説明

車載用音響装置

【課題】ユーザーが簡便に使用することができ、コネクタの接触不良や破損を防止できる車載用音響装置を提供すること。
【解決手段】楽曲データが記憶されたUSBメモリを、本体40の前面パネルに形成したUSBコネクタ16に接続して楽曲データを再生して音響出力を行う車載オーディオ装置において、USBコネクタ16を前面パネルから引出可能に構成し、USBコネクタ16の引出操作に応じて当該USBコネクタ16に繋がるケーブル44を送出する一方、所定の操作が加えられるとこれに応答して送出していたケーブル44を巻戻すリール50を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記憶媒体に記憶された音楽データの再生制御を行う車載用音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、USB(Universal Serial Bus)接続型のフラッシュメモリ(以下、USBメモリという)を外部記憶媒体として、本体の前面パネルに形成したUSBコネクタに接続可能に構成し、このUSBメモリに記録された音楽データを再生して音響出力を行う車載用音響装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−171517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、USBメモリをUSBコネクタに直接接続して使用した場合、このUSBメモリが前面パネルから突出した状態となるため、車載音響機器の操作時にユーザーの手がUSBメモリに触れたり、車両の振動によって、USBコネクタの接触不良や破損が懸念された。
このため、従来の構成では、USBコネクタに延長ケーブルを接続して使用することを推奨しているが、使用の都度、延長ケーブルを接続することに対してユーザーが煩わしさを覚えることがあった。また、USBメモリを使用していない際に、延長ケーブルを接続したままとすると見栄えが悪くなるといった問題があった。
そこで、本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、ユーザーが簡便に使用することができ、コネクタの接触不良や破損を防止できる車載用音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、音楽データが記憶された外部記憶媒体を、本体の前面パネルに形成したコネクタ部に接続し、前記外部記憶媒体に記録された前記音楽データを再生して音響出力を行う車載用音響装置において、前記コネクタ部を前記前面パネルから引出可能に構成し、前記コネクタ部の引出操作に応じて当該コネクタ部に繋がるケーブルを送出する一方、所定の操作が加えられるとこれに応答して送出していた前記ケーブルを巻戻すケーブル巻取手段を備えることを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記コネクタ部を収容する収容部を前記前面パネルに設けても良い。また、前記収容部は、前記コネクタ部を外方に突出させるように付勢する付勢手段と、当該収容部の開口を開閉自在に覆い、前記コネクタ部を収容した状態で保持するカバー体を備えても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コネクタ部を前面パネルから引出可能に構成し、コネクタ部の引出操作に応じて当該コネクタ部に繋がるケーブルを送出する一方、所定の操作が加えられるとこれに応答して送出していたケーブルを巻戻すケーブル巻取手段を備えるため、使用時には、コネクタ部とともにケーブルを引き出せば良く、ユーザーが簡便に使用することができる。また、ケーブルを引き延ばした位置で外部記憶媒体を接続するため、コネクタ部の接触不良や破損を防止できる。さらに、使用後は、ケーブル巻取手段にケーブルが巻き取られて本体内に収容されるため、外観の見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】車載オーディオ装置の機能的構成を示す図である。
【図2】車載オーディオ装置の外観斜視図である。
【図3】車載オーディオ装置のケーブル巻取機構を示す図である。
【図4】カバーが閉じた状態を示すコネクタ収容部の断面図である。
【図5】カバーを開いた状態を示すコネクタ収容部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
本実施形態にかかる車載オーディオ装置(車載音響装置)は、例えば自動車などの車両の車室内に設けられる機器であって、CDやDVD等の光学ディスクやUSBメモリなどの半導体メモリといった記録媒体に記録された音楽データを再生し車室内に音声出力する。
【0010】
図1は、車載オーディオ装置1の機能的構成を示す図である。
図1に示すように、車載オーディオ装置1は、マイコン3と、光ディスク読取部5と、USBメモリ読取部7と、オーディオDSP9と、操作部11と、表示部13とを備える。マイコン3は、各部を中枢的に制御するものであり、例えばCPUやROM、RAM等を備えて構成されている。光ディスク読取部5は、CDやDVD等の光ディスク15に記録されている楽曲(音楽)データを読み取りマイコン3に出力する。
USBメモリ読取部7は、USBコネクタ(コネクタ部)16に接続されたUSBメモリ(外部記憶媒体)17に記録されている楽曲(音楽)データを読み取りマイコン3に出力する。USBメモリ17には、例えば、MP3、WMA、AAC、ATRAC、OGGなどの所定の圧縮形式により圧縮された楽曲データが記憶されている。
なお、USBメモリ17に代えて、携帯型音楽再生装置をUSBコネクタ16に接続し、当該携帯型音楽再生装置に記録されている楽曲データをUSBメモリ読取部7で読み取る構成としても良いことは勿論である。
