説明

車載機器用支持具

【課題】任意の姿勢で車載機器を固定でき、簡単な構成で小型化を図ること
【解決手段】ダッシュボードに取り付ける台座21と、その台座の上面に回転可能に取り付けられ、車載機器を取り付けるための取付部材22と、その台座と取付部材を固定する操作ネジ23及び止めネジ24と、を備え、台座は、平板状の基板部21aの上面に設けた半球面部21bの頂点部分に開口部21cを設ける。取付部材は、帯板22aの下面に半球面部の符合する内形状を持つ球面受け部22bの頂点部分に貫通孔22fを設ける。操作ネジは、操作ハンドル部23aの下面に雄ネジ部を設ける。止めネジは、半球面部の内周面に符合する基部24aの上面に設けた軸部24bに雄ネジ部と符合する雌ネジ部24cを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波検出器,赤外線検出器,目標物検出装置その他の車載機器を支持して車室内の所定位置(ダッシュボード等)に固定させるための車載機器用支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波検出器や目標物検出装置等の車載機器は、所定の支持具を介して車室内の所定位置に設置するようになっている。支持具の取り付け場所としては、一般的にフロントガラスやダッシュボードの上などが用いられており、通常、それぞれに適した支持具が用意されている。そこで、ユーザは設置箇所に適した支持具を選択し、車載機器を設置するようにしている。
この種の支持具としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された発明では、車室内の所定位置に取り付ける基台部にアーム部材を上下方向に所定角度範囲内で回転可能に取り付け、そのアーム部材の先に車載機器に固定するための載置台を取り付ける。そして、載置台は、アーム部材に対して左右方向に正逆回転可能に構成する。これにより車載機器は、3次元空間内で移動可能となり、任意の位置・姿勢に置くことができる。そして、アーム部材と、基台部並びに載置台との連結部分は、ネジやバネその他適宜の機構により、任意の角度で固定できるようになる。また、部材間の連結部分にボールジョイントを用いたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−112305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、この種の製品として一般的によく用いられる特許文献1等のアーム部材を用いるとともに、固定機構を持たせた構成は、構造が大きくなり、ダッシュボード上に置いた場合に、背も高くなって車載機器の設置位置も上方になる。従って、車載機器によっては、ドライバー等が、目障りに感じるおそれある。また、設置状態の車載機器に対して、各種操作の目的等によりユーザが触れ、所定方向に付勢することが行なわれると、設置台が下方に移動することからアーム部材の一端に上下方向に回転力が加わり、その操作を繰り返し行なうことで、固定機構に緩みが生じる可能性もある。
【0005】
一方、たとえば、台座の上面に球面状の凹部を設け、その凹部内に上端に載置台(車載機器への取付部材)を設けた支柱の下端に取り付けたボールを挿入するようにしたボールジョイントを用いた支持具の場合、ボールと凹部の材質を適宜に設定し、両者間に生じる摩擦力を利用して車載機器の姿勢を保持することができ、簡単で比較的小型に構成できる。しかし、係る構成では、車載機器に対する姿勢の固定力が弱いので、各種操作等のために車載機器に対して所定方向の力が付勢される場合、車載機器を抑えた状態で処理する必要から、両手での操作が余儀なくされ、作業性が悪くなる。或いは、それを忘れて車載機器に設けた操作ハンドル部を所定方向に押圧した場合には、車載機器が傾いてしまい、その後、その姿勢を元に戻す作業が必要となるので、煩雑である。
【0006】
