説明

車載用警報装置

【課題】 常時電源が印加状態にあることに起因する、車両搭載のブザーの電蝕を回避し、且つ誤動作を防止し、併せて省電力化を図った、車載用警報装置を提供する。
【解決手段】 車体2に設けた電装品ボックス4内に搭載され、圧電ブザー駆動回路5と、前記電装品ボックス4外側にブラケット6を介して設けた圧電ブザー7とを備え、この圧電ブザー7に、所定の周波数の電圧を印加して、警報音を発生する構成とし、前記圧電ブザー駆動回路5に、スイッチ回路8を介して車載用電源と接続し、このスイッチ回路8の−端子側にバックランプスイッチ9を接続して、このバックランプスイッチ9を介して車体側に接地する。
このバックランプスイッチ9は、車両1を後退させるとき、ギヤチェンジレバーをバックの位置にシフトすることで、連動してオンとなって、圧電ブザー駆動回路5へ車載用電源を印加する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用警報装置に関し、例えば車両の後退時に発する警報の発生源であるブザーの電蝕を回避すると共に、誤動作の防止、省電力化を図るようにした、車載用警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の大型車両は車体の大きさ、構造上、周囲の視界が狭く、運転には相当の注意を要する。従って、運転時、警報音を発して周囲に注意を喚起する車載用警報装置が不可欠のものとなっている。
例えば、交差点において、左折時に自転車、バイクなどの二輪車、あるいは歩行者の巻き込み事故を避けるために、警報音を発し、また、後退時にも、警報音を発して周囲に注意を喚起するようにしている。
そこで、このような車載用警報装置の一例として、後退時における警報装置としては、大型車両の後部に設けられる尾灯や、尾灯近傍に前記警報音を発生する手段として、例えばブザーが配設されている。
【特許文献1】特開平6−262977号 ここでは、トラック用尾灯に必要的に取り付けられる電装部品と共に、後退を聴覚的に知らせるバックブザーが配設されている。 このブザーは、通常、圧電ブザーといわれるもので、交番電圧が印加されることで警報音を発する圧電振動板を備えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記ブザーは、トラック後退時、バックギヤにシフトされることで、トラック用尾灯のブラケットに搭載しているブザー駆動回路がオンとなって、駆動電圧がブザーに供給され、圧電振動板が振動して警報音を発生するようになっているが、前記圧電振動板は露出しており、また前記ブザーを制御するスイッチが電源側でなくアース回路側にあった場合、例えば、冬季、降雪によって圧電振動板とブザー駆動回路を搭載するブラケットとの間にリーク電流が流れることがある。
このとき、前記ブザー駆動回路へは常時車載用電源が印加されているので、駐車した状態でも微弱な電流が流れ、ブザーが誤動作することがある。
そして、このような事態が繰り返されると、圧電振動板は電蝕を引き起こし、短期のうちに、使い物にならなくなるおそれがあり、車載用電源の浪費ともなる。
本発明は、このような課題を解決するために提案されたものであって、常時電源が印加状態にあることに起因する、車両搭載のブザーの電蝕を回避し、且つ誤動作を防止し、併せて省電力化を図った、車載用警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記した課題を達成するために、本発明では、請求項1において、車両適所に搭載して、車両の動作時に周囲に警報を発する圧電ブザーと、この圧電ブザーに駆動電圧を印加するための圧電ブザー駆動回路を備え、この圧電ブザー駆動回路に、スイッチ回路を介して車載用電源と接続し、このスイッチ回路の−端子側を遮断スイッチを介して車体側に接地する構成とした車載用警報装置を提案する。
また本発明では、請求項2において、前記スイッチ回路は、車載用電源の+端子側にトランジスタのエミッタを接続し、ベース側にダイオード、抵抗を介して−端子側の遮断スイッチに接続し、トランジスタのコレクタ側を前記圧電ブザー駆動回路の+側に接続する構成とした車載用警報装置を提案する。
さらに本発明では、請求項3において、前記遮断スイッチは、バックギヤへのシフト操作に連動して、圧電ブザー駆動回路へ車載用電源を印加する構成とした車載用警報装置を提案する。
【発明の効果】
【0005】
常時電源が印加状態にあることに起因する、車両搭載のブザーの電蝕を回避し、且つ誤動作を防止し、併せて省電力化を図った、車載用警報装置を提供することができる。
【0006】
請求項1によれば、圧電ブザー駆動回路に通ずるスイッチ回路の−端子側の遮断スイッチをオフにしておけば、ブザー駆動回路に、車載用電源が印加されることはなく、微弱な電流が流れてブザーが誤動作するようなことはない。また、圧電振動板とブザー駆動回路を搭載するブラケットとの間のリーク電流による電蝕を防止することができる。
【0007】
請求項2によれば、車両後退時、バックギヤオンでスイッチ回路の−端子側に遮断スイッチがオン状態になることによって、圧電ブザー駆動回路が作動し、圧電ブザーから警報音を発することができる。
【0008】
請求項3によれば、車両を後退させるとき、ギヤチェンジレバーをバックの位置にシフトすることで初めて、圧電ブザー駆動回路へ車載用電源を印加する構成であるので、車載用電源の省電力化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明にかかる車載用警報装置について、一つの実施の形態を挙げ、添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図3に、車両1(トラック、バス)の車体2後部に設けた車載用警報装置3を示す。
