前記操作ロックを解除する入力動作を受け付けると(図3:ステップS102/端末側送受信工程)、操作ロックを解除する解除要求を生成する。
【0058】
また、携帯側制御部21Aは、端末側送受信部30から車載通信機20に対して前記解除要求を送信するように端末側送受信制御部29を作動させて、前記端末側送受信部30から前記解除要求が送信される(図5:ステップS103/端末側送受信工程)。
【0059】
前記解除要求が出力された状態で前記端末側送受信部30を、助手席の車載側送受信部42に接近させると、この車載側送受信部42は、前記端末側フェリカ送受信部30から送信された解除要求を受信する。
【0060】
前記車載側送受信制御部16は、前記車載側送受信部41乃至43がどの座席に配設されたものであるか予め記憶しており、前記受信した解除要求に対してこの解除要求を受信した座席に係る座席情報を付加し、解除要求信号判定部11Bに伝送する。
【0061】
前記解除要求信号判定部11Bは、前記車載側送受信部41乃至43のいずれかにて解除要求を受信したか否かを監視及び判定する(図4:ステップS201/車載側送受信工程)。
【0062】
解除要求内容判定部11Aは、前記解除要求信号判定部11Bにて解除要求を受信したと判定した場合に、前記解除要求に基づいてこの解除要求は運転席の車載側送受信部から伝送されたものである否かを判定する(図3:ステップS202/解除要求判定工程)。
【0063】
前記車載側制御部11は、前記解除要求内容判定部11Aにて運転席のものでないと判定された場合に、前記操作ロックの解除を許可する内容の解除信号を生成する(図4:ステップS210/解除許可工程)と共にこれを前記解除要求に対する応答として応答信号を車載側送受信部41乃至43のいずれか一つから対応する携帯端末に送信する。
【0064】
前記端末側送受信制御部29は、前記端末側送受信部30にて受信した前記応答信号を前記端末側制御部21に伝送すると共に、応答信号判定部21Cは、応答信号を受信したか否か判定する(図3:ステップS104/応答内容判定工程)。
【0065】
前記応答信号判定部21Cにて前記受信した信号は応答信号であると判定された場合に、応答内容判定部21Aは、前記応答信号が操作ロックの解除を許可する指令であるか否か判定する(図3:ステップS105/応答内容判定工程)。
【0066】
前記端末側制御部21は、前記応答内容判定部21Aにて解除を許可する指令であったと判定された場合に、解除指令記憶部28に対して操作ロック解除が有効であると記憶させる(図3:ステップS110/端末側解除工程)と同時に前記近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中という内容であり、且つ前記車載通信機接続状態記憶部27の記憶内容が車載通信機と接続状態であるという内容であるか否かを判定する(図3:ステップS111/端末側解除工程)。
【0067】
前記携帯端末操作制御表示部21は、前記近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中という内容であり、且つ前記車載通信機接続状態記憶部27の記憶内容が車載通信機と接続状態であるという内容であったと判定した場合に、操作ロックの解除を実行し、前記設定表示制御機能21Dによって前記端末側表示部23に操作ロックを解除したと表示すると同時に前記端末側操作部22からの入力動作の受け付けを有効とする(図3:ステップS112/端末側解除工程)。
【0068】
これにより、運転中であっても運転操作に関わらない助手席の携帯端末は、操作ロックが解除されて通話やメール操作などを行うことが可能となる。
【0069】
ここで、前記近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中であるという内容であり、且つ前記車載通信機接続状態記憶部27の記憶内容が車載通信機と接続状態にあるという内容であったと判定した場合には、前記解除指令記憶部28の記憶内容に操作ロックの解除は無効であると記憶すると共に(図3:ステップS120/端末側解除工程)、操作ロックを継続し、前記設定表示制御機能21Dによって前記端末側表示部23に操作ロック中であると表示すると同時に前記端末側操作部22からの入力動作の受け付けを制限し続ける(図3:ステップS121/端末側解除工程)。
【0070】
次に、運転席から操作ロックの解除を行う場合の動作を図3のフローチャート、図4のフローチャート及び図2の機能ブロック図に基づいて説明する。
【0071】