本発明は、任意の姿勢で車載機器を固定でき、しかも簡単な構成で小型化を図ることができる車載機器用支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載機器用支持具は、(1)ダッシュボード等の車室内の所定位置に取り付ける台座と、その台座の上面に移動可能に取り付けられ、車載機器を取り付けるための取付部材と、その台座と取付部材を固定する操作ネジ及び止めネジと、を備え、前記台座は、平板状の基板部と、その基板部の上面に設けた上方に膨らむ半球面部と、を有するとともに、その半球面部の頂点部分に開口部を設け、前記取付部材は、細長な帯板と、その帯板の下面に設けた前記半球面部の外形状に符合する内形状を持つ球面受け部と、その帯板の両端に上方に向けて起立するように設けた支柱壁部と、その支柱壁部の上端に設けた前記車載機器の取付部と、を有するとともに、前記半球面部の頂点部分に貫通孔を設け、前記操作ネジは、平板状の操作ハンドル部と、その操作ハンドル部の下面中央に下方に延びるように設けた雄ネジ部と、有し、前記止めネジは、前記半球面部の内周面に符合する外周面を有する基部と、その基部の上面に上方に突出するように設けられる軸部と、を有するとともに、その軸部に前記雄ネジ部と符合する雌ネジ部を設け、前記取付部材と前記台座とは、前記球面受け部が前記半球面部の球面に沿って移動することで相対移動するように構成され、前記操作ハンドル部の外形寸法は、前記帯板の横幅よりも長く、前記支柱壁部間の距離よりも短く設定し、前記軸部を前記貫通孔に挿入した状態でその軸部と貫通孔との相対的な回転が抑止される回り止め機構を設け、前記開口部の内径寸法は、前記軸部の外形寸法よりも大きく設定し、前記基部を前記半球面部の内周面に接触させた状態で、その内周面に沿って前記止めネジを移動可能とした。
【0008】
操作ハンドル部は、実施形態では、ほぼ円盤状としているが、必ずしも円盤を基本形状とする必要はなく、多角形状その他任意の形状を採ることができる。また、回り止め機構は、実施形態では、平行な平面形状としたが、本発明はこれに限ることはなく、任意の形状を採ることができる。すなわち、適宜な多角形状としたり、星形のように周囲をぎざぎざとしたり、さらには、楕円形その他の任意の曲面としてもよく、要は、真円でなければ、回転しないので良い。
【0009】
本発明によれば、4つの部材を下から止めネジ,台座,取付部材,操作ネジの順で上下に積み重ね、操作ネジを正逆方向に回転することで、雄ネジ部と雌ネジ部の締め付けの状態を制御し、取付部材の可動と固定を許容するので、取付部材に取り付けた車載機器を任意の姿勢にすると共に、その位置で固定することができる。さらに、本発明は、構成が簡単で、全高を低く抑えることができる。よって、この車載機器用支持具を用いて設置される車載機器もその設置位置を低くすることができるので、安定性が向上すると共に、目障りになることを可及的に抑制できる。
【0010】
また、操作ネジの操作ハンドル部は、取付部材の帯板から外側に突出するため、車載機器を取り付けた状態でもその突出した操作ハンドル部の部分に対して接触し、操作ハンドル部(操作ネジ)を正逆回転させることができる。よって、設置後であっても、容易に車載機器の姿勢の調整が行える。
【0011】
(2)前記操作ハンドル部は、その周縁の一部が、前記帯板の短手方向(横幅方向)両側から外側に突出するように構成されるとよい。係る構成を採ると、両側から突出する操作ハンドル部を両側から片手で挟むように持つと、必然的に取付部材の帯板を手のひらで挟み込むようになる。よって、その状態で操作ハンドル部を正逆回転させると、取付部材の回転は抑止(ほぼ抑止)されるので、止めネジ(雌ネジ部)も回転せず(回り止めされ)、雄ネジ部と雌ネジ部とのネジのかみ合いが、締まったり緩んだりさせることができる。
【0012】
(3)前記止めネジは、金属製であり、前記台座並びに前記取付部材が樹脂製であるとよい。このようにすると、車載機器用支持具の重心が下がるので、安定する。
(4)前記基板部は、その平面形状が四角形状或いはその四角形状の各辺を外側に膨らませた形状としても良い。このようにすると、基板部の下面に粘着シートや両面接着テープ等の接着部材を取り付ける場合、その接着部材の形状を四角形状にしつつ、基板部のほぼ全面に接着部材を取り付けることができるので、接着部材の有効利用を図りつつ基板部全面をダッシュボード等の取付面に接着できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、任意の姿勢で車載機器を固定でき、しかも簡単な構成で小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図3】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図4】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図4は、本発明の好適な一実施の形態を示している。図1は、本実施形態の車載機器用支持具20の使用状態の一例を示す分解斜視図であり、図2,図3は、本実施形態の車載機器用支持具の分解斜視図であり、図4は、本実施形態車載機器用支持具の断面図である。
