説明

車載装置

【課題】乗員の健康状態を異常と診断した場合に、乗員へ容易に適切な対応を取らせることができる車載装置を提供すること。
【解決手段】車両の乗員の健康状態を診断する車載装置へ、車両内で乗員の生体情報を取得する情報取得部と、情報取得部によって取得された生体情報を異常と診断する条件と病名の候補とが対応付けられた病名候補情報を記憶する病名候補記憶部と、情報取得部によって取得された生体情報が満たす前記条件へ対応付けられている病名の候補を病名候補情報から検索して表示装置へ一覧表示させる候補検索部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員の健康状態を診断することができる車載装置が知られている。たとえば、特許文献1には、乗員の体温や脈拍、血圧等の生体情報を検出するセンサを車両へ設けておき、センサによって検出した生体情報に基づいて乗員の健康状態を診断する車載装置が記載されている。
【0003】
かかる特許文献1に記載の車載装置は、乗員の平時(健康時)の生体情報を予め記憶した記憶部を備えている。そして、車載装置は、センサによって乗員から検出した生体情報と記憶部によって記憶されている平時の生体情報とを比較する。
【0004】
続いて、車載装置は、センサによって乗員から検出した生体情報と記憶部によって記憶されている平時の生体情報との差分の絶対値が所定の閾値よりも大きい場合に、乗員の健康状態を異常と診断する。また、車載装置は、乗員の健康状態を異常と診断した場合、乗員に対し、車内モニタによって警報を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−057664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車載装置は、健康状態を異常と診断した場合に、乗員へ適切な対応をとらせることが困難であるという問題があった。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載の車載装置では、乗員は、車内モニタによって発せられる警報によって健康状態の異常を認識することはできるが、その後、健康状態の異常に対して如何なる対応をとるべきかを判断することができない。
【0008】
このことから、乗員の健康状態を異常と診断した場合に、乗員へ容易に適切な対応を取らせることができる車載装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0009】
そこで、本発明は、乗員の健康状態を異常と診断した場合に、乗員へ容易に適切な対応を取らせることができる車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両の乗員の健康状態を診断する車載装置であって、前記車両内で前記乗員の生体情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記生体情報を異常と診断する条件と病名の候補とが対応付けられた病名候補情報を記憶する病名候補記憶部と、前記情報取得部によって取得された前記生体情報が満たす前記条件へ対応付けられている病名の候補を前記病名候補情報から検索して表示装置へ一覧表示させる候補検索部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乗員の健康状態を異常と診断した場合に、乗員へ容易に適切な対応を取らせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る健診手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る車載装置が備える各構成要素の配置の一例を示す図である。
【図3】図3は、本実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施例に係る病名候補情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施例に係る問診情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例に係る車載装置による表示例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例に係る車載装置の制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施例に係る候補検索部が生体情報の時間変化率に基づいて病名候補の特定を行う場合の一例を示す図である。
【図9】図9は、変形例1に係る車載装置を含む健診システムを示す図である。
【図10】図10は、変形例2に係る車載装置を含む健診システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る健診手法を適用した車載装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る健診手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る健診手法を適用した車載装置についての実施例を図2〜図10を用いて説明することとする。
【0014】
図1は、本発明に係る健診手法の概要を示す図である。図1に示すように、本発明に係る健診手法(以下、「本健診手法」という)は、車載装置によって車両の乗員の健康状態を診断するものである。なお、以下では、健診対象者が車両の運転者である場合について説明するが、健診対象者は、運転者以外の乗員であってもよい。
【0015】
本健診手法では、まず、車両に設けた各種センサによって車載装置が運転者から運転者の健康状態を示す複数種類の生体情報を取得して記憶する(ステップS1)。具体的には、車載装置は、運転者の体温、体重、血圧、脈拍数、発汗量等を取得する。
【0016】
続いて、車載装置は、取得した最新の生体情報と過去に同一の運転者から取得して記憶した健康時の生体情報とを比較して運転者の健康状態が異常か否かを診断する。また、車載装置は、取得した生体情報を異常と診断する条件と病名の候補(以下、「病名候補」という)とを対応付けた病名候補情報を予め記憶している。