【0011】
マイコン3は、光ディスク読取部5やUSBメモリ読取部7から入力された楽曲データのデジタル音声信号をオーディオDSP9に出力する。なお、楽曲データが所定のコーデックで符号化されている場合にはデコードしてデジタル音声信号をオーディオDSP9に出力する。オーディオDSP9は、デジタル音声信号にエコライズ等の各種の音響効果を付与してアンプ装置19に出力する。アンプ装置19は、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するD/Aコンバータ、及びアナログ音声信号を増幅する増幅器(共に図示せず)を備え、このアナログ音声信号を車両に設けたスピーカ装置21に出力する。
【0012】
操作部11は、押圧操作により作動する操作ボタン27と、回転操作により作動する操作つまみ29と、各操作検出信号を出力する検出回路(不図示)とを備え、ユーザーによる操作を検出して操作検出信号をマイコン3に出力する。
表示部13は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescent)ディスプレイ等のディスプレイ装置31を備え、マイコン3の制御の下、各種の情報を表示する。
本実施形態では、マイコン3、USBメモリ読取部7及びオーディオDSP9は、メイン基板23に搭載され、このメイン基板23に光ディスク読取部5、操作部11、表示部13、光ディスク読取部5、USBコネクタ16、及び、アンプ装置19がそれぞれ接続される。
【0013】
図2は、車載オーディオ装置1の外観斜視図である。
図2に示すように、車載オーディオ装置1は、本体40と、この本体40の前面に設けられている前面パネル41とを備える。この前面パネル41の上部には、幅方向に沿って光ディスク挿入口42が設けられ、この光ディスク挿入口42の奥側に光ディスク読取部5が配置されている。
光ディスク挿入口42の下方には幅方向に延びるディスプレイ装置31と、ボリューム操作等を行う操作つまみ29が設けられ、前面パネル41の周囲には、複数の操作ボタン27,27が縁部に沿って配置されている。
【0014】
本実施形態では、前面パネル41には、操作ボタン27,27と並んだ図中右下の角部に、USBコネクタ16が収容されるコネクタ収容部43が形成され、このコネクタ収容部43からUSBコネクタ16をケーブル44とともに引出可能に構成されている。
具体的には、図3に示すように、本体40内にはケーブル44を巻き取り可能なリール(ケーブル巻取手段)50が設けられている。本体40内には、底面部40Aに配置されるメイン基板23と、底面部40Aからメイン基板23の上方に掛け渡される支持板45とを備え、この支持板45にリール50が回転自在に支持されている。
【0015】
リール50は、対向する一対のフランジ50A,50Aと、これらフランジ50A,50A間にケーブル44を巻き取る回転軸50Bとを備え、この回転軸50Bは、例えばゼンマイ等のばね部材(不図示)により、ケーブル44を巻き取る回転方向に付勢されている。すなわち、USBコネクタ16及びケーブル44を引き出すと、リール50の回転軸50Bが回転してばね部材が巻かれる。このとき、USBコネクタ16の引っ張りを緩めても、下側のフランジ50Aと支持板45との間に設けられる図示しないストッパ爪によりリール50の回転が阻止されるため、ケーブル44は本体40内に引き込まれずそのまま保持される。
これにより、適宜の長さまでケーブル44を引き出した状態で、USBコネクタ16にUSBメモリ17を接続して使用することができるため、従来のコネクタに直接USBメモリ17を接続するものに比べて、ユーザーの手がUSBメモリ17に触れたり、車両の振動の伝達を抑えることができ、USBコネクタの接触不良や破損を防止できる。
さらに、本構成では、USBメモリが前面パネル41から突出して取り付けられることがないため、万一、車両が事故を起こした場合であっても、運転手もしくは乗員が当該突出したUSBメモリに触れることがなく、安全性の向上を図ることができる。
【0016】
一方、例えば解除ボタン等の適宜の操作手段を操作することにより、ストッパ爪が解除されると、リール50の回転が自由となり、ばね部材の付勢力によってリール50がケーブル44を巻き取る方向に回転する。これにより、USBコネクタ16を使用しない場合には、ケーブル44が巻き取られてUSBコネクタ16がコネクタ収容部43に収容されるため、余分なケーブルが露出することがなく、外観上の見栄えが向上する。
【0017】
次に、コネクタ収容部43について説明する。
図4は、カバー部材が閉じた状態を示すコネクタ収容部の断面図であり、図5は、カバー部材を開いた状態を示すコネクタ収容部の断面図である。
コネクタ収容部43は、図4に示すように、前面パネル41側に開口43Aが形成された有底角筒状に形成され、この開口43Aと反対側の壁部43Bには、ケーブル44が通過するケーブル孔43Cが形成されている。
コネクタ収容部43には、壁部43BにUSBコネクタ16を外方に突出するように付勢されたばね部材(付勢手段)52と、上記開口43Aを開閉自在にスライド移動するカバー部材(カバー体)53とが配置されている。このカバー部材53は、USBコネクタ16をばね部材52の付勢力に抗ってコネクタ収容部43に収容した際に、この収容された状態を保持する機能を有する。
カバー部材53は、上端部にガイドピン53Aと、操作爪53Bとを有し、この操作爪53Bを押し上げ、または、押し下げると、カバー部材53が前面パネル41に形成されたガイド溝(不図示)に沿って移動し、上方または下方にスライド移動する。コネクタ収容部43の下部と前面パネル41との間には、図5に示すように、カバー部材53を開放した際に、当該カバー部材53が進入する隙間部54が形成されている。
