軌道分岐部の異物除去装置
【課題】スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部において、圧縮空気を供給する配管が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供する。
【解決手段】空気源装置11からヘッダー管13を介してノズルユニット14に圧縮空気が供給される。床板15は、トングレール105の下方でヘッダー管13の上方に配置される。ヘッダー管13は、基本レール104に対してトングレール105側に配置されるとともに、基本レール104に沿って延びるようにスラブ軌道110に形成された第1の溝111に沿って設置される。ヘッダー管13は、床板15に対して固定される。
【解決手段】空気源装置11からヘッダー管13を介してノズルユニット14に圧縮空気が供給される。床板15は、トングレール105の下方でヘッダー管13の上方に配置される。ヘッダー管13は、基本レール104に対してトングレール105側に配置されるとともに、基本レール104に沿って延びるようにスラブ軌道110に形成された第1の溝111に沿って設置される。ヘッダー管13は、床板15に対して固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートで構成されるスラブ軌道において、基本レールとこの基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、降雪地方では、鉄道の軌道分岐部において、電熱式、熱風式、温水式等の融雪装置が用いられている。しかし、このような融雪装置によると、車両が軌道分岐部を通過する際にその振動によって落とされる落下雪氷を短時間で溶かすことが難しく、また、雪氷以外の異物が軌道上に落下した場合、その異物を除去することはできない。そこで、圧縮空気を噴射することで軌道分岐部における基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する異物除去装置が提案されている(特許文献1乃至特許文献5参照)。
【0003】
特許文献1乃至特許文献5に開示された異物除去装置においては、ノズルが設けられた配管ユニットの取り付け構成等が異なっている。まず、特許文献1及び特許文献2においては、配管ユニットがレールに対してそのレールの腹部に設けた孔にボルトを挿通させて取り付けられる異物除去装置が開示されている。また、特許文献3においては、レールの底面に沿って配置される特殊な構造の挟持金具を用いるとともにレールストッパの取付ボルトを利用することで、配管ユニットがレールに対して取り付けられた異物除去装置が開示されている。また、特許文献4及び特許文献5においては、配管ユニットをレールに固定する取り付け用の部材(ボルトやねじ等)が中空構造で設けられ、その内部が圧縮空気を配管ユニットに供給する供給通路として構成されている異物除去装置が開示されている。尚、特許文献4及び特許文献5に開示された異物除去装置は、軌道分岐部における基本レール及びトングレールの間に配置される1つの配管ユニットに対して空気源装置から圧縮空気を供給する配管が多数分岐して接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−240605号公報(第2−3頁、第1図、第3図)
【特許文献2】特開平7−54317号公報(第2−3頁、第1−2図)
【特許文献3】特開2000−144602号公報(第3頁、第1−7図)
【特許文献4】特開2000−144670号公報(第3頁、第1−2図、第5図)
【特許文献5】特開平7−54318号公報(第3頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新幹線の軌道においては、コンクリートで構成されたスラブ軌道が用いられている。そして、このようなスラブ軌道の軌道分岐部において、新幹線が走行中に地震が発生しても車両が横転しないようにレールに沿って配置されるコンクリート製のガイドとして、車輪誘導逸脱防止ガード(以下、単に「ガード」ともいう)と路面板とを設けることが検討されている。尚、ガードは、軌道分岐部において、基本レールが真っ直ぐに延びる基準線側における基本レールの外側に一対でその基本レールに沿って延びるように配置され、コンクリートでブロック状に形成される。また、路面板は、軌道分岐部において、基本レールが湾曲するように延びる分岐線側における基本レール及びトングレールを挟む両側の位置に一対でその基本レールに沿って延びるように配置され、コンクリートでブロック状に形成される。そして、車両の脱線時には、脱線した車輪の片方が一対のガードの内側を走行し、脱線した車輪のうち一対のガード間を走行する片方の車輪と反対側の片方の車輪が一対の路面板のうちの一方の上面を走行することになる。
【0006】
上述したガードと路面板とが設けられたスラブ軌道の軌道分岐部において異物除去装置を設置する際に、特許文献1乃至特許文献5に開示された異物除去装置を設置することが考えられる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示の異物除去装置では、配管ユニットをレールに取り付けるための孔をレールに対して加工する必要があるため、異物除去装置を設置する施工作業時に多くの手間を要することになるとともに、レール交換等の保守作業時に異物除去装置の取り外し及び取り付けのための手間も多く要することになる。尚、この場合、孔をレールに対して加工するため、レールの強度に影響を与えてしまうことにもなる。また、特許文献3に開示の異物除去装置では、レールストッパの取り付けボルトを利用するとともに特殊な構造の金具でレールに固定する必要があることから、上記と同様に、施工作業時や保守作業時に多くの手間を要してしまうことになる。また、特許文献4及び特許文献5に開示の異物除去装置では、特許文献1及び特許文献2の場合と同様に、配管ユニットをレールに取り付けるための孔加工が必要となり、施工作業時や保守作業時に多くの手間を要してしまうことになる。そして、特許文献4及び特許文献5の異物除去装置では、配管ユニットをレールに取り付けるための部材の内部を圧縮空気の供給通路として利用できるが、レールの強度確保のためにレールに加工される孔の径が制限されることになる。このため、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保する観点から、長さが短い配管ユニットであっても空気源装置から多数分岐してこの配管ユニットに圧縮空気を供給する配管構造が必要となってしまう。これにより、施工作業時や保守作業時に更に多くの手間を要してしまうことになる。
【0007】
また、新幹線の軌道の場合、スラブ軌道の軌道分岐部は、全長で十数メートルもの長さにも及ぶ一方で、基本レールとトングレールとの間の隙間は小さい。従って、特許文献1乃至特許文献5に開示の異物除去装置のように、ノズルに圧縮空気を供給するヘッダー管である配管ユニットがレールの側面に配置される場合、狭いスペースにヘッダー管が配置されることになるためにヘッダー管の断面積が小さくなり、ヘッダー管での圧力損失が大きくなってしまう。このため、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保するためには、ヘッダー管への圧縮空気の供給孔を相当に多く設ける必要がある。しかしながら、前述のように、コンクリート製のガイド(ガード、路面板)が設けられていると、このガイドの側面に上記の供給孔を通じて圧縮空気を供給する配管を設置するために相当に多くの孔を加工する必要があり、施工作業時や保守作業時に、非常に多くの手間を要してしまうことになる。また、車両の脱線時には、一対のガード間を車輪が走行することになるため、一対のガード間に配置されてヘッダー管へ圧縮空気を供給する多くの配管が、車輪によって切断され、破損してしまうことになる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部において、圧縮空気を供給する配管が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、コンクリートで構成されるスラブ軌道において、基本レールと当該基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで前記基本レールと前記トングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置であって、圧縮空気を噴射するノズルを有するノズルユニットと、前記ノズルユニットに接続するヘッダー管と、前記ヘッダー管を介して前記ノズルユニットに圧縮空気を供給する空気源装置と、前記トングレールの下方であって前記ヘッダー管の上方に配置されて、前記トングレールの長手方向に沿って複数配置される床板と、を備えている。そして、第1発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、前記軌道分岐部には、前記基本レールが真っ直ぐに延びる基準線側における当該基本レールの外側に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が内側を走行する一対のガードと、前記基本レールが湾曲するように延びる分岐線側における当該基本レール及び前記トングレールを挟む両側の位置に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が一方の上面を走行する一対の路面板と、が設けられ、前記ヘッダー管及び前記ノズルユニットは、前記基準線側及び前記分岐線側の両方に配置され、前記ヘッダー管は、前記基本レールに対して前記トングレール側に配置されるとともに、当該基本レールに沿って延びるように前記スラブ軌道に形成された第1の溝に沿って設置され、前記床板に対して固定されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によると、ガード(車輪誘導逸脱防止ガード)と路面板とが設置されたスラブ軌道の軌道分岐部において、基本レールに対するトングレール側に基本レールに沿って延びる第1の溝が設けられる。そして、この第1の溝に、ノズルユニットに接続するヘッダー管が設置される。このため、ノズルユニットやヘッダー管を取り付けるための加工がレールに施されることが無く、施工作業時や保守作業時に要する手間が従来の異物除去装置の場合に比して削減されることになる。また、トングレールの下方とヘッダー管の上方との間には床板が配置され、この床板に対してヘッダー管が固定される。このため、床板をスラブ軌道に固定することで、あわせてヘッダー管もスラブ軌道に設置することができ、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。また、第1の溝内にヘッダー管が設置されるため、ヘッダー管の断面積を十分に大きく確保しつつ、スラブ軌道に設ける第1の溝の大きさを小さく設定しても、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保するために十分な大きさの断面寸法のヘッダー管を容易に設置することができる。これにより、ヘッダー管に圧縮空気の供給孔を多く設ける必要がなく、このような多くの供給孔に圧縮空気を供給する配管を設置するためにガイドの側面に孔を加工することがそもそも必要無いことになる。このため、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。そして、ガイドの側面に孔を加工して配管を設置する必要がないため、一対のガード間に配管が配置されず、車両の脱線時に一対のガード間を車輪が走行した際に、圧縮空気を供給する配管が車輪によって切断されて破損してしまうことも防止できる。
【0011】
尚、スラブ軌道ではなく、まくらぎが配置された軌道においては、縦まくらぎと横まくらぎとが組み合わされて構成されたグリッドまくらぎが採用されることがある。この場合、グリッドまくらぎの内部にヘッダー管を配置することが考えられるが、スラブ軌道の軌道分岐部ではグリッドまくらぎは不要であり、ガード及び路面板が設けられるスラブ軌道の軌道分岐部においてグリッドまくらぎを設置することは極めて困難となる。このため、グリッドまくらぎが設置されないスラブ軌道の軌道分岐部においては、グリッドまくらぎ内にヘッダー管を配置する構成によって対応することはできず、特に既存の軌道分岐部に対しては対応することができない。
【0012】
従って、本発明によると、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部において、圧縮空気を供給する配管が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することができる。
【0013】
第2発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記空気源装置は、前記軌道分岐部に対して前記分岐線側における外側に配置され、前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管とに対して、前記路面板の下方を通過して延びるように前記スラブ軌道に形成された第2の溝に沿って配置された空気配管を介して、圧縮空気を供給することを特徴とする。
【0014】
この発明によると、空気源装置が分岐線側の外側に配置され、基準線側及び分岐線側のヘッダー管に対して圧縮空気を供給する空気配管が、路面板の下方を通過するようスラブ軌道に設けられた第2の溝に配置される。このため、ヘッダー管に圧縮空気を供給する空気配管が一対のガードの下方を通過するように配置されることもなく、車両の脱線時に一対のガード間を車輪が走行した際に、圧縮空気の供給配管が車輪によって切断されて破損してしまうことを確実に防止できる。また、本発明では、スラブ軌道に設けられた第2の溝に空気配管が配置されるため、空気配管を設置するための加工がレールやガイドに施されることが無く、施工作業や保守作業を更に容易に行うことができる。
【0015】
第3発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明又は第2発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、複数設けられるとともにそれぞれ複数の前記ノズルを有し、前記トングレールの長手方向に沿って並んで配置された前記床板と前記床板との間にそれぞれ配置され、前記分岐線側ノズルユニットの幅方向の寸法は、前記トングレールの幅方向の寸法よりも大きく設定されるとともに、前記トングレールが前記基本レールに当接した状態で当該トングレールと前記一対の路面板のうちの一方との間で前記ノズルから圧縮空気を噴射可能に設定されていることを特徴とする。
【0016】
この発明によると、分岐線側において、複数のノズルユニットが、トングレールを挟む両側に配置された基本レールと一対の路面板のうちの一方との間における床板間にそれぞれ配置される。このため、基本レールと路面板のうちの一方との間の領域において、レールの長手方向に沿って分散して配置されたノズルユニットから噴射される圧縮空気によって、異物が効率よく除去されることになる。そして、本発明によると、ノズルユニットの幅方向の寸法が十分に大きく形成されるため、トングレールが基本レールに当接した状態において、トングレールと一対の路面板のうちの一方との間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。更に、ノズルユニットの幅方向の寸法がトングレールの幅方向の寸法よりも大きく設定されているため、トングレールが基本レールから離間した状態においても、基本レールとトングレールとの間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。
【0017】
第4発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第3発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記ノズルから圧縮空気を噴射する噴射タイミングを制御するコントローラを更に備え、前記コントローラは、前記分岐線側において前記基本レールに当接した状態の前記トングレールが当該基本レールから離間する前に前記分岐線側ノズルユニットにおける前記ノズルから圧縮空気を噴射させるように前記噴射タイミングを制御することを特徴とする。
【0018】
この発明によると、コントローラにより、トングレールが基本レールから離間する前のタイミングにおいて圧縮空気が噴射されるように、分岐線側ノズルユニットの噴射タイミングが制御される。このため、トングレールが基本レールから離間して一対の路面板のうちの一方に接近する動作を行う前のタイミングで、トングレールと一対の路面板のうちの一方との間の領域の異物を効率よく除去することができる。
【0019】
第5発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明又は第2発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管の上面側において当該ヘッダー管に連通するように取り付けられる第1ノズル部と、前記床板と並んで延びるように設けられた第1連通部を介して前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第2ノズル部と、を有し、前記床板は、前記トングレールの下方に前記第1連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする。
【0020】
この発明によると、ヘッダー管の上面側に配置された第1ノズル部によって、トングレールと一対の路面板のうちの一方との間の領域における異物を除去するための圧縮空気を噴射することができる。そして、基本レールの側面に配置された第2ノズル部によって、基本レールとトングレールとの間の領域における異物を除去するための基本レールに沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第2ノズル部を基本レールの長手方向に沿って複数配置することで、基本レールに沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、分岐線側において、基本レールの側面に向かって延長するように床板を形成することで、第2ノズル部へ圧縮空気を供給するために床板と並んで設けられる第1連通部を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【0021】
第6発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明又は第2発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記基準線側に配置された前記ノズルユニットである基準線側ノズルユニットは、前記床板と並んで延びるように設けられた第2連通部を介して前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第3ノズル部を有し、前記床板は、前記トングレールの下方に前記第2連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする。
【0022】
この発明によると、基本レールの側面に配置された第3ノズル部によって、基本レールとトングレールとの間の領域における異物を除去するための基本レールに沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第3ノズル部を基本レールの長手方向に沿って複数配置することで、基本レールに沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、基準線側において、基本レールの側面に向かって延長するように床板を形成することで、第3ノズル部へ圧縮空気を供給するために床板と並んで設けられる第2連通部を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部において、圧縮空気を供給する配管が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置とこの異物除去装置が設けられた軌道分岐部とを示す平面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図1に示す異物除去装置における空気源装置の空気回路図である。
【図4】図2における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図5】図4のC−C線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図6】図5のD線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道の図示を省略して示す図である。
【図7】図2における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図8】図7のC−C線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図9】図1に示す異物除去装置の分岐線側における空気配管の近傍での基本レールと垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図10】図1に示す異物除去装置の基準線側における空気配管の近傍での基本レールと垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図11】図4に示すノズルユニットの平面図及びその側面図である。
【図12】図11のF線矢視方向から見たノズルユニットを示す図である。