【0017】
そして、車載装置は、運転者の健康状態を異常と診断した場合に、運転者から取得した最新の生体情報が満たす条件へ対応付けられている病名候補を病名候補情報から検索する(ステップS2)。
【0018】
ここで、車載装置は、たとえば、病名AAA、BBB、CCCという3種類の病名候補を検索した場合、運転者に対して問診を行う(ステップS3)。すなわち、車載装置は、複数の病名候補毎に、健診対象者へ行う複数種類の問診内容が対応付けられた問診情報を予め記憶している。
【0019】
そして、車載装置は、ステップS2で検索された病名候補が複数存在する場合、検索した病名候補に対応付けられている問診の内容を問診情報から検索し、運転者に対して病名候補毎に、問診を行う。
【0020】
続いて、車載装置は、問診の結果に基づいて病名候補の絞り込みを行う(ステップS4)。ここで、車載装置は、たとえば、問診の結果に基づいて運転者が患っている疾患の病名がCCCではないと診断した場合、絞り込んだ病名候補、すなわちAAAという病名候補とBBBという病名候補とを表示装置へ一覧表示させる(ステップS5)。
【0021】
このように、本健診手法では、車載装置が運転者から取得した運転者の生体情報に基づいて運転者の健康状態を診断して運転者が患っている疾患の病名候補を検索する。さらに、車載装置は、運転者に対して問診を行うことで病名候補を絞り込む。これにより、本健診手法によれば、運転者が患っている可能性の高い疾患の病名候補を的確に絞り込むことができる。
【0022】
しかも、本健診手法では、車載装置による問診によって絞り込まれた病名候補を表示装置へ表示させる。このため、運転者は、表示装置へ表示された病名候補によって自身が患っている可能性のある疾患の病名を認識することができる。
【0023】
これにより、運転者は、表示された病名に対応した薬を薬局で購入したり、病名に対応した疾患を治療可能な医療施設で治療を受けたり等の適切な対応を容易にとることができる。
【0024】
また、車載装置は、問診の結果に基づいて絞り込んだ病名候補に対応する疾患の可能性を算出して病名候補とともに表示装置へ表示させる。これにより、運転者は、表示された病名候補のうち比較的症状が軽い疾患の可能性が最も高い場合には、安心感を得ることができる。
【0025】
一方、運転者は、表示された病名候補のうち比較的症状が重い疾患の可能性が最も高い場合には、かかる疾患に対して迅速かつ適切な対応をとることができる。なお、車載装置は、問診による絞り込みを行うまでもなく病名候補が決定した場合、運転者から取得した生体情報に基づいて病名に対応する疾患の可能性を算出し、病名候補とともに表示させることもできる。
【0026】
さらに、車載装置は、病名候補毎に、各病名に対応する疾患を治療可能な施設が対応付けられた施設情報を記憶している。そして、車載装置は、一覧表示させた病名候補に対応付けられている施設を施設情報から検索して病名候補とともに表示装置へ表示させる。
【0027】
これにより、本健診手法によれば、健康状態を異常と診断した場合に、何処の施設で診察を受ければよいかを運転者に対して容易に認識させることができる。
【0028】
また、車載装置は、ナビゲーション装置を備えた車両へ搭載されている場合、表示装置へ一覧表示させた病名候補から運転者によって選択された病名の候補に対応付けられている施設を施設情報から検索し、ナビゲーション装置へ目的地として設定する。
【0029】
これにより、本健診手法によれば、運転者によって選択された病名候補に対応する疾患を治療可能な施設まで運転者を迅速かつ的確に案内することができる。なお、車載装置が記憶している病名候補情報および問診情報の内容は、変更や更新を行うことができる。かかる点については、図9を用いて後述する。
【0030】
以下では、図2〜図10を用いて本健診手法を適用した車載装置についての実施例を詳細に説明する。以下に示す実施例では、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置が設けられた車両に搭載された車載装置について説明するが、本実施例に係る車載装置は、ナビゲーション装置が設けられていない車両へも搭載することができる。
【実施例】
【0031】
まず、図2を用いて本実施例に係る車載装置1が備える各構成要素の配置の一例について説明する。図2は、本実施例に係る車載装置1が備える各構成要素の配置の一例を示す図である。なお、以下では、車両の運転者の健康状態を診断(以下、「健診」という)する車載装置1を例に挙げて説明するが、本発明に係る車載装置の健診対象者は、運転者に限定するものではない。
【0032】
図2に示すように、車載装置1は、本体10と、本体10に接続されたセンサ21、マイク22、カメラ23、スピーカ24、操作部25とを備えている。本体10は、たとえば、運転席と助手席との間のスペースに設けられるものであり、健診処理を行う。
【0033】
かかる本体10は、表示装置5とも接続されており、表示装置5へ健診結果等の情報を表示させる処理も行う。また、本体10は、ナビゲーション装置6とも接続されており、ナビゲーション装置6に対して目的地を設定する処理も行う。なお、本体10の具体的構成については、図3を用いて後述する。
【0034】
センサ21は、たとえば、運転席のシートやハンドル等に設けられるものであり、運転者の生体情報を取得して本体10へ出力する。なお、運転者以外の乗員の健診を行う車載装置の場合、かかるセンサ21は、運転席以外の座席に着座する乗員から各生体情報を取得可能な箇所に適宜設けられる。
【0035】
マイク22、カメラ23、スピーカ24は、たとえば、ハンドル前方のダッシュボード上に設けられる。マイク22は、集音した音声を本体10へ出力する。また、カメラ23は、撮像した映像を本体10へ出力する。また、スピーカ24は、本体10から入力される音声を出力する。
【0036】
なお、運転者以外の乗員の健診を行う車載装置の場合、マイク22は、健診対象者の声を集音可能な箇所に適宜設けられ、カメラ23は、健診対象者を撮像可能な箇所に適宜設けられる。
