説明

車載電装ユニットの取付構造

【課題】製作が容易で製造コストを低減できると共に、ユニットベースの離脱防止の機能を達成した上でセンターパネルの良好な美観を確保できる車載電装ユニットの取付構造を提供する。
【解決手段】インストルメントパネル1のユニット取付部2内に板金製のブラケット4を配設し、ブラケット4内に四角枠状のユニットベース8を配設して、その内部に車室内側よりオーディオ装置3を脱着可能に固定する。ブラケット4を上方に開放されたコ字状として、その左右両側面4cの上部を小物入れ5で連結することにより、全体として剛性に有利な四角枠状の閉断面構造とする。ユニットベース8は小物入れ5の下段に形成された空間S内に配設し、その上面の掛止爪8cを小物入れ5の鍔部5aに掛止し、下面の掛止爪8dをブラケット4に形成した掛止孔4gに掛止して車室内側への離脱を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のインストルメントパネルへの車載電装ユニットの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルは運転者が容易に操作及び視認可能な位置であることから、オーディオ装置やナビゲーション装置などの種々の電装品(以下、車載電装ユニットと総称する)が取り付けられている。この種の車載電装ユニットは高価であるため盗難の対象になり易く、その対策としてインストルメントパネルから容易に脱着可能に構成して、車両を駐車する際に運転者が車載電装ユニットを取り外して自宅などに持ち込めるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
図3はこのような脱着機能を備えたオーディオ装置の取付構造を示す分解斜視図である。
インストルメントパネル1には四角状のユニット取付部2が車両後方(車室内側)に向けて開口形成され、ユニット取付部2内にはオーディオ装置3を固定するためのブラケット101が図示しないビスにより固定されている。
【0003】
ブラケット101は板金製で全体として四角枠状をなし、ブラケット101のブラケット本体102は下方に開口するコ字状に折曲形成されている。ブラケット本体102の左右両側面102aの下部は互いに内方に折曲されて重合面102aが形成され、両重合面102aの間には別部材として平板状のブラケット下面103が配設されている。ブラケット下面103の左右両端はそれぞれ重合面102aに重ねられてスポット溶接され、これによりブラケット本体102とブラケット下面103とが結合されている。ブラケット本体102の上面102cの前側(反車室内側)にはL字状に折曲された支持金具104の一側面が重ねられてスポット溶接され、支持金具104の他側面は支持孔104aが貫設されてブラケット101内で後方に面している。
【0004】
車室内側より見たブラケット101の大きさはDIN規格(ドイツ連邦規格)の2DINサイズに設定されており、その下段には小物入れ5が配設されてビス6により固定されている。
ブラケット101内の上段には、オーディオ装置3を脱着可能に固定するためのユニットベース8が配設されている。ユニットベース8は板金製で前方及び後方に開口する四角枠状をなし、その上面8a及び下面8bには、それぞれ左右一対の掛止爪8c,8dが形成されている。
インストルメントパネル1のユニット取付部2には合成樹脂製のセンターパネル9が図示しないビスにより固定され、センターパネル9に形成された上下一対の開口部9aを介して小物入れ5及びユニットベース8の内部が車室内側に向けて開口している。ユニットベース8の上下の掛止爪8c,8dはセンターパネル9の開口部9aの周縁に前方より当接して掛止され、これによりユニットベース8の車室内への離脱が規制されている。
【0005】
ユニットベース8内にはセンターパネル9の開口部9aを介して車室内側よりオーディオ装置3が挿入され、その前端面に設けられた突部3bが上記ブラケット101の支持金具104の支持孔104a内に挿脱可能に嵌め込まれている。ユニット取付部2内においてオーディオ装置3から延びた配線類は車体側と接続され、オーディオ装置3に対する電源の供給や音声信号の入出力などが行われる。
なお、オーディオ装置3の脱着には専用工具が使用され、車両の駐車に際してオーディオ装置3を取り外す際には、車室内側より専用工具をオーディオ装置3に係合させてユニットベース8内から車室内側に引き出した後に、配線類を切り離す。また、オーディオ装置3の取付の際には、予め配線類を接続した上で、オーディオ装置3をセンターパネルの開口部を介してユニットベース8内に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平02−124742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された車載電装ユニットの取付構造には、以下に述べる問題があった。