【0016】
まず、図1を用いて、車載機器用支持具に装着される車載機器15について説明する。車載機器15は、車両の現在位置情報や、外部から飛来する電波情報を取得し、取得した情報が設定した条件に合致した場合に警報・報知をする装置である。この車載機器15の外観を構成するケース本体1は、平面略矩形の扁平な形状からなり、その上面は、前方側が高く後方側が一段低く構成される。つまり、前方部分1aの厚さ(高さ)h1は、後方部分1bの厚さ(高さ)h2よりも大きく設定している。なお、本形態において、前側とは、車載機器(車載用電子機器)を車室内の所定位置(たとえば、ダッシュボード上)に置いたときに車の前側(前方)に位置する側をいう。逆に言うと、ドライバーから見た場合には、車載機器の後側が手前に来ることになる。
【0017】
ケース本体1の一段低くなった後方部分1bの上方に、扁平矩形状の表示パネル収納ケース2を配置する。この表示パネル収納ケース2は、後方部分1bの前方部分1a側境界付近にてヒンジ機構5によりケース本体1に所定角度範囲内で正逆回転自在に取り付けられる。これにより、図1(a)に示すような表示パネル収納ケース2が起立した状態と、図1(b)に示すように表示パネル収納ケース2が倒れた状態とを、採ることができる。図1(b)に示すように、表示パネル収納ケース2を閉じた状態では、その表示パネル収納ケース2が、ケース本体1の後方部分1b上の前方部分1aとの段差内に収まり、その本体ケース1と表示パネル収納ケース2の全体で一つの筐体のように見えるようにしている。厳密に言うと、表示パネル収納ケース2の厚さの方が、前方部分1aと後方部分1bの厚さの差(h1−h2)よりも大きくしているので、全体で一つの筐体と見なした場合には、後方側の方が厚くなるが、その差を適宜に設定することで、一体的に見えるようにしている。
【0018】
表示パネル収納ケース2の一方の面(倒れた状態のときにケース本体1と対向する下面)に、表示パネル3を取り付ける。この表示パネル3は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現され、フレキシブルケーブルによりケース本体1に内蔵される制御部と電気的に接続される。これにより、表示パネル収納ケース2が倒れた(閉じた)状態では、表示パネル3は、収納ケース2の後方部分1bの上面と対向し、外部から視認不能となる。そして、表示パネル収納ケース2を起立させて開いた状態では、表示パネル3も起立して露出し、後方側、つまり、ドライバー側から視認可能となる。
【0019】
さらに本形態では、表示パネル収納ケース2の他方の面(倒れた状態のときにケース本体1と対向しない上面で、常時露出する面)には、ソーラーパネル4を取り付ける。このソーラーパネル4は、表示パネル3と背中合わせの状態で表示パネル収納ケース2内に収納される。これにより、機器の小型化を実現できるとともに、互いに相手方の補強部材としての機能も発揮して強度も得られるので、別途補強板を設ける必要が無くなるか、仮に設けたとしても最小限のものとすることができ、全体として薄く構成できる。
【0020】
ケース本体1の後方部分1bの上面の手前側端部には、スイッチ部7を配置する。このスイッチ部7は、表示パネル収納ケース2を起立させて開放した(開いた)状態の時に外部に露出し、ユーザが操作可能となり、表示パネル収納ケース2を倒して閉塞(閉じた)状態では、その表示パネル収納ケース2に覆われてユーザが接触することができず、操作不能となる。換言すると、表示パネル収納ケース2を閉じた状態にしておくことで、運転中を含めスイッチ部7に対する操作ができないようになるので、誤ってスイッチ部7に触れてしまい、予期しない処理・動作が行なわれてしまうのを防ぐことができる。さらに、従来のこの種の装置の場合、スイッチ部7は、常時露出した状態になることから、ソーラーパネルや表示画面のスペースの確保等のために、必然的に小さくなり、操作性が悪くなり、誤って異なるボタンを押下するなどを生じるおそれがあるが、本形態ではそのような制限が無く、個々のボタンの寸法形状を比較的大きくするとともに、それぞれを離すこともでき、見やすいと共に意図せずに同時に複数ボタンを押してしまったり、間違って別のボタンを押してしまったりなどの誤操作の発生の抑制を可及的に行なうことができる。