【0037】
また、操作部25は、運転者が運転席に着座した状態で操作可能な位置、たとえば、ハンドルの脇等に設けられるものであり、運転者の操作を受け付けて操作に応じた信号を本体10へ出力する。なお、運転者以外の乗員の健診を行う車載装置の場合、操作部25は、各健診対象者が操作可能な箇所にそれぞれ設けられる。
【0038】
次に、図3を用いて車載装置1の構成について具体的に説明する。図3は、本実施例に係る車載装置1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、車載装置1は、センサ21、マイク22、カメラ23、スピーカ24、操作部25、制御部30、記憶部40を備えている。なお、図2に示す本体10は、図3に示す制御部30および記憶部40を含むものである。
【0039】
また、同図に示す表示装置5は、たとえば、液晶表示装置等の表示デバイスであり、車載装置1およびナビゲーション装置6から入力される映像を表示する。また、同図に示すナビゲーション装置6は、GPS(Global Positioning System)衛星から信号を受信して車両の現在位置を表示装置5へ表示させるとともに、目的地が設定された場合には、目的地までの走行経路を表示装置5へ表示させて経路案内を行う装置である。
【0040】
センサ21は、運転者の生体情報を取得して制御部30へ出力する装置である。同図では、説明を容易にするため一台のセンサ21のみを記載しているが、車載装置1には、取得する生体情報の種別毎に機能の異なる複数のセンサ21が設けられている。
【0041】
そして、各センサ21は、たとえば、運転者の体温、体重、血圧、脈拍、心拍、発汗量等の各生体情報をそれぞれ取得して制御部30へ出力する。
【0042】
マイク22は、車両内の音声を集音して制御部30へ出力する装置であり、特に、運転者の発する音声を集音して制御部30へ出力する。カメラ23は、車両内を撮像する撮像装置であり、特に、運転者の首から上の部分を撮像し、撮像した映像を制御部30へ出力する。
【0043】
スピーカ24は、制御部30から入力される音声を出力する装置であり、特に、制御部30が後述の問診を行う場合に、運転者に対する質問事項等を出音する。なお、問診の具体例については、図5を用いて後述する。
【0044】
操作部25は、運転者が各種情報の入力を行うために操作する操作装置であり、操作に対応した操作信号を制御部30や表示装置5へ出力する。かかる操作部25は、たとえば、運転者の操作に基づき、運転者の氏名、年齢、持病等の個人情報を制御部30へ出力する。
【0045】
なお、同図では、操作部25と表示装置5とを別体として記載しているが、表示装置5がタッチパネル機能を備えている場合には、操作部25と表示装置5とを一体に構成することもできる。
【0046】
記憶部40は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶デバイスによって構成されており、患者情報41、病名候補情報42、問診情報43、施設情報44等を記憶している。患者情報41は、運転者から取得された現在および過去の生体情報や運転者により自己申告された運転者の個人情報等が記憶される。
【0047】
病名候補情報42は、運転者から取得された生体情報を異常と診断する条件と病名の候補(以下、「病名候補」という)とが対応付けられた情報である。なお、かかる病名候補情報42の具体例については、図4を用いて後述する。
【0048】
問診情報43は、病名候補と、運転者等に対して行う問診の内容(以下、「問診内容」という)と、問診結果に基づいて病名候補を限定するための病名限定条件とが対応付けられた情報である。なお、かかる問診情報の具体例については、図5を用いて後述する。施設情報44は、病名候補に対応する疾患を治療可能な医療施設名および所在地を示す情報である。
【0049】
制御部30は、車載装置1全体の動作を統括する処理部であり、情報取得部31と、候補検索部32と、問診部33と、目的地設定部34と、情報送信部35とを備えている。
【0050】
情報取得部31は、各センサ21からそれぞれ入力される生体情報を取得して記憶部40へ出力し、患者情報41の記憶領域へ記憶させる処理部である。
【0051】
候補検索部32は、情報取得部31によって取得された最新の生体情報を患者情報41から読み出し、最新の生体情報と患者情報41に含まれている運転者の過去の生体情報とに基づいて最新の生体情報が異常か否かを判定する。
【0052】
たとえば、候補検索部32は、過去に取得された生体情報から算出した健康時の生体情報の値と直近に取得された生体情報の値との差分の絶対値が予め設定した閾値を超えていた場合に、最新の生体情報を異常と診断する。
【0053】
続いて、候補検索部32は、最新の生体情報を異常と診断した場合、最新の生体情報が満たす条件へ対応付けられている病名候補を病名候補情報42から検索する。そして、候補検索部32は、検索した病名候補が1つであった場合、検索した病名候補を表示装置5へ表示させる。一方、候補検索部32は、検索した病名候補が複数存在した場合、検索した病名候補を問診部33へ出力する。
【0054】
なお、候補検索部32は、検索した候補が複数存在した場合に、検索した全ての病名候補を表示装置5へ表示させるように構成することもできる。かかる場合、候補検索部32は、検索した病名毎に各病名に対応する疾患の可能性(%)を算出して病名候補とともに表示させる。なお、かかる点については、図4用いて後述する。
【0055】
ここで、図4を用いて病名候補情報42および候補検索部32による病名候補の検索手順の一例について説明する。図4は、本実施例に係る病名候補情報の一例を示す図である。図4に示すように、病名候補情報42は、生体情報と異常診断条件と病名候補とがそれぞれ対応付けられた情報である。
【0056】
そして、候補検索部32は、最新の生体情報を異常と診断した場合、かかる病名候補情報42を記憶部40から読み出して最新の生体情報が当てはまる異常診断条件に対応付けられている病名候補を検索する。
【0057】