オーディオ装置3の重量はユニットベース8及び支持金具104を介してブラケット101により支持されるため、ブラケット101には車両走行時の振動などを受けながらオーディオ装置3の重量に耐え得る剛性が要求されている。この点を考慮してブラケット101は四角枠状、即ち剛性面で有利な閉断面構造にされているが、必然的に単一素材のプレス成型により製作することが困難になり、別部材であるブラケット本体102とブラケット上面103とを溶接した構成を採っている。
このため、ブラケット本体102とブラケット上面103とを個別にプレス成型する必要がある上に、ブラケット本体102には溶接代として重合面102aを形成するためにプレス工程が複雑化してしまう。しかもブラケット本体102とブラケット上面103とを結合すべく新たに溶接工程を要し、溶接工程で使用する溶接治具も必要となる。
【0008】
また、上記のようにユニットベース8の車室内側への離脱を防止するために、センターパネル9に形成された開口部9aの周縁を利用している。ところが、センターパネル9は強度的な余裕が少ない合成樹脂で製作された部材であり、且つ車室内の美観の配慮を要する所謂化粧パネルである。このためセンターパネル9の開口部9a付近は、ユニットベース8の離脱防止に耐え得るような強度確保を優先した形状となり、必然的に美観の点からは好ましくない形状になる場合があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、製作が容易で製造コストを低減できると共に、ユニットベースの離脱防止の機能を達成した上でセンターパネルの良好な美観を確保することができる車載電装ユニットの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、インストルメントパネルのユニット取付部内に板金製のブラケットを配設し、ブラケット内に四角枠状のユニットベースを配設して、ユニットベースの上面及び下面に設けた掛止爪によりユニットベースを掛止して車室内側への離脱を防止し、ユニット取付部内のブラケットをセンターパネルにより隠蔽して、センターパネルの開口部を介して車室内側よりユニットベース内に車載電装ユニットを挿入すると共に、車載電装ユニットの反車室内側に設けた突部をブラケットに形成した支持部に嵌め込んで車載電装ユニットを脱着可能に固定した車載電装ユニットの取付構造において、ブラケットが、上方または下方に開放されたコ字状をなすと共に、左右の開放端を箱状部材により相互に連結されることにより箱状部材の下段または上段に空間を有する四角枠状をなしており、ユニットベースが、ブラケットの空間内に配設されて、上面または下面の何れか一方の掛止爪を上記箱状部材に形成した掛止部に掛止させ、他方の掛止爪を上記ブラケットに形成した掛止部に掛止させたものである。
請求項2の発明は、請求項1において、ブラケットの支持部を、ブラケットから反車室内側に延設されて略直角に折曲された支持面に形成された支持孔としたものである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように請求項1の発明の車載電装ユニットの取付構造によれば、ブラケットを上方または下方に開放されたコ字状をなすように形成し、その左右の開放端を箱状部材により相互に連結して箱状部材の下段または上段に空間を有する四角枠状とし、その空間内にユニットベースを配設して、上面または下面の何れか一方の掛止爪を箱状部材に掛止させ、他方の掛止爪をブラケットに形成した掛止部に掛止させたものである。
従って、ブラケットは、左右の開放端が箱状部材により連結されることで四角枠状、即ち剛性面で有利な閉断面構造となっているため、何ら問題なく車載電装ユニットの重量を支持することができる。そして、ブラケットはコ字状をなすため容易にプレス成型可能であり、且つ別部材を溶接するための溶接工程が必要ないと共に、溶接工程で使用する溶接治具も不要である。このため、容易に製作可能となり製造コストを低減することができる。
また、ユニットベースの一方の掛止爪は箱状部材の掛止部に掛止され、他方の掛止爪はブラケットの掛止部に掛止されており、その掛止にセンターパネルを利用していない。このためセンターパネルの美観を優先して形状や材質を選択可能となり、センターパネルの良好な美観を確保することができる。
【0011】
