説明

車載用ディスク再生装置

【課題】ACC電源をオフとした後、所定期間が経過しても、一旦車外に出て、戻った後の所定期間内ではディスクのローディングまたはアンローディングを可能とする。
【解決手段】ACC電源がオフとなった後、タイマーを作動させ、タイマーが設定した所定期間内はイジェクトキー信号またはローディング信号を監視し、イジェクトキー信号が入力されるとディスクをアンローディングし、または、ローディング信号が入力されるとディスクをローディングし、所定期間経過後はバックアップ電源によりドア開信号を監視し、ドア開を検出するとタイマーを作動させ、タイマーが設定した所定期間内はイジェクトキー信号またはローディング信号を監視し、イジェクトキー信号が入力されるとローディング装置を駆動してディスクをアンローディングし、または、ローディング信号が入力されるとローディング装置を駆動してディスクをローディングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車載用ディスク再生装置に係わり、特に、そのディスクローディング制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からCDプレーヤやDVDプレーヤ等のディスク再生装置で車両に搭載するものが知られている。このような車載用ディスク再生装置ではディスク挿入口にローディング開始位置まで挿入されたディスクを再生位置にローディングし、また、再生位置にあるディスクをアンローディング終了位置までアンローディングするディスクローディング装置が用いられている。
【0003】
このような車載用ディスク再生装置には、エンジンキーをオンとするとオンとなるACC(アクセサリ)スイッチを介して供給されるACC電源とバッテリから直接供給されるバックアップ電源とが用いられている。
【0004】
ACC電源は車載用ディスク再生装置を使用するときに用いられる電源であり、大きい電力を消費し、ACCがオンであっても、車載用ディスク再生装置の電源スイッチをオフとすることでオフとなる。バックアップ電源はエンジンキーが切られたときも供給される電源であり、通常計時動作等の微小電流用として用いられる。
【0005】
従来の車載用ディスク再生装置では、ACC電源がオフとなっているときに、ディスクをローディングおよびアンローディング可能とすると、イジェクトスイッチ等のオンオフを常時マイクロコンピュータで監視することになり、バックアップ電流が大きくなるため、ACC電源オフ中はディスクの出し入れを不可能としていた。このような車載用ディスク再生装置はACC電源をオフとした後、ディスクを取り出すためにACC電源をオンとしなければならず不便であった。
【0006】
特公平7−72970号公報に開示された車載用DAD再生装置は、ACC電源をオフとした後、所定期間内ではディスクのローディングおよびアンローディングを可能としている。ACC電源オフ中のバックアップ電流が小さくなるが、ACC電源をオフとした後、所定期間をすぎると、ディスクを取り出すためにACC電源をオンとしなければならずやはり不便であった。
【特許文献1】特公平7−72970号公報、第2〜第3頁、図2、図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ACC電源をオフとした後、所定期間が経過しても、一旦車外に出て、戻った後の所定期間内ではディスクのローディングまたはアンローディングが可能となる車載用ディスク再生装置提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車載用ディスク再生装置は、ディスクのローディングおよびアンローディングを行うローディング装置を備えた車載用ディスク再生装置において、前記ローディング装置にバッテリからACCスイッチを介して供給されるACC電源と、バッテリから直流電圧変換されたバックアップ電源とを供給し、ドア開信号、イジェクトキー信号およびローディング信号を入力し、ACC電源がオフとなった後、タイマーを作動させ、前記タイマーが設定した所定期間内はイジェクトキー信号またはローディング信号を監視し、イジェクトキー信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをアンローディングし、または、ローディング信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをローディングし、前記所定期間経過後はバックアップ電源によりドア開信号を監視し、ドア開を検出するとタイマーを作動させ、前記タイマーが設定した所定期間内はイジェクトキー信号またはローディング信号を監視し、イジェクトキー信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをアンローディングし、または、ローディング信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをローディングするように構成したものである。
【0009】
また、前記車載用ディスク再生装置において、前記ドア開信号をドア開表示の駆動信号としたものである。
【0010】