【0018】
本実施形態では、図4、図5に示すように、USBコネクタ16は、先端上部及び下部にそれぞれリブ部16A,16Aを備える。このリブ部16A,16Aは、コネクタ収容部43の開口43A側に上下に拡径した段部43D,43Dに当接する大きさに形成されており、USBコネクタ16が段部43D,43Dよりも奥方に押し込められることを防止している。
【0019】
次に、動作について説明する。
図4に示すように、カバー部材53が閉じた状態で、このカバー部材53の操作爪53Bを下方に押し下げると、カバー部材53は、ガイドピン53Aがガイド溝に沿って下方にスライド移動して、コネクタ収容部43の開口43Aが開放される。
USBコネクタ16は、ばね部材52によって外方に付勢されているため、この付勢力により、図5に示すように、USBコネクタ16がコネクタ収容部43から押し出され、前面パネル41から突出される。これにより、この突出したUSBコネクタ16を簡単に引き出すことができる。
【0020】
一方、上記したリール50がケーブル44を巻き取った場合には、USBコネクタ16をばね部材52の付勢力に抗って、コネクタ収容部43に押し込むとともに、カバー部材53の操作爪53Bを上方に押し上げることで当該カバー部材53を閉塞する。これによれば、USBコネクタ16は、カバー部材53によってコネクタ収容部43内に保持されるとともに、コネクタ収容部43が覆われるため、外観の見栄えが向上にする。
【0021】
このように、本実施形態によれば、楽曲データが記憶されたUSBメモリ17を、本体40の前面パネル41に形成したUSBコネクタ16に接続して楽曲データを再生して音響出力を行う車載オーディオ装置1において、USBコネクタ16を前面パネル41から引出可能に構成し、USBコネクタ16の引出操作に応じて当該USBコネクタ16に繋がるケーブル44を送出する一方、所定の操作が加えられるとこれに応答して送出していたケーブル44を巻戻すリール50を備えたため、USBコネクタ16を使用する際には、USBコネクタ16とともにケーブル44を引き出せば良く、ユーザーが簡便に使用することができる。また、ケーブル44を引き延ばした位置でUSBメモリ17を接続するため、USBコネクタ16の接触不良や破損を防止できる。さらに、使用後は、リール50にケーブル44が巻き取られて本体40内に収容されるため、外観の見栄えが向上する。
【0022】
また、本実施形態によれば、USBコネクタ16を収容するコネクタ収容部43を前面パネル41に設けたため、ケーブル44を巻き取った際に、USBコネクタ16を前面パネル41から突出することなくコネクタ収容部43内に収容できるため、外観の見栄えが向上する。
【0023】
また、本実施形態によれば、コネクタ収容部43は、USBコネクタ16を外方に突出させるように付勢するばね部材52と、当該コネクタ収容部43の開口43Aを開閉自在に覆い、USBコネクタ16を収容した状態で保持するカバー部材53を備えるため、このカバー部材53を開放するだけで、USBコネクタ16がコネクタ収容部43から押し出されてUSBコネクタ16を簡単に引き出すことができる。さらに、カバー部材53がUSBコネクタ16をコネクタ収容部43内に収容した状態で保持するため、この保持する機構を簡単に構成することができる。
【0024】
上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施形態では、コネクタ収容部43は、前面パネル41の右下の角部に形成しているが、前面パネル41に形成されているのであれば、どの位置に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0025】
1 車載オーディオ装置(車載用音響装置)
16 USBコネクタ(コネクタ部)
17 USBメモリ(外部記憶媒体)
23 メイン基板
40 本体
41 前面パネル
43 コネクタ収容部(収容部)
43A 開口
43B 壁部
43C ケーブル孔
43D 段部
44 ケーブル
45 支持板
50 リール(ケーブル巻取手段)
50A フランジ
50B 回転軸
52 ばね部材(付勢手段)
53 カバー部材(カバー体)
53A ガイドピン
53B 操作爪
54 隙間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽データが記憶された外部記憶媒体を、本体の前面パネルに形成したコネクタ部に接続し、前記外部記憶媒体に記録された前記音楽データを再生して音響出力を行う車載用音響装置において、
前記コネクタ部を前記前面パネルから引出可能に構成し、前記コネクタ部の引出操作に応じて当該コネクタ部に繋がるケーブルを送出する一方、所定の操作が加えられるとこれに応答して送出していた前記ケーブルを巻戻すケーブル巻取手段を備えることを特徴とする車載用音響装置。
【請求項2】
前記コネクタ部を収容する収容部を前記前面パネルに設けたことを特徴とする請求項1に記載の車載用音響装置。
【請求項3】
前記収容部は、前記コネクタ部を外方に突出させるように付勢する付勢手段と、当該収容部の開口を開閉自在に覆い、前記コネクタ部を収容した状態で保持するカバー体を備えることを特徴とする請求項2に記載の車載用音響装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−91342(P2013−91342A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232951(P2011−232951)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】