【図13】図4におけるG線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図14】リトライ動作が行われるタイミングに応じて圧縮空気が噴射される際の異物除去装置における圧縮空気の噴射タイミングを説明するフローチャートである。
【図15】リトライ動作が行われるタイミングに応じて圧縮空気が噴射される際の異物除去装置における圧縮空気の噴射タイミングを説明するフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図17】図16のH−H線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図18】図17のI線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道の図示を省略して示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置における一部について切欠き状態で示す斜視図であって、一部切欠き断面で示す図である。
【図20】図19に示す異物除去装置における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図21】図20のJ−J線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図22】図16に示す分岐線側ノズルユニットの平面図及びその側面図である。
【図23】図22のK線矢視方向から見たノズルユニットを示す図である。
【図24】図20に示す基準線側ノズルユニットの側面図を基準線側のヘッダー管の断面図とともに示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置は、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する軌道分岐部の異物除去装置として広く適用できるものである。
【0026】
[第1実施形態]
(軌道分岐部の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置1(以下、単に「異物除去装置1」という)とこの異物除去装置1が設けられた軌道分岐部100とを示す平面図である。また、図2は、図1の一部拡大図である。軌道分岐部100は、スラブ軌道110に設置されている。このスラブ軌道110は、新幹線の軌道として設けられ、コンクリートで構成されている。
【0027】
図1及び図2に示す軌道分岐部100においては、新幹線が走行中に地震が発生しても車両が横転しないようにレールに沿って配置されるコンクリート製のガイド101として、車輪誘導逸脱防止ガードである一対のガード(102、102)と一対の路面板(103、103)とが設けられている。そして、この軌道分岐部100においては、一対の基本レール(104、104)、一対のトングレール(105、105)、転轍棒106を備えて構成される転轍機、等が設置されている。一対の基本レール(104、104)は、所定の間隔を離間した状態で配置され、この一対の基本レール(104、104)間に、一対のトングレール(105、105)が配置されている。
【0028】
基本レール104及びトングレール105は、スラブ軌道110上に後述する床板15を介して配設されており、トングレール105が床板15上で移動可能に構成されている。これにより、各トングレール105は、各基本レール104に対して当接及び離間可能に設けられている。また、各トングレール105の端部同士は、転轍棒106によって一定間隔が維持された状態で連結されている。そして、図示しない制御装置からの指令に基づいて転轍機が作動することにより、基本レール104に対してトングレール105が当接又は離間する方向に移動し、軌道分岐部100における走行レールの切り換え動作(ポイントの切り換え動作)が行われるようになっている。
【0029】
また、ガイド101におけるガード102は、軌道分岐部100において、基本レール104が真っ直ぐに延びる基準線側(一対の基本レール(104、104)の中間に対して図1及び図2において矢印Bで示す側)における基本レール104の外側に一対で互いに略平行に延びるように配置されている。そして、この一対のガード(102、102)は、それぞれコンクリートで形成され、基準線側の基本レール104に沿って延びるブロック状に形成されている。
【0030】
またガイド101における路面板103は、軌道分岐部100において、基本レール104が湾曲するように延びる分岐線側における基本レール104及びトングレール105を挟む両側の位置に一対で互いに略平行に延びるように配置されている。そして、この一対の路面板(103、103)は、それぞれコンクリートで形成され、分岐線側の基本レール104に沿って延びるブロック状に形成されている。
【0031】
地震による車両の脱線が発生した際には、脱線した車輪の片方が、一対のガード(102、102)の内側を走行することになる。そして、脱線した車輪のうち一対のガード(102、102)間を走行する片方の車輪と反対側の片方の車輪が、一対の路面板(103、103)のうちの一方の上面を走行することになる。
【0032】
(異物除去装置の全体構成)
次に、第1実施形態に係る異物除去装置1の構成について説明する。異物除去装置1は、上述した軌道分岐部100に設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レール104とトングレール105との間に落下した雪などの異物を除去するために設置される。図1及び図2に示すように、異物除去装置1は、空気源装置11、空気配管12、ヘッダー管13、ノズルユニット14、床板15、コントローラ16、等を備えて構成されている。空気源装置11は、スラブ軌道110又はスラブ軌道110の近傍において、軌道分岐部100に対して分岐線側における外側に配置されている(図1参照)。また、ヘッダー管13及びノズルユニット14は、軌道分岐部100における基準線側及び分岐線側の両方において、基本レール104とトングレール105との間、及びその近傍の領域に配置されている。
【0033】
また、図1に示す空気配管12は、空気源装置11とヘッダー管13とを接続して空気源装置11からの圧縮空気をヘッダー管13に供給する供給配管として設けられている。この空気配管12としては、分岐線側に配置されたヘッダー管13に接続する空気配管12aと、基準線側に配置されたヘッダー管13に接続する空気配管12bとが設けられている。これにより、基準線側のヘッダー管13と分岐線側のヘッダー管13とに対して、空気配管12を介して圧縮空気がそれぞれ供給されることになる。
【0034】
基準線側のヘッダー管13に接続する空気配管12bについては、途中から3本に分岐するように構成されており、ヘッダー管13の前後端側と中央部分との3箇所で各分岐管が接続している。また、分岐線側のヘッダー管13に接続する空気配管12aについても、途中から3本に分岐するように構成されており、ヘッダー管13の前後端側と中央部分との3箇所で各分岐管が接続している。尚、後述するように、空気配管12a及び空気配管12bは、路面板103の下方を通過して延びるようにスラブ軌道110に形成された本実施形態における第2の溝である溝112に沿って配置されている(図9及び図10参照)。
【0035】
(空気源装置の構成)
図3は、空気源装置11の空気回路図である。図1及び図3に示す空気源装置11は、ヘッダー管13を介してノズルユニット14に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源として設けられており、コンプレッサ18、空気タンク19、電磁切換弁20a、20bなどを備えて構成されている。コンプレッサ18にて生成された圧縮空気は、空気タンク19へと貯留される。空気タンク19には、電磁切換弁20a及び空気配管12aを介して、分岐線側の基本レール104及びトングレール105の間及びその近傍領域に配置されるヘッダー管13及びノズルユニット14が接続されている。同様に、空気タンク19には、電磁切換弁20b及び空気配管12bを介して、基準線側の基本レール104及びトングレール105の間及びその近傍領域に配置されるヘッダー管13及びノズルユニット14が接続されている。
【0036】
上述した空気源装置11において後述するコントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20a及び電磁切換弁20bがそれぞれ遮断位置(図3に示す状態)から連通位置に切り換えられることで、各電磁切換弁20a、20bの下流側に接続されたヘッダー管13及びノズルユニット14を介して圧縮空気が噴射されることになる。尚、本実施形態の空気源装置11はコンプレッサ18を備えて構成されているが、このコンプレッサ18が共有される状態で備えられているものであってもよい。例えば、空気源装置11のコンプレッサ18から、軌道分岐部100とは異なる軌道分岐部に対応する空気源装置でコンプレッサが設けられていない空気源装置の空気タンクにも圧縮空気が供給されるように構成されていてもよい。また、空気源装置11が、その逆の構成(空気源装置11にコンプレッサ18が設けられておらず、他の空気源装置のコンプレッサから圧縮空気が空気タンク19に供給される構成)を備えるものであってもよい。
【0037】
(床板の構成)
図4は、図2における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図5は、図4のC−C線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図6は、図5のD線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道110の図示を省略して示す図である。また、図7は、図2における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図8は、図7のE−E線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図1、図2、図4乃至図8に示すように、床板15は、基準線側および分岐線側のそれぞれにおいて、トングレール105の長手方向に沿って並んで複数配置されている。そして、隣り合って配置される床板15同士が互いに平行に配置されており、各床板15は、トングレール105の下方であってヘッダー管13の上方に配置されている。
【0038】
また、図4乃至図8によく示すように、各床板15は、上床板21と下床板22とが重ねられた2枚重ね構造として構成されている。上床板21及び下床板22ともに、平板状に形成されており、下床板22の上方にこの下床板22よりも水平方向に広がる面積が小さい上床板21が配置されている。また、上床板21及び下床板22は、例えば、鋼材料で形成されている。そして、上床板21上にはトングレール105が摺動自在に配置され、下床板22上には基本レール104が固定されている。尚、上床板21における基本レール104の側方に対向する端部は、基本レール104の底部分の側方に当接又は近接する位置まで延びるように設けられている。
【0039】
また、上床板21は、下床板22に対して、ボルト等を用いて固定され、取り外し自在に構成されている。これにより、トングレール105との摺接によって上床板21が磨耗した際に、下床板22は交換せずに、上床板21のみを交換でき、保守作業を容易に行うことができる。また、下床板22には、後述するヘッダー管13が溶接等によって固定されている。これにより、下床板22をスラブ軌道110に設置して固定することで、あわせて同時にヘッダー管13もスラブ軌道110に設置することができるように構成されている。
【0040】
(ヘッダー管の構成)
図1、図2、図4乃至図8に示すように、ヘッダー管13は、略矩形断面で長く延びる直方体状の管構造として形成され(中空の角パイプ状に形成され)、両端部がいずれも閉じられた状態に形成されている。このヘッダー管13は、例えば、鋼材料で形成されている。そして、ヘッダー管13は、基準線側及び分岐線側のそれぞれにおいて、基本レール104に対してトングレール105側に配置されている。また、スラブ軌道110には、基準線側及び分岐線側のそれぞれに、基本レール104の内側(トングレール105側)において、基本レール104に沿って延びるように形成された本実施形態の第1の溝である溝111が設けられている。そして、各ヘッダー管13は、基準線側及び分岐線側に設けられた各溝111に沿って設置されている(図5及び図8参照)。
【0041】
図9は、分岐線側における空気配管(12a、12b)の近傍での基本レール104と垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。また、図10は、基準線側における空気配管12bの近傍での基本レール104と垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図9及び図10に示すように、スラブ軌道110には、路面板103の下方を通過して延びるように形成された溝(第2の溝)112が、基本レール104の長手方向と垂直な方向と略平行な方向に沿って延びるように設けられている。そして、空気配管(12a、12b)は、この溝112に設置される。
【0042】
空気配管12aは、一対の路面板(103、103)のうちの一方の下方を通過して分岐線側のヘッダー管13の側方に接続するように構成されている。これにより、空気配管12aと分岐線側のヘッダー管13の内部の中空領域とが連通し、空気源装置11からの圧縮空気がこのヘッダー管13に供給される。一方、空気配管12bは、一対の路面板(103、103)の両方の下方を通過して基準線側のヘッダー管13の側方に接続するように構成されている。これにより、空気配管12bと基準線側のヘッダー管13の内部の中空領域とが連通し、空気源装置11からの圧縮空気がこのヘッダー管13に供給される。
【0043】
また、ヘッダー管13には、その長手方向に沿ってその上面側において複数のノズルユニット14が直列に配置されている。ヘッダー管13の上面には各ノズルユニット14への連通孔(図示せず)が形成され、ヘッダー管13内の中空領域が各ノズルユニット14に連通している。これにより、ヘッダー管13と各ノズルユニット14とが接続されている。
【0044】
(ノズルユニットの構成)
図1、図2、図4乃至図8に示すノズルユニット14は、空気源装置11から供給された圧縮空気を基本レール104とトングレール105との間及びその近傍の領域に噴射するノズル機構として設けられている。ノズルユニット14としては、分岐線側に配置されて分岐線側のヘッダー管13に対して取り付けられた分岐線側ノズルユニット14aと、基準線側に配置されて基準線側のヘッダー管13に対して取り付けられた基準線側ノズルユニット14bとが設けられている。そして、分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bは、いずれも複数設けられ、各ヘッダー管13に対してその上面側においてその長手方向に沿って直列に配設されている。また、分岐線側ノズルユニット14aは、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板15と床板15との間にそれぞれ配置されている。同様に、基準線側ノズルユニット14bも、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板15と床板15との間にそれぞれ配置されている。
【0045】
図11は、分岐線側ノズルユニット14aの平面図(図11(b))と、その側面図(図11(a))とを示したものである。また、図12は、図11のF線矢視方向から見たノズルユニット14aを示す図である。図4乃至図12に示すように、各ノズルユニット14は、複数のノズル23が設けられたプレート状の部材として形成されている。尚、基準線側ノズルユニット14bについては、分岐線側ノズルユニット14aに対してノズル23の配置が対称な状態で同様に構成される。そこで、以下、分岐線側ノズルユニット14aについて説明し、基準線側ノズルユニット14bについての説明を省略する。
【0046】
図4乃至図6、図11、図12に示すように、各分岐線側ノズルユニット14aには、複数のノズル23と、連通路24と、段部25と、スロープ部26とが設けられている。段部25は、各分岐線側ノズルユニット14aの上面側において2つ設けられており、ヘッダー管13の長手方向に対して斜めの方向に互いに平行に延びる段状の部分として形成されている。
【0047】
各ノズル23は、それぞれ貫通孔として形成されており、各段部25において複数並んで設けられている。そして、各ノズル23は、段部25において、基本レール104側に向かって且つ斜め上方に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、図6においては、分岐線側ノズルユニット14aにおけるノズル23から噴射される圧縮空気の経路のうちノズル23の開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、図8においては、基準線側ノズルユニット14bにおけるノズル23から噴射される圧縮空気の経路のうちノズル23の開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路24は、各段部25における複数のノズル23に連通するとともにヘッダー管13の中空領域に連通する空間として形成されている。
【0048】
スロープ部26は、各分岐線側ノズルユニット14aの上面側において2つ設けられており、各段部25の下縁部分から斜め上方に向かって緩やかに傾いた傾斜面として形成されている。尚、分岐線側ノズルユニット14aの上面の上下方向における高さ位置は、トングレール105との干渉を防止するため、上床板21の上面よりも低く位置するように設定されている。一方、上記のように、各ノズル23から噴射された圧縮空気は、このスロープ部26に沿ってより確実に斜め上方に向かって噴射されることになる。このため、上床板21の上面よりも高さが低い位置にノズル23が配置されていても、ノズル23から噴射する圧縮空気によって上床板21の上方に向かって異物を除去でき、上床板21の下方に異物が引っ掛かってしまうことを抑制することができる。
【0049】
尚、図5では、基本レール104に当接した状態のトングレール105を実線で図示しており、基本レール104から離間した状態のトングレール105を二点鎖線で図示している。この図5及び図4によく示すように、分岐線側ノズルユニット14aの幅方向(ヘッダー管13の長手方向と垂直な方向)の寸法は、トングレール105の幅方向(長手方向に垂直で水平な方向)の寸法よりも大きく設定されている。そして、分岐線側ノズルユニット14aの幅方向の寸法は、トングレール105が基本レール104に当接した状態でそのトングレール105と一対の路面板103のうちの一方(トングレール105に対して基本レール104と反対側に配置された方の路面板103)との間で圧縮空気を噴射可能に設定されている。
【0050】
コントローラ16は、分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bにおけるノズル23から圧縮空気を噴射する噴射タイミングを制御する制御機器として設けられている。このコントローラ16は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ、インターフェース回路等を備えて構成されている。また、コントローラ16は、転轍機の作動を制御する上位の制御装置に対して通信可能に接続されるとともに、空気源装置11に対して各電磁切換弁(20a、20b)の切換信号を送信可能に接続されている。そして、コントローラ16は、電磁切換弁20aの作動を制御することで分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から噴射される圧縮空気の噴射タイミングを制御し、電磁切換弁20bの作動を制御することで基準線側ノズルユニット14bのノズル23から噴射される圧縮空気の噴射タイミングを制御するように構成されている。
【0051】
上位の制御装置から送信された転轍機の動作信号(ポイントの切り換え信号)に基づいて電磁切換弁(20a、20b)の作動を制御する場合、コントローラ16は、車両が走行する軌道である車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられるときは分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bの両方から圧縮空気を噴射させる。一方、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合は、コントローラ16は、分岐線側ノズルユニット14aのみから圧縮空気を噴射させる。これにより、圧縮空気の使用量を最小限に抑えることができるが、その必要が無い場合は、分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bの両方から圧縮空気を噴射させてもよい。
【0052】
図13は、図4におけるG線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。尚、図13(a)はトングレール105が基本レール104に当接した状態を示す断面図であり、図13(b)はトングレール105が基本レール104から離間した状態を示す断面図である。
【0053】
