説明

車載用仮眠装置

【課題】 乗員が限られた時間内で効率的な睡眠をとることができると共に、車載のバッテリーの電力を節電することができる車載用仮眠装置を提供する。
【解決手段】 車両の仮眠スペースに着脱可能に配置され、車両の乗員が横たわり仮眠をすることができる車載用仮眠装置であって、乗員が横たわることができる仮眠用パッドと、上記仮眠用パッドに配設され、仮眠用パッド上に横たわる乗員を所定の空隙を開けて被覆し、仮眠用パッドとの間に空調風が供給されるフードとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用仮眠装置に係り、特に、トラック等の長距離を走行する車両の仮眠室内に設置される車載用仮眠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの運転席の後方又は上方には、運転者や同乗者が仮眠をとることができる仮眠室が設けられている。夏場や冬場においては、運転者や同乗者が仮眠室において仮眠を取る際には、仮眠室内の空気を空調する必要がある。
車室内に設けられたエアコンの空調風を仮眠室内に導入して空調した場合には、仮眠室は所定の空間の大きさを持っていることから、効率的に仮眠室内を空調することができず、乗員が限られた時間内で効率的な睡眠をとることが難しかった。
従って、従来、上記仮眠スペースを有効に空調するために、仮眠スペース内に専用のエアコンユニットを別途配設していたが、仮眠スペースは、例えば、トラックの運転室の後方の空間を仕切って形成するか、又は、トラックの運転席の上方の空間を仕切ることにより形成しており、いずれの場合にも仮眠スペース内に所定の大きさの空間が形成されることから、夏場又は冬場において乗員が仮眠スペース内において快適に仮眠を取れる温度に至るまで空調し、かつ所定温度を維持するためには一定の時間を要し、車載のバッテリーの電力が浪費されてしまう、という不具合が存していた。
【特許文献1】特開2004−330981号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、乗員が限られた時間内で効率的な睡眠をとることができると共に、車載のバッテリーの電力を節電することができる車載用仮眠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明にあっては、車両の仮眠スペースに着脱可能に配置され、車両の乗員が横たわり仮眠をすることができる車載用仮眠装置であって、乗員が横たわることができる仮眠用パッドと、上記仮眠用パッドに配設され、仮眠用パッド上に横たわる乗員を所定の空隙を開けて被覆し、仮眠用パッドとの間に空調風が供給されるフードとを備えたことを特徴とする。
従って、請求項1記載の発明にあっては、乗員は仮眠用パッド上に横たわり、フードとの間に空調風を導入して仮眠を取ることができる。
請求項2記載の発明にあっては、上記フードには、エアコンの空調風を供給しうるダクトの接続部が設けられ、上記ダクトが上記接続部に接続されることにより上記フード内に空調風が充たされることを特徴とする。
請求項3記載の発明にあっては、上記仮眠用パッドは長方形状に形成されると共に、上記フードは上記仮眠用パッドの長さ方向に沿って伸縮して開閉可能に形成され、上記仮眠用パッドの両側部にスライド可能に取り付けられた複数のフレームと、上記複数のフレームの間に展張され、気密性を有する折畳み可能な被覆材とにより構成されていることを特徴とする。
従って、請求項3記載の発明にあっては、乗員は本発明に係る車載用仮眠装置を使用して仮眠を取る場合には、上記フードを長さ方向に収縮させて仮眠用パッド上の空隙を開放して身体を仮眠用パッド上に横たえ、その後、上記フードを長さ方向に伸長させて身体を覆い、仮眠を取ることができる。また、導入された空調風は、フードが気密性を有する被覆材により構成されていることから外部へ漏出することはない。
請求項4記載の発明にあっては、上記フードの足側端部は、横たわった乗員の足を内部に収納した状態で上記仮眠用パッドとの間で密閉されていると共に、頭部側端部は、頭部はフード外方に配置され、上記仮眠用パッドとの間で乗員の首部を密閉することができるように首開口部が設けられていることを特徴とする。
従って、請求項4記載の発明にあっては、上記仮眠用パッドに横たわり上記フードを伸張させた場合には、足から首までをフードにより密閉した状態で被覆することができる。
請求項5記載の発明にあっては、上記フレームは円弧状に形成され、上記フードが展開された場合には、上記仮眠用パッド上に、乗員が内部において横たわることができる半円筒状の就寝空間が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1及び2記載の発明にあっては、乗員は仮眠用パッド上に横たわり、フードとの間に空調風を導入して仮眠を取ることができるため、フードと仮眠用パッドとの間の小さな空間のみを空調することにより乗員は空調の恩恵を受けることができることから、従来に比して効率よく空調が行われ、乗員は限られた時間内で効率的な睡眠をとることができると共に、車載のバッテリーの電力を節電することができる。