請求項2の発明の車載電装ユニットの取付構造によれば、請求項1に加えて、ブラケットから反車室内側に支持面を延設して略直角に折曲し、この支持面に支持部として掛止孔を貫設したものである。このようにブラケットに対して支持面を一体形成しているため、支持面を別部材として設けた場合のように、支持面を製作するためのプレス成型、及びブラケットに溶接するための溶接工程を簡略化でき、製造コストを一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態のオーディオ装置の取付構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】特許文献1に開示されたオーディオ装置の取付構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をオーディオ装置の取付構造に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態をオーディオ装置の取付構造を示す分解斜視図である。
インストルメントパネル1には四角状のユニット取付部2が車両後方(車室内側)に向けて開口形成され、ユニット取付部2内にはオーディオ装置3(車載電装ユニット)を固定するためのブラケット4が収容されている。ブラケット4の左右に形成された固定面4aはユニット取付部2に形成された固定面2aと対応して、図示しないビスにより固定されている。
本実施形態のブラケット4は、板金製で全体として上方に開放されたコ字状をなしている。より詳細には、板金素材の左右両端をそれぞれ上方に向けて直角に折曲することにより、下面4b及び下面4bの左右にそれぞれ側面4cが立設されており、左右両側面4cの後縁に上記固定面4aが外側方に折曲形成されている。
【0014】
このようにブラケット4は上方に開放されているが、車室内側より見た大きさは、図3に示す特許文献1のブラケット101と同じく2DINサイズに設定されて、ブラケット4内に上段及び下段に相当する空間が形成されている。ブラケット4内の上段には小物入れ5(箱状部材)が配設され、小物入れ5は合成樹脂製で後方に開口する四角状をなし、開口部の周囲には鍔部5a(掛止部)が形成されている。小物入れ5の左右両側面5bにはそれぞれ前後一対のネジ孔5cが形成され、各ネジ孔5cと対応するようにブラケット4の左右両側面にはそれぞれ前後一対のビス孔4dが貫設されている。各ビス孔4dには側方よりビス6が挿入されて小物入れ5のネジ孔5c内に螺合しており、これらのビス6によりブラケット4内の上段に小物入れ5が固定されている。
結果としてブラケット4は、左右両側面4cの上部(開放端)を小物入れ5を介して相互に連結されて小物入れ5の下段に空間Sを形成し、全体として前方及び後方に開口する四角枠状をなしている。
【0015】
ブラケット4の下面4bの前部(反車室内側)は前方に向けて延設され、延設箇所の左右方向中央は上方に直角に折曲されて支持面4eを形成している。支持面4eには支持孔4f(支持部)が貫設され、支持孔4fはブラケット4内の下段で後方に面している。
ブラケット4内の下段の空間S内には、オーディオ装置3を脱着可能に固定するためのユニットベース8が配設されている。ユニットベース8は板金製で前方及び後方に開口する四角枠状をなし、その形状はオーディオ機器3をほとんど隙間なく嵌込み可能なように設定されている。ユニットベース8はブラケット4の下面と小物入れ5との間で挟まれて上下方向への移動が規制されると共に、ブラケット4の左右両側面4cに挟まれて左右方向への移動が規制され、さらにブラケット4の左右両側面4cに形成された図示しないストッパ凸部により前方への移動が規制されている。
【0016】
図2は図1のII−II線断面図である。
ユニットベース8の上面8a及び下面8bには、それぞれ左右一対の四角状をなす掛止爪8c,8dが形成され、各掛止爪8c,8dの後端は弾性をもってユニットベース8から上方及び下方に突出している。ブラケット4の下面4bには、ユニットベース8の下側の掛止爪8dと対応するように左右一対の掛止孔4g(掛止部)が貫設されている。下側の掛止爪8dの後端はそれぞれ掛止孔4g内に挿入されて、前方より掛止孔4gの内周縁に当接して掛止されている。また、ユニットベース8の上側の掛止爪8cは小物入れ5の鍔部5aの直前に位置し、掛止爪8cの後端は鍔部5aに対して前方より当接して掛止されている。これらの上下の掛止爪8c,8dがブラケット4の掛止孔4g及び小物入れ5の鍔部5aに掛止されることにより、ユニットベース8の後方への移動、即ち車室内への離脱が規制されている。
なお、掛止爪8c,8dの形状や数、或いはブラケット4の掛止孔4g及び小物入れ5の鍔部5aに対する掛止爪8c,8dの掛止状態については、上記に限ることはなく、その形状や掛止状態を変更したり数を増減させたりしてもよい。
【0017】