携帯側制御部21Aは、前記操作ロック中である場合に(図3:ステップS101/端末側送受信工程)端末側操作部から前記操作ロックを解除する入力動作を受け付けると(図3:ステップS102/端末側送受信工程)、操作ロックを解除する解除要求を生成する。
【0072】
また、携帯側制御部21Aは、端末側送受信部30から車載通信機20に対して前記解除要求を送信するように端末側送受信制御部29を作動させて、前記端末側送受信部30から前記解除要求が送信される(図5:ステップS103/端末側送受信工程)。
【0073】
前記解除要求が出力された状態で前記端末側送受信部30を、助手席の車載側送受信部41に接近させると、この車載側送受信部41は、前記端末側フェリカ送受信部30から送信された解除要求を受信する。
【0074】
前記車載側送受信制御部16は、前記車載側送受信部41乃至43がどの座席に配設されたものであるか予め記憶しており、前記解除要求に対して前記解除要求を受信した座席係る座席情報を付加し、解除要求信号判定部11Bに伝送する。
【0075】
前記解除要求信号判定部11Bは、前記車載側送受信部41乃至43のいずれの座席で解除要求を受信したか否かを判定する(図4:ステップS201/車載側送受信工程)。
【0076】
解除要求内容判定部11Aは、前記解除要求信号判定部11Bにて解除要求を受信したと判定した場合に、前記解除要求に基づいてこの解除要求は運転席の車載側送受信部から伝送されたものである否かを判定する(図3:ステップS202/解除要求判定工程)。
【0077】
前記車載側制御部11は、前記解除要求内容判定部11Aにて運転席であると判定された場合に、前記操作ロックの解除を不許可とする内容の解除信号を生成する(図4:ステップS211/解除許可工程)と共にこれを前記解除要求に対する応答として応答信号を前記車載側送受信部16を作動させて、車載側送受信部41乃至43のいずれか一つから対応する携帯端末に送信する。
【0078】
前記端末側送受信制御部29は、前記端末側送受信部30にて受信した前記応答信号を前記端末側制御部21に伝送すると共に、応答信号判定部21Cは、応答信号を受信したか否か判定する(図3:ステップS104/応答内容判定工程)。
【0079】
前記応答信号判定部21Cにて前記受信した信号は応答信号であると判定された場合に、応答内容判定部21Aは、前記応答信号が操作ロックの解除を許可する内容であるか否か判定する(図3:ステップS105/応答内容判定工程)。
【0080】
前記端末側制御部21は、前記応答内容判定部21Aにて解除を不許可とする内容であったと判定された場合に、解除指令記憶部28に対して操作ロック解除が無効であると記憶する(図3:ステップS120/端末側解除工程)と共に、操作ロックを継続し、前記端末側表示部23に操作ロックであると表示すると同時に前記端末側操作部22からの入力動作の受け付けを制限し続ける(図3:ステップS121/端末側解除工程)。
【0081】
これにより、運転手が運転中に通話やメール操作を行うために、運転席から操作ロックの解除することをできないようにしている。このことによって運転手の運転中の携帯端末操作を抑制することができる。
【0082】
なお、本第1実施形態において、前記端末側送受信工程、前記応答内容判定工程及び前記端末側解除工程は、前記端末側制御部が有しているCPU(或いはマイクロプロセッサ)を用いて実行させると共に、前記車載側送受信工程、前記解除要求判定工程及び前記解除許可工程は、前記車載側制御部が有しているCPU(或いはマイクロプロセッサ)を用いて実行させるものとする。
【0083】
本実施形態では、車載側送受信部を、運転席、助手席及び後部座席の3つとしたが、運転席及び運転席以外ならば2つであっても4つ以上であってもよい。
【0084】
(第1の実施形態の効果)
本第1実施形態は、車両内の各座席毎に車載側送受信部を配設し、解除要求内容判定部11Aを設けた事によって、運転席と運転席以外の携帯端末を判別する事が可能となった。このことによって、車両内の全ての携帯端末を一律に操作ロック状態とした後に運転席以外に配設された車載側送受信部に、携帯端末を接近させて個別に操作ロックを解除することが可能となった。これにより運転に関わらない人の利便性を向上することが可能となった。
【0085】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図6に基づいて説明する。
ここで、前述した第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を用いるものとする。
【0086】
