説明

軟質ポリウレタンからなる安全カバー

【課題】照明機器を始め各種機器や計器類を壁や床などに取り付ける場合、その明かりや機器内部を確認できるガラスやアクリル系透明樹脂カバーが前面に用いられている。これらは人間に近接して設置されている場合が多いが、人間が接触する場合、人体に対し危害や、機器に対する損傷などが回避するため、カバー材料の材質、形状、シートの装備等で工夫している。しかし、ガラスや樹脂も人為的に破壊されるだけでなく、地震等の災害で割れ、結果的に人体への危害を引き起こす可能性もあり、安全性に関しても万全とは言えない。このため、機器保護用の割れ難い安全カバーを提供する。
【解決手段】アスカーF硬度75以下の軟質ポリウレタン1と、3万以上の分子数からなるポリウレタン製バリアコート2により積層された構造より成る安全カバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明、各種機器の危害防止や、機器保全用カバーに供される、軟質ポリウレタンからなる安全カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明機器を始め各種機器や計器類を壁や床など取り付ける場合、その明かりや機器内部を確認できるガラスやアクリル系透明樹脂カバーが前面に用いられている。これらは人間に近接して設置されている場合が多い。人間が接触する場合、人体に対し危害や、機器に対する損傷などが回避するため、カバー材料の材質、形状、シートの装備等で工夫している(例えば、後述の特許文献等)。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−306277「腕載せ台、及び、その組立設置方法」
【特許文献2】特開2000−207914「照明カバー用アクリル樹脂フイルムおよび照明カバー」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ガラスや樹脂も人為的に破壊されるだけでなく、地震等の災害で割れ、結果的に人体への危害を引き起こす可能性もあり、安全性に関しても万全とは言えない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、機器等の外部に一定の厚みを有する軟質ポリウレタン製のカバーを提供するものである。
【0007】
本発明は、内層がアスカーF硬度75以下の軟質ポリウレタンと、外層がポリウレタン製バリアコートからなる安全カバーを提供する事である。
【0008】
本発明は、軟質ポリウレタンが少なくとも全光透過率30%以上の透光性を有するものからなる安全カバーを提供する事である。
【0009】
本発明は、バリアコートが3万以上の分子数を有し、伸びが300%以上のポリウレタンからなる安全カバーを提供する事である。
【0010】
本発明は、上記安全カバーを用いた照明機器を提供するものである。
【0011】
また本発明は、壁面に自在に設置可能な安全カバーを提供するものである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる軟質ポリウレタンは透明性を有する材料でも、また透明性を有さない材料でも良い。壁や床等人間が触れる位置にある機器は通常金属や硬質の樹脂で、子供等がそれによりぶつかって怪我をしたりする可能性があり、また地震等で機器が落下しても人体へ危害を加えたり、機器自身が破損する可能性がある。本事態を避けるためにゲル状の材料を一定厚み有するカバーを機器表面に設置することが本発明の目的とするものである。
【0013】
すなわち、本発明にかかる安全カバーは、軟質ポリウレタンを用いるものである。ここで軟質とは弾力性を有し、外力を吸収し内部機器に対する影響を減ずる役割があれば良い。ポリウレタンはその組成を調整することにより幅広く強度を制御できる特異な樹脂材料であるので、カバーすべき機器や、その設置状況に応じて任意に選択すれば良い。従い、ここでの軟質とは外力を吸収しうる程度の軟らかさを意味すると考えても良い。
【0014】
外力を更に効果的に吸収するものとして、アスカーF硬度75以下の軟質ポリウレタンで作られているカバーは特に好ましい。なお、ゲル状のポリウレタンは外形を保つことが困難であり、またタック性を有するため、接触したものに付着する可能性がある。従い、外層にタック性を減らす性能を有するバリアコートを付し、内層に軟質ポリウレタンの複層構造が実用上好ましい。
【0015】
軟質ポリウレタンの機械的特性は用途と形状に応じ選択可能だが、安全性を目的とする場合は1cmから数cm程度の厚みを想定している。
【0016】
なお、内層は、一層である必要はなく、複数の性能を有するポリウレタンでも良い。本発明の一実施例として、図1は機器に関する安全カバーを示す。安全カバーは軟質ポリウレタン1に表面にバリアコート2を付したものからなり、機器のベース4及び本体5並びにその機器本体の固有カバー3(例えばアクリル製のカバー)の全体を覆っている。但し、固有カバー3と安全カバーとは本図の通り直接接触しなくても良い。