また、同車載用ディスク再生装置において、前記ドア開信号をドア開表示の駆動信号としたものである。前記ドア開信号はルームランプの駆動信号としたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の車載用ディスク再生装置によれば、長期間エンジンを停止しても、ドアを開けて車内に戻った後は、ACC電源をオンとしなくてもディスクのローディングやアンローディングができるので便利である。しかも、ドア開の検出はスイッチオンオフ検出のように電流検出ではなく、電圧検出であるので、マイクロコンピュータの低電流モードが可能となり、車両停止中のバッテリ消耗が小さくてすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。図1はこの発明の実施例である車載用ディスク再生装置の制御部を示すブロック図、図2は同制御部の動作を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示す1は車載用ディスク再生装置と車両の電装部とを接続するコネクタである。車載用ディスク再生装置のローディング装置はコネクタ1の右側部分に示された部品で構成されている。すなわち、ROM、RAMおよびタイマーを備えたマイクロコンピュータ2およびモータドライバ4等により構成されている。
【0014】
マイクロコンピュータ2にはバッテリ3の電圧をDC−DCコンバータ12で電圧変換されたバックアップ電源が供給され、バッテリ3からACCスイッチ(エンジンキーをオンとすることによりオンとなるスイッチ)7を介して電流が供給される定電圧レギュレータ11の出力であるACC電源16の状態監視を行っている。
【0015】
マイクロコンピュータ2は定電圧レギュレータ11を動作状態および非作動状態に制御する。マイクロコンピュータ2の出力端子は定電圧レギュレータ11の制御端子に接続されている。なお、電圧検出器15の入力端子とグランド間に接続された抵抗器14はACCスイッチ7を介してバッテリ3と並列に接続されたノイズ除去用のコンデンサ13を急速に放電するためのものである。
【0016】
電圧検出器15の出力電圧は入力電圧が所定値未満または所定値以上とに応じてL電圧またはH電圧となる。定電圧レギュレータ11は入力端子に電流が供給され、上記制御端子にH電圧が印加されたときのみ出力端子に定電圧電流を供給する。
【0017】
ACC電源16のオン時にはマイクロコンピュータ2はタイマーを作動させイジェクトキー5およびローディング開始位置ディスク検出スイッチ6に電流を供給するモード1として動作する。
【0018】
ACC電源16が供給されていないときは、マイクロコンピュータ2はバックアップ電源によりメモリに電流を供給する他モータドライバをオフ状態とするモード2として動作する。なお、後で説明するように、ACCスイッチ7または電源スイッチ8がオフとなったモード2においてもマイクロコンピュータ2はアナログスイッチ17および18をオンとし、ACC電源16を供給するモード1に移行させることができる。
【0019】
バックアップ電源はさらにドア開を検出するドア開検出スイッチ10にも電圧を印加しており、ドア開検出スイッチ10が閉じたとき(ドア開のとき)にHとなる信号はモード2においてもマイクロコンピュータ2が検出する。
【0020】
マイクロコンピュータ2はモード1において、イジェクトキー5およびローディング開始位置ディスク検出スイッチ6に電流を供給し、これらのスイッチのオンオフ信号が入力される。また、モード2ではマイクロコンピュータ2はイジェクトキー5およびローディング開始位置ディスク検出スイッチ6に電流を供給しないが、ドア開検出スイッチチ10がオンとなるときH電圧となるドア開検出信号を検出する。ドア開検出信号はマイクロコンピュータ2から電流を供給することのない電圧信号である。
【0021】
マイクロコンピュータ2は内蔵するROMに記録されたプログラムおよび上記各信号に従い、タイマーおよびRAMを用いて動作し、モータドライバ4を制御する。モータドライバ4への電源供給はマイクロコンピュータ2によりスイッチ8を制御して行う。モード1において、モータドライバ4はマイクロコンピュータ2の指令に従ってローディングモータ9を停止、正転または逆転さるが、モード2ではモータドライバ4はローディングモータ9を停止状態としている。
【0022】
ローディングモータ9は図示していないディスク挿入口の背後に配置された駆動ローラを回転駆動する。駆動ローラと被駆動ローラとで挾持されるローディング開始位置にディスクが挿入口から挿入されると、ローディング開始位置ディスク検出スイッチ6がオンとなる。
【0023】
次に、上記構成の制御部1の動作を図2により説明する。ACCスイッチ7または電源スイッチ8が切られると、図2に示すルーチンが実行され、先ず、ステップS1において、マイクロコンピュータ2をモード1とする。モード1では、マイクロコンピュータ2はアナログスイッチ17および18をオンとしてイジェクトキー5およびローディング開始位置ディスク検出スイッチ6にアクセサリ電源から電流を供給する。
【0024】
ステップS2ではタイマーに所定時間を設定し、次に、ステップS3において、イジェクトキーが押されたか否かを判断し、押された場合は、ステップS4に移行し、押されていない場合は、ステップS6に移行する。ステップS4ではローディングモータをアンローディング方向に駆動し、次に、ステップS5でローディング開始位置に排出されたディスクを抜き取るための時間を待ち、ステップS8に移行する。