上記図1に開示した第1実施形態にあっては、各座席毎に配設された車載側送受信部から出力される操作ロックを解除する解除要求に基づいて、この解除要求は運転席のものであるか否かを判定した場合を例示した。これに対して、本第2実施形態では、図6に示すように、座席に人が着席すると人検知信号を出力する人検知センサを前記車載側送受信部に対応して各座席の座席部分に配設し、解除要求を受信した車載側送受信部の座席に実際に人が着席しているか否かを判定するように構成したことを特徴とする。
【0087】
上記のように構成したため、実際に人が座っている座席から操作ロック解除を受信したことを前記車載側制御部が確認できるので、運転手が助手席側の車載側送受信部から無理矢理操作ロックを解除することを防ぐことができる。
【0088】
以下、これについてさらに説明する。
【0089】
前記車載通信機10は、運転席に配設された人検知センサ51と、助手席に配設された人検知センサ52と、後部座席に配設された人検知センサ53と、前記人検知センサ51乃至53から出力される人検知信号を受信する座席判定部17とを備えている。
【0090】
ここで、前記座席判定部17は、前記人検知センサ51乃至53から出力される人検知信号を取り込む人検知信号入力処理機能17Aと、この人検知信号入力処理機能17Aで取り込まれた前記人検知信号に基づいてこの人検知信号はどの人検知センサで受信したものであるかを判定する座席判定機能とを備えている。
【0091】
さらに、前記解除要求内容判定部11Aは、前記解除要求が出力された座席情報が予め前記座席判定部17で確認されている座席情報に含まれているか否かを判定する座席情報一致判定部11Cを備えている。
また、その他の構成については、第1実施形態と同一となっている。
【0092】
〔第2実施形態の動作〕
次に、人検知センサ52が配設されている助手席に着席している人が、助手席の車載側送受信部42を用いて操作ロックを解除する場合の動作を、図3のフローチャート、図7のフローチャート及び図6の機能ブロック図に基づいて説明する。
【0093】
まず、携帯側制御部21Aは、操作ロック状態である場合に(図3:ステップS101/端末側送受信工程)端末側操作部からの前記操作ロックの解除する入力動作を受け付けると(図3:ステップS102/端末側送受信工程)、操作ロックを解除する解除要求を生成する。
【0094】
また、前記携帯側制御部21Aは、端末側送受信部30から車載通信機20に対して前記操作ロックを解除する解除要求を送信するように端末側送受信制御部29を作動させて、前記端末側送受信部30から前記解除要求が送信される(図5:ステップS103/端末側送受信工程)。
【0095】
次に、前記解除要求が出力された状態で前記端末側送受信部30を、助手席の車載側送受信部42に接近させると、この車載側送受信部42は、前記端末側フェリカ送受信部30から送信された解除要求を受信する。
【0096】
前記車載側送受信制御部16は、前記車載側送受信部41乃至43がどの座席に配設されたものであるか予め記憶しており、前記受信した解除要求に対して受信した座席に係る座席情報を付加し、解除要求信号判定部11Bに伝送する。
【0097】
前記解除要求信号判定部11Bは、前記車載側送受信部41乃至43のいずれかにて解除要求を受信したか否かを判定する(図4:ステップS201/車載側送受信工程)。
【0098】
一方、座席判定部17は、予め前記車載側制御部11が起動されると同時に前記人検知センサ51乃至53を起動させた状態で待機させており、前記人検知信号入力処理機能17Aによって人検知センサ52から前記人検知信号を取り込む。
【0099】
ここで、座席判定部17は、前記人検知センサ51乃至53がどの座席に装備されているかを予め内部に記憶しており、前記人検知信号入力処理機能17Aによって人検知信号を取り込むと同時にこの人検知信号はどの座席から出力されたものであるかを判定する機能を備えている。
【0100】
前記解除要求内容判定部11Aは、前記解除要求信号判定部11Bにて解除要求を受信したと判定した場合に、前記解除要求に基づいてこの解除要求は運転席の車載側送受信部から伝送されたものである否かを判定する(図7:S202/解除要求判定工程)。
【0101】
前記座席情報一致判定部11Cは、前記解除要求内容判定部11Aにて運転席以外判定された場合に、前記解除要求内容判定部11Aにて判定された座席情報と前記座席判定部17にて判定された座席情報とが一致するか否かを判定する。(図7:ステップS401/座席判定工程、人検知信号入力工程)。
【0102】
ここで、人検知信号も助手席から出力されたものであった場合には、解除要求を受信した車載側送受信部も助手席であるので、人検知信号の出力元と解除要求の受信元の座席情報とが一致する。