請求項3記載の発明にあっては、乗員は本発明に係る車載用仮眠装置を使用して仮眠を取る場合には、上記フードを長さ方向に収縮させて仮眠用パッド上の空隙を開放して身体を仮眠用パッド上に横たえ、その後、上記フードを長さ方向に伸長させて身体を覆い、仮眠を取ることができるため、乗員は上記フードの開け閉めにより、本発明に係る車載用仮眠装置への出入りが容易に行うことができる。
請求項4記載の発明にあっては、上記仮眠用パッドに横たわり上記フードを伸張させた場合には、足から首までをフードにより密閉した状態で被覆することができることから、頭部を除き、身体の大部分が空調風の恩恵を受けることができるため、非常に効率よく空調効果を実現することができる。
請求項5記載の発明にあっては、上記仮眠用パッド上に、乗員が内部において横たわることができる半円筒状の就寝空間が形成されることから、仮眠を取る乗員は本装置内において仮眠用パッド上に横たわったまま寝返りを打つこともでき、効率的な空調効果を享受しつつ自由な仮眠姿勢を取り、効果的な仮眠効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明に係る車載用仮眠装置の一実施の形態を示し、フードを引いた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る車載用仮眠装置の一実施の形態を示し、フードを伸ばした状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る車載用仮眠装置の一実施の形態を示し、フードを伸ばして乗員が就寝している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明に係る車載用仮眠装置を詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る車載用仮眠装置10は、車両の仮眠スペースに着脱可能に配置され、車両の乗員が横たわり仮眠をすることができ、乗員が横たわることができる仮眠用パッド11と、上記仮眠用パッド11上に配設され、仮眠用パッド11上に横たわる乗員を所定の空隙を開けて被覆し、仮眠用パッド11との間にエアコン13の空調風が供給されるフード12とを備えている。
本実施の形態にあっては、上記仮眠用パッド11は、1名の乗員が身体を横たえられるような大きさの長方形状に形成され、上面にはイグサ製のゴザ28が敷かれている。
上記仮眠用パッド11の幅方向の両側部には下記のフレーム16の両端部に固定されたスライダー22がスライド可能に係止するスラードレール23,23が、長さ方向に沿って固定されている。
上記フード12は上記仮眠用パッド11の長さ方向に沿って伸縮して上記仮眠用パッド11上の空隙を開閉できるように形成され、上記仮眠用パッド11の両側部にスライド可能に固定された複数のフレーム16と、上記複数のフレーム16の間に展張され、気密性を有する折畳み可能な被覆材17とにより構成されている。
本実施の形態にあっては、上記フレーム16は円弧状に形成されて全体で6本が上記仮眠用パッド11の幅方向全域に亘って配置され、両端部には、スライダー22,22が夫々、配設され、上記一対のスライドレール23,23に夫々、スライド可能に固定されている。
上記フード12の足側端部18は、横たわった乗員の足を内部に収納した状態で上記仮眠用パッド11との間で密閉されていると共に、頭部側端部19は、頭部はフード12外方に配置され、上記仮眠用パッド11との間で乗員の首部を密閉することができるように首開口部20が設けられている。
上記フード12は、上記仮眠用パッド11に横たわった乗員の上方を被覆する上部フード部25と、後端フレーム16aに張設された足部側フード部26と、前端フレーム16bに張設された頭部側フード部27とからなる。
頭部側フード部27には、上記首開口部20と上記フレーム16との間にファスナー部24が設けられ、ファスナー部24を開放した場合には、頭部側フード部27a,27bに分割し、頭部側端部19を開放することができるように構成されている。
従って、上記フード12が仮眠用パッド11上に展開された場合には、上記仮眠用パッド11上に、乗員が内部において横たわることができる半円筒状の就寝空間が形成されるように構成されている。
また、本実施の形態にあっては、上記フード12の足部側フード部26には、エアコン13の空調風を供給しうるダクト14の接続部15が設けられ、上記ダクト14が上記接続部15に接続されることにより上記フード12内に空調風が充たされる。
上記エアコン13は、運転席のインストルメントパネルに装備されたエアコンでもよく、また、仮眠スペースに専用で装備されたエアコンでもよい。インストルメントパネルに装備されたエアコンを利用する場合には、別途、仮眠スペース専用のエアコンを装備する必要がなく、製造コストを低減することができる。