車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合、即ち、トングレール105が基本レール104から離間する場合、コントローラ16は、電磁切換弁20aを連通位置に切り換え、図13(a)に示すように、分岐線側ノズルユニット14aにおけるノズル23から圧縮空気を噴射させる。即ち、コントローラ16は、分岐線側において基本レール104に当接した状態のトングレール105が基本レール104から離間する前に分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から圧縮空気を噴射させるように噴射タイミングを制御する。これにより、トングレール105が一対の路面板103のうちの一方に接近する直前のタイミングで、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間における異物が除去されることになる。そして、上記と同時タイミングで、コントローラ16は、電磁切換弁20bも連通位置に切り換え、図8に示すように、基準線側ノズルユニット14bにおけるノズル23から圧縮空気を噴射させる。即ち、コントローラ16は、基準線側において基本レール104から離間した状態のトングレール105が基本レール104に当接する前に基準線側ノズルユニット14bのノズル23から圧縮空気を噴射させるように噴射タイミングを制御する。これにより、トングレール105が基本レール104に当接する直前のタイミングで、トングレール105と基本レール104との間における異物が除去されることになる。
【0054】
車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられる場合、即ち、トングレール105が基本レール104に当接する場合、コントローラ16は、電磁切換弁20aを連通位置に切り換え、図13(b)に示すように、分岐線側ノズルユニット14aにおけるノズル23から圧縮空気を噴射させる。即ち、コントローラ16は、分岐線側において基本レール104から離間した状態のトングレール105が基本レール104に当接する前に分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から圧縮空気を噴射させるように噴射タイミングを制御する。これにより、トングレール105が基本レール104に当接する直前のタイミングで、トングレール105と基本レール104との間における異物が除去されることになる。尚、このタイミングでは、電磁切換弁20bは遮断位置のままで切り換えられず、基準線側ノズルユニット14bからの圧縮空気の噴射は行われない。
【0055】
(異物除去装置の作動)
次に、異物除去装置1の作動について説明する。上述した異物除去装置1は、コントローラ16が電磁切換弁(20a、20b)の切り換え指令を発することで作動し、これにより、異物除去動作が行われることになる。そして、コントローラ16は、例えば、異物の落下検知センサ(図示せず)や降雪センサ(図示せず)等の各種センサでの検知結果、或いは上位の制御装置から送信されたポイントの切り換え信号等の各種機器の動作指令信号などに基づいて、電磁切換弁(20a、20b)の切り換え指令を発する。
【0056】
車両運行中の時間帯等の異物除去動作が必要となる可能性のある時間帯においては、図3に示す空気源装置11において、コンプレッサ18から供給される圧縮空気は、空気タンク19に貯留されている。そして、上記のように、コントローラ16からの指令に基づいて各電磁切換弁(20a、20b)が図3に示す遮断位置から連通位置に切り換えられることで、空気タンク19に貯留された圧縮空気が、各電磁切換弁(20a、20b)を介して各空気配管12へと流動することになる。
【0057】
空気配管12へと流動した圧縮空気は、ヘッダー管13の内部の中空領域へとさらに流動する(図9及び図10参照)。そして、この圧縮空気は、ヘッダー管13からノズルユニット14の連通路24へと流動し、さらにノズル23から斜め上方に向かって噴射されることになる(図6及び図8参照)。このとき、各ノズルユニット14においては、複数のノズル23から側方にも広がって圧縮空気が噴射される。これによって、軌道分岐部100における基本レール104とトングレール105との間に落下した異物が、ノズル23から噴射される圧縮空気によって吹き飛ばされて除去されることになる。
【0058】
尚、軌道分岐部100においては、上位の制御装置からのポイント切り換え信号に基づくポイント切り換え動作が行われる際には、ポイント切り換え動作が所定の時間内に完了しない場合には、上位の制御装置において、ポイント切り換え動作に失敗したと判断される。そして、上位の制御装置からの指令に基づいて転轍機が作動し、トングレール105を元の位置に復帰させる動作が行われ、再度のポイント切り換え動作(リトライ動作)が行われる。この場合、コントローラ16においては、リトライ動作が行われるタイミングに応じて、圧縮空気が噴射されることになる。
【0059】
図14及び図15は、上記のリトライ動作が行われるタイミングに応じて圧縮空気が噴射される際の異物除去装置1における圧縮空気の噴射タイミングを説明するフローチャートである。車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合、コントローラ16の指令に基づいて、図14のフローチャートに沿って分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングが制御され、図15のフローチャートに沿って基準線側ノズルユニット14bの噴射タイミングが制御される。一方、車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられる場合、コントローラ16からの指令に基づいて、図15のフローチャートに沿って分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングのみが制御される。
【0060】
まず、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングについて図14に基づいて説明する。コントローラ16では、ポイント切り換え動作が行われていない状態においては、転轍機を作動させるモータのドライブ装置に対してポイント切り換え信号が上位の制御装置から送信されているか否かが監視されている(ステップS101)。そして、上位の制御装置からポイント切り換え信号が送信されると、そのポイント切り換え信号がコントローラ16においても受信される。コントローラ16においてポイント切り換え信号が受信されると(S101、Yes)、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20aが連通位置に切り換えられ、各分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から圧縮空気が噴射されることになる(ステップS102)。
【0061】
尚、コントローラ16にはタイマーが備えられており、ステップS102においては、このタイマーによって、分岐線側ノズルユニット14aにおける圧縮空気の噴射時間が計測される。そして、図14のフローチャートでは図示を省略するが、上記タイマーでの計測時間が所定の時間を経過すると、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20aが遮断位置に切り換えられ、各分岐線側ノズルユニット14aのノズル23からの圧縮空気の噴射が停止される。
【0062】
ステップS102が行われると、コントローラ16では、圧縮空気の噴射停止からの時間がタイマーにて計測され、噴射停止から所定の時間が経過した際に、ポイント切り換え動作が完了したかどうかについての信号(ポイント切り換え完了信号)が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。即ち、コントローラ16では、分岐線側において、トングレール105の基本レール104からの離間動作が完了したかどうかが判断される(ステップS103)。ポイント切り換え動作が完了し、トングレール105が基本レール104から離間したと判断されると(S103、Yes)、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における分岐線側ノズルユニット14aからの圧縮空気の噴射動作の制御が終了することになる。尚、ポイント切り換え動作の完了は、リミットスイッチ等によって検知され、その検知結果が上位の制御装置での処理を経てポイント切り換え完了信号としてコントローラ16に送信されることになる。
【0063】
一方、ポイント切り換え動作が完了しない場合、軌道分岐部100においては、上位の制御装置からの指令に基づいて、前述のリトライ動作が行われることになる。この場合、コントローラ16では、ポイント切り換え信号が受信されないため、トングレール105が基本レール104から離間したことが検知されないことになる(S103、No)。このときは、コントローラ16では、上位の制御装置の制御に基づいて分岐線側のトングレール105が基本レール104に当接した位置まで復帰する動作が完了したどうかが判断される(ステップS104)。即ち、コントローラ16では、トングレール105の上記復帰動作が完了したかどうかについての信号が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。尚、トングレール105の復帰動作の完了は、リミットスイッチ等によって検知され、その検知結果が上位の制御装置での処理を経てコントローラ16に送信されることになる。
【0064】
上記の処理(ステップS104)は、トングレール105の復帰動作が完了したと判断するまで繰り返される(S104、No)。そして、トングレール105の復帰動作が完了したと判断されると(S104、Yes)、リトライ動作が開始される状態であることが判断されたことになり、ステップS102以降の処理が繰り返される。これにより、リトライ動作の直前のタイミングにおいて、分岐線側ノズルユニット14aのノズル23からの圧縮空気の噴射動作が行われることになる。
【0065】
尚、リトライ動作が所定の回数行われても、ポイント切り換え動作が成功しなかった場合は、上位の制御装置において、警報を作動させて係員に報知するための処理が行われる。そして、係員によって手動操作によるポイント切り換えが行われることになる。この場合、ポイント切り換えに失敗したかどうかについての信号が、上位の制御装置からコントローラ16に送信される。そして、コントローラ16では、電磁切換弁20aを遮断位置に保持した状態で、図14に示す処理を中断して強制的に終了することになる。
【0066】
次に、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における基準線側ノズルユニット14bの噴射タイミングについて図15に基づいて説明する。コントローラ16では、図14に示す処理の場合と同様に、ポイント切り換え動作が行われていない状態においては、ポイント切り換え信号が上位の制御装置から送信されているか否かが監視されている(ステップS201)。そして、コントローラ16においてポイント切り換え信号が受信されると(S201、Yes)、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20bが連通位置に切り換えられ、各基準線側ノズルユニット14bのノズル23から圧縮空気が噴射されることになる(ステップS202)。
【0067】
ステップS202においては、コントローラ16に備えられたタイマーによって、基準線側ノズルユニット14bにおける圧縮空気の噴射時間が計測される。そして、図15のフローチャートでは図示を省略するが、上記タイマーでの計測時間が所定の時間が経過すると、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20bが遮断位置に切り換えられ、各基準線側ノズルユニット14bのノズル23からの圧縮空気の噴射が停止される。
【0068】
ステップS202が行われると、コントローラ16では、圧縮空気の噴射停止からの時間がタイマーにて計測され、噴射停止から所定の時間が経過した際に、ポイント切り換え動作が完了したかどうかについての信号(ポイント切り換え完了信号)が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。即ち、コントローラ16では、基準線側において、トングレール105が基本レール104に当接する動作が完了したかどうかが判断される(ステップS203)。ポイント切り換え動作が完了し、トングレール105が基本レール104に当接したと判断されると(S203、Yes)、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における基準線側ノズルユニット14bからの圧縮空気の噴射動作の制御が終了することになる。
【0069】
一方、ポイント切り換え動作が完了しない場合、軌道分岐部100においては、上位の制御装置からの指令に基づいて、前述のリトライ動作が行われることになる。この場合、コントローラ16では、ポイント切り換え信号が受信されないため、トングレール105が基本レール104に当接したことが検知されないことになる(S203、No)。このときは、コントローラ16では、上位の制御装置の制御に基づいて基準線側のトングレール105が基本レール104から離間した位置まで復帰する動作が完了したどうかが判断される(ステップS204)。即ち、コントローラ16では、トングレール105の上記復帰動作が完了したかどうかについての信号が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。
【0070】
上記の処理(ステップS204)は、トングレール105の復帰動作が完了したと判断するまで繰り返される(S204、No)。そして、トングレール105の復帰動作が完了したと判断されると(S204、Yes)、リトライ動作が開始される状態であることが判断されたことになり、ステップS202以降の処理が繰り返される。これにより、リトライ動作の直前のタイミングにおいて、基準線側ノズルユニット14bのノズル23からの圧縮空気の噴射動作が行われることになる。
【0071】
尚、リトライ動作が所定の回数行われても、ポイント切り換え動作が成功しなかった場合については、前述した図14の処理の終了処理の場合と同様に、コントローラ16では、電磁切換弁20bを遮断位置に保持した状態で、図15に示す処理を中断して強制的に終了させることになる。
【0072】
車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられる場合については、前述のように、電磁切換弁20bは遮断位置のままで切り換えられず、基準線側ノズルユニット14bからの圧縮空気の噴射は行われない。そして、コントローラ16による分岐線側ノズルユニット14aにおける噴射タイミングの制御のみが図15に示す処理と同様に行われることになる。尚、この場合のコントローラ16による分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングの制御についての説明は、図15に基づく前述の説明と同様であるため、省略する。
【0073】
(異物除去装置の効果)
以上説明した異物除去装置1によると、ガード102と路面板103とが設置されたスラブ軌道110の軌道分岐部100において、基本レール104に対するトングレール105側に基本レール104に沿って延びる第1の溝111が設けられる。そして、この第1の溝111に、ノズルユニット14に接続するヘッダー管13が設置される。このため、ノズルユニット14やヘッダー管13を取り付けるための加工がレール(104、105)に施されることが無く、施工作業時や保守作業時に要する手間が従来の異物除去装置の場合に比して削減されることになる。また、トングレール105の下方とヘッダー管13の上方との間には床板15が配置され、この床板15に対してヘッダー管13が固定される。このため、床板15をスラブ軌道110に固定することで、あわせてヘッダー管13もスラブ軌道110に設置することができ、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。また、第1の溝111内にヘッダー管13が設置されるため、ヘッダー管13の断面積を十分に大きく確保しつつ、スラブ軌道110に設ける第1の溝111の大きさを小さく設定しても、各ノズル23から噴射される圧縮空気の量を必要量確保するために十分な大きさの断面寸法のヘッダー管13を容易に設置することができる。これにより、ヘッダー管13に圧縮空気の供給孔を多く設ける必要がなく、このような多くの供給孔に圧縮空気を供給する配管を設置するためにガイド101の側面に孔を加工することがそもそも必要無いことになる。このため、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。そして、ガイド101の側面に孔を加工して配管を設置する必要がないため、一対のガード(102、102)間に配管が配置されず、車両の脱線時に一対のガード(102、102)間を車輪が走行した際に、圧縮空気を供給する配管である空気配管12が車輪によって切断されて破損してしまうことも防止できる。
【0074】
従って、本実施形態によると、スラブ軌道110において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガード102と路面板103とが設けられた軌道分岐部100において、圧縮空気を供給する空気配管12が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置1を提供することができる。
【0075】
また、異物除去装置1によると、空気源装置11が分岐線側の外側に配置され、基準線側及び分岐線側のヘッダー管13に対して圧縮空気を供給する空気配管12が、路面板103の下方を通過するようスラブ軌道110に設けられた第2の溝112に配置される。このため、ヘッダー管13に圧縮空気を供給する空気配管12が一対のガード(102、102)の下方を通過するように配置されることもなく、車両の脱線時に一対のガード(102、102)間を車輪が走行した際に、圧縮空気の供給配管である空気配管12が車輪によって切断されて破損してしまうことを確実に防止できる。また、異物除去装置1では、スラブ軌道に設けられた第2の溝112に空気配管12が配置されるため、空気配管12を設置するための加工がレール(104、105)やガイド101に施されることが無く、施工作業や保守作業を更に容易に行うことができる。
【0076】
また、異物除去装置1によると、分岐線側において、複数のノズルユニット14aが、トングレール105を挟む両側に配置された基本レール104と一対の路面板103のうちの一方との間における床板15間にそれぞれ配置される。このため、基本レール104と路面板103のうちの一方との間の領域において、レール(104、105)の長手方向に沿って分散して配置されたノズルユニット14aから噴射される圧縮空気によって、異物が効率よく除去されることになる。そして、本実施形態によると、ノズルユニット14aの幅方向の寸法が十分に大きく形成されるため、トングレール105が基本レール104に当接した状態において、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。更に、ノズルユニット14aの幅方向の寸法がトングレール105の幅方向の寸法よりも大きく設定されているため、トングレール105が基本レール104から離間した状態においても、基本レール104とトングレール105との間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。
【0077】
また、異物除去装置1によると、コントローラ16により、トングレール105が基本レール104から離間する前のタイミングにおいて圧縮空気が噴射されるように、分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングが制御される。このため、トングレール105が基本レール104から離間して一対の路面板103のうちの一方に接近する動作を行う前のタイミングで、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間の領域の異物を効率よく除去することができる。
【0078】
[第2実施形態]
(異物除去装置の全体構成)
次に本発明の第2実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置2(以下、単に「異物除去装置2」という)について説明する。異物除去装置2は、図1に示すスラブ軌道110の軌道分岐部100と同様に構成される軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レール104とトングレール105との間に落下した雪などの異物を除去するために設置される。尚、異物除去装置2は、第1実施形態の異物除去装置1と同様に、空気源装置11、空気配管12、ヘッダー管13、床板30、ノズルユニット31、コントローラ16、等を備えて構成されている。但し、異物除去装置2は、第1実施形態の異物除去装置1とは床板30及びノズルユニット31の構成において異なっている。尚、以下の異物除去装置2の説明においては、第1実施形態と異なる床板30及びノズルユニット31の構成について説明し、第1実施形態と同様に構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は同一の符号を用いて表記することで、説明を省略する。また、異物除去装置2における圧縮空気の噴射タイミングは、第1実施形態の異物除去装置1における圧縮空気の噴射タイミングと同様に制御されるため、異物除去装置2の作動の説明も省略する。
【0079】
(床板の構成)