たとえば、候補検索部32は、体温を示す生体情報が37℃以上であった場合、風邪、インフルエンザ、肺炎等の病名候補を検索する。また、候補検索部32は、心臓の収縮期の血圧(最高血圧)を示す生体情報が130mmHG以上の場合、高血圧症等の病名候補を検索し、心臓の拡張期の血圧(最低血圧)を示す生体情報が85mmHG未満の場合、低血圧症等の病名候補を検索する。
【0058】
また、候補検索部32は、脈拍数を示す生体情報が毎分150回以上の場合、突発性頻脈症や心房細動等の病名候補を検索し、毎分50回未満の場合、シックサイナス等の病名候補を検索する。
【0059】
また、候補検索部32は、心拍の頻度が不規則であった場合、不整脈等の病名候補を検索する。また、候補検索部32は、発汗量を示す生体情報が健康時の発汗量に比べて多量であった場合、自律神経失調症やバセドー病等の病名候補を検索する。
【0060】
なお、候補検索部32は、表示させた病名候補に対応する疾患を運転者が患っている可能性(%)を算出して病名候補とともに表示装置5へ表示させることもできる。たとえば、候補検索部32は、最新の生体情報を異常と診断した場合、最新の生体情報の値と異常診断条件の値との差分が大きいほど高い可能性(%)となる演算処理を行って可能性(%)を算出し、表示装置5へ表示させる。
【0061】
また、図4に示す病名候補情報42は、車載装置1が記憶している病名候補情報42の一部である。すなわち、車載装置1は、健診対象者の年齢、性別、体重等毎にそれぞれ病名候補情報42を記憶している。
【0062】
たとえば、女性用の病名候補情報42では、体温の異常診断条件が図4に示す病名候補情報42よりも1℃低くなっているほか、病名候補として女性特有の病名候補も含まれている。また、高齢者用の病名候補情報42では、血圧の異常診断条件が図4に示す値よりも10mmHG高くなっているほか、高齢者特有の病名候補も含まれている。
【0063】
そして、候補検索部32は、患者情報41に含まれている健診対象者(ここでは、運転者)の個人情報に基づいて判別した運転者の年齢、性別、体重に対応する病名候補情報42を用いて病名候補の検索を行う。
【0064】
なお、病名候補情報42の内容は、固定ではなく変更や更新を行うことができる。かかる病名候補情報42の変更や更新については、図9を用いて後述する。
【0065】
このように、候補検索部32は、運転者から取得された生体情報から推測される病名候補を検索し、検索した病名候補が1つであった場合に、病名候補を表示装置5へ表示させる。これにより、運転者は、表示された病名候補が風邪等の比較的症状が軽い疾患であった場合、自身の健康状態に対して必要以上に不安を感じることがないため、安全に車両の運転を継続することができる。
【0066】
一方、運転者は、表示された病名候補が比較的症状の重い疾患であった場合、疾患に応じた適切な対応をとることができる。たとえば、運転者は、車両を停車させて安静にしたり、迅速に医療施設で治療を受けたりすることができる。
【0067】
また、候補検索部32が病名候補とともに、病名に対応する疾患である可能性(%)を表示させた場合、運転者は、表示された疾患の可能性(%)を参考にして疾患に対する適切な対応をとることができる。
【0068】
図3の説明に戻り、問診部33は、候補検索部32によって複数の病名候補が検索された場合に運転者に対して問診を行い、問診結果に基づいて表示装置5へ表示させる病名候補の限定(絞り込み)を行う処理部である。
【0069】
具体的には、問診部33は、候補検索部32によって検索された病名候補に対応付けられている問診内容を問診情報43から検索して問診を行う。ここで、図5を用いて問診情報43および問診部33による問診手順の一例について説明する。図5は、本実施例に係る問診情報43の一例を示す図である。
【0070】
図5に示すように、問診情報43は、病名と問診内容と病名限定条件とが対応付けられた情報である。そして、問診部33は、検索された複数の病名候補が候補検索部32から入力された場合、かかる問診情報43を記憶部40から読み出し、入力された病名候補に対応付けられている問診内容を検索して問診を行う。
【0071】
続いて、問診部33は、問診の結果に基づいて病名の絞り込みを行う。たとえば、図5に示すように、問診部33は、風邪という病名候補が入力された場合、「1.発熱期間は、3日未満ですか?」という質問をスピーカ24から出力させる。
【0072】
続いて、問診部33は、かかる質問に対してYesという回答がマイク22から入力された場合、風邪の可能性ありと診断する。同様に、問診部33は、スピーカ24から「2.鼻水はでますか?」という質問を出力させ、マイク22からYesという回答が入力された場合、風邪の可能性ありと診断する。
【0073】
また、問診部33は、健診対象者の身体各部の色や健診対象者の発する音に基づいて病名候補を絞り込むプログラムを記憶しており、かかるプログラムを実行することによっても病名候補の絞り込みを行う。
【0074】
たとえば、問診部33は、スピーカ24から「3.口を開けて喉を見せてください。」という依頼を出力させ、その後、カメラ23から入力される運転者の口内の映像で喉が正常色よりも赤い場合、風邪の可能性ありと診断する。
【0075】
また、問診部33は、スピーカ24から「4.咳をしてみてください。」という依頼を出力させ、その後、マイク22から入力される音声に痰の絡む音が含まれていた場合、風邪の可能性ありと診断する。
【0076】
また、問診部33は、スピーカ24から「5.喉からの咳ですか?」という質問を出力させ、マイク22からYesという回答が入力された場合、風邪の可能性ありと診断する。そして、問診部33は、風邪に関して複数項目(たとえば、10項目)の問診を行い、風邪の可能性ありと診断した項目が所定数(たとえば、2項目)以下であった場合に表示させる病名候補から風邪を削除する。
【0077】
また、問診部33は、候補検索部32からインフルエンザ、肺炎、結膜炎、貧血症等の他の病名候補が入力された場合も同様に、図5に示す各病名に対応付けられた問診内容の問診を行い、問診結果に基づいて表示させる病名候補の限定を行う。なお、問診情報43の内容は、固定ではなく変更や更新を行うことができる。かかる問診情報43の変更や更新については、図9を用いて後述する。