【0025】
ステップS6では、ローディング開始位置ディスク検出スイッチがオンとなっているか否かが判断され、オンであればステップS7に移行してローディングモータをローディング方向に駆動し、オンでなければステップS8に移行する。なお、図示していないが、ディスク再生位置のディスクの存在を示すスイッチが設けられており、ディスク再生位置にディスクが既にある場合はステップS7でローディングモータを駆動することなく、ステップS8に移行する。
【0026】
ステップS8ではタイマに設定された時間が経過しているか否かが判断され、経過していない場合は、ステップS3以下が繰り返され、経過している場合は、ステップS9に移行する。
【0027】
ステップ9では、マイクロコンピュータ2をモード2とする。モード2はアナログスイッチ17および18がオフとなり、イジェクトキー5およびローディング開始位置ディスク検出スイッチ6に電流を供給しないモードであり、マイクロコンピュータの消費電流が小さい。しかしながら、このモードでは電圧信号であるドア開検出信号を検出する。
【0028】
次にステップS10でドアが開かれたか否かを判断し、ドアが開かれていれば、ステップS1に移行し、ドアが開かれていなければステップS11に移行する。ステップS11ではACC電源がオンとなったか否かを判断し、オンとなったと判断すれば、ステップS12に移行し、ACC電源がオン時の通常のルーチンが実行される。オンとなっていなければ、ステップS10が繰り返し実行される。
【0029】
この実施例では、ACC電源がオフとなって長期間経過した場合でも、乗員が車両から出る、再び車両に戻って所定期間内であれば、ACC電源をオンとしなくてもディスクのイジェクト等が可能となるので使い勝手がよい。しかも車両停車中の長い時間は、マイクロコンピュータがバックアップ電流が小さいモードとなるので、バッテリの消耗が少ない。
【0030】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、ローディングキーを設け、ローディングキーを押すことによりローディングが行われるようにしてもよい。さらに、ローディングモータ9をバッテリ電源により直接駆動するようにしてもよい。
【0031】
また、ドア開表示の駆動信号によりドア開を検出するようにしてもよい。さらに、ドアを開けると一定期間ルームランプが点灯する車種では、ルームランプ駆動信号によりドア開を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施例である車載用ディスク再生装置の制御部を示すブロック図である。
【図2】同制御部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 コネクタ
2 マイクロコンピュータ
3 バッテリ
4 モータドライバ
5 イジェクトキー
6 ローディング開始位置ディスク検出スイッチ
7 ACCスイッチ
8 スイッチ
9 ローディングモータ
10 ドア開検出スイッチ
11 定電圧レギュレータ
12 DC−DCコンバータ
13 コンデンサ
14 抵抗器
15 電圧検出器
16 ACC電源
17、18 アナログスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクのローディングおよびアンローディングを行うローディング装置を備えた車載用ディスク再生装置において、前記ローディング装置にバッテリからACCスイッチを介して供給されるACC電源と、バッテリから直流電圧変換されたバックアップ電源とを供給し、ドア開信号、イジェクトキー信号およびローディング信号を入力し、ACC電源がオフとなった後、タイマーを作動させ、前記タイマーが設定した所定期間内はイジェクトキー信号またはローディング信号を監視し、イジェクトキー信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをアンローディングし、または、ローディング信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをローディングし、前記所定期間経過後はバックアップ電源によりドア開信号を監視し、ドア開を検出するとタイマーを作動させ、前記タイマーが設定した所定期間内はイジェクトキー信号またはローディング信号を監視し、イジェクトキー信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをアンローディングし、または、ローディング信号が入力されると前記ローディング装置を駆動してディスクをローディングするように構成した車載用ディスク再生装置。
【請求項2】
前記ドア開信号はドア開表示の駆動信号である請求項1の車載用ディスク再生装置。
【請求項3】
前記ドア開信号はルームランプの駆動信号である請求項1の車載用ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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