図16は、軌道分岐部100に設けられた異物除去装置2における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図17は、図16のH−H線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図18は、図17のI線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道110の図示を省略して示す図である。また、図19は、軌道分岐部100に設けられた異物除去装置2について切欠き状態で示す斜視図であって、一部切欠き断面で示す図である。図20は、軌道分岐部100に設けられた異物除去装置2における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図21は、図20のJ−J線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図16乃至図21に示す床板30は、第1実施形態の床板15と同様に、基準線側および分岐線側のそれぞれにおいて、トングレール105の長手方向に沿って並んで複数配置されている。そして、隣り合って配置される床板30同士が互いに平行に配置されており、各床板30は、トングレール105の下方であってヘッダー管13の上方に配置されている。
【0080】
また、図16乃至図21に示すように、各床板30は、上床板32と下床板33とが重ねられた2枚重ね構造として構成されている。上床板32及び下床板33ともに、平板状に形成されており、下床板33の上方にこの下床板33よりも水平方向に広がる面積が小さい上床板32が配置されている。また、上床板32及び下床板33は、例えば、鋼材料で形成されている。そして、上床板32上にはトングレール105が摺動自在に配置され、下床板33上には基本レール104が固定されている。
【0081】
尚、第1実施形態とは異なり、上床板32は下床板33よりも厚みが厚く形成されている。これにより、上床板32の上面の上下方向における高さ位置が、第1実施形態の場合よりも高く設定され、トングレール105の上下方向の高さ寸法が第1実施形態の場合よりも低く設定されている。また、上床板32における基本レール104の側方に対向する端部は、基本レール104における底部分よりも上方の側面に向かって近接する位置まで延びるように形成されている。
【0082】
また、上床板32は、下床板33に対して、ボルト等を用いて固定され、取り外し自在に構成されている。これにより、トングレール105との摺接によって上床板32が磨耗した際に、下床板33は交換せずに、上床板32のみを交換でき、保守作業を容易に行うことができる。また、下床板33には、ヘッダー管13が溶接等によって固定されている。これにより、下床板33をスラブ軌道110に設置して固定することで、あわせて同時にヘッダー管13もスラブ軌道110に設置することができるように構成されている。
【0083】
(ノズルユニットの構成)
図16乃至図21に示すノズルユニット31は、空気源装置11から供給された圧縮空気を基本レール104とトングレール105との間及びその近傍の領域に噴射するノズル機構として設けられている。ノズルユニット31としては、分岐線側に配置されて分岐線側のヘッダー管13に対して取り付けられた分岐線側ノズルユニット31aと、基準線側に配置されて基準線側のヘッダー管13に対して取り付けられた基準線側ノズルユニット31bとが設けられている。そして、分岐線側ノズルユニット31a及び基準線側ノズルユニット31bは、いずれも複数設けられ、各ヘッダー管13に対してその上面側においてその長手方向に沿って直列に配設されている。また、分岐線側ノズルユニット31aは、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板30と床板30との間にそれぞれ配置されている。同様に、基準線側ノズルユニット31bも、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板30と床板30との間にそれぞれ配置されている。
【0084】
図22は、分岐線側ノズルユニット31aの平面図(図22(b))と、その側面図(図22(a))とを示したものである。また、図23は、図22のK線矢視方向から見たノズルユニット31aを示す図である。図16乃至図18、図22、図23に示すように、各分岐線側ノズルユニット31aは、基台部34、第1連通部35、複数の第1ノズル部36、第2ノズル部37、等を備えて構成されている。
【0085】
基台部34は、直方体のブロック状の部材として設けられ、分岐線側に配置されたヘッダー管13の上面に対してその長手方向に沿って配置された状態で固定されている。そして、基台部34には、上下方向に貫通する連通孔34aが複数(例えば、3つ)形成されている。
【0086】
第1連通部35は、扁平に形成されるとともに湾曲した筒状体として設けられている。そして、第1連通部35は、一方の端部側において基台部34の上面に固定され、床板30における上床板32と並んで延びるように設けられる。また、第1連通部35は、その内部における扁平で湾曲した空間として区画された中空領域が、基台部34に固定された端部側において、複数の連通孔34aを介してヘッダー管13の内部と連通している。尚、前述したように、床板30の上床板32は、基本レール104の側面に向かって延びるように形成されている。このため、この上床板32によって、トングレール105の下方に第1連通部35が配置される隙間が形成されることになる。
【0087】
第1ノズル部36は、複数(例えば、2つ)設けられており、厚みの薄いブロック状に形成されている。この第1ノズル部36は、第1連通部35における基台部34に固定された部分の上面に対して、分岐線側のヘッダー管13の長手方向に沿って並んで取り付けられている。そして、第1ノズル部36は、分岐線側のヘッダー管13の上面側において、このヘッダー管13に対して、基台部34の連通孔34a及び第1連通部35の中空領域を介して連通するように取り付けられている。
【0088】
また、第1ノズル部36には、複数(例えば、3つ)のノズル36aと、連通路36bとが設けられている。複数のノズル36aは、それぞれ貫通孔として形成されており、第1ノズル部36の幅方向(ヘッダー管13の長手方向と垂直で水平な方向)に並んで設けられている。そして、各ノズル36aは、基本レール104及びトングレール105の長手方向に沿って且つ斜め上方に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。また、並んで設けられる複数のノズル36aのうち中央に設けられたノズル36aは、基本レール104の側面と略平行な面(仮想の面)に沿って斜め上方に圧縮空気を噴射するように開口形成されている。一方、上記の中央に設けられたノズル36aの両側に配置されたノズル36aは、中央のノズル36aの噴射方向に対して側方に向かって斜めに広がって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。これにより、圧縮空気の噴射範囲が拡大されるように構成されている。尚、図16及び図18においては、第1ノズル部36におけるノズル36aから噴射される圧縮空気の経路のうちノズル36aの開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路36bは、複数のノズル36aに連通するとともに第1連通部35の中空領域に連通する空間として形成されている。
【0089】
第2ノズル部37は、ノズル管38と、複数のノズルブロック39とを備えて構成されている。ノズル管38は、薄型の直方体状に形成された中空の角パイプ状の部材として設けられ、両端部がいずれも閉じられた状態に形成されている。そして、ノズル管38は、基本レール104の長手方向に沿ってその基本レール104の側面に当接して配置されている。また、ノズル管38は、一方の端部側が基台部34に固定された第1連通部35の他方の端部側に対して固定され、その内部の中空領域が第1連通部35の中空領域と連通するように構成されている。
【0090】
ノズルブロック39は、各第2ノズル部37において、複数(例えば、4つ)設けられており、厚みの薄いブロック体として形成されている。各ノズルブロック39は、ノズル管38に対して、基本レール104に当接する側面とは反対側の側面(トングレール105に対向する側面)において取り付けられ、ノズル管38の内部の中空領域と連通するように取り付けられている。また、複数のノズルブロック39は、ノズル管38の長手方向に沿って(即ち、基本レール104の長手方向に沿って)並んで取り付けられており、上下方向の取り付け高さ位置が高い位置と低い位置とで順番に異なるように取り付けられている。
【0091】
各ノズルブロック39には、複数(例えば、2つ)のノズル39aと、連通路39bとが設けられている。複数のノズル39aは、それぞれ貫通孔として形成されており、上下方向に並んで設けられている。そして、各ノズル39aは、基本レール104の長手方向に対してトングレール105側に斜め前方に向かってある程度の広がりを持って圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、複数のノズル39aのうち上下方向の取り付け高さ位置が低い位置に設定されているノズル39aは、例えば、水平方向に対して7度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成するようにし、複数のノズル39aのうち上下方向の取り付け高さ位置が高い位置に設定されているノズル39aは、例えば、水平方向に対して5度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されるようにしても構わない。尚、図16及び図18においては、ノズルブロック39におけるノズル39aから噴射される圧縮空気の経路のうちノズル39aの開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路39bは、複数のノズル39aに連通するとともにノズル管38の中空領域に連通する空間として形成されている。上記のように、第2ノズル部37は、第1連通部35を介して分岐線側のヘッダー管13に連通するとともに基本レール104の側面に配置されるノズル部として設けられている。
【0092】
図24は、基準線側ノズルユニット31bの側面図を基準線側のヘッダー管13の断面図とともに示したものである。図19乃至図21、図24に示すように、各基準線側ノズルユニット31bは、基台部40、第2連通部41、第3ノズル部42、等を備えて構成されている。
【0093】
基台部40は、直方体のブロック状の部材として設けられ、基準線側に配置されたヘッダー管13の上面に対してその長手方向に沿って配置された状態で固定されている。そして、基台部40には、上下方向に貫通する連通孔40aが複数(例えば、3つ)形成されている。
【0094】
第2連通部41は、扁平に形成されるとともに湾曲した筒状体として設けられている。そして、第2連通部41は、一方の端部側において基台部40の上面に固定され、床板30における上床板32と並んで延びるように設けられる。また、第2連通部41は、その内部における扁平で湾曲した空間として区画された中空領域が、基台部40に固定された端部側において、複数の連通孔40aを介してヘッダー管13の内部と連通している。尚、前述したように、床板30の上床板32は、基本レール104の側面に向かって延びるように形成されている。このため、この上床板32によって、トングレール105の下方に第2連通部41が配置される隙間が形成されることになる。
【0095】
第3ノズル部42は、ノズル管43と、複数のノズルブロック44とを備えて構成されている。ノズル管43は、薄型の直方体状に形成された中空の角パイプ状の部材として設けられ、両端部がいずれも閉じられた状態に形成されている。そして、ノズル管43は、基本レール104の長手方向に沿ってその基本レール104の側面に当接して配置されている。また、ノズル管43は、一方の端部側が基台部40に固定された第2連通部41の他方の端部側に対して固定され、その内部の中空領域が第2連通部41の中空領域と連通するように構成されている。
【0096】
ノズルブロック44は、各第3ノズル部42において、複数(例えば、4つ)設けられており、厚みの薄いブロック体として形成されている。各ノズルブロック44は、ノズル管43に対して、基本レール104に当接する側面とは反対側の側面(トングレール105に対向する側面)において取り付けられ、ノズル管43の内部の中空領域と連通するように取り付けられている。また、複数のノズルブロック44は、ノズル管43の長手方向に沿って(即ち、基本レール104の長手方向に沿って)並んで取り付けられており、上下方向の取り付け高さ位置が高い位置と低い位置とで順番に異なるように取り付けられている。
【0097】
各ノズルブロック44には、複数(例えば、2つ)のノズル44aと、連通路44bとが設けられている。複数のノズル44aは、それぞれ貫通孔として形成されており、上下方向に並んで設けられている。そして、各ノズル44aは、基本レール104の長手方向に対してトングレール105側に斜めに前方に向かってある程度の広がりを持って圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、複数のノズル44aのうち上下方向の取り付け高さ位置が低い位置に設定されているノズル44aは、例えば、水平方向に対して7度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。一方、複数のノズル44aのうち上下方向の取り付け高さ位置が高い位置に設定されているノズル44aは、例えば、水平方向に対して5度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、図20においては、ノズルブロック44におけるノズル44aから噴射される圧縮空気の経路のうちノズル44aの開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路44bは、複数のノズル44aに連通するとともにノズル管43の中空領域に連通する空間として形成されている。上記のように、第3ノズル部42は、第2連通部41を介して基準線側のヘッダー管13に連通するとともに基本レール104の側面に配置されるノズル部として設けられている。
【0098】
(異物除去装置の効果)
以上説明した異物除去装置2によると、第1実施形態の異物除去装置1と同様の効果を奏することができる。即ち、この第2実施形態によると、スラブ軌道110において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガード102と路面板103とが設けられた軌道分岐部100において、圧縮空気を供給する空気配管12が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置2を提供することができる。
【0099】
また、異物除去装置2によると、分岐線側のヘッダー管13の上面側に配置された第1ノズル部36によって、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間の領域における異物を除去するための圧縮空気を噴射することができる。そして、基本レール104の側面に配置された第2ノズル部37によって、基本レール104とトングレール105との間の領域における異物を除去するための基本レール104に沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第2ノズル部37が分岐線側の基本レール104の長手方向に沿って複数配置されるため、この基本レール104に沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、分岐線側において、基本レール104の側面に向かって延長するように床板30の上床板32を形成することで、第2ノズル部37へ圧縮空気を供給するために上床板32と並んで設けられる第1連通部35を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【0100】
また、異物除去装置2によると、基準線側の基本レール104の側面に配置された第3ノズル部42によって、基本レール104とトングレール105との間の領域における異物を除去するための基本レール104に沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第3ノズル部42が基準線側の基本レール104の長手方向に沿って複数配置されるため、この基本レール104に沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、基準線側において、基本レール104の側面に向かって延長するように床板30の上床板32を形成することで、第3ノズル部42へ圧縮空気を供給するために上床板32と並んで設けられる第2連通部41を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【0101】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例を実施することができる。
【0102】
(1)上述の実施形態では、空気源装置とヘッダー管と接続して圧縮空気を供給する空気配管が、各ヘッダー管に対して3本に分岐して接続する場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、各ヘッダー管に対して、分岐せずに接続する空気配管が1本のみ接続するものであってもよい。また、各ヘッダー管に対して、3本以外の本数で分岐して接続する空気配管が設けられるものであってもよい。
【0103】
(2)ノズルユニットの形状や、ノズルユニットにおけるノズルの数や配置については、上述の実施形態において例示したものに限らず、種々変更して実施してもよい。また、ヘッダー管とノズルユニットとの接続形態についても、種々変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、コンクリートで構成されるスラブ軌道における軌道分岐部に設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 軌道分岐部の異物除去装置
11 空気源装置
13 ヘッダー管
14、14a、14b ノズルユニット
15、21、22 床板
23 ノズル
100 軌道分岐部
102 ガード
103 路面板
104 基本レール
105 トングレール
110 スラブ軌道
111 第1の溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートで構成されるスラブ軌道において、基本レールとこの基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、降雪地方では、鉄道の軌道分岐部において、電熱式、熱風式、温水式等の融雪装置が用いられている。しかし、このような融雪装置によると、車両が軌道分岐部を通過する際にその振動によって落とされる落下雪氷を短時間で溶かすことが難しく、また、雪氷以外の異物が軌道上に落下した場合、その異物を除去することはできない。そこで、圧縮空気を噴射することで軌道分岐部における基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する異物除去装置が提案されている(特許文献1乃至特許文献5参照)。
【0003】
特許文献1乃至特許文献5に開示された異物除去装置においては、ノズルが設けられた配管ユニットの取り付け構成等が異なっている。まず、特許文献1及び特許文献2においては、配管ユニットがレールに対してそのレールの腹部に設けた孔にボルトを挿通させて取り付けられる異物除去装置が開示されている。また、特許文献3においては、レールの底面に沿って配置される特殊な構造の挟持金具を用いるとともにレールストッパの取付ボルトを利用することで、配管ユニットがレールに対して取り付けられた異物除去装置が開示されている。また、特許文献4及び特許文献5においては、配管ユニットをレールに固定する取り付け用の部材(ボルトやねじ等)が中空構造で設けられ、その内部が圧縮空気を配管ユニットに供給する供給通路として構成されている異物除去装置が開示されている。尚、特許文献4及び特許文献5に開示された異物除去装置は、軌道分岐部における基本レール及びトングレールの間に配置される1つの配管ユニットに対して空気源装置から圧縮空気を供給する配管が多数分岐して接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−240605号公報(第2−3頁、第1図、第3図)
【特許文献2】特開平7−54317号公報(第2−3頁、第1−2図)
【特許文献3】特開2000−144602号公報(第3頁、第1−7図)
【特許文献4】特開2000−144670号公報(第3頁、第1−2図、第5図)
【特許文献5】特開平7−54318号公報(第3頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新幹線の軌道においては、コンクリートで構成されたスラブ軌道が用いられている。そして、このようなスラブ軌道の軌道分岐部において、新幹線が走行中に地震が発生しても車両が横転しないようにレールに沿って配置されるコンクリート製のガイドとして、車輪誘導逸脱防止ガード(以下、単に「ガード」ともいう)と路面板とを設けることが検討されている。尚、ガードは、軌道分岐部において、基本レールが真っ直ぐに延びる基準線側における基本レールの外側に一対でその基本レールに沿って延びるように配置され、コンクリートでブロック状に形成される。また、路面板は、軌道分岐部において、基本レールが湾曲するように延びる分岐線側における基本レール及びトングレールを挟む両側の位置に一対でその基本レールに沿って延びるように配置され、コンクリートでブロック状に形成される。そして、車両の脱線時には、脱線した車輪の片方が一対のガードの内側を走行し、脱線した車輪のうち一対のガード間を走行する片方の車輪と反対側の片方の車輪が一対の路面板のうちの一方の上面を走行することになる。
【0006】