【0017】
安全カバーへの外部からの外力は、軟質ポリウレタンおよび安全カバーと透過光カバー3間の空間により吸収され、内部の機器本体5や透過光カバー3の破損の影響を回避することができ、また外力が人体により発生している場合は、その人体への危害も回避できる。
【0018】
尚、図2は別の実施例で、照明機器に本発明の安全カバーに用いた事例である。この場合、軟質ポリウレタン11、21は2層構造をとっている。目的に応じて軟質ポリウレタンは複数の層の構造をとっても良い。また、この場合は、軟質ポリウレタン21は、照明機器の固有カバー13と直接接触させても良い。その場合は、軟質ポリウレタン21と固有カバー13との間にはバリアコートは省略しても良い。軟質ポリウレタン21のタック性から固有カバー13と密着させることで照明機器の保持を期待できる。
【0019】
またこの場合、軟質ポリウレタン11、21は透光性を必要とし、発光部からの照明光を外部に透過する。用途に応じ全光透過率30%以上の透光性を有することが照明用途では必要である。
【0020】
尚、通常アスカーF硬度75以下の軟質ポリウレタンはタック性を有するので軟質ポリウレタンに接触する物質は軟質ポリウレタンと半接着状態になる可能性が高く、又軟質ポリウレタン自体の形状保持が極めて困難であることから、バリアコートを施す必要がある。このバリアコートが要求される特性としてタック性がなく、また軟質ポリウレタンの変形に追随しうる伸び特性を有する必要がある。この特性を満たすものとして、分子数3万個以上の高分子ポリウレタンが好ましい。
【0021】
また、軟質ポリウレタンはタック性を利用して、図2の軟質ポリウレタン11、21は壁面に付着し、特に取り付け治具を用いなくても設置することが可能で、臨時的に用いる照明器具としても使用可能である。
【0022】
本発明は、上記安全カバーに限らず、各種機器(例えばLED等の照明機器や、その他機械的・電子的なセンサー機器)全体を包む透明軟質ポリウレタン製のカバーを取り付け、バリアコートを極力薄くして壁面付着性は残すが、形態維持能力は残すボール状の構造とすることにより、ダーツのように外力(例えば人間がそのボールを壁面にぶつけること)により壁面に付着させることを可能にすることにより楽しむゲーム機能を有するものや、カラーボールのように逃走車に付着させる犯罪防止機能を有するものに用いるものも可能である。
【0023】
更に、携帯機器(携帯電話、ノートパソコンや各種電子端末機器)全体を透明軟質ポリウレタン製のカバーを取り付けることにより、安全で且つ入浴等でも内部機器に損傷を生じさせず、且つ人体への危害にもならない使用も可能にするような用途に用いることも可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、壁や床等人間が触れる位置にある機器は通常金属や硬質の樹脂で、子供等の危害防止や、機器自体の破損防止にも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例を示す縦断面図。
【図2】本発明の別の一実施例(照明機器)を示す縦断面図
【符号の説明】
1、11、21=軟質ポリウレタン
2、12=バリアコート
3、13=機器の透過光カバー
4、14=機器のベース
5=機器の本体
15=照明機器の発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンからなる安全カバー
【請求項2】
内層がアスカーF硬度75以下の軟質ポリウレタンと、ポリウレタンからなるバリアコートにより積層された複層構造より成る請求項1に記載の安全カバー
【請求項3】
前記軟質ポリウレタンの厚みが少なくとも10mm以上の厚みを有し、前記バリアコートの厚みが50μm以下である事を特徴とする請求項1および請求項2に記載の安全カバー
【請求項4】
前記軟質ポリウレタンが少なくとも全光透過率30%以上の透光性を有する請求項1から請求項3に記載の安全カバー
【請求項5】
前記バリアコートが3万以上の分子数を有する高分子からなる請求項1から請求項3に記載の安全カバー
【請求項6】
請求項1〜5に記載の安全カバーを用いた照明機器
【請求項7】
壁面に自在に設置可能な請求項1〜6に記載の安全カバー

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−249295(P2011−249295A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132441(P2010−132441)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(506169296)株式会社ユウビ造形 (2)
【Fターム(参考)】