【0021】
ケース本体1の前方部分1aの前面側内部にマイクロ波受信機並びに無線受信機を配置し、ケース本体1の前方部分1aの上面側内部には、GPS受信機を配置する。また、ケース本体1の後方部分1bの後面に警報ランプ6を配置している。警報ランプ6は、所定の色のLEDから構成される。なお、警報ランプ6とともに、電源のON/OFF等を示すパイロットランプ等の警報以外に使用されるランプ(発光手段)も用意される。
【0022】
本形態では、表示パネル収納ケース2をケース本体1の後方部分1b側に設けるとともに、GPS受信機をケース本体1の前方部分1a側に設け、図1(a)に示すように、表示パネル収納ケース2を起立させた状態でも前方部分1aの大部分は表示パネル収納ケース2に覆われないようにしているので、表示パネルを開いた場合であっても、良好にGPS電波を受信することができ、自車位置情報を随時取得できる。
【0023】
さらに、ケース本体1の一方の側面には、電源スイッチ8並びにシガープラグコードを接続するためのDCジャック9を配置する。また、ケース本体1内には、スピーカや、無線受信機や、リモコン受信機等も内蔵されている。さらに、目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などは、データベースに格納される。なお、データベースには、出荷時に一定の目標物に関する情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)が登録されている。また、使用に応じて各種の位置情報をデータベースに登録・更新することができる。
【0024】
マイクロ波受信機は、所定周波数帯のマイクロ波を受信し、その受信信号を制御部に送る。所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。無線受信機は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信機は、リモコン(携帯機:子機)とデータ通信をし、車載機器15に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部7も制御部に接続され、リモコンと同様の設定を行えるようになっている。GPS受信機は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(軽度,緯度)を制御部に送る。
【0025】
制御部は、上記の各種の入力機器(受信機等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示パネル3,警報ランプ6,スピーカ等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。この入力機器から入力される情報に基づく警報内容を決定する所定の処理は、基本的に従来と同様のものを利用することができる。つまり、一定の条件を具備する信号を受信・取得した場合には、対応する警報を出力したりする。なお、スピーカを用いた警報は、ブザーや音声等がある。
【0026】
ケース本体1の底面には、上部開口した扁平な矩形箱状の電池収納ケース10が着脱可能に装着される。この電池収納ケース10内に、蓄電池11が収納される。蓄電池11は、充電回路を介してソーラーパネル4やDCジャック9に接続され、蓄電されるとともに、放電回路を介して制御部その他に対して電力供給可能としている。そして、本実施形態の車載機器用支持具20は、電池収納ケース10に設けたスリット部10aに挿入することで車載機器15と一体化し、支持する。
【0027】
本形態では、制御部は、表示パネル収納ケース2の開閉状態を認識し、表示パネル収納ケース2が起立して開いた状態のときは、表示パネル3を用いた画面表示による警報を行ない、表示パネル収納ケース2を倒して閉じた状態のときは、表示パネル3を用いた画面表示による警報を行なわない(表示パネル3は、消灯)ように制御する。これに伴い、画面表示を用いた警報を行なうモードの時には、警報ランプ6による警報を行なわず、画面表示を用いた警報を行なわないモードの時には、警報ランプ6による警報を行なうようにする。なお、スピーカを用いた警報は、いずれの状態のときにも行なうようにしている。開閉状態の認識は、たとえば、ケース本体1内の所定位置に磁気センサを設けるとともに、表示パネル収納ケース2の所定位置に磁石を設け、表示パネル収納ケース2の開閉に伴う磁気センサが検出する当該磁石の磁力の変化(大小)に基づいて行なうことができる。画面を閉じているときは、画面表示による報知を行なわないため消費電力を大幅に抑えることができる。