上述したガードと路面板とが設けられたスラブ軌道の軌道分岐部において異物除去装置を設置する際に、特許文献1乃至特許文献5に開示された異物除去装置を設置することが考えられる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示の異物除去装置では、配管ユニットをレールに取り付けるための孔をレールに対して加工する必要があるため、異物除去装置を設置する施工作業時に多くの手間を要することになるとともに、レール交換等の保守作業時に異物除去装置の取り外し及び取り付けのための手間も多く要することになる。尚、この場合、孔をレールに対して加工するため、レールの強度に影響を与えてしまうことにもなる。また、特許文献3に開示の異物除去装置では、レールストッパの取り付けボルトを利用するとともに特殊な構造の金具でレールに固定する必要があることから、上記と同様に、施工作業時や保守作業時に多くの手間を要してしまうことになる。また、特許文献4及び特許文献5に開示の異物除去装置では、特許文献1及び特許文献2の場合と同様に、配管ユニットをレールに取り付けるための孔加工が必要となり、施工作業時や保守作業時に多くの手間を要してしまうことになる。そして、特許文献4及び特許文献5の異物除去装置では、配管ユニットをレールに取り付けるための部材の内部を圧縮空気の供給通路として利用できるが、レールの強度確保のためにレールに加工される孔の径が制限されることになる。このため、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保する観点から、長さが短い配管ユニットであっても空気源装置から多数分岐してこの配管ユニットに圧縮空気を供給する配管構造が必要となってしまう。これにより、施工作業時や保守作業時に更に多くの手間を要してしまうことになる。
【0007】
また、新幹線の軌道の場合、スラブ軌道の軌道分岐部は、全長で十数メートルもの長さにも及ぶ一方で、基本レールとトングレールとの間の隙間は小さい。従って、特許文献1乃至特許文献5に開示の異物除去装置のように、ノズルに圧縮空気を供給するヘッダー管である配管ユニットがレールの側面に配置される場合、狭いスペースにヘッダー管が配置されることになるためにヘッダー管の断面積が小さくなり、ヘッダー管での圧力損失が大きくなってしまう。このため、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保するためには、ヘッダー管への圧縮空気の供給孔を相当に多く設ける必要がある。しかしながら、前述のように、コンクリート製のガイド(ガード、路面板)が設けられていると、このガイドの側面に上記の供給孔を通じて圧縮空気を供給する配管を設置するために相当に多くの孔を加工する必要があり、施工作業時や保守作業時に、非常に多くの手間を要してしまうことになる。また、車両の脱線時には、一対のガード間を車輪が走行することになるため、一対のガード間に配置されてヘッダー管へ圧縮空気を供給する多くの配管が、車輪によって切断され、破損してしまうことになる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部において、圧縮空気を供給する配管が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、コンクリートで構成されるスラブ軌道において、基本レールと当該基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで前記基本レールと前記トングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置であって、圧縮空気を噴射するノズルを有するノズルユニットと、前記ノズルユニットに接続するヘッダー管と、前記ヘッダー管を介して前記ノズルユニットに圧縮空気を供給する空気源装置と、前記トングレールの下方であって前記ヘッダー管の上方に配置されて、前記トングレールの長手方向に沿って複数配置される床板と、を備えている。そして、第1発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、前記軌道分岐部には、前記基本レールが真っ直ぐに延びる基準線側における当該基本レールの外側に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が内側を走行する一対のガードと、前記基本レールが湾曲するように延びる分岐線側における当該基本レール及び前記トングレールを挟む両側の位置に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が一方の上面を走行する一対の路面板と、が設けられ、前記ヘッダー管及び前記ノズルユニットは、前記基準線側及び前記分岐線側の両方に配置され、前記ヘッダー管は、前記基本レールに対して前記トングレール側に配置されるとともに、当該基本レールに沿って延びるように前記スラブ軌道に形成された第1の溝に沿って設置され、前記床板に対して固定されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によると、ガード(車輪誘導逸脱防止ガード)と路面板とが設置されたスラブ軌道の軌道分岐部において、基本レールに対するトングレール側に基本レールに沿って延びる第1の溝が設けられる。そして、この第1の溝に、ノズルユニットに接続するヘッダー管が設置される。このため、ノズルユニットやヘッダー管を取り付けるための加工がレールに施されることが無く、施工作業時や保守作業時に要する手間が従来の異物除去装置の場合に比して削減されることになる。また、トングレールの下方とヘッダー管の上方との間には床板が配置され、この床板に対してヘッダー管が固定される。このため、床板をスラブ軌道に固定することで、あわせてヘッダー管もスラブ軌道に設置することができ、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。また、第1の溝内にヘッダー管が設置されるため、ヘッダー管の断面積を十分に大きく確保しつつ、スラブ軌道に設ける第1の溝の大きさを小さく設定しても、各ノズルから噴射される圧縮空気の量を必要量確保するために十分な大きさの断面寸法のヘッダー管を容易に設置することができる。これにより、ヘッダー管に圧縮空気の供給孔を多く設ける必要がなく、このような多くの供給孔に圧縮空気を供給する配管を設置するためにガイドの側面に孔を加工することがそもそも必要無いことになる。このため、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。そして、ガイドの側面に孔を加工して配管を設置する必要がないため、一対のガード間に配管が配置されず、車両の脱線時に一対のガード間を車輪が走行した際に、圧縮空気を供給する配管が車輪によって切断されて破損してしまうことも防止できる。
【0011】
尚、スラブ軌道ではなく、まくらぎが配置された軌道においては、縦まくらぎと横まくらぎとが組み合わされて構成されたグリッドまくらぎが採用されることがある。この場合、グリッドまくらぎの内部にヘッダー管を配置することが考えられるが、スラブ軌道の軌道分岐部ではグリッドまくらぎは不要であり、ガード及び路面板が設けられるスラブ軌道の軌道分岐部においてグリッドまくらぎを設置することは極めて困難となる。このため、グリッドまくらぎが設置されないスラブ軌道の軌道分岐部においては、グリッドまくらぎ内にヘッダー管を配置する構成によって対応することはできず、特に既存の軌道分岐部に対しては対応することができない。
【0012】
従って、本発明によると、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部において、圧縮空気を供給する配管が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することができる。
【0013】
第2発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記空気源装置は、前記軌道分岐部に対して前記分岐線側における外側に配置され、前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管とに対して、前記路面板の下方を通過して延びるように前記スラブ軌道に形成された第2の溝に沿って配置された空気配管を介して、圧縮空気を供給することを特徴とする。
【0014】
この発明によると、空気源装置が分岐線側の外側に配置され、基準線側及び分岐線側のヘッダー管に対して圧縮空気を供給する空気配管が、路面板の下方を通過するようスラブ軌道に設けられた第2の溝に配置される。このため、ヘッダー管に圧縮空気を供給する空気配管が一対のガードの下方を通過するように配置されることもなく、車両の脱線時に一対のガード間を車輪が走行した際に、圧縮空気の供給配管が車輪によって切断されて破損してしまうことを確実に防止できる。また、本発明では、スラブ軌道に設けられた第2の溝に空気配管が配置されるため、空気配管を設置するための加工がレールやガイドに施されることが無く、施工作業や保守作業を更に容易に行うことができる。
【0015】
第3発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明又は第2発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、複数設けられるとともにそれぞれ複数の前記ノズルを有し、前記トングレールの長手方向に沿って並んで配置された前記床板と前記床板との間にそれぞれ配置され、前記分岐線側ノズルユニットの幅方向の寸法は、前記トングレールの幅方向の寸法よりも大きく設定されるとともに、前記トングレールが前記基本レールに当接した状態で当該トングレールと前記一対の路面板のうちの一方との間で前記ノズルから圧縮空気を噴射可能に設定されていることを特徴とする。
【0016】
この発明によると、分岐線側において、複数のノズルユニットが、トングレールを挟む両側に配置された基本レールと一対の路面板のうちの一方との間における床板間にそれぞれ配置される。このため、基本レールと路面板のうちの一方との間の領域において、レールの長手方向に沿って分散して配置されたノズルユニットから噴射される圧縮空気によって、異物が効率よく除去されることになる。そして、本発明によると、ノズルユニットの幅方向の寸法が十分に大きく形成されるため、トングレールが基本レールに当接した状態において、トングレールと一対の路面板のうちの一方との間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。更に、ノズルユニットの幅方向の寸法がトングレールの幅方向の寸法よりも大きく設定されているため、トングレールが基本レールから離間した状態においても、基本レールとトングレールとの間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。
【0017】
第4発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第3発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記ノズルから圧縮空気を噴射する噴射タイミングを制御するコントローラを更に備え、前記コントローラは、前記分岐線側において前記基本レールに当接した状態の前記トングレールが当該基本レールから離間する前に前記分岐線側ノズルユニットにおける前記ノズルから圧縮空気を噴射させるように前記噴射タイミングを制御することを特徴とする。
【0018】
この発明によると、コントローラにより、トングレールが基本レールから離間する前のタイミングにおいて圧縮空気が噴射されるように、分岐線側ノズルユニットの噴射タイミングが制御される。このため、トングレールが基本レールから離間して一対の路面板のうちの一方に接近する動作を行う前のタイミングで、トングレールと一対の路面板のうちの一方との間の領域の異物を効率よく除去することができる。
【0019】
第5発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明又は第2発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管の上面側において当該ヘッダー管に連通するように取り付けられる第1ノズル部と、前記床板と並んで延びるように設けられた第1連通部を介して前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第2ノズル部と、を有し、前記床板は、前記トングレールの下方に前記第1連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする。
【0020】
この発明によると、ヘッダー管の上面側に配置された第1ノズル部によって、トングレールと一対の路面板のうちの一方との間の領域における異物を除去するための圧縮空気を噴射することができる。そして、基本レールの側面に配置された第2ノズル部によって、基本レールとトングレールとの間の領域における異物を除去するための基本レールに沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第2ノズル部を基本レールの長手方向に沿って複数配置することで、基本レールに沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、分岐線側において、基本レールの側面に向かって延長するように床板を形成することで、第2ノズル部へ圧縮空気を供給するために床板と並んで設けられる第1連通部を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【0021】
第6発明に係る軌道分岐部の異物除去装置は、第1発明又は第2発明の軌道分岐部の異物除去装置において、前記基準線側に配置された前記ノズルユニットである基準線側ノズルユニットは、前記床板と並んで延びるように設けられた第2連通部を介して前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第3ノズル部を有し、前記床板は、前記トングレールの下方に前記第2連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする。
【0022】
この発明によると、基本レールの側面に配置された第3ノズル部によって、基本レールとトングレールとの間の領域における異物を除去するための基本レールに沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第3ノズル部を基本レールの長手方向に沿って複数配置することで、基本レールに沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、基準線側において、基本レールの側面に向かって延長するように床板を形成することで、第3ノズル部へ圧縮空気を供給するために床板と並んで設けられる第2連通部を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部において、圧縮空気を供給する配管が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置とこの異物除去装置が設けられた軌道分岐部とを示す平面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図1に示す異物除去装置における空気源装置の空気回路図である。
【図4】図2における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図5】図4のC−C線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図6】図5のD線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道の図示を省略して示す図である。
【図7】図2における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図8】図7のC−C線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図9】図1に示す異物除去装置の分岐線側における空気配管の近傍での基本レールと垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図10】図1に示す異物除去装置の基準線側における空気配管の近傍での基本レールと垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図11】図4に示すノズルユニットの平面図及びその側面図である。
【図12】図11のF線矢視方向から見たノズルユニットを示す図である。
【図13】図4におけるG線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図14】リトライ動作が行われるタイミングに応じて圧縮空気が噴射される際の異物除去装置における圧縮空気の噴射タイミングを説明するフローチャートである。
【図15】リトライ動作が行われるタイミングに応じて圧縮空気が噴射される際の異物除去装置における圧縮空気の噴射タイミングを説明するフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図17】図16のH−H線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図18】図17のI線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道の図示を省略して示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置における一部について切欠き状態で示す斜視図であって、一部切欠き断面で示す図である。
【図20】図19に示す異物除去装置における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレールの端部の近傍を拡大して示す図である。
【図21】図20のJ−J線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道を切欠き断面で示す図である。
【図22】図16に示す分岐線側ノズルユニットの平面図及びその側面図である。
【図23】図22のK線矢視方向から見たノズルユニットを示す図である。
【図24】図20に示す基準線側ノズルユニットの側面図を基準線側のヘッダー管の断面図とともに示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置は、スラブ軌道において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガードと路面板とが設けられた軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する軌道分岐部の異物除去装置として広く適用できるものである。
【0026】
[第1実施形態]
(軌道分岐部の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置1(以下、単に「異物除去装置1」という)とこの異物除去装置1が設けられた軌道分岐部100とを示す平面図である。また、図2は、図1の一部拡大図である。軌道分岐部100は、スラブ軌道110に設置されている。このスラブ軌道110は、新幹線の軌道として設けられ、コンクリートで構成されている。
【0027】
図1及び図2に示す軌道分岐部100においては、新幹線が走行中に地震が発生しても車両が横転しないようにレールに沿って配置されるコンクリート製のガイド101として、車輪誘導逸脱防止ガードである一対のガード(102、102)と一対の路面板(103、103)とが設けられている。そして、この軌道分岐部100においては、一対の基本レール(104、104)、一対のトングレール(105、105)、転轍棒106を備えて構成される転轍機、等が設置されている。一対の基本レール(104、104)は、所定の間隔を離間した状態で配置され、この一対の基本レール(104、104)間に、一対のトングレール(105、105)が配置されている。
【0028】
基本レール104及びトングレール105は、スラブ軌道110上に後述する床板15を介して配設されており、トングレール105が床板15上で移動可能に構成されている。これにより、各トングレール105は、各基本レール104に対して当接及び離間可能に設けられている。また、各トングレール105の端部同士は、転轍棒106によって一定間隔が維持された状態で連結されている。そして、図示しない制御装置からの指令に基づいて転轍機が作動することにより、基本レール104に対してトングレール105が当接又は離間する方向に移動し、軌道分岐部100における走行レールの切り換え動作(ポイントの切り換え動作)が行われるようになっている。
【0029】
また、ガイド101におけるガード102は、軌道分岐部100において、基本レール104が真っ直ぐに延びる基準線側(一対の基本レール(104、104)の中間に対して図1及び図2において矢印Bで示す側)における基本レール104の外側に一対で互いに略平行に延びるように配置されている。そして、この一対のガード(102、102)は、それぞれコンクリートで形成され、基準線側の基本レール104に沿って延びるブロック状に形成されている。
【0030】
またガイド101における路面板103は、軌道分岐部100において、基本レール104が湾曲するように延びる分岐線側における基本レール104及びトングレール105を挟む両側の位置に一対で互いに略平行に延びるように配置されている。そして、この一対の路面板(103、103)は、それぞれコンクリートで形成され、分岐線側の基本レール104に沿って延びるブロック状に形成されている。