【0103】
なお、本第2実施形態では、前記座席センサ51乃至53の起動方法を、前記車載側制御部11が起動すると同時に前記座席判定部17が前記人検知センサ51乃至53を起動させるようにしたが、別の起動方法として前記解除要求を前記車載通信機器で受信した後に前記座席判定部17が前記人検知センサ51乃至53を起動させるようにしてもよい。
【0104】
前記車載側制御部11は、前記解除要求内容判定部11Aにて前記解除要求および前記検知信号を出力した座席情報が一致し且つ運転席でないと判定された場合に、前記操作ロックの解除を許可する内容の解除信号を生成する(図4:ステップS210/解除許可工程)と共にこれを応答信号として車載側送受信部41乃至43のいずれか一つから対応する携帯端末に送信するように前記車載側送受信部16の動作を制御する。
【0105】
前記端末側送受信制御部29は、前記端末側送受信部30にて受信した前記応答信号を前記端末側制御部21に伝送すると共に、応答信号判定部21Cは応答信号を受信したか否か判定する(図3:ステップS104/応答内容判定工程)。
【0106】
前記応答信号判定部21Cにて前記受信した信号は応答信号であると判定された場合に、応答内容判定部21Aは、前記応答信号が操作ロックの解除を許可する内容であるか否か判定する(図3:ステップS105/応答内容判定工程)。
【0107】
続いて、前記端末側制御部21は、前記応答内容判定部21Aにて解除を許可する内容であったと判定された場合に、解除指令記憶部28に対して操作ロック解除が有効であると記憶する(図3:ステップS110/端末側解除工程)と同時に前記近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中であり、且つ前記車載通信機接続状態記憶部27の記憶内容が車載通信機と接続状態であるか否かを判定する(図3:ステップS111/端末側解除工程)。
【0108】
次に、前記携帯端末操作制御表示部21は、前記近距離通信接続状態記憶部26の記憶内容が近距離通信を介して接続中であり、且つ前記車載通信機接続状態記憶部27の記憶内容が車載通信機と接続状態であると判定した場合に、操作ロックの解除を実行し、前記端末側表示部23に操作ロックを解除したと表示すると同時に前記端末側操作部22からの入力動作の受け付けを有効とする(図3:ステップS112/端末側解除工程)。
【0109】
これにより、操作ロックの解除を依頼した携帯端末は、助手席に実際に着席している人のものであると確認した上で前記携帯端末の操作ロックを解除することが可能となる。
【0110】
次に、運転手が助手席の車載側送受信部42を用いて、無理矢理解除依頼を行う場合の動作を図3のフローチャート、図7のフローチャート及び図6の機能ブロック図に基づいて説明する。
【0111】
携帯側制御部21Aは、操作ロックである場合に(図3:ステップS101/端末側送受信工程)端末側操作部から前記操作ロックを解除する入力動作を受け付けると(図3:ステップS102/端末側送受信工程)、操作ロックを解除する解除要求を生成する。
【0112】
続いて、前記携帯側制御部21Aは、端末側送受信部30から車載通信機20に対して前記解除要求を送信するように端末側送受信制御部29を作動させて、前記端末側送受信部30から前記解除要求が送信される(図5:ステップS103/端末側送受信工程)。
【0113】
前記解除要求が出力された状態で前記端末側送受信部30を、助手席の車載側送受信部42に接近させると、この車載側送受信部42は、前記端末側フェリカ送受信部30から送信された解除要求を受信する。
【0114】
次に前記車載側送受信制御部16は、前記車載側送受信部41乃至43がどの座席に配設されたものであるか予め記憶しており、前記受信した解除要求に対して前記受信した座席に係る座席情報を付加し、解除要求信号判定部11Bに伝送する。
【0115】
前記解除要求信号判定部11Bは、前記解除要求に基づいて解除要求が伝送されたか否か、つまり車載側送受信部41乃至43のいずれかにて解除要求を受信したか否かを判定する(図4:ステップS201/車載側送受信工程)。
【0116】
一方、座席判定部17は、予め前記車載側制御部11が起動されると同時に前記人検知センサ51乃至53を起動させた状態で待機させており、前記人検知信号入力処理機能17Aによって人検知センサ52から前記人検知信号を取り込む。
【0117】
ここで、座席判定部17は、前記人検知センサ51乃至53がどの座席に装備されているかを予め内部に記憶しており、前記人検知信号入力処理機能17Aによって人検知信号を取り込むと同時にこの人検知信号はどの座席から出力されたものであるかを判定する機能を備えている。