【0028】
この切り替え制御を行なうためのユーザの操作としては、ユーザは単に画面を閉じるだけで良く、画面表示を切るためのスイッチ操作など特別の操作をする必要もない。また画面部分を閉じることができるため、ドライバーが画面に気を取られて危険を招くこともない。このように画面部分を閉じた状態であってもスピーカと警報ランプ6による報知はなされるため、報知内容が画面表示されないために報知内容がわからないと言うこともない。さらに、表示パネル収納ケース2を閉じた状態では、全体として扁平な矩形状の本体のようになるとともに、音(音声を含む)とランプによる警報がされることから、表示パネルを備えていない従来タイプの車両速度測定装置を検出する車載機器に類する形態となり、ドライバーにとっても違和感なく十分な情報を伝えることができる。
【0029】
本形態によれば、通勤や生活圏等で普段良く通る道を運転する際には、表示パネル収納ケース2(表示パネル3)を閉じて音(警報ランプ6)によって報知内容を知ることができるとともに、例えば休日に遠出する場合のように普段は通らない道を運転する際には表示パネル収納ケース2を開いて画面表示の報知によって視覚によってより多くの情報を得ることができる。このような利用方法では、普段は消費電力が少ない状態で利用しているため、十分な電力を蓄電池に蓄電できるとともに、表示パネル収納ケース2を開いて利用した場合にその蓄電した電力を利用して、画面表示による報知を長時間にわたって行なうことも可能となる。
【0030】
また、普段は画面を閉じてDCジャック9からシガープラグコードを外し、ソーラーパネル4と蓄電池のエネルギーのみで長時間の動作が可能となるとともに、遠出をするときにだけ、画面を開くとともにDCジャック9にシガープラグコードを接続して車両のバッテリーから電源供給を受けて長時間の動作をさせることもできる。このようにすれば、普段はシガープラグコードがじゃまになることはなく利用できるとともに、画面表示を必要とする場合にだけ車両から電源供給を受けて安定的に長時間動作させることが可能となる。
【0031】
また、上記のような新たな形態・構成からなる車載機器の場合、ユーザによっては比較的頻繁に表示パネル収納ケース2の開閉操作を行なうことが予想され、その都度、その開閉操作に伴う力が、ケース本体1を介して車載機器用支持具20に加わることになる。さらに、スイッチ部7に対する押下処理をした場合も、その押下に伴う所定方向の力が、ケース本体1を介して車載機器用支持具20に加わることになる。
【0032】
本実施形態の車載機器用支持具20は、支持する車載機器15を所定の角度範囲内で回転させ、任意の姿勢を採ることができるようにしている。具体的な構成は、図2,図3,に示すように、ダッシュボード等の車室内の所定位置に取り付ける台座21と、その台座21の上面に回転可能に取り付けられ、ケース本体1(電池収納ケース10)を取り付けるための取付部材22と、その台座21と取付部材22を固定する操作ネジ23及び止めネジ24と、を備えて構成される。
【0033】
台座21は、平板状の基板部21aの上面中央に、上方に膨らむ半球面部21bを設けた構造とする。その半球面部21bの中央には、比較的大きな貫通孔である開口部21cが形成される。また、基板部21aの下面には、平面正方形状の凹部21dが形成される。また、基板部21aは、凹部21dの寸法形状とほぼ等しい略矩形状で、若干丸みを帯びさせるため、その凹部21dの各辺を若干外側に膨らんだ曲率半径の大きい円弧状に形成している。この曲率半径は、凹部21dの中心から頂点までの距離よりも長い値に設定している。これにより、凹部21dの外接円と比較した場合、基板部21aの外周縁の方が外接円の内側に位置するようになる。
【0034】