【0031】
地震による車両の脱線が発生した際には、脱線した車輪の片方が、一対のガード(102、102)の内側を走行することになる。そして、脱線した車輪のうち一対のガード(102、102)間を走行する片方の車輪と反対側の片方の車輪が、一対の路面板(103、103)のうちの一方の上面を走行することになる。
【0032】
(異物除去装置の全体構成)
次に、第1実施形態に係る異物除去装置1の構成について説明する。異物除去装置1は、上述した軌道分岐部100に設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レール104とトングレール105との間に落下した雪などの異物を除去するために設置される。図1及び図2に示すように、異物除去装置1は、空気源装置11、空気配管12、ヘッダー管13、ノズルユニット14、床板15、コントローラ16、等を備えて構成されている。空気源装置11は、スラブ軌道110又はスラブ軌道110の近傍において、軌道分岐部100に対して分岐線側における外側に配置されている(図1参照)。また、ヘッダー管13及びノズルユニット14は、軌道分岐部100における基準線側及び分岐線側の両方において、基本レール104とトングレール105との間、及びその近傍の領域に配置されている。
【0033】
また、図1に示す空気配管12は、空気源装置11とヘッダー管13とを接続して空気源装置11からの圧縮空気をヘッダー管13に供給する供給配管として設けられている。この空気配管12としては、分岐線側に配置されたヘッダー管13に接続する空気配管12aと、基準線側に配置されたヘッダー管13に接続する空気配管12bとが設けられている。これにより、基準線側のヘッダー管13と分岐線側のヘッダー管13とに対して、空気配管12を介して圧縮空気がそれぞれ供給されることになる。
【0034】
基準線側のヘッダー管13に接続する空気配管12bについては、途中から3本に分岐するように構成されており、ヘッダー管13の前後端側と中央部分との3箇所で各分岐管が接続している。また、分岐線側のヘッダー管13に接続する空気配管12aについても、途中から3本に分岐するように構成されており、ヘッダー管13の前後端側と中央部分との3箇所で各分岐管が接続している。尚、後述するように、空気配管12a及び空気配管12bは、路面板103の下方を通過して延びるようにスラブ軌道110に形成された本実施形態における第2の溝である溝112に沿って配置されている(図9及び図10参照)。
【0035】
(空気源装置の構成)
図3は、空気源装置11の空気回路図である。図1及び図3に示す空気源装置11は、ヘッダー管13を介してノズルユニット14に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源として設けられており、コンプレッサ18、空気タンク19、電磁切換弁20a、20bなどを備えて構成されている。コンプレッサ18にて生成された圧縮空気は、空気タンク19へと貯留される。空気タンク19には、電磁切換弁20a及び空気配管12aを介して、分岐線側の基本レール104及びトングレール105の間及びその近傍領域に配置されるヘッダー管13及びノズルユニット14が接続されている。同様に、空気タンク19には、電磁切換弁20b及び空気配管12bを介して、基準線側の基本レール104及びトングレール105の間及びその近傍領域に配置されるヘッダー管13及びノズルユニット14が接続されている。
【0036】
上述した空気源装置11において後述するコントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20a及び電磁切換弁20bがそれぞれ遮断位置(図3に示す状態)から連通位置に切り換えられることで、各電磁切換弁20a、20bの下流側に接続されたヘッダー管13及びノズルユニット14を介して圧縮空気が噴射されることになる。尚、本実施形態の空気源装置11はコンプレッサ18を備えて構成されているが、このコンプレッサ18が共有される状態で備えられているものであってもよい。例えば、空気源装置11のコンプレッサ18から、軌道分岐部100とは異なる軌道分岐部に対応する空気源装置でコンプレッサが設けられていない空気源装置の空気タンクにも圧縮空気が供給されるように構成されていてもよい。また、空気源装置11が、その逆の構成(空気源装置11にコンプレッサ18が設けられておらず、他の空気源装置のコンプレッサから圧縮空気が空気タンク19に供給される構成)を備えるものであってもよい。
【0037】
(床板の構成)
図4は、図2における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図5は、図4のC−C線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図6は、図5のD線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道110の図示を省略して示す図である。また、図7は、図2における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図8は、図7のE−E線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図1、図2、図4乃至図8に示すように、床板15は、基準線側および分岐線側のそれぞれにおいて、トングレール105の長手方向に沿って並んで複数配置されている。そして、隣り合って配置される床板15同士が互いに平行に配置されており、各床板15は、トングレール105の下方であってヘッダー管13の上方に配置されている。
【0038】
また、図4乃至図8によく示すように、各床板15は、上床板21と下床板22とが重ねられた2枚重ね構造として構成されている。上床板21及び下床板22ともに、平板状に形成されており、下床板22の上方にこの下床板22よりも水平方向に広がる面積が小さい上床板21が配置されている。また、上床板21及び下床板22は、例えば、鋼材料で形成されている。そして、上床板21上にはトングレール105が摺動自在に配置され、下床板22上には基本レール104が固定されている。尚、上床板21における基本レール104の側方に対向する端部は、基本レール104の底部分の側方に当接又は近接する位置まで延びるように設けられている。
【0039】
また、上床板21は、下床板22に対して、ボルト等を用いて固定され、取り外し自在に構成されている。これにより、トングレール105との摺接によって上床板21が磨耗した際に、下床板22は交換せずに、上床板21のみを交換でき、保守作業を容易に行うことができる。また、下床板22には、後述するヘッダー管13が溶接等によって固定されている。これにより、下床板22をスラブ軌道110に設置して固定することで、あわせて同時にヘッダー管13もスラブ軌道110に設置することができるように構成されている。
【0040】
(ヘッダー管の構成)
図1、図2、図4乃至図8に示すように、ヘッダー管13は、略矩形断面で長く延びる直方体状の管構造として形成され(中空の角パイプ状に形成され)、両端部がいずれも閉じられた状態に形成されている。このヘッダー管13は、例えば、鋼材料で形成されている。そして、ヘッダー管13は、基準線側及び分岐線側のそれぞれにおいて、基本レール104に対してトングレール105側に配置されている。また、スラブ軌道110には、基準線側及び分岐線側のそれぞれに、基本レール104の内側(トングレール105側)において、基本レール104に沿って延びるように形成された本実施形態の第1の溝である溝111が設けられている。そして、各ヘッダー管13は、基準線側及び分岐線側に設けられた各溝111に沿って設置されている(図5及び図8参照)。
【0041】
図9は、分岐線側における空気配管(12a、12b)の近傍での基本レール104と垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。また、図10は、基準線側における空気配管12bの近傍での基本レール104と垂直な断面を示す図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図9及び図10に示すように、スラブ軌道110には、路面板103の下方を通過して延びるように形成された溝(第2の溝)112が、基本レール104の長手方向と垂直な方向と略平行な方向に沿って延びるように設けられている。そして、空気配管(12a、12b)は、この溝112に設置される。
【0042】
空気配管12aは、一対の路面板(103、103)のうちの一方の下方を通過して分岐線側のヘッダー管13の側方に接続するように構成されている。これにより、空気配管12aと分岐線側のヘッダー管13の内部の中空領域とが連通し、空気源装置11からの圧縮空気がこのヘッダー管13に供給される。一方、空気配管12bは、一対の路面板(103、103)の両方の下方を通過して基準線側のヘッダー管13の側方に接続するように構成されている。これにより、空気配管12bと基準線側のヘッダー管13の内部の中空領域とが連通し、空気源装置11からの圧縮空気がこのヘッダー管13に供給される。
【0043】
また、ヘッダー管13には、その長手方向に沿ってその上面側において複数のノズルユニット14が直列に配置されている。ヘッダー管13の上面には各ノズルユニット14への連通孔(図示せず)が形成され、ヘッダー管13内の中空領域が各ノズルユニット14に連通している。これにより、ヘッダー管13と各ノズルユニット14とが接続されている。
【0044】
(ノズルユニットの構成)
図1、図2、図4乃至図8に示すノズルユニット14は、空気源装置11から供給された圧縮空気を基本レール104とトングレール105との間及びその近傍の領域に噴射するノズル機構として設けられている。ノズルユニット14としては、分岐線側に配置されて分岐線側のヘッダー管13に対して取り付けられた分岐線側ノズルユニット14aと、基準線側に配置されて基準線側のヘッダー管13に対して取り付けられた基準線側ノズルユニット14bとが設けられている。そして、分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bは、いずれも複数設けられ、各ヘッダー管13に対してその上面側においてその長手方向に沿って直列に配設されている。また、分岐線側ノズルユニット14aは、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板15と床板15との間にそれぞれ配置されている。同様に、基準線側ノズルユニット14bも、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板15と床板15との間にそれぞれ配置されている。
【0045】
図11は、分岐線側ノズルユニット14aの平面図(図11(b))と、その側面図(図11(a))とを示したものである。また、図12は、図11のF線矢視方向から見たノズルユニット14aを示す図である。図4乃至図12に示すように、各ノズルユニット14は、複数のノズル23が設けられたプレート状の部材として形成されている。尚、基準線側ノズルユニット14bについては、分岐線側ノズルユニット14aに対してノズル23の配置が対称な状態で同様に構成される。そこで、以下、分岐線側ノズルユニット14aについて説明し、基準線側ノズルユニット14bについての説明を省略する。
【0046】
図4乃至図6、図11、図12に示すように、各分岐線側ノズルユニット14aには、複数のノズル23と、連通路24と、段部25と、スロープ部26とが設けられている。段部25は、各分岐線側ノズルユニット14aの上面側において2つ設けられており、ヘッダー管13の長手方向に対して斜めの方向に互いに平行に延びる段状の部分として形成されている。
【0047】
各ノズル23は、それぞれ貫通孔として形成されており、各段部25において複数並んで設けられている。そして、各ノズル23は、段部25において、基本レール104側に向かって且つ斜め上方に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、図6においては、分岐線側ノズルユニット14aにおけるノズル23から噴射される圧縮空気の経路のうちノズル23の開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、図8においては、基準線側ノズルユニット14bにおけるノズル23から噴射される圧縮空気の経路のうちノズル23の開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路24は、各段部25における複数のノズル23に連通するとともにヘッダー管13の中空領域に連通する空間として形成されている。
【0048】
スロープ部26は、各分岐線側ノズルユニット14aの上面側において2つ設けられており、各段部25の下縁部分から斜め上方に向かって緩やかに傾いた傾斜面として形成されている。尚、分岐線側ノズルユニット14aの上面の上下方向における高さ位置は、トングレール105との干渉を防止するため、上床板21の上面よりも低く位置するように設定されている。一方、上記のように、各ノズル23から噴射された圧縮空気は、このスロープ部26に沿ってより確実に斜め上方に向かって噴射されることになる。このため、上床板21の上面よりも高さが低い位置にノズル23が配置されていても、ノズル23から噴射する圧縮空気によって上床板21の上方に向かって異物を除去でき、上床板21の下方に異物が引っ掛かってしまうことを抑制することができる。
【0049】
尚、図5では、基本レール104に当接した状態のトングレール105を実線で図示しており、基本レール104から離間した状態のトングレール105を二点鎖線で図示している。この図5及び図4によく示すように、分岐線側ノズルユニット14aの幅方向(ヘッダー管13の長手方向と垂直な方向)の寸法は、トングレール105の幅方向(長手方向に垂直で水平な方向)の寸法よりも大きく設定されている。そして、分岐線側ノズルユニット14aの幅方向の寸法は、トングレール105が基本レール104に当接した状態でそのトングレール105と一対の路面板103のうちの一方(トングレール105に対して基本レール104と反対側に配置された方の路面板103)との間で圧縮空気を噴射可能に設定されている。
【0050】
コントローラ16は、分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bにおけるノズル23から圧縮空気を噴射する噴射タイミングを制御する制御機器として設けられている。このコントローラ16は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ、インターフェース回路等を備えて構成されている。また、コントローラ16は、転轍機の作動を制御する上位の制御装置に対して通信可能に接続されるとともに、空気源装置11に対して各電磁切換弁(20a、20b)の切換信号を送信可能に接続されている。そして、コントローラ16は、電磁切換弁20aの作動を制御することで分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から噴射される圧縮空気の噴射タイミングを制御し、電磁切換弁20bの作動を制御することで基準線側ノズルユニット14bのノズル23から噴射される圧縮空気の噴射タイミングを制御するように構成されている。
【0051】
上位の制御装置から送信された転轍機の動作信号(ポイントの切り換え信号)に基づいて電磁切換弁(20a、20b)の作動を制御する場合、コントローラ16は、車両が走行する軌道である車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられるときは分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bの両方から圧縮空気を噴射させる。一方、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合は、コントローラ16は、分岐線側ノズルユニット14aのみから圧縮空気を噴射させる。これにより、圧縮空気の使用量を最小限に抑えることができるが、その必要が無い場合は、分岐線側ノズルユニット14a及び基準線側ノズルユニット14bの両方から圧縮空気を噴射させてもよい。
【0052】
図13は、図4におけるG線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。尚、図13(a)はトングレール105が基本レール104に当接した状態を示す断面図であり、図13(b)はトングレール105が基本レール104から離間した状態を示す断面図である。
【0053】
車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合、即ち、トングレール105が基本レール104から離間する場合、コントローラ16は、電磁切換弁20aを連通位置に切り換え、図13(a)に示すように、分岐線側ノズルユニット14aにおけるノズル23から圧縮空気を噴射させる。即ち、コントローラ16は、分岐線側において基本レール104に当接した状態のトングレール105が基本レール104から離間する前に分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から圧縮空気を噴射させるように噴射タイミングを制御する。これにより、トングレール105が一対の路面板103のうちの一方に接近する直前のタイミングで、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間における異物が除去されることになる。そして、上記と同時タイミングで、コントローラ16は、電磁切換弁20bも連通位置に切り換え、図8に示すように、基準線側ノズルユニット14bにおけるノズル23から圧縮空気を噴射させる。即ち、コントローラ16は、基準線側において基本レール104から離間した状態のトングレール105が基本レール104に当接する前に基準線側ノズルユニット14bのノズル23から圧縮空気を噴射させるように噴射タイミングを制御する。これにより、トングレール105が基本レール104に当接する直前のタイミングで、トングレール105と基本レール104との間における異物が除去されることになる。
【0054】
車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられる場合、即ち、トングレール105が基本レール104に当接する場合、コントローラ16は、電磁切換弁20aを連通位置に切り換え、図13(b)に示すように、分岐線側ノズルユニット14aにおけるノズル23から圧縮空気を噴射させる。即ち、コントローラ16は、分岐線側において基本レール104から離間した状態のトングレール105が基本レール104に当接する前に分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から圧縮空気を噴射させるように噴射タイミングを制御する。これにより、トングレール105が基本レール104に当接する直前のタイミングで、トングレール105と基本レール104との間における異物が除去されることになる。尚、このタイミングでは、電磁切換弁20bは遮断位置のままで切り換えられず、基準線側ノズルユニット14bからの圧縮空気の噴射は行われない。
【0055】
(異物除去装置の作動)
次に、異物除去装置1の作動について説明する。上述した異物除去装置1は、コントローラ16が電磁切換弁(20a、20b)の切り換え指令を発することで作動し、これにより、異物除去動作が行われることになる。そして、コントローラ16は、例えば、異物の落下検知センサ(図示せず)や降雪センサ(図示せず)等の各種センサでの検知結果、或いは上位の制御装置から送信されたポイントの切り換え信号等の各種機器の動作指令信号などに基づいて、電磁切換弁(20a、20b)の切り換え指令を発する。
【0056】
車両運行中の時間帯等の異物除去動作が必要となる可能性のある時間帯においては、図3に示す空気源装置11において、コンプレッサ18から供給される圧縮空気は、空気タンク19に貯留されている。そして、上記のように、コントローラ16からの指令に基づいて各電磁切換弁(20a、20b)が図3に示す遮断位置から連通位置に切り換えられることで、空気タンク19に貯留された圧縮空気が、各電磁切換弁(20a、20b)を介して各空気配管12へと流動することになる。
【0057】
空気配管12へと流動した圧縮空気は、ヘッダー管13の内部の中空領域へとさらに流動する(図9及び図10参照)。そして、この圧縮空気は、ヘッダー管13からノズルユニット14の連通路24へと流動し、さらにノズル23から斜め上方に向かって噴射されることになる(図6及び図8参照)。このとき、各ノズルユニット14においては、複数のノズル23から側方にも広がって圧縮空気が噴射される。これによって、軌道分岐部100における基本レール104とトングレール105との間に落下した異物が、ノズル23から噴射される圧縮空気によって吹き飛ばされて除去されることになる。
【0058】
尚、軌道分岐部100においては、上位の制御装置からのポイント切り換え信号に基づくポイント切り換え動作が行われる際には、ポイント切り換え動作が所定の時間内に完了しない場合には、上位の制御装置において、ポイント切り換え動作に失敗したと判断される。そして、上位の制御装置からの指令に基づいて転轍機が作動し、トングレール105を元の位置に復帰させる動作が行われ、再度のポイント切り換え動作(リトライ動作)が行われる。この場合、コントローラ16においては、リトライ動作が行われるタイミングに応じて、圧縮空気が噴射されることになる。
【0059】