インストルメントパネル1のユニット取付部2の車室内側には合成樹脂製のセンターパネル9が図示しないビスにより固定され、このセンターパネル9によりユニット取付部2内のブラケット4などの部材が隠蔽されている。センターパネル9には小物入れ5及びユニットベース8にそれぞれ対応するように上下一対の長方形状をなす開口部9aが形成され、それぞれの開口部9aを介して小物入れ5及びユニットベース8の内部が車室内側に向けて開口している。
ユニットベース8内にはセンターパネル9の開口部9aを介して車室内側よりオーディオ装置3が挿入され、オーディオ装置3の前面パネル3aの周縁がセンターパネル9の表面に当接している。オーディオ装置3の前端面には突部3bが設けられ、この突部3bは上記ブラケット4の支持面4eの支持孔4f内に挿脱可能に嵌め込まれている。
【0018】
この状態でオーディオ装置3の後部がユニットベース8内に嵌め込まれる一方、前部が支持面4eを介してブラケット4で支持され、これによりオーディオ装置3がブラケット4内の下段の空間S内に固定されている。図示はしないが、ユニット取付部2内においてオーディオ装置3から延びた配線類は車体側と接続され、オーディオ装置3に対する電源の供給や音声信号の入出力などが行われる。
なお、オーディオ装置3の突部3bが嵌め込まれる相手側は支持孔4fに限定されるものではなく、例えば突部3bが嵌合可能な凹部として形成してもよい。
【0019】
本実施形態のオーディオ装置3の取付構造は以上のように構成されており、車両の組立工程では、以下に述べる手順でインストルメントパネル1周辺の組立が行われる。
まず、ブラケット4に対して小物入れ5をビス6で固定した上で、インストルメントパネル1のユニット取付部2内にブラケット4を配置して固定しておく。次いでセンターパネル9を正規の位置に配設して固定すると、ユニット取付部2内のブラケット4はセンターパネル9により車室内側から隠蔽される。
その後、センターパネル9の下段の開口部9aに車室内側からユニットベース8を挿入すると、ユニットベース8は上下方向ではブラケット4の下面と小物入れ5との間に挟まれ、左右方向ではブラケット4の左右両側面4cに挟まれた状態で、これらの部材4,5に案内されながら前方へと移動する。最終的にユニットベース8の移動はブラケット4の左右両側面4cのストッパ凸部により正規位置で規制されるが、その直前ではユニットベース8の上側の掛止爪8cは小物入れ5の鍔部5aと干渉して下方に撓み、下側の掛止爪8dはブラケット4の下面4bと干渉して上方に撓みながら、ユニットベース8の移動を許容する。
【0020】
ユニットベース8が正規位置に到達すると、上側の掛止爪8cは自己の弾性により上方に突出して小物入れ5の鍔部5aに前方より当接して掛止される、同様に、下側の掛止爪8dも自己の弾性により下方に突出してブラケット4の掛止孔4gの内周縁に当接して掛止される。結果としてユニットベース8は車室内への離脱を規制されて、ブラケット4内に組み付けられる。なお、インストルメントパネル1内の修理に際した分解などの特段の必要性がなければ、ユニットベース8はブラケット4内に組み付けられたままとなる。
そして、予めオーディオ装置3の配線類を車体側に接続した上で、オーディオ装置3をセンターパネル9の開口部9aに挿入する。オーディオ装置3はユニットベース8内で案内されながら前方に移動し、その前端面の突部3bがブラケット4の支持面4eの支持孔4f内に挿入されると共に、前面パネル3aの周縁がセンターパネル9の表面に当接する。以上で一連の組立作業が完了する。
なお、車両の駐車などに際したオーディオ装置3の脱着は、背景技術で述べた特許文献1の技術と同様である。このため詳細は説明しないが、その取外は、専用工具を用いてオーディオ装置3をユニットベース8内から車室内側に引き出し、逆に取付は、オーディオ装置3をセンターパネル9の開口部9aに挿入することで行われる。
【0021】
次に、以上のように構成された本実施形態の車載電装ユニットの取付構造を特許文献1の技術と比較する。
まず、オーディオ装置3の重量はユニットベース8及び支持面4eを介してブラケット4により支持されており、ブラケット4に高い剛性が要求される点では特許文献1の技術と同様である。一方、本実施形態ではブラケット4自体は剛性面で不利なコ字状をなしているが、その左右両側面4cを小物入れ5で連結されることで四角枠状、即ち剛性面で有利な閉断面構造として機能している。このため特許文献1のブラケット101と遜色ない剛性を確保でき、何ら問題なくオーディオ装置3の重量を支持することができる。
そして、このような剛性面での要求を満足した上で、ブラケット4はコ字状をなすため容易にプレス成型可能であり、且つ別部材を溶接するための溶接工程が必要なくなると共に、溶接工程で使用する溶接治具も不要となる。これらの要因により容易に製作でき、もって製造コストを低減することができる。
【0022】