【0118】
前記解除要求内容判定部11Aは、前記解除要求信号判定部11Bにて解除要求を受信したと判定した場合に、前記解除要求に基づいてこの解除要求は運転席の車載側送受信部から伝送されたものである否かを判定する(図7:S202/解除要求判定工程)。
【0119】
続いて、前記座席情報一致判定部11Cは、前記解除要求内容判定部11Aにて運転席以外判定された場合に、前記解除要求内容判定部11Aにて判定された座席情報と前記座席判定部17にて判定された座席情報とが一致するか否かを判定する。(図7:ステップS401/座席判定工程、人検知信号入力工程)。
【0120】
ここで、人検知信号が運転席から出力されたものであった場合には、解除要求を受信した車載側送受信部は助手席であるが、人検知信号を受信した人検知センサは運転席であるので、人検知信号の出力元と解除要求の受信元の座席情報が一致しない。
【0121】
前記車載側制御部11は、前記解除要求内容判定部11Aにて前記解除要求および前記人検知信号を出力した座席情報が一致していないと判定された場合に、前記操作ロックの解除を不許可とする内容の解除信号を生成する(図4:ステップS211/解除許可工程)と共にこれを応答信号として車載側送受信部41乃至43のいずれか一つから対応する携帯端末に送信するように前記車載側送受信部16の動作を制御する。
【0122】
前記端末側送受信制御部29は、前記端末側送受信部30にて受信した前記応答信号を前記端末側制御部21に伝送すると共に、応答信号判定部21Cは、応答信号を受信したか否か判定する(図3:ステップS104/応答内容判定工程)。
【0123】
前記応答信号判定部21Cにて前記受信した信号は応答信号であると判定された場合に、応答内容判定部21Aは、前記応答信号が操作ロックの解除を許可する内容であるか否か判定する(図3:ステップS105/応答内容判定工程)。
【0124】
前記端末側制御部21は、前記応答内容判定部21Aにて解除を不許可とする内容であったと判定された場合に、解除指令記憶部28に対して操作ロック解除=無効と記憶する(図3:ステップS120)と共に、操作ロックを継続し、前記端末側表示部23に操作ロック中であると表示すると同時に前記端末側操作部22からの入力動作の受け付けを制限し続ける(図3:ステップS121/端末側解除工程)。
【0125】
なお、本第2実施形態において、前記端末側送受信工程、前記応答内容判定工程及び前記端末側解除工程は、前記端末側制御部が有しているCPU(或いはマイクロプロセッサ)を用いて実行させると共に、前記車載側送受信工程、前記解除要求判定工程及び前記解除許可工程は、前記車載側制御部が有しているCPU(或いはマイクロプロセッサ)を用いて実行させるものとする。
【0126】
また、本実施形態では、人検知センサを座席部分に配設したが、配設する場所は座席部分に限るものではなく人の着席を検知できる場所であれば各座席の天井部分などであってもよい。
【0127】
これにより、運転手が助手席側の車載側送受信部を用いて無理矢理操作ロックを解除することを抑制することが可能となる。
【0128】
(第2実施形態の効果)
このように、座席判定部17及び人検知センサ51乃至53を配設し、解除要求を出力している座席と人検知信号を出力している座席が一致し、この座席が運転席であるか否か判定し、共に運転席以外から出力されたものである場合には操作ロックの解除を許可し、共に運転席以外から出力されたものでない場合には操作ロックの解除を不許可とする内容を応答として携帯端末に送信することで、運転手が助手席側の車載側送受信部から無理矢視操作ロックの解除することを防ぐことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、ブルートゥース機能付きカーナビ搭載の自動車に乗車した場合、各座席の携帯端末を個別に制御することが可能である。これにより運転手の携帯端末のみ入力動作を制御し、運転手以外の携帯端末の入力動作の制御を解除する事で、法律で禁止されている運転中の携帯端末操作を抑制すると同時に運転に関わらない人の利便性を向上することが可能である。
【符号の説明】
【0130】
10 車載通信機
11 車載側制御部
11A 解除要求内容判定部
11C 座席情報一致判定部
17 座席判定部
20 携帯端末
21 端末側制御部
21A 応答内容判定部
21D 設定表示制御機能
28 解除指令記憶部
30 端末側送受信部
41,42,43 車載側送受信部