図14及び図15は、上記のリトライ動作が行われるタイミングに応じて圧縮空気が噴射される際の異物除去装置1における圧縮空気の噴射タイミングを説明するフローチャートである。車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合、コントローラ16の指令に基づいて、図14のフローチャートに沿って分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングが制御され、図15のフローチャートに沿って基準線側ノズルユニット14bの噴射タイミングが制御される。一方、車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられる場合、コントローラ16からの指令に基づいて、図15のフローチャートに沿って分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングのみが制御される。
【0060】
まず、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングについて図14に基づいて説明する。コントローラ16では、ポイント切り換え動作が行われていない状態においては、転轍機を作動させるモータのドライブ装置に対してポイント切り換え信号が上位の制御装置から送信されているか否かが監視されている(ステップS101)。そして、上位の制御装置からポイント切り換え信号が送信されると、そのポイント切り換え信号がコントローラ16においても受信される。コントローラ16においてポイント切り換え信号が受信されると(S101、Yes)、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20aが連通位置に切り換えられ、各分岐線側ノズルユニット14aのノズル23から圧縮空気が噴射されることになる(ステップS102)。
【0061】
尚、コントローラ16にはタイマーが備えられており、ステップS102においては、このタイマーによって、分岐線側ノズルユニット14aにおける圧縮空気の噴射時間が計測される。そして、図14のフローチャートでは図示を省略するが、上記タイマーでの計測時間が所定の時間を経過すると、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20aが遮断位置に切り換えられ、各分岐線側ノズルユニット14aのノズル23からの圧縮空気の噴射が停止される。
【0062】
ステップS102が行われると、コントローラ16では、圧縮空気の噴射停止からの時間がタイマーにて計測され、噴射停止から所定の時間が経過した際に、ポイント切り換え動作が完了したかどうかについての信号(ポイント切り換え完了信号)が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。即ち、コントローラ16では、分岐線側において、トングレール105の基本レール104からの離間動作が完了したかどうかが判断される(ステップS103)。ポイント切り換え動作が完了し、トングレール105が基本レール104から離間したと判断されると(S103、Yes)、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における分岐線側ノズルユニット14aからの圧縮空気の噴射動作の制御が終了することになる。尚、ポイント切り換え動作の完了は、リミットスイッチ等によって検知され、その検知結果が上位の制御装置での処理を経てポイント切り換え完了信号としてコントローラ16に送信されることになる。
【0063】
一方、ポイント切り換え動作が完了しない場合、軌道分岐部100においては、上位の制御装置からの指令に基づいて、前述のリトライ動作が行われることになる。この場合、コントローラ16では、ポイント切り換え信号が受信されないため、トングレール105が基本レール104から離間したことが検知されないことになる(S103、No)。このときは、コントローラ16では、上位の制御装置の制御に基づいて分岐線側のトングレール105が基本レール104に当接した位置まで復帰する動作が完了したどうかが判断される(ステップS104)。即ち、コントローラ16では、トングレール105の上記復帰動作が完了したかどうかについての信号が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。尚、トングレール105の復帰動作の完了は、リミットスイッチ等によって検知され、その検知結果が上位の制御装置での処理を経てコントローラ16に送信されることになる。
【0064】
上記の処理(ステップS104)は、トングレール105の復帰動作が完了したと判断するまで繰り返される(S104、No)。そして、トングレール105の復帰動作が完了したと判断されると(S104、Yes)、リトライ動作が開始される状態であることが判断されたことになり、ステップS102以降の処理が繰り返される。これにより、リトライ動作の直前のタイミングにおいて、分岐線側ノズルユニット14aのノズル23からの圧縮空気の噴射動作が行われることになる。
【0065】
尚、リトライ動作が所定の回数行われても、ポイント切り換え動作が成功しなかった場合は、上位の制御装置において、警報を作動させて係員に報知するための処理が行われる。そして、係員によって手動操作によるポイント切り換えが行われることになる。この場合、ポイント切り換えに失敗したかどうかについての信号が、上位の制御装置からコントローラ16に送信される。そして、コントローラ16では、電磁切換弁20aを遮断位置に保持した状態で、図14に示す処理を中断して強制的に終了することになる。
【0066】
次に、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における基準線側ノズルユニット14bの噴射タイミングについて図15に基づいて説明する。コントローラ16では、図14に示す処理の場合と同様に、ポイント切り換え動作が行われていない状態においては、ポイント切り換え信号が上位の制御装置から送信されているか否かが監視されている(ステップS201)。そして、コントローラ16においてポイント切り換え信号が受信されると(S201、Yes)、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20bが連通位置に切り換えられ、各基準線側ノズルユニット14bのノズル23から圧縮空気が噴射されることになる(ステップS202)。
【0067】
ステップS202においては、コントローラ16に備えられたタイマーによって、基準線側ノズルユニット14bにおける圧縮空気の噴射時間が計測される。そして、図15のフローチャートでは図示を省略するが、上記タイマーでの計測時間が所定の時間が経過すると、コントローラ16からの指令に基づいて電磁切換弁20bが遮断位置に切り換えられ、各基準線側ノズルユニット14bのノズル23からの圧縮空気の噴射が停止される。
【0068】
ステップS202が行われると、コントローラ16では、圧縮空気の噴射停止からの時間がタイマーにて計測され、噴射停止から所定の時間が経過した際に、ポイント切り換え動作が完了したかどうかについての信号(ポイント切り換え完了信号)が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。即ち、コントローラ16では、基準線側において、トングレール105が基本レール104に当接する動作が完了したかどうかが判断される(ステップS203)。ポイント切り換え動作が完了し、トングレール105が基本レール104に当接したと判断されると(S203、Yes)、車両走行軌道が基準線側から分岐線側に切り換えられる場合における基準線側ノズルユニット14bからの圧縮空気の噴射動作の制御が終了することになる。
【0069】
一方、ポイント切り換え動作が完了しない場合、軌道分岐部100においては、上位の制御装置からの指令に基づいて、前述のリトライ動作が行われることになる。この場合、コントローラ16では、ポイント切り換え信号が受信されないため、トングレール105が基本レール104に当接したことが検知されないことになる(S203、No)。このときは、コントローラ16では、上位の制御装置の制御に基づいて基準線側のトングレール105が基本レール104から離間した位置まで復帰する動作が完了したどうかが判断される(ステップS204)。即ち、コントローラ16では、トングレール105の上記復帰動作が完了したかどうかについての信号が、上位の制御装置から送信されているか否かが検知される。
【0070】
上記の処理(ステップS204)は、トングレール105の復帰動作が完了したと判断するまで繰り返される(S204、No)。そして、トングレール105の復帰動作が完了したと判断されると(S204、Yes)、リトライ動作が開始される状態であることが判断されたことになり、ステップS202以降の処理が繰り返される。これにより、リトライ動作の直前のタイミングにおいて、基準線側ノズルユニット14bのノズル23からの圧縮空気の噴射動作が行われることになる。
【0071】
尚、リトライ動作が所定の回数行われても、ポイント切り換え動作が成功しなかった場合については、前述した図14の処理の終了処理の場合と同様に、コントローラ16では、電磁切換弁20bを遮断位置に保持した状態で、図15に示す処理を中断して強制的に終了させることになる。
【0072】
車両走行軌道が分岐線側から基準線側に切り換えられる場合については、前述のように、電磁切換弁20bは遮断位置のままで切り換えられず、基準線側ノズルユニット14bからの圧縮空気の噴射は行われない。そして、コントローラ16による分岐線側ノズルユニット14aにおける噴射タイミングの制御のみが図15に示す処理と同様に行われることになる。尚、この場合のコントローラ16による分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングの制御についての説明は、図15に基づく前述の説明と同様であるため、省略する。
【0073】
(異物除去装置の効果)
以上説明した異物除去装置1によると、ガード102と路面板103とが設置されたスラブ軌道110の軌道分岐部100において、基本レール104に対するトングレール105側に基本レール104に沿って延びる第1の溝111が設けられる。そして、この第1の溝111に、ノズルユニット14に接続するヘッダー管13が設置される。このため、ノズルユニット14やヘッダー管13を取り付けるための加工がレール(104、105)に施されることが無く、施工作業時や保守作業時に要する手間が従来の異物除去装置の場合に比して削減されることになる。また、トングレール105の下方とヘッダー管13の上方との間には床板15が配置され、この床板15に対してヘッダー管13が固定される。このため、床板15をスラブ軌道110に固定することで、あわせてヘッダー管13もスラブ軌道110に設置することができ、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。また、第1の溝111内にヘッダー管13が設置されるため、ヘッダー管13の断面積を十分に大きく確保しつつ、スラブ軌道110に設ける第1の溝111の大きさを小さく設定しても、各ノズル23から噴射される圧縮空気の量を必要量確保するために十分な大きさの断面寸法のヘッダー管13を容易に設置することができる。これにより、ヘッダー管13に圧縮空気の供給孔を多く設ける必要がなく、このような多くの供給孔に圧縮空気を供給する配管を設置するためにガイド101の側面に孔を加工することがそもそも必要無いことになる。このため、施工作業時や保守作業時に要する手間を従来の異物除去装置の場合に比して大幅に削減することができる。そして、ガイド101の側面に孔を加工して配管を設置する必要がないため、一対のガード(102、102)間に配管が配置されず、車両の脱線時に一対のガード(102、102)間を車輪が走行した際に、圧縮空気を供給する配管である空気配管12が車輪によって切断されて破損してしまうことも防止できる。
【0074】
従って、本実施形態によると、スラブ軌道110において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガード102と路面板103とが設けられた軌道分岐部100において、圧縮空気を供給する空気配管12が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置1を提供することができる。
【0075】
また、異物除去装置1によると、空気源装置11が分岐線側の外側に配置され、基準線側及び分岐線側のヘッダー管13に対して圧縮空気を供給する空気配管12が、路面板103の下方を通過するようスラブ軌道110に設けられた第2の溝112に配置される。このため、ヘッダー管13に圧縮空気を供給する空気配管12が一対のガード(102、102)の下方を通過するように配置されることもなく、車両の脱線時に一対のガード(102、102)間を車輪が走行した際に、圧縮空気の供給配管である空気配管12が車輪によって切断されて破損してしまうことを確実に防止できる。また、異物除去装置1では、スラブ軌道に設けられた第2の溝112に空気配管12が配置されるため、空気配管12を設置するための加工がレール(104、105)やガイド101に施されることが無く、施工作業や保守作業を更に容易に行うことができる。
【0076】
また、異物除去装置1によると、分岐線側において、複数のノズルユニット14aが、トングレール105を挟む両側に配置された基本レール104と一対の路面板103のうちの一方との間における床板15間にそれぞれ配置される。このため、基本レール104と路面板103のうちの一方との間の領域において、レール(104、105)の長手方向に沿って分散して配置されたノズルユニット14aから噴射される圧縮空気によって、異物が効率よく除去されることになる。そして、本実施形態によると、ノズルユニット14aの幅方向の寸法が十分に大きく形成されるため、トングレール105が基本レール104に当接した状態において、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。更に、ノズルユニット14aの幅方向の寸法がトングレール105の幅方向の寸法よりも大きく設定されているため、トングレール105が基本レール104から離間した状態においても、基本レール104とトングレール105との間の領域で圧縮空気を噴射して異物を除去することができる。
【0077】
また、異物除去装置1によると、コントローラ16により、トングレール105が基本レール104から離間する前のタイミングにおいて圧縮空気が噴射されるように、分岐線側ノズルユニット14aの噴射タイミングが制御される。このため、トングレール105が基本レール104から離間して一対の路面板103のうちの一方に接近する動作を行う前のタイミングで、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間の領域の異物を効率よく除去することができる。
【0078】
[第2実施形態]
(異物除去装置の全体構成)
次に本発明の第2実施形態に係る軌道分岐部の異物除去装置2(以下、単に「異物除去装置2」という)について説明する。異物除去装置2は、図1に示すスラブ軌道110の軌道分岐部100と同様に構成される軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レール104とトングレール105との間に落下した雪などの異物を除去するために設置される。尚、異物除去装置2は、第1実施形態の異物除去装置1と同様に、空気源装置11、空気配管12、ヘッダー管13、床板30、ノズルユニット31、コントローラ16、等を備えて構成されている。但し、異物除去装置2は、第1実施形態の異物除去装置1とは床板30及びノズルユニット31の構成において異なっている。尚、以下の異物除去装置2の説明においては、第1実施形態と異なる床板30及びノズルユニット31の構成について説明し、第1実施形態と同様に構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は同一の符号を用いて表記することで、説明を省略する。また、異物除去装置2における圧縮空気の噴射タイミングは、第1実施形態の異物除去装置1における圧縮空気の噴射タイミングと同様に制御されるため、異物除去装置2の作動の説明も省略する。
【0079】
(床板の構成)
図16は、軌道分岐部100に設けられた異物除去装置2における一部を拡大して示す図であって、分岐線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図17は、図16のH−H線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図18は、図17のI線矢視方向から見た図であって、スラブ軌道110の図示を省略して示す図である。また、図19は、軌道分岐部100に設けられた異物除去装置2について切欠き状態で示す斜視図であって、一部切欠き断面で示す図である。図20は、軌道分岐部100に設けられた異物除去装置2における一部を拡大して示す図であって、基準線側におけるトングレール105の端部の近傍を拡大して示す図である。図21は、図20のJ−J線矢視位置から見た断面図であって、スラブ軌道110を切欠き断面で示す図である。図16乃至図21に示す床板30は、第1実施形態の床板15と同様に、基準線側および分岐線側のそれぞれにおいて、トングレール105の長手方向に沿って並んで複数配置されている。そして、隣り合って配置される床板30同士が互いに平行に配置されており、各床板30は、トングレール105の下方であってヘッダー管13の上方に配置されている。
【0080】
また、図16乃至図21に示すように、各床板30は、上床板32と下床板33とが重ねられた2枚重ね構造として構成されている。上床板32及び下床板33ともに、平板状に形成されており、下床板33の上方にこの下床板33よりも水平方向に広がる面積が小さい上床板32が配置されている。また、上床板32及び下床板33は、例えば、鋼材料で形成されている。そして、上床板32上にはトングレール105が摺動自在に配置され、下床板33上には基本レール104が固定されている。
【0081】
尚、第1実施形態とは異なり、上床板32は下床板33よりも厚みが厚く形成されている。これにより、上床板32の上面の上下方向における高さ位置が、第1実施形態の場合よりも高く設定され、トングレール105の上下方向の高さ寸法が第1実施形態の場合よりも低く設定されている。また、上床板32における基本レール104の側方に対向する端部は、基本レール104における底部分よりも上方の側面に向かって近接する位置まで延びるように形成されている。
【0082】
また、上床板32は、下床板33に対して、ボルト等を用いて固定され、取り外し自在に構成されている。これにより、トングレール105との摺接によって上床板32が磨耗した際に、下床板33は交換せずに、上床板32のみを交換でき、保守作業を容易に行うことができる。また、下床板33には、ヘッダー管13が溶接等によって固定されている。これにより、下床板33をスラブ軌道110に設置して固定することで、あわせて同時にヘッダー管13もスラブ軌道110に設置することができるように構成されている。
【0083】
(ノズルユニットの構成)
図16乃至図21に示すノズルユニット31は、空気源装置11から供給された圧縮空気を基本レール104とトングレール105との間及びその近傍の領域に噴射するノズル機構として設けられている。ノズルユニット31としては、分岐線側に配置されて分岐線側のヘッダー管13に対して取り付けられた分岐線側ノズルユニット31aと、基準線側に配置されて基準線側のヘッダー管13に対して取り付けられた基準線側ノズルユニット31bとが設けられている。そして、分岐線側ノズルユニット31a及び基準線側ノズルユニット31bは、いずれも複数設けられ、各ヘッダー管13に対してその上面側においてその長手方向に沿って直列に配設されている。また、分岐線側ノズルユニット31aは、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板30と床板30との間にそれぞれ配置されている。同様に、基準線側ノズルユニット31bも、トングレール105の長手方向に沿って並んで配置された床板30と床板30との間にそれぞれ配置されている。
【0084】
図22は、分岐線側ノズルユニット31aの平面図(図22(b))と、その側面図(図22(a))とを示したものである。また、図23は、図22のK線矢視方向から見たノズルユニット31aを示す図である。図16乃至図18、図22、図23に示すように、各分岐線側ノズルユニット31aは、基台部34、第1連通部35、複数の第1ノズル部36、第2ノズル部37、等を備えて構成されている。
【0085】
基台部34は、直方体のブロック状の部材として設けられ、分岐線側に配置されたヘッダー管13の上面に対してその長手方向に沿って配置された状態で固定されている。そして、基台部34には、上下方向に貫通する連通孔34aが複数(例えば、3つ)形成されている。
【0086】
第1連通部35は、扁平に形成されるとともに湾曲した筒状体として設けられている。そして、第1連通部35は、一方の端部側において基台部34の上面に固定され、床板30における上床板32と並んで延びるように設けられる。また、第1連通部35は、その内部における扁平で湾曲した空間として区画された中空領域が、基台部34に固定された端部側において、複数の連通孔34aを介してヘッダー管13の内部と連通している。尚、前述したように、床板30の上床板32は、基本レール104の側面に向かって延びるように形成されている。このため、この上床板32によって、トングレール105の下方に第1連通部35が配置される隙間が形成されることになる。
【0087】
第1ノズル部36は、複数(例えば、2つ)設けられており、厚みの薄いブロック状に形成されている。この第1ノズル部36は、第1連通部35における基台部34に固定された部分の上面に対して、分岐線側のヘッダー管13の長手方向に沿って並んで取り付けられている。そして、第1ノズル部36は、分岐線側のヘッダー管13の上面側において、このヘッダー管13に対して、基台部34の連通孔34a及び第1連通部35の中空領域を介して連通するように取り付けられている。