【0078】
このように、問診部33は、体調に関する質問に対する運転者の回答だけでなく、運転者の身体各部の色や運転者の発する音に基づき、運転者が患っている疾患を推測して表示させる病名候補の絞り込みを行う。このため、問診部33は、運転者が患っている可能性がより高い疾患の病名候補を限定的に一覧表示させることができる。
【0079】
また、問診部33は、上記のように、運転者に対して音声による質問や依頼を行い、運転者が発する音声や運転者を撮像した映像に基づいて問診を行う。これにより、問診部33は、運転者が運転中であっても運転者の視線を車両前方からそらさせることなく問診を行うことができる。このため、運転者は、問診中であっても安全な運転を継続することができる。
【0080】
なお、問診部33は、問診に関する質問を表示装置5へ表示させ、質問に対する回答を操作部25から受け付けるように構成することもできる。かかる構成とすることで、問診部33による運転者の回答の誤認識を抑制することができる。ただし、かかる構成とする場合、問診部33による問診は、停車中に行うことが望ましい。
【0081】
また、問診部33は、問診によって限定した病名候補に対応する疾患の可能性(%)を問診結果に基づき算出して表示装置5へ表示させる。すなわち、問診部33は、問診結果に基づいて疾患の可能性(%)を算出するプログラムを記憶しており、かかるプログラムを実行することによって病名候補毎に疾患の可能性(%)を算出する。
【0082】
たとえば、問診部33は、各病名候補について行った各問診の結果、疾患の可能性ありと診断する毎に点数を加算して病名候補毎の合計点数を算出し、各合計点数へ所定の係数を乗算して疾患の可能性(%)を算出する。
【0083】
そして、問診部33は、こうして算出した疾患の可能性(%)を対応する病名候補とともに表示装置5へ表示させる。なお、問診部33が表示装置5へ表示させる画像については、図6を用いて後述する。
【0084】
また、問診部33が疾患の可能性ありと診断した場合に加算する点数は、問診内容毎に重み付けを変えてもよく、かかる重み付けを健診対象者が操作部25を操作して変更するように車載装置1を構成してもよい。
【0085】
このように、問診部33は、運転者が患っている可能性のある病名候補を絞り込んで表示装置5へ一覧表示させるとともに、各病名候補に対応する疾患の可能性(%)を表示させる。これにより、問診部33は、運転者が患っている可能性のある病名候補と疾患の可能性とを運転者へ的確に認識させることができる。
【0086】
図3の説明に戻り、問診部33は、表示装置5へ病名候補を一覧表示させる場合に、表示させた病名候補に対応する疾患を治療可能な医療施設を合わせて表示させる。具体的には、問診部33は、ナビゲーション装置6から車両の現在位置を取得する。
【0087】
続いて、問診部33は、表示装置5へ表示させる病名候補に対応する疾患を治療可能な医療施設のうち車両の現在位置から最も近い医療施設を施設情報44から検索して表示装置5へ表示させる。
【0088】
これにより、運転者は、自身が患っている可能性のある疾患を何処の医療施設で治療すればよいのかを容易に認識することができる。続いて、問診部33は、表示装置5へ表示させた病名候補と施設情報44から検索した医療施設とを対応付けた情報を目的地設定部34へ出力する。
【0089】
目的地設定部34は、表示装置5へ表示された病名候補の一覧から選択された病名候補に対応付けられている医療施設を目的地としてナビゲーション装置6へ設定する処理部である。
【0090】
具体的には、目的地設定部34は、問診部33から入力される情報と操作部25から入力される信号とに基づいて運転者によって選択された病名候補を判別する。続いて、目的地設定部34は、運転者によって選択された病名に対応付けられている医療施設を施設情報44から検索し、検索した医療施設の所在地を示す情報を目的地としてナビゲーション装置6へ設定する。
【0091】
これにより、ナビゲーション装置6は、運転者によって選択された病名候補に対応する疾患を治療可能な医療施設のうち、運転者の現在地を基準にした最寄りの医療施設まで運転者を的確に案内することができる。また、目的地設定部34は、目的地として設定した医療施設の所在地を示す情報を情報送信部35へ出力する。
【0092】
情報送信部35は、運転者に関する情報を目的地設定部34によって目的地として設定された医療施設へ送信する処理部である。具体的には、情報送信部35は、運転者に関する個人情報および運転者から取得された生体情報(過去の生体情報を含む)を患者情報41から読み出し、目的地設定部34によって目的地として設定された医療施設へ送信する。
【0093】
これにより、ナビゲーション装置6へ目的地として設定された医療施設では、患者である運転者が到着する前に、運転者の健康状態を判断して事前に診察や治療の準備を行うことができる。なお、情報送信部35は、診断結果を運転者の自宅へ送信するように構成することもできる。かかる構成とすれば、自宅に居る運転者の家族は、運転者が帰宅する前に体調を崩した運転者を迎える準備を前もって行うことができる。
【0094】
次に、図6を用いて問診部33が表示装置5へ表示させる画像の一例について説明する。図6は、本実施例に係る車載装置1による表示例を示す図である。図6に示すように、問診部33は、問診によって絞り込んだ病名候補の一覧を表示装置5へ表示させる。
【0095】
具体的には、問診部33は、問診によって絞り込んだ病名候補と、各病名候補に対応する疾患の可能性(%)と、各疾患を治療可能な医療施設の名称とを疾患の可能性(%)が高い順に1つの画面上へ一覧表示させる。これにより、運転者は、病名候補の表示位置によって自身が患っている可能性の最も高い疾患の病名候補を直感的に認識することができる。
【0096】
また、病名候補一覧の画像中には、病名候補を選択するためのカーソル51を表示させる。かかるカーソル51は、たとえば、選択中の病名候補と疾患の可能性(%)と医療施設名とを囲む実線として表示させる。なお、選択されていない病名候補については点線で囲んで表示させる。