51,52,53 人検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を含む複数の座席を有する移動体に装備された車載通信機と、この車載通信機からの指令に基づいて入力操作の無効を設定する操作無効設定機能を備えた携帯端末とを有する車載携帯端末システムにおいて、
前記携帯端末は、前記車載通信機に対して前記操作無効の設定を解除する無効設定の解除要求を送信すると共にこれに応答して前記車載通信機から出力される応答信号を受信する端末側送受信部と、この端末側送受信部で受信した前記応答が前記操作無効設定の解除指令であるか否かを判定する応答内容判定部と、この応答内容判定部により前記応答が解除指令であると判定した場合に前記操作無効の設定を解除する端末側制御部とを備え、
前記車載通信機は、前記携帯端末から送信される前記無効設定の解除要求を受信する車載側送受信部と、前記受信した解除要求が運転席の携帯端末からの信号か否かを判定する解除要求判定部と、この解除要求判定部にて前記解除要求が運転席以外のものであると判定した場合に作動し対応する前記携帯端末に対して操作無効設定を解除する解除指令を前記応答信号として発信する車載側制御部とを備えたことを特徴とする車載携帯端末システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載携帯端末システムにおいて、
前記座席に人が着席すると人検知信号を出力する人検知センサを、前記各座席領域に装備すると共に、
前記車載側制御部に、前記人検知信号に基づいてこの信号はどの座席から出力されたものであるか否かを判定する座席判定部を併設したこと特徴とする車載携帯端末システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車載携帯端末システムにおいて、
前記車載側制御部は、前記解除要求が出力された座席情報が予め前記座席判定部で確認されている座席情報に含まれているか否かを判定する座席情報一致判定部を備えたことを特徴とする車載携帯端末システム。
【請求項4】
請求項2に記載の車載携帯端末システムにおいて、
前記人検知センサを、前記各座席領域の座席部分に装備したことを特徴とする車載携帯端末システム。
【請求項5】
請求項1に記載の車載携帯端末システムにおいて、
前記端末側制御部に、前記入力操作の無効設定を解除したか否かを記憶する解除指令記憶部を設けると共に、
前記端末側制御部は、前記解除指令記憶部の内容に基づいて前記端末側制御部は入力操作の無効が設定されている状態であるか否かを前記携帯端末の表示部に表示する設定表示制御機能を備えていることを特徴とする車載携帯端末システム。
【請求項6】
請求項1に記載の車載携帯端末システムにおいて、
前記端末側送受信部と前記車載側送受信部の間の通信手段を、近接通信手段であるフェリカ方式からなる通信手段としたことを特徴とする車載携帯端末システム。
【請求項7】
請求項1に記載の車載携帯端末システムにおいて、
前記車載通信機からの解除指令の送信手段として、近距離通信手段であるブルートゥース方式からなる通信手段を用いる構成としたことを特徴とする車載携帯端末システム。
【請求項8】
運転席を含む複数の座席を有する移動体に装備された車載通信機と、この車載通信機からの指令に基づいて入力操作の無効を設定する操作無効設定機能を備えた携帯端末とを有する車載携帯端末システムにあって、
前記携帯端末に前記操作無効の設定を解除する解除要求が外部のオペレータにより入力された場合に端末側送受信部が前記車載通信機に対して解除要求を送信し、
前記車載通信機で受信された前記解除要求が運転席の携帯端末からのものであるか否かを判定し、
前記解除要求が運転席以外であると判定された場合に前記操作無効の設定を解除する解除指令を車載通信機側が生成して対応する前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末で受信した前記解除信号に基づいて当該応答が前記操作無効設定を解除する指令であるか否かを前記携帯端末の応答内容判定部が判定することを特徴とする車載携帯端末制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の車載携帯端末システム制御方法において、
前記車載側制御部が起動されると同時に前記移動体の各座席領域に予め別に装備された人検知センサを車載通信機側の座席判定部が起動させ、
前記人検知センサから出力される人検知信号を受信し、
前記人検知信号はどの座席から出力されたものであるかを前記座席判定部が判定し、
前記座席判定部で運転席以外と判定された場合にこの判定結果の座席情報を予め座席判定部に備えられた記憶部に保持し、