【0088】
また、第1ノズル部36には、複数(例えば、3つ)のノズル36aと、連通路36bとが設けられている。複数のノズル36aは、それぞれ貫通孔として形成されており、第1ノズル部36の幅方向(ヘッダー管13の長手方向と垂直で水平な方向)に並んで設けられている。そして、各ノズル36aは、基本レール104及びトングレール105の長手方向に沿って且つ斜め上方に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。また、並んで設けられる複数のノズル36aのうち中央に設けられたノズル36aは、基本レール104の側面と略平行な面(仮想の面)に沿って斜め上方に圧縮空気を噴射するように開口形成されている。一方、上記の中央に設けられたノズル36aの両側に配置されたノズル36aは、中央のノズル36aの噴射方向に対して側方に向かって斜めに広がって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。これにより、圧縮空気の噴射範囲が拡大されるように構成されている。尚、図16及び図18においては、第1ノズル部36におけるノズル36aから噴射される圧縮空気の経路のうちノズル36aの開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路36bは、複数のノズル36aに連通するとともに第1連通部35の中空領域に連通する空間として形成されている。
【0089】
第2ノズル部37は、ノズル管38と、複数のノズルブロック39とを備えて構成されている。ノズル管38は、薄型の直方体状に形成された中空の角パイプ状の部材として設けられ、両端部がいずれも閉じられた状態に形成されている。そして、ノズル管38は、基本レール104の長手方向に沿ってその基本レール104の側面に当接して配置されている。また、ノズル管38は、一方の端部側が基台部34に固定された第1連通部35の他方の端部側に対して固定され、その内部の中空領域が第1連通部35の中空領域と連通するように構成されている。
【0090】
ノズルブロック39は、各第2ノズル部37において、複数(例えば、4つ)設けられており、厚みの薄いブロック体として形成されている。各ノズルブロック39は、ノズル管38に対して、基本レール104に当接する側面とは反対側の側面(トングレール105に対向する側面)において取り付けられ、ノズル管38の内部の中空領域と連通するように取り付けられている。また、複数のノズルブロック39は、ノズル管38の長手方向に沿って(即ち、基本レール104の長手方向に沿って)並んで取り付けられており、上下方向の取り付け高さ位置が高い位置と低い位置とで順番に異なるように取り付けられている。
【0091】
各ノズルブロック39には、複数(例えば、2つ)のノズル39aと、連通路39bとが設けられている。複数のノズル39aは、それぞれ貫通孔として形成されており、上下方向に並んで設けられている。そして、各ノズル39aは、基本レール104の長手方向に対してトングレール105側に斜め前方に向かってある程度の広がりを持って圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、複数のノズル39aのうち上下方向の取り付け高さ位置が低い位置に設定されているノズル39aは、例えば、水平方向に対して7度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成するようにし、複数のノズル39aのうち上下方向の取り付け高さ位置が高い位置に設定されているノズル39aは、例えば、水平方向に対して5度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されるようにしても構わない。尚、図16及び図18においては、ノズルブロック39におけるノズル39aから噴射される圧縮空気の経路のうちノズル39aの開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路39bは、複数のノズル39aに連通するとともにノズル管38の中空領域に連通する空間として形成されている。上記のように、第2ノズル部37は、第1連通部35を介して分岐線側のヘッダー管13に連通するとともに基本レール104の側面に配置されるノズル部として設けられている。
【0092】
図24は、基準線側ノズルユニット31bの側面図を基準線側のヘッダー管13の断面図とともに示したものである。図19乃至図21、図24に示すように、各基準線側ノズルユニット31bは、基台部40、第2連通部41、第3ノズル部42、等を備えて構成されている。
【0093】
基台部40は、直方体のブロック状の部材として設けられ、基準線側に配置されたヘッダー管13の上面に対してその長手方向に沿って配置された状態で固定されている。そして、基台部40には、上下方向に貫通する連通孔40aが複数(例えば、3つ)形成されている。
【0094】
第2連通部41は、扁平に形成されるとともに湾曲した筒状体として設けられている。そして、第2連通部41は、一方の端部側において基台部40の上面に固定され、床板30における上床板32と並んで延びるように設けられる。また、第2連通部41は、その内部における扁平で湾曲した空間として区画された中空領域が、基台部40に固定された端部側において、複数の連通孔40aを介してヘッダー管13の内部と連通している。尚、前述したように、床板30の上床板32は、基本レール104の側面に向かって延びるように形成されている。このため、この上床板32によって、トングレール105の下方に第2連通部41が配置される隙間が形成されることになる。
【0095】
第3ノズル部42は、ノズル管43と、複数のノズルブロック44とを備えて構成されている。ノズル管43は、薄型の直方体状に形成された中空の角パイプ状の部材として設けられ、両端部がいずれも閉じられた状態に形成されている。そして、ノズル管43は、基本レール104の長手方向に沿ってその基本レール104の側面に当接して配置されている。また、ノズル管43は、一方の端部側が基台部40に固定された第2連通部41の他方の端部側に対して固定され、その内部の中空領域が第2連通部41の中空領域と連通するように構成されている。
【0096】
ノズルブロック44は、各第3ノズル部42において、複数(例えば、4つ)設けられており、厚みの薄いブロック体として形成されている。各ノズルブロック44は、ノズル管43に対して、基本レール104に当接する側面とは反対側の側面(トングレール105に対向する側面)において取り付けられ、ノズル管43の内部の中空領域と連通するように取り付けられている。また、複数のノズルブロック44は、ノズル管43の長手方向に沿って(即ち、基本レール104の長手方向に沿って)並んで取り付けられており、上下方向の取り付け高さ位置が高い位置と低い位置とで順番に異なるように取り付けられている。
【0097】
各ノズルブロック44には、複数(例えば、2つ)のノズル44aと、連通路44bとが設けられている。複数のノズル44aは、それぞれ貫通孔として形成されており、上下方向に並んで設けられている。そして、各ノズル44aは、基本レール104の長手方向に対してトングレール105側に斜めに前方に向かってある程度の広がりを持って圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、複数のノズル44aのうち上下方向の取り付け高さ位置が低い位置に設定されているノズル44aは、例えば、水平方向に対して7度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。一方、複数のノズル44aのうち上下方向の取り付け高さ位置が高い位置に設定されているノズル44aは、例えば、水平方向に対して5度(°)側方(トングレール105側)に向かって圧縮空気を噴射するように開口形成されている。尚、図20においては、ノズルブロック44におけるノズル44aから噴射される圧縮空気の経路のうちノズル44aの開口方向に沿った経路を二点鎖線で図示している。また、連通路44bは、複数のノズル44aに連通するとともにノズル管43の中空領域に連通する空間として形成されている。上記のように、第3ノズル部42は、第2連通部41を介して基準線側のヘッダー管13に連通するとともに基本レール104の側面に配置されるノズル部として設けられている。
【0098】
(異物除去装置の効果)
以上説明した異物除去装置2によると、第1実施形態の異物除去装置1と同様の効果を奏することができる。即ち、この第2実施形態によると、スラブ軌道110において地震による脱線に対応するためにレールに沿ってコンクリート製のガード102と路面板103とが設けられた軌道分岐部100において、圧縮空気を供給する空気配管12が脱線した車輪の走行によって破損してしまうことを防止できるとともに、施工作業や保守作業を容易に行うことができる、軌道分岐部の異物除去装置2を提供することができる。
【0099】
また、異物除去装置2によると、分岐線側のヘッダー管13の上面側に配置された第1ノズル部36によって、トングレール105と一対の路面板103のうちの一方との間の領域における異物を除去するための圧縮空気を噴射することができる。そして、基本レール104の側面に配置された第2ノズル部37によって、基本レール104とトングレール105との間の領域における異物を除去するための基本レール104に沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第2ノズル部37が分岐線側の基本レール104の長手方向に沿って複数配置されるため、この基本レール104に沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、分岐線側において、基本レール104の側面に向かって延長するように床板30の上床板32を形成することで、第2ノズル部37へ圧縮空気を供給するために上床板32と並んで設けられる第1連通部35を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【0100】
また、異物除去装置2によると、基準線側の基本レール104の側面に配置された第3ノズル部42によって、基本レール104とトングレール105との間の領域における異物を除去するための基本レール104に沿った圧縮空気の流れを容易に形成することができる。そして、第3ノズル部42が基準線側の基本レール104の長手方向に沿って複数配置されるため、この基本レール104に沿った圧縮空気の連続流を容易に形成でき、異物除去性能を更に向上させることができる。また、基準線側において、基本レール104の側面に向かって延長するように床板30の上床板32を形成することで、第3ノズル部42へ圧縮空気を供給するために上床板32と並んで設けられる第2連通部41を配置するための隙間を容易に確保することができる。
【0101】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例を実施することができる。
【0102】
(1)上述の実施形態では、空気源装置とヘッダー管と接続して圧縮空気を供給する空気配管が、各ヘッダー管に対して3本に分岐して接続する場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、各ヘッダー管に対して、分岐せずに接続する空気配管が1本のみ接続するものであってもよい。また、各ヘッダー管に対して、3本以外の本数で分岐して接続する空気配管が設けられるものであってもよい。
【0103】
(2)ノズルユニットの形状や、ノズルユニットにおけるノズルの数や配置については、上述の実施形態において例示したものに限らず、種々変更して実施してもよい。また、ヘッダー管とノズルユニットとの接続形態についても、種々変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、コンクリートで構成されるスラブ軌道における軌道分岐部に設けられ、圧縮空気を噴射することで基本レールとトングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 軌道分岐部の異物除去装置
11 空気源装置
13 ヘッダー管
14、14a、14b ノズルユニット
15、21、22 床板
23 ノズル
100 軌道分岐部
102 ガード
103 路面板
104 基本レール
105 トングレール
110 スラブ軌道
111 第1の溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートで構成されるスラブ軌道において、基本レールと当該基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで前記基本レールと前記トングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置であって、
圧縮空気を噴射するノズルを有するノズルユニットと、
前記ノズルユニットに接続するヘッダー管と、
前記ヘッダー管を介して前記ノズルユニットに圧縮空気を供給する空気源装置と、
前記トングレールの下方であって前記ヘッダー管の上方に配置されて、前記トングレールの長手方向に沿って複数配置される床板と、
を備え、
前記軌道分岐部には、前記基本レールが真っ直ぐに延びる基準線側における当該基本レールの外側に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が内側を走行する一対のガードと、前記基本レールが湾曲するように延びる分岐線側における当該基本レール及び前記トングレールを挟む両側の位置に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が一方の上面を走行する一対の路面板と、が設けられ、
前記ヘッダー管及び前記ノズルユニットは、前記基準線側及び前記分岐線側の両方に配置され、
前記ヘッダー管は、前記基本レールに対して前記トングレール側に配置されるとともに、当該基本レールに沿って延びるように前記スラブ軌道に形成された第1の溝に沿って設置され、前記床板に対して固定されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記空気源装置は、
前記軌道分岐部に対して前記分岐線側における外側に配置され、
前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管とに対して、前記路面板の下方を通過して延びるように前記スラブ軌道に形成された第2の溝に沿って配置された空気配管を介して、圧縮空気を供給することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、複数設けられるとともにそれぞれ複数の前記ノズルを有し、前記トングレールの長手方向に沿って並んで配置された前記床板と前記床板との間にそれぞれ配置され、
前記分岐線側ノズルユニットの幅方向の寸法は、前記トングレールの幅方向の寸法よりも大きく設定されるとともに、前記トングレールが前記基本レールに当接した状態で当該トングレールと前記一対の路面板のうちの一方との間で前記ノズルから圧縮空気を噴射可能に設定されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記ノズルから圧縮空気を噴射する噴射タイミングを制御するコントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記分岐線側において前記基本レールに当接した状態の前記トングレールが当該基本レールから離間する前に前記分岐線側ノズルユニットにおける前記ノズルから圧縮空気を噴射させるように前記噴射タイミングを制御することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管の上面側において当該ヘッダー管に連通するように取り付けられる第1ノズル部と、前記床板と並んで延びるように設けられた第1連通部を介して前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第2ノズル部と、を有し、
前記床板は、前記トングレールの下方に前記第1連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記基準線側に配置された前記ノズルユニットである基準線側ノズルユニットは、前記床板と並んで延びるように設けられた第2連通部を介して前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第3ノズル部を有し、
前記床板は、前記トングレールの下方に前記第2連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項1】
コンクリートで構成されるスラブ軌道において、基本レールと当該基本レールに対して当接及び離間可能なトングレールとを有する軌道分岐部に対して設けられ、圧縮空気を噴射することで前記基本レールと前記トングレールとの間に落下した異物を除去する、軌道分岐部の異物除去装置であって、
圧縮空気を噴射するノズルを有するノズルユニットと、
前記ノズルユニットに接続するヘッダー管と、
前記ヘッダー管を介して前記ノズルユニットに圧縮空気を供給する空気源装置と、
前記トングレールの下方であって前記ヘッダー管の上方に配置されて、前記トングレールの長手方向に沿って複数配置される床板と、
を備え、
前記軌道分岐部には、前記基本レールが真っ直ぐに延びる基準線側における当該基本レールの外側に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が内側を走行する一対のガードと、前記基本レールが湾曲するように延びる分岐線側における当該基本レール及び前記トングレールを挟む両側の位置に一対で当該基本レールに沿って延びるように配置されてコンクリートでブロック状に形成されるとともに車両の脱線時には脱線した車輪の片方が一方の上面を走行する一対の路面板と、が設けられ、
前記ヘッダー管及び前記ノズルユニットは、前記基準線側及び前記分岐線側の両方に配置され、
前記ヘッダー管は、前記基本レールに対して前記トングレール側に配置されるとともに、当該基本レールに沿って延びるように前記スラブ軌道に形成された第1の溝に沿って設置され、前記床板に対して固定されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記空気源装置は、
前記軌道分岐部に対して前記分岐線側における外側に配置され、
前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管とに対して、前記路面板の下方を通過して延びるように前記スラブ軌道に形成された第2の溝に沿って配置された空気配管を介して、圧縮空気を供給することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、複数設けられるとともにそれぞれ複数の前記ノズルを有し、前記トングレールの長手方向に沿って並んで配置された前記床板と前記床板との間にそれぞれ配置され、
前記分岐線側ノズルユニットの幅方向の寸法は、前記トングレールの幅方向の寸法よりも大きく設定されるとともに、前記トングレールが前記基本レールに当接した状態で当該トングレールと前記一対の路面板のうちの一方との間で前記ノズルから圧縮空気を噴射可能に設定されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記ノズルから圧縮空気を噴射する噴射タイミングを制御するコントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記分岐線側において前記基本レールに当接した状態の前記トングレールが当該基本レールから離間する前に前記分岐線側ノズルユニットにおける前記ノズルから圧縮空気を噴射させるように前記噴射タイミングを制御することを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記分岐線側に配置された前記ノズルユニットである分岐線側ノズルユニットは、前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管の上面側において当該ヘッダー管に連通するように取り付けられる第1ノズル部と、前記床板と並んで延びるように設けられた第1連通部を介して前記分岐線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第2ノズル部と、を有し、
前記床板は、前記トングレールの下方に前記第1連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の軌道分岐部の異物除去装置であって、
前記基準線側に配置された前記ノズルユニットである基準線側ノズルユニットは、前記床板と並んで延びるように設けられた第2連通部を介して前記基準線側に配置された前記ヘッダー管と連通するとともに前記基本レールの側面に配置される第3ノズル部を有し、
前記床板は、前記トングレールの下方に前記第2連通部が配置される隙間を形成するように、前記基本レールの側面に向かって延びるよう形成されていることを特徴とする、軌道分岐部の異物除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−190660(P2011−190660A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59844(P2010−59844)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
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