【0097】
表示装置5は、操作部25から入力される選択操作に対応した信号に基づいてカーソル51の表示位置を移動させるように設定されている。すなわち、運転者は、操作部25に対して選択操作を行うことで病名候補を選択し、決定操作を行うことで病名候補の決定を行うことができる。
【0098】
そして、操作部25は、運転者によって病名候補の選択操作および決定操作が行われた場合に、選択操作および決定操作に対応した信号を目的地設定部34へ出力する。
【0099】
ここで、前述のように病名候補一覧の画像では、疾患の可能性(%)によって病名候補の表示位置が決定されているため、目的地設定部34は、操作部25から入力される信号に基づいてカーソル51によって選択された病名候補を判断する。そして、目的地設定部34は、運転者によって選択(決定)された病名候補に対応する医療施設を目的地としてナビゲーション装置6へ送信し、目的地として設定する。
【0100】
次に、図7を用いて車載装置1の制御部30で実行される処理について説明する。図7は、本実施例に係る車載装置1の制御部30で実行される処理を示すフローチャートである。制御部30では、車載装置1へ電源が投入されている間、図7に示す一連の処理が繰り返し実行される。
【0101】
具体的には、車載装置1へ電源が投入されると、図7に示すように、情報取得部31は、生体情報を取得し(ステップS101)、記憶部40へ記憶させる。続いて、候補検索部32は、記憶部40の患者情報41から生体情報を読み出し、最新の生体情報と過去の生体情報とを比較して最新の生体情報が異常か否かを診断する(ステップS102)。
【0102】
そして、候補検索部32は、最新の生体情報を正常と診断した場合(ステップS102,No)、処理をステップS101へ移す。一方、候補検索部32は、最新の生体情報を異常と診断した場合(ステップS102,Yes)、記憶部40から病名候補情報42を読み出し、最新の生体情報と比較して病名候補の検索を行う(ステップS103)。
【0103】
続いて、候補検索部32は、検索した病名候補が複数あるか否かを判定する。(ステップS104)。そして、候補検索部32は、検索した病名候補を1つと判定した場合(ステップS104,No)、検索した1つの病名候補を表示装置5へ表示させ(ステップS113)、処理をステップS110へ移す。
【0104】
一方、候補検索部32は、検索した病名候補が複数あると判定した場合(ステップS104,Yes)、検索した病名候補を問診部33へ出力する。続いて、問診部33は、記憶部40から問診情報43を読み出し、候補検索部32から入力された病名候補に対応する問診を運転者に対して行う(ステップS105)。
【0105】
続いて、問診部33は、問診の結果に基づいて表示装置5へ表示させる病名候補の絞り込みを行い(ステップS106)、絞り込んだ病名候補が複数あるか否かを判定する(ステップS107)。
【0106】
そして、問診部33は、絞り込んだ病名候補を1つと判定した場合(ステップS107,No)、絞り込んだ1つの病名候補を表示装置5へ表示させ(ステップS113)、処理をステップS110へ移す。
【0107】
一方、問診部33は、絞り込んだ病名候補が複数あると判定した場合(ステップS107,Yes)、問診結果に基づいて病名候補に対応する疾患の可能性(%)を算出し(ステップS108)、病名候補および算出した可能性(%)を表示装置5へ表示させる(ステップS109)。
【0108】
このとき、問診部33は、絞り込んだ病名候補に対応する疾患を治療可能な医療施設のうち、運転者の現在地を基準にした最寄りの医療施設を施設情報44から読み出し病名候補および疾患の可能性(%)とともに表示装置5に表示させる。
【0109】
続いて、目的地設定部34は、病名候補の選択操作があったか否かを判定し(ステップS110)、選択操作がなかったと判定した場合(ステップS110,No)、処理を終了する。一方、目的地設定部34は、選択操作があったと判定した場合(ステップS110,Yes)、選択操作によって選択された病名に対応する疾患を治療可能な医療施設を目的地としてナビゲーション装置6へ設定する(ステップS111)。
【0110】
そして、目的地設定部34は、目的地として設定した医療施設に関する情報を情報送信部35へ出力する。続いて、情報送信部35は、記憶部40から運転者に関する患者情報41を読み出し、目的地設定部34によって目的地として設定された医療施設へ送信し(ステップS112)、処理を終了する。
【0111】
ところで、候補検索部32は、最新の生体情報が病名候補情報42の異常診断条件を満たした場合に病名候補を特定するが、生体情報の時間変化率に基づき、より早期に病名候補の特定を行うように構成することもできる。
【0112】
ここで、図8を用いて生体情報の時間変化率に基づいて病名候補を特定する場合について説明する。図8は、本実施例に係る候補検索部32が生体情報の時間変化率に基づいて病名候補の特定を行う場合の一例を示す図である。
【0113】
候補検索部32は、たとえば、運転者の体温を示す生体情報について、図8に実線のグラフで示すように、予め所定の時間変化率を設定しておくことができる。そして、候補検索部32は、図8に二点鎖線で示すように、運転者から取得した体温が所定の時間変化率よりも高い変化率で上昇した場合、通常、図8に一点鎖線で示すように、体温が37℃に達した時刻T2で風邪等と診断するところを、体温が36.5℃に達した時刻T1で風邪等と診断する。
【0114】
これにより、候補検索部32は、運転者の体温が短時間で急激に上昇した場合、運転者の体温が運転者へ体調不良を感じさせる体温まで上昇する前に風邪等と診断することができる。そして、かかる場合、候補検索部32は、病名候補を検索(特定)した時点(時刻T1)で病名候補を運転者へ報知する。
【0115】
これにより、運転者は、体調不良を感じる前に疾患の発症を予測することができるため、疾患に対して事前に適切な対応をとることができる。
【0116】