凹部21dには、ゲル状の粘着シートや、両面接着テープその他の接着部材を取り付ける。この接着部材を利用してダッシュボード等の所定位置に基板部21aを固定することができる。また、本実施形態では、接着部材を効率よく使用するため、接着部材の形状は、矩形状(実施形態では正方形だが長方形でも良い)としている。つまり、通常、接着部材は、より大きな寸法形状のシートから所望の寸法に切り出して形成されるため、接着部材の形状を円形にした場合には、そのシートから無駄に捨てる部分が発生してしまう。そこで、本実施形態では、接着部材の形状を矩形状にした。そして、それに伴い、基板部21aの外形状は、その接着部材(凹部21d)からあまり外側に膨らまないようにするべく、本実施形態のようにした。
【0035】
取付部材22は、まず、長方形状の帯板22aを有し、その帯板22aの下面の中央部位に、上記の半球面部21bの外形状に略符合する内形状を持つ球面受け部22bを形成する。これにより、取付部材22(球面受け部22b)を台座21(半球面部21b)の上にかぶせるように配置すると、図4に示すように半球面部21bの外周面と、球面受け部22bの内周面とが符合し、両者はその接触する球面に沿って相対的に任意の方向に移動することができる。よって、台座21を水平に置いた状態で固定したと仮定すると、取付部材22は、半球面部21bの頂点を中心に水平面内で360度回転させることができるし、任意の方向に傾けることができ、それら回転と傾きとを適宜組み合わせることで、取り付けた車載機器15を所望の姿勢にすることができる。つまり、車載機器15を水平にしたり、所定角度傾けたりすることができる。その結果、例えばダッシュボードが左右方向や前後方向に水平でなく傾いている場合であっても、車載機器15の表示パネル3や警報ランプ6をドライバーの方に向ける(正対させる)ことが容易にできる。これらのことから、特に表示装置を有する車載機器用の支持具として好適に適用できる。
【0036】
さらに取付部材22は、帯板22aの両端に上方に向けて折れ曲がった支柱壁部22eを設け、それら両支柱壁部22eの上端中央部位に、それぞれ第1爪部22cと、第2爪部22dと、を設ける。第1爪部22cは比較的長く上方に向けて伸びるようにし、しっかりと電池収納ケース10内に入り込み離脱を抑止すると共に、第2爪部22dは上方への突出量を短くし、電池収納ケース10に対する着脱の操作性を向上させている。また、両支柱壁部22eの高さは等しくすると共に、その上面の一部(両端側)は、平坦部となり、両爪部22c,22dを電池収納ケース10のスリット部10aに挿入した状態で、当該平坦部が電池収納ケース10の下面を受けるようになる。
【0037】
さらに取付部材22の帯板22aの中央部位には、上下に貫通する貫通孔22fを設ける。この貫通孔22fは、球面受け部22bの中心を貫通するように設定されている。また、貫通孔22fの内周面は、平面状の回り止め部22gが形成されている。
【0038】
操作ネジ23は、円盤状の操作ハンドル部23aと、その操作ハンドル部23aの下面中央に下方に延びるように設けた雄ネジ部23bと、を備える。雄ネジ部23bは、取付部材22の貫通孔22f並びに台座21の開口部21c内を貫通する。また、操作ハンドル部23aの直径は、帯板22aの横幅よりも長く、支柱壁部22e間の距離よりも短く設定している。さらに、操作ハンドル部23aの厚さは、支柱壁部22eの高さよりも薄く(低く)設定している。これより、雄ネジ部22bを貫通孔22f内に挿入した状態では、操作ハンドル部23aは、外周縁の一部(径方向両側)が、帯板22aから外方に突出するとともに、その操作ハンドル部23aの上面は、支柱壁部22eの上端縁よりもした側に位置する。よって、取付部材22上に、車載機器15を取り付けた状態で、操作ハンドル部23aは、その側面の一部が取付部材22より外側に突出するので、ユーザはその操作ハンドル部23aに接触して操作(正逆回転)させることが可能となる。
【0039】
止めネジ24は、台座21の半球面部21bの内周面に符合する外周面を有する基部24aと、その基部24aの上面の頂点に上方に突出するように設けられる軸部24bと、を有する。軸部24bには、その外周面の上方所定位置に、平面からなる回り止め部24cが、平行に2カ所設けられている。そして、この軸部24bは、取付部材22の貫通孔22f内に挿入可能となり、挿入した状態では、軸部24bに設けた回り止め部24cと、取付部材22の貫通孔22fに設けた回り止め部22gとが接触し、取付部材22と止めネジ24との相対的な回転移動が抑止される。さらに、軸部24bの外形寸法に比べて、台座21の開口部21cの内径寸法を十分に大きく設定しているため、軸部24bは開口部21c内を移動可能となる。つまり、止めネジ24の基部24aを台座21の半球面部21bの内周面に接触させた状態で、その内周面に沿って止めネジ24を移動させることができる。
