説明

車載装置及び保持部材

【課題】車両への搭載時での外観が向上した車載装置及び保持部材を提供する。
【解決手段】本実施例のナビゲーション装置1は、車両のインストルメントパネル90に装着される本体部10と、本体部10に傾動可能に連結された表示部30と、表示部30を傾動可能に保持し、本体部10に対して位置調整可能に連結され、表示部30を露出する開口部73を有したフィニッシャー70と係合する保持枠50とを備えている。保持枠50は、フィニッシャー70と係合する係合孔55を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置及び保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルに装着される装置としては、従来から様々なものが提案されている(特許文献1参照)。このような装置としては、例えば、本体部と、本体部に対して移動可能な表示部とを備えたものが知られている。装置の装着後は、インストルメントパネルに、インストルメントパネルと本体部との隙間をうめて、見栄えを向上するための意匠面であるフィニッシャーが取付けられる。フィニッシャーは、表示部を露出するための開口部を有している。
【特許文献1】特開平10−129362号公報
【特許文献2】特開2003−226162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
インストルメントパネルへの装置の装着は、本体部をインストルメントパネルに対して位置調整を行った後に装着される。ここで、表示部は本体部に対して移動可能であるため、本体部に対する表示部の位置精度については個体差がある。従って、インストルメントパネルに対する本体部の位置調整が適切であっても、表示部の位置は適切な位置にない場合がある。
また、表示部は本体部に対して移動可能であるため、表示部とフィニッシャーの開口部との接触を防止する必要がある。特に、本体部に対する表示部の位置精度に個体差があるため、この開口部は予め大きめに設定しておく必要がある。
しかしながら、開口部が大きいと、表示部と開口部との間の隙間が大きくなる。この結果、装置を車両へ搭載したときに外観が損なわれることになる。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされてものであり、車両への搭載時での外観が向上した車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、車両の装着部に装着される本体部と、前記本体部に移動可能に連結された表示部と、前記表示部を移動可能に保持し、前記本体部に対して位置調整可能に連結され、前記表示部を露出する開口部を有したフィニッシャーと係合する保持部と、を備えた車載装置によって達成できる。
【0006】
本体部に対して保持部の位置を調整することにより、本体部に対する表示部の位置精度の個体差を吸収して、表示部に対する保持部の位置を調整できる。保持部には、フィニッシャーが係合しているので、表示部に対する保持部の位置調整を行うことにより、フィニッシャーに対して表示部を位置調整できる。これにより、開口部の大きさが小さいフィニッシャーを採用した場合であっても、開口部に対して表示部を最適な位置に調整することができる。よって、表示部と開口部との接触を防止しつつ、表示部と開口部との隙間を小さくすることができる。
【0007】
また上記目的は、本体部に移動可能に連結された表示部を移動可能に保持する保持部材であって、前記本体部に対して位置調整可能に連結される連結部と、前記表示部を露出する開口部を有したフィニッシャーと係合する係合部と、を備えた保持部材によっても達成できる。
【発明の効果】
【0008】
車両への搭載時での外観が向上した車載装置及び保持部材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施例の車載用のナビゲーション装置(車載装置)の車両への搭載の説明図である。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、本体部10と、本体部10の前面側に設けられた表示部30と、本体部10と表示部30との間に配置された保持枠(保持部、保持部材)50とを備えている。
【0011】
本体部10には、ナビゲーション機能を実現するためのマザーボードが内蔵されており、このマザーボードには、CPU、ROM、RAMなどが実装されている。
【0012】
本体部10の側面には、それぞれ固定片19が設けられている。固定片19は、本体部10をインストルメントパネル90に固定するためのものである。固定片19には、貫通孔191が形成されている。貫通孔191の大きさは、ネジN1よりも大きめに形成されており、ネジN1を挿入可能である。また、ネジN1は、ネジ穴99に螺合する。ネジN1が貫通孔191に挿入された状態で、ネジ穴99と螺合することにより、本体部10は、インストルメントパネル90に連結される。但し、貫通孔191の大きさは、ネジN1の軸よりも大きめに形成されているので、インストルメントパネル90に対する本体部10の位置は、一定の位置に規定されない。即ち、貫通孔191とネジN1とのクリアランスの分だけ、本体部10はインストルメントパネル90に対して位置の自由度がある。
【0013】
表示部30は、前面にナビゲーション画像を表示するディスプレイ31が設けられている。また、ディスプレイ31に隣接して利用者がナビゲーション装置1を操作するための操作ボタン32が設けられている。また、表示部30は、本体部10に対して傾動可能に連結されている。詳細には、表示部30の下端部が前面側に突出するように傾動する。表示部30の傾動は、表示部30の下端部と一端が連結した棒状の部材(不図示)が本体部10から本体部10の前方に進退動作することにより、確保される。
【0014】
表示部30が傾動することにより、図1に示した状態では隠蔽されている保持枠50の前面が露出される。保持枠50の前面には、読取可能な記録媒体を挿入排出するための開口(不図示)が形成されている。利用者は、表示部30を傾動させることにより、この開口を露出できる。
【0015】