以下、本実施の形態に係る車載用仮眠装置10の作用について説明する。
本実施の形態に係る車載用仮眠装置10は、トラック等の車両の運転席の後方または上方に設けられる仮眠スペース内に配設される。
乗員が車載用仮眠装置10を使用する場合には、図1に示すように、上記フード12を足側端部18にスライドさせて引き下げると共に、頭部側フード部27のファスナー部24を開放して、頭部側フード部27a,27bに分割し、仮眠用パッド11上を開放させて、身体を仮眠用パッド11上に横たえる。
次に、図3に示すように、フード12を頭部側端部19方向にスライドさせて引き上げ、上記ファスナー24を閉じることにより、内部に半円筒状の就寝空間が形成される。この場合、上記首開口部20に首が配置されることから、乗員の首から下の身体全体がフード12により被覆された状態となる。
この状態で、エアコンを作動させることにより、空調風はダクト14を介してフード12内に供給されることから、空調風はフード12内に短時間で充たされ、就寝者は迅速に空調風の恩恵を受け、夏場や冬場であっても、速やかに、かつ時間的効率よく仮眠を取ることができる。
また、本実施の形態に係る車載用仮眠装置10にあっては、仮眠用パッド11上に、乗員が内部において横たわることができる半円筒状の就寝空間が形成されるように構成されていることから、仮眠を取る乗員は本装置内において仮眠用パッド11上に横たわったまま寝返りを打つこともでき、効率的な空調効果を享受しつつ自由な仮眠姿勢を取り、効果的な仮眠効果を得ることができる。
本実施の形態に係る車載用仮眠装置10は、使用しているトラック等の仮眠スペースに事後的に配設することにより、エアコン13の空調風を効率よく就寝者である乗員へ供給することができるため、乗員は限られた時間内で効率的な睡眠をとることができると共に、車載のバッテリーの電力を節電することができる車載用仮眠装置を提供することができる。
なお、フード12の仮眠用パッド11への取り付け構造は、本実施の形態に限定されず、フード12が仮眠用パッド11に対してスライド可能に取り付けられる構造であればよく、上記実施の形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、トラック等の長距離を走行する必要のある車両に事後的に搭載される車載用仮眠装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0009】
10 車載用仮眠装置
11 仮眠用パッド
12 フード
13 エアコン
14 ダクト
15 接続部
16 フレーム
16a 後端フレーム
16b 前端フレーム
17 被覆材
18 足側端部
19 頭部側端部
20 首開口部
21 乗員
22 スライダー
23 スライドレール
24 ファスナー部
25 上部フード部
26 足部側フード部
27 頭部側フード部
27a 頭部側フード部
27b 頭部側フード部
28 ゴザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の仮眠スペースに着脱可能に配置され、車両の乗員が横たわり仮眠をすることができる車載用仮眠装置であって、
乗員が横たわることができる仮眠用パッドと、上記仮眠用パッドに配設され、仮眠用パッド上に横たわる乗員を所定の空隙を開けて被覆し、仮眠用パッドとの間にエアコンの空調風が供給されるフードとを備えたことを特徴とする車載用仮眠装置。
【請求項2】
上記フードには、エアコンの空調風を供給しうるダクトの接続部が設けられ、上記ダクトが上記接続部に接続されることにより上記フード内に空調風が充たされることを特徴とする請求項1記載の車載用仮眠装置。
【請求項3】
上記仮眠用パッドは長方形状に形成されると共に上記フードは上記仮眠用パッドの長さ方向に沿って伸縮して開閉可能に形成され、上記仮眠用パッドの両側部にスライド可能に取り付けられた複数のフレームと、上記複数のフレームの間に展張され、気密性を有する折畳み可能な被覆材とにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の車載用仮眠装置。
【請求項4】
上記フードの足側端部は、横たわった乗員の足を内部に収納した状態で上記仮眠用パッドとの間で密閉されていると共に、頭部側端部は、頭部はフード外方に配置され、上記仮眠用パッドとの間で乗員の首部を密閉することができるように首開口部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の車載用仮眠装置。
【請求項5】
上記フレームは円弧状に形成され、上記フードが展開された場合には、上記仮眠用パッド上に、乗員が内部において横たわることができる半円筒状の就寝空間が形成されることを特徴とする請求項4記載の車載用仮眠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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