【0040】
さらに軸部24bから基部24aにかけて、上下に貫通する貫通孔が形成され、その貫通孔の内面に雌ネジ部24dが形成される。この雌ネジ部24dは、操作ネジ23の雄ネジ部23bと噛み合うように設定されている。よって、台座21の半球面部21bの上に取付部材22の球面受け部22bを乗せるとともに、半球面部21bの下方内側に止めネジ24を配置した状態で、操作ネジ23の雄ネジ部23bを貫通孔22f内に挿入して雌ネジ部24dに締結させる。そして、その状態でと、操作ハンドル部23aを正逆方向に回転すると、雄ネジ部23bと雌ネジ部24dとは、両者の締め付けが進んだり、緩んだりする。よって、図4(a)に示すように、ゆるみ具合が進むと、台座21と取付部22との間に隙間が形成可能となり、両者は相対的に可動状態となり、回転させたり傾けたりさせることができる。一方、完全に締め付けることで、図4(b)に示すように、台座21と取付部材22とは、操作ネジ23の操作ハンドル部23aと、止めネジ24の基部24aとの間でしっかりと挟まれて固定される。
【0041】
さらに、本実施形態では、台座21並びに取付部材22は樹脂から形成し、止めネジ24は金属から形成している。また、操作ネジ23は、操作ハンドル部23aは樹脂から形成し、雄ネジ部23bは金属から形成している。このように止めネジ24は、金属から形成していることもあり、基部24aの部分も稠密とし、ある程度の重量を得るようにしている。これにより、車載機器用支持具20の重心は、下に下がり、安定する。
【0042】
また、操作ネジ23の操作ハンドル部23aは、径方向反対側のそれぞれの周面が取付部材22の両側から外側に突出するため、その突出した操作ハンドル部23aの部分を両側から片手で挟むように持つと、必然的に取付部材22の帯板22aを手のひらで挟み込むようになる。よって、その状態で操作ハンドル部23aを正逆回転させると、取付部材22の回転は抑止(ほぼ抑止)されるので、止めネジ24(雌ネジ部24d)も回転せず(回り止めされ)、雄ネジ部23bと雌ネジ部24dとのネジのかみ合いが、締まったり緩んだりすることになる。
【0043】
また、上記のように操作ハンドル部23aを挟み込むことなく、突出する片側のみに触れるようにした場合でも、通常の使用状態を考えると、取付部材22の上には車載機器15が取り付けられた状態となっているとともに、台座21がダッシュボード上に貼り付けられているので、車載機器15に手が触れてその回転が抑止され、それに伴い、電池収納ケース10,取付部材22の回転も抑止される。よって、一方の側面のみ接触した状態(帯板22aを挟み込まない状態)で操作ハンドル部23aを正逆回転させても、上述したように車載機器15等の回転が抑止されることにともない、雄ネジ部23bと雌ネジ部24dとのネジのかみ合いが、締まったり緩んだりすることになる。よって、いずれにしても、本実施形態では、ネジの締め付け(取付部材22の固定)と開放(取付部材22を可動)の作業性が良好となる。
【0044】
さらに、本実施形態では、台座21の平面形状を、矩形状をベースとして丸みを持たせたことで、方向性が生じる(円形ではないので)。そこで、たとえば、車載機器15を取り付ける前の車載機器用支持具20を持つことで、上方が開放されてその台座21の周縁がしっかりと見えるので、台座21の曲線状の一辺をダッシュボードの縁と平行としたり、運転席に正対させたりする等、簡単に目的とする位置あわせを行い、ユーザは所望の位置に所望の向きで取り付けることができる。その後、取付部材22に車載機器15(電池収納ケース10)に位置あわせをしつつ押しつけることで、簡単に車載機器15を車載機器用支持具20に取り付けることができる。そして、その取付後に、車載機器15の姿勢を適宜に調整し、操作ネジ23を操作して取付部材22ひいては車載機器15を固定する。このようにすると、車載機器用支持具20の向きと、車載機器15の向き・姿勢を共に簡単にユーザの好みにあった状態に設定することができる。もちろん、使用方法としては、上述したものに限ることはなく、まず、車載機器用支持具20に車載機器15を取り付け、その状態で車載機器用支持具20をダッシュボード等の所定位置に取り付けるようにしても良い。