この車載用警報装置3は、前記車体2に設けた電装品ボックス4内に搭載され、圧電ブザー駆動回路5と、前記電装品ボックス4外側にブラケット6を介して設けた圧電ブザー7とを備え、この圧電ブザー7に、所定の周波数の電圧を印加して、警報音を発生するようにしている。そして、前記圧電ブザー駆動回路5に、スイッチ回路8を介して車載用電源と接続し、このスイッチ回路8の−端子側に遮断スイッチ9(以下、バックランプスイッチ9)を接続して、このバックランプスイッチ9を介して車体側に接地している。
【0010】
ここで、圧電ブザー7の一例を概略説明すると、図2に示すように、詳細は図示しないが、例えばケースC内に圧電振動板が内蔵され、この圧電振動板は、金属板面に圧電振動子を貼り合わせた構成としている。圧電振動子としては、圧電セラミック板の両主面に電極を形成することにより構成している。
【0011】
前記圧電ブザー駆動回路5は、詳細は図示しないが例えば圧電ブザー7の容量とコイルCLにより並列共振回路を構成し、所定の周波数の信号を出力する発振回路10と、この発振回路10から、前記所定の周波数の信号をトランジスタTr1に供給して、前記並列共振回路におけるコイルCLに周波数に応じた駆動電圧を生起させ、前記圧電ブザー7に、この駆動電圧を印加するようにしている。
すなわち、前記圧電ブザー駆動回路5は、詳細な説明は省略するが、発振回路10で発生する所定の周波数にかかる出力信号を、前記トランジスタTr1のベースに供給することで、トランジスタTr1をオンオフさせ、これに応じたオンオフ電圧が圧電ブザー7と並列のコイルCLに流れて、コイルCLに共振周波数にかかる駆動電圧を生起させ、この駆動電圧により圧電ブザー7を鳴動させるようにしている。
【0012】
次に、前記スイッチ回路8は、車載用電源の+端子側にトランジスタTr2のエミッタを接続し、ベース側にダイオードd1、抵抗r1を介して−端子側に接続している。また、前記トランジスタTr2のエミッタ側とベース側とには、抵抗r2が接続されている。
そして、前記トランジスタTr2のコレクタ側を前記圧電ブザー駆動回路5の+側に接続する構成としている。
【0013】
ここで、前記バックランプスイッチ9について説明する。
バックランプスイッチ9は、車両1を後退させるとき、ギヤチェンジレバーをバックの位置にシフトすることで、連動してオンとなって、圧電ブザー駆動回路5へ車載用電源を印加する構成である。
【0014】
以上のような車載用警報装置3において、車両1を後退させる際、ギヤチェンジレバーをバックの位置にシフトすると、バックランプスイッチ9がオンとなり、スイッチ回路8におけるトランジスタTr2がオンして、車載用電源から圧電ブザー駆動回路5に通ずる印加回路が閉成され、圧電ブザー7から警報音を発することができる。
後退を停止し、バッグギヤからニュートラルに戻されると、前記バックランプスイッチ9がオフとなって、スイッチ回路8におけるトランジスタTr2がオフとなり、車載用電源から圧電ブザー駆動回路5への印加回路が遮断され、圧電ブザー7からの警報音が停止する。
【0015】
このようにしておけば、スイッチ回路8におけるトランジスタTr2がオフ状態であるから、圧電ブザー駆動回路5へは、車載用電源からの電圧は印加されず、車載用電源からのリーク電流は流れることはない。
従って、圧電ブザー駆動回路5には、電流が流れることはないので、圧電ブザー7の圧電振動板に雪が積もって車体と短絡状態となっても、微弱な短絡電流は流れることはなく、圧電ブザー7の誤動作を防ぐと共に、電蝕の発生を回避することができ、車載用電源の省電力化にもつながる。
【0016】
以上、本発明にかかる車載用警報装置について、後退時における警報装置として一例を挙げ、説明したが、車載用警報装置はこれに限らず、左折時における警報装置、その他、キャビンをチルトさせるときの警報装置等に適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる車載用警報装置を搭載した車両の概略的側面図である。
【図2】図1に示す車載用警報装置に用いられる圧電ブザーの一例を示す、外観図である。
【図3】本発明にかかる車載用警報装置の一つの実施態様を示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0018】
1 車両
2 車体
3 車載用警報装置
4 電装品ボックス
5 圧電ブザー駆動回路
6 ブラケット
7 圧電ブザー
8 スイッチ回路
9 バックランプスイッチ
10 発振回路
CL コイル
d1 ダイオード
r1,r2 抵抗
Tr1, Tr2 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両適所に搭載して、車両の動作時に周囲に警報を発する圧電ブザーと、この圧電ブザーに駆動電圧を印加するための圧電ブザー駆動回路を備え、この圧電ブザー駆動回路に、スイッチ回路を介して車載用電源と接続し、このスイッチ回路の−端子側を遮断スイッチを介して車体側に接地する構成としたことを特徴とする車載用警報装置。
【請求項2】
前記スイッチ回路は、車載用電源の+端子側にトランジスタのエミッタを接続し、ベース側にダイオード、抵抗を介して−端子側の遮断スイッチに接続し、トランジスタのコレクタ側を前記圧電ブザー駆動回路の+側に接続する構成としたことを特徴とする請求項1記載の車載用警報装置。
【請求項3】
前記遮断スイッチは、バックギヤへのシフト操作に連動して、圧電ブザー駆動回路へ車載用電源を印加する構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の車載用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−176026(P2006−176026A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372313(P2004−372313)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【出願人】(000114525)メトロ電装株式会社 (3)
【Fターム(参考)】