なお、これまで説明してきた車載装置1は、本実施例に係る車載装置1の一例にすぎない。ここで、図9および図10を用いて本実施例に係る車載装置1の変形例1および変形例2について説明する。
【0117】
図9は、変形例1に係る車載装置を含む健診システムを示す図であり、図10は、変形例2に係る車載装置を含む診断システムを示す図である。変形例1に係る車載装置は、記憶部に記憶している患者情報、病名候補情報、問診情報、施設情報の更新および変更を行うことができるように構成している。
【0118】
具体的には、車載装置は、運転者の自宅および医療施設から各種情報を受信する情報受信部と、情報受信部によって受信された情報に基づいて患者情報、病名候補情報、問診情報、施設情報の内容を更新する情報更新部とを備えている。
【0119】
そして、図9に示すように、車載装置の情報受信部は、自宅で医療機器により取得された生体情報を自宅の医療機器から受信する(ステップS10)。続いて、車載装置の情報更新部は、情報受信部によって受信された生体情報を患者情報へ付加することによって患者情報の更新を行う(ステップS11)。
【0120】
これにより、車載装置は、車両内で取得した生体情報に加え、家庭の医療機器から受信した生体情報を用いて運転者の健診を行うことができるため、より高い精度で病名候補を検索することができる。
【0121】
また、車載装置の情報受信部は、医療施設から最新の病名候補情報、問診情報、施設情報を受信する(ステップS20)。続いて、車載装置の情報更新部は、情報受信部によって受信された情報を用いて病名候補情報、問診情報、施設情報を最新の状態へ更新する(ステップS21)。
【0122】
これにより、車載装置は、最新の病名候補情報および問診情報を用いて運転者の健診を行うことができるため、さらに高い精度で病名候補を検索することができる。また、車載装置は、最新の施設情報を用いることで新設された医療機関をナビゲーション装置へ目的地として設定することができる。
【0123】
また、車載装置は、運転者による操作部の操作に基づいて病名候補情報や問診情報の内容を変更してユーザ設定するように構成することもできる。具体的には、運転者によるユーザ設定操作を受け付ける設定操作部と、設定操作部がユーザ設定操作を受け付けた場合に、ユーザ設定操作に基づいて病名候補情報の異常診断条件や問診情報の病名限定情報の内容を変更する情報変更部を車載装置へ設ける。
【0124】
これにより、車載装置は、運転者がユーザ設定操作を行った場合に(ステップS30)、情報変更部によってユーザが所望する内容となるように異常診断条件や病名限定条件を変更することができる(ステップS31)。
【0125】
また、車載装置は、ユーザ設定によって表示装置へ表示させる病名候補を制限するように構成することもできる。具体的には、表示装置によって表示された病名候補を否定する否定操作を受け付ける否定操作部と、否定操作によって否定された病名候補と当該病名候補を表示する根拠となった生体情報の組み合わせとを対応付けた否定操作情報を記憶する否定操作記憶部とを車載装置へ設ける。
【0126】
さらに、否定操作情報に含まれている生体情報の組み合わせが情報取得部によって取得された場合に、当該生体情報の組み合わせに対応付けられている病名の候補の表示を禁止する表示禁止部を車載装置へ設ける。
【0127】
かかる構成により、運転者は、たとえば、風邪でないにもかかわらず風邪という病名候補が表示された場合に、否定操作部を操作することで、次回、今と同じ健康状態のときに再び病名候補として風邪が表示されないようにユーザ設定を行うことができる(ステップS30)。
【0128】
これにより、車載装置では、情報取得部が今と同じ生体情報の組み合わせを取得した場合に、表示禁止部が表示する病名候補の制限を行うことで(ステップS31)、誤った病名候補の表示を行わないようにすることができる。
【0129】
次に、変形例2に係る車載装置を含んだ健診システムについて説明する。変形例2に係る健診システムでは、車載装置が搭載された車両、運転者の自宅、医療施設と通信可能に構成した情報管理センタが車載装置に代わって病名候補を検索して車載装置へ表示させる。
【0130】
具体的には、図10に示すように、情報管理センタは、車載装置によって車両内で取得された運転者の生体情報を車両から受信する(ステップS41)。続いて、情報管理センタは、運転者の自宅から自宅の医療機器により取得された運転者の生体情報を受信する(ステップS42)。
【0131】
続いて、情報管理センタは、医療施設から最新の病名候補情報、問診情報、施設情報を受信する(ステップS43)。続いて、情報管理センタは、車載装置が搭載された車両、運転者の自宅、医療施設から受信した各種情報に基づき、車両の乗員である運転者の健診を行って病名候補を検索する(ステップS44)。
【0132】
続いて、情報管理センタは、検索した病名候補を車載装置へ送信する(ステップS45)。また、情報管理センタは、病名候補の検索を行った後、無線通信によって運転者に対する問診を行い、問診結果に基づいて絞り込んだ病名候補や病名候補に対応する疾患を治療可能な医療施設を車載装置へ送信するように構成することもできる。
【0133】
かかる健診システムによれば、車載装置へ患者情報、病名候補情報、問診情報、施設情報等を記憶させる必要がない。また、車載装置へ運転者の健診を行う処理部を設ける必要もない。
【0134】
したがって、車載装置は、生体情報を取得して情報管理センタへ送信し、情報管理センタから病名候補や施設情報を受信して表示させる機能のみを備えた簡易かつ安価な構成であっても、図3に示す車載装置1と同様の効果を奏することができる。
【0135】
上述した本実施例に係る車載装置によれば、運転者は、医療施設へ行かなくとも車両を運転する度に健診をうけることができる。また、車載装置は、運転者以外の乗員の生体情報を取得して健診を行うように構成することで、たとえば、医療機関へ行きたがらない子供や医療機関まで行くことが困難な老人であっても、車両へ乗車させるだけで容易に簡易な健診を行うことができ、健診結果を日々の健康管理に利用させることができる。
【0136】