前記車載通信機側で解除要求を受信した場合にこの解除要求を受信した座席情報と前記座席判定部の記憶部に保持された座席情報とが一致するか否かを座席情報一致判定部が判定し、
前記座席情報一致判定部で座席情報が一致したと判定された場合に前記操作無効の設定を解除する解除指令を生成するように構成したこと特徴とする車載携帯端末制御方法。
【請求項10】
請求項8に記載の車載携帯端末システム制御方法において、
前記車載通信機側で解除要求を受信した場合に前記移動体の各座席領域に予め別に装備された人検知センサを車載通信機側の座席判定部が起動させ、
前記人検知センサから出力される人検知信号を受信し、
前記人検知信号はどの座席から出力されたものであるかを前記座席判定部が判定し、
前記解除要求を受信した座席情報と前記座席判定部で判定された座席情報とが一致するか否かを座席情報一致判定部が判定し、
前記座席情報一致判定部で座席情報が一致したと判定された場合に前記操作無効の設定を解除する解除指令を生成するように構成したこと特徴とする車載携帯端末制御方法。
【請求項11】
運転席を含む複数の座席を有する移動体に装備された車載通信機と、この車載通信機からの指令に基づいて入力操作の無効を設定する操作無効設定機能を備えた携帯端末とを有すると共に、前記携帯端末は、前記車載通信機に対して前記操作無効の設定を解除する無効解除要求の送信とこれに対する応答信号を受信する端末側送受信部と、前記携帯端末の動作を制御する端末側制御部とを備えた車載携帯端末システムにあって、
前記端末側送受信部の動作を制御する端末側送受信機能、前記応答信号に基づいてこの応答が前記操作無効設定を解除する指令であるか否かを判定する応答内容判定機能、及びこの応答内容判定機能にて前記応答が解除指令であると判定された場合に稼動し前記操作無効の設定を解除する端末側解除機能、
を前記端末側制御部が備えているコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車載携帯端末制御用プログラム。
【請求項12】
運転席を含む複数の座席を有する移動体に装備された車載通信機と、この車載通信機から送信される指令に基づいて入力操作の無効を設定する操作無効設定機能を備えた携帯端末とを有する共に、前記車載通信機は、前記携帯端末から送信される前記操作無効の設定を解除する解除要求の受信とこれに対する応答信号を対応する前記携帯端末に送信する車載側送受信部と、前記車載通信機の動作を制御する車載側制御部とを備えた車載携帯端末システムにあって、
前記車載側送受信部の動作を制御する車載側送受信機能、前記受信した解除要求に基づいてこの解除要求が運転席から出力されたものであるか否かを判定する解除要求判定機能、及びこの解除要求判定機能にて運転席以外のものであると判定された場合に稼動し前記操作無効の設定を解除する解除指令を生成すると共にこれを応答信号として対応する前記携帯端末に対して前記車載側送受信部から送信するように制御する解除許可機能、
を前記車載側制御部が備えているコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車載携帯端末制御用プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の車載携帯端末制御用プログラムにおいて、
前記各座席領域に予め別に装備された人検知センサから出力される人検知信号を取り込む人検知信号入力機能、前記人検知信号入力機能で取り込まれた人検知信号に基づいてこの人検知信号がどの座席から出力されたものであるかを判定する座席判定機能、前記解除要求判定機能にて運転席以外と判定された場合に前記座席判定機能の判定結果と前記解除要求判定機能の判定結果の座席情報とが一致するか否かを判定する座席判定機能、及びこの座席判定機能の判定結果が一致した場合に稼動し前記操作無効の設定を解除する解除指令を生成すると共にこれを前記応答信号として対応する前記携帯端末に対して前記車載側送受信部から送信するように制御する解除許可機能、
を前記車載側制御部が備えているコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車載携帯端末制御用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−77632(P2011−77632A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224457(P2009−224457)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】