【0045】
上述したように、本実施形態の車載機器用支持具20は、4つの部材を所定の順で上下に積み重ね、操作ネジ23を正逆方向に回転することで、取付部材22の可動と固定を許容するので、その構成が簡単で、全高を低く抑えることができる。よって、この車載機器用支持具20を用いて設置する車載機器15もその設置位置を低くすることができるので、安定性が向上すると共に、目障りになることを可及的に抑制できる。
【0046】
また、操作ハンドル部23aを正方向に回転させて、雄ネジ部23bと雌ネジ部24bとをしっかりと締結させることで、取付部材22ひいては車載機器15を任意の姿勢で固定することができ、その後、車載機器15に対して各種の操作・設定等のために所定方向に付勢されたとしても、車載機器15を抑えることなく係る操作等を行なうことができる。さらに、たとえば、車載機器15へ加わる力が下方への押圧力の場合、車載機器用支持具20を構成する各部材がその直下近傍に位置しており、その押圧力の方向は固定するネジ機構が緩む方向ではないので、使用中にネジが緩み、車載機器15が傾くなどのおそれを可及的に抑制できる。そして、仮に車載機器15が所望の姿勢からずれたとしても、車載機器を車載機器用支持具20に取り付けるとともに、車載機器用支持具20もダッシュボード等に取り付けた状態のまま、操作ネジ23を操作し、再度固定することができるので、作業性がきわめて良好になる。
【0047】
特に、上述した状況に応じて表示パネル収納ケース2(表示パネル3)を開閉する構成の車載機器15では、上下方向の付勢力が、車載機器15を介して車載機器用支持具20に比較的頻繁に加わることになる。しかし、本実施形態の車載機器用支持具20は、上述した理由から、係る付勢力があってもしっかりと車載機器15の姿勢を保持することができる。
【0048】
なお、本実施形態の車載機器用支持具20は、上述した新たな構成の車載機器15に好適に適用することができるが、他の構成の車載機器用の支持具としてももちろん利用できる。車載機器の一例をあげると、マイクロ波検出器(レーダー探知機),赤外線検出器,目標物検出装置,PND(ポータブルナビゲーションデバイス),ドライブレコーダ等がある。
【符号の説明】
【0049】
15 車載機器
20 車載機器用支持具
21 台座
21a 基板
21b 半球面部
21c 開口部
22 取付部材
22a 帯板
22b 球面受け部
22c 第1爪部
22d 第2爪部
22e 支柱壁部
22f 貫通孔
22g 回り止め部
23 操作ネジ
23a 操作ハンドル部
23b 雄ネジ部
24 止めネジ
24a 基部
24b 軸部
24c 回り止め部
24d 雌ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュボード等の車室内の所定位置に取り付ける台座と、
その台座の上面に移動可能に取り付けられ、車載機器を取り付けるための取付部材と、
その台座と取付部材を固定する操作ネジを備え、
前記取付部材は、細長な帯板と、その帯板の両端に上方に向けて起立するように設けた支柱壁部と、その支柱壁部の上端に設けた前記車載機器側の取付部と、を有するとともに、前記操作ネジは、操作ハンドル部を有し、
前記取付部材と前記台座とは、前記操作ネジによって固定されない状態では、相対移動するように構成され、
前記操作ハンドル部の外形寸法は、前記帯板の横幅よりも長く、前記支柱壁部間の距離よりも短く設定したことを特徴とする車載機器用支持具。
【請求項2】
前記操作ハンドル部は、その周縁の一部が、前記帯板の短手方向両側から外側に突出するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の車載機器用支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−39919(P2013−39919A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236567(P2012−236567)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2008−8927(P2008−8927)の分割
【原出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】