本実施例に係る車載装置によれば、たとえば、新種のウイルス等が発見された場合であっても、医療施設から最新の病名候補情報や問診情報を取得することによって新種のウイルスによる疾患の病名候補を表示させることができる。
【0137】
また、かかる車載装置によれば、頻繁に車両を利用する乗員は、簡易ではあるが頻繁に健診を行うことができるため、早期に疾患を発見することができる。
【0138】
また、本実施例に係る車載装置は、病名候補情報や問診情報の内容を季節に応じて各季節特有の疾患に対応した内容となるよう自動的に変更する構成とすることで、たとえば、季節性のインフルエンザ等を的確に判別することができるようになる。
【0139】
さらに、本実施例に係る車載装置は、人間に関する病名候補情報や問診情報に加え、ペットに関する病名候補情報や問診情報を記憶させておくことにより、人間のみならず、ペットの健診を行うことも可能となる。
【0140】
また、本実施例に係る車載装置は、運転者の症状のレベルを判別し、症状のレベルが所定のレベルを超えた場合に、車両の動作制御に介入するように構成することもできる。たとえば、運転者の症状が所定のレベルを超えて悪化したことを検知した場合、ハザードランプを点滅させてブレーキを作動させ車両を停車させるように車載装置を構成する。
【0141】
かかる構成とすることにより、車載装置は、運転者の病状が急激に悪化した場合であっても、交通事故などの二次災害が発生することを防止することができる。なお、かかる場合、車両が停車した時点で消防や警察等へ自動的に通報するように車載装置を構成することが望ましい。
【0142】
また、たとえば、運転者の症状が所定のレベルを超えて悪化したことを検知した場合、もよりの安全地帯や駐車場などを目的地としてナビゲーション装置へ自動的に設定するように車載装置を構成することもできる。かかる構成とすれば、車載装置は、ナビゲーション装置によって運転者を安全な停車場所まで案内することができる。
【符号の説明】
【0143】
1 車載装置
21 センサ
22 マイク
23 カメラ
24 スピーカ
25 操作部
30 制御部
31 情報取得部
32 候補検索部
33 問診部
34 目的地設定部
35 情報送信部
40 記憶部
41 患者情報
42 病名候補情報
43 問診情報
44 施設情報
5 表示装置
6 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員の健康状態を診断する車載装置であって、
前記車両内で前記乗員の生体情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記生体情報を異常と診断する条件と病名の候補とが対応付けられた病名候補情報を記憶する病名候補記憶部と、
前記情報取得部によって取得された前記生体情報が満たす前記条件へ対応付けられている病名の候補を前記病名候補情報から検索して表示装置へ一覧表示させる候補検索部と
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記情報取得部によって取得された前記生体情報を記憶する生体情報記憶部
をさらに備え、
前記候補検索部は、
前記情報取得部によって取得された最新の生体情報と前記生体情報記憶部によって記憶されている過去の生体情報とを比較して前記最新の生体情報を異常と判定した場合に、前記病名の候補の検索を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記候補検索部は、
前記表示装置へ表示させた前記病名の候補に対応する疾患の可能性を前記情報取得部によって取得された前記生体情報に基づき算出して前記表示装置へ表示させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記病名の候補と前記乗員に対して行う問診の内容とが対応付けられた問診情報を記憶する問診情報記憶部と、
前記候補検索部によって検索された病名の候補に対応付けられている問診の内容を前記問診情報から検索して前記乗員へ問診を行い、当該問診の結果に基づいて前記表示装置へ表示させる前記病名の候補を限定する問診部
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項5】
前記問診部は、
前記問診によって限定した前記病名の候補に対応する疾患の可能性を当該問診の結果に基づき算出して前記表示装置へ表示させる
ことを特徴とする請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記病名の候補と当該病名に対応した疾患を治療可能な施設とを対応付けた施設情報を記憶する施設情報記憶部と、
前記表示装置によって表示された病名の候補の選択操作を受け付ける選択操作部と
設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置に対して、前記選択操作によって選択された病名の候補に対応付けられている前記施設を前記施設情報から検索して目的地として設定する目的地設定部と
を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項7】
前記乗員に関する情報を取得して前記目的地設定部によって目的地として設定された前記施設へ送信する情報送信部
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記表示装置によって表示された前記病名の候補を否定する否定操作を受け付ける否定操作部と、
前記否定操作によって否定された前記病名の候補と当該病名の候補を表示する根拠となった前記生体情報の組み合わせとを対応付けた否定操作情報を記憶する否定操作記憶部と、
前記否定操作情報に含まれている前記生体情報の組み合わせが前記情報取得部によって取得された場合に、当該生体情報の組み合わせに対応付けられている前記病名の候補の表示を禁止する表示禁止部と
を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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