保持枠50は、合成樹脂により、底面を有した枠状に形成されている。保持枠50は、表示部30を傾動可能に保持する。詳細には、保持枠50の内側に縦方向に延びた溝(不図示)が形成されており、表示部30の両側面の上端には、この溝内を移動するローラ(不図示)が設けられている。表示部30のローラが保持枠50の溝内を移動することにより、保持枠50は、表示部30を傾動可能に保持している。
【0016】
また、保持枠50は、本体部10の前面側に固定されている。また、保持枠50には、保持枠50の背面側に突出した挿入片53が設けられている。挿入片53は、左右にそれぞれ2つづつ設けられている。挿入片53の位置及び数は適宜変更可能である。挿入片53は、嵌合孔93に挿入される。保持枠50には、フィニッシャー70と係合する係合孔55が複数形成されている。係合孔55は、表示部30周辺に設けられている。
【0017】
フィニッシャー70は、表示部30周辺を覆うものである。フィニッシャー70には、表示部30との干渉を防止するための開口73が形成されている。開口73は、表示部30の傾動と干渉しない大きさに設定されている。フィニッシャー70は、保持枠50の係合孔55と係合するための係合爪75が複数形成されている。尚、フィニッシャー70については一部分図示を省略してある。
【0018】
インストルメントパネル90は、車両の運転席と助手席との間でナビゲーション装置1を装着する。インストルメントパネル90は、本体部10を装着する装着部に相当する。
【0019】
図2は、ナビゲーション装置1の正面図である。
図2に示すように、表示部30の下部の端面には、凸部38が形成されている。また、保持枠50には、凸部38と対応する位置に凹部58が形成されている。凸部38と凹部58との係合により、表示部30に対する保持枠50の位置が規定される。尚、表示部30は傾動するため、凸部38と凹部58との間には、この傾動を許容するだけのクリアランスが設定されている。
【0020】
次に、ナビゲーション装置1をインストルメントパネル90に組み付けた後について説明する。図3は、インストルメントパネル90に組み付けた後のナビゲーション装置1周辺を示した断面図である。尚、表示部30の側面と、保持枠50の内側の側面とには、表示部30を保持枠50に対して傾動可能に保持するための機構が設けられているが、図示は省略してある。また、本体部10と表示部30とは、表示部30を傾動させるための機構が設けられているが、この機構についても図示は省略してある。
【0021】
フィニッシャー70は、保持枠50と係合する係合爪75、インストルメントパネル90と係合する係合爪79を含む。インストルメントパネル90とフィニッシャー70とが係合爪79により固定されるので、インストルメントパネル90に対するフィニッシャー70の位置は一定の位置に定まる。従って、インストルメントパネル90に対する開口73の位置も、一定の位置に定まる。
【0022】
次に、保持枠50の位置調整について説明する。図4は、保持枠50の位置調整の説明図である。図4に示すように、ネジN2が挿入される本体部10の孔18の大きさは、ネジN2の軸よりも大きい。また、ネジN2は、保持枠50の前面51の裏面に形成されたネジ穴(連結部)に螺合している。従って、本体部10に対して保持枠50は位置調整が可能である。これにより、本体部10に対する表示部30の位置精度の個体差を吸収して、表示部30に対する保持枠50の位置を調整できる。また、保持枠50には、フィニッシャー70が係合しているので、表示部30に対する保持枠50の位置調整を行うことにより、フィニッシャー70に対して表示部30を位置調整できる。
【0023】
即ち、フィニッシャー70に対して表示部30を位置調整することができるため、これにより、フィニッシャー70の開口73を予め小さめに設定した場合であっても、開口73に対して適切な位置で表示部30を位置調整することができる。従って、表示部30と開口73との隙間を小さくすることができる。これにより、車両搭載時でのナビゲーション装置1の外観が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施例の車載用のナビゲーション装置の車両への搭載の説明図である。
【図2】ナビゲーション装置の正面図である。
【図3】インストルメントパネルに組み付けた後のナビゲーション装置周辺を示した断面図である。
【図4】保持枠の位置調整の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ナビゲーション装置
10 本体部
30 表示部
50 保持枠(保持部、保持部材)
70 フィニッシャー
73 開口
90 インストルメントパネル




【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の装着部に装着される本体部と、
前記本体部に移動可能に連結された表示部と、
前記表示部を移動可能に保持し、前記本体部に対して位置調整可能に連結され、前記表示部を露出する開口部を有したフィニッシャーと係合する保持部と、を備えた車載装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記フィニッシャーと係合する係合部を有している、請求項1の車載装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記表示部を位置決めするための位置決め部を有している、請求項1又は2の車載装置。
【請求項4】
本体部に移動可能に連結された表示部を移動可能に保持する保持部材であって、
前記本体部に対して位置調整可能に連結される連結部と、
前記表示部を露出する開口部を有したフィニッシャーと係合する係合部と、を備えた保持部材。
【請求項5】
前記表示部を位置決めするための位置決め部を有している、請求項4の保持部材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−83464(P2010−83464A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258103(P2008−258103)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】