また、ユニットベース8の上側の掛止爪8cは小物入れ5の鍔部5aに掛止され、下側の掛止爪8dはブラケット4の掛止孔4gの内周縁に掛止されており、掛止爪8c,8dの掛け止めるための対象としてセンターパネル9は一切利用していない。よって、センターパネル9にはユニットベース8の離脱防止に耐え得る強度は要求されず、美観を優先して形状や材質を選択可能となり、結果としてセンターパネル8の良好な美観を確保することができる。また、ブラケット4は板金製のため、その掛止孔4gの内周縁は強度的に余裕があり、ユニットベース8の離脱をより確実に規制できるという効果もある。
加えて、本実施形態では、ブラケット4に対して支持面4eを一体形成しているため、図3に示す支持金具104を別部材とした特許文献1に記載のブラケット101のように、支持金具104を製作するためのプレス成型、及びブラケット本体102に溶接するための溶接工程を簡略化でき、製造コストを一層低減できるという利点も得られる。
【0023】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、車載電装ユニットとしてオーディオ装置3の取付構造に具体化したが、これに限ることはなくインストルメントパネル1に取り付けられる種々の電装ユニットに応用でき、例えばナビゲーション装置の取付構造に具体化してもよい。
また、上記実施形態では、コ字状のブラケット4を四角枠状とするために小物入れ5を利用したが、これに限ることはなく箱状をなす部材であればよい。従って、例えば小物入れ5に代えてブラケット4内の上段に灰皿を配設し、灰皿によりブラケット4の左右両側面4cの上部を連結してもよい。
【0024】
また、上記実施形態では、ブラケット4内の小物入れ5の下側に1DINサイズの空間Sを形成してオーディオ装置3を取り付けたが、これに限ることはない。例えば、2DINサイズの空間Sを形成して内部に同じく2DINサイズのオーディオ装置を取り付けてもよいし、或いは1DINサイズの一対のオーディオ装置を上下に結合した上で、2DINサイズの空間S内に取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、ブラケット4を上方に開放されたコ字状に形成して、その左右両側面4cの上部を小物入れ5で連結したが、上下を逆転させた構成としてもよい。即ち、この場合には、ブラケット4を下方に開放されたコ字状に形成して、その左右両側面4cの下部を小物入れ5などの箱状部材により連結し、小物入れ5の上段に形成された空間S内にユニットベース8を配設すればよい。
【符号の説明】
【0025】
1 インストルメントパネル
2 ユニット取付部
3 オーディオ装置(車載電装ユニット)
3b 突部
4 ブラケット
4f 支持孔(支持部)
4g 掛止孔(掛止部)
5 小物入れ(箱状部材)
5a 鍔部(掛止部)
8 ユニットベース
8c 掛止爪
8d 掛止爪
9 センターパネル
9a 開口部
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルのユニット取付部内に板金製のブラケットを配設し、該ブラケット内に四角枠状のユニットベースを配設して、該ユニットベースの上面及び下面に設けた掛止爪によりユニットベースを掛止して車室内側への離脱を防止し、上記ユニット取付部内のブラケットをセンターパネルにより隠蔽して、該センターパネルの開口部を介して車室内側より上記ユニットベース内に車載電装ユニットを挿入すると共に、該車載電装ユニットの反車室内側に設けた突部を上記ブラケットに形成した支持部に嵌め込んで該車載電装ユニットを脱着可能に固定した車載電装ユニットの取付構造において、
上記ブラケットは、上方または下方に開放されたコ字状をなすと共に、左右の開放端を箱状部材により相互に連結されることにより該箱状部材の下段または上段に空間を有する四角枠状をなしており、
上記ユニットベースは、上記ブラケットの空間内に配設されて、上面または下面の何れか一方の掛止爪を上記箱状部材に形成した掛止部に掛止させ、他方の掛止爪を上記ブラケットに形成した掛止部に掛止させたことを特徴とする車載電装ユニットの取付構造。
【請求項2】
上記ブラケットの支持部は、該ブラケットから反車室内側に延設されて略直角に折曲された支持面に形成された支持孔であることを特徴とする請求項1記載の車載電装ユニットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−112050(P2013−112050A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257642